説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】スポイラー用傾斜磁場の強度を大幅に上昇させることなく、FIDアーチファクトの少ない画像を取得する。
【解決手段】実施の形態の磁気共鳴イメージング装置では、RFパルス印加部が、被検体内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとを被検体に印加する。また、傾斜磁場印加部が、フロップパルスの印加後に被検体にスポイラー用傾斜磁場を印加し、フロップパルスの印加前にリワインド用傾斜磁場を印加する。また、制御部が、3次元高速スピンエコー法による撮像を行う場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング装置による撮像法として、スピンエコー系のパルスシーケンスを用いた撮像法がある。スピンエコー系のパルスシーケンスでは、被検体内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとが、それぞれ被検体に印加される。
【0003】
かかるスピンエコー系のシーケンスでは、フリップパルスで励起されていない領域がリフォーカス用のフロップパルスで励起された場合に、フロップパルスにより発生するFID(Free Induction Decay:自由誘導減衰)信号によってアーチファクトが生じることが知られている。このアーチファクトは、FIDアーチファクトと呼ばれる。
【0004】
一般的に、スピンエコー系のシーケンスでは、このFIDアーチファクトを低減させるために、リフォーカス用のフロップパルスの後に、フロップパルスにより発生するFID信号を無信号化するためのスポイラー用傾斜磁場が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−161662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、FIDアーチファクトを除去するためには、強度の高いスポイラー用傾斜磁場が必要であった。スポイラー用傾斜磁場の強度が高くなると、エコースペースの短縮が困難になるなどの課題が生じる。そのため、スポイラー用傾斜磁場の強度を大幅に上昇させることなく、FIDアーチファクトの少ない画像を取得することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態の磁気共鳴イメージング装置は、RFパルス印加部と、傾斜磁場印加部と、制御部と、画像再構成部とを備える。RFパルス印加部は、被検体内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、前記スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとを被検体に印加する。傾斜磁場印加部は、前記フロップパルスの印加後に前記被検体にスポイラー用傾斜磁場を印加し、前記フロップパルスの印加前にリワインド用傾斜磁場を印加する。制御部は、3次元高速スピンエコー法による撮像を行う場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについて前記スポイラー用傾斜磁場及び前記リワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように前記傾斜磁場印加手段を制御するパルスシーケンスを実行する。画像再構成部は、前記パルスシーケンスを実行することにより収集された磁気共鳴データから画像を再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1に係るMRI装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、従来のFSE3D法により撮像された画像の一例を示す図(1)である。
【図3】図3は、従来のFSE3D法により撮像された画像の一例を示す図(2)である。
【図4】図4は、図3に示した画像に関する生データのうちの異なるスライスエンコードに対応する生データを示す図(1)である。
【図5】図5は、図3に示した画像に関する生データのうちの異なるスライスエンコードに対応する生データを示す図(2)である。
【図6】図6は、従来のFSE3D法で用いられるパルスシーケンスの一例を示す図である。
【図7】図7は、従来のFSE3D法におけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御の一例を示す図である。
【図8】図8は、実施例1に係るハイブリッドスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図である。
【図9】図9は、実施例1に係るハイブリッドスポイル法により撮像された画像の一例を示す図(1)である。
【図10】図10は、実施例1に係るハイブリッドスポイル法により撮像された画像の一例を示す図(2)である。
【図11】図11は、実施例1に係るMRI装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施例2におけるMRI装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、他の実施形態に係るパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図(1)である。
【図14】図14は、他の実施形態に係るパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図(2)である。
【図15】図15は、他の実施形態に係るパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下に、図面に基づいて、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、磁気共鳴イメージング装置をMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と呼ぶ。
【0010】
図1は、実施例1に係るMRI装置の構成を示す図である。図1に示すように、このMRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、送信RFコイル6、送信部7、受信RFコイル8、受信部9、シーケンス制御部10及び計算機システム20を備える。
【0011】
静磁場磁石1は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0012】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1の内側に配置される。この傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、後述する傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。
【0013】
ここで、傾斜磁場コイル2によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用の傾斜磁場Gs、位相エンコード用の傾斜磁場Ge及びリードアウト用の傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0014】
寝台4は、被検体Pが載置される天板4aを備え、後述する寝台制御部5による制御のもと、被検体Pが載置された状態で天板4aを傾斜磁場コイル2の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、この寝台4は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部5は、制御部26による制御のもと、寝台4を制御する装置であり、寝台4を駆動して、天板4aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0015】
送信RFコイル6は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、送信部7から高周波パルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。送信部7は、ラーモア周波数に対応する高周波パルスを送信RFコイル6に送信する。受信RFコイル8は、傾斜磁場コイル2の内側に配置され、上記の高周波磁場の影響によって被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。この受信RFコイル8は、磁気共鳴信号を受信すると、その磁気共鳴信号を受信部9へ出力する。
【0016】
受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号に基づいて生データ(磁気共鳴データ)を生成する。この受信部9は、受信RFコイル8から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって生データを生成する。この生データには、前述したスライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge及びリードアウト用傾斜磁場Grによって、位相エンコード(Phase Encode:PE)方向、リードアウト(Read Out:RO)方向、スライスエンコード(Slice Encode:SE)方向の空間周波数の情報が対応付けられてk空間に配置される。そして、生データを生成すると、受信部9は、その生データをシーケンス制御部10へ送信する。
【0017】
シーケンス制御部10は、計算機システム20から送信されるシーケンス実行データに基づいて、傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、被検体Pのスキャンを実行する。ここで、シーケンス実行データとは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部7が送信RFコイル6に送信するRF信号の強さやRF信号を送信するタイミング、受信部9が磁気共鳴信号を検出するタイミングなど、被検体Pのスキャンを実行するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。
【0018】
なお、シーケンス制御部10は、シーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動した結果、受信部9から生データが送信されると、その生データを計算機システム20へ転送する。
【0019】
計算機システム20は、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、計算機システム20は、MRI装置100が有する各部を駆動することで、被検体Pのスキャンや画像再構成などを行う。この計算機システム20は、インタフェース部21、画像再構成部22、記憶部23、入力部24、表示部25及び制御部26を有する。
【0020】
インタフェース部21は、シーケンス制御部10との間で授受される各種信号の入出力を制御する。例えば、このインタフェース部21は、シーケンス制御部10に対してシーケンス実行データを送信し、シーケンス制御部10から生データを受信する。生データを受信すると、インタフェース部21は、各生データを被検体Pごとに記憶部23に格納する。
【0021】
画像再構成部22は、記憶部23によって記憶された生データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことによって、被検体P内における所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを生成する。記憶部23は、インタフェース部21によって受信された生データと、画像再構成部22によって生成されたスペクトラムデータや画像データなどを、被検体Pごとに記憶する。
【0022】
入力部24は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。この入力部24としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。表示部25は、制御部26による制御のもと、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を表示する。この表示部25としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0023】
制御部26は、図示していないCPUやメモリ等を有し、MRI装置100の全体制御を行う。この制御部26は、例えば、入力部24を介して操作者から入力される撮像条件に基づいて各種のシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信することによってスキャンを制御する。また、制御部26は、スキャンの結果としてシーケンス制御部10から生データが送られた場合に、その生データに基づいて画像を再構成するよう画像再構成部22を制御する。
【0024】
以上、実施例1に係るMRI装置100の構成について説明した。このような構成のもと、MRI装置100では、3次元画像を撮像する高速スピンエコー系のパルスシーケンスを用いた3次元高速スピンエコー(Fast Spin Echo 3D:FSE3D)法による撮像を行う場合に、スポイラー用傾斜磁場の強度を大幅に上昇させることなく、FIDアーチファクトの少ない画像を取得することができるようにしている。
【0025】
従来、スピンエコー系のシーケンスでは、フリップパルスの励起を受けていない領域がフロップパルスの励起を受けた場合に、FIDアーチファクトが生じることが知られている。特に、選択領域が厚い3Dシーケンスの場合は、FIDアーチファクトが顕著に発生する。また、FIDアーチファクトは、磁場不均一性によって生じ、RFパルスの送信ムラが生じやすい高磁場MRI(例えば、3T(テスラ)の磁場を用いたMRI)で顕著に現れる。
【0026】
このように、3Dシーケンスや高磁場MRIにおいてFIDアーチファクトが顕著に現れることから、FIDアーチファクトを除去するためには、強度の強いスポイラー用傾斜磁場が必要になる。しかし、強度の強いスポイラー用磁場を用いると、スライス方向の分解能が制限されたり、エコースペースを短縮することができなくなったりしてしまう。このことから、強度の強いスポイラー用傾斜磁場を印加することなく、FIDアーチファクトを低減することが望まれていた。
【0027】
また、FSE3D法では、スライスエンコード方向に複数回のスライスエンコードが実行される。そして、各スライスエンコードでは、被検体に対して、被検体内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルス(90度パルス)が印加され、その後、スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルス(180度パルス)が複数回印加される。また、フロップパルスの印加後には、フロップパルスにより発生するFID信号を無信号化するためのスポイラー用傾斜磁場が印加される。さらに、フロップパルスの印加前には、スライスエンコード用の傾斜磁場によるスライスエンコードをキャンセルするためのリワインド用傾斜磁場が印加される。
【0028】
かかるFSE3D法には、例えば、コンスタントフロップスポイル法及びバリアブルフロップスポイル法がある。コンスタントフロップスポイル法は、スライスエンコード量に関わらずスポイラー用傾斜磁場の強度を一定にする方法である。また、バリアブルフロップスポイル法は、スライスエンコード量に連動してスポイラー用傾斜磁場の強度を変動させる方法である。なお、スポイラー用傾斜磁場の強度をゼロにする方法はノースポイル法と呼ばれる。
【0029】
図2及び3は、従来のFSE3D法により撮像された画像の一例を示す図である。図2及び3は、いずれもコンスタントフロップスポイル法により撮像された角ファントムの画像であり、図3は、フリップパルスを印加せずに撮像した場合の画像を示している。図2に示すように、コンスタントフロップスポイル法により撮像された画像には、FIDアーチファクトAが生じる場合がある。また、図3に示すように、フリップパルスを印加せずに撮像した画像では、FIDアーチファクトAのみが描出される。図2に示す画像には、図3の画像に対応するFIDアーチファクトAが生じる。なお、バリアブルフロップスポイル法により撮像された画像にも同様にFIDアーチファクトが生じる場合がある。
【0030】
図4及び5は、図3に示した画像に関する生データのうちの異なるスライスエンコードに対応する生データを示す図である。図4及び5に示す生データは、コンスタントフロップスポイラー法により収集されたものである。つまり、図4に示す生データと図5に示す生データとでは、収集時に印加されたスポイラー用傾斜磁場の強度は同じであるが、リワインド用傾斜磁場の強度が異なっている。
【0031】
具体的には、図4に示す生データは、リワインド用傾斜磁場をゼロとしたスライスエンコードのものであり、アーチファクトAが生じている。また、図5に示す生データは、リワインド用傾斜磁場を所定の強度として収集されたものである。つまり、FIDアーチファクトが生じるか否かは、スポイラー用傾斜磁場の強度だけではなく、リワインド用傾斜磁場の強度にも依存する。
【0032】
図6は、従来のFSE3D法で用いられるパルスシーケンスの一例を示す図である。図6は、あるスライスエンコードに対応するパルスシーケンスを示している。図6に示すパルスシーケンスでは、最初のフロップパルスflo1以降のパルスシーケンスを示している。なお、図6では、簡便化のため、最初に印加されるフリップパルス、リードアウト用の傾斜磁場、位相エンコード用の傾斜磁場、スライス選択用の傾斜磁場については図示を省略している。
【0033】
図6に示すように、あるスライスエンコードに対応するパルスシーケンスにおいて、スライスエンコード方向にスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場が印加される。ここで、最初のフロップパルスflo1に対するスポイラー用傾斜磁場の強度をGss1、リワインド用傾斜磁場の強度をGsr1とする。また、i番目のフロップパルスfloiに対するスポイラー用傾斜磁場の強度をGssi、リワインド用傾斜磁場の強度をGsriとすると、Gssi=Gss1,Gsri=Gsr1である。また、i番目のエコー時刻(エコー中心)での傾斜磁場のディフェーズ量をGsdiとすると、位相エンコード用傾斜磁場の印加時間は1として省略した場合に、Gsd1=Gss1である。
【0034】
そして、FIDアーチファクトの成分がフロップパルスによって反転されると考えた場合には、Gsd2=−(Gss1+Gsr1)+Gss1=−Gsr1,Gsd3=Gss1となる。すなわち、ディフェーズ量は、図6に示すように、Gss1,−Gsr1,Gss1,−Gsr1・・・と繰り返される。このことから、Gss1又はGsr1がゼロになった場合に、FIDアーチファクトがリフェーズされて、強い強度を持つことになる。
【0035】
例えば、2Dシーケンスのように、Gss1=Gsr1である場合には、ディフェーズ量はGss1,−Gss1,Gss1,−Gss1・・・と繰り返されるので、FIDアーチファクトはスポイラー用傾斜磁場の強度にのみ依存することになる。しかし、3Dシーケンスでは、一般的にGss1とGsr1は異なる。したがって、3Dシーケンスでは、Gss1及びGsr1は、それぞれ所定値以上の強度を持つことが望ましい。ここで、所定値は、ゼロでない値である。
【0036】
図7は、従来のFSE3D法におけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御の一例を示す図である。図7における縦軸は傾斜磁場の強度を示しており、横軸はスライスエンコードを示している。なお、図7において、縦軸に示す傾斜磁場強度は、スポイラー用傾斜磁場の強度をゼロとした場合のスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度を基準にし、そのスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度に対する割合(%)で示している。ここで、スライスエンコード用傾斜磁場の最大強度は、撮像に際して設定される撮像条件に応じて決められる。
【0037】
図7において、最も細い実線(NoSpoil)は、ノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の強度を示しており、最も細い点線(NoRewind)は、ノースポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度を示している。また、2番目に細い実線(VspSp)は、バリアブルフロップスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場の強度を示しており、2番目に細い点線(VspRew)は、バリアブルフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度を示している。また、最も太い実線(CspSp)は、コンスタントフロップスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場の強度を示しており、最も太い点線(CspRew)は、コンスタントフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度を示している。
【0038】
なお、図7に示す例では、バリアブルフロップスポイル法及びコンスタントフロップスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場の最大強度は、例えば、ノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度の160%としている。
【0039】
図7に示すように、バリアブルフロップスポイル法では、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度がそれぞれ一度ゼロになる。また、コンスタントフロップスポイル法では、リワインド用傾斜磁場の強度が2度ゼロになる。
【0040】
ここで、バリアブルフロップスポイル法あるいはコンスタントフロップスポイル法において、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度がともにゼロにならないようにするためには、スポイラー用傾斜磁場の最大強度がノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度の200%以上にする必要がある。
【0041】
しかし、前述したように、スポイラー用傾斜磁場の強度を高くすることは、スライス方向の分解能の制限を受けたり、エコースペースを短縮できないというパルスシーケンスの制約になったりする。これらの事象を回避するため、実施例1に係るMRI装置100では、制御部26が、FSE3D法による撮像を行う場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度をそれぞれ所定値以上に保持するように傾斜磁場コイル2を制御する。
【0042】
例えば、制御部26は、ノースポイル法とコンスタントフロップスポイル法とを組み合わせたハイブリッドスポイル法により被検体Pのスキャンを行うことで、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度をそれぞれ所定値以上に保持する。具体的には、制御部26が、ハイブリッドスポイル法によるスキャンの手順を定義したシーケンス実行データを生成し、そのシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信することで、ハイブリッドスポイル法によるスキャンを実行させる。
【0043】
図8は、実施例1に係るハイブリッドスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図である。図8は、図6に示したノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の強度(NoSpoil)及びリワインド用傾斜磁場の強度(NoRewind)、コンスタントフロップスポイル法におけるスポイラー用傾斜磁場の強度(CspSp)及びコンスタントフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度(CspRew)の一部を示している。
【0044】
図8に示すように、制御部26は、FSE3D法による撮像を行う場合に、ノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の強度(NoSpoil)とコンスタントフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度(CspRew)とが一致するスライスエンコードにおいて、ノースポイル法のパルスシーケンスとコンスタントフロップスポイル法のパルスシーケンスとが切り換えられるように、シーケンス実行データを生成する。
【0045】
そして、制御部26は、生成したハイブリッドスポイル法のシーケンス実行データをシーケンス制御部10に送信する。このシーケンス実行データを受信したシーケンス制御部10は、シーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動する。これにより、送信RFコイル6が、被検体P内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとを被検体Pに印加する。また、傾斜磁場コイル2が、フロップパルスの印加後に被検体Pにスポイラー用傾斜磁場を印加し、フロップパルスの印加前にリワインド用傾斜磁場を印加する。このとき、傾斜磁場コイル2は、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように制御される。
【0046】
すなわち、図8に示すように、ノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の強度(NoSpoil)とコンスタントフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度(CspRew)が一致するスライスエンコードまではノースポイル法によるスキャンが行われ、その後は、コンスタントフロップスポイル法によるスキャンが行われる。その後、ノースポイル法におけるスライスエンコード用傾斜磁場の強度(NoSpoil)とコンスタントフロップスポイル法におけるリワインド用傾斜磁場の強度(CspRew)が再び一致するスライスエンコードまではコンスタントフロップスポイル法によるスキャンが行われ、その後は、ノースポイル法によるスキャンが行われる。
【0047】
これにより、どの位置のスライスエンコードにおいても、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度がともに所定値以上を維持することが可能になる。
【0048】
図9及び10は、実施例1に係るハイブリッドスポイル法により撮像された画像の一例を示す図である。図9及び10は、いずれも実施例1に係るハイブリッドスポイル法により撮像された角ファントムの画像であり、図9は、フリップパルスを印加せずに撮像した場合の画像を示している。図9に示すように、実施例1に係るハイブリッドスポイル法により撮像された画像では、図2及び3に示した画像に描出されていたFIDアーチファクトAが除去される。
【0049】
なお、制御部26は、FSE3D法による撮像において、スポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の最大強度がスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度の200%未満である場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように傾斜磁場コイル2を制御するパルスシーケンスを実行するようにしてもよい。
【0050】
次に、実施例1に係るMRI装置100の動作手順について説明する。図11は、実施例1に係るMRI装置100の動作手順を示すフローチャートである。
【0051】
図11に示すように、実施例1に係るMRI装置100では、制御部26が、操作者からFSE3D法によるスキャンの開始指示を受け付けた場合に(ステップS101,Yes)、ノースポイル法とコンスタントフロップスポイル法とを組み合わせたハイブリッドスポイル法のシーケンス実行データを生成する(ステップS102)。
【0052】
続いて、シーケンス制御部10が、制御部26によって生成されたシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、データ収集を実施する(ステップS103)。
【0053】
その後、画像再構成部22が、収集された生データから画像を再構成する(ステップS104)。そして、制御部26が、画像再構成部22によって再構成された画像を表示部25に表示させる(ステップS105)。
【0054】
上述したように、実施例1では、送信RFコイル6が、被検体P内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとを被検体Pに印加する。また、傾斜磁場コイル2が、フロップパルスの印加後に被検体Pにスポイラー用傾斜磁場を印加し、フロップパルスの印加前にリワインド用傾斜磁場を印加する。また、制御部26が、FSE3D法による撮像を行う場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように傾斜磁場コイル2を制御するパルスシーケンスを実行する。そして、画像再構成部22が、パルスシーケンスを実行することにより収集された生データから画像を再構成する。したがって、実施例1によれば、スポイラー傾斜磁場の強度を大幅に上昇させることなく、FIDアーチファクトの少ない画像を取得することができる。また、スポイラー傾斜磁場の強度を大幅に上昇させる必要がないので、エコースペースを短縮することができる。また、エコースペースを変えない場合には、より薄いスライス厚の画像を取得することができる。
【0055】
また、実施例1では、制御部26が、スポイラー用傾斜磁場の強度をゼロにした場合のスライスエンコード用傾斜磁場の強度とスポイラー用傾斜磁場の強度を一定にした場合のリワインド用傾斜磁場の強度とが一致するスライスエンコードにおいてノースポイル法とコンスタントフロップスポイラー法とを切り換えるスキャンを実行することで、スポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持する。したがって、実施例1によれば、既存の撮像法を利用して、FIDアーチファクトの少ない画像を容易に取得することができる。
【実施例2】
【0056】
実施例2では、MRI装置が、フリップパルスを印加せずに磁気共鳴データを収集するプレスキャンを実行し、実施例1で説明したハイブリッドスポイル法により収集された生データからプレスキャンにより収集された生データを差し引くことで、FIDアーチファクトをより低減させる場合について説明する。
【0057】
なお、実施例2に係るMRI装置の構成は、図1に示したものと同じであるので、ここでは実施例2におけるMRI装置の動作手順について説明する。図12は、実施例2におけるMRI装置100の動作手順を示すフローチャートである。
【0058】
図12に示すように、実施例2におけるMRI装置100では、制御部26が、操作者からプレスキャンの開始指示を受け付けた場合に(ステップS201,Yes)、FSE3D法のパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の強度が最小となるスライスエンコードのデータをフリップパルスを印加せずに収集するためのシーケンス実行データを生成する(ステップS202)。
【0059】
続いて、シーケンス制御部10が、制御部26によって生成されたシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、データ収集を実施する(ステップS203)。
【0060】
このように、スポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の強度が最小となるスライスエンコードの生データをフリップパルスを印加せずに収集することで、フロップパルスにより発生したFID信号の成分を最も多く含む生データが収集される。
【0061】
その後、制御部26は、操作者からFSE3D法によるスキャンの開始指示を受け付けた場合に(ステップS204,Yes)、ノースポイル法とコンスタントフロップスポイル法とを組み合わせたハイブリッドスポイル法のシーケンス実行データを生成する(ステップS205)。
【0062】
続いて、シーケンス制御部10が、制御部26によって生成されたシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信部7及び受信部9を駆動することによって、データ収集を実施する(ステップS206)。
【0063】
その後、画像再構成部22が、ハイブリッドスポイル法による本スキャンで収集された生データからプレスキャンにより収集された生データを減算する減算処理を行い(ステップS207)、減算処理により得られたデータから画像を再構成する(ステップS208)。
【0064】
このように、ハイブリッドスポイル法による本スキャンで収集された生データからプレスキャンにより収集された生データを減算することで、スポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の強度が最小となるスライスエンコードについて、本スキャンで収集された生データからFIDアーチファクトの原因となるFID信号の成分が除去される。したがって、FIDアーチファクトがより少ない画像が得られる。
【0065】
そして、制御部26が、画像再構成部22によって再構成された画像を表示部25に表示させる(ステップS209)。
【0066】
上述したように、実施例2では、制御部26が、FSE3D法のパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の強度が最小となるスライスエンコードの磁気共鳴データをフリップパルスを印加せずに収集するプレスキャンを実行する。また、画像再構成部22が、FSE3D法のパルスシーケンスにより収集された生データからプレスキャンにより収集された生データを減算する減算処理を行い、その減算処理により得られたデータから画像を再構成する。したがって、実施例2によれば、FIDアーチファクトがより少ない画像を得ることができる。
【0067】
なお、実施例2で説明した、フリップパルスを印加しないプレスキャンにより収集された生データをFSE3D法により収集された生データから差し引く方法は、必ずしも、実施例1で説明したハイブリッドスポイル法と組み合わせて実施する必要はない。例えば、実施例2で説明した方法は、コンスタントフロップスポイル法又はバリアブルフロップスポイル法と組み合わせて実施することもできる。または、2次元スピンエコー法や2次元高速スピンエコー法などと組み合わせて実施することもできる。
【0068】
また実施例2では、プリスキャンにおいて、フリップパルスを印加せずにデータを収集する場合について説明した。この他にも、例えば、プリスキャンにおいて、フリップパルスの印加後に傾斜磁場のチューン量をずらすことで、k空間の中心付近に対応するデータを収集してもよい。また、例えば、プリスキャンにおいて、フリップパルスの印加後に傾斜磁場のチューン量をずらすことで、スポイラー用傾斜磁場又はリワインド用傾斜磁場の強度が小さいスライスエンコードのデータを収集してもよい。
【0069】
なお、上記実施例1及び2では、ノースポイル法とコンスタントフロップスポイル法とを組み合わせたハイブリッドスポイル法のパルスシーケンスを用いた場合について説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。すなわち、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持することが可能なパルスシーケンスであれば、他のパルスシーケンスを用いることも可能である。
【0070】
図13〜15は、他の実施形態に係るパルスシーケンスにおけるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の制御を示す図である。図13〜15は、いずれも、FSE3D法で用いられるスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場を示している。図13〜15において、縦軸は傾斜磁場の強度を示しており、横軸はスライスエンコードを示している。また、実線(Spoil)はスポイラー用傾斜磁場の強度を示しており、点線(Rewind)はリワインド用傾斜磁場の強度を示している。なお、縦軸に示す傾斜磁場強度は、スライスエンコード用傾斜磁場の最大強度に対する割合(%)で示している。このスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度は、撮像に際して設定される撮像条件に応じて決められる。また、横軸に示すOは、磁気共鳴データが配置されるk空間の中心に対応するスライスエンコードを示している。
【0071】
例えば、制御部26は、図13に示すように、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場の強度が一定になるように傾斜磁場コイル2を制御するパルスシーケンスを実行してもよい。なお、この場合には、例えば、制御部26は、図13に示すように、k空間の中心からスライスエンコード方向に離れるにつれてリワインド用傾斜磁場の強度が徐々に弱くなるようなパルスシーケンスを実行してもよい。
【0072】
また、例えば、制御部26は、図14に示すように、複数のスライスエンコードのうち、磁気共鳴データが配置されるk空間の中心に対応するスライスエンコードについては、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度が最大となるようなパルスシーケンスを実行してもよい。この場合には、例えば、制御部26は、図14に示すように、k空間の中心に対応するスライスエンコードについては、スポイラー用傾斜磁場の強度及びリワインド用傾斜磁場の強度が等しくなり、k空間の中心に対応するスライスエンコード以外については、スポイラー用傾斜磁場の強度がリワインド用傾斜磁場の強度より大きくなるように傾斜磁場コイル2を制御するパルスシーケンスを実行してもよい。
【0073】
なお、この場合には、例えば、制御部26は、図14に示すように、k空間の中心を含む所定の範囲内では、k空間の中心から離れるにつれてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度が徐々に弱くなり、当該所定の範囲外では、k空間の中心から離れるにつれてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度が徐々に強くなるようなパルスシーケンスを実行してもよい。
【0074】
また、例えば、制御部26は、図15に示すように、図14に示したパルスシーケンスにおいて、k空間の端部に近い所定の範囲内では、k空間の中心から離れるにつれて、スポイラー用傾斜磁場及の強度が徐々に弱くなり、かつ、リワインド用傾斜磁場の強度が徐々に強くなるようなパルスシーケンスを実行してもよい。
【0075】
なお、図13〜15に示した各パルスシーケンスでは、いずれの例においても、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度が所定値(≠0)以上に保持される。このように、実施形態に係るMRI装置では、複数のスライスエンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持することが可能なパルスシーケンスであれば、各種のパルスシーケンスを用いることが可能である。
【0076】
また、上記実施例では、スライスエンコード方向にスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場を印加する場合について説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、位相エンコード方向にスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場を印加する場合でも、同様の実施形態が実現可能である。この場合には、例えば、図1に示した制御部26が、複数の位相エンコードそれぞれについてスポイラー用傾斜磁場及びリワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように傾斜磁場コイル2を制御するパルスシーケンスを実行する。
【符号の説明】
【0077】
100 MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)
1 静磁場磁石
2 傾斜磁場コイル
6 送信RFコイル
8 受信RFコイル
20 計算機システム
22 画像再構成部
26 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内にある原子核のスピンを励起するためのフリップパルスと、前記スピンの位相をリフォーカスするためのフロップパルスとを被検体に印加するRFパルス印加部と、
前記フロップパルスの印加後に前記被検体にスポイラー用傾斜磁場を印加し、前記フロップパルスの印加前にリワインド用傾斜磁場を印加する傾斜磁場印加部と、
3次元高速スピンエコー法による撮像を行う場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについて前記スポイラー用傾斜磁場及び前記リワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように前記傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する制御部と、
前記パルスシーケンスを実行することにより収集された磁気共鳴データから画像を再構成する画像再構成部と
を備える、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記傾斜磁場印加部は、スライスエンコード方向に前記スポイラー用傾斜磁場及び前記リワインド用傾斜磁場を印加する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記スポイラー用傾斜磁場又は前記リワインド用傾斜磁場の最大強度がスライスエンコード用傾斜磁場の最大強度の200%未満である場合に、複数のスライスエンコードそれぞれについて前記スポイラー用傾斜磁場及び前記リワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持するように前記傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する、
請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数のスライスエンコードのうち、前記磁気共鳴データが配置されるk空間の中心に対応するスライスエンコードについては、前記スポイラー用傾斜磁場の強度及び前記リワインド用傾斜磁場の強度が最大となるように前記傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する、
請求項1、2又は3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記k空間の中心に対応するスライスエンコードについては、前記スポイラー用傾斜磁場の強度及び前記リワインド用傾斜磁場の強度が等しくなり、前記k空間の中心に対応するスライスエンコード以外については、前記スポイラー用傾斜磁場の強度が前記リワインド用傾斜磁場の強度より大きくなるように前記傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する、
請求項1〜4のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数のスライスエンコードそれぞれについて前記スポイラー用傾斜磁場の強度が一定になるように前記傾斜磁場印加部を制御するパルスシーケンスを実行する、
請求項1、2又は3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記スポイラー用傾斜磁場の強度をゼロにした場合のスライスエンコード用傾斜磁場の強度と前記スポイラー用傾斜磁場の強度を一定にした場合のリワインド用傾斜磁場の強度とが一致するスライスエンコードにおいて前記スポイラー用傾斜磁場の強度をゼロにした撮像法と前記スポイラー用傾斜磁場の強度を一定にした撮像法とを切り換えることで、前記スポイラー用傾斜磁場及び前記リワインド用傾斜磁場の強度を所定値以上に保持する、
請求項1、2又は3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記3次元高速スピンエコー法のパルスシーケンスにおける前記スポイラー用傾斜磁場又は前記リワインド用傾斜磁場の強度が最小となるスライスエンコードの磁気共鳴データを前記フリップパルスを印加せずに収集するプレスキャンを実行するよう制御し、
前記画像再構成部は、前記3次元高速スピンエコー法のパルスシーケンスにより収集された磁気共鳴データから前記プレスキャンにより収集された磁気共鳴データを減算する減算処理を行い、該減算処理により得られたデータから画像を再構成する、
請求項1〜7のいずれか一つに記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−245273(P2011−245273A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7865(P2011−7865)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】