説明

磁気情報読み取り装置

【目的】 本発明は2つのトラックヘッド構造のトラックヘッドで同一磁性体又は磁気記録媒体の1つのデータトラックからの夫々の情報を異なる磁界条件で夫々読み取ることのできる磁気情報読み取り装置を提供することを目的とする。
【構成】 磁気記録媒体の1つのデータトラックからの磁気情報を夫々異なる磁界条件で抽出する第1および第2のコア部材と、これらコア部材の夫々に巻回され、磁気情報の読み取り制御を行うコイルとより構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、駅務機器の自動改札機で使用される定期券や、流通業界で使用されるカードに記録されている情報を読み取るカードリーダにおける磁気情報読取装置に係り、特に1つのデータトラックのデータを2つのコンビネーション構造のトラックヘッドで異なる意味のデータを読み取る磁気情報読み取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の上述したカードリーダにおける磁気ヘッドは、1つの磁気トラックからデータを読み取る単一のヘッドトラックを有する構造が知られており、そのヘッドトラック巾は一義的に定まる。このため磁気読み取りの読み取りデータは周辺の条件が変わった場合にはその変化に対応して変化してしまい、そのまま読み出されてしまい補正できない。また、1つの磁気トラックからのデータは異なる物理的条件、例えば電磁気変換条件が変わったときには、読み取ることができないという欠点が指摘されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は2つのトラックヘッド構造のトラックヘッドで同一磁性体又は磁気記録媒体の1つのデータトラックからの夫々の情報を異なる磁界条件で夫々読み取ることのできる磁気情報読み取り装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気情報読み取り装置は、磁気記録媒体の1つのデータトラックからの磁気情報を夫々異なる磁界の条件で抽出する、夫々の情報に対応して設けられる夫々のヘッドトラック巾を有し互いにシールドされ、夫々が互いに直線状に配列された夫々のギャップを有する2つのコア部材と、前記コア部材の夫々に巻回され、前記磁気情報の読み取り制御を行う夫々のコイルと、より構成される。
【0005】
【作用】この発明の磁気情報は読み取り装置は1ヘッドにトラック巾中に2つのヘッド機能を持たせるようにシールドを介して並設された2つのコア部材の夫々のギャップに対応して、磁気記録媒体の1つのデータトラックからの磁気情報を前記2つのコア部材を夫々に巻回されたコイルの制御によって、異なる磁界条件のもとで読み取ることができる。
【0006】
【実施例】以下図面を参照して、この発明の磁気情報及び読み取り装置の一実施例を磁気ヘッドについて説明する。図3は例えば、駅務機器の自動改札機に既に用いられているカードリーダ、又は流通業界のカードリーダ構成例を示す。
【0007】金額情報が記録されるストアードフェアカードのような磁気記録媒体はカードの取り入れ口から搬入されたカードはセンサ等で検知されCPU10はカードを取り込むようにモータ6を駆動する。読み取りヘッド4はテンションローラ2でカードを押し付けた状態でカード内のデータを読み取り、そのデータをCPU10に伝送する。
【0008】CPU10は搬送されてきたデータを解析後、通信インターフェイス12を介してホストへ送る。この間、カードは保留部まで搬送され、停止している。ホストより決済処理された新しい更新データが伝送されてくるとCPU10はデータを解析合成し、カードを取入れ口方向に搬送する。
【0009】その際、書き込みのヘッド5において、テンションローラ3で押し付けた状態で解析合成された情報を書き込む。この時、ほぼ同時に読み出しヘッド4は、再度カードからデータを読み取り、CPU10が書き込んだデータが正常に書かれていることを検証する。その後カードを取入口に戻して搬送する。これでカードリーダの正常処理が終了したことになる。
【0010】尚、図3で参照番号7はモータ6を駆動するドライバであり、8は読み出しヘッド4からの出力を増幅するアンプリファイアであり、9は書き込みヘッド5を駆動するドライバーである。又11はインターフェイスであり、13は読み出し専用のメモリであり、14はランダムアクセスメモリを夫々示している。上述した構成のカードリーダにおける読み出しヘッド4に図1で示す構成の磁気ヘッドを採用する。
【0011】既ち、図1で示すようにギャップ20を夫々有する第1のコア部材15と第2のコア部材16とが、シールド19を介し並設される。前記夫々のギャップ20は矢印A方向に直線状に配される。
【0012】この構成により、矢印A方向に直交する方向に沿いカードに記録される磁気情報を読み取ることができるとともに、同一の磁気情報(1ビットずつの信号)を第一および第2のコア部材15および16で同一の時刻(タイミング)に読み取ることができる。
【0013】第1のコア部材15には、第1のコア17が巻回され、第2のコア部材16には第2のコイル18が巻回される。図示されていない磁気記録媒体、例えば、定期券などの磁気カードに記録された磁気情報は前記ギャップ20上を通過することによって前記第1及び第2のコイル17、コイル18によるコア磁界の制御によって読み取り制御が行われる。
【0014】この時の磁気ヘッドのトラック巾は図2に示すように、シールド巾を加えて、第1のコア15の巾と第2のコア16の巾との合計巾である。磁気カード上の1つのデータトラック巾からの磁気情報は、第1のコイル17と第2のコイル18の通電制御によって夫々対応する第1のコア15と第2のコア16の磁界条件を異ならせる。その結果、磁気カードの1つのデータトラックからの磁気情報は異なる磁界条件の基で異なる2つの磁気情報を得ることができる。
【0015】上述した本発明の磁気情報の読み取り装置としての磁気ヘッドは2つのヘッド機能をヘッドトラック内に組み込んだ構成としたことにより、1つの磁気情報を異なる磁界条件で読めるため以下に述べる応用例で種々の効果を得ることができる。例えば、磁気カードの磁気転写チェックにとって有効である。
【0016】図4に示すように、第1のコア15に巻回される第1のコイル17は端子a1、a2に接続されるバイアスコイル17aと、端子a3、a4に接続される読み取りコイル17bとより成る。
【0017】図5は第2のコア16に巻回される第2のコイル18は、端子b1、b2に接続されるバイアスコイル18aと端子b3、b4に接続される読み取りコイル18bとより成る。第1のコア15を有する一方のヘッドでは消去磁界を加えながら読み取り、第2のコア16を有する他方のヘッドではカードからの磁気情報をそのまま読み取る。
【0018】このとき両ヘッドの間では著しい出力差が生じる。即ち、“一方のヘッドの出力《 他方のヘッドの出力”の関係が認められれば、当該カードは転写による偽造と判別できる。
【0019】尚、第一のコア15が付与する消去磁束の強度は、カードの磁束情報を消磁することなくか或いは磁束転写される情報を消磁することができるレベルが好ましい。このように、1回の読み取り処理で、データの読み取りと偽造の判別が可能となる。
【0020】これに対して、従来の磁気カードの磁気転写チェックは最初に読み取りヘッドでデータを読み取り、次いで書き込みヘッドで磁化を加えて消去処理し、最後に再度読み取りヘッドで消去の有無をチェックし、読み取り−書き込み−読み取りの複雑な処理をしていた。このことと比較しても本発明の装置の有利な点が明らかである。また、本発明の磁気情報の読み取り装置としての磁気ヘッドは磁気バーの読み取り処理にとっても有効である。磁気カバー以外の磁化傷がカードにある場合について説明する。
【0021】図6に示すように一方のヘッドの第1のコア15に巻回されるバイアスコイル17aにバイアス電源21からバイアス電流が流され、カードに傷があると読み取りコイル17bからは、図7(a)に示すように、磁気バーによるデータと磁化傷によるデータとの両者が波形Aとして検出される。
【0022】他方のヘッドの第2のコア16に巻回されたバイアスコイル18aにはバイアスを加えず、読み取りコイル18bからは図7(b)に示すように磁気バーのデータは無く、磁化傷のデータのみが波形Bとして読み取られる。この結果、加算された両データ信号は図7(c)に示すように、その差分データ信号波形Cとして、本来の磁気バー信号のみが抽出される。
【0023】これに対して、従来の磁気カードにおける磁気バーの読み取りはバイアスコイルと読取りコイルとが同一コアに巻回される構成であるため、磁気バーによる透磁率の変化なのか、磁化傷による磁気信号的な磁気の変化なのか判別しないという欠陥が指摘されていた。このことと比較しても本発明の装置の有利な点が明らかである。
【0024】上述した実施例が示すように1ヘッドトラック巾中に2つのヘッド機能を持たせるように2つのコア並設し、夫々のギャップに対応して、磁気カードの1つのデータトラックからの磁気情報を異なる磁界条件のもとで読み取ることができる。その結果、磁気転写チェックや磁気カード中の磁気バーの読み取りなどに広く応用できる。尚、バイアスの有無に拘らずコイルの構成に制限を加えるものでなく、また、ヘッドトラックの分割数も2つに限るものでもない。
【0025】
【発明の効果】本発明の磁気情報の読み取り装置によれば2つのトラックヘッド構造のトッラックヘッドで同一磁性体は磁気記録媒体の1つのデータトラックからの夫々の情報を異なる磁界条件で夫々読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気情報読み取り装置としての磁気ヘッドの構成を示す斜視図。
【図2】図1に示す磁気ヘッドの一部を断面して示す平面図。
【図3】自動改札機におけるカードリーダの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の磁気ヘッドを磁気転写チェックに用いる場合の一方のコイルの構成図。
【図5】本発明の磁気ヘッドを磁気転写するチェックに用いる場合の他方のコイルの構成図。
【図6】本発明の磁気ヘッドを磁気バーの読み取りに用いる場合の読み取り部分の回路構成図。
【図7】図6に示す各部で得られる対応する波形図。
【符号の説明】
15…第1のコア
16…第2のコア
17…第1のコイル
18…第2のコイル
19…シールド
20…ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気情報が記録される磁気記録媒体から同一の磁気情報を同時に読み取る複数の磁気情報読み取り手段を具備したことを特徴とする磁気情報読取装置。
【請求項2】 磁気記録媒体の1つのデータトラックからの磁気情報を夫々異なる磁界条件で抽出する、夫々の情報に対応して設けられる夫々のヘッドトラック巾を有し互いにシールドされ夫々が互いに直線状に配列された夫々のギャップを有する少なくとも2つのコア部材と、前記コア部材の夫々に巻回され、前記磁気情報の読み取り制御を行う夫々のコイルと、より成る磁気情報の読み取り装置。
【請求項3】 磁気記録媒体の1つのデータトラックからの磁気情報を特定の磁界条件で抽出するギャップを有する第一のコア部材と、前記第1のコア部材にシールドを介して並設され、前記ギャプと直線状となるギャップを有し、前記特定の磁界条件と異なる磁界条件で前記1つのデータトラックからの磁気情報を抽出する第2のコア部材と、前記第1及び第2のコア部材の夫々に巻回され、前記夫々の磁気情報の読取り制御を行う第1及び第2のコイルとより成る磁気情報の読み取り装置。
【請求項4】 前記第1のコア部材に巻回される第1のコイルは、磁気記録媒体のデータトラック上の磁気情報消去用のバイアスコイル及び読み取りコイルより成り、第2のコイルは、そのままの磁気情報を読み取る読み取り専用コイルであるバイアスコイル及び読み取りコイルと、より成る請求項3に記載の磁気情報読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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