説明

磁気特性検査装置及びそれを用いた検査方法

【課題】従来の磁気ディスクまたは磁気ヘッド検査装置は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドを検査するための書込みおよび測定リソースを各ヘッドで占有する構成であり、磁気ヘッドや磁気ディスクの同時測定数を増やした場合に同磁気ヘッドの数だけ書込み/測定リソースを増やす必要があるため、装置の小形・低コスト化は困難である。
【解決手段】複数ディスク回転部または複数磁気ヘッドを持つ磁気ヘッドまたは磁気特性検査装置において、書込み信号発生部の出力信号を各磁気ヘッドに切替または分配する手段と、各磁気ヘッドから読出した信号を各測定リソースに切替または分配して出力する手段と、各測定リソースがどのディスク回転部に同期した測定をするかを切替える手段を具えることにより、複数のディスク回転部間または複数のヘッド間で書込み信号発生部および測定リソースを共有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク装置に用いる磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査装置及びそれを用いた検査方法に係り、特に、書込みおよび読出し可能な磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査を行う磁気特性検査装置及びそれを用いた検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ディスク装置はワークステーションやサーバに用いる外部記憶装置として用いられてきたが、近年のPCの普及や家庭用デジタル機器への適用に伴い、一層の大容量・低価格化が進んでいる。磁気ディスク装置に用いる磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査は、実使用周波数で磁気ディスクまたは磁気ヘッドを用いて試験データの記録・再生を行って評価および検査を行う方式が用いられている。磁気ディスクまたは磁気ヘッドの製造コスト低減のために、磁気ディスク装置に用いる磁気ディスクあるいは磁気ヘッド用の検査装置(以下、単に磁気特性検査装置と記す)にも、小形・低コスト化が求められている。
【0003】
このような磁気特性検査装置は、従来から1個のディスク回転部に取付けられる1枚の磁気ディスクに対して、2個の磁気ヘッドを装着できるようになっている。これにより磁気ヘッドの検査時には、同時測定数を増やし、また、磁気ディスクの検査時には磁気ディスクの内/外周の同時測定を行うことで、いずれの場合もテストスループットの向上を図っている。このような2個の磁気ヘッドを装着可能な磁気特性検査装置に関連した技術は、例えば特許文献1に開示されている。
上記の磁気特性検査装置で、磁気ヘッドの特性検査を行う場合、検査装置は、まず、良品または磁気特性が既知である1枚の磁気ディスクの任意トラック上に被検査対象である2個の磁気ヘッドを配置して試験信号の記録/再生を行い、同再生信号の特性を各測定リソースで測定および評価して磁気ヘッドの検査を行う。検査E終了後のディスクを静止させ、磁気ヘッドを未検査品と交換する。交換後、同じ検査を繰り返す。
【0004】
図13に、上記の磁気特性検査装置で、4種類の測定リソース(1〜4)を使用して2個の磁気ヘッド(磁気ヘッドa,b)の検査を行う場合の、タイミングチャートの例を示す。まず、制御部は、t1のタイミングで2つの磁気ヘッドa,bの検査A(測定リソース1を使用)を開始し、ライト信号生成部に検査Aを行うための任意周波数パターン設定データと出力イネーブル信号を出力する。同信号を受け、ライト信号生成部は任意周波数パターンをライトアンプに出力し、磁気ヘッドa,bは同信号を受け、磁気ディスク上の任意トラック数だけ離れた別のトラックに同信号を記録(書込)する。t2のタイミングでは、磁気ヘッドa,bは磁気ディスクから信号を再生し、測定リソース1a,1b,2a,2b,4a,4bに入力する。同時に制御部は測定リソース1a,1bにイネーブル信号を出力し、測定リソース1a,1bは再生信号の測定または特性評価(測定)を行う。
【0005】
以下、同様にして、順次、検査B(測定リソース1を使用)、検査C(測定リソース2を使用)、検査D(測定リソース4を使用)、検査E(測定リソース3を使用)を行う。各検査項目は、例えば再生信号の平均波高値、平均パルス幅、オーバーライト特性等であり、各検査において2個の磁気ヘッドが磁気ディスクに記録するパターンの周波数は、各磁気ヘッド直下のトラック上の信号密度が一定になるように変えても良いし、または同一周波数としても良い。
【0006】
また、検査対象が磁気ディスクの場合には、良品または記録/再生の特性が既知である磁気ヘッドを使用して、磁気ディスクの検査を行う。
【0007】
一方、特許文献2には、1個のディスク回転部に取付けられる1枚の磁気ディスクに対して、磁気ヘッドの保持部を4個設け、同時に2個の磁気ヘッドの検査を行いながら、他の2個の磁気ヘッドを交換することで、検査を途切れることなく連続して行うことができるようにした磁気特性検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−83501号公報
【特許文献2】特開2001−52319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1記載の磁気特性検査装置は、磁気ディスクまたは磁気ヘッドを検査するための記録・測定リソースを各ヘッドで占有している。そのため、検査の効率を向上させるべく、磁気ヘッドや磁気ディスクの同時測定可能な数を増やすと、検査装置が大型になり、装置のコストも増大する。例えば、図13で説明した例で、磁気ヘッド(a,b)の同時測定数を2倍にするためには、ライト信号生成部や測定リソース(以下、記録・測定リソース)の数も単純に2倍となり、検査装置の体積やコストも2倍となる。
【0010】
一方、特許文献2に記載の磁気特性検査装置は、ディスク回転部を回転させ検査を行ないながら同時に磁気ヘッドを交換するものであり、検査の効率自体は向上すると考えられる。しかし、ディスクの回転時、磁気ヘッドにはごく僅かの浮上量しか許容されないように設計されている。このような状況下で検査終了した磁気ヘッドの交換を行うと、交換時の振動に伴い発生するノイズが検査中の他の磁気ヘッドの測定に大きな影響を及ぼす。そのため、測定精度の著しい低下を招くと考えられる。
【0011】
本発明の目的は、従来各磁気ヘッドや各磁気ディスク(あるいは各ディスク回転部)で個別に具えていた記録・測定リソースを、複数の磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査で共有可能とした、小形で低コストの磁気特性検査装置及びそれを用いた検査方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、高い測定精度を確保しつつ、磁気ヘッドや磁気ディスクの同時測定可能な数を増やして検査の効率を向上させた、磁気特性検査装置及びそれを用いた検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の磁気特性検査装置は、磁気ディスクを回転動作させるための複数個のディスク回転部と、前記各ディスク回転部に保持される磁気ディスク上に各々配置される磁気ヘッドと、書込み信号を生成する書込信号生成部と、読出した信号の波形特性を検査する複数種の測定部と、前記書込信号生成部および前記測定部を切替または分配する切替/分配制御機能と、前記各測定部が前記複数個のディスク回転部のどのディスク回転部に同期して動作するかを選択するディスク回転部選択機能とを具える。これにより、複数のディスク回転部間または複数のヘッド間で、検査するための記録・測定リソースの共有化を実現する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、測定リソースあるいはさらに書込信号生成部を、磁気ディスクまたは磁気ヘッドの検査で共有することが可能となる。これにより、磁気特性検査装置の小形・低コスト化が可能となる。また、高い測定精度を確保しつつ、同時に測定可能な磁気ヘッドや磁気ディスクの数が増すので、検査の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の磁気特性検査装置の、第1の実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を示すタイミングチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の動作を示すタイミングチャート図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例の動作を示すタイミングチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の磁気特性検査装置の、第2の実施形態の構成を示す概略図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の動作を示すタイミングチャート図である。
【図8】図6に示した実施例2の変形例を示す概略図である。
【図9】図6に示した実施例2の他の変形例を示す概略図である。
【図10】本発明の磁気特性検査装置の、第3の実施形態を示す概略図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の動作を示すタイミングチャート図である。
【図12】実施例3の変形例を示す概略図である。
【図13】従来の磁気特性検査装置の動作を示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例により図面を参照して本発明の実施の態様を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に、本発明の第1の実施形態を示す磁気特性検査装置の概略図を示し、図2および図3に第1の実施形態になる磁気特性検査装置の動作例を説明するタイミングチャートを示す。この実施例では、以下に述べるように、2つのライト信号生成部と4種類の測定リソース(1〜4)を、一部共用することで、4個の磁気ヘッドの検査を、ほぼ同じタイミングで行う。すなわち、磁気特性検査装置が、それぞれいずれの磁気ヘッドにも使用できる汎用タイプの記録・測定リソースと、特定の磁気ヘッドにのみ使用できる限定タイプの記録・測定リソースとを具備している。
【0018】
図1において、磁気ヘッドまたは磁気ディスクの検査を行う磁気特性検査装置50は、独立した2つのディスク回転部1、5を備えている。各ディスク回転部は、モータ(図示略)で駆動されるスピンドルの端部に磁気ディスク搭載部を備えており、この搭載部に装着された磁気ディスク2、6上には、各々2組の磁気ヘッド(3、4及び7、8)が内外に配置されている。
【0019】
磁気特性検査装置50はさらに、各磁気ヘッドに対応したライトアンプ9、11、13、15とリードアンプ10、12、14、16を具えている。
【0020】
ディスク回転部1、5は、制御部42、41から回転制御信号を受けて回転する。すなわち、制御部42、41は、ホストPC43から制御バス300(300a、300b)やデータバス400を経て送られた信号やデータを受けて、ディスク回転部1、5に回転数および回転のスタート/ストップ制御等を示す回転制御信号を出力してスピンドルの回転を開始させる。
【0021】
ディスク回転部1、5のスピンドルが1回転する毎に1個のインデックス信号がそれぞれ出力される。ディスク回転部は、これらのインデックス信号(あるいはセクタ信号等)のディスク回転部自体の回転動作を示すタイミング信号a、bを、制御部42、41に出力する。制御部42、41は、このタイミング信号をもとに、ライト信号生成部(書込信号生成部)39、40、測定部36、38および測定部α(37)中の各測定リソース、および切替/分配制御部(切替/分配制御機能)33の制御を行う。
【0022】
図2に、タイミング信号a、b及びこれらに基いて生成され切替/分配制御部33等を制御する信号の例を示す。タイミング信号は、インデックス信号等に基いて生成されるが、ディスク回転部1、5の開始時期とは必ずしも一致していない信号である。そのため、図2に示すように、タイミング信号a、bの位相に若干ずれが生じることもある。ここでは、タイミング信号aがタイミング信号bよりも遅れた場合について記載している。ただし、タイミング信号a、bの位相が一致していても差支えない。
【0023】
図1に戻って、ライト信号生成部39、40の出力は、切替/分配部19、20を介してライトアンプ9、11、13、15に接続されており、切替/分配部19、20のSW1をONとすることでライト信号生成部39、40の出力がライトアンプ9、13に入力され、また切替/分配部19、20のSW2をONとすることでライト信号生成部39、40の出力がライトアンプ11、15に入力される。
4種類の測定リソース1a、1b、1c、1d、2a、2b、3a、3b 、4は、制御部42、41から制御バス300a、300bを介してイネーブル信号を受け、イネーブル信号がONのときに測定動作を行う。
【0024】
磁気特性検査装置の記録・測定リソースのうち、測定リソース1a、1b、2a、2b、3a、3b 、4はそれぞれいずれの磁気ヘッドにも使用できる汎用タイプの測定リソースであり、測定リソース1cは特定の磁気ヘッド7、測定リソース1dは磁気ヘッド4にのみ使用できる限定タイプの測定リソースとする。また、ライト信号生成部39は1組の磁気ヘッド(3、4)に、ライト信号生成部40は他の1組の磁気ヘッド(7、8)に対応している。
【0025】
これらの記録・測定リソースを制御するイネーブル信号は、図2に示すように、タイミング信号a(a1〜an)、及びb(b1〜b n)に同期した信号である。
【0026】
図1に戻って、磁気特性検査装置50は、各測定部の各測定リソースが2組のディスク回転部1、5のどのディスク回転部からのタイミング信号(aまたはb)に同期して動作するかを選択するディスク回転部選択機能(スイッチSW)を具えている。一方、制御バス300aはタイミング信号a、制御バス300bはタイミング信号bに、それぞれ対応している。
【0027】
各測定リソースでは、ディスク回転部選択機能のスイッチSWの位置により、制御バス300a、300bのどちらからのイネーブル信号により動作するかが切替えられる。このイネーブル信号を選択するディスク回転部選択機能は、測定部36中の測定リソース1aのみ具体的なスイッチSWT1として表示している。測定リソース1aは制御部42から制御バス300aを介して入力されたイネーブル信号と、制御部41から制御バス300bを介して入力されたイネーブル信号を受け、内部のSWを切替えることによりどちらのイネーブル信号をもとに測定動作を行うかを切替できる。他の測定リソースも測定リソース1aと同様の構成のディスク回転部選択機能(スイッチSWTn)をしている。
【0028】
切替/分配制御部33は、制御部42、41からの信号により、切替/分配部19、20、21、22、23、24、29、30、31、32、34、35のSWおよび、各測定リソース内SWの制御を行う。
【0029】
切替/分配部21、22、23、24、29、30、31、32、34、35は、リードアンプ10、12、14、16通過後の再生信号を各測定リソースへ切替または分配をして出力するために設けられている。
【0030】
リードアンプ10の出力は、切替/分配部21に接続され、同切替/分配部内のSW1の出力はLPF25を介して切替/分配部29に、SW2の出力は測定リソース3aに接続されており、切替/分配部29内のSW1の出力は測定リソース1aに、SW2の出力は測定リソース2aに、SW3の出力は切替/分配部34に接続されており、切替/分配部34内のSW1の出力は測定リソース1cに、SW2の出力は測定リソース4に接続されている。
【0031】
リードアンプ12の出力は、切替/分配部23に接続されており、切替/分配部23内のSW1の出力はLPF27を介して切替/分配部31に、SW2の出力は測定リソース3bに接続されており、切替/分配部31内のSW1の出力は切替/分配部35に、SW2の出力は測定リソース1bに、SW3の出力は測定リソース2bに接続されており、切替/分配部35内のSW1の出力は測定リソース1dに、SW2の出力は測定リソース4に接続されている。
【0032】
リードアンプ14の出力は、切替/分配部22に接続されており、切替/分配部22内のSW1の出力はLPF26を介して切替/分配部30に、SW2の出力は測定リソース3aに接続されており、切替/分配部30内のSW1の出力は測定リソース1aに、SW2の出力は測定リソース2aに、SW3の出力は切替/分配部34に接続されている。
【0033】
リードアンプ16の出力は、切替/分配部24に接続されており、切替/分配部24内のSW1の出力はLPF28を介して切替/分配部32に、SW2の出力は測定リソース3bに接続され、切替/分配部32内のSW1の出力は切替/分配部35に、SW2の出力は測定リソース1bに、SW3の出力は測定リソース2bに接続されている。
【0034】
ここで、切替/分配部21および22のSW2出力、切替/分配部23および24のSW2出力、切替/分配部29と30のSW1出力、SW2出力およびSW3出力、切替/分配部31と32のSW1出力、SW2出力およびSW3出力、切替/分配部34と35のSW2出力は、結線されており、制御部42、41は出力が結線されている二つのSWを同時に選択しないように制御を行う。この制御は、制御部42、41間のモニタ信号によりお互いの制御状況を監視し、出力が結線されたSWの片方がONしている間はもう一方のSWの設定を行わずに待機することを行う。
【0035】
図2に示すように、この実施例では、ディスク回転部1、5の回転動作を示すタイミング信号a及びb(a1〜an、b 1〜b n)に同期したイネーブル信号により、ライト信号生成部39、40や各測定リソースおよび切替/分配制御部33が制御され、同時に2組の磁気ヘッド3、4、及び磁気ヘッド7、8の検査がなされる。すなわち、4種類の測定リソースを共用しつつ、2組(4個)の磁気ヘッドの検査を、ほぼ同じタイミングで行う。そして、検査の終了した2組の磁気ヘッドを、検査(書込や測定)の行われていないタイミングにおいて、未検査品に交換し、再び同様な検査を開始させる。
【0036】
図3は、上述の図1の構成の磁気特性検査装置において、4個の磁気ヘッドの検査を同時に開始する場合の動作例を示すタイミングチャートである。以下、その動作を説明する。
【0037】
制御部42、41は、最初に、a1及びb1のタイミングにより、4個の磁気ヘッドの検査A(測定リソース1a、1b、1c、1dを使用)を開始する。
【0038】
まず、切替/分配制御部33は制御部42、41からの信号を受け、切替/分配部19、20のSW1、SW2、切替/分配部21、22、23、24のSW1、切替/分配部29のSW1、切替/分配部30のSW3、切替/分配部31のSW1、切替/分配部32のSW2、切替/分配部34のSW1、切替/分配部35のSW1をONさせるように制御を行い、また測定リソース1a、1dは制御部42、測定リソース1b、1cは制御部41からのイネーブル信号により測定するように各測定リソース内SWを設定する。同時に制御部42、41はライト信号生成部39、40に検査Aを行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、続いて出力イネーブル信号を出力する。同信号を受け、ライト信号生成部39、40は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替/分配部19、20、ライトアンプ9、11、13、15および磁気ヘッド3、4、7、8を介して磁気ディスク2、6に記録される。
【0039】
次に、a2のタイミングで磁気ヘッド3、4により磁気ディスク2から信号を再生し、b2のタイミングで磁気ヘッド7、8により磁気ディスク6から信号を再生し、磁気ヘッド3の再生信号はリードアンプ10、切替/分配部21、LPF25、切替/分配部29を介して測定部36中の測定リソース1aに入力され、同様に磁気ヘッド4の再生信号は測定リソース1dに、磁気ヘッド7の再生信号を測定リソース1cに、磁気ヘッド8の再生信号は測定リソース1bに入力される。同時にa2のタイミングで制御部42は測定リソース1a及び1dのイネーブル信号をON、b2のタイミングで制御部41は測定リソース1c及び1bのイネーブル信号をONとし、各測定リソースは各再生信号の特性評価を行って評価データをホストPC43に出力し検査Aを終了する。
【0040】
次に、b3のタイミングにより、制御部41は磁気ヘッド7、8において検査B(測定リソース1a、1bを使用)を開始しようとするが、制御部42により測定リソース1aが使用されているため、次のb4のタイミングまで待機する。
【0041】
その後同様にして、a3のタイミングで磁気ヘッド3、4は検査C(測定リソース2a、2bを使用)を、b4のタイミングで磁気ヘッド7、8は検査Bを行い、以降もタイミング信号a、bのタイミングにより検査を進める。
【0042】
検査Dは、他の検査と動作が異なるため説明する。a5のタイミングにより、制御部42は磁気ヘッド3、4の検査Dを開始する。まず切替/分配制御部33は制御部42からの信号を受け、切替/分配部19のSW1、SW2、切替/分配部21、23のSW1、切替/分配部29のSW3、切替/分配部31のSW1、切替/分配部34のSW2をONさせ、また測定リソース4が制御部42のイネーブル信号を受けて測定を行うように測定リソース内SWの設定を行う。同時に制御部42はライト信号生成部39に検査Dを行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、続いて出力イネーブル信号をONとする。同信号を受け、ライト信号生成部39は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替/分配部19、ライトアンプ9、11および磁気ヘッド3、4を介して磁気ディスク2に記録される。記録が終わると、磁気ヘッド3は磁気ディスク2から信号を再生し、同再生信号はリードアンプ10、切替/分配部21、LPF25、切替/分配部29および34を介して測定部α37中の測定リソース4に入力される。信号の再生開始と同時に制御部42は測定リソース4のイネーブル信号をONとして同再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC43に出力し磁気ヘッド3の検査Dが終了する。
【0043】
制御部42は、磁気ヘッド3の検査終了後、切替/分配制御部33に信号を出力して、切替/分配部34のSW2をOFFとし、続けて切替/分配部35のSW2をONとする。設定が終わると磁気ヘッド4の信号再生を開始し、同再生信号はリードアンプ12、切替/分配部23、LPF27、切替/分配部31および35を介して測定部α37中の測定リソース4に入力される。同時に制御部42は測定リソース4のイネーブル信号をONとして再生信号の特性評価を行って評価データをホストPC43に出力し、磁気ヘッド4の検査Dが完了する。b8のタイミングから開始する磁気ヘッド7、8の検査Dも同様にして行う。
【0044】
最後に、全磁気ヘッドについて全検査を終了後のa10およびb11のタイミングとなったとき、制御部42、41はディスク回転部1、5を停止させ、磁気ヘッド3、4、7、8を未検査品に交換し、再び検査を開始させる。
【0045】
本実施例では、記録・測定リソースを共用して4個の磁気ヘッドが、ほぼ同じタイミングで連続的に検査され、交換される。すなわち、この実施例では、特定の磁気ヘッド(4、7)にのみ使用できる限定タイプのリソース(1d、1c)があるにもかかわらず、リソースの使用順序の制約を守りながら、汎用タイプのリソース使用のタイミングを適切に制御することで、複数のリソースを効率的に共有出来る。また、4個の磁気ヘッドが、ほぼ同じタイミングで検査され、交換される。
【0046】
よって、磁気ヘッドや磁気ディスクの同時測定可能な数を増やして検査の効率を向上させた小形・低コストの磁気特性検査装置を提供することができる。
【0047】
また、検査の終了した2組の磁気ヘッドを、検査(書込や測定)の行われていないタイミングにおいて、未検査品に交換して次の検査を開始させる。したがって、磁気ヘッドの交換に伴い発生するノイズなどが検査(書込や測定)に影響を与えることもなく、高い測定精度を確保しつつ、検査の効率を向上させた磁気特性検査装置を提供することができる。
【0048】
[変形例1]
次に、実施例1の変形例について図4で説明する。変形例1は、前述の図1の構成の磁気特性検査装置に比べて測定リソース1c及び測定リソース1dが無い場合の例である。この例では、測定リソースの数や種類が少ないので、磁気ヘッド3、4と7、8の検査開始タイミングをずらして検査を行う。図4にその動作例を示す。
【0049】
まず、制御部42はホストPC43からの信号により回転数および回転のスタート/ストップ制御等を示す回転制御信号をディスク回転部1に出力して回転を開始させる。ディスク回転部1はインデックス信号やセクタ信号等の回転動作を示すタイミング信号aを制御部42に出力する。
【0050】
制御部42は、a1のタイミングにより検査A(測定リソース1a、1bを使用)を開始する。まず切替/分配制御部33は制御部42からの信号を受け、切替/分配部19のSW1、SW2、切替/分配部21、23のSW1、切替/分配部29のSW1、切替/分配部31のSW2をONにし、また測定リソース1a、1bが制御部42からのイネーブル信号により測定を行うように各測定リソース内SWを設定する。同時に制御部42はライト信号生成部39に検査Aを行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、続いて出力イネーブル信号をONとする。同信号を受け、ライト信号生成部39は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替/分配部19、ライトアンプ9、11および磁気ヘッド3、4を介して磁気ディスク2に記録される。
【0051】
次に、a2のタイミングによって磁気ヘッド3、4により磁気ディスク2から信号を再生し、磁気ヘッド3で再生した信号はリードアンプ10、切替/分配部21、LPF25、切替/分配部29を介して測定部36中の測定リソース1aに入力され、同様に磁気ヘッド4が再生した信号は測定リソース1bに入力される。同時にa2のタイミングで制御部42は測定リソース1a及び1bのイネーブル信号をONとし、測定リソース1a、1bは再生信号の特性評価を行って評価データをホストPC43に出力し検査Aは終了する。
【0052】
同様にして次のa3、a4のタイミングにおいて、磁気ヘッド3、4の検査Bを行う。
次に、a5のタイミングにおいて、磁気ヘッド3、4は検査Cを開始し、同時に制御部42は制御部41に磁気ヘッド7、8の検査を開始する信号を出力する。制御部42は同信号を受けて回転数および回転のスタート/ストップ制御等を示す回転制御信号をディスク回転部5に出力して回転を開始させる。ディスク回転部5はインデックス信号やセクタ信号等の回転動作を示すタイミング信号bを制御部41に出力する。制御部41はb1のタイミングにより検査A(測定リソース1a、1bを使用)を開始し、以降のタイミングによって磁気ヘッド7、8の検査を進める。
【0053】
先に検査を開始した磁気ヘッド3、4が全検査を終了した後、a10のタイミングにおいて、制御部42はディスク回転部1を停止させ、磁気ヘッド3、4を未検査品に交換し、再び検査を開始させる。磁気ヘッド3、4を交換している間も磁気ヘッド7、8は検査を続け、同様に磁気ヘッド7、8の全検査を終了した後のタイミングで制御部41はディスク回転部5を停止させ、磁気ヘッド7、8を未検査品に交換し、その後再び検査を開始させる。
【0054】
以上の一連の動作により、磁気ヘッド3、4と7、8のヘッド交換のタイミングをずらすことで作業者のヘッド交換作業の効率を向上し、検査がスムーズに行える。すなわち、本変形例では、実施例1と異なり、ヘッド交換のタイミングをずらすことができるので、ヘッド交換に要する時間が、検査(書込や測定)の期間に対して相対的に長い、たとえば検査期間の1/2〜1程度になる場合には、効果的な方法である。
【0055】
なお、ここでは磁気ヘッド7、8の検査を、開始はa5のタイミングとする例について説明したが、これに限定するものでは無く、例えば使用する測定リソースが重ならない限り、異なるタイミングで検査を開始したり、磁気ヘッド3、4の検査開始時間から一定時間後に磁気ヘッド7、8の検査を開始しても良いことは言うまでも無い。
【0056】
また、本実施例1や変形例では同一ディスク上の磁気ヘッドで常に同一測定項目の検査を行うため、各種類の測定リソースを同一ディスク上の磁気ヘッド数と同数以上具えることが好ましいが、各測定リソースの数はこれに制限されるものではない。例えば、測定部α37中の測定リソース1c、1dは、磁気ヘッドのリード/ライトのオフセット測定のように特性評価の最初に行なう項目で使用する測定リソースである場合、複数磁気ヘッドの検査を同時にスタートする場合には同測定リソースを同数具えることでスループット低下を防ぐことが好ましい。
【0057】
同様に、全テストのテスト時間のうち半分を超えて使用される測定リソースがある場合には、磁気ヘッド数と同数の測定リソースを具えることが好ましい。
また、ある測定リソースを使用する検査時間がタイミング信号間の時間の半分以下と短い場合には、測定部α37中の測定リソース4のように同一磁気ディスク上の磁気ヘッド間でも共有化を図ることで、更に小形・低コスト化を図ることが可能となる。
【0058】
また、ここでは全磁気ヘッド数と同数具える測定リソースまたは同一磁気ディスク上の磁気ヘッドで共有する測定リソースは1種類に限るものではなく、1種類以上でも良いし、または無くても良い。例えば、図4に示した変形例によれば、図1中の測定リソース1c、1dは必要ないため、一層の小形・低コスト化を図ることが出来る。
【0059】
[変形例2]
また、図1の実施例では磁気ヘッド3、4または7、8で記録・測定リソースのライト信号生成部39または40を共有する構成としているが、記録リソースを各々独立に設けるよう磁気特性検査装置の構成を変更しても良い。すなわち、図5に示すように図1の変形例として、ライト信号生成部39aの出力パターンをライトアンプ9を介して磁気ヘッド3に入力し、同様にライト信号生成部39bの出力パターンを磁気ヘッド4に、ライト信号生成部40aの出力パターンを磁気ヘッド7に、ライト信号生成部40bの出力パターンを磁気ヘッド8に入力する構成にしても良い。これにより、書込み、測定のタイミングの制御自由度が増し、検査の内容に応じたきめ細かい制御を行ない効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0060】
図6に、本発明の第2の実施形態の構成図を、図7に第2の実施形態の動作を説明するタイミングチャートの例を示す。この例では、磁気特性検査装置80の記録・測定リソースのうち、測定リソース1a、1b、2a、2b、3a、3 b、4はそれぞれいずれの磁気ヘッドにも使用できる汎用タイプの測定リソースである。また、ライト信号生成部73は2つの磁気ヘッド(53、54、57、58)に対応している。制御バス300やデータバス400はタイミング信号a、bのいずれか一方に対応している。
【0061】
図6において、磁気特性検査装置80は2対のディスク回転部51、55および磁気ディスク52、56を具えており、同磁気ディスク上に配置する磁気ヘッド53、54、57、58および各磁気ヘッドに対応したライトアンプ59、61、63、65とリードアンプ60、62、64、66を具える。
【0062】
ディスク回転部51、55は制御部76から回転制御信号を受けて回転動作を行い、回転動作を示すタイミング信号a、bを信号切替部74に出力し、同信号切替部はタイミング信号a、bのどちらか一方を選択して制御部76に出力する。同制御部76はこのタイミングをもとにライト信号生成部73、測定部72、78中の各測定リソース、および切替/分配制御部75の制御を行う。
【0063】
ライト信号生成部73の出力は切替/分配部69を介してライトアンプ59、61、63、65に接続されており、同ライト信号生成部の出力は同切替/分配部のSW1をONとすることでライトアンプ59に、SW2をONとすることでライトアンプ61に、SW3をONとすることでライトアンプ63に、SW4をONとすることでライトアンプ65に入力される。
【0064】
各測定リソース1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4cは、制御部76から制御バス300を通してイネーブル信号を受け、イネーブル信号がONのとき測定動作を行う。
【0065】
切替/分配制御部75は制御部76からの信号により切替/分配部69および切替部67、68、74の制御を行う。切替部 67はリードアンプ60またはリードアンプ64のどちらか一方の出力信号を選択してLPF70および測定リソース3aに出力し、LPF70を通過した信号は測定リソース1a、2a、4aに出力される。同様に、切替68はリードアンプ62とリードアンプ66のどちらか一方の出力信号を選択し、LPF71および測定リソース3bに出力する。LPF71を通過した信号は測定リソース1b、2b、4bに出力される。
【0066】
図7のタイミングチャートを用いて、図6の磁気特性検査装置80の動作を説明する。
まず、制御部76はホストPC77からの信号により回転数および回転のスタート/ストップ制御等を示す回転制御信号をディスク回転部51に出力し、同時に切替/分配制御部75に信号を送り、同切替/分配制御部は切替部74がタイミング信号aを、切替部67がリードアンプ60の出力信号を、切替部68がリードアンプ62の出力信号を通過するように制御し、さらに切替/分配部69のSW1およびSW2をONさせる。
【0067】
ディスク回転部51は、回転を開始すると、インデックス信号やセクタ信号等の回転動作を示すタイミング信号aを切替部74を介して制御部76に出力し、同制御部はa1のタイミングにより検査A’(測定リソース1a、1bを使用)を開始する。制御部76は、まずライト信号生成部73に検査Aを行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、続いて出力イネーブル信号をONにする。同信号を受け、ライト信号生成部73は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替/分配部69、ライトアンプ59、61および磁気ヘッド53、54を介して磁気ディスク52に記録される。
【0068】
次に、a2のタイミングで磁気ヘッド53、54は磁気ディスク52から信号を再生し、磁気ヘッド53が再生した信号はリードアンプ60、切替部67、LPF70を介して測定部72中の測定リソース1aに入力され、同様に磁気ヘッド54が再生した信号は測定リソース1bにされる。これと同時にa2のタイミングで制御部76は測定リソース1a及び1bのイネーブル信号をONとし、これにより各測定リソースは再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC77に出力する。
【0069】
以降、a3、…、a7のタイミングにより、同様にして検査B’、C’、D’が行われる。磁気ヘッド53、54が全検査を終了した後のa8のタイミングにより、制御部76はディスク回転部51を停止させ、今度は回転制御信号をディスク回転部55に出力して回転動作を開始させる。同時に切替/分配制御部75に信号を送り、同切替/分配制御部は、切替部74がタイミング信号bを、切替部67がリードアンプ64の出力信号を、切替部68がリードアンプ66の出力信号を通過させるように制御し、さらに切替/分配部69のSW1、SW2をOFF、SW3、SW4をONとする。
【0070】
この後、b1のタイミングにより磁気ヘッド57、58の検査を開始し、検査の間に磁気ヘッド53、54を未検査品に交換する。
このように、磁気ヘッド53、54と57、58の磁気ヘッドの測定を交互に行うことで作業者のヘッド交換作業の効率を向上し、検査をスムーズに行える。
【0071】
この実施例では、ライト信号が共用、すなわちディスクの半径方向に離間して配置されている磁気ヘッド53と54、あるいは磁気ヘッド57と58とがライト信号生成部73から出力される同じ周波数で制御されるため、磁気ヘッド53と54、あるいは磁気ヘッド57と58の記録密度には差が生ずる。しかし、ヘッド交換作業に要する時間が長い、たとえば検査期間の1/2〜1程度になる場合には、2組のヘッドの交換を異なる時間帯に行えるので、作業者のヘッド交換作業の効率を向上させることができる利点がある。
【0072】
[変形例3]
ここで、図6に示した実施例2では、磁気特性検査装置80が磁気ヘッド53、54または57、58でライト信号生成部73を共有する構成としているが、変形例として図8に示すように、同時に検査を行う2つの磁気ヘッドそれぞれに異なる周波数のライト信号生成部を具える構成にしても良い。
図8において、ライト信号生成部73aの出力信号は切替部69aによりライトアンプ59または63に、ライト信号生成部73bの出力信号は切替部69bによりライトアンプ61または65に入力される。
【0073】
この例によれば、ライト信号生成部の数が増えるが、実施例2における記録密度の差という問題は解消される。
【0074】
[変形例4]
また、図6に示した実施例2では、磁気特性検査装置がディスク回転部51、55において、ライト信号生成部73および測定リソース1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4bを交互に使用する構成としているが、変形例として図9に示すように、各ディスク回転部でライト信号生成部と測定リソースを個別に具えても良い。すなわち、各ディスク回転部51、55に対応して、それぞれ記録・測定リソースや制御部を持つ磁気特性検査装置80a、磁気特性検査装置80b を設ける。この変形例では、各磁気特性検査装置80a、磁気特性検査装置80bでライト信号が共用される。
【0075】
図9において、ライト信号生成部73aの出力はライトアンプ切替分配部69cに入力され、同切替/分配部はSW1がONのときにライトアンプ59に、SW2がONのときにライトアンプ61に信号を出力する。この変形例は、ライト信号生成部の数を少なくできる利点がある。
【実施例3】
【0076】
図10に本発明の第3の実施形態の磁気特性検査装置を、図11にこの実施形態の動作のタイミングチャートを示す。この実施例では、磁気特性検査装置120の記録・測定リソースのうち、2組の磁気ヘッドのいずれにも使用できる汎用タイプの測定リソースとして、1組の測定リソース1a、1b、2、3、4を備えている。また、2組の磁気ヘッドのそれぞれに対応する2組のライト信号生成部(108、109)を備え、各組の内外の磁気ヘッドが同じ記録密度になるように、2つの独立した周波数で制御される。
【0077】
図10において、磁気特性検査装置120は2対のディスク回転部81、85および磁気ディスク82、86を具えており、同磁気ディスク上に配置する磁気ヘッド83、84、87、88および各磁気ヘッドに対応したライトアンプ89、91、93、95とリードアンプ90、92、94、96を具える。ディスク回転部81、85は制御部114から回転制御信号を受けて回転動作を行い、回転動作を示すタイミング信号a、bを切替部112に出力し、同切替部はどちらか一方の信号を選択して制御部114に出力する。同制御部114はこのタイミングをもとにライト信号生成部108、109、測定部106および測定部α107中の各測定リソース、および切替/分配制御部113の制御を行う。
【0078】
ライト信号生成部108の出力信号は切替部110によりライトアンプ89または93に、ライト信号生成部109の出力信号は切替部111によりライトアンプ91または95に入力される。
各測定リソース1a、1b、2、3、4は、制御部114から制御バス300を通してイネーブル信号を受け、イネーブル信号がONとなったときに測定動作を行う。
【0079】
切替/分配制御部113は、制御部114からの信号により切替部97、98、110、111、112および切替/分配部99、100、103、104の制御を行う。切替/分配部 97はリードアンプ90またはリードアンプ94のどちらか一方の出力信号かを選択して、切替/分配部99に出力する。同様に、切替/分配部 98はリードアンプ92とリードアンプ96のどちらか一方の出力信号を選択し切替/分配部100に出力する。切替/分配部99、100、103、104は、切替部97、98の出力信号を各測定リソースへ切替または分配して出力する。切替部97の出力は切替/分配部99に接続され、同切替/分配部内のSW1の出力はLPF101を介して切替/分配部103に、SW2の出力は測定リソース3に接続されており、切替/分配部103内のSW1の出力は測定リソース1aに、SW2の出力は測定リソース2に、SW3の出力は測定リソース4に接続されている。同様に、切替部98の出力は切替/分配部100に接続されており、同切替/分配部内のSW1の出力はLPF102を介して切替/分配部104に、SW2の出力は測定リソース3に接続されており、切替/分配部104内のSW1の出力は測定リソース1bに、SW2の出力は測定リソース2に、SW3の出力は測定リソース4に接続されている。
【0080】
ここで切替/分配部99と100のSW2出力、切替/分配部103と104の各SW2出力およびSW3出力はそれぞれ結線されており、制御部114は出力が結線されているSWを同時に選択しないように制御を行う。
【0081】
図11のタイミングチャートを用いて図10の磁気特性検査装置の動作を説明する。
まず、制御部114はホストPC115からの信号により回転数および回転のスタート/ストップ制御等を示す回転制御信号をディスク回転部81に出力し、同時に切替/分配制御部113に信号を送り、同切替/分配制御部は切替部112がタイミング信号aを、切替部97がリードアンプ90の出力信号を、切替部98がリードアンプ92の出力信号を通過させるように制御し、さらに切替部110がライトアンプ89に信号を出力し、切替部111がライトアンプ91に信号を出力するように制御する。
【0082】
ディスク回転部81は回転動作に伴いインデックス信号やセクタ信号等の回転動作を示すタイミング信号aを切替部112を介して制御部114に出力し、同制御部はa1のタイミングにより検査A’(測定リソース1a、1bを使用)を開始する。制御部114は、まず切替/分配制御部113を制御し、同切替/分配制御部は切替/分配部99、100のSW1と、切替/分配部103、104のSW1をONさせ、同時にライト信号生成部108、109に検査Aを行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、続いて同ライト信号生成部の出力イネーブル信号をONにする。同信号を受けて、ライト信号生成部108、109は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替部110、111、ライトアンプ89、91および磁気ヘッド83、84を介して磁気ディスク82に記録する。
【0083】
次に、a2のタイミングで磁気ヘッド89、91は磁気ディスク82から信号の再生を開始し、磁気ヘッド83が再生した信号はリードアンプ90、切替部97、切替/分配部99、LPF101、切替/分配部103を介して測定部106中の測定リソース1aに入力され、同様に磁気ヘッド84が再生した信号は測定リソース1bにされる。これと同時にa2のタイミングで制御部114は測定リソース1a及び1bのイネーブル信号をONとし、これにより各測定リソースは再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC115に出力する。
【0084】
次に、a3のタイミングで、磁気ヘッド83は検査B’を、磁気ヘッド84は検査C’を開始する。制御部114は切替/分配制御部113に信号を送り、同切替/分配制御部は切替/分配部99のSW1、切替/分配部100のSW2、切替/分配部103のSW2をONさせ、同時にライト信号生成部108に検査B’を行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行い、ライト信号生成部109に検査C’を行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行う。続いて両ライト信号生成部の出力イネーブル信号をONにする。同信号を受けて、ライト信号生成部108、109は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替部110、111、ライトアンプ89、91および磁気ヘッド83、84を介して磁気ディスク82に記録する。磁気ヘッド84の検査C’については、記録終了後に続けて測定を開始し、磁気ヘッド84が再生した信号はリードアンプ92、切替部98、切替/分配部100を介して測定部106中の測定リソース3に入力される。これと同時に制御部114は測定リソース3のイネーブル信号をONとし、測定リソース3は再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC115に出力する。
【0085】
次のa4のタイミングで、磁気ヘッド83は磁気ディスク82から信号の再生を開始する。磁気ヘッド83が再生した信号はリードアンプ90、切替部97、切替/分配部99、LPF101、切替/分配部103を介して測定部106中の測定リソース2に入力される。これと同時に制御部114は測定リソース2のイネーブル信号をONとし、これにより測定リソース2は再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC115に出力する。
【0086】
また、同じくa4のタイミングで、磁気ヘッド84は検査D’を開始し、制御部114は切替/分配制御部113に信号を送り、同切替/分配制御部は切替/分配部100のSW1、切替/分配部104のSW3をONさせ、同時にライト信号生成部109に検査D’を行うための任意周波数パターン設定データを出力して設定を行う。続いて同ライト信号生成部の出力イネーブル信号をONにし、同信号を受けて、ライト信号生成部109は任意周波数パターンを出力し、同信号は切替部111、ライトアンプ91および磁気ヘッド84を介して磁気ディスク82に記録する。磁気ヘッド84の検査D’は、書込み終了後に続けて測定を開始し、磁気ヘッド84が再生した信号はリードアンプ92、切替部98、切替/分配部100、LPF102、切替/分配部104を介して測定部106中の測定リソース4に入力される。これと同時に制御部114は測定リソース4のイネーブル信号をONとし、測定リソース4は再生信号の特性評価を行い、評価データをホストPC115に出力する。
【0087】
以降のタイミングにより同様にして検査を行い、磁気ヘッド83、84が全検査終了した後のa7のタイミングにより、制御部114はディスク回転部81を停止させ、今度は回転制御信号をディスク回転部85に出力して回転動作を開始させる。同時に切替/分配制御部113に信号を送り、同切替/分配制御部は、切替部114がタイミング信号bを、切替部97がリードアンプ94の出力信号を、切替部98がリードアンプ96の出力信号を通過するように制御し、さらに切替部110がライトアンプ93に信号を出力し、切替部111がライトアンプ95に信号を出力するように制御を行う。
【0088】
この後、b1のタイミングにより磁気ヘッド87、88の検査が開始され、その間に磁気ヘッド83、84は未検査品に交換される。
【0089】
このように、本実施例では、2組の磁気ヘッドが1組の測定リソースを共用するため、磁気特性検査装置が小形、低コストになる。たとえば、磁気ヘッド83と磁気ヘッド83の検査で、検査B’と、検査Cおよび検査D’の書込、測定を並行して行うため、ノイズの影響による測定制度の低下という懸念はあるが、測定リソースの利用効率はいっそう高まる。また、磁気ヘッド83、84と87、88の磁気ヘッドの測定を交互に行うことで作業者のヘッド交換作業の効率を向上し、検査がスムーズに行える。
【0090】
[変形例5]
図10の実施例3では、ディスク回転部81、85において、ライト信号生成部108と109および測定リソース1a、1b、2、3、4を交互に使用する構成としているが、図12に変形例として示すように、検査装置を2つの磁気特性検査装置120aと磁気特性検査装置120bに分け、各ディスク回転部81、85でライト信号生成部と測定リソースを個別に具えても良い。
【0091】
図12において、ライト信号生成部108a、109aの出力はライトアンプ89、91に、リードアンプ90、92の出力は切替/分配制御部99a、100aに、ディスク回転部のタイミング信号aは制御部114aにそれぞれ直接入力される。
【0092】
以上述べた磁気特性検査装置の各実施例及びそれらの各変形例の説明では、例としてディスク回転部(およびこのディスク回転部に装着される磁気ディスク)の数(N)が2個、各磁気ディスク上に配置する磁気ヘッド数(M)も2個、測定リソースの数(T)を4種類とし、ライト信号生成部の数(R)のみ1つまたは2つとしたが、N、M、T、Rはこれに限定しないことは言うまでも無い。磁気ヘッド数(M)や測定リソースの数(T)、ライト信号生成部の数(R)は、1個あるいは1種以上でよい。
【0093】
ただし、本発明の磁気特性検査装置の大きな特徴の1つは、ディスク回転部の数(N)が複数あることにある。そして、記録・測定リソースが複数のディスク回転部のいずれに同期した測定をするものかを切替える手段を具えることで、検査するための記録・測定リソースの共有化を実現することができる。
【0094】
また、上記実施例及びそれらの各変形例中の切替/分配部はスイッチで構成しているが、リレーや半導体スイッチに限らず半導体分配バッファのイネーブル等によっても実現できることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0095】
1、5、51、55、81、85、202…ディスク回転部、
2、6、52、56、82、86、203…磁気ディスク、
3、4、7、8、53、54、57、58、83、84、87、88、204、205…磁気ヘッド、
9、11、13、15、59、61、63、65、89、91、93、95、206、207…ライトアンプ、
10、12、14、16、60、62、64、66、90、92、94、96、208、209…リードアンプ、
19、20、21、22、23、24、29、30、31、32、34、35、69、69c、99、99a、100、100a、103、104…切替/分配部、67、68、74、69a、69b、97、98、110、111、112…切替部、
25、26、27、28、70、71、101、102、213、214…LPF、33、75、75a、113、221…切替/分配制御部、
36、38、72、78、106、217、218…測定部、
37、107…測定部α、
39、39a、39b、40、40a、40b、73、73a、73b、73c、108、108a、109、109a、219、220…ライト信号生成部、
41、42、76、76a、114、114a、222…制御部、
43、77、115、223…ホストPC、
50、80、80a、80b、120、120a、120b、201…磁気特性検査装置、
300、300a、300b…制御バス、
400…データバス、
STW1…測定リソース内ディスク回転部選択機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクを各々回転動作させるための2つのディスク回転部と、
前記2つのディスク回転部により各々保持される各磁気ディスク上に、該各磁気ディスクの半径方向に離間して配置される2個の磁気ヘッドと、
前記2つのディスク回転部の各々に対応し、前記各磁気ディスク上の前記2個の磁気ヘッドのそれぞれに検査用のライト信号を同時に与える2つのライト信号生成部と、
前記各磁気ヘッドから読出した信号の波形特性を各々検査する複数の測定部と、
前記ライト信号生成部および前記測定部の切替または分配を制御する切替/分配制御機能と、
前記各測定部が前記2つのディスク回転部のどのディスク回転部に同期して動作するかを選択するディスク回転部選択機能とを備え、
前記各ライト信号生成部は、前記半径方向内外の2個の磁気ヘッドが同じ記録密度になるように、2つの独立した周波数の前記ライト信号を生成する機能を有し、
前記ディスク回転部選択機能は、前記複数の測定部が前記2つのディスク回転部のいずれに同期したタイミング信号を選択するかを決定する切替えスイッチを備えており、
前記複数の測定部を共用して、前記各磁気ヘッドに関する検査を前記ディスク回転部ごとに異なるタイミングで行い、前記ディスク回転部ごとに異なるタイミングでヘッド交換を行うと共に、前記各ディスク回転部の2つの前記磁気ヘッドに関する検査を、ほぼ同じタイミングで行い、ほぼ同じタイミングで該磁気ヘッドの交換を行う、ことを特徴とする磁気特性検査装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記切替/分配制御機能は、前記ディスク回転部選択機能により選択された前記いずれかのディスク回転部から出力されるタイミング信号に基づいて、前記ライト信号生成部および前記測定部を切替または分配する制御を行う、ことを特徴とする磁気特性検査装置。
【請求項3】
磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査を行う機能を備えた磁気特性検査装置により、書込みおよび読出し可能な磁気ディスクあるいは磁気ヘッドの検査を行う方法であって、
前記磁気特性検査装置は、
磁気ディスクを各々回転動作させるための2つのディスク回転部と、
前記2つのディスク回転部により各々保持される各磁気ディスク上に、該各磁気ディスクの半径方向に離間して配置される2個の磁気ヘッドと、
前記2つのディスク回転部の各々に対応し、前記各磁気ディスク上の前記2個の磁気ヘッドのそれぞれに検査用のライト信号を同時に与える2つのライト信号生成部と、
前記各磁気ヘッドから読出した信号の波形特性を各々検査する複数の測定部と、
前記ライト信号生成部および前記測定部の切替または分配を制御する切替/分配制御機能と、
前記各測定部が前記2つのディスク回転部のどのディスク回転部に同期して動作するかを選択するディスク回転部選択機能とを備え、
前記各ライト信号生成部は、前記半径方向内外の2個の磁気ヘッドが同じ記録密度になるように、2つの独立した周波数の前記ライト信号を生成する機能を有し、
前記ディスク回転部選択機能は、前記複数の測定部が前記2つのディスク回転部のいずれに同期したタイミング信号を選択するかを決定する切替えスイッチを備えており、
前記2つの前記磁気ヘッドと前記書込信号生成部および前記測定部との接続関係を制御し、
前記複数の測定部の各測定部について、各々前記2個のディスク回転部のいずれかに同期したタイミング信号を選択し、
前記各測定部を使用して、前記選択されたディスク回転部ごとに回転に同期したタイミングで前記検査を行い、前記ディスク回転部ごとに異なるタイミングでヘッド交換を行うと共に、
前記各ディスク回転部の2つの前記磁気ヘッドに関する検査を、前記2つの独立した周波数のライト信号を用いてほぼ同じタイミングで行い、ほぼ同じタイミングで該磁気ヘッドの交換を行う、ことを特徴とする磁気特性検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−267374(P2010−267374A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157447(P2010−157447)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【分割の表示】特願2004−370780(P2004−370780)の分割
【原出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】