説明

磁気治療器

【課題】磁気治療器において、電磁石が生成する磁束密度を適宜切り替えることにより、磁気(磁束密度)への身体の慣れを防止し、効率的な磁気治療を実現可能な磁気治療器を提供すること。
【解決手段】単数枚または複数枚連結されたパネル体22,32,42を具備する磁気治療器10であって、パネル体22,32,42のそれぞれ内蔵された電磁石25,35,45と、電磁石25,35,45に供給すべき電流量があらかじめ設定された電流量の範囲内でランダム値となるように制御する電流制御部80と、を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁石を用いて身体のコリ等を軽減させるための磁気治療器はさまざまな形態のものが提案されている。近年では様々な使用形態を可能にするため、小型で使い勝手の良い磁気治療器の提案が望まれている。このような磁気治療器としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているような磁気治療器が提案されている。
特許文献1および特許文献2で提案されている磁気治療器は、磁気コイルからの磁気を身体に効率的に照射させるために、磁気コイルを取り付ける本体部をフレキシブルな素材からなるシート体に形成している点が特徴的である。
このようなフレキシブルシートからなる本体部を採用することにより、磁気治療器を体の凹凸状態に合わせて装着することができるため、身体の所望の部位に効率的に磁気を照射させることが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−339534号公報
【特許文献2】特開2006−296669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上に示したように、身体の凹凸状態に合わせて磁気治療器を確実に装着することができることにより、身体に対して適切な磁気の照射が可能になったが、身体に一定強度の磁気(磁束密度)を照射し続けると、身体が磁気(磁束密度)に慣れた状態になってしまい、効果的な磁気治療ができないことがあるという課題が明らかになった。
【0005】
そこで本願発明は、磁気治療器において、電磁石が生成する磁束密度を適宜切り替えることにより、磁気(磁束密度)に対する身体の慣れを防止し、効率的な磁気治療が可能な磁気治療器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成させるために鋭意研究を行った結果、本願発明者は以下の構成に想到した。
すなわち、単数枚または複数枚連結されたパネル体を具備する磁気治療器であって、前記パネル体のそれぞれ内蔵された電磁石と、該電磁石に供給すべき電流量があらかじめ設定された電流量の範囲内でランダム値となるように制御する電流制御部と、を有していることを特徴とする磁気治療器である。
【0007】
また、他の発明として、単数枚または複数枚連結されたパネル体を具備する磁気治療器であって、前記パネル体のそれぞれ内蔵された電磁石と、該電磁石に供給すべき電流量を、第1の電流量と、該第1の電流量よりも大電流である第2の電流量とに設定すると共に、前記電磁石に、前記第1の電流量と前記第2の電流量とを繰り返し供給する電流制御部と、を有していることを特徴とする磁気治療器がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる磁気治療器によれば、磁気治療器から照射される磁気(磁束密度)に変化をもたせながら身体に照射させることができるため、磁気に対する身体の慣れを軽減し、長時間にわたって効果的な磁気治療をすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態における磁気治療器の平面図(A)および正面図(B)である。
【図2】本実施形態における磁気治療器の第1の検出手段の概略構造を示す斜視図(A)と斜視図に対応させた動作説明図(B)である。
【図3】本実施形態における磁気治療器の第1の検出手段の概略構造を示す斜視図(A)と斜視図に対応させた動作説明図(B)である。
【図4】本実施形態における磁気治療器の第1の検出手段の概略構造を示す斜視図(A)と斜視図に対応させた動作説明図(B)である。
【図5】磁気治療器を平坦状態にした際における磁力線の状態を模式的に表した説明正面図である。
【図6】本実施形態における磁気治療器の左右のパネル部を中央パネル部に対して所定角度の範囲内で曲折した状態における磁力線の状態を模式的に表した説明正面図である。
【図7】本実施形態における磁気治療器の左パネル部を中央パネル部および右パネル部に対してほぼ直角に曲折させた際における磁力線の状態を模式的に表した説明正面図である。
【図8】本実施形態における磁気治療器の左パネル部と右パネル部を中央パネル部に対してほぼ直角に曲折させた際における磁力線の状態を模式的に表した説明正面図である。
【図9】本実施形態における磁気治療器の概略構造を示したブロック図である。
【図10】磁気治療器から照射される磁束密度の経時的変化を示すグラフである。
【図11】他の実施形態における磁気治療器から照射される磁束密度の経時的変化を示すグラフである。
【図12】他の実施形態における磁気治療器から照射される磁束密度の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかる磁気治療器10の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における磁気治療器の平面図(A)および正面図(B)である。
本実施形態における磁気治療器10は、左パネル体22からなる左パネル部20、中央パネル体32からなる中央パネル部30、右パネル体42からなる右パネル部40を有している。磁気治療器10は、図1に示すように中央パネル部30に対して左パネル部20と右パネル部40が連結部である連結軸50を介してそれぞれ回動可能に連結されている。このように3枚のパネル体により構成された磁気治療器10には、電源を供給するための電源コード60および図示しない操作器に電気的に接続する接続コード70が図示しないコネクタにより右パネル体42に着脱自在に接続されている。電源コード60および接続コード70は中央パネル部30または左パネル部20に接続させることもできる。
【0011】
本実施形態においては、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40はそれぞれ1枚のパネル体により構成されているが、第1パネル体、第2パネル体、第3パネル体、第4パネル体,第5パネル体・・・とした4つ以上のパネル体により構成されていてもよい。この場合、各パネル部を構成するパネル体どうしも連結軸50を介して互いに回動可能に連結すればよい。
【0012】
左パネル部20と右パネル部40について説明する。本実施形態においては、左パネル部20と右パネル部40は基本的には同じ構造を有しているので、ここでは左パネル部20の説明のみを行うことにする。左パネル部20の各構成において第1の〜2X(Xは自然数または自然数と文字の組みあわせ)と説明している構成は、右パネル部40の構成における第2の〜4X(Xは自然数または自然数と文字の組みあわせ)と置き換えることができる。
【0013】
左パネル部20は、図1(A)に示すように、平面視がほぼコの字型に形成された左パネル体22を有し、左パネル体22の上面側には球面状をなす突状部23が配設されている。突状部23は使用者の身体の一部を磁気治療器10に押圧した際に、指圧効果を得ることができる。このような突状部23は、左パネル体22の左右両端部の近傍位置に所要間隔をあけて複数列に配設されている。本実施形態においては、中央パネル部30側の突状部23の下方位置にヒータ24を埋設している。このヒータ24は磁気治療器10の表面を温めるためのものであり、特に冬季において良好な使い心地を提供するためのものである。突状部23はヒータ24埋設部との長時間の接触による低温火傷を防止するという点においても好都合である。ヒータ24への電力供給は、図示しない電流制御部により電力供給のオンオフ動作が制御されている。
【0014】
また、左パネル体22の平面中央部分には電磁石25とバイブレータ26が埋設されている。電磁石25は、図1(A)における上下方向からバイブレータ26を挟み込む配置となる2箇所(同心円状の模様が施された平面位置)に埋設されている。また、バイブレータ26の振動子には筒状体26Aの一端部が当接した状態で配設されている。この筒状体26Aの他端部は左パネル体22の上面から突出しているので、使用者の身体の一部を筒状体26Aに接触させれば、バイブレータ26からの振動が筒状体26Aを介して使用者の身体の一部に好適に付与され、マッサージ効果を得ることができる。また、バイブレータ26による振動を、磁気治療器10による磁気供給が開始された後における所定時間や、磁気治療器10による磁気供給時における所要の時間間隔や、タイマー設定機能による使用時における設定時間到達前の所定時間のいずれかまたはすべてにおいて発生させることもできる。バイブレータ26による振動は、使用者に磁気治療器10の作動状況を伝達する手段として使用することもできる。
【0015】
左パネル部20における右側の2箇所の突出部分20Aの側面には、連結軸50を装着するための連結穴28が設けられている。本実施形態における連結部は連結軸50と連結穴28(連結孔38)とにより構成されている。
電磁石25とバイブレータ26への電力供給は、電流制御部80によりオンオフ動作や出力が制御されている。
【0016】
次に中央パネル部30について説明する。図1(A)に示すように、中央パネル部30は平面視形状が略十字型に形成された中央パネル体32を有し、中央パネル体32の上面側には球面状の突状部33が配設されている。突状部33は、中央パネル体32の左右両端部の近傍位置に所要間隔をあけて複数列に配設されている。中央パネル体32の平面中央位置には電磁石35とバイブレータ36が埋設されている。電磁石35は、図1(A)において上下方向からバイブレータ36を挟み込む配置で2箇所(同心円の模様部分)に埋設されている。また、バイブレータ36の振動子には筒状体36Aの一端部が当接した状態で配設されている。中央パネル体32の上面には筒状体36Aの他端部が突出している。中央パネル部30の左右側面2箇所の突出部分30Aの側面には、連結部である連結軸50を挿通させるための連結孔38が設けられている。
左パネル部20と同様に、中央パネル部30に配設された電磁石35およびバイブレータ36への電力供給は、電流制御部80によりオンオフ動作や出力が制御されている。
【0017】
各パネル20,30,40に内蔵された電磁石25,35,45の磁極を各パネル20,30,40の連結角度に応じて切り替えする磁極切替機構について説明する。
ここでは、左パネル部20に配設された第1の検出手段のみについて詳細な説明を行うが、右パネル部40に配設された第2の検出手段も第1の検出手段と同じ構成を採用することができる。図2〜図4は、本実施形態における磁気治療器の第1の検出手段の概略構造を示す斜視図(A)と斜視図に対応させた動作説明図(B)である。
左パネル部20の突出部分20Aのうち少なくとも一方の内部には、第1の検出手段であり、第1の信号送信手段である光照射手段としてのLED29Aおよび第1の信号検出手段である光検出手段としてのフォトトランジスタ29Bとが所要間隔をあけた状態で基板29Cに装着された状態で固定されている。
【0018】
フォトトランジスタ29Bは、マイクロコンピュータおよび磁極切替動作制御プログラムを有する電流制御部に電気的に接続されていて、電流制御部には受光量情報が常時または所要の時間間隔で送信されている。また、連結軸50の先端部分には、第1の遮蔽部材である突出片29Dが形成されている。突出片29D部分は光不透過性材料により形成または被覆されている。本実施形態においては連結軸50と突出片29Dを一体に形成しているが、連結軸50と突出片29Dはそれぞれ別体に形成し、両者を一体に組み立てすることもできる。このように形成された突出片29Dは、中央パネル部30に対する左パネル部20および右パネル部40の回動動作に伴って連結軸50と共に回動することで、LED29Aとフォトトランジスタ29Bとの間に進退自在に設けられている。
左パネル部20が中央パネル部30と同一平面をなす状態から所要角度に回動するまでの範囲においては、図2に示すように、突出片29DはLED29Aとフォトトランジスタ29Bとの間からは外れた場所に位置している。この状態においては、フォトトランジスタ29Bは最大受光量に対して100%の受光量を検出することになる。
【0019】
左パネル部20を中央パネル部30に対して回動させると、LED29Aとフォトトランジスタ29Bが左パネル部20と共に回動し、図3に示すように、LED29Aとフォトトランジスタ29Bとの間に突出片29Dの一部が進入することになる。突出片29Dは光不透過性材料により形成されているので、突出片29Dによりフォトトランジスタ29Bの受光面積(LED29Aの光照射部分)の一部が覆われた状態になるため、左パネル部20を中央パネル部30に対して回動させる前の状態(最大受光量)に比較して受光量が減少することになる。フォトトランジスタ29Bは、実際の受光量を最大受光量に対する百分率等で数値化することが可能であり、受光量の数値データが電流制御部に送信されている。
【0020】
電流制御部の磁極切替動作制御プログラムには予めフォトトランジスタ29Bから送信された受光量の数値データに対する閾値が設定されている。この磁極切替動作制御プログラムに設定されている閾値は、外部入力手段等により変更可能に設定しておけば尚好都合である。
電流制御部は、フォトトランジスタ29Bから受信した受光量の数値データが閾値を下回ったことを確認すると、左パネル部20が中央パネル部30に対して所定角度以上に回動されたものと判断している。そして左パネル部20が中央パネル部30に対してさらに回動して、中央パネル部30に対する左パネル部20の回動角度が90度をなすと、図4に示すように、突出片29Dがフォトトランジスタ29Bの受光面のすべてを覆う(LED29Aの光照射面をすべて覆う)ことになる。すなわちこの状態においては、フォトトランジスタ29Bから電流制御部に送信される受光量の数値データは0%となる。
【0021】
電流制御部は、左パネル部20内に固定された第1の信号検出手段の一部であるフォトトランジスタ29Bから送信された受光量信号である受光量の数値データと、右パネル部40内に固定された図示しないフォトトランジスタから送信された受光量の数値データとの組み合わせにより、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40のそれぞれに内蔵されている電磁石25,35、45への電源供給状態(電流の向き)を適宜切り替えるスイッチ手段としても機能する。
具体的には、左パネル部20および右パネル部40のフォトトランジスタ29B(右パネル部は図示せず)から送信された受光量の数値データがいずれも100%〜50%の範囲にある場合(LED29Aとフォトトランジスタ29Bと突出片29Dとの位置関係が、図2〜図3に示す範囲にある場合)には、電流制御部は図5、図6に示すように、各電磁石25,35,45の上面側がすべてN極になるように電磁石25,35,45に電流を供給する第1の状態を提供する。
【0022】
また、左パネル部20または右パネル部40のいずれか一方のフォトトランジスタ(ここでは左パネル部20のフォトトランジスタ29Bとする)からの受光量の数値データのみが50%未満になった場合(LED29Aとフォトトランジスタ29Bと突出片29Dとの位置関係が、図3に示す状態から図4に示す状態にわずかに近づいた状態になった場合)には、電流制御部は図7に示すように、左パネル部20の電磁石25への供給電流の向きを当初状態(左パネル部20を回動させる前の状態)と逆向きにして、中央パネル部30および右パネル部40側の面がS極となる第2の状態を提供する。
【0023】
さらに、左パネル部20および右パネル部40のフォトトランジスタ29B(右パネル部は図示せず)から送信された受光量の数値データがいずれも50%未満になった場合には、電流制御部は図8に示すように、左パネル部20の電磁石25への供給電流の向きを当初状態(左パネル部20を回動させる前の状態)と逆向きにして、中央パネル部30の電磁石35への供給電流をストップし、右パネル部40の電磁石45への供給電流の向きを当初状態のまま(左パネル部20に対向する面がN極となる)を維持させた第3の状態を提供する。
【0024】
第1の状態では、図5、図6に示すように磁気治療器10は略平坦面をなしていて、それぞれの面における磁極を同一にすることができるため、使用者は広範囲にわたって所定の磁力を作用させることができる。
第2の状態では、図7に示すように磁気治療器10を略L字型にして用いる際に、左パネル部20に対して中央パネル部30および右パネル部40からの磁力線を集中させることができるため、第1の状態に比較して強い磁力を作用させることができる。従来の磁気治療器を図7に示す状態にした場合には、左パネル部20の磁極と中央パネル部30および右パネル部40の磁極とが互いに反発しあう状態になり、使用者は磁気を当てたい部位に効率的に磁力を作用させることができなかった。このため、本実施形態における磁気治療器10は極めて使い勝手がよいことが諒解される。
【0025】
第3の状態では、図8に示すように、磁気治療器10をコの字型にして用いる際に、右パネル部40から放出された磁力が左パネル部20に向かって流れる磁場を形成することになる。また、中央パネル部30の電磁石35からは磁力が放出されていないため、右パネル部40のN極から放出された磁力は直接左パネル部20のS極に流入することになるため、使用者は磁気を当てたい部位を中央パネル部30の位置に配置すれば磁気を集中的に作用させることができる。従来の磁気治療器を図8に示す状態にした場合には、左パネル部20からの磁気と右パネル部40からの磁気が中央パネル部30からの磁気と互いに反発しあう状態になり、使用者に対して効率的に磁力を作用させることができなかった。この点においても本実施形態における磁気治療器10は極めて使い勝手がよいことが諒解される。
【0026】
図9は、本実施形態かかる磁気治療器の概略構造を示したブロック図である。図9に示すように、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40のそれぞれに内蔵されている電磁石25,35,45には、電流制御部80が接続されている。電流制御部80は、電磁石25,35,45に供給すべき電流量を制御することにより、各電磁石25,35,45により生成される磁力の強さ(磁束密度)に差をつけ、各電磁石25,35,45から身体に照射される磁力の強さ(磁気密度)に変化をもたせることで身体の磁気慣れを防止して効果的な磁気治療を可能にしている。
【0027】
電流制御部80から電磁石25,35,45に供給される電流量の強弱パターンとしては、例えば図10〜図12に示すような供給電流の強弱パターンを採用することができる。ここに、図10〜図12において示されている各グラフの横軸は時間軸であり、縦軸は電磁石により発生する磁束密度(すなわち、電磁石に供給される電流量)を示している。
電磁石25,35,45は、供給された電流量に応じた磁束密度を生成する。本実施形態における電磁石25,35,45はそれぞれ同一性能のものを採用している。
【0028】
まず、図10に示した供給電流の強弱パターンについて説明する。
図10に例示した電流制御部80から供給された電流により電磁石25,35,45が生成する磁束密度の強弱パターンは、最大磁束密度と最小磁束密度の範囲内でランダムな磁束密度となるようにしたものである。すなわち、電流制御部80は、電磁石25,35,45に対して最大供給電流量と最小供給電流量との範囲内でランダムな電流量を供給することになる。本実施形態における最大供給電流量は、電磁石25,35,45が発生する磁束密度が150mTとなる電流量とし、同じく最小供給電流量は、電磁石25,35,45が発生する磁束密度が35mTとなる電流量としている。
図10に示した供給電流の強弱パターンにおいては、電磁石25,35,45に電流を供給する供給時間もランダムな時間としているが、供給時間はあらかじめ設定された所定の時間にすることもできる。
【0029】
次に図11に示した供給電流の強弱パターンについて説明する。
図11に例示した電流制御部80から供給された電流により電磁石25,35,45が生成する磁束密度の強弱パターンは、電磁石25,35,45が生成する磁束密度が第1の磁束密度と第2の磁束密度の2種類の磁束密度を生成している(電磁石25,35,45に供給される電流量が第1の電流量と第2の電流量の2種類の電流量のみとしている)点で、図10に例示した電磁石25,35,45への供給電流の強弱パターンと異なっている。
具体的には、磁気治療において基準となる基準磁束密度(ここでは35mT)を発生させるために必要な電流量である基準電流量を第1の電流量とし、第2の電流量は、第1の電流量よりも大電流量(ここでは150mT)としている。電流制御部80は、このように設定された第1の電流量と第2の電流量とを所要時間毎に交互に供給している。本実施形態においては、第1の電流量を電磁石25,35,45に供給する第1電流供給時間を2.5秒とし、第2の電流量を電磁石25,35,45に供給する第2電流供給時間を0.5秒とした。
【0030】
第1電流供給時間および第2電流供給時間は、上記の供給時間に限定されるものではなく、他の供給時間を採用することもできるし、図12に例示するように第1電流供給時間と第2電流供給時間とをそれぞれランダムな供給時間とすることもできる。
また、図10から図12においては、電磁石25,35,45が生成する磁束密度(電磁石25,35,45に供給される電流量)の変化が不連続な強弱変化をしているがこれに限定されるものではない。例えば、電磁石25,35,45が生成する磁束密度(電磁石25,35,45に供給される電流量)が連続的に変化させるように電流制御部80が電磁石25,35,45への電力量の供給状態を制御することもできる。
さらには、入力手段により使用者が入力した値を第1電流供給時間および第2電流供給時間に設定する電流供給時間設定部(いずれも図示せず)を配設することもできる。この電流供給時間設定部は電流制御部80に内蔵させることもできる。
【0031】
本実施形態においては、中央パネル部30に対する左パネル部20および右パネル部40の回動角度を検出する第1の手段(および第2の検出手段)としてLED29AとLED29Aが照射した光を検出するフォトトランジスタ29Bを用いた構成例について説明しているが、第1の検出手段(および第2の検出手段)の構成はこの実施形態に限定されるものではない。本実施形態のように光信号により中央パネル部30に対する左右パネル部20,40の回動状態を検出する場合であっても他の公知の構成を採用することができる。
【0032】
また、中央パネル部30に対する左右パネル部20,40の回動状態を検出するための信号も光信号に限定されるものではない。光信号以外の検出信号としては、例えば磁気信号等を用いることも可能である。さらには、光信号や磁気信号を検出する検出手段のような非接触式の検出手段に限らず、電極と電極に接触させて用いるロータリースイッチからなる接触型の検出手段を用いることもできる。
【0033】
さらに、上記実施形態における左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40の電磁石25,35,45の磁極状態は複数の組み合わせのうちの一例を示したに過ぎない。他の実施形態としては、磁気治療器10を4つ以上のパネル体により構成し、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40の少なくとも1つを複数のパネル体により構成させることもできる。中央パネル部30に対する左パネル部20および右パネル部40の回動角度に応じた電磁石25,35,45の磁極の向きの制御を容易にするためには、夫々の左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40を構成する各パネル体の数を同一にすればよい。
【0034】
以上に説明したように、本実施形態においては、磁気治療器10が左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40といったように複数のパネルを曲折可能に連結した形態について説明しているが、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40の連結角度に応じて磁極を切り替えする機構は省略することができる。また、単数のパネル部のみであってもよい。
要は、左パネル部20、中央パネル部30、右パネル部40に配設された電磁石25,35,45に供給される電流量を一定にせず、各電磁石25,35,45により生成される磁気(磁束密度)に変化を生じさせて、長時間連続的に使用した場合であっても、身体の磁気慣れ現象を防止することができればよいのである。
【符号の説明】
【0035】
10 磁気治療器
20 左パネル部
22 左パネル体
23,33,43 突状部
24,44 ヒータ
25,35,45 電磁石
26,36,46 バイブレータ
28 連結穴
29A LED
29B フォトトランジスタ
29C 基板
29D 突出片
30 中央パネル部
32 中央パネル体
38 連結孔
40 右パネル部
42 右パネル体
50 連結軸
60 電源コード
70 接続コード
80 電流制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数枚または複数枚連結されたパネル体を具備する磁気治療器であって、
前記パネル体のそれぞれ内蔵された電磁石と、
該電磁石に供給すべき電流量があらかじめ設定された電流量の範囲内でランダム値となるように制御する電流制御部と、
を有していることを特徴とする磁気治療器。
【請求項2】
単数枚または複数枚連結されたパネル体を具備する磁気治療器であって、
前記パネル体のそれぞれ内蔵された電磁石と、
該電磁石に供給すべき電流量を、第1の電流量と、該第1の電流量よりも大電流である第2の電流量とに設定すると共に、前記電磁石に、前記第1の電流量と前記第2の電流量とを繰り返し供給する電流制御部と、
を有していることを特徴とする磁気治療器。
【請求項3】
前記電流制御部は、
前記第1の電流量を前記電磁石に供給する第1電流供給時間と、前記第2の電流を前記電磁石に供給する第2電流供給時間とがそれぞれランダム時間となるように供給することを特徴とする請求項2記載の磁気治療器。
【請求項4】
前記電流制御部は、
前記第1の電流量を前記電磁石に供給する第1電流供給時間と、前記第2の電流を前記電磁石に供給する第2電流供給時間とが所要間隔となるように供給することを特徴とする請求項2記載の磁気治療器。
【請求項5】
前記第1電流供給時間と、前記第2電流供給時間のそれぞれを任意の時間に設定可能とする電流供給時間設定部をさらに有していることを特徴とする請求項4記載の磁気治療器。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−170601(P2012−170601A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35068(P2011−35068)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000112381)ファミリー・サービス・エイコー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】