説明

磁気共鳴とX線による画像処理の際に使用するための支持部品

磁気共鳴とX線の画像処理を用いる、患者の一部の画像処理で使用するための、頭部クランプなどの構造的な支持部品は、各々が10mm未満、一般的には6mmのアルミニウム等価係数を有する異なる材料で形成され、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域に構造的な支持部品が存在することで、画像を生成する際に、画像内に任意の視覚的に決定できる歪みが生成されることがないように配列される。該材料は、容易に機械加工される部分のためのガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂であるか、高摩耗部品用にガラス繊維を用いる任意の繊維強化材を備えたポリフェニレンサルファイドであるか、および、部材を形成するためにポリウレタンフォーム形状であり、その外面上は、伸張可能なバーのためのアラミド繊維で形成された層で覆われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、患者の磁気共鳴(MRI)とX線による画像処理に使用するための支持部品に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIでは、典型的には超伝導を示す高い界磁石がトーラス配位(ドーナツのように)で並べられ、テーブル上の磁石内部に患者を横たわらせ、磁場は、パルス状で順番に並べられた磁場と電磁場とが画像を生成するために身体を調査することを可能にし、その画像によって、訓練された放射線専門医は患者の生体構造を高確率で測定することができる。MRIは、異なる組織の種類間の優れた差異すらも提供するために、患者に導入される造営剤を使用して行なわれることがしばしばある。MRI技術は、異なる疾患、例えば、腫瘍の解剖学的位置の検知に非常に優れている。
【0003】
1998年4月7日に発行された特許文献1(Hoult et al)では、磁石が患者と系の他の構成要素に対して移動可能な医療手技が開示されている。可動磁石システムは、手術中のMRIによる画像処理が神経外科患者でより容易に生成されることを可能にし、肝臓、胸、脊椎、および、心臓の外科患者に対するさらなる用途を有する。
【0004】
本出願人の公開された特許文献2(公開日2007年12月27日、発明の名称「ROTATABLE INTEGRATED SCANNER FOR DIAGNOSTIC AND SURGICAL IMAGING APPLICATIONS」)では、磁石の追加の回転運動が許可された上記の特許の改善点が開示されている。
【0005】
走査システムは、患者を1つの画像処理システムから他の画像処理システム、例えば、可動テーブル上に移すことによって、患者をX線画像処理システムからMR画像処理システムへと移動させることで知られている。MRスキャナはX線を使用して得られた情報に相補的な情報を提供するために使用される。MRスキャナは、例えば、介入後評価を行なうと同様に介入前に基礎評価を行なうために使用可能である。そのような評価は、心臓または脳の潅流と生存率に関する研究を含むこともある。
【0006】
ともにフィリップスによる、1998年2月3日に発行された特許文献3(Meulenbrugge)と、関連特許である特許文献4は、X線システムとMRIシステムの組み合わせを示している。該システムは手術中の使用のためのものではなく、磁石はシリンダーではない。磁石は動かない。X線は図2において左右に移動する。患者は図1において移動する。
【0007】
2000年8月8日に日立に対して発行された特許文献5(Kawasaki)は、同じ位置で同時に作動するX線およびMRIと、干渉を回避するために指定時刻に作動するやり方で、それらを操作する方法とを提供する。しかしながら、機械の存在が患者へのアクセスを制限するため、この配置は医療チームによる介入には適していない。
【0008】
2002年5月7日に発行されたシーメンスの特許文献6(Bachus)は、X線写真による血管撮影システムがMRシステムと協同する、いわゆる血管−MRシステムを開示している。1つの位置のX線システムからMRIに別の位置のMRIまで患者を移動させる、可動式の患者テーブルが提供される。
【0009】
2006年10月26日に公開されたシーメンスの特許文献7(Desh)は、MRIとX線を使用した心臓病の診断と処置に関連する。これは診断を分析するために画像を組み合わせる方法を対象にしている。
【0010】
2005年12月13日にリーランド・スタンフォード大学に対して発行された特許文献8(Pelc)は、MRIシステムの磁場で使用するための改良型のX線管を提供する。
【0011】
2004年11月2日にリーランド・スタンフォード大学に対して発行された特許文献9(Fahrig)は、X線システムによって引き起こされたMRIの磁場の摂動が補償される関連のシステムを開示している。
【0012】
2003年12月2日に発行されたシーメンスの特許文献10(Sklebitz)は、MRIの磁場を生成するコイル用の電流が、X線システムの領域における漂遊磁場を減少させるために計算されたレールシステムを開示している。
【0013】
1999年2月2日に発行されたSDGI Holdingsの特許文献11(Tuite)は、MRIとX線の画像処理の手順の間、患者の身体を噛み合わせて保持するためのデバイスを開示している。
【0014】
1986年6月17日にリーランド・スタンフォード大学に対して発行された特許文献12(Smith)は、MRlシステムを提供する。
【0015】
1992年3月31日に発行された特許文献13(Hardy)は、異なる画像診断法からの画像を組み合わせることに関し、主としてX線およびNMRなどの画像を組み合わせるためのソフトウェアに関する。
【0016】
2004年6月22日にElgemsに対して発行された特許文献14(Hefetz)は、共通の位置から一定間隔を置いた位置までの回転運動のための共通のレールシステムに取り付けられた、CTとMRIなどの2つの画像処理システムを開示している。
【0017】
1994年3月8日にGEに対して発行された特許文献15(Cline)は、MRIを使用して熱が検知される患者の熱処理システムを開示している。
【0018】
2005年11月1日にフィリップスに対して発行された特許文献16(DeSilits)は、患者の共通の走査のための共通の位置から一定間隔を置いた位置までの回転運動のための共通のレールシステムに取り付けられた、CTとPETなどの2つの画像処理システムを開示している。
【0019】
1991年4月4日に公開されたMullerの特許文献17は、レーザー凝固定位システム(a laser coagulation stereotactic system)を使用するNMR装置を開示している。
【0020】
東芝の特許文献18は、X線システムとMRIシステムの組み合わせを示す。この出願は日本でのみ提出され、一見したところでは荒削りなシステムを提供する。
【0021】
1992年6月30日に日本のRes Dev Corpによって公開された特許文献19は、共通の装置でのMRIとX線の使用を開示している。
【0022】
上記のタイプの組み合わされた画像処理システムの構成要素とともに使用するために設計されなければならない1つの要素は、患者の支持テーブルのそれと、MRおよびX線の画像処理の手順の間に使用される、支持を提供するための構成要素である。
【0023】
典型的には、画像処理および外科以外の介入の間、患者は、たんなるテーブルであるか、または、頭部あるいは他の四肢を保持するための延長部を備えるテーブルである、適切な支持表面上に横たわる。
【0024】
しかしながら、外科手術中には、多くの場合、画像処理の間、および、画像処理の後の処理の間に、患者の頭部などの身体部分を固定して保持する構造的な支持部品を提供する必要がある。
【0025】
X線画像処理システムで使用される際、そのような構造的な支持部品は、Pro−Med Instruments Inc, Manufacturing and Distribution of Surgical Productsによって供給されるNovotexとして一般に知られている材料から形成されたり、綿繊維によって強化されたフェノール樹脂で作られたりするのが一般的である。これが選択されるのは、アルミニウム等価係数とされるX線の低吸収因子をそれが有しているからであり、これは10mmの材料に対してほぼ約4mmであるのが一般的である。通常、デバイスは、アルミニウム等価係数を8〜10mmとして、25〜30mmと同じ程度の厚い材料を必要とする。
【0026】
特にNovotex材料を含むそのような材料は、磁場に配置可能なように非強磁性であり、無線周波電磁界には影響を与えないように非導電性であるという意味で、MRに適合するとみなされている。Novotexは、当然のことながらMRとX線の画像処理の両方で使用される構造物にNovotexが使用可能なように、強度と硬度とを含む必要とされる適切な物理的特徴も提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第5,735,278号
【特許文献2】PCT出願第WO07147233A1号
【特許文献3】米国特許第5,713,357号
【特許文献4】米国特許第5,807,254号
【特許文献5】米国特許第6,101,239号
【特許文献6】米国特許第6,385,480号
【特許文献7】米国特許出願第2006/0239524号
【特許文献8】米国特許第6,975,895号
【特許文献9】米国特許第6,812,700号
【特許文献10】米国特許第6,658,085号
【特許文献11】米国特許第5,865,780号
【特許文献12】米国特許第4,595,899号
【特許文献13】米国特許第5,099,846号
【特許文献14】米国特許第6,754,519号
【特許文献15】米国特許第5,291,890号
【特許文献16】米国特許第6,961,606号
【特許文献17】独国特許出願第39 31 854号
【特許文献18】日本国出願第05344964号
【特許文献19】日本特許出願第4183446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の1つの目的は、上に記載されたタイプのMRとX線を組み合わせた画像処理システムで使用可能な支持部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の態様によれば、磁気共鳴とX線の画像処理を用いる、患者の一部の画像処理で使用するための構造的な支持部品が提供され、
構造的な支持部品は、各々が10mmのサンプルに対して10mm未満の厚さのアルミニウム等価係数を有する、1つ以上の材料から形成され、
構造的な支持部品は、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域に構造的な支持部品が存在することで、画像を生成する際に、画像内に任意の視覚で確認できる歪みが生成されることがないように、配列されている。
【0030】
アルミニウム等価係数は8mmが好ましく、ほぼ5〜6mm程度であるのがさらに好ましい。
【0031】
好ましくは、部品は、異なる物理的特徴を有する2つの異なる材料から形成される。
【0032】
好ましくは、材料のうちの1つは、より硬く、2つの別の部品が隣接する摩耗部品を形成するために使用される。
【0033】
好ましくは、材料のうちの1つは、より堅く、伸張可能なバーを形成するために使用される。
【0034】
好ましくは、部品は、異なる物理的特徴を有する3つの異なる材料で形成され、第1の材料は伸張可能なバーを形成するために選択され、第2の材料はバーの機械加工された端部を形成するために選択され、および、第3の材料は端部に取り付けられる摩耗部品を形成するために選択される。
【0035】
好ましくは、材料の1つは、ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂である。
【0036】
好ましくは、前記ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂系は、部品の機械加工部分に使用される。
【0037】
好ましくは、材料の1つは、ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えたポリフェニレンサルファイドである。
【0038】
好ましくは、ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えたポリフェニレンサルファイドは、摩耗部品を形成するために使用される。
【0039】
好ましくは、材料の1つは、必要な部材を形成するためにポリウレタンフォーム形状であり、その外面上は、熱硬化性樹脂でコーティングされたアラミド繊維で形成された層で覆われている。
【0040】
好ましくは、アラミド繊維で形成された層で外面を覆われているポリウレタンフォーム形状は、伸張可能なバーを形成するために使用される。
【0041】
本発明の第2の態様によれば、磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品が提供され、
構造的な支持部品は、各々が10mmのサンプルに対して10mm未満の厚さのアルミニウム等価係数を有する、2つ以上の材料から形成され、
構造的な支持部品は、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域に構造的な支持部品が存在することで、画像を生成する際に画像内に許容できない歪みが生成されることがないように、配列されている。
ここで、部品は、異なる物理的特徴を有する2つの異なる材料から作られる。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品が提供され、ここで、その部品は、ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂から形成される。
【0043】
本発明の第4の態様によれば、磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理で使用するための構造的な支持部品が提供され、ここで、その部品は、必要な部材を形成するためにポリウレタンフォームまたはポリメタクリルイミド(PMI)フォーム形状から形成され、熱硬化性樹脂でコーティングされたアラミド繊維から形成された層でその外面を覆われている。
【0044】
構造的な支持部品は、磁気共鳴画像処理システムと放射線(X線を含む)機器の両方と共に使用する、頭部固定具、頭部支持具、開創器、画像処理ガイドシステムの基準プレート(imaging guide system reference plates)、および、プレートホルダなどの一連のデバイスの選択された1つを含むことができる。上記の材料から形成される際、該部材は、それらのシステムによって得られる最終的な画像には何の影響もない。これを得るために、材料は、強磁性部品(磁気共鳴画像処理システムの低磁場に影響することがある)と、任意の電気伝導率を有する他の部品(磁気共鳴画像処理システムのRF場に影響することがある)のいずれも有していない。放射線学の視点から見て、材料はアルミニウム等価係数が比較的低く、そのときにのみ、X線の出力を高めることなく、低い信号対ノイズ比を有する明瞭なX線の画像処理(この材料を通して撮られた)を達成することができる。
【0045】
それらの材料のうちの1つを使用すること、または、MRIに適合した放射線透過性の神経外科デバイスまたは介入デバイスの製造の際にそれらの材料の組み合わせとして使用することで、正常な外科手術手順(例えば、患者を移動させること、道具を交換することなど)を危険にさらすことなく、MRIとX線画像処理システム内にアーティファクトを含まない優れた画像を得ることが可能になり、このことは、使用する患者の全体的な安全性と手続きのワークフローに有益となる。
【0046】
使用される材料は、
a)エポキシ樹脂バインダーを備えたガラスクロスラミネート(glass cloth laminate)であるGarolite G10/FR4、
b)不織布の任意の繊維ガラスと混合したポリフェニレンサルファイド(PPS)、
c)内部のポリウレタンフォームまたはポリメタクリルイミド(PMI)フォームとアラミド(ケブラー)の合成物、を含む。
【0047】
該材料は以下のものに使用することができる。
頭部固定デバイスリンク、頭蓋骨用クランプ、および、スイベルアダプタ:それらのデバイスは、開放的な頭皮神経外科手術と頸椎手術の間の患者の位置付けと固定のために通常は使用される。
テーブルHFDアダプタ:それらのデバイスは、頭部固定デバイスとORテーブルとの間で相互作用するために使用される。
頭部支持部:それらのデバイスは、開放的な頭皮神経外科手術の間の患者の位置付けのために通常は使用される。
ORテーブルサイドレールの結合金具:サイドレールとORテーブルとの間で相互作用するため。
頚椎支持部:頸椎手術の間に患者の首を支持するため。
定位ナビゲーション(stereotactic navigation)のための頭部フレーム:頭蓋内腫瘍に関して、頭蓋冠(caivaria)にねじで取り付けられた侵襲性の定位フレームは、ヨウ素種子の正確な挿入と脳のナビゲーションのために用いられてきた。
定位性の搭器具(Stereotactic tower apparatus):この器具は、剛性の半円形の頭部クランプ、患者の頭蓋骨にクランプをしっかりと固定するための3つの固定ピン、患者が横たわる手術台にクランプをしっかりと固定するためのコネクタクランプで締め付け可能なジョイントを含み、いくつかの可能な位置のうちの1つの頭部クランプに固定された関節アームと、関節アームの遠位端部に固定された二重チャックとを含む。
画像処理グリッドとグリッドホルダ:異なる種類の腫瘍部位(胸、前立腺など)でナビゲーション目的(画像処理、放射線治療)のために使用される。
画像ガイドシステムの基準プレートとプレートホルダ:脳神経手術でナビゲーション目的のために使用される。
MR室(suite)と血管撮影室(suite)の両方とともに使用するための介入的な心臓血管用途パッケージ:組み合わせた血管撮影室/神経学的手術室(neuro suite)で使用される。
天板
頭部ホルダ
テーブル延長ボード
アームボード
心臓のコイルエンクロージャ
MR室と血管撮影室両方とともに使用するための介入および操作のための天板:組み合わせた血管撮影室/神経手術室で使用される。
MR室および可動式/固定式のX線装置とともに使用するための神経手術台:神経手術室の一部として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】患者テーブル、テーブル上の患者を画像処理するための位置に移動可能なMRI磁石、および、X線システムを移動させるための配置を示す、血管造影室の等角図法である。
【図2】患者を載せるテーブルの等角図法であり、説明の便宜上、その基部は省略されている。
【図3】図2の頭部クランプの拡大した縮尺の等角図法である。
【図4】図3の頭部クランプの一部の拡大した縮尺の等角図法である。
【図5】異なる材料から製造された部品を使用するMR画像システムで得られた一連の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1において、患者を患者支持テーブル上に固定したまま、患者の磁気共鳴映像法とX線の画像処理を実行するための配置を示す。該配置は部屋(1)を提供し、部屋(1)には、磁石ベイ(magnet bay)(1A)からMR画像処理システムの磁石(3)を該部屋へ入れるために部屋の一方の側の扉(2)によって、患者支持テーブル(10)が取り付けられている。この部屋には、レール(5)に取り付けられたX線画像処理システム(4)が含まれ、C形状の支持部(8)に取り付けられたX線トランスミッタ(6)とレシーバー(7)がある。X線システムは、シーメンスのようなメーカーから市販されている従来の構造物である。本明細書に記載および例証したテーブル(10)は、患者が、MRIとX線を用いて行われている間にテーブル上の適切な位置に留まるような配置で使用される。
【0050】
回転式のMRIシステムが設計されると、さらに独特な複数部屋の配置、構造、および、用途が可能である。この場合、ヘルスケア産業にとって財政的に有益で可能な様々な用途を例証するために、以下の複数部屋構造が例として用いられる。
【0051】
磁石システム(3)は1分以内に部屋へと移動し、扉(2)は数秒で開くため、磁石システムの使用の有効性に対する限定因子は、患者を部屋から出し入れし、必要に応じて患者に備え、および、患者と画像処理について議論することである。画像処理イベントの妥当な時間は60分であり、したがって、部屋からのMRIスキャナの出し入れは、時間の価値を限定するものではない。同様に、診断と介入処置の両方の必要性が生じると、複数部屋システムの有効性は予定が立てにくくなる。以下の形態が現在可能である。
【0052】
磁石ベイ(1A)を保持する中央の磁石が磁石と診察を受ける患者とを収容する三部屋の診断配置は、部屋(1)と磁石保持ベイ(1A)の上に図示されていないさらなる部屋とを含む三部屋で組織される。部屋(1)への扉(2)が開き、磁石ベイ(1A)を保持する磁石は部屋(1)の一部になる。磁石が第2の部屋へ移動する際、磁石は移動しないが、その診察台を伸張させることがあり、患者は診察台に横たわり、画像処理が行なわれ、介入を行う必要性は見出されず、患者は診察台を下り、磁石は磁石保持ベイ内に戻り、他の部屋の1つによって使用される準備ができている。その後、磁石はその診察台内に引っ込み、その部屋用の扉に対して回転し、別の部屋の手順が始まる。この場合、磁石はレールの上などの並進運動の方向には動かないが、たんに回転する。
【0053】
二部屋システムは病院の隅にある。この場合、磁石は回転して並進運動を行う。各々が2つの90度の方向に扉を備えた中心磁石保持室があり、磁石は、必要に応じてどの方向にも診察台を回転させることができ、または、磁石の反対側の端部が最初に部屋に入ることを可能にするために回転することができる。この手法によって、既存の診察の機能および用途がいずれかの部屋で使用可能になり、または、両方の部屋が、磁石の制御と監視に対してなんら重要な変化を与えることなく手術中の部屋として役立つことを可能にする。この二部屋コーナーシステムは、回転磁石がなければ行うことができない。
【0054】
該システムは天井から吊るされるか、または、床に取り付けられたベアリングに取り付けられることが可能であり、いずれかのシステムは磁石の回転を提供する。レールシステムを用いて空間も並進運動することができるように、MRlシステムもレール上の天井から吊るされることができる。回転メカニズムは、磁石とレールとの間、または、レール上のいずれかに位置することができる。下方トラックと上方トラックの回転子は、異なる形態に対して異なる特性を有している。下方トラック回転子は、既存の部位を最も簡単に改良することを可能にし、一方で、上方トラック回転子は、レール、MRIシステム、および、全ての関連するシステムが回転するという点で、鉄道の操車場にある円形機関車庫(roundhouse)のように作動する。
【0055】
上記の可動磁石と協働するX線システムを含む配置に目を向けると、システムは、患者を同じテーブル上のいずれかのモダリティによって画像処理可能なように、X線システムと一体化した可動磁石からなる。患者は動かない。
【0056】
MRは、上記の2以上の部屋の間のオーバーヘッドレール上を移動する高磁場の水平型または垂直型磁石システムである。記載されたシステムでは、これらの部屋の1つ以上は、単面または多面のいずれかのX線システムを含む。磁石がX線検査室から出て、1組のRFおよびX線遮蔽された扉が閉じられる際に、検査室は、従来のX線の研究所として機能し、従来の機器と共に使用可能である。特に、X線のガイドされた介入が行なわれ得る。
【0057】
その配置は、左側に血管造影室(AR)、中央に診断室(DR)、および、右側に手術室を備えた、典型的な三部屋構造で使用されてもよい。磁石は部屋の間のオーバーヘッドレール上を移動し、各部屋で画像処理を行うことができる。
【0058】
MR画像処理が必要な場合、X線機器が安全に積まれ、扉が開き、そして、磁石がテーブル上の患者越しに部屋に持ち込まれる。RF遮蔽はARを包含するため、X線試験室の機器はすべてRFを出さないように作られる。その後、MR画像処理を行なうことができる。その後、磁石が部屋から取り除かれ、扉は閉じられ、そして、X線機器はその作動位置に戻される。
【0059】
MRスキャナはX線を使用して得られた情報に相補的な情報を提供するために使用される。MRスキャナは、例えば、介入後評価を行なうと同様に介入前に基礎評価を行なうために使用可能である。そのような評価は、例えば、心臓または脳の潅流と生存率に関する研究を含むこともある。
【0060】
このシステムの例示的なワークフローとして、選択的な処置と、急性脳卒中または急性冠症候群のような緊急案件とを考慮する。
【0061】
選択的処置のワークフローでは、予備的なベースラインMRスキャンは、診断室または血管造影室のいずれかの患者によって得られることができ、これは基本的に処置前のMRスキャンである。その目的は、臨床的に関連するベースラインパラメータを測定することである。心臓の手術については、このベースラインパラメータは、ベースライン心機能および心筋生存度を含んでもよい。
【0062】
MRスキャンの後、MR画像処理が診断室で行われるのであれば、患者は血管造影室に移され、すでに血管造影室にいるのであれば、患者はそのままテーブルに残り、そこで、必要に応じて、X線透視法下の通常の方法で、冠動脈造影または脳血管造影、および、冠動脈血管形成術または脳血管形成術が行われ、その後、ステント装着が行われる。
【0063】
MRスキャナ磁石は血管造影室に入り、適切なMR画像を得る。MRデータを調査し、可能な限りX線データと相関させた後に、介入者は患者を退院させるか、または処置を継続することができる。
【0064】
緊急案件のワークフローでは、患者は収容され、緊急救命室で準備をする(両そ頸部の毛を剃ること、MR検査のスクリーニング、金属チェックなど)。患者は(ECGによって急性心筋梗塞と診断された場合)ARに運ばれ、そ頸部を介した血管アクセスが確立される。MR画像処理は、急性の患者の動きを最小限にするために、ベースライン評価についてARで行われ得る。心臓病に関する場合、スキャナは、ベースライン心機能と潅流の画像処理のMR評価のためにARに持ち込まれる。脳卒中の場合には、MR画像は介入治療が望ましいかどうかを明らかにする。両方の場合で、MRベースライン画像処理は最小時間で完了し、処理される。卒中と心臓病の両方の患者において、血管造影術と介入(閉塞部位での血管形成、血栓除去、または、血栓溶解薬の送達)は、もし望まれるのであれば、X線透視法下の通常の方法で行なわれる。
【0065】
MRスキャナは、その後のMR画像の獲得のためにARに持ち込まれる。MR画像を調査し、X線データとの相関性を可能な限り調査した後、介入者は患者を退院させるか、または処置を継続する。
【0066】
図1に示されるX線システムを移動させるための配置では、MRはX線検査室に入り、テーブル(10)の頭部端部越しに移動する。MRの経路がちょうどCアームスタンドの位置を通るため、磁石が入る前に、後者を移動させなければならない。必要性に依存して、フロアに取り付けられたCアームスタンドは、フロアレール、フロアターンテーブル、または、フロアか壁に取り付けられたブーム上を移動することがある。必要性に依存して、天井に取り付けられたCアームスタンドは、可動磁石レールから吊るされたプラットホームにスタンドレールを取り付けることによって、または、スタンドレールを横方向に動かす伸縮アームを備えたプラットホームにスタンドレールを固定することによって、テーブルの脚部端部に該スタンドを留めるための延長レールを用いて動かされる。
【0067】
天井に取り付けられたスタンドのためのムーバ(mover)とともに、フロアに取り付けられたスタンドを移動させるための解決策を用いることで、二面システムを移動させる機構が提供される。ムーバは、非ゼロでの角度(例えば、90度)でMRレールに単面または二面の取り付け位置を提供することができる。
【0068】
患者取扱システム(patient handling system)または支持テーブルは、通常は(10)で表されるような、図2乃至7で示される。患者支持テーブルは、高さと方向性が所望の位置に患者支持テーブル部分(12)を移動させることができる、従来の構造物の基部(11)を含む。適切な駆動メカニズムと結合部は当該技術分野では知られており、本明細書に記載する必要はない。患者を患者支持部分に横たわらせながら患者を支持するのに十分な表面積を明確にするために、基部(12)の頂部には、繊維強化したプラスチック材料で形成された一般的には平面の物体の形状で、患者支持部分が取り付けられている。患者支持部分(12)は、支持体部分によって支持される患者の脚、身体、および、腕を受けて収容するのに十分な距離で間隔を置いて配された2つの側端部(14)と(15)とともに、うつ伏せの患者の足元にまたは足元の上に後部縁(13)を含む。
【0069】
前端部(16)には、患者の頭部を取り付けて支持するための頭部クランプ(20)が提供される。
【0070】
患者支持部分(12)の頂部には、患者支持部分(12)にのしかかるように形作られたマットレス(18)が提供される。
【0071】
患者の構造的な支持部は、繊維強化された樹脂材料で形成された支持部分(12)によって提供される。繊維強化された樹脂材料では、典型的な体重の患者を運ぶのに十分な強度の構造部材を提供するために繊維がシートに置かれ、樹脂材料によって浸される。患者支持部分が、磁石の操作、または、磁気共鳴画像で使用される必要な信号の生成と獲得に影響を与えない材料で形成されるように、部分(12)の構造で使用するために選択された繊維強化材は、曲げに対する必要な耐性を提供するのに十分な強度を有する繊維であるが、非導電性の繊維である。したがって、長い炭素繊維はその部分の構造物内に流れる電流を発生させるか、電流がその部分の構造内を流れることを可能にして、そのような電流が必要な信号に干渉してしまうため、炭素繊維を使用することはできない。電流は、磁石内の高磁場、および、磁気共鳴画像処理で使用するための磁石内で生成される電気磁気信号によって生成される。典型的には、ケブラー(商標)のようなアラミド繊維は、そのような構造で典型的に使用される炭素繊維の代わりに使用することができる。
【0072】
マットレスは、流体に耐性があり、臨床的状況で使用される滅菌のためにすぐに洗浄可能な外面を提供するように、膜で包まれた硬質のフォーム材料で形成される。
【0073】
患者取扱システムはしたがって以下の鍵となる要素:患者テーブル(11)、頭部ホルダ(20)、および、MR画像処理コイル(図示されず)を含む。鍵となる要素の一体化を含む該システムは、十分な画質およびワークフローを維持する一方で、MRIとX線の両方の画像処理モダリティを可能にするように特別に設計されている。
【0074】
患者テーブルは、患者がMRとX線の両方の画像処理モダリティで走査可能なように設計されている。患者テーブルは2つの主要な要素:台座と天板からなる。天板は完全にMRとX線に適合性を有し、台座はMRスキャンの間、画質に悪影響を及えず(すなわち、磁場の均質性に悪影響を与えず)、台座は磁場から強烈な力を受けたりもしない。台座(X線に対して適合性を有していない)が画像処理部位から十分に離れた距離にあるように、天板は位置付けられる。天板は、頭部ホルダ、アームボード、および、MR画像処理コイルを一体化する。
【0075】
頭部ホルダは処置の間に患者の頭部を支持し、MRとX線に適合していなければならない。頭部ホルダは、位置決めして取り除くのが非常に効率的な方法で患者テーブルに一体化される。MR画像処理頭部コイルも、頭部ホルダに一体化されることがあり、画像処理部位で容易に位置決めと取り外しがされる。
【0076】
MR画像処理コイルは、頭部と上部脊椎を画像処理するための頭部コイルからなる。MRコイルはX線に適合していないため、患者を移動させたり、患者に干渉したりする必要なく、画像処理モダリティを切り替える際に、位置決めしたり画像処理領域から取り除かれたりする。
【0077】
特定の医療手技の間、X線とMRの両方の画像処理モダリティが、手技中の別の時間に採用されることもある。MRIコイルはX線に適合していないため、MRIとX線の画像処理の間で切り替える際に、すばやく簡単にコイルを位置決めしたり取り除いたりする必要がある。処置中に固定された位置で患者を留めておく必要がある場合については、患者を少しも移動させたり移したりすることなく、画像処理コイルを位置決めしたり取り除いたりしなければならない。例えば、頭蓋の処置は、全ての処置の間、患者の頭部を守るために頭部ホルダを採用する。MR画像処理頭部コイルは、患者の頭部または頭部ホルダを少しも移動させることなく、頭部ホルダ周辺に容易に位置決めされる。
【0078】
患者テーブルは、完全にMRおよびX線に適合している天板からなる。天板は、患者を少しも移動させたり移したりすることなく、コイルを位置付けして取り除くという特別な特徴と、頭部コイルや心臓コイルなどの様々なMR画像処理コイルとの一体化を可能にする。
【0079】
天板は、頭部ホルダを容易に位置決めして取り除く手段も含み、これは、天板の頭部端部の周囲に隆起部(ridge)または突起部(ledge)を含み、ここで頭部ホルダはあり継ぎ形状インターフェース(dovetail interface)によってスライドする。画像処理頭部コイルも、このやり方でテーブルに一体化される。
【0080】
頭部ホルダとテーブルアダプタの組み立て体は、処置の間に頭部を固定する頭部ホルダと、患者テーブルに頭部ホルダを固定するとともに頭部ホルダの位置/配置を調節する手段も提供するテーブルアダプタとを含む。全ての組み立て体は、完全にMRとX線に適合性を有する。蹄鉄頭部ホルダ、スリング型(sling)/サスペンダー型(suspender)頭部ホルダ、および、頭部クレードル(cradle)を含む、患者の頭部を固定する様々な手段がある。蹄鉄頭部ホルダは、ゲル、フォーム、または、膨らませた枕によって衝撃を和らげる剛性のフレームを含み、患者の頭部の側面および頂部は、ストラップによって、または、側部の緩衝材によって支持され得る。フレームは、頭部のサイズの大きな領域を収容するために調節可能である。スリング/サスペンダー型の頭部ホルダは、頭部の後部および側部を支持するために、スリングに形作られる軟質材料(例えば、織物)からなる。頭頂部は織物ストラップに支持され、エアーパッキンは、テーブルアダプタがスリング/サスペンダー型頭部ホルダに連結する頭部の衝撃を和らげるために、スリングの側部にある材料の層の間に挿入される。頭部クレードルは患者の頭部と頸部を抱えるスコップ形状のデバイスであり、該デバイスは、(快適さのために)患者の後頭部の衝撃を和らげるために、および、患者が左右に頭部を移動させるのを防ぐために、フォームまたは膨張式の空気枕を含む。膨張式の枕の1つのさらなる特徴は、それが頭部をわずかに下に下げるように収縮するため、その結果、それが、患者の頭部の真下に直接位置決めされるMR画像処理頭部コイルの一部にさらに接近し、MRの画質を高めることになるということである。テーブルアダプタは、頭部ホルダの前(患者の頭部から最も近く)、頭部ホルダの後ろ(患者テーブルからもっとも遠く)、頭部ホルダの側部に沿って、または、頭部ホルダの頂部に沿って、などといった様々な方向で頭部ホルダと連結してもよい。
【0081】
図2と3で示す頭部ホルダは従来の設計であり、2つの取り付けピン(23)によってテーブル(20)の端面に接続された取り付け部分(22)を含む。取り付け部分は、リンク(25)に接続してこれを支持する、中央ボス(24)を含む。リンク(25)は、2つのアーム(27)と、所望の位置に頭部を取り付ける様々な位置に頭部ホルダクランプ(28)を移動させることが可能な複数のスイベル接続ジョイント(swivel connecting joints)(26)とによって形成される。クランプ(28)は、ラック(31)に間隔をおいて調節することができる2つのアーム(29)および(30)上で支えられる3点支持部を含む。その支持部の1つがねじ(32)上で支えられることで、クランプを所望のように頭部をはめ込むことが可能である。
【0082】
頭部ホルダ(20)の構成要素は以下に述べられた材料から形成される。多くの場合、該部分は材料の供給部分から機械加工される。それ以外の場合、該部分は製作される。
【0083】
図4では、反対の端部にスイベル結合部(26)を備えたアーム(27)の1つである、関連部分の一例が示されている。各々のスイベル結合部は、環状の鋸歯状表面(26A)を含む。該表面は、次の部分の対応する表面と適合し、その結果、該関連部分は角度調節を提供するように中心軸の周りを回転することができる。
【0084】
図4で示す例において、アーム(27)は、端部で2つの端部結合部分(36)を支える主要な伸張可能なバー(35)から製造される。各々の端部結合部分は、環状の鋸歯状表面(26A)を規定する2つのディスク部分(37)を支える。
【0085】
端部結合部分(36)は、機械加工のための所望の強度と能力を提供するために選択される材料から形成される。使用される材料の1つの例は、コードG10−FR4(FR4)の下で製造されるGaroliteである。これは、ガラス布基板と組み合わせた、防火性(fire rated)で電気等級の、誘電性ガラス繊維積層品エポキシ樹脂システムである。「FR4」という省略形は、F(Flame(炎)の)およびR(retardancy(遅延化)の)を意味し、4は4番目のエポキシであることを意味する。FR4等級は、乾燥した高湿度条件下での優れた化学的耐性、防火性(flame rating)(UL94−VO)、および、電気的性質を提示する。FR4は、同様に、130℃までの温度で、高い屈曲性の、耐衝撃性の、高い機械的強度および結合強度も特色とする。
【0086】
ガラス繊維によって強化されたエポキシ樹脂である、同じ特徴の他の材料を選択することができる。ガラス繊維を使用することによって、従来はX線画像処理で使用するためにアルミニウム等価係数を改善して減少させると信じられていたものの、画像中に歪みとアーティファクトを生成するためにMR画像処理には許容できないことが分かった綿などの他の強化繊維から製造された部分よりも、完成品をさらに薄くすることが可能である。
【0087】
円形のディスク(37)は、不織布の任意の繊維ガラスと混合させたポリフェニレンサルファイドから形成される。ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、熱耐性、機械的耐性および化学的耐性の特性の優れた組み合わせを提供する高性能の半結晶性ポリマーである。高温安定性、硬度、および、高温での化学的耐性を必要とする用途は、ポリフェニレンサルファイドの好適な候補である。
【0088】
バー(35)は、アラミド繊維の層によって囲まれたポリウレタンまたはポリメタクリルイミドフォームの合成物から形成される。ポリウレタンフォームは、(カルバメート)リンクによって連結された一連の有機単位からなるポリマーである。ポリウレタンポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を包含するモノマーを、触媒の存在下で少なくとも2つのアルコール基を包含する別のモノマーと反応させることによって形成される。
【0089】
ポリメタクリルイミドフォームは、メタクリル酸とメタクリロニトリルのコポリマーシートの熱膨張によって生成される。発泡処理中に、コポリマーシートはPMI−ポリメタクリルイミドに変換される。アルコールは発泡剤として使用される。それは非常に均質なセル構造および等方性の特性を有する。
【0090】
フォームコアは所望の形状に機械加工され、挿入物は締め具を提供するために利用されてもよい。機械加工されたフォーム部分は、その後、アラミド繊維から形成された織布の層で覆われる。アラミド繊維は耐熱性で強固な合成繊維の類のものである。アラミド繊維は、鎖状分子が繊維軸に沿って高度に配向した繊維であり、したがって、化学結合の強度を開発することができる。織られたシートは、覆っている(複数の)層がフォームコア周辺で巻きつけられた後にプレス機で硬化可能な非硬化ポリマーに、埋め込まれて供給される。その硬化作用は、所望の強度の構造用複合材料部分を提供するようにコアを層に結合する。当然のことながら、この部分は一度形成されると機械加工することができず、したがって、端部結合部分(36)は、機械加工できる材料から形成され、ねじ締め具(図示せず)とエポキシによって構造的なバーに固定される。
【0091】
図5はMR画像処理で得られた一連の画像を示しており、これらの画像は、ベースライン材料および従来のNovotexと比較して、上記の材料とともにベースライン材料を示す。
【0092】
この試験手順はMRIシステムとの材料の適合性を確認するために使用される。
【0093】
試験は、材料が信号対雑音比(SNR)に影響しないことを確認するために行なわれる。試験用の対象は身体観察(body scout)を利用した測定が可能なものでなければならない。身体観察測定の間、SNRを10%以内にしなければならない。
【0094】
定磁場の均一性(BO)。試験用の対象は、磁場のいかなる不均一性も引き起こさないはずである。
【0095】
RF場(勾配磁場)の歪み。試験用の対象はRF場のいかなる不均一性も引き起こさないはずである。
【0096】
エコー時間の短い信号を発生させない。特定の材料はエコー時間の非常に短いMR信号(すなわち、プラスチック)を引き起こす。MRコイルはこれに非常に敏感である。関心領域に映すことができる、考えられるアーティファクト上の重なりが生じることもある。したがって、試験対象はMR信号を生成しないはずである。
【0097】
上記の材料によって得られた画像が図5に示され、該画像は、Novotex製品がMR画像手順の間に得られた画像の重大かつ許容できない歪みを生成し、その一方で、先に定義した材料がそのような目に見える歪みを提供しないということを示している。
【0098】
以下の表は、従来のNovotexと比較して、上記の材料を含む多くの材料のアルミニウム等価係数を示す。
【0099】
【表1】

【0100】
この手法が適用されることで、数値的方法で材料を適格とする唯一の方法である試験材料のX線減弱を評価し、国際規制機関(FDA、IECなど)の一部として適合し、かつ、正常なX線曝露によってはかならず何の有害な影響も患者に誘発されないようにする。
【0101】
アルミニウム等価は、試験される材料と同じX線減弱を与える1100アルミニウムの厚さである。その減弱は特定のビーム質のX線で測定されなければならない。
【0102】
ビーム質は、X線ビームの硬度(相対的な透過能)の一つの尺度である。それは2つの数:(1)エックス線管電圧(kVp)と、(2)半価層(HVL)として知られている、ビームの照射線量率を2分の1に減らす1100アルミニウムの厚さとによって指定される。
【0103】
IECとFDAの目的のために、アルミニウム等価は100 kVpで3.7mmの半価層を有するビームで測定される。
【0104】
したがって、上記の部分(27)は、磁気共鳴とX線画像処理を用いる、患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品を定義し、構造的な支持部品は、各々が10mm未満のアルミニウム等価係数、好ましくは、ほぼ5〜5mmのアルミニウム等価係数を有する、1以上の材料から形成される。
【0105】
図5に示されるように、画像を生成する際に、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域にこの構造的な支持部品が存在することで、画像中に任意の目で確認できる歪みが生じないように、構造的な支持部品は配列される。
【0106】
完成部品は、アルミニウム等化数と、MR画像の視覚的な妨害(もし、あるとして)のレベルとを測定するために、完全なX線試験を受けなければならない。
【0107】
それは構造と機能に依存した上記のような全ての部分に関して必要不可欠ではないが、ほとんどの場合、該部品は、異なる物理的特徴を有する2以上の異なる材料から形成される。したがって、ディスク(37)のために用いられる材料の1つはより硬く、2つの別の部品が隣接する摩耗部品を形成するために使用される。同様に、材料の1つはより堅く、伸張可能なバー(35)を形成するために使用される。
【0108】
好ましくは、(35)で示されるような部品は、異なる物理的特徴を有する3つの異なる材料から形成され、第1の材料は伸張可能なバー(36)を形成するために選択され、第2の材料はバー(36)の端部部分を形成するために選択され、および、第3の材料は端部部分に取り付けられる摩耗部品(37)を形成するために選択される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理で使用するための構造的な支持部品であって、
前記構造的な支持部品は、各々が10mmの厚さのサンプルに対して10mm未満のアルミニウム等価係数を有する、1つ以上の材料から形成され、
前記構造的な支持部品は、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域に前記構造的な支持部品が存在することにより、画像を生成する際に画像内に任意の視覚で確認できる歪みが生成されることがないように配列されることを特徴とする部品。
【請求項2】
歪みの存在が本明細書で説明される試験によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記部品は異なる物理的特徴を有する2つの異なる材料から形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の部品。
【請求項4】
前記材料の1つがより硬く、2つの別の部分が隣接する摩耗部品を形成するために使用されることを特徴とする請求項3に記載の部品。
【請求項5】
前記材料の1つがより堅く、伸張可能なバーを形成するために使用されることを特徴とする請求項3または4に記載の部品。
【請求項6】
前記部品が異なる物理的特徴を有する3つの異なる材料で形成され、第1の材料は伸張可能なバーを形成するために選択され、第2の材料は前記バーの機械加工された端部を形成するために選択され、および、第3の材料は前記端部に取り付けられる摩耗部品を形成するために選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の部品。
【請求項7】
前記材料の1つは、ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の部品。
【請求項8】
ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂系は、前記部品の機械加工部分に使用されることを特徴とする請求項7に記載の部品。
【請求項9】
前記材料の1つは、ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えたポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の部品。
【請求項10】
ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えた前記ポリフェニレンサルファイドは、摩耗部品を形成するために使用されることを特徴とする請求項9に記載の部品。
【請求項11】
前記材料の1つは、必要な部材を形成するためにポリウレタンまたはポリメタクリルイミドフォーム形状であり、その外面上は、熱硬化性樹脂でコーティングされたアラミド繊維で形成された層で覆われていることを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1つに記載の部品。
【請求項12】
アラミド繊維で形成された層で外面を覆われている前記フォーム形状は、伸張可能なバーを形成するために使用されることを特徴とする請求項11に記載の部品。
【請求項13】
磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品であって、
前記構造的な支持部品は、各々が10mmの厚さのサンプルに対して10mm未満のアルミニウム等価係数を有する、2つ以上の材料から形成され、
前記構造的な支持部品は、磁気共鳴画像処理システムの画像処理領域に構造的な支持部品が存在することにより、画像を生成する際に画像内に許容できない歪みが生成されることがないように配列され、
前記部品は、異なる物理的特徴を有する2つの異なる材料から作られることを特徴とする部品。
【請求項14】
前記材料の1つがより硬く、2つの別の部分が隣接する摩耗部品を形成するために使用されることを特徴とする請求項13に記載の部品。
【請求項15】
前記材料の1つがより堅く、伸張可能なバーを形成するために使用されることを特徴とする請求項13または14に記載の部品。
【請求項16】
前記部品が異なる物理的特徴を有する3つの異なる材料で形成され、第1の材料は伸張可能なバーを形成するために選択され、第2の材料は前記バーの機械加工された端部を形成するために選択され、および、第3の材料は前記端部に取り付けられる摩耗部品を形成するために選択されることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1つに記載の部品。
【請求項17】
前記材料の1つは、ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項16に記載の部品。
【請求項18】
ガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂系は、前記部品の機械加工部分に使用されることを特徴とする請求項17に記載の部品。
【請求項19】
前記材料の1つは、ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えたポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1つに記載の部品。
【請求項20】
ガラス繊維を使用する任意の繊維強化材を備えた前記ポリフェニレンサルファイドは、摩耗部品を形成するために使用されることを特徴とする請求項19に記載の部品。
【請求項21】
前記材料の1つは、必要な部材を形成するためにポリウレタンまたはポリメタクリルイミドフォーム形状であり、その外面上は、熱硬化性樹脂でコーティングされたアラミド繊維で形成された層で覆われていることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか1つに記載の部品。
【請求項22】
アラミド繊維で形成された層で外面を覆われている前記フォーム形状は、伸張可能なバーを形成するために使用されることを特徴とする請求項21に記載の部品。
【請求項23】
磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品であって、
前記部品はガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂から形成されることを特徴とする部品。
【請求項24】
磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理に使用するための構造的な支持部品であって、
前記部品はガラス布基板と組み合わせたエポキシ樹脂から形成されることを特徴とする部品。
【請求項25】
磁気共鳴とX線の画像処理を用いる患者の一部の画像処理で使用するための構造的な支持部品であって、
前記部品は、必要な部材を形成するためにポリウレタンフォームまたはポリメタクリルイミド(PMI)フォーム形状から形成され、熱硬化性樹脂でコーティングされたアラミド繊維から形成された層でその外面を覆われていることを特徴とする部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−521814(P2012−521814A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502403(P2012−502403)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000422
【国際公開番号】WO2010/111772
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510318860)イムリス インク. (7)
【出願人】(511236202)
【Fターム(参考)】