説明

磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法

【課題】 撮像効率の低下を伴わず、かつ、RFパルスの照射磁場不均一に影響されることなく、安定して均質な脂肪抑制画像を得るため。
【解決手段】 そのためにCHESSパルスを印加して被検体の所望の成分からの信号を抑制する第一のシーケンス部と、被検体からエコー信号を計測する第二のシーケンス部と、を有する撮像シーケンスの繰り返す際に、CHESSパルスのフリップ角を複数回変更する。マルチスライス撮像の場合には、少なくとも2つのスライス撮像でCHESSパルスのフリップ角を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体中の水素や燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を画像化する核磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置及びMRI方法に関し、特に化学シフトを利用した脂肪抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織がMRI装置中の一様な静磁場空間(B0、B0方向をzと定義)におかれると、組織組成分子の原子核スピンの磁気モーメントは、B0方向を軸に、各スピン固有の共鳴周波数で歳差運動する。これらのスピンが、B0方向と直交する方向から共鳴周波数に近い周波数を有する磁場(照射高周波磁場B1)にさらされると正味の磁気モーメントMは、x-y面に向かって回転し(励起され)、正味の横磁気モーメントが生じる。この後、照射高周波磁場B1を切ると、励起されていた磁気モーメントは、エネルギー(NMR信号)を放出しながらもとの状態に戻っていく(緩和)。MRI装置は、この際に、放出されるNMR信号(エコー信号)を検出し、信号処理することで、生体組織の画像を得る。
【0003】
このようなMRI装置は、一般的に、水素プロトンを画像化する。水素は、生体内の多くの異なる分子に含まれて、生体内に存在しているので、水素プロトンの共鳴周波数は、分子レベルでの相互作用が異なることにより、分子毎に多少異なる。例えば、1.5T MRI装置において、脂肪分子内の水素プロトンが発生するエコー信号は、水分子内の水素プロトンが発生するエコー信号の周波数に対して、約224Hz程度低い周波数を有する。この共鳴周波数差を利用して、所望の分子からのエコー信号のみを画像化することが可能となる。
【0004】
臨床撮像においては、水分子からの信号のみを画像化したい場合がある。このような要求に応える技術として、本撮像に先行して、CHESSパルスを印加して脂肪分子の水素プロトン(以下、「脂肪プロトン」と略記する)からのエコー信号を抑制するCHESS法が知られている(非特許文献1)。この公知技術は、CHESSパルスである、脂肪プロトンの共鳴周波数を有する一定磁場強度(ここでは、フリップ角が90°)の高周波磁場(以下、「RF」と略記する)パルスを生体に印加して、脂肪プロトンのみを選択的に励起し、続いてクラッシャー傾斜磁場パルスを印加する。これにより、CHESSパルスにより選択励起された脂肪プロトンの横磁化を位相分散させて、本撮像直前において脂肪プロトンの磁化を消失させることで、脂肪プロトンからの信号を抑制するものである。
【0005】
このCHESS法を用いた脂肪信号抑制技術は、空間的に広く分布する脂肪に対して、CHESSパルスによって発生したRFパルスの照射強度が空間的に均質であれば、ある一定の抑制効果が得られる。しかし、この照射強度に空間的な不均一があれば、脂肪信号の抑制ムラが生じてしまうという未解決の課題がCHESS法に残されている。特に、高磁場(1.5T以上)においては、このRFパルスの照射強度の空間的不均一が顕著となることが報告されている。
【0006】
このようなRFパルスの照射強度不均一による不完全な脂肪抑制を解決するために、断熱系反転パルスを用いる手法が非特許文献2に開示されている。非特許文献2に記載された手法は、一般的な振幅変調のみのRFパルスではなく、振幅変調に加えて、周波数変調(位相変調)を施したRFパルス制御を行う。変調関数としては、一般的に、振幅変調にhyperbolic secant関数、周波数変調にhyperbolic tan関数などの組合せが用いられる。これにより目的とするスピンを反転した状態で磁化平衡状態にすることが可能であり、全ての目的スピンを均一に反転した状態にすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A.Hasse, J.Frahm, et al: H1 NMR chemical shift selective(CHESS) imaging. Phys. Med. Biol. 30, 341 (1985)
【非特許文献2】"Design of Adiabatic pulses for Fat-Suppression using Analytic Solutions of the Bloch Equation". MRM 37:793-801 (1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献2に開示された方法では、反転した脂肪プロトンの縦磁化がゼロとなる状態(ヌル状態)までの時間、即ち、反転回復時間(TI:1.5Tでの脂肪のT1時間は約150-170msである)の経過を待って、本撮像シーケンスを始める必要がある。即ち、脂肪プロトンの縦磁化がヌル状態になるタイミングで、本撮像シーケンスを始める必要があり、トータルとしての撮像時間の延長、もしくは、同一繰り返し時間(TR)内で撮像可能な最大スライス枚数の減少を伴う。そのため、結果として、撮像効率は低下してしまうという未解決の課題を有している。また、非特許文献2に開示された方法は、反転回復時間で規定される待ち時間が必須となるので、T1強調撮像のような短TR撮像には不向きである。
【0009】
また、T1強調撮像のような短TR撮像では、短い間隔でCHESSパルスが繰り返し印加されるため、脂肪プロトンの磁化が定常状態に到達してしまう。そのため、一定の脂肪プロトンの縦磁化が定常状態として残るので、脂肪プロトンからのエコー信号が一定レベルで検出され、画像上においては一定強度で脂肪が残ってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像効率の低下を伴わず、かつ、RFパルスの照射磁場不均一に影響されることなく、安定して均質な脂肪抑制画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のMRI装置及びMRI方法は以下のように構成される。即ち、撮像シーケンスを繰り返す際にCHESSパルスのフリップ角を変更する。具体的には、CHESSパルスを印加して被検体の所望の成分からの信号を抑制する第一のシーケンス部と、被検体からエコー信号を計測する第二のシーケンス部と、を有する撮像シーケンスを繰り返す際に、CHESSパルスのフリップ角を複数回変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のMRI装置及びMRI方法によれば、特定の原子核スピンからの信号を抑制するパルスシーケンスとして、実行される第一のシーケンス部のフリップ角を変化させる制御を行うことにより、撮像効率の低下を伴わず、かつ、RFパルスの照射強度不均一に影響されることなく、安定して均質な脂肪抑制画像を得ることができる。また、CHESSパルスの繰り返し印加時間間隔が短い場合でも、安定して均質な脂肪抑制画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図。
【図2】CHESSパルスを付与した脂肪抑制撮像シーケンスのシーケンスチャートを示す図。
【図3】図2の脂肪抑制撮像シーケンスをマルチスライスにした場合のRFパルス部のパルス系列を示す図。
【図4】本発明の第一の実施形態の脂肪抑制撮像シーケンスのRFパルス部のパルス系列を示す図。
【図5】本発明の第一の実施形態の処理フローの1例を説明するフローチャート。
【図6】同一フリップ角のCHESSパルスの場合(a)と本発明の第一の実施形態(b)、における脂肪の残留縦磁化M(2)マップで見た状態遷移図。
【図7】RFパルスの照射強度変動に対する脂肪の残留縦磁化M(2)グラフの1例を示す図。
【図8】本発明の第二の実施形態におけるセグメント計測を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、図1に示すように、MRI装置は静磁場発生系2と、傾斜磁場発生系3と、送信系5と、受信系6と、信号処理系7と、シーケンサ4と、中央処理装置(CPU)8とを備えて構成される。
【0016】
静磁場発生系2は、垂直磁場方式であれば、被検体1の周りの空間にその体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば、体軸方向に均一な静磁場を発生させるもので、被検体1の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
【0017】
傾斜磁場発生系3は、MRI装置の座標系(静止座標系)であるX,Y,Zの3軸方向に巻かれた傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とから成る。
後述のシ−ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮影時には、スライス面(撮影断面)に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0018】
送信系5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1にRFパルスを照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとから成る。高周波発振器11から出力された高周波パルスをシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調された高周波パルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給することにより、RFパルスが被検体1に照射される。
【0019】
受信系6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル) 14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とから成る。送信側の高周波コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のエコー信号が被検体1に近接して配置された高周波コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二系統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理系7に送られる。以下、エコー信号のデジタルデータをエコーデータという。
【0020】
シーケンサ4は、RFパルスと傾斜磁場パルスをある所定のパルスシーケンスで繰り返し印加する制御手段で、CPU8の制御で動作し、被検体1の断層画像のデータ収集に必要な種々の命令を送信系5、傾斜磁場発生系3、および受信系6に送る。さらに本発明のMRI装置では、シーケンサ4は高周波磁場パルスの出力を変化させながら計測できる手段を備える。
【0021】
信号処理系7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有し、受信系6からのデータがCPU8に入力されると、CPU8が信号処理、画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。 また、CPU8は、K空間に対応するメモリを内部に備えてエコーデータを記憶する。以下、エコーデータをK空間に配置する旨の記載は、エコーデータがこのメモリに書き込まれて記憶されることを意味する。また、K空間に対応するメモリに書き込まれたエコーデータをK空間データという。
【0022】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理系7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0023】
なお、図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生系2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。また、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。
【0024】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0025】
上記本発明に係るMRI装置には、撮像シーケンスとして、脂肪プロトンからのエコー信号を抑制する脂肪抑制撮像シーケンスが組み込まれており、CPU8は、操作者から入力された撮像条件に応じて、脂肪プロトンからのエコー信号を抑制するためのCHESSパルスの最適なフリップ角の計算等を行う。
【0026】
最初に、CHESSパルスを有する脂肪抑制撮像シーケンスを用いた脂肪抑制撮像法について、図2,3を用いて説明する。
【0027】
図2は、上記MRI装置において実施される脂肪抑制撮像法を実現する脂肪抑制撮像シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。この脂肪抑制撮像シーケンスは、CHESSパルスを用いた脂肪プロトンからのエコー信号を抑制するための脂肪抑制パルス部(第一のシーケンス部)と、脂肪組織からの信号が抑制された被検体画像を取得するためのエコー信号を計測する本撮像パルス部(第二のシーケンス部)を有して成る。それぞれ、RFパルス(RF)と、スライス傾斜磁場(Gs)と、位相エンコード傾斜磁場(Gp)と、読み出し傾斜磁場(Gr)と、がシーケンサ4により制御されて、シーケンスチャートに記載されたタイミングで印加され、その結果本撮像パルス部でエコー信号(echo)が受信系6により計測される。
【0028】
脂肪抑制パルス部は、撮像領域中の脂肪プロトンの磁化を消失させるためのパルスシーケンス部である。脂肪プロトンを選択的に励起するためのCHESSパルス201が、非スライス選択で、即ち、スライス傾斜磁場が印加されずに、印加される。そのCHESSパルスのフリップ角は、所定の角度(α°)とされる。また、このCHESSパルスによって励起された脂肪プロトンの横磁化を位相分散させるためのスポイラー傾斜磁場パルス204が、CHESSパルスの後に続く。
【0029】
尚、図2に示された脂肪抑制パルス部のスポイラー傾斜磁場パルス204は、Gr, Gs, 及びGpの3軸に印加されているが、少なくとも1軸に印加されればよい。マルチスライス撮像の場合は、CHESSパルスが非スライス選択で印加されるので、これら全てのスライスを含むようにCHESSパルスが印加されることになる。この様な脂肪抑制パルス部により、脂肪抑制パルス部の後において、即ち、本撮像パルス部の前において、撮像領域中の脂肪プロトンの磁化が消失される。
【0030】
本撮像パルス部は、被検体画像を取得するためのエコー信号を計測するためのパルスシーケンス部である。任意のパルスシーケンスが可能である。図2は本撮像シーケンスとして公知のスピンエコーシーケンスを用いた例を示す。このスピンエコーシーケンスでは、90°励起パルス202、180°再収束パルス203、スライス選択傾斜磁場205、206、読み出し傾斜磁場208、209、位相エンコード傾斜磁場210、が印加されてエコー信号211が計測される。また、エコー信号の計測後は、スポイラー傾斜磁場207が3軸に印加される。このような本撮像パルス部により、直前の脂肪抑制パルス部により脂肪プロトンの磁化が消失された状態で、被検体画像用のエコー信号が計測される。その結果、脂肪組織からの信号が抑制された、脂肪抑制画像を取得することが可能になる。
【0031】
図3は、図2に示す脂肪抑制撮像シーケンスの基本構成を、マルチスライス撮像に適用した場合のシーケンスチャートの一例を示す。シーケンサ4は、このシーケンスチャートに基づいてマルチスライス撮像を制御する。尚、図3では、RFパルスの系列のみ示している。他の傾斜磁場パルス系列及びエコー信号系列も図2に示した系列がスライス毎に繰り返される。マルチスライス撮像では、図2の脂肪抑制撮像シーケンスが、一繰り返し時間(TR)内でスライス枚数(ここではN枚)分繰り返されることにより、それぞれのスライス断面の脂肪抑制画像が撮像される。つまり、脂肪抑制パルス部とそれに続く本撮像パルス部とが、TR/N時間毎に繰り返され、各脂肪抑制パルス部では、所定のフリップ角α°のCEHSSパルスが非スライス選択で全スライスに同時に印加され、各本撮像パルス部では、各TR/N時間に一つのスライスのみ撮像されると共に、TR/N毎にスライスが変更される。このような脂肪抑制撮像シーケンスを用いたマルチスライス撮像により、スライス毎の脂肪抑制画像が取得される。
【0032】
(第一の実施形態)
次に、本発明のMRI装置及びMRI方法の第一の実施形態を説明する。本実施形態は、脂肪抑制撮像シーケンスを用いたスライス枚数1枚以上のマルチスライス撮像において、CHESSパルスのフリップ角を、一定とせずに、異ならせて印加する。これにより、ある程度のRFパルスの照射強度不均一があっても均質な脂肪抑制画像を取得できる。それ以外は、図3のルチスライス撮像と同一であるので、同一部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ、以下に図4に基づいて説明する。
【0033】
図4は、本実施形態の脂肪抑制撮像シーケンスを用いたスライス枚数1枚以上のマルチスライス撮像のシーケンスチャートを示す。シーケンサ4は、このシーケンスチャートに基づいて脂肪抑制撮像を制御する。尚、図4では、図3と同様に、RFパルスの系列のみを示している。各CHESSパルスは、図3と同様に、非スライス選択のRFパルスとなる。他の傾斜磁場パルス系列及びエコー信号系列も図2に示した系列がスライス毎に繰り返される。
【0034】
本実施形態の脂肪抑制撮像シーケンスでは、脂肪抑制撮像シーケンスの繰り返し毎に、複数のフリップ角が規則的に繰り返される。或いは複数のフリップ角がランダムに繰り返されても良い。例えば、図4に示すように、シーケンサ4は、脂肪抑制パルス部におけるCHESSパルスのフリップ角をCHESSパルスの印加毎に交互にα1、α2(α1≠α2)と変化するように制御する。つまり、一つのスライスの脂肪抑制撮像シーケンスで印加されるCHESSパルスのフリップ角がα1であり、次のスライスの脂肪抑制撮像シーケンスで印加されるCHESSパルスのフリップ角がα2であり、以降のスライスの脂肪抑制撮像シーケンスで印加されるCHESSパルスのフリップ角がα1、α2、α1、α2、...、というようにCHESSパルスのフリップ角が、スライス撮像シーケンス毎に交互に変えられる。或いは、3種類以上のフリップ角α1、α2、α3、・・・がスライス撮像シーケンス毎に規則的に或いはランダムに変更されても良い。或いは、脂肪抑制撮像シーケンスの繰り返し毎でなく、脂肪抑制撮像シーケンスの繰り返しの際に、規則的に又はランダムに、複数回CHESSパルスのフリップ角が変更されても良い。これにより、ある程度のRFパルス照射強度不均一があっても均質な脂肪抑制画像を取得することができる。その理由、及び、フリップ角α1、α2の決定方法については後述する。
【0035】
この結果、図4に示すように、CHESSパルスは非スライス選択なので、脂肪抑制撮像シーケンス毎に脂肪抑制パルス部のCHESSパルスが全スライス領域に印加される。スライス枚数が偶数の場合、偶数番目のスライス撮像だけで見ると、CHESSパルスのフリップ角はα1であり、奇数番目の撮像だけで見ると、CHESSパルスのフリップ角はα2である様に見えるが、すべてのスライスで、α1、α2のCHESSパルスが交互に印加される。
【0036】
次に、脂肪抑制撮像の処理ついて図5に基づいて説明する。
図5は、CHESS法を用いた脂肪抑制撮像シーケンスによる撮像において、TR(繰り返し時間)/N(スライス枚数)の値に対応してCHESSパルス制御を切り替えて、時間効率を低下させることなく、ある程度のRFパルスの照射強度不均一があっても均質な脂肪抑制画像を得るための処理フローである。本実施形態は、T1強調画像を取得する場合の様にTR/Nが小さくなる場合に好適であることから、TR/Nの値が所定の閾値より小さい場合にCHESSパルス制御を本実施形態の方法にする。この処理フローの各ステップは、プログラムとして予め磁気ディスク18に記憶されており、必要に応じてCPU8に読み込まれて実行される。以下、各処理ステップの詳細を説明する。
【0037】
ステップ501で、操作者が、CHESS法を用いた脂肪抑制撮像シーケンスを選択し、必要な撮像パラメータを設定する。例えば、ディスプレイ20上に表示されたメニューで、操作者が操作部25を介してCHESS法を用いた脂肪抑制撮像シーケンスを選択し、合わせてそのパルスシーケンスに必要な、繰り返し時間(TR)や、スライス枚数(N)などの撮像パラメータを設定する。
【0038】
ステップ502で、CPU8は、操作者により設定された撮像パラメータが本実施形態の脂肪抑制撮像シーケンスの実施に適合するか否かをチェックする。例えば、TR/Nが、判定基準とする所定時間より短いかどうかをチェックする。所定時間の目安としては100ms又はその前後の値(例えば80〜120ms)がよい。短い場合は、ステップ504に進み、長い場合はステップ503に進む。
【0039】
ステップ503で、TR/Nが、所定時間より長い場合は、CPU8は、同一フリップ角のCHESSパルス制御を実行するプログラムを磁気ディスク18から読み込んで実行する。このCHESSパルス制御を実行するプログラムに基づいて、CPU8は、CHESSパルスのフリップ角をαに設定し、このフリップ角αからCHESSパルスの出力振幅を決定する。そして、ステップ505に移行する。
【0040】
ステップ504で、TR/Nが、所定時間より短い場合に、CPU8は、本実施形態のCHESSパルス制御を実行するプログラムを磁気ディスク18から読み込んで実行する。本実施形態のCHESSパルス制御を実行するプログラムに基づいて、CPU8は、操作者から入力されたTR(繰り返し時間)、N(スライス枚数)と、既知の脂肪のT1値(1.5Tの場合、約200ms)を入力値として、後述する(3)式より、M(2)を最小化するCHESSパルスのフリップ角α1、α2を算出する。そして、CPU8は、これらのα1、α2からCHESSパルスの出力振幅を決定する。そして、ステップ505に移行する。
【0041】
ステップ505で、操作者が脂肪抑制撮像シーケンスの起動を指示すると、決定されたCHESSパルスの出力振幅に基づいて、シーケンサ4は、同一フリップ角又は本実施形態によるCHESSパルス制御の下に、脂肪抑制撮像シーケンスを用いたマルチスライス撮像を実行し、スライス毎にエコー信号を計測する。つまり、同一フリップ角のCHESSパルス制御であれば、CHESSパルスの出力振幅つまりフリップ角をスライスによらず一定にして、図3に示す脂肪抑制撮像シーケンスが実行される。或いは、本実施形態のCHESSパルス制御であれば、CHESSパルスのフリップ角をα1、α2とスライス撮像毎に交互に変化させる図4に示す脂肪抑制撮像シーケンスが実行される。計測されたエコー信号を用いて、CPU8は画像再構成処理を行い、被検体の脂肪抑制画像をスライス毎に取得する。
【0042】
以上までが、CHESS法を用いた脂肪抑制撮像シーケンスによる脂肪抑制撮像の処理である。これにより、時間効率を低下させることなく、ある程度のRFパルスの照射強度不均一があっても安定して均質な脂肪抑制画像が得られる。また、マルチスライス撮像においては、CHESSパルスは TR/Nの短い繰り返し時間(短いの目安は TR/N < (脂肪のT1/2))で印加されるが、この様な場合にも、RFパルスの照射強度不均一によらずに安定して均質な脂肪抑制画像が得られる。
【0043】
次に、この本実施形態のCHESSパルスのフリップ角α1、α2の決定方法について説明する。
ブロッホの方程式によれば、縦磁化MzはRFパルスによる励起で平衡状態から乱された場合、ある時定数(T1緩和時間)によって緩和する。ここで、図4に示す様に、CHESSパルス401(フリップ角α1)の印加から本撮像の90°励起パルスまでの時間をτ1、CHESSパルス間の時間をτ2(=TR/N)、CHESSパルスにより励起される脂肪プロトンのT1緩和時間をT1とすると、CHESSパルス401(フリップ角α1)と402(フリップ角α2)の印加後の本撮像パルス部における90°励起パルス直前の脂肪プロトンの縦磁化Mz(2)は以下のようにして計算できる。
【0044】
まず、CHESSパルス401(フリップ角α1)印加直後の本撮像パルス部における90°パルス直前の脂肪プロトンの縦磁化Mz(1)は、式(1)で表される。

ここで、M(0)は初期磁化であり、式(2)で表される。

τ2はCHESSパルス部間の時間間隔であり、TR/Nである。
【0045】
この後のCHESSパルス402印加直後の本撮像パルス部における90°パルス直前の脂肪プロトンの縦磁化Mz(2)は式(3)で表すことができる。

尚、本撮像パルス部における90°パルス及び180°パルスはスライス選択パルスであり、あるスライスに着目すれば、CHESSパルスの印加間隔(=TR/N)に比べて長い間隔(=TR)で印加されるため、ここではその作用を無視する。
【0046】
各CHESSパルスα1、α2の組み合わせに対するM(2)の分布の1例を図6に示す。これは、脂肪のT1 = 200 ms、TR/N = 100 msで計算した例である。
【0047】
図6(a)に示す例は、同一フリップ角α1=α2=90°の制御の場合であり、図6(a)に示す丸印の点の値がM(2)の状態で10%(縦磁化の初期値に対する割合)と高い値となる。また、RFパルスの照射強度不均一があった場合、各CHESSパルスα1、α2にバラツキが生じる。RFパルスの照射強度に±50%の変動があった場合のM(2)の変動軌跡は図の矢印で示すようになる。図6(a)より、変動軌跡の多くが、M(2)値が10〜15%と高い領域に含まれることが理解される。つまり、同一フリップ角の場合では、RFパルスの照射強度不均一があった場合、10〜15%と高い信号強度で、脂肪の信号が残ることを意味する。
【0048】
これに対して、図6(b)に示す本実施形態は、M(2)が最小となる2つのフリップ角(FA)構成、つまり、α1=FA1、α2=FA2、または、α1=FA2、α2=FA1とする(例えば、FA1=70度、FA2=110度)。図6(b)の矢印は、±50%のRFパルスの照射強度不均一があった場合のM(2)の変動軌跡を示す。CHESSパルスは、一定間隔でα1→α2、α2→α1の遷移を繰り返すため、CHESSパルス印加毎に縦磁化は太矢印で示す2点間を交互に状態遷移する。図6(b)より、矢印領域の多くが、M(2)の値が小さい領域に含まれており、本実施形態のCHESSパルス制御は、RFパルスの照射強度不均一があった場合でもM(2)を小さくできることが理解される。
【0049】
また、図7は、±100%のRFパルスの照射強度不均一に対する脂肪プロトンの残留縦磁化M(2)のプロファイルを示している。図7より、本実施形態のCHESSパルス制御は、±15%のRFパルスの照射磁場不均一に対して、M(2)を0.05未満に抑制できることが理解される。
【0050】
上記の説明で明らかなように、本実施形態のCHESSパルス制御は、CHESSパルスα1で励起した磁化が回復しきる前(M(0)≠1)にCHESSパルスα2を印加し、その結果、CHESSパルスα1とCHESSパルスα2の複合的な作用として、RFパルスの広い照射強度範囲で脂肪信号の抑制を安定に行うことができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、スライス枚数1枚以上のマルチスライス撮像において、CHESSパルスのフリップ角を変更することにより、即ち、繰り返し実行されるCHESSパルスのフリップ角を変化させることにより、たとえRFパルスの照射強度不均一があってもその照射強度不均一に影響されることなく、脂肪プロトンの縦磁化を安定して抑制できる。その結果、RFパルスの照射強度不均一の影響を低減して安定して均質な脂肪抑制画像を取得することが可能となる。
【0052】
特にマルチスライス撮像においては、短い繰り返し時間 TR/N (<(脂肪のT1/2))でCHESSパルスが印加されることになるが、その様な場合でも、脂肪プロトンが定常状態に到達することを抑制して、安定して均一に脂肪信号を抑制できる。
【0053】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。本実施形態は、セグメント計測においてCHESSパルスのフリップ角を異ならせる。即ち、本実施形態は、K空間を複数のセグメントに分割して、本撮像パルス部は複数のセグメントに属するエコー信号をそれぞれ計測し、脂肪抑制パルス部は異なるフリップ角のCHESSパルスを印加する。以下、前述の第一の実施形態と異なる点のみ説明し、同一部分の説明は省略して、図8を用いて本実施形態を説明する。
【0054】
図8は、本実施形態のセグメント計測におけるCHESSパルスのフリップ角制御について示す。
【0055】
図8(a)は、K空間を位相エンコード方向(ky方向)にN(=3)個のセグメントに分割する例を示している。そして、K空間原点を含む中央部(つまり、K空間ky方向の低域)をセグメント1(Seg#1)、両端の2つの領域(つまり、K空間ky方向の高域)をそれぞれセグメント2(Seg#2)、セグメント3(Seg#3)とする。また、各セグメントでは、計測されたエコー信号(Seg#1-1, Seg#1-2, ・・・, Seg#2-1, ・・・ , Seg#3-1・・・)が、それぞれky方向+側から−側に向けて充填されていくことを示している。尚、本実施形態は、3つのセグメント分割に限られず、2つ又は4つ以上のセグメント分割にも適用することができる。また、分割方向は、位相エンコード方向(ky方向)に限らず、3D撮像においてはスライスエンコード方向(kz方向)にも分割しても良い。
【0056】
図8(b)は、本実施形態の脂肪抑制撮像シーケンスのシーケンスチャートを示す。シーケンサ4はこのシーケンスチャートに基づいて、本実施形態の脂肪抑制撮像を制御する。なお、このシーケンスチャートは、エコー信号のみを示しており、本撮像パルス部における各RFパルス及び各傾斜磁場パルスの表示は省略してある。本実施形態においては、脂肪抑制パルス部は、前述の第一の実施形態と同様であり、本撮像パルス部のパルスシーケンスは、いずれでも良いためである。尚、本実施形態では、K空間をセグメント計測することから、高速なパルスシーケンスが好適であり、例えば、短TRの2D/3Dグラディエントエコーシーケンスが好例である。図8(b)では、本撮像パルス部のパルスシーケンスとして、グラディエントエコーシーケンスを用いることを前提としている。
【0057】
本実施形態の本撮像パルス部では、図8(b)に示すように、セグメント毎にエコー信号が計測されると共に、脂肪抑制撮像シーケンス毎に異なるエコー信号が計測される。具体的には、最初の第一本撮像パルス部では、Seg#1の第一エコー信号Seg#1-1と、Seg#2の第一エコー信号Seg#2-1と、Seg#3の第一エコー信号Seg#3-1と、が計測される。次の第二本撮像パルス部では、Seg#1の第二エコー信号Seg#1-2と、Seg#2の第二エコー信号Seg#2-2と、Seg#3の第二エコー信号Seg#3-2と、が計測される。次の第三本撮像パルス部では、Seg#1の第三エコー信号Seg#1-3と、Seg#2の第三エコー信号Seg#2-3と、Seg#3の第三エコー信号Seg#3-3と、が計測される。以下、同様である。
【0058】
このように、各本撮像パルス部では各セグメントに属するエコー信号がky方向+側から−側に向けてそれぞれ計測され、本撮像パルス部間では計測されるエコー信号がセグメント毎に変えられて、セグメント計測が実行される。つまり、セグメント数をNとすると、各本撮像パルス部では、セグメント毎に1つ又は2つ以上のエコー信号が計測されると共に、合計N個又はそれ以上のエコー信号が計測され、本撮像パルス部の撮像時間は、グラディエントエコーシーケンスの繰り返し時間をTRとすると、TR*N又はそれ以上となる。
【0059】
このような本撮像パルス部が脂肪抑制パルス部と共に繰り返される。そして、脂肪抑制パルスで印加されるCHESSパルスのフリップ角がα1→α2→α1→α2→・・・というように、α1とα2のフリップ角が交互に繰り返される。或いは、3以上のフリップ角が規則的に又はランダムに繰り返されても良い。これにより、時間効率を低下させることなく、ある程度のRFパルスの照射強度不均一があっても安定して均質な脂肪抑制画像が得られる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一フリップ角のCHESSパルス制御でセグメント分割を併用した脂肪抑制計測と比較して、CHESSパルスのフリップ角を異ならせたセグメント計測により、RFパルスの照射強度不均一があってもRFパルスの照射強度不均一に影響されることなく、安定して均一な脂肪抑制画像を取得することができる。
【0061】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本実施例ではCHESSパルスで対象とする核種として脂肪プロトンとして説明したが、ケミカルシフトイメージング時には水分子中の水素プロトンであっても良い。また、CHESSパルスのフリップ角を交互に変更する例を説明したが、3つ以上の異なるフリップ角の間で規則的又はランダムに変更しても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 被検体、2 静磁場発生系、3 傾斜磁場発生系、4 シーケンサ、5 送信系、6 受信系、7 信号処理系、8 中央処理装置(CPU)、9 傾斜磁場コイル、10 傾斜磁場電源、11 高周波発信器、12 変調器、13 高周波増幅器、14a 高周波コイル(送信コイル)、14b 高周波コイル(受信コイル)、15 信号増幅器、16 直交位相検波器、17 A/D変換器、18 磁気ディスク、19 光ディスク、20 ディスプレイ、23 トラックボール又はマウス、24 キーボード、51 ガントリ、52 テーブル、53 筐体、54 処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像シーケンスを繰り返して被検体から画像再構成に必要なエコー信号を計測する計測制御手段を備え、
前記撮像シーケンスは、CHESSパルスを印加して前記被検体の所望の成分からの信号を抑制する第一のシーケンス部と、前記エコー信号を計測する第二のシーケンス部と、を有する、磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測制御手段は、前記撮像シーケンスの繰り返しにおいて、前記CHESSパルスのフリップ角を複数回変更することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、前記撮像シーケンスの繰り返し毎に、複数のフリップ角を規則的に繰り返すことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、前記CHESSパルスを非スライス選択で印加することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、前記撮像シーケンスの繰り返し毎に、2つのフリップ角を交互に繰り返すことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項4記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記2つのフリップ角は、70度と110度であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、マルチスライス撮像において、スライス毎に前記撮像シーケンスを実行することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、前記撮像シーケンスの1スライス当たりの実行時間が所定の閾値より小さい場合に、前記CHESSパルスのフリップ角変更を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、k空間を複数のセグメントに分割して、前記第二のシーケンス部で複数のセグメントに属するエコー信号を計測することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項8に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記計測制御手段は、前記第二のシーケンス部で、前記セグメント毎にエコー信号を計測するとともに、前記撮像シーケンス毎に異なるエコー信号を計測することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
CHESSパルスを印加して被検体の所望の成分からの信号を抑制する第一のシーケンス部を実行する第一の工程と、
前記被検体からエコー信号を計測する第二のシーケンス部を実行する第二の工程と、
とからなる撮像シーケンスを繰り返して、前記被検体の画像再構成に必要なエコー信号を計測し、該エコー信号を用いて前記被検体の画像を再構成する磁気共鳴イメージング方法であって、
前記第一の工程では、前記撮像シーケンスの繰り返しにおいて、前記CHESSパルスのフリップ角が複数回変更されることを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。
【請求項11】
請求項10記載の磁気共鳴イメージング方法において、
前記第一の工程では、前記撮像シーケンスの繰り返し毎に、複数のフリップ角が循環的に繰り返されることを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。
【請求項12】
請求項10記載の磁気共鳴イメージング方法において、
前記第二の工程では、k空間を複数のセグメントに分割して、複数のセグメントに属するエコー信号が計測されることを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31709(P2013−31709A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−243258(P2012−243258)
【出願日】平成24年11月5日(2012.11.5)
【分割の表示】特願2009−521591(P2009−521591)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】