磁気記憶装置の試験装置、調整装置および製造方法
【課題】サーボトラックの書き込み方式の異なる磁気記憶装置を効率よく製造する。
【解決手段】装置判別部15により、磁気記憶装置がセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、第1の調整制御部11および試験制御部12の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれ書き込み/読み出し試験のための調整動作および書き込み/読み出し試験を順に実行させる。また、磁気記憶装置がセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、第2の調整制御部13およびセルフSTW制御部14の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれセルフSTWのための調整動作およびセルフSTWを順に実行させた後、さらに、第1の調整制御部11および試験制御部12の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれ書き込み/読み出し試験のための調整動作および書き込み/読み出し試験を順に実行させる。
【解決手段】装置判別部15により、磁気記憶装置がセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、第1の調整制御部11および試験制御部12の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれ書き込み/読み出し試験のための調整動作および書き込み/読み出し試験を順に実行させる。また、磁気記憶装置がセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、第2の調整制御部13およびセルフSTW制御部14の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれセルフSTWのための調整動作およびセルフSTWを順に実行させた後、さらに、第1の調整制御部11および試験制御部12の制御により、この磁気記憶装置にそれぞれ書き込み/読み出し試験のための調整動作および書き込み/読み出し試験を順に実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記憶装置に動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置、磁気記憶装置に動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置、および、磁気記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(Hard Disk Drive)の磁気ディスク媒体には、磁気ヘッドをデータトラックに位置決めするためのサーボトラックが記録されている。サーボトラックの書き込み工程は一般にSTW(Servo Track Writing)と呼ばれ、HDDの製品出荷前に行われる。このSTWの方式は、HDDの外部のSTW専用装置によってサーボトラックを書き込む外部STW方式と、HDDの内部においてHDD自身の磁気ヘッドによりサーボトラックを書き込むセルフSTW方式とに大別される。
【0003】
セルフSTW方式には、完全にHDDの内部でサーボトラックを書き込む方式の他に、例えば次のような方法も存在する。第1の方式は、外部装置において磁気ディスク媒体に粗い仮サーボ信号を書き込んでおき、その磁気ディスク媒体をHDDに組み込んだ後に、仮サーボ信号を利用して最終的なサーボトラックを書き込む方式である(例えば、特許文献1参照)。また、第2の方式は、HDD内の複数の磁気ディスク媒体のうちの例えば1枚にのみ外部装置によってサーボトラックを書き込んでおき、そのサーボトラックを基にHDDの内部のすべての磁気ディスク媒体にサーボトラックを書き込む方法である。
【0004】
ところで、STW工程では、磁気ディスク媒体に形成される多数のシリンダごとに情報が書き込まれるため、1枚の磁気ディスク媒体に要するSTW工程は非常に長くなる。STW専用設備に対しては、STW工程を短時間に高精度で実行することが常に要求されており、このためにSTW専用設備自体の製造コストは増大してしまう。なお、STW工程を短縮するために、STW専用装置において複数枚の磁気ディスク媒体に対してサーボパターンを一括して書き込む方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このような方法では、STW専用装置自体の製造コストはさらに増大してしまう。
【0005】
一方、セルフSTW方式では、STW工程自体は長時間を要するものの、磁気ディスク媒体をHDDに組み込んだ後にSTW工程が実行されるため、STW工程をSTW専用設備よりはるかに低コストの設備において実行可能である。しかも、STW工程を、HDDの試験や調整などの他の工程と連続的に実行することも可能である。このため、セルフSTW方式の方が全体として製造効率を改善できるというメリットがある。
【特許文献1】特開2001−143416号公報
【特許文献2】特開平1−217777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルフSTW方式には、外部STW方式に対する上記のような優位点があることから、HDDの製造に採用するSTW工程を外部STW方式からセルフSTW方式に移行するという動向もある。しかし、現実的には、製造するすべてのHDDを外部STW方式からセルフSTW方式へ一度に変更することは困難である。このため、外部STW方式のHDDとセルフSTW方式のHDDとを、共通の製造設備を用いて効率よく製造できることが要求されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、サーボトラックの書き込み方式の異なる磁気記憶装置を効率よく製造可能な、磁気記憶装置の試験装置、調整装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置が提供される。この試験装置は、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、を有する。
【0009】
このような磁気記憶装置の試験装置では、磁気記憶装置が接続されると、装置判別部により、この磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かが判別される。ここで、磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、試験制御部の制御により、磁気記憶装置において書き込み/読み出し試験が実行される。一方、接続された磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、自己書き込み動作制御部の制御により、磁気記憶装置においてサーボトラックの自己書き込み動作が実行される。さらにこの後、第1の調整制御部の制御により、書き込み/読み出し試験のための調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、試験制御部の制御により、磁気記憶装置において書き込み/読み出し試験が実行される。
【0010】
また、上記目的を達成するために、磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置が提供される。この調整装置は、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、を有する。
【0011】
このような磁気記憶装置の調整装置では、磁気記憶装置が接続されると、装置判別部により、この磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かが判別される。ここで、磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、第1の設定処理部により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理が磁気記憶装置に対して施される。一方、接続された磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、第2の設定処理部により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理が磁気記憶装置に対して施される。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために、上記の試験装置を用いて実行される工程を含む磁気記憶装置の製造方法が提供される。また、上記の調整装置を用いて実行される工程を含む磁気記憶装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記の磁気記憶装置の試験装置、および、上記の磁気記憶装置の調整装置によれば、サーボトラックの書き込み方式の異なる磁気記憶装置を効率よく製造可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る試験装置の概要を示す図である。
図1に示す試験装置10は、HDDの製造工程の一部を担う装置であり、磁気ディスク媒体が内部に組み込まれた状態のHDDが接続されて、このHDDに各種の調整や動作試験を実行させる。この試験装置10に接続されるHDDとしては、外部STW方式を採用したHDD(以下、外部STW型HDDと呼称する)と、セルフSTW方式を採用したHDD(以下、セルフSTW型HDDと呼称する)の両方を適用可能になっている。外部STW方式では、HDD本体への組み込み前に磁気ディスク媒体に対するサーボトラックの書き込みが行われる。一方、セルフSTW方式では、HDD本体の内部に磁気ディスク媒体を搭載した状態でサーボトラックの書き込みが行われる。そして、図1の試験装置10では、セルフSTW型HDDについては、セルフSTWを実行させた後、上記の各種の調整や動作試験を実行させることができるようになっている。
【0015】
この試験装置10は、第1の調整制御部11、試験制御部12、第2の調整制御部13、セルフSTW制御部14、装置判別部15および工程制御部16を備えている。
第1の調整制御部11は、試験制御部12の制御の下でHDDに実行させる動作試験の事前処理として、動作試験の実行のために必要なHDD内部の調整動作をHDDに実行させる。試験制御部12は、HDDに動作試験を実行させる。この動作試験としては、HDDに搭載された磁気ディスク媒体に対する書き込み/読み出し試験が含まれる。
【0016】
第2の調整制御部13は、セルフSTW制御部14の制御の下でHDDに実行させるセルフSTWの事前処理として、セルフSTWの実行のために必要なHDD内部の調整動作をHDDに実行させる。セルフSTW制御部14は、HDDにセルフSTWを実行させる。
【0017】
装置判別部15は、接続されたHDDが、セルフSTWの実行が必要な装置であるか否かを判別する。装置判別部15は、例えば、HDDの外装面などに記載された、セルフSTW型HDDであるか否かを示す装置種別情報を基に、上記の判別処理を行う。
【0018】
工程制御部16は、装置判別部15による判別結果に応じて、第1の調整制御部11、試験制御部12、第2の調整制御部13およびセルフSTW制御部14の動作を、次のように制御する。
【0019】
装置判別部15により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部11の制御により、HDDが動作試験を実行するために必要な装置内の調整動作がHDDにおいて実行される。次に、試験制御部12の制御により、HDDにおいて動作試験が実行される。
【0020】
一方、装置判別部15により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部13の制御により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な装置内の調整動作が、HDDにおいて実行される。次に、セルフSTW制御部14の制御により、HDDにおいてセルフSTWが実行される。さらにこの後、第1の調整制御部11の制御により、動作試験実行のための調整動作がHDDにおいて実行され、続いて、試験制御部12の制御により、HDDにおいて動作試験が実行される。
【0021】
以上のような試験装置10では、HDDの調整工程や動作試験工程に加えて、セルフSTW工程も実行可能としたことにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDとを並行して製造する場合の設備にかかるコストを抑制できる。また、接続されたHDDに対してセルフSTWが必要か否かを判別し、その判別結果に応じて必要な工程を自動的に実行するようにしたことで、上記2方式のHDDの製造効率を向上させることができる。
【0022】
ところで、上記の試験装置10は、HDDに調整を実行させる機能と動作試験を実行させる機能の両方を備えている。しかし、これらの機能が個別の装置において実現される場合も考えられる。次の図3には、これらの機能が調整装置と試験装置とに分割されて実現される場合の構成例を挙げる。
【0023】
図2は、実施の形態に係る調整装置の概要を示す図である。
図2に示す調整装置20は、HDDに動作試験を実行させるために必要な前処理を実行するための装置である。すなわち、この調整装置20に接続されて処理されたHDDは、その後、図2に示す試験装置30に接続され、その状態で動作試験を実行することが可能になる。また、調整装置20には、これに加えて、セルフSTW型HDDにセルフSTWを実行させるために必要な前処理も実行可能になっている。この調整装置20は、第1の調整制御部21、第1の設定処理部22、第2の調整制御部23、第2の設定処理部24、装置判別部25および工程制御部26を備えている。
【0024】
第1の調整制御部21は、HDDが動作試験を実行するために必要なHDD内部の調整動作を、HDDに実行させる。第1の設定処理部22は、HDDが動作試験を実行するために必要な設定処理を、HDDに対して施す。なお、図1の場合と同様に、この動作試験には、磁気ディスク媒体に対する書き込み/読み出し試験が含まれる。
【0025】
第2の調整制御部23は、HDDがセルフSTWを実行するために必要なHDD内部の調整動作を、HDDに実行させる。第2の設定処理部24は、HDDがセルフSTWを実行するために必要な設定処理を、HDDに対して施す。
【0026】
装置判別部25は、接続されたHDDが、セルフSTWの実行が必要な装置であるか否かを判別する。この装置判別部25は、例えば、接続されたHDDがセルフSTW型HDDであるか否かを判別する装置種別判別機能と、この判別処理によりHDDがセルフSTW型HDDと判別された場合に、HDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別機能とを備えていてもよい。この場合、装置種別判別機能により、HDDがセルフSTW型HDDでないと判別されたときと、HDDがセルフSTWHDDであった場合でも、動作実行判別機能により、そのHDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みであると判別されたときに、そのHDDがセルフSTWの実行が必要でないと判別される。一方、HDDがセルフSTWHDDと判別された場合に、動作実行判別機能により、そのHDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みでないと判別されたときに、そのHDDがセルフSTWの実行が必要であると判別される。
【0027】
工程制御部26は、装置判別部25による判別結果に応じて、第1の調整制御部21、第1の設定処理部22、第2の調整制御部23および第2の設定処理部24の動作を、次のように制御する。
【0028】
装置判別部25により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部21の制御により、HDDが動作試験を実行するために必要な装置内の調整動作がHDDにおいて実行される。次に、第1の設定処理部22により、HDDが動作試験を実行するために必要な設定処理が、HDDに対して施される。
【0029】
このような処理により、HDDは、動作試験を自分自身によって実行可能な状態になる。このHDDは、調整装置20から取り外されて試験装置30に接続され、この試験装置30から電源の供給を受けて、動作試験を自動的に実行する。
【0030】
一方、装置判別部25により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部23の制御により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な装置内の調整動作が、HDDにおいて実行される。次に、第2の設定処理部24により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な設定処理が、HDDに対して施される。
【0031】
このような処理により、セルフSTWを自分自身によって実行可能な状態になる。このHDDは、調整装置20から取り外されて、例えば試験装置30に接続され、この試験装置30から電源の供給を受けて、セルフSTWを自動的に実行する。ここで、HDDの動作試験とセルフSTWとは、共通の装置、すなわち試験装置30において実行可能である。ただし、これらの動作が個別の装置において実行されてもよい。
【0032】
また、試験装置30においてセルフSTWが正しく実行されたHDDは、試験装置30から取り外されて、調整装置20に再度接続される。このとき、装置判別部25は、接続されたHDDをセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別する。このため、工程制御部26の制御の下で、前述のように第1の調整制御部21および第1の設定処理部22の処理が実行され、HDDは動作試験を実行可能な状態になる。
【0033】
以上のような調整装置20では、HDDの動作試験用の調整工程や設定工程に加えて、セルフSTW用の調整工程や設定工程も実行可能としたことにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDとを並行して製造する場合の設備にかかるコストを抑制できる。また、接続されたHDDに対してセルフSTWが必要か否かを判別し、その判別結果に応じて必要な工程を自動的に実行するようにしたことで、上記2方式のHDDの製造効率を向上させることができる。
【0034】
次に、図1および図2に示した機能を有する装置を含む、HDDの製造システムについて、より具体的に説明する。以下の説明では、図1の試験装置10を含む製造システムを第1の実施の形態として、また、図2の調整装置20および試験装置30を含む製造システムを第2の実施の形態として、それぞれ説明する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
本実施の形態のHDD製造システムは、HDDに搭載される磁気ディスク媒体に対してサーボトラックを書き込み、その磁気ディスク媒体をHDD本体に組み込んで、各種の調整や試験を行うためのものである。このHDD製造システムは、HDDとして、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの両方に対して上記の工程を実行できるようになっている。
【0036】
ここで、図3は、HDD製造システムで製造されるHDDの基本的なハードウェア構成例を示す図である。
図3に示すHDD100は、磁気ディスク媒体101、磁気ヘッド102、ヘッドアクチュエータ103、RDC(Read Channel)104、HDC(Hard Disk Controller)105、MCU(Motor Controll Unit)106、不揮発性メモリ107、SVC(Servo Controller)108、通信I/F(Interface)109および電源回路110を備えている。
【0037】
RDC104は、磁気ヘッド102によって磁気ディスク媒体101から読み取られた信号を復調して再生データを生成し、誤り訂正を行った後、その再生データをHDC105に出力する。また、HDC105から受信した記録データを変調して記録データ信号を生成し、磁気ヘッド102に出力する。
【0038】
HDC105は、通信I/F109を通じて外部装置から、あるいはMCU106から、磁気ディスク媒体101に記録するための記録データの供給を受け、エラー訂正コードを付与してRDC104に出力する。また、RDC104を介して磁気ディスク媒体101から読み取られた再生データを、通信I/F109を介して外部装置へ、あるいはMCU106へ出力する。また、HDC105は、外部装置からの制御コマンドや各種ファームウェア(以下、F/Wと略称する)などをMCU106に転送したり、MCU106から送信要求されたデータを外部装置に送信する処理なども実行可能になっている。
【0039】
MCU106は、SVC108を介してヘッドアクチュエータ103を制御して、磁気ディスク媒体101に対する磁気ヘッド102の位置決め制御を行う。本実施の形態では、MCU106は、内部にCPU(Central Processing Unit)を備えており、不揮発性メモリ107に格納されたF/Wを読み出して実行することにより、各種の制御処理を行う。
【0040】
MCU106は、磁気ディスク媒体101から読み取られたサーボ信号をRDC104およびHDC105を介して取得し、データの記録または再生を行う磁気ディスク媒体101上のシリンダ、セクタなどの位置を演算により決定する。そして、決定された位置情報を入力としてサーボ制御用のフィルタ演算を行うことで制御電流の値を決定し、SVC108に通知する。これにより、SVC108からヘッドアクチュエータ103に対して制御電流が出力されて、磁気ヘッド102が位置決めされる。
【0041】
また、MCU106は、外部装置からHDC105を介して受信した制御コマンドに応じて、磁気ディスク媒体101を用いた記録・再生動作に関する調整動作や試験動作を制御することも可能になっている。さらに、このような動作を、不揮発性メモリ107に格納されたスケジュール情報に従って制御することも可能になっている。
【0042】
不揮発性メモリ107は、例えばフラッシュメモリであり、MCU106により実行されるF/Wや、各種のデータが記憶される。
SVC108は、MCU106から指示される制御電流をヘッドアクチュエータ103に出力し、ヘッドアクチュエータ103を動作させて磁気ヘッド102を所定の位置に移動させる。
【0043】
通信I/F109は、通信コネクタ109aを介して外部装置と接続し、外部装置との間でデータの送受信を行う。
電源回路110は、電源コネクタ110aを介して外部装置から電源の供給を受け、その電源電圧を所定の電圧に変換して、HDD100内部の各部に供給する。
【0044】
ところで、HDD内部のハードウェア構成としては、外部STW型HDDであっても、セルフSTW型HDDであっても、基本的に上記の図3に示すような構成とすることができる。ここで、本実施の形態で適用される磁気ディスク媒体に書き込まれるサーボ信号パターンの例について説明する。
【0045】
図4は、外部STW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
外部STW型HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体には、例えば、サーボのために必要なサーボ信号が円周方向に一定の間隔で書き込まれる。そして、このようなサーボ信号は、すべてのシリンダ(トラック)に対応する位置に書き込まれる。また、各シリンダのサーボ情報は、例えば、磁気ディスク媒体において放射状に隣接配置される。図3に示す各放射状パターンP1は、このように放射状に隣接配置されたサーボ情報群を示している。
【0046】
図3のHDD100が外部STW型HDDである場合には、磁気ディスク媒体101として、図4に示したようにサーボトラックがあらかじめ書き込まれた磁気ディスク媒体101aがHDD100に組み込まれる。そして、磁気ディスク媒体101aを用いたデータの記録または再生時には、サーボトラックから読み取られた情報を基に磁気ヘッド102の位置決め制御が行われる。
【0047】
図5は、セルフSTW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
本実施の形態では、セルフSTW方式の例として、HDD本体に組み込まれる磁気ディスク媒体に対して、STW工程の際に必要となる仮サーボ信号をあらかじめ書き込んでおく方式を採用する。本実施の形態では、このような仮サーボ信号を、磁気ディスク媒体に対して複数のスパイラルパターンP2として書き込んでおく。
【0048】
HDD100がセルフSTW型HDDである場合には、磁気ディスク媒体101として、図5の上段に示すようなスパイラルパターンP2のみが記録された磁気ディスク媒体101bがHDD100に組み込まれる。そして、セルフSTWが実行される際には、外部装置からHDD100の不揮発性メモリ107に対して、セルフSTW用F/Wが格納され、このF/WがMCU106によって実行される。
【0049】
MCU106は、セルフSTW用F/Wを実行することにより、サーボトラックに書き込むべき位置情報を演算し、HDC105を介してRDC104に出力する。これとともに、磁気ディスク媒体101b上のスパイラルパターンP2に記録された信号をRDC104およびHDC105を介して読み取る。MCU106は、例えば、隣接するスパイラルパターンP2内の所定の信号が一定の速度で読み出されるように、磁気ディスク媒体101bの回転速度および磁気ヘッド102のシリンダ方向の位置を制御する。これにより、磁気ディスク媒体101の所定の位置にサーボ用の信号が書き込まれ、最終的なサーボトラックが生成される。図5の下段に示した放射状パターンP3は、このように書き込まれたサーボトラックを示しており、本実施の形態では、外部STW型HDDで形成されるものと同じサーボトラックが、セルフSTW型HDD内の磁気ディスク媒体101bにも生成されるものとする。
【0050】
次に、図6は、第1の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。なお、この図には、HDD製造システムにおけるHDDの製造工程についても概略的に示している。
【0051】
図6に示すHDD製造システムは、STW装置210、組み立て装置220および調整・試験装置300を備えている。
STW装置210は、HDDに搭載される磁気ディスク媒体に対してサーボトラックを書き込むための装置である。また、STW装置210は、セルフSTW型HDD用の磁気ディスク媒体に対して、セルフSTWを実行可能にするための仮サーボ信号を書き込むことも可能になっている。
【0052】
組み立て装置220は、HDDを組み立てるための装置である。STW装置210での工程を終えた磁気ディスク媒体は、この組み立て装置220においてHDD本体に組み込まれる。
【0053】
なお、STW装置210および組み立て装置220の各機能は、それぞれ複数の装置群として実現されてもよい。
調整・試験装置300は、図1に示した試験装置10に対応する装置であり、磁気ディスク媒体が搭載されたHDDに、製品出荷前に必要な各種の調整・試験を実行させる。また、調整・試験装置300では、セルフSTW型HDDにセルフSTW工程を実行させることも可能になっている。後述するように、調整・試験装置300は、接続されたHDDが外部STW型か、あるいはセルフSTW型かを判別する機能を備えている。
【0054】
このようなHDD製造システムにおいて、外部STW型HDDが製造される場合には、まず、HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体がSTW装置210に投入され、この磁気ディスク媒体に対するSTW工程が実行される(ステップS11)。この工程により、図3に示したようなサーボトラックが書き込まれた、外部STW型HDD用の磁気ディスク媒体101aが製造される。
【0055】
次に、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101aは、組み立て装置220に投入され、この磁気ディスク媒体101aがHDDの内部に組み込まれる(ステップS12)。この工程により磁気ディスク媒体101aが搭載されたHDD100aは、調整・試験装置300に投入される。
【0056】
調整・試験装置300は、後述するように、HDDに対する電源供給機能を備えており、HDD100aは、調整・試験装置300に接続されて、この調整・試験装置300から電源の供給を受ける。そして、調整・試験装置300では、HDD100aに対する装置調整工程(ステップS13)と、装置試験工程(ステップS14)とが実行される。
【0057】
装置調整工程では、例えば、HDD100aにおける磁気ヘッド102の位置決め制御の誤差を抑制するための調整などが行われる。また、装置試験工程では、磁気ディスク媒体101aに対して正しくデータが書き込まれるかを確認する書き込み/読み出し試験などが行われる。これらの工程では、調整・試験装置300からHDD100aに対して、各工程のためのF/Wや制御コマンドなどが送出される。以上のような工程を経ることで、外部STW型のHDD100aが完成する。
【0058】
一方、このHDD製造システムにおいて、セルフSTW型HDDが製造される場合には、まず、HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体がSTW装置210に投入される。そして、この磁気ディスク媒体に対してスパイラルパターンを書き込む工程が実行される(ステップS21)。この工程により、図4に示したようなスパイラルパターンが書き込まれた、セルフSTW型HDD用の磁気ディスク媒体101bが製造される。なお、本実施の形態では、サーボトラックの書き込み工程(ステップS11)と、スパイラルパターンの書き込み工程(ステップS21)とが共通のSTW装置210において実行されるが、これらの工程はそれぞれ個別の装置または装置群において実行されてもよい。
【0059】
スパイラルパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体101bは、組み立て装置220に投入され、この磁気ディスク媒体101bがHDDの内部に組み込まれる(ステップS12)。この工程は、外部STW型HDDの場合と同様の工程によって実現することができる。この工程により磁気ディスク媒体101bが搭載されたHDD100bは、調整・試験装置300に投入される。
【0060】
HDD100bは、調整・試験装置300に接続されて、この調整・試験装置300から電源の供給を受ける。調整・試験装置300は、接続されたHDD100bがセルフSTW型であると判別すると、このHDD100bに対して、まず、セルフSTW工程を行うために必要な装置調整工程を実行させ(ステップS22)、その後にセルフSTW工程を実行させる(ステップS23)。これにより、HDD100b内の磁気ディスク媒体101bには、外部STW型のHDD100a内の磁気ディスク媒体101aと同様のサーボトラックが書き込まれる。
【0061】
この後、調整・試験装置300では、サーボトラックが書き込まれたHDD100bに対して、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)および装置試験工程(ステップS14)が実行される。これにより、セルフSTW型のHDD100bが完成する。
【0062】
ここで、図7は、従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。この図7を用いて、本実施の形態のHDD製造システムと、従来のHDD製造システムとの動作の違いについて説明する。なお、図7では、図6に対応する構成要素については同じ符号を付して示している。
【0063】
図7において、調整・試験装置921は、外部STW型のHDD100aの調整や試験を行うための装置である。すなわち、この調整・試験装置921では、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101aが組み込まれたHDD100aに対して、図6のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13a)と、図6のステップS14に対応する装置試験工程(ステップS14a)とが実行される。
【0064】
一方、セルフSTW型のHDD100bを製造するためには、上記の調整・試験装置921とは別に、セルフSTW装置910を設ける必要があった。すなわち、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101bが組み込まれたHDD100bは、セルフSTW装置910に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図6のステップS22に対応するセルフSTW用調整工程(ステップS22b)と、図6のステップS23に対応するセルフSTW工程(ステップS23b)とが実行される。
【0065】
これらの工程によりサーボトラックが書き込まれたHDD100bは、セルフSTW装置910から取り外されて、次の調整・試験工程に投入される。通常、セルフSTW型HDD用の調整・試験装置922は、セルフSTW型HDD用の製造ライン上に、外部STW型HDD用の調整・試験装置921とは別に設けられる。HDD100bは、調整・試験装置922に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図6のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13b)と、図6のステップS14に対応する装置試験工程(ステップS14b)とが実行される。
【0066】
このように、従来、セルフSTW型HDDを製造するためには、セルフSTW工程を実行するための専用の装置が必要であったため、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの各製造設備を共通化することが困難であった。このため、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合、製造設備に要するコストが増大するという問題があった。
【0067】
また、例えば、図7の調整・試験装置921,922における調整・試験工程を、セルフSTW型HDDおよび外部STW型HDDで共通の設備を用いて実行できるようにしたとしても、セルフSTW型HDDについては、セルフSTW工程の後、そのHDDをセルフSTW装置910から一旦取り外し、調整・試験工程のための設備に再度接続する必要があった。このため、HDD全体の製造効率が低下してしまうという問題もあった。
【0068】
これに対して、本実施の形態のHDD製造システムでは、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDに対する各調整・試験工程が、共通の調整・試験装置300において実行可能となっている。これとともに、この調整・試験装置300において、セルフSTW型HDDのセルフSTW工程も実行可能となっている。これにより、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合の製造コストを抑制し、これらのHDDを効率よく製造できるようになる。
【0069】
次に、調整・試験装置300についてより詳しく説明する。まず、図8は、調整・試験装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
調整・試験装置300は、CPU301、RAM302、不揮発性記憶装置303、ディスクI/F304、バーコードリーダI/F305および電源供給回路306を備えている。
【0070】
CPU301は、不揮発性記憶装置303に記憶された各種プログラムを実行することにより、この調整・試験装置300全体を統括的に制御する。RAM302は、CPU301に実行させるプログラムの少なくとも一部や、このプログラムによる処理に必要な各種データを一時的に記憶する。
【0071】
不揮発性記憶装置303は、例えばHDDなどであり、CPU301により実行されるプログラムやその実行に必要な各種のデータなどを記憶する。本実施の形態では特に、この調整・試験装置300に接続されるHDD100a,100bに転送する各種F/Wや、HDD100a、100bに処理の実行を要求するための制御コマンドなども、不揮発性記憶装置302に記憶される。
【0072】
ディスクI/F304は、通信コネクタ304aに接続された通信ケーブル(図示せず)を介してHDD100a,100bの通信コネクタ(図3に示した通信コネクタ109a)と接続し、HDD100a,100bとの間でデータを送受信する。
【0073】
バーコードリーダI/F305は、通信コネクタ305aに接続された通信ケーブル(図示せず)を介してバーコードリーダ310と接続し、バーコードリーダ310によって読み取られた情報を受信して、CPU301に出力する。
【0074】
電源供給回路306は、電源コネクタ306aに接続された電源ケーブル(図示せず)を介してHDD100a,100bの電源コネクタ(図3に示した電源コネクタ110a)と接続し、HDD100a,100bに対して電源を供給する。
【0075】
図9は、調整・試験装置の機能を示すブロック図である。
調整・試験装置300は、HDD制御部321と、HDD判別処理部322とを備える。これらの機能は、CPU301により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。
【0076】
HDD制御部321は、この調整・試験装置300に接続されたHDD100a,100bに対して制御コマンドを送信することにより、HDD100a,100bに対して装置調整工程、装置試験工程、セルフSTW工程などの各種工程を実行させる。HDD制御部321は、基本的に、不揮発性記憶装置302に記憶されたコマンドテーブルから制御コマンドを読み取り、この制御コマンドをHDD100a,100bに送出することで、HDD100a,100bにおける上記工程の実行を制御する。また、制御コマンドの送信時には、必要に応じてF/Wも送信する。
【0077】
ここで、不揮発性記憶装置303には、HDD100a,100bに実行させるF/Wとして、セルフSTW調整用F/W331a、セルフSTW用F/W332a、装置調整用F/W333aおよび装置試験用F/W334aが格納されている。さらに、これらのF/Wのそれぞれに対応する制御コマンドを含むコマンドテーブル331b,332b,333b,334bも、不揮発性記憶装置303に格納されている。コマンドテーブル331b,332b,333b,334bには、対応するF/Wが実行させるための1つ以上の制御コマンドが、その実行順に記録されている。
【0078】
セルフSTW調整用F/W331aは、セルフSTW型のHDD100bに対して、セルフSTW工程のために必要な調整工程(図6のステップS22に対応)を実行させるためのプログラムである。セルフSTW用F/W332aは、セルフSTW型のHDD100bに対してセルフSTW工程(図6のステップS23に対応)を実行させるためのプログラムである。装置調整用F/W333aは、HDD100a,100bに対して装置調整工程(図6のステップS13に対応)を実行させるためのプログラムである。装置試験用F/W334aは、HDD100a,100bに対して装置試験工程(図6のステップS14)を実行させるためのプログラムである。
【0079】
HDD制御部321からHDD100a,100bに対して制御コマンドが送信されると、HDD100a,100bでは、受信した制御コマンドがMCU106に引き渡される。そして、MCU106は、この制御コマンドに応じた処理を実行する。例えば、HDD制御部321からF/Wの格納を要求する制御コマンドとそのF/Wとが送信されると、MCU106は、受信したF/Wを不揮発性メモリ107に格納する。そして、F/Wの格納が完了すると、実行完了通知をHDC105を介してHDD制御部321に返信する。また、HDD制御部321からF/W実行のための制御コマンドが送信されると、MCU106は、その制御コマンドに従ってF/Wを実行する。そして、実行結果をHDC105を介してHDD制御部321に対して返信する。
【0080】
HDD判別処理部322は、この調整・試験装置300に接続されたHDDが、外部STW型HDDであるか、あるいはセルフSTW型HDDであるかを判別する。本実施の形態では、HDDの外装面にバーコードが記載された装置情報ラベルが貼付されており、このバーコードの情報を基にHDDの種別が判別される。
【0081】
図10は、HDDが接続された場合の調整・試験装置における処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS31]調整・試験装置300にHDDが接続されると、このHDDに貼付された装置情報ラベルのバーコードが、バーコードリーダ310によって読み取られる。HDD判別処理部322は、バーコードリーダ310による読み取り情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別し、判別結果をHDD制御部321に通知する。なお、HDD判別処理部322による判別処理手順の具体例については、後述する。
【0082】
HDD制御部321は、通知された判別結果に基づき、接続されたHDDがセルフSTW型HDDであった場合には、ステップS32の処理を実行し、そうでなかった場合にはステップS36の処理を実行する。なお、ステップS36以降の処理は、外部STW型HDDおよび外部STW型HDDの両方について共通に実行される。
【0083】
[ステップS32]HDD制御部321は、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bと判別された場合には、このHDD100bに対して、セルフSTW調整用F/W331aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW調整用F/W331aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW調整用F/W331aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0084】
[ステップS33]HDD制御部321は、HDD100bに対して、セルフSTW用調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル331bから、セルフSTW調整用F/W331aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。
【0085】
HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納したセルフSTW調整用F/W331aを実行し、セルフSTW用調整工程を制御する。例えば、MCU106は、SVC108からヘッドアクチュエータ103に出力される制御電流と、磁気ヘッド102からのスパイラルパターンの読み取り情報に基づく実際のヘッド位置との誤差を小さくするように、SVC108に対する制御値を調整する。
【0086】
この後、MCU106は、調整工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。
【0087】
[ステップS34]HDD制御部321は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW用F/W332aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW用F/W332aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW用F/W332aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0088】
[ステップS35]HDD制御部321は、HDD100bに対して、セルフSTW工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル332bから、セルフSTW用F/W332aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。
【0089】
HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納したセルフSTW用F/W332aを実行する。MCU106は、磁気ディスク媒体101bからスパイラルパターンの情報を読み取り、この情報を基に磁気ディスク媒体101bに対してサーボトラックを書き込む。
【0090】
この後、MCU106は、セルフSTW工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。そして、ステップS36以降の処理が実行される。
【0091】
[ステップS36]HDD制御部321は、接続されたHDD100(外部STW型のHDD100aまたはセルフSTW型のHDD100b)に対して、装置調整用F/W333aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドと装置調整用F/W333aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置調整用F/W333aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0092】
[ステップS37]HDD制御部321は、HDD100に対して、装置調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル333bから、装置調整用F/W333aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。
【0093】
HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納した装置調整用F/W333aを実行する。例えば、MCU106は、SVC108からヘッドアクチュエータ103に出力される制御電流と、磁気ヘッド102からのサーボトラックの読み取り情報に基づく実際のヘッド位置との誤差を小さくするように、SVC108に対する制御値を調整する。
【0094】
この後、MCU106は、調整工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。
【0095】
[ステップS38]HDD制御部321は、接続されたHDD100に対して、装置試験用F/W334aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドと装置試験用F/W334aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置試験用F/W334aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0096】
[ステップS39]HDD制御部321は、HDD100に対して、装置試験工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル334bから、装置試験用F/W334aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。
【0097】
HDD100のMCU106は、例えば、制御コマンドにより指定された磁気ディスク媒体101上の位置に、指定されたデータを書き込むように制御する。そして、書き込んだデータを磁気ヘッド102を通じて読み取り、調整・試験装置300に対して送信する。HDD制御部321は、受信した読み取りデータが、書き込みを指示したデータと一致するか否かを判定する。なお、書き込みデータと読み取りデータとの一致判定を、HDD100のMCU106によって行い、その判定結果をHDD制御部321に返信するようにしてもよい。
【0098】
なお、コマンドテーブル331b,332b,333b,334bには、それぞれ複数の制御コマンドが発行順に記録されていて、これらがHDD制御部321に順次読み込まれてHDDに発行されてもよい。例えば、接続されたHDDにおいて、セルフSTW用調整工程、セルフSTW工程、装置調整工程および装置試験工程のそれぞれを磁気ディスク媒体のセクタ方向の領域ごとに実行するように、制御コマンドが分割されていてもよい。このような場合、HDD制御部321は、各工程において、1つの制御コマンドをHDDに発行した後、HDDから実行完了通知を受信すると、次の制御コマンドを対応するコマンドテーブルから読み込み、HDDに発行する。
【0099】
ここで、ステップS31におけるHDD判別処理について、より具体的に説明する。図11は、HDDに貼付された装置情報ラベルを示す図である。
HDD100の筐体の所定の面には、このHDD100に関する各種の情報がバーコードとして記載された装置情報ラベル120が貼付されている。このバーコードには、HDD100の機種を識別するための機種コード121、HDD100内の磁気ディスク媒体101が備えるプラッタ数122、磁気ディスク媒体101の最大の回転数123、STW型HDDであるか否かを示すSTW種別124、および、このHDD100の製造番号125が含まれている。調整・試験装置300は、これらの情報のうち、STW種別124により、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであるか否かを判別できる。
【0100】
図12は、装置情報ラベル読み取りによるHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS41]装置情報ラベル120のバーコードが、バーコードリーダ310によって読み取られると、HDD判別処理部322は、バーコードの読み取り情報を、バーコードリーダI/F305を介して取得する。
【0101】
[ステップS42]HDD判別処理部322は、バーコードの読み取り情報からSTW種別124の領域の情報を抽出し、その情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別する。
【0102】
[ステップS43]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
なお、図11に示したバーコード内の情報のうち、例えば、機種コード121や製造番号125によって、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するようにしてもよい。この場合、調整・試験装置300の不揮発性記憶装置303に、機種コード121あるいは製造番号125の値と、対応するHDDがセルフSTW型であるか否かを示す情報とが対応づけられた製品情報テーブルをあらかじめ記録しておく。そして、HDD判別処理部322は、バーコードリーダ310による読み取り情報を基に、製品情報テーブル内の対応する情報を参照し、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別する。
【0103】
また、装置情報ラベル120に、図11に示した各情報が、文字情報など、バーコード以外の情報として記載しておき、HDD判別処理部322がこのような情報の読み取り情報を基にHDD種別の判別を行うようにしてもよい。
【0104】
以上説明した第1の実施の形態では、装置調整工程および装置試験工程を実行可能な調整・試験装置300において、セルフSTW工程も実行可能になっている。これにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDの調整・試験工程を、共通の設備によって実行可能になり、これらの両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0105】
また、調整・試験装置300にHDDが接続されると、このHDDの筐体に記載された情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを調整・試験装置300が判別する。そして、セルフSTW型HDDが接続されていれば、まず、セルフSTW工程を実行させた後、外部STW型HDDと同様に装置調整工程および装置試験工程が実行される。これにより、セルフSTW工程が実施されたセルフSTW型HDDを取り外すことなく、そのまま調整・試験工程に投入可能になり、製造効率を向上させることができる。
【0106】
〔HDD判別処理の変形例1〕
上記の第1の実施の形態において、図10のステップS31におけるHDD判別処理は、別の方法によって行うことも可能である。例えば、次の図13、図14に示すように、セルフSTW型のHDDか否かを示す情報をHDD100内の不揮発性記憶装置303に記憶しておき、この情報を基に判別処理を行ってもよい。
【0107】
図13は、HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
調整・試験装置300に接続されるHDD100の不揮発性メモリ107には、例えば、装置情報コード131およびF/W132が格納される。
【0108】
装置情報コード131には、図11に示した装置情報ラベル120内の情報と同様に、このHDD100に関する情報が含まれている。この装置情報コード131には、例えば、HDD100の機種を識別するための機種コード131a、HDD100内の磁気ディスク媒体101が備えるプラッタ数131b、磁気ディスク媒体101の最大の回転数131c、STW型HDDであるか否かを示すSTW種別131d、および、このHDD100の製造番号131eが含まれている。この装置情報コード131は、例えば、HDD100の組み立ての段階で不揮発性メモリ107内にあらかじめ格納されている。
【0109】
F/W132は、調整・試験装置300から送信され、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107に格納される情報である。本実施の形態では、F/W132には、前述したセルフSTW調整用F/W331a、セルフSTW用F/W332a、装置調整用F/W333aおよび装置試験用F/W334aが含まれる。なお、実行済みのF/W132は、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107から消去されてもよい。
【0110】
以上の情報のうち、調整・試験装置300は、装置情報コード131内のSTW種別131dを読み込むことにより、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであるか否かを判別できる。この場合、調整・試験装置300のHDD判別処理部322において、次のような処理が実行されればよい。
【0111】
図14は、不揮発性メモリのデータに基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS51]調整・試験装置300にHDDが接続されると、HDD判別処理部322は、接続されたHDD100に対して所定の制御コマンドを送信し、STW種別131dを送信するように要求する。接続されたHDD100のMCU106は、調整・試験装置300からの制御コマンドに応じて、不揮発性メモリ107からSTW種別131dを読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整・試験装置300に返信する。
【0112】
[ステップS52]HDD判別処理部322は、接続されたHDD100からSTW種別131dを受信し、その情報を基に、接続されたHDD100がセルフSTW型のものであるか否かを判別する。
【0113】
[ステップS53]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。HDD制御部321は、この判別結果に基づき、図10のステップS32またはステップS36のいずれかの処理を実行する。
【0114】
なお、図13に示した装置情報コード131内の情報のうち、例えば、機種コード131aや製造番号131eによって、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0115】
〔HDD判別処理の変形例2〕
図10のステップS31におけるHDD判別処理は、接続されたHDDからのサーボトラック内のサーボ信号が読み取り可能であるか否かを基に行われてもよい。この場合、調整・試験装置300のHDD判別処理部322において、次の図15に示す処理が実行されればよい。
【0116】
図15は、サーボ信号に基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS61]調整・試験装置300にHDDが接続されると、HDD判別処理部322は、接続されたHDD100に対して所定の制御コマンドを送信し、サーボ信号の読み取り可否を問い合わせる。
【0117】
接続されたHDD100のMCU106は、例えば、この問い合わせに応じて、磁気ディスク媒体101を回転させるとともに、磁気ヘッド102を磁気ディスク媒体101のアウタ側に移動させ、サーボトラックの読み取りを開始させる。ここで、正常な外部STW型HDDであれば、MCU106はサーボトラックに書き込まれたサーボ信号を読み取ることができる。このとき、MCU106は、サーボ信号の読み取りが可能であったことを、HDC105および通信I/F109を介して調整・試験装置300に送信する。また、MCU106は、サーボ信号を読み取ることができなかった場合には、その旨を調整・試験装置300に対して送信する。
【0118】
なお、このようなサーボトラックの読み取り動作は、例えば、調整・試験装置300からの要求に関係なく、電源投入後にHDD100において自動的に実行されてもよい。また、HDD100から調整・試験装置300に対しては、サーボ信号を読み取ることができた場合には、読み取り可能を示す情報の代わりに、読み取られたサーボ信号自体を送信するようにしてもよい。
【0119】
[ステップS62]HDD判別処理部322は、HDD100から返信された情報を基に、そのHDD100がセルフSTW型のものであるか否かを判別する。すなわち、サーボ信号の読み取りが可能であった場合には、接続されたHDD100が外部STW型HDDであると判別し、読み取りが不可能であった場合には、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであると判別する。
【0120】
[ステップS63]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。HDD制御部321は、この判別結果に基づき、図10のステップS32またはステップS36のいずれかの処理を実行する。
【0121】
〔第2の実施の形態〕
図16は、第2の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。なお、この図16では、図6に対応する要素には同じ符号を付している。また、図6と同様に、図16でも、HDD製造システムにおけるHDDの製造工程についても概略的に示している。
【0122】
本実施の形態は、装置調整工程と装置試験工程とが、それぞれ個別の設備において行われる点が、第1の実施の形態とは異なる。本実施の形態のHDD製造システムは、図6と同様のSTW装置210および組み立て装置220に加えて、装置調整工程が実行される調整装置400と、装置試験工程が実行される試験装置500とを備えている。なお、調整装置400は、図2に示した調整装置20に対応する装置であり、試験装置500は、図2に示した試験装置30に対応する装置である。
【0123】
試験装置500では、装置試験の例として、HDD内にあらかじめ設定された試験スケジュールに従って書き込み/読み出し試験を行うSRT(Self Running Test)が実行される。さらに、試験装置500では、セルフSTW工程を実行することも可能になっている。
【0124】
外部STW型HDDが製造される場合には、図6に示したSTW工程(ステップS11)と同様の工程によりサーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101aが、組み立て装置220に投入される、そして、図6に示したディスク組み込み工程(ステップS12)と同様の工程により、この磁気ディスク媒体101aがHDD100aに組み込まれる。
【0125】
次に、このHDD100aは調整装置400に接続されて、この調整装置400から電源の供給を受ける。そして、調整装置400では、図6に示した装置調整工程(ステップS13)と同様の工程が実行される。この工程の終了後、調整装置400ではさらに、HDD100aにSRT工程の実行を可能にするためのSRT用設定工程が実行される(ステップS15)。この工程では、後述するように、HDD100aに対して、SRT工程のスケジュールを示すSRTスケジュールと、SRT工程を実行させるためのSRT用F/Wとが書き込まれる。
【0126】
SRT用設定工程が終了すると、HDD100aは調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、この試験装置500から電源の供給を受ける。そして、HDD100aにおいてSRT工程が実行される(ステップS16)。以上のような工程を経ることで、外部STW型のHDD100aが完成する。
【0127】
一方、セルフSTW型HDDが製造される場合には、図6に示したスパイラルパターン書き込み工程(ステップS21)と同様の工程によりスパイラルパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体101bが、組み立て装置220に投入される。そして、図6に示したディスク組み込み工程(ステップS12)と同様の工程により、この磁気ディスク媒体101bがHDD100bに組み込まれる。
【0128】
次に、このHDD100bは調整装置400に接続され、この調整装置400から電源の供給を受ける。調整装置400は、接続されたHDD100bがセルフSTW型であって、なおかつセルフSTWが実行されていないものと判別すると、このHDD100bに対して、図6に示したセルフSTW用調整工程(ステップS22)と同様の工程が実行される。この工程の終了後、調整装置400ではさらに、HDD100bにセルフSTW工程の実行を可能にするためのセルフSTW用設定工程が実行される(ステップS24)。この工程では、後述するように、HDD100bに対して、セルフSTW工程のスケジュールを示すセルフSTWスケジュールと、セルフSTW工程を実行させるためのセルフSTW用F/Wとが書き込まれる。
【0129】
セルフSTW用設定工程が終了すると、HDD100bは調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、この試験装置500から電源の供給を受ける。そして、HDD100bにおいてセルフSTW工程が実行される(ステップS25)。
【0130】
セルフSTW工程が終了すると、HDD100bは試験装置500から取り外されて、調整装置400に再度接続され、この調整装置400から電源の供給を受ける。調整装置400は、HDD100bがセルフSTW工程が実行されたものであると判別すると、このHDD100bに対して、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)およびSRT用設定工程(ステップS15)を実行させる。この後、HDD100bは調整装置400から取り外され、試験装置500に再度接続される。この状態で、外部STW型HDDと同様に、SRT工程(ステップS16)が実行される。これにより、セルフSTW型のHDD100bが完成する。
【0131】
ここで、図17および図18は、装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。この図17を用いて、本実施の形態のHDD製造システムと、従来のHDD製造システムとの動作の違いについて説明する。なお、図17では、図16に対応する構成要素については同じ符号を付して示している。
【0132】
図18において、調整装置951は、外部STW型のHDD100aの調整を行うための装置である。この調整装置951では、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101aが組み込まれたHDD100aに対して、図16のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13a)と、図16のステップS15に対応するSRT用設定工程(ステップS15a)とが実行される。さらに、試験装置961に接続されたHDD100aには、試験装置961において、図16のステップS16に対応するSRT工程(ステップS16a)が実行される。
【0133】
一方、セルフSTW型のHDD100bを製造するためには、上記の調整装置951および試験装置961とは別に、セルフSTW用の調整装置970とセルフSTW装置980とを設ける必要があった。組み立て装置220において磁気ディスク媒体101bが組み込まれたHDD100bは、調整装置970に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS22に対応するセルフSTW用調整工程(ステップS22b)と、図16のステップS24に対応するセルフSTW用設定工程(ステップS24b)とが実行される。
【0134】
この後、調整装置970から取り外されたHDD100bは、セルフSTW装置980に接続され、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS25に対応するセルフSTW工程(ステップS25b)が実行される。
【0135】
これらの工程によりサーボトラックが書き込まれたHDD100bは、調整装置970から取り外されて、次の調整・試験工程に投入される。通常、セルフSTW型HDD用の調整装置952および試験装置962は、セルフSTW型HDD用の製造ライン上に、外部STW型HDD用の調整装置951および試験装置961とは別に設けられる。HDD100bは、調整装置952に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13b)と、図16のステップS15に対応するSRT用設定工程(ステップS15b)とが実行される。
【0136】
さらに、HDD100bは試験装置962に接続され、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS16に対応するSRT工程(ステップS16b)が実行される。
【0137】
このように、従来、セルフSTW型HDDを製造するためには、セルフSTW工程を実行するための専用の装置が必要であったため、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの各製造設備を共通化することが困難であった。このため、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDの両方を並行して製造しなければならない場合、製造設備に要するコストが増大するという問題があった。
【0138】
これに対して、本実施の形態のHDD製造システムでは、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDに対する各調整・試験工程が、共通の調整装置400および試験装置500において実行可能となっている。これとともに、調整装置400においてセルフSTW用の設定工程も実行可能とし、試験装置500においてセルフSTW工程も実行可能となっている。これにより、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合の製造コストを抑制し、これらのHDDを効率よく製造できるようになる。
【0139】
次に、調整装置400における処理を詳しく説明する。図19は、調整装置の機能を示すブロック図である。
調整装置400は、HDD制御部421、HDD判別処理部422およびセルフSTW判別処理部423を備える。なお、調整装置400は、図8に示した調整・試験装置300と同様のハードウェア構成によって実現可能である。そして、HDD制御部421、HDD判別処理部422およびセルフSTW判別処理部423の各機能は、調整装置400が備えるCPU(図8のCPU301に対応)により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。また、図19に示した不揮発性記憶装置403は、図8の不揮発性記憶装置303に対応する。
【0140】
HDD制御部421は、図9に示したHDD制御部321と同様、この調整装置400に接続されたHDD100a,100bに対して制御コマンドを送信することにより、HDD100a,100bに対して装置調整工程などの各種工程を実行させる。
【0141】
不揮発性記憶装置403には、HDD100a,100bに実行させるF/Wとして、セルフSTW調整用F/W431a、セルフSTW用F/W432a、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが格納されている。さらに、セルフSTW調整用F/W431aおよび装置調整用F/W433aにそれぞれ対応する制御コマンドを含むコマンドテーブル431b,433bも、不揮発性記憶装置403に格納されている。なお、これらのセルフSTW調整用F/W431a、装置調整用F/W433a、コマンドテーブル431b,433bは、それぞれ図9に示したセルフSTW調整用F/W331a、装置調整用F/W333a、コマンドテーブル331b,333bと同様のものである。
【0142】
セルフSTW用F/W432aは、セルフSTW型のHDD100bにセルフSTW工程(図16のステップS25に対応)を実行させるためのプログラムである。また、不揮発性記憶装置403には、セルフSTW用F/W432aをHDD100bに実行させるための制御コマンドがその実行順に格納されたセルフSTWスケジュール432bが記憶されている。
【0143】
SRT用F/W434aは、HDD100a,100bにSRT工程(図16のステップS16に対応)を実行させるためのプログラムである。また、不揮発性記憶装置403には、SRT用F/W434aをHDD100a,100bに実行させるための制御コマンドがその実行順に格納されたSRTスケジュール434bが記憶されている。
【0144】
HDD判別処理部422は、この調整装置400に接続されたHDDが、外部STW型のHDD100aであるか、あるいはセルフSTW型のHDD100bであるかを判別する。この機能は図9に示したHDD判別処理部422と同様のものであり、本実施の形態では、HDD100a,100bの外装面に添付された装置情報ラベルの情報を基に、HDDの種別が判別される。
【0145】
セルフSTW判別処理部423は、調整装置400に接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであった場合に、このHDD100bにおいてセルフSTWが完了しているか否かを判別する。本実施の形態では、後述するように、HDD100bの磁気ディスク媒体101bに記録されたセルフSTWフラグを基に、セルフSTWが完了しているか否かが判別される。
【0146】
図20は、HDDが接続された場合の調整装置における処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS71]このステップでは、HDD判別処理部422およびHDD制御部421により、図10のステップS31でのHDD判別処理部322およびHDD制御部321と同様の処理が実行される。すなわち、調整装置400にHDDが接続されると、このHDDに貼付された装置情報ラベルのバーコードがバーコードリーダによって読み取られ、読み取り情報がHDD判別処理部422に入力される。HDD判別処理部422は、入力された読み取り情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別し、判別結果をHDD制御部421に通知する。HDD制御部421は、通知された判別結果に基づき、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであった場合には、ステップS72の処理を実行し、そうでなかった場合にはステップS77の処理を実行する。
【0147】
なお、このステップS71におけるHDD種別の判別処理は、上記のような装置情報ラベルを用いた方法の他、例えば、図13〜図15において説明した変形例の方法によって行われてもよい。
【0148】
[ステップS72]セルフSTW判別処理部423により、接続されたHDD100bにおいてセルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かが判定され、判定結果がHDD制御部421に通知される。なお、この判定処理の具体的な手順の例については、後述する。HDD制御部421は、セルフSTW工程が正しく実行済みであった場合には、ステップS77の処理を実行し、正しく実行済みでなかった場合には、ステップS73の処理を実行する。
【0149】
[ステップS73]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW調整用F/W431aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW調整用F/W431aとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW調整用F/W431aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0150】
[ステップS74]HDD制御部421は、HDD100bに対して、セルフSTW用調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部421は、コマンドテーブル431bから、セルフSTW調整用F/W431aを実行させるための制御コマンドを読み込み、HDD100bに送信する。これにより、HDD100bでは、図10のステップS33と同様の手順でセルフSTW用調整工程が実行される。
【0151】
[ステップS75]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTWスケジュール432bの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTWスケジュール432bとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTWスケジュール432bを不揮発性メモリ107に格納する。
【0152】
[ステップS76]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW用F/W432aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW用F/W432aとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW用F/W432aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0153】
以上のステップS73〜S76の処理が実行されたHDD100bは、調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続される。試験装置500は、接続されたHDDに対する電源供給機能を備えている。HDD100bは、試験装置500から電源の供給を受けると、MCU106が不揮発性メモリ107にアクセスする。そして、MCU106は、セルフSTW用F/W432aを、セルフSTWスケジュール432bに従って実行する。これにより、図16のステップS25のセルフSTW工程が、試験装置500において自動的に実行される。また、図16で説明した通り、この工程が実行されたHDD100bは、試験装置500から取り外されて、調整装置400に再度接続される。
【0154】
一方、以下のステップS77〜S80の処理は、接続されたHDDが外部STW型のHDD100aであると判別された場合、および、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであるが、セルフSTW工程が完了していてすでにサーボトラックが正しく書き込まれていると判断された場合に実行される。
【0155】
[ステップS77]HDD制御部421は、接続されたHDD100(HDD100aまたはHDD100b)に対して、装置調整用F/W433aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドと装置調整用F/W433aとをHDD100に送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置調整用F/W433aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0156】
[ステップS78]HDD制御部421は、HDD100に対して、装置調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部421は、コマンドテーブル433bから、装置調整用F/W433aを実行させるための制御コマンドを読み込み、HDD100に送信する。これにより、HDD100では、図10のステップS37と同様の手順で装置調整工程が実行される。
【0157】
[ステップS79]HDD制御部421は、接続されたHDD100に対して、SRTスケジュール434bの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとSRTスケジュール434bとをHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したSRTスケジュール434bを不揮発性メモリ107に格納する。
【0158】
[ステップS80]HDD制御部421は、接続されたHDD100に対して、SRT用F/W434aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとSRT用F/W434aとをHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したSRT用F/W434aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0159】
以上のステップS77〜S80の処理が実行されたHDD100は、調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、SRT工程が実行される。ところで、SRT工程を実行するための装置は、ステップS76の後に実行されるセルフSTW工程と同様に、少なくとも、HDDに対する電源供給機能を備えていればよい。このため、セルフSTW工程を実行するための装置とSRT工程を実行するための装置とは、試験装置500として共通化することが可能である。
【0160】
HDD100が試験装置500に接続されて、この試験装置500からHDD100に対して電源が供給されると、HDD100内のMCU106は不揮発性メモリ107にアクセスする。そして、MCU106は、SRT用F/W434aを、SRTスケジュール434bに従って実行する。これにより、図16のステップS16のSRT工程が、試験装置500において自動的に実行される。なお、HDD100でのSRT工程は、例えば、図6のステップS14に示した装置試験工程におけるHDD100での処理が、HDD100内部の制御により行われるものである。
【0161】
なお、本実施の形態では、HDDにおいてSRT工程およびセルフSTW工程をそれぞれ実行可能にするための設定工程として、HDDに対するF/Wおよびスケジュールの書き込みを行っているが、これに限ったことではない。例えば、F/WについてはHDDにあらかじめ記憶させておき、設定工程ではその実行スケジュールのみをHDDに設定するようにしてもよい。
【0162】
ここで、図21は、HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。なお、図21では、図13に対応する構成要素には同じ符号を付して示している。
【0163】
調整装置400や試験装置500に接続されるHDD100の不揮発性メモリ107には、例えば、図13に示した装置情報コード131およびF/W132に加えて、スケジュール133、セルフSTW実行結果134およびSRT実行結果135が格納される。
【0164】
装置情報コード131には、図13において説明した通りである。F/W132およびスケジュール133は、調整装置400から送信されて格納される情報である。本実施の形態では、F/W132には、前述したセルフSTW調整用F/W431a、セルフSTW用F/W432a、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが含まれる。
【0165】
スケジュール133には、前述したセルフSTWスケジュール432bおよびSRTスケジュール434bが含まれる。図21に示すように、スケジュール133には、例えば、スケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dが含まれる。
【0166】
スケジュール番号133aは、対応する実行コマンド133bの実行順を示す。実行コマンド133bは、対応するF/W132を実行するためのコマンドである。開始シリンダ133cは、磁気ディスク媒体101における処理対象領域のシリンダ方向の開始位置を示す。処理シリンダ数133dは、開始シリンダ133cにより示される位置を起点としたときの、磁気ディスク媒体101におけるシリンダ方向の処理対象範囲を示す。
【0167】
図示を省略するが、スケジュール133には、これらのスケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dが、セルフSTWスケジュール432bおよびSRTスケジュール434bのそれぞれについて記述される。
【0168】
なお、実行済みのF/W132や、それに対応するスケジュール133は、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107から消去されてもよい。
セルフSTW実行結果134には、セルフSTWスケジュール432bに従ってセルフSTW用F/W432aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。図21に示すように、このセルフSTW実行結果134には、例えば、セルフSTW完了フラグ134aが含まれる。セルフSTW完了フラグ134aは、セルフSTW工程が正しく終了したか否かを示すフラグである。
【0169】
このセルフSTW完了フラグ134aは、例えば、セルフSTW用F/W432aが実行された後に、MCU106によって不揮発性メモリ107に記録される。この場合、セルフSTW完了フラグ134aの値は、セルフSTW工程が正しく終了した場合と、セルフSTW工程が実行されたものの正しく終了しなかった場合のいずれかを示す。また、セルフSTW工程の実行前に、セルフSTW完了フラグ134aとして、セルフSTW工程が正しく終了していないことを示す値があらかじめ格納され、セルフSTW工程が正しく実行された後に、セルフSTW完了フラグ134aの値が変更されてもよい。
【0170】
SRT実行結果135には、SRTスケジュール434bに従ってSRT用F/W434aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。
以上の各情報のうち、調整装置400のセルフSTW判別処理部423は、セルフSTW実行結果134内のセルフSTW完了フラグ134aを読み込むことにより、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0171】
図22は、セルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。なお、この図22の処理は、図20に示したステップS72において実行されるものである。
[ステップS91]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して所定の制御コマンドを送信し、セルフSTW完了フラグ134aの値を送信するように要求する。HDD100bのMCU106は、調整装置400からの制御コマンドに応じて、不揮発性メモリ107からセルフSTW完了フラグ134aの値を読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整装置400に返信する。
【0172】
[ステップS92]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからセルフSTW完了フラグ134aを受信し、その値を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0173】
[ステップS93]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
以上説明した第2の実施の形態では、装置調整工程およびSRT用設定工程を実行可能な調整装置400において、セルフSTW用調整・設定工程も実行可能になっている。また、このような機能を実現するために、調整装置400に、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否か、および、セルフSTW工程が正しく実行されたものであるか否かをそれぞれ判別する機能を設けている。そして、セルフSTW型HDDが接続されており、なおかつ、セルフSTW工程が正しく実行されていない場合には、まず、セルフSTW用調整・設定工程を実行させる。一方、セルフSTW型HDDが接続された場合であっても、セルフSTW工程が正しく実行されたものであれば、外部STW型HDDが接続された場合と全く同様の装置調整工程およびSRT用設定工程を実行させる。
【0174】
これにより、装置調整工程、SRT用設定工程、セルフSTW用調整・設定工程を実行するための設備が共通化され、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストが抑制される。また、セルフSTW工程が実行されたセルフSTW型のHDDを、オペレータによる設定などの操作を行うことなく、調整装置400に再度接続できるようになるので、製造効率が向上する。
【0175】
さらに、SRT工程を実行するための装置と、セルフSTW工程を実行するための装置とを、少なくとも電源供給機能を備えた試験装置500として共通化することが可能となる。また、これらの工程で、電源供給のためのケーブルを共通化することも可能である。従って、HDD製造のための設備コストをさらに抑制できる。
【0176】
また、調整装置400には、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するだけでなく、セルフSTW工程が正しく実行されたものであるか否かを判別する機能も設けた。これにより、HDD100bにおいてセルフSTWが一度も実行されていない場合だけでなく、HDD100bにおいてセルフSTWが実行されたものの正常に終了しなかった場合(例えば、磁気ディスク媒体101bの一部にサーボトラックが正常に書き込まれなかった場合など)にも、セルフSTWを確実に実行させることができる。
【0177】
〔セルフSTW判別処理の変形例1〕
上記の第2の実施の形態において、図20のステップS72におけるセルフSTW判別処理は、別の方法によって行うことも可能である。例えば、上記のようにHDD100内の不揮発性メモリ107に格納された情報の代わりに、次の図23および図24に示すように、磁気ディスク媒体101に記録された情報を基に、セルフSTWが正しく実行されたか否かを判別するようにしてもよい。
【0178】
図23は、HDDに搭載された磁気ディスク媒体におけるデータマップの例を示す図である。
調整装置400や試験装置500に接続されるHDD100の磁気ディスク媒体101には、その最も外周側にアウタガードエリア141が設けられ、最も内周側にインナガードエリア142が設けられている。そして、アウタガードエリア141とインナガードエリア142との間の領域には、ユーザデータエリア143が設けられている。さらに、図23の例では、アウタガードエリア141とユーザデータエリア143との間に、装置情報コード144、F/W145、スケジュール146、セルフSTW実行結果147およびSRT実行結果148が格納されている。
【0179】
アウタガードエリア141、インナガードエリア142、ユーザデータエリア143および装置情報コード144は、例えば、この磁気ディスク媒体101に対するサーボトラックの書き込みに続いて記録される。装置情報コード144には、例えば、機種コード142a、プラッタ数142b、回転数142c、STW種別142dおよび製造番号142eが含まれている。これらの情報は、図21に示した機種コード131a、プラッタ数131b、回転数131c、STW種別131dおよび製造番号131eとそれぞれ同様の情報である。
【0180】
F/W145およびスケジュール146は、調整装置400から送信されて格納される情報である。本実施の形態では、F/W145には、前述した装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが記録される。すなわち、図20のステップS77,S80では、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが磁気ディスク媒体101に書き込まれる。
【0181】
また、スケジュール146には、例えば、スケジュール番号146a、実行コマンド146b、開始シリンダ146cおよび処理シリンダ数146dが含まれる。これらの情報の内容は、図21に示したスケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dと基本的に同様である。本実施の形態では、スケジュール146には、前述したSRTスケジュール434bが記録される。すなわち、図20のステップS79では、SRTスケジュール434bが磁気ディスク媒体101に書き込まれる。
【0182】
なお、実行済みのF/W145や、それに対応するスケジュール146は、MCU106の処理によって磁気ディスク媒体101から消去されてもよい。
セルフSTW実行結果147には、セルフSTWスケジュール432bに従って、セルフSTW用F/W432aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。ただし、セルフSTW実行結果147は、セルフSTW型HDD100b内の磁気ディスク媒体101bにのみ格納される。
【0183】
図23に示すように、このセルフSTW実行結果147には、セルフSTW完了フラグ147aが含まれる。セルフSTW完了フラグ147aは、セルフSTW工程が正しく終了したか否かを示すフラグである。なお、セルフSTW完了フラグ147aの内容やその書き込み・更新のタイミングなどは、図21に示したセルフSTW完了フラグ134aの場合と同様である。
【0184】
SRT実行結果148には、SRTスケジュール434bに従ってSRT用F/W434aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。
以上の各情報のうち、調整装置400のセルフSTW判別処理部423は、セルフSTW実行結果147内のセルフSTW完了フラグ147aを読み込むことにより、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別することができる。
【0185】
図24は、磁気ディスク媒体内の情報に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。なお、この図24の処理は、図20に示したステップS72において実行されるものである。
【0186】
[ステップS101]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して所定の制御コマンドを送信し、セルフSTW完了フラグ147aの値を送信するように要求する。HDD100bのMCU106は、調整装置400からの制御コマンドに応じて、磁気ディスク媒体101bからセルフSTW完了フラグ147aの値を読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整装置400に返信する。
【0187】
[ステップS102]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからセルフSTW完了フラグ147aを受信し、その値を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0188】
[ステップS103]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
〔セルフSTW判別処理の変形例2〕
図20のステップS72におけるセルフSTW判別処理は、接続されたHDDの磁気ディスク媒体の全面に亘ってシーク動作を実行させた実行結果を基に行われてもよい。この場合、調整装置400のセルフSTW判別処理部423において、次の図25に示す処理が実行されればよい。
【0189】
図25は、シーク動作結果に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS111]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して、磁気ディスク媒体101bのアウタ側からインナ側までの全面に対するシーク動作を実行するように要求する。
【0190】
接続されたHDD100bのMCU106は、この要求に応じて、磁気ディスク媒体101bを回転させるとともに、磁気ヘッド102を磁気ディスク媒体101の最もアウタ側から最もインナ側までを移動させ、サーボトラックの信号を読み取る。セルフSTW工程が正しく終了していれば、磁気ディスク媒体101の全面に亘ってシーク動作は正常に実行される。MCU106は、磁気ディスク媒体101の全面に亘ってシーク動作が正常に実行されたか否かを示す情報を、調整装置400に対して送信する。
【0191】
[ステップS112]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからシーク動作の実行結果を受信し、その情報を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0192】
[ステップS113]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
なお、この図25に示した処理が採用される場合には、図20のステップS71でのHDD判別処理を省略し、上記処理によるステップS72での判別結果のみを基に、ステップS73またはステップS77のどちらの処理を実行するかを決定してもよい。すなわち、接続されたHDD100において、磁気ディスク媒体101の全面に亘るシーク動作が正常に実行された場合には、調整装置400は、このHDD100には正常にサーボトラックが書き込まれていると認識できる。このため、この場合には、ステップS77〜S80の処理が実行される。一方、シーク動作が正常に実行されなければ、調整装置400は、このHDD100には正常にサーボトラックが書き込まれていないか、あるいは、サーボトラックの書き込み自体が行われていないと認識できる。このため、この場合には、ステップS73〜S76の処理が実行される。
【0193】
〔セルフSTW型HDDの他の適用例〕
上記の各実施の形態では、セルフSTW型HDDの例として、スパイラルパターンなどの仮サーボ信号が書き込まれた磁気ディスク媒体を利用したHDDを適用した。しかし、セルフSTW方式には、この他の方式も存在し、そのようなHDDを上記各実施の形態に適用可能である。ここでは他のセルフSTW方式の例として、複数の磁気ディスク媒体を有するHDDにおいて、それらの1枚にのみあらかじめサーボトラックを書き込んでおく方式について説明する。
【0194】
図26は、複数の磁気ディスク媒体を備えたセルフSTW型HDDに対するサーボ信号パターンの書き込み例を模式的に示す図である。
この図26では、例として、3枚の磁気ディスク媒体101c_1〜101c_3を備えるHDDを想定する。セルフSTW工程の実行前の段階においては、図26中の左側に示すように、これらのうち例えば1枚の磁気ディスク媒体101c_1にのみ、サーボトラックがあらかじめ書き込まれている。この例では、サーボトラックとして、前述の外部STW型HDDにおける放射状パターンP1(図4参照)の場合と同様の放射状パターンP4が書き込まれる。そして、セルフSTW工程では、図26中の右側に示すように、磁気ディスク媒体101c_1に書き込まれたサーボトラックを基に、他の磁気ディスク媒体101c_2,101c_3のそれぞれに対して同様のサーボトラックが書き込まれる。
【0195】
ここで、図6および図16を参照して、前述の各実施の形態に対する図26の磁気ディスク媒体の適用について、より具体的に説明する。まず、STW装置210では、ステップS11のSTW工程により、磁気ディスク媒体101c_1に対してサーボトラックが書き込まれる。そして、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101c_1と、何の信号も書き込まれていない磁気ディスク媒体101c_2,101−c_3とが、組み立て装置220においてHDDに組み込まれる(ステップS12)。以上の工程は、図6のシステムと図16のシステムのどちらにも共通である。
【0196】
図6のシステムにおいては、磁気ディスク媒体101c_1〜101c_3が組み込まれたHDDが、調整・試験装置300に接続される。そして、ステップS23のセルフSTW工程において、調整・試験装置300からの制御により、磁気ディスク媒体101c_2,101c_3に対してサーボトラックが書き込まれる。この後、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)および装置試験工程(ステップS14)が実行される。このような工程により、第1の実施の形態と同様に、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0197】
また、図16のシステムにおいては、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101c_1と、何の信号も書き込まれていない磁気ディスク媒体101c_2,101−c_3とが組み込まれたHDDが、調整装置400に接続される。調整装置400は、このHDDがセルフSTW型HDDであって、セルフSTW工程が実行されていないと判別して、セルフSTW用調整工程(ステップS22)およびセルフSTW用設定工程(ステップS24)を実行する。これらのうち、セルフSTW用設定工程では、磁気ディスク媒体101c_1に書き込まれたサーボトラックを基に、他の磁気ディスク媒体101c_2,101c_3のそれぞれに同様のサーボトラックを書き込むためのF/Wおよびスケジュールが、HDDに対して設定される。
【0198】
そして、このHDDは試験装置500に接続され、設定されたセルフSTW用のF/WがHDDに実行されることにより、磁気ディスク媒体101c_2,101c_3に対してサーボトラックが書き込まれる(ステップS25)。この手順によりセルフSTW工程が完了したHDDは、再度調整装置400に接続される。そして、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)およびSRT設定工程(ステップS15)が実行され、さらに試験装置500においてSRT工程(ステップS16)が実行される。このような工程により、第2の実施の形態と同様に、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0199】
以上の各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の試験装置。
【0200】
(付記2) 前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0201】
(付記3) 前記装置判別部は、前記磁気記憶装置の筐体面に記載された前記装置種別情報を、読み取り装置が読み取った情報を基に、判別処理を行うことを特徴とする付記2記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0202】
(付記4) 前記装置判別部は、前記磁気記憶装置が備える、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置から、前記装置種別情報を読み出すことを特徴とする付記2記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0203】
(付記5) 前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体から前記サーボトラックの情報を読み取るように要求し、前記サーボトラックの情報が正しく読み取られた場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要でない装置であると判別することを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0204】
(付記6) 前記試験制御部、前記第1の調整制御部、前記自己書き込み動作制御部および前記第2の調整制御部は、接続された前記磁気記憶装置に対して所定の制御信号を送信することにより、当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験、前記書き込み/読み出し試験のための調整動作、前記自己書き込み動作、および、前記自己書き込み動作のための調整動作をそれぞれ実行させることを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0205】
(付記7) 磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の調整装置。
【0206】
(付記8) 前記装置判別部は、
接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを判別する装置種別判別部と、
前記装置種別判別部により、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であると判別された場合に、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別部と、
を有し、前記装置種別判別部により前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別された場合、および、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであると判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別し、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みでないと判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別することを特徴とする付記7記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0207】
(付記9) 前記磁気記憶装置の筐体面には、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報が記載されており、
前記装置種別判別部は、前記装置種別情報を読み取り装置が読み取った情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0208】
(付記10) 前記磁気記憶装置は、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報が記録された、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置を備えており、
前記装置種別判別部は、前記不揮発性記憶装置から読み出した前記装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0209】
(付記11) 前記装置種別判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体から前記サーボトラックの情報を読み取るように要求し、前記サーボトラックの情報が正しく読み取られた場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別することを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0210】
(付記12) 前記磁気記憶装置は、当該磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行されたか否かを示す実行完了情報が記録された、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置を備えており、
前記動作実行判別部は、前記不揮発性記憶装置から読み出した前記実行完了情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0211】
(付記13) 前記動作実行判別部は、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行されたか否かを示す実行完了情報を、当該磁気記憶装置の磁気ディスク媒体から読み出し、当該実行完了情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0212】
(付記14) 前記動作実行判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体の全面に亘って磁気ヘッドによるシーク動作を実行させ、当該シーク動作が正常に完了した場合に、当該磁気記憶装置において前記自己書き込み動作の実行が正常に実行済みであると判別することを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0213】
(付記15) 前記第1の設定処理部は、前記磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するためのプログラムを当該磁気記憶装置に送信し、
前記第2の設定処理部は、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するためのプログラムを当該磁気記憶装置に送信することを特徴とする付記7〜14のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0214】
(付記16) 前記第1の調整制御部および前記第2の調整制御部は、接続された前記磁気記憶装置に対して所定の制御信号を送信することにより、当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作、および、前記自己書き込み動作のための調整動作をそれぞれ実行させることを特徴とする付記7〜15のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0215】
(付記17) 試験装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記試験装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記試験装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置に実行させる第1の試験実行工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記自己書き込み動作を当該磁気記憶装置に実行させる自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作実行工程において前記自己書き込み動作を実行した前記磁気記憶装置に、前記試験装置が、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を実行させる第2の試験実行工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【0216】
(付記18) 調整装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記調整装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第1の調整・設定工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第2の調整・設定工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【0217】
(付記19) 前記第2の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が実行される自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作が実行された前記磁気記憶装置が前記試験装置から取り外されて前記調整装置に接続され、前記装置判別工程が再度実行される装置再判別工程と、
をさらに含むことを特徴とする付記18記載の磁気記憶装置の製造方法。
【0218】
(付記20) 前記第1の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて前記試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記書き込み/読み出し試験が実行される試験実行工程をさらに含むことを特徴とする付記19記載の磁気記憶装置の製造方法。
【0219】
(付記21) 前記第2の調整・設定工程における設定処理では、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するための第1のプログラムが、前記調整装置から当該磁気記憶装置に対して送信され、
前記自己書き込み動作実行工程では、前記磁気記憶装置において前記第1のプログラムが実行されることにより前記自己書き込み動作が実行され、
前記第1の調整・設定工程における設定処理では、前記磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するための第2のプログラムが、前記調整装置から当該磁気記憶装置に対して送信され、
前記試験実行工程では、前記磁気記憶装置において前記第2のプログラムが実行されることにより前記書き込み/読み出し試験が実行される、
ことを特徴とする付記20記載の磁気記憶装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】実施の形態に係る試験装置の概要を示す図である。
【図2】実施の形態に係る調整装置の概要を示す図である。
【図3】HDD製造システムで製造されるHDDの基本的なハードウェア構成例を示す図である。
【図4】外部STW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
【図5】セルフSTW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。
【図7】従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。
【図8】調整・試験装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図9】調整・試験装置の機能を示すブロック図である。
【図10】HDDが接続された場合の調整・試験装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図11】HDDに貼付された装置情報ラベルを示す図である。
【図12】装置情報ラベル読み取りによるHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
【図14】不揮発性メモリのデータに基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】サーボ信号に基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。
【図17】装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図(その1)である。
【図18】装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図(その2)である。
【図19】調整装置の機能を示すブロック図である。
【図20】HDDが接続された場合の調整装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図21】HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
【図22】セルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】HDDに搭載された磁気ディスク媒体におけるデータマップの例を示す図である。
【図24】磁気ディスク媒体内の情報に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】シーク動作結果に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】複数の磁気ディスク媒体を備えたセルフSTW型HDDに対するサーボ信号パターンの書き込み例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0221】
10,30 試験装置
11,21 第1の調整制御部
12 試験制御部
13,23 第2の調整制御部
14 セルフSTW制御部
15 装置判別部
16 工程制御部
20 調整装置
22 第1の設定処理部
24 第2の設定処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記憶装置に動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置、磁気記憶装置に動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置、および、磁気記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(Hard Disk Drive)の磁気ディスク媒体には、磁気ヘッドをデータトラックに位置決めするためのサーボトラックが記録されている。サーボトラックの書き込み工程は一般にSTW(Servo Track Writing)と呼ばれ、HDDの製品出荷前に行われる。このSTWの方式は、HDDの外部のSTW専用装置によってサーボトラックを書き込む外部STW方式と、HDDの内部においてHDD自身の磁気ヘッドによりサーボトラックを書き込むセルフSTW方式とに大別される。
【0003】
セルフSTW方式には、完全にHDDの内部でサーボトラックを書き込む方式の他に、例えば次のような方法も存在する。第1の方式は、外部装置において磁気ディスク媒体に粗い仮サーボ信号を書き込んでおき、その磁気ディスク媒体をHDDに組み込んだ後に、仮サーボ信号を利用して最終的なサーボトラックを書き込む方式である(例えば、特許文献1参照)。また、第2の方式は、HDD内の複数の磁気ディスク媒体のうちの例えば1枚にのみ外部装置によってサーボトラックを書き込んでおき、そのサーボトラックを基にHDDの内部のすべての磁気ディスク媒体にサーボトラックを書き込む方法である。
【0004】
ところで、STW工程では、磁気ディスク媒体に形成される多数のシリンダごとに情報が書き込まれるため、1枚の磁気ディスク媒体に要するSTW工程は非常に長くなる。STW専用設備に対しては、STW工程を短時間に高精度で実行することが常に要求されており、このためにSTW専用設備自体の製造コストは増大してしまう。なお、STW工程を短縮するために、STW専用装置において複数枚の磁気ディスク媒体に対してサーボパターンを一括して書き込む方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、このような方法では、STW専用装置自体の製造コストはさらに増大してしまう。
【0005】
一方、セルフSTW方式では、STW工程自体は長時間を要するものの、磁気ディスク媒体をHDDに組み込んだ後にSTW工程が実行されるため、STW工程をSTW専用設備よりはるかに低コストの設備において実行可能である。しかも、STW工程を、HDDの試験や調整などの他の工程と連続的に実行することも可能である。このため、セルフSTW方式の方が全体として製造効率を改善できるというメリットがある。
【特許文献1】特開2001−143416号公報
【特許文献2】特開平1−217777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セルフSTW方式には、外部STW方式に対する上記のような優位点があることから、HDDの製造に採用するSTW工程を外部STW方式からセルフSTW方式に移行するという動向もある。しかし、現実的には、製造するすべてのHDDを外部STW方式からセルフSTW方式へ一度に変更することは困難である。このため、外部STW方式のHDDとセルフSTW方式のHDDとを、共通の製造設備を用いて効率よく製造できることが要求されている。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、サーボトラックの書き込み方式の異なる磁気記憶装置を効率よく製造可能な、磁気記憶装置の試験装置、調整装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置が提供される。この試験装置は、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、を有する。
【0009】
このような磁気記憶装置の試験装置では、磁気記憶装置が接続されると、装置判別部により、この磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かが判別される。ここで、磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、試験制御部の制御により、磁気記憶装置において書き込み/読み出し試験が実行される。一方、接続された磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、自己書き込み動作制御部の制御により、磁気記憶装置においてサーボトラックの自己書き込み動作が実行される。さらにこの後、第1の調整制御部の制御により、書き込み/読み出し試験のための調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、試験制御部の制御により、磁気記憶装置において書き込み/読み出し試験が実行される。
【0010】
また、上記目的を達成するために、磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置が提供される。この調整装置は、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、を有する。
【0011】
このような磁気記憶装置の調整装置では、磁気記憶装置が接続されると、装置判別部により、この磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かが判別される。ここで、磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、第1の設定処理部により、磁気記憶装置が書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理が磁気記憶装置に対して施される。一方、接続された磁気記憶装置が自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部の制御により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作が磁気記憶装置において実行され、続いて、第2の設定処理部により、磁気記憶装置が自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理が磁気記憶装置に対して施される。
【0012】
さらに、上記目的を達成するために、上記の試験装置を用いて実行される工程を含む磁気記憶装置の製造方法が提供される。また、上記の調整装置を用いて実行される工程を含む磁気記憶装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
上記の磁気記憶装置の試験装置、および、上記の磁気記憶装置の調整装置によれば、サーボトラックの書き込み方式の異なる磁気記憶装置を効率よく製造可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る試験装置の概要を示す図である。
図1に示す試験装置10は、HDDの製造工程の一部を担う装置であり、磁気ディスク媒体が内部に組み込まれた状態のHDDが接続されて、このHDDに各種の調整や動作試験を実行させる。この試験装置10に接続されるHDDとしては、外部STW方式を採用したHDD(以下、外部STW型HDDと呼称する)と、セルフSTW方式を採用したHDD(以下、セルフSTW型HDDと呼称する)の両方を適用可能になっている。外部STW方式では、HDD本体への組み込み前に磁気ディスク媒体に対するサーボトラックの書き込みが行われる。一方、セルフSTW方式では、HDD本体の内部に磁気ディスク媒体を搭載した状態でサーボトラックの書き込みが行われる。そして、図1の試験装置10では、セルフSTW型HDDについては、セルフSTWを実行させた後、上記の各種の調整や動作試験を実行させることができるようになっている。
【0015】
この試験装置10は、第1の調整制御部11、試験制御部12、第2の調整制御部13、セルフSTW制御部14、装置判別部15および工程制御部16を備えている。
第1の調整制御部11は、試験制御部12の制御の下でHDDに実行させる動作試験の事前処理として、動作試験の実行のために必要なHDD内部の調整動作をHDDに実行させる。試験制御部12は、HDDに動作試験を実行させる。この動作試験としては、HDDに搭載された磁気ディスク媒体に対する書き込み/読み出し試験が含まれる。
【0016】
第2の調整制御部13は、セルフSTW制御部14の制御の下でHDDに実行させるセルフSTWの事前処理として、セルフSTWの実行のために必要なHDD内部の調整動作をHDDに実行させる。セルフSTW制御部14は、HDDにセルフSTWを実行させる。
【0017】
装置判別部15は、接続されたHDDが、セルフSTWの実行が必要な装置であるか否かを判別する。装置判別部15は、例えば、HDDの外装面などに記載された、セルフSTW型HDDであるか否かを示す装置種別情報を基に、上記の判別処理を行う。
【0018】
工程制御部16は、装置判別部15による判別結果に応じて、第1の調整制御部11、試験制御部12、第2の調整制御部13およびセルフSTW制御部14の動作を、次のように制御する。
【0019】
装置判別部15により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部11の制御により、HDDが動作試験を実行するために必要な装置内の調整動作がHDDにおいて実行される。次に、試験制御部12の制御により、HDDにおいて動作試験が実行される。
【0020】
一方、装置判別部15により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部13の制御により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な装置内の調整動作が、HDDにおいて実行される。次に、セルフSTW制御部14の制御により、HDDにおいてセルフSTWが実行される。さらにこの後、第1の調整制御部11の制御により、動作試験実行のための調整動作がHDDにおいて実行され、続いて、試験制御部12の制御により、HDDにおいて動作試験が実行される。
【0021】
以上のような試験装置10では、HDDの調整工程や動作試験工程に加えて、セルフSTW工程も実行可能としたことにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDとを並行して製造する場合の設備にかかるコストを抑制できる。また、接続されたHDDに対してセルフSTWが必要か否かを判別し、その判別結果に応じて必要な工程を自動的に実行するようにしたことで、上記2方式のHDDの製造効率を向上させることができる。
【0022】
ところで、上記の試験装置10は、HDDに調整を実行させる機能と動作試験を実行させる機能の両方を備えている。しかし、これらの機能が個別の装置において実現される場合も考えられる。次の図3には、これらの機能が調整装置と試験装置とに分割されて実現される場合の構成例を挙げる。
【0023】
図2は、実施の形態に係る調整装置の概要を示す図である。
図2に示す調整装置20は、HDDに動作試験を実行させるために必要な前処理を実行するための装置である。すなわち、この調整装置20に接続されて処理されたHDDは、その後、図2に示す試験装置30に接続され、その状態で動作試験を実行することが可能になる。また、調整装置20には、これに加えて、セルフSTW型HDDにセルフSTWを実行させるために必要な前処理も実行可能になっている。この調整装置20は、第1の調整制御部21、第1の設定処理部22、第2の調整制御部23、第2の設定処理部24、装置判別部25および工程制御部26を備えている。
【0024】
第1の調整制御部21は、HDDが動作試験を実行するために必要なHDD内部の調整動作を、HDDに実行させる。第1の設定処理部22は、HDDが動作試験を実行するために必要な設定処理を、HDDに対して施す。なお、図1の場合と同様に、この動作試験には、磁気ディスク媒体に対する書き込み/読み出し試験が含まれる。
【0025】
第2の調整制御部23は、HDDがセルフSTWを実行するために必要なHDD内部の調整動作を、HDDに実行させる。第2の設定処理部24は、HDDがセルフSTWを実行するために必要な設定処理を、HDDに対して施す。
【0026】
装置判別部25は、接続されたHDDが、セルフSTWの実行が必要な装置であるか否かを判別する。この装置判別部25は、例えば、接続されたHDDがセルフSTW型HDDであるか否かを判別する装置種別判別機能と、この判別処理によりHDDがセルフSTW型HDDと判別された場合に、HDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別機能とを備えていてもよい。この場合、装置種別判別機能により、HDDがセルフSTW型HDDでないと判別されたときと、HDDがセルフSTWHDDであった場合でも、動作実行判別機能により、そのHDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みであると判別されたときに、そのHDDがセルフSTWの実行が必要でないと判別される。一方、HDDがセルフSTWHDDと判別された場合に、動作実行判別機能により、そのHDDにおいてセルフSTWが正常に実行済みでないと判別されたときに、そのHDDがセルフSTWの実行が必要であると判別される。
【0027】
工程制御部26は、装置判別部25による判別結果に応じて、第1の調整制御部21、第1の設定処理部22、第2の調整制御部23および第2の設定処理部24の動作を、次のように制御する。
【0028】
装置判別部25により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別された場合には、まず、第1の調整制御部21の制御により、HDDが動作試験を実行するために必要な装置内の調整動作がHDDにおいて実行される。次に、第1の設定処理部22により、HDDが動作試験を実行するために必要な設定処理が、HDDに対して施される。
【0029】
このような処理により、HDDは、動作試験を自分自身によって実行可能な状態になる。このHDDは、調整装置20から取り外されて試験装置30に接続され、この試験装置30から電源の供給を受けて、動作試験を自動的に実行する。
【0030】
一方、装置判別部25により、接続されたHDDがセルフSTWの実行が必要な装置であると判別された場合には、まず、第2の調整制御部23の制御により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な装置内の調整動作が、HDDにおいて実行される。次に、第2の設定処理部24により、HDDがセルフSTWを実行するために必要な設定処理が、HDDに対して施される。
【0031】
このような処理により、セルフSTWを自分自身によって実行可能な状態になる。このHDDは、調整装置20から取り外されて、例えば試験装置30に接続され、この試験装置30から電源の供給を受けて、セルフSTWを自動的に実行する。ここで、HDDの動作試験とセルフSTWとは、共通の装置、すなわち試験装置30において実行可能である。ただし、これらの動作が個別の装置において実行されてもよい。
【0032】
また、試験装置30においてセルフSTWが正しく実行されたHDDは、試験装置30から取り外されて、調整装置20に再度接続される。このとき、装置判別部25は、接続されたHDDをセルフSTWの実行が必要な装置でないと判別する。このため、工程制御部26の制御の下で、前述のように第1の調整制御部21および第1の設定処理部22の処理が実行され、HDDは動作試験を実行可能な状態になる。
【0033】
以上のような調整装置20では、HDDの動作試験用の調整工程や設定工程に加えて、セルフSTW用の調整工程や設定工程も実行可能としたことにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDとを並行して製造する場合の設備にかかるコストを抑制できる。また、接続されたHDDに対してセルフSTWが必要か否かを判別し、その判別結果に応じて必要な工程を自動的に実行するようにしたことで、上記2方式のHDDの製造効率を向上させることができる。
【0034】
次に、図1および図2に示した機能を有する装置を含む、HDDの製造システムについて、より具体的に説明する。以下の説明では、図1の試験装置10を含む製造システムを第1の実施の形態として、また、図2の調整装置20および試験装置30を含む製造システムを第2の実施の形態として、それぞれ説明する。
【0035】
〔第1の実施の形態〕
本実施の形態のHDD製造システムは、HDDに搭載される磁気ディスク媒体に対してサーボトラックを書き込み、その磁気ディスク媒体をHDD本体に組み込んで、各種の調整や試験を行うためのものである。このHDD製造システムは、HDDとして、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの両方に対して上記の工程を実行できるようになっている。
【0036】
ここで、図3は、HDD製造システムで製造されるHDDの基本的なハードウェア構成例を示す図である。
図3に示すHDD100は、磁気ディスク媒体101、磁気ヘッド102、ヘッドアクチュエータ103、RDC(Read Channel)104、HDC(Hard Disk Controller)105、MCU(Motor Controll Unit)106、不揮発性メモリ107、SVC(Servo Controller)108、通信I/F(Interface)109および電源回路110を備えている。
【0037】
RDC104は、磁気ヘッド102によって磁気ディスク媒体101から読み取られた信号を復調して再生データを生成し、誤り訂正を行った後、その再生データをHDC105に出力する。また、HDC105から受信した記録データを変調して記録データ信号を生成し、磁気ヘッド102に出力する。
【0038】
HDC105は、通信I/F109を通じて外部装置から、あるいはMCU106から、磁気ディスク媒体101に記録するための記録データの供給を受け、エラー訂正コードを付与してRDC104に出力する。また、RDC104を介して磁気ディスク媒体101から読み取られた再生データを、通信I/F109を介して外部装置へ、あるいはMCU106へ出力する。また、HDC105は、外部装置からの制御コマンドや各種ファームウェア(以下、F/Wと略称する)などをMCU106に転送したり、MCU106から送信要求されたデータを外部装置に送信する処理なども実行可能になっている。
【0039】
MCU106は、SVC108を介してヘッドアクチュエータ103を制御して、磁気ディスク媒体101に対する磁気ヘッド102の位置決め制御を行う。本実施の形態では、MCU106は、内部にCPU(Central Processing Unit)を備えており、不揮発性メモリ107に格納されたF/Wを読み出して実行することにより、各種の制御処理を行う。
【0040】
MCU106は、磁気ディスク媒体101から読み取られたサーボ信号をRDC104およびHDC105を介して取得し、データの記録または再生を行う磁気ディスク媒体101上のシリンダ、セクタなどの位置を演算により決定する。そして、決定された位置情報を入力としてサーボ制御用のフィルタ演算を行うことで制御電流の値を決定し、SVC108に通知する。これにより、SVC108からヘッドアクチュエータ103に対して制御電流が出力されて、磁気ヘッド102が位置決めされる。
【0041】
また、MCU106は、外部装置からHDC105を介して受信した制御コマンドに応じて、磁気ディスク媒体101を用いた記録・再生動作に関する調整動作や試験動作を制御することも可能になっている。さらに、このような動作を、不揮発性メモリ107に格納されたスケジュール情報に従って制御することも可能になっている。
【0042】
不揮発性メモリ107は、例えばフラッシュメモリであり、MCU106により実行されるF/Wや、各種のデータが記憶される。
SVC108は、MCU106から指示される制御電流をヘッドアクチュエータ103に出力し、ヘッドアクチュエータ103を動作させて磁気ヘッド102を所定の位置に移動させる。
【0043】
通信I/F109は、通信コネクタ109aを介して外部装置と接続し、外部装置との間でデータの送受信を行う。
電源回路110は、電源コネクタ110aを介して外部装置から電源の供給を受け、その電源電圧を所定の電圧に変換して、HDD100内部の各部に供給する。
【0044】
ところで、HDD内部のハードウェア構成としては、外部STW型HDDであっても、セルフSTW型HDDであっても、基本的に上記の図3に示すような構成とすることができる。ここで、本実施の形態で適用される磁気ディスク媒体に書き込まれるサーボ信号パターンの例について説明する。
【0045】
図4は、外部STW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
外部STW型HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体には、例えば、サーボのために必要なサーボ信号が円周方向に一定の間隔で書き込まれる。そして、このようなサーボ信号は、すべてのシリンダ(トラック)に対応する位置に書き込まれる。また、各シリンダのサーボ情報は、例えば、磁気ディスク媒体において放射状に隣接配置される。図3に示す各放射状パターンP1は、このように放射状に隣接配置されたサーボ情報群を示している。
【0046】
図3のHDD100が外部STW型HDDである場合には、磁気ディスク媒体101として、図4に示したようにサーボトラックがあらかじめ書き込まれた磁気ディスク媒体101aがHDD100に組み込まれる。そして、磁気ディスク媒体101aを用いたデータの記録または再生時には、サーボトラックから読み取られた情報を基に磁気ヘッド102の位置決め制御が行われる。
【0047】
図5は、セルフSTW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
本実施の形態では、セルフSTW方式の例として、HDD本体に組み込まれる磁気ディスク媒体に対して、STW工程の際に必要となる仮サーボ信号をあらかじめ書き込んでおく方式を採用する。本実施の形態では、このような仮サーボ信号を、磁気ディスク媒体に対して複数のスパイラルパターンP2として書き込んでおく。
【0048】
HDD100がセルフSTW型HDDである場合には、磁気ディスク媒体101として、図5の上段に示すようなスパイラルパターンP2のみが記録された磁気ディスク媒体101bがHDD100に組み込まれる。そして、セルフSTWが実行される際には、外部装置からHDD100の不揮発性メモリ107に対して、セルフSTW用F/Wが格納され、このF/WがMCU106によって実行される。
【0049】
MCU106は、セルフSTW用F/Wを実行することにより、サーボトラックに書き込むべき位置情報を演算し、HDC105を介してRDC104に出力する。これとともに、磁気ディスク媒体101b上のスパイラルパターンP2に記録された信号をRDC104およびHDC105を介して読み取る。MCU106は、例えば、隣接するスパイラルパターンP2内の所定の信号が一定の速度で読み出されるように、磁気ディスク媒体101bの回転速度および磁気ヘッド102のシリンダ方向の位置を制御する。これにより、磁気ディスク媒体101の所定の位置にサーボ用の信号が書き込まれ、最終的なサーボトラックが生成される。図5の下段に示した放射状パターンP3は、このように書き込まれたサーボトラックを示しており、本実施の形態では、外部STW型HDDで形成されるものと同じサーボトラックが、セルフSTW型HDD内の磁気ディスク媒体101bにも生成されるものとする。
【0050】
次に、図6は、第1の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。なお、この図には、HDD製造システムにおけるHDDの製造工程についても概略的に示している。
【0051】
図6に示すHDD製造システムは、STW装置210、組み立て装置220および調整・試験装置300を備えている。
STW装置210は、HDDに搭載される磁気ディスク媒体に対してサーボトラックを書き込むための装置である。また、STW装置210は、セルフSTW型HDD用の磁気ディスク媒体に対して、セルフSTWを実行可能にするための仮サーボ信号を書き込むことも可能になっている。
【0052】
組み立て装置220は、HDDを組み立てるための装置である。STW装置210での工程を終えた磁気ディスク媒体は、この組み立て装置220においてHDD本体に組み込まれる。
【0053】
なお、STW装置210および組み立て装置220の各機能は、それぞれ複数の装置群として実現されてもよい。
調整・試験装置300は、図1に示した試験装置10に対応する装置であり、磁気ディスク媒体が搭載されたHDDに、製品出荷前に必要な各種の調整・試験を実行させる。また、調整・試験装置300では、セルフSTW型HDDにセルフSTW工程を実行させることも可能になっている。後述するように、調整・試験装置300は、接続されたHDDが外部STW型か、あるいはセルフSTW型かを判別する機能を備えている。
【0054】
このようなHDD製造システムにおいて、外部STW型HDDが製造される場合には、まず、HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体がSTW装置210に投入され、この磁気ディスク媒体に対するSTW工程が実行される(ステップS11)。この工程により、図3に示したようなサーボトラックが書き込まれた、外部STW型HDD用の磁気ディスク媒体101aが製造される。
【0055】
次に、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101aは、組み立て装置220に投入され、この磁気ディスク媒体101aがHDDの内部に組み込まれる(ステップS12)。この工程により磁気ディスク媒体101aが搭載されたHDD100aは、調整・試験装置300に投入される。
【0056】
調整・試験装置300は、後述するように、HDDに対する電源供給機能を備えており、HDD100aは、調整・試験装置300に接続されて、この調整・試験装置300から電源の供給を受ける。そして、調整・試験装置300では、HDD100aに対する装置調整工程(ステップS13)と、装置試験工程(ステップS14)とが実行される。
【0057】
装置調整工程では、例えば、HDD100aにおける磁気ヘッド102の位置決め制御の誤差を抑制するための調整などが行われる。また、装置試験工程では、磁気ディスク媒体101aに対して正しくデータが書き込まれるかを確認する書き込み/読み出し試験などが行われる。これらの工程では、調整・試験装置300からHDD100aに対して、各工程のためのF/Wや制御コマンドなどが送出される。以上のような工程を経ることで、外部STW型のHDD100aが完成する。
【0058】
一方、このHDD製造システムにおいて、セルフSTW型HDDが製造される場合には、まず、HDDに組み込まれる磁気ディスク媒体がSTW装置210に投入される。そして、この磁気ディスク媒体に対してスパイラルパターンを書き込む工程が実行される(ステップS21)。この工程により、図4に示したようなスパイラルパターンが書き込まれた、セルフSTW型HDD用の磁気ディスク媒体101bが製造される。なお、本実施の形態では、サーボトラックの書き込み工程(ステップS11)と、スパイラルパターンの書き込み工程(ステップS21)とが共通のSTW装置210において実行されるが、これらの工程はそれぞれ個別の装置または装置群において実行されてもよい。
【0059】
スパイラルパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体101bは、組み立て装置220に投入され、この磁気ディスク媒体101bがHDDの内部に組み込まれる(ステップS12)。この工程は、外部STW型HDDの場合と同様の工程によって実現することができる。この工程により磁気ディスク媒体101bが搭載されたHDD100bは、調整・試験装置300に投入される。
【0060】
HDD100bは、調整・試験装置300に接続されて、この調整・試験装置300から電源の供給を受ける。調整・試験装置300は、接続されたHDD100bがセルフSTW型であると判別すると、このHDD100bに対して、まず、セルフSTW工程を行うために必要な装置調整工程を実行させ(ステップS22)、その後にセルフSTW工程を実行させる(ステップS23)。これにより、HDD100b内の磁気ディスク媒体101bには、外部STW型のHDD100a内の磁気ディスク媒体101aと同様のサーボトラックが書き込まれる。
【0061】
この後、調整・試験装置300では、サーボトラックが書き込まれたHDD100bに対して、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)および装置試験工程(ステップS14)が実行される。これにより、セルフSTW型のHDD100bが完成する。
【0062】
ここで、図7は、従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。この図7を用いて、本実施の形態のHDD製造システムと、従来のHDD製造システムとの動作の違いについて説明する。なお、図7では、図6に対応する構成要素については同じ符号を付して示している。
【0063】
図7において、調整・試験装置921は、外部STW型のHDD100aの調整や試験を行うための装置である。すなわち、この調整・試験装置921では、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101aが組み込まれたHDD100aに対して、図6のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13a)と、図6のステップS14に対応する装置試験工程(ステップS14a)とが実行される。
【0064】
一方、セルフSTW型のHDD100bを製造するためには、上記の調整・試験装置921とは別に、セルフSTW装置910を設ける必要があった。すなわち、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101bが組み込まれたHDD100bは、セルフSTW装置910に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図6のステップS22に対応するセルフSTW用調整工程(ステップS22b)と、図6のステップS23に対応するセルフSTW工程(ステップS23b)とが実行される。
【0065】
これらの工程によりサーボトラックが書き込まれたHDD100bは、セルフSTW装置910から取り外されて、次の調整・試験工程に投入される。通常、セルフSTW型HDD用の調整・試験装置922は、セルフSTW型HDD用の製造ライン上に、外部STW型HDD用の調整・試験装置921とは別に設けられる。HDD100bは、調整・試験装置922に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図6のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13b)と、図6のステップS14に対応する装置試験工程(ステップS14b)とが実行される。
【0066】
このように、従来、セルフSTW型HDDを製造するためには、セルフSTW工程を実行するための専用の装置が必要であったため、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの各製造設備を共通化することが困難であった。このため、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合、製造設備に要するコストが増大するという問題があった。
【0067】
また、例えば、図7の調整・試験装置921,922における調整・試験工程を、セルフSTW型HDDおよび外部STW型HDDで共通の設備を用いて実行できるようにしたとしても、セルフSTW型HDDについては、セルフSTW工程の後、そのHDDをセルフSTW装置910から一旦取り外し、調整・試験工程のための設備に再度接続する必要があった。このため、HDD全体の製造効率が低下してしまうという問題もあった。
【0068】
これに対して、本実施の形態のHDD製造システムでは、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDに対する各調整・試験工程が、共通の調整・試験装置300において実行可能となっている。これとともに、この調整・試験装置300において、セルフSTW型HDDのセルフSTW工程も実行可能となっている。これにより、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合の製造コストを抑制し、これらのHDDを効率よく製造できるようになる。
【0069】
次に、調整・試験装置300についてより詳しく説明する。まず、図8は、調整・試験装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
調整・試験装置300は、CPU301、RAM302、不揮発性記憶装置303、ディスクI/F304、バーコードリーダI/F305および電源供給回路306を備えている。
【0070】
CPU301は、不揮発性記憶装置303に記憶された各種プログラムを実行することにより、この調整・試験装置300全体を統括的に制御する。RAM302は、CPU301に実行させるプログラムの少なくとも一部や、このプログラムによる処理に必要な各種データを一時的に記憶する。
【0071】
不揮発性記憶装置303は、例えばHDDなどであり、CPU301により実行されるプログラムやその実行に必要な各種のデータなどを記憶する。本実施の形態では特に、この調整・試験装置300に接続されるHDD100a,100bに転送する各種F/Wや、HDD100a、100bに処理の実行を要求するための制御コマンドなども、不揮発性記憶装置302に記憶される。
【0072】
ディスクI/F304は、通信コネクタ304aに接続された通信ケーブル(図示せず)を介してHDD100a,100bの通信コネクタ(図3に示した通信コネクタ109a)と接続し、HDD100a,100bとの間でデータを送受信する。
【0073】
バーコードリーダI/F305は、通信コネクタ305aに接続された通信ケーブル(図示せず)を介してバーコードリーダ310と接続し、バーコードリーダ310によって読み取られた情報を受信して、CPU301に出力する。
【0074】
電源供給回路306は、電源コネクタ306aに接続された電源ケーブル(図示せず)を介してHDD100a,100bの電源コネクタ(図3に示した電源コネクタ110a)と接続し、HDD100a,100bに対して電源を供給する。
【0075】
図9は、調整・試験装置の機能を示すブロック図である。
調整・試験装置300は、HDD制御部321と、HDD判別処理部322とを備える。これらの機能は、CPU301により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。
【0076】
HDD制御部321は、この調整・試験装置300に接続されたHDD100a,100bに対して制御コマンドを送信することにより、HDD100a,100bに対して装置調整工程、装置試験工程、セルフSTW工程などの各種工程を実行させる。HDD制御部321は、基本的に、不揮発性記憶装置302に記憶されたコマンドテーブルから制御コマンドを読み取り、この制御コマンドをHDD100a,100bに送出することで、HDD100a,100bにおける上記工程の実行を制御する。また、制御コマンドの送信時には、必要に応じてF/Wも送信する。
【0077】
ここで、不揮発性記憶装置303には、HDD100a,100bに実行させるF/Wとして、セルフSTW調整用F/W331a、セルフSTW用F/W332a、装置調整用F/W333aおよび装置試験用F/W334aが格納されている。さらに、これらのF/Wのそれぞれに対応する制御コマンドを含むコマンドテーブル331b,332b,333b,334bも、不揮発性記憶装置303に格納されている。コマンドテーブル331b,332b,333b,334bには、対応するF/Wが実行させるための1つ以上の制御コマンドが、その実行順に記録されている。
【0078】
セルフSTW調整用F/W331aは、セルフSTW型のHDD100bに対して、セルフSTW工程のために必要な調整工程(図6のステップS22に対応)を実行させるためのプログラムである。セルフSTW用F/W332aは、セルフSTW型のHDD100bに対してセルフSTW工程(図6のステップS23に対応)を実行させるためのプログラムである。装置調整用F/W333aは、HDD100a,100bに対して装置調整工程(図6のステップS13に対応)を実行させるためのプログラムである。装置試験用F/W334aは、HDD100a,100bに対して装置試験工程(図6のステップS14)を実行させるためのプログラムである。
【0079】
HDD制御部321からHDD100a,100bに対して制御コマンドが送信されると、HDD100a,100bでは、受信した制御コマンドがMCU106に引き渡される。そして、MCU106は、この制御コマンドに応じた処理を実行する。例えば、HDD制御部321からF/Wの格納を要求する制御コマンドとそのF/Wとが送信されると、MCU106は、受信したF/Wを不揮発性メモリ107に格納する。そして、F/Wの格納が完了すると、実行完了通知をHDC105を介してHDD制御部321に返信する。また、HDD制御部321からF/W実行のための制御コマンドが送信されると、MCU106は、その制御コマンドに従ってF/Wを実行する。そして、実行結果をHDC105を介してHDD制御部321に対して返信する。
【0080】
HDD判別処理部322は、この調整・試験装置300に接続されたHDDが、外部STW型HDDであるか、あるいはセルフSTW型HDDであるかを判別する。本実施の形態では、HDDの外装面にバーコードが記載された装置情報ラベルが貼付されており、このバーコードの情報を基にHDDの種別が判別される。
【0081】
図10は、HDDが接続された場合の調整・試験装置における処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS31]調整・試験装置300にHDDが接続されると、このHDDに貼付された装置情報ラベルのバーコードが、バーコードリーダ310によって読み取られる。HDD判別処理部322は、バーコードリーダ310による読み取り情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別し、判別結果をHDD制御部321に通知する。なお、HDD判別処理部322による判別処理手順の具体例については、後述する。
【0082】
HDD制御部321は、通知された判別結果に基づき、接続されたHDDがセルフSTW型HDDであった場合には、ステップS32の処理を実行し、そうでなかった場合にはステップS36の処理を実行する。なお、ステップS36以降の処理は、外部STW型HDDおよび外部STW型HDDの両方について共通に実行される。
【0083】
[ステップS32]HDD制御部321は、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bと判別された場合には、このHDD100bに対して、セルフSTW調整用F/W331aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW調整用F/W331aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW調整用F/W331aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0084】
[ステップS33]HDD制御部321は、HDD100bに対して、セルフSTW用調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル331bから、セルフSTW調整用F/W331aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。
【0085】
HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納したセルフSTW調整用F/W331aを実行し、セルフSTW用調整工程を制御する。例えば、MCU106は、SVC108からヘッドアクチュエータ103に出力される制御電流と、磁気ヘッド102からのスパイラルパターンの読み取り情報に基づく実際のヘッド位置との誤差を小さくするように、SVC108に対する制御値を調整する。
【0086】
この後、MCU106は、調整工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。
【0087】
[ステップS34]HDD制御部321は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW用F/W332aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW用F/W332aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW用F/W332aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0088】
[ステップS35]HDD制御部321は、HDD100bに対して、セルフSTW工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル332bから、セルフSTW用F/W332aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100bに送信する。
【0089】
HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納したセルフSTW用F/W332aを実行する。MCU106は、磁気ディスク媒体101bからスパイラルパターンの情報を読み取り、この情報を基に磁気ディスク媒体101bに対してサーボトラックを書き込む。
【0090】
この後、MCU106は、セルフSTW工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。そして、ステップS36以降の処理が実行される。
【0091】
[ステップS36]HDD制御部321は、接続されたHDD100(外部STW型のHDD100aまたはセルフSTW型のHDD100b)に対して、装置調整用F/W333aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドと装置調整用F/W333aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置調整用F/W333aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0092】
[ステップS37]HDD制御部321は、HDD100に対して、装置調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル333bから、装置調整用F/W333aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。
【0093】
HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、不揮発性メモリ107に格納した装置調整用F/W333aを実行する。例えば、MCU106は、SVC108からヘッドアクチュエータ103に出力される制御電流と、磁気ヘッド102からのサーボトラックの読み取り情報に基づく実際のヘッド位置との誤差を小さくするように、SVC108に対する制御値を調整する。
【0094】
この後、MCU106は、調整工程の実行結果を調整・試験装置300に対して返信する。HDD制御部321は、受信した実行結果を必要に応じて不揮発性記憶装置302などに記録する。
【0095】
[ステップS38]HDD制御部321は、接続されたHDD100に対して、装置試験用F/W334aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部321は、書き込み要求のための制御コマンドと装置試験用F/W334aとを、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置試験用F/W334aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0096】
[ステップS39]HDD制御部321は、HDD100に対して、装置試験工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部321は、コマンドテーブル334bから、装置試験用F/W334aを実行させるための制御コマンドを読み込み、ディスクI/F304を通じてHDD100に送信する。
【0097】
HDD100のMCU106は、例えば、制御コマンドにより指定された磁気ディスク媒体101上の位置に、指定されたデータを書き込むように制御する。そして、書き込んだデータを磁気ヘッド102を通じて読み取り、調整・試験装置300に対して送信する。HDD制御部321は、受信した読み取りデータが、書き込みを指示したデータと一致するか否かを判定する。なお、書き込みデータと読み取りデータとの一致判定を、HDD100のMCU106によって行い、その判定結果をHDD制御部321に返信するようにしてもよい。
【0098】
なお、コマンドテーブル331b,332b,333b,334bには、それぞれ複数の制御コマンドが発行順に記録されていて、これらがHDD制御部321に順次読み込まれてHDDに発行されてもよい。例えば、接続されたHDDにおいて、セルフSTW用調整工程、セルフSTW工程、装置調整工程および装置試験工程のそれぞれを磁気ディスク媒体のセクタ方向の領域ごとに実行するように、制御コマンドが分割されていてもよい。このような場合、HDD制御部321は、各工程において、1つの制御コマンドをHDDに発行した後、HDDから実行完了通知を受信すると、次の制御コマンドを対応するコマンドテーブルから読み込み、HDDに発行する。
【0099】
ここで、ステップS31におけるHDD判別処理について、より具体的に説明する。図11は、HDDに貼付された装置情報ラベルを示す図である。
HDD100の筐体の所定の面には、このHDD100に関する各種の情報がバーコードとして記載された装置情報ラベル120が貼付されている。このバーコードには、HDD100の機種を識別するための機種コード121、HDD100内の磁気ディスク媒体101が備えるプラッタ数122、磁気ディスク媒体101の最大の回転数123、STW型HDDであるか否かを示すSTW種別124、および、このHDD100の製造番号125が含まれている。調整・試験装置300は、これらの情報のうち、STW種別124により、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであるか否かを判別できる。
【0100】
図12は、装置情報ラベル読み取りによるHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS41]装置情報ラベル120のバーコードが、バーコードリーダ310によって読み取られると、HDD判別処理部322は、バーコードの読み取り情報を、バーコードリーダI/F305を介して取得する。
【0101】
[ステップS42]HDD判別処理部322は、バーコードの読み取り情報からSTW種別124の領域の情報を抽出し、その情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別する。
【0102】
[ステップS43]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
なお、図11に示したバーコード内の情報のうち、例えば、機種コード121や製造番号125によって、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するようにしてもよい。この場合、調整・試験装置300の不揮発性記憶装置303に、機種コード121あるいは製造番号125の値と、対応するHDDがセルフSTW型であるか否かを示す情報とが対応づけられた製品情報テーブルをあらかじめ記録しておく。そして、HDD判別処理部322は、バーコードリーダ310による読み取り情報を基に、製品情報テーブル内の対応する情報を参照し、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別する。
【0103】
また、装置情報ラベル120に、図11に示した各情報が、文字情報など、バーコード以外の情報として記載しておき、HDD判別処理部322がこのような情報の読み取り情報を基にHDD種別の判別を行うようにしてもよい。
【0104】
以上説明した第1の実施の形態では、装置調整工程および装置試験工程を実行可能な調整・試験装置300において、セルフSTW工程も実行可能になっている。これにより、セルフSTW型HDDと外部STW型HDDの調整・試験工程を、共通の設備によって実行可能になり、これらの両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0105】
また、調整・試験装置300にHDDが接続されると、このHDDの筐体に記載された情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを調整・試験装置300が判別する。そして、セルフSTW型HDDが接続されていれば、まず、セルフSTW工程を実行させた後、外部STW型HDDと同様に装置調整工程および装置試験工程が実行される。これにより、セルフSTW工程が実施されたセルフSTW型HDDを取り外すことなく、そのまま調整・試験工程に投入可能になり、製造効率を向上させることができる。
【0106】
〔HDD判別処理の変形例1〕
上記の第1の実施の形態において、図10のステップS31におけるHDD判別処理は、別の方法によって行うことも可能である。例えば、次の図13、図14に示すように、セルフSTW型のHDDか否かを示す情報をHDD100内の不揮発性記憶装置303に記憶しておき、この情報を基に判別処理を行ってもよい。
【0107】
図13は、HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
調整・試験装置300に接続されるHDD100の不揮発性メモリ107には、例えば、装置情報コード131およびF/W132が格納される。
【0108】
装置情報コード131には、図11に示した装置情報ラベル120内の情報と同様に、このHDD100に関する情報が含まれている。この装置情報コード131には、例えば、HDD100の機種を識別するための機種コード131a、HDD100内の磁気ディスク媒体101が備えるプラッタ数131b、磁気ディスク媒体101の最大の回転数131c、STW型HDDであるか否かを示すSTW種別131d、および、このHDD100の製造番号131eが含まれている。この装置情報コード131は、例えば、HDD100の組み立ての段階で不揮発性メモリ107内にあらかじめ格納されている。
【0109】
F/W132は、調整・試験装置300から送信され、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107に格納される情報である。本実施の形態では、F/W132には、前述したセルフSTW調整用F/W331a、セルフSTW用F/W332a、装置調整用F/W333aおよび装置試験用F/W334aが含まれる。なお、実行済みのF/W132は、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107から消去されてもよい。
【0110】
以上の情報のうち、調整・試験装置300は、装置情報コード131内のSTW種別131dを読み込むことにより、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであるか否かを判別できる。この場合、調整・試験装置300のHDD判別処理部322において、次のような処理が実行されればよい。
【0111】
図14は、不揮発性メモリのデータに基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS51]調整・試験装置300にHDDが接続されると、HDD判別処理部322は、接続されたHDD100に対して所定の制御コマンドを送信し、STW種別131dを送信するように要求する。接続されたHDD100のMCU106は、調整・試験装置300からの制御コマンドに応じて、不揮発性メモリ107からSTW種別131dを読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整・試験装置300に返信する。
【0112】
[ステップS52]HDD判別処理部322は、接続されたHDD100からSTW種別131dを受信し、その情報を基に、接続されたHDD100がセルフSTW型のものであるか否かを判別する。
【0113】
[ステップS53]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。HDD制御部321は、この判別結果に基づき、図10のステップS32またはステップS36のいずれかの処理を実行する。
【0114】
なお、図13に示した装置情報コード131内の情報のうち、例えば、機種コード131aや製造番号131eによって、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するようにしてもよい。
【0115】
〔HDD判別処理の変形例2〕
図10のステップS31におけるHDD判別処理は、接続されたHDDからのサーボトラック内のサーボ信号が読み取り可能であるか否かを基に行われてもよい。この場合、調整・試験装置300のHDD判別処理部322において、次の図15に示す処理が実行されればよい。
【0116】
図15は、サーボ信号に基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS61]調整・試験装置300にHDDが接続されると、HDD判別処理部322は、接続されたHDD100に対して所定の制御コマンドを送信し、サーボ信号の読み取り可否を問い合わせる。
【0117】
接続されたHDD100のMCU106は、例えば、この問い合わせに応じて、磁気ディスク媒体101を回転させるとともに、磁気ヘッド102を磁気ディスク媒体101のアウタ側に移動させ、サーボトラックの読み取りを開始させる。ここで、正常な外部STW型HDDであれば、MCU106はサーボトラックに書き込まれたサーボ信号を読み取ることができる。このとき、MCU106は、サーボ信号の読み取りが可能であったことを、HDC105および通信I/F109を介して調整・試験装置300に送信する。また、MCU106は、サーボ信号を読み取ることができなかった場合には、その旨を調整・試験装置300に対して送信する。
【0118】
なお、このようなサーボトラックの読み取り動作は、例えば、調整・試験装置300からの要求に関係なく、電源投入後にHDD100において自動的に実行されてもよい。また、HDD100から調整・試験装置300に対しては、サーボ信号を読み取ることができた場合には、読み取り可能を示す情報の代わりに、読み取られたサーボ信号自体を送信するようにしてもよい。
【0119】
[ステップS62]HDD判別処理部322は、HDD100から返信された情報を基に、そのHDD100がセルフSTW型のものであるか否かを判別する。すなわち、サーボ信号の読み取りが可能であった場合には、接続されたHDD100が外部STW型HDDであると判別し、読み取りが不可能であった場合には、接続されたHDD100がセルフSTW型HDDであると判別する。
【0120】
[ステップS63]HDD判別処理部322は、セルフSTW型HDDであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。HDD制御部321は、この判別結果に基づき、図10のステップS32またはステップS36のいずれかの処理を実行する。
【0121】
〔第2の実施の形態〕
図16は、第2の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。なお、この図16では、図6に対応する要素には同じ符号を付している。また、図6と同様に、図16でも、HDD製造システムにおけるHDDの製造工程についても概略的に示している。
【0122】
本実施の形態は、装置調整工程と装置試験工程とが、それぞれ個別の設備において行われる点が、第1の実施の形態とは異なる。本実施の形態のHDD製造システムは、図6と同様のSTW装置210および組み立て装置220に加えて、装置調整工程が実行される調整装置400と、装置試験工程が実行される試験装置500とを備えている。なお、調整装置400は、図2に示した調整装置20に対応する装置であり、試験装置500は、図2に示した試験装置30に対応する装置である。
【0123】
試験装置500では、装置試験の例として、HDD内にあらかじめ設定された試験スケジュールに従って書き込み/読み出し試験を行うSRT(Self Running Test)が実行される。さらに、試験装置500では、セルフSTW工程を実行することも可能になっている。
【0124】
外部STW型HDDが製造される場合には、図6に示したSTW工程(ステップS11)と同様の工程によりサーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101aが、組み立て装置220に投入される、そして、図6に示したディスク組み込み工程(ステップS12)と同様の工程により、この磁気ディスク媒体101aがHDD100aに組み込まれる。
【0125】
次に、このHDD100aは調整装置400に接続されて、この調整装置400から電源の供給を受ける。そして、調整装置400では、図6に示した装置調整工程(ステップS13)と同様の工程が実行される。この工程の終了後、調整装置400ではさらに、HDD100aにSRT工程の実行を可能にするためのSRT用設定工程が実行される(ステップS15)。この工程では、後述するように、HDD100aに対して、SRT工程のスケジュールを示すSRTスケジュールと、SRT工程を実行させるためのSRT用F/Wとが書き込まれる。
【0126】
SRT用設定工程が終了すると、HDD100aは調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、この試験装置500から電源の供給を受ける。そして、HDD100aにおいてSRT工程が実行される(ステップS16)。以上のような工程を経ることで、外部STW型のHDD100aが完成する。
【0127】
一方、セルフSTW型HDDが製造される場合には、図6に示したスパイラルパターン書き込み工程(ステップS21)と同様の工程によりスパイラルパターンが書き込まれた磁気ディスク媒体101bが、組み立て装置220に投入される。そして、図6に示したディスク組み込み工程(ステップS12)と同様の工程により、この磁気ディスク媒体101bがHDD100bに組み込まれる。
【0128】
次に、このHDD100bは調整装置400に接続され、この調整装置400から電源の供給を受ける。調整装置400は、接続されたHDD100bがセルフSTW型であって、なおかつセルフSTWが実行されていないものと判別すると、このHDD100bに対して、図6に示したセルフSTW用調整工程(ステップS22)と同様の工程が実行される。この工程の終了後、調整装置400ではさらに、HDD100bにセルフSTW工程の実行を可能にするためのセルフSTW用設定工程が実行される(ステップS24)。この工程では、後述するように、HDD100bに対して、セルフSTW工程のスケジュールを示すセルフSTWスケジュールと、セルフSTW工程を実行させるためのセルフSTW用F/Wとが書き込まれる。
【0129】
セルフSTW用設定工程が終了すると、HDD100bは調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、この試験装置500から電源の供給を受ける。そして、HDD100bにおいてセルフSTW工程が実行される(ステップS25)。
【0130】
セルフSTW工程が終了すると、HDD100bは試験装置500から取り外されて、調整装置400に再度接続され、この調整装置400から電源の供給を受ける。調整装置400は、HDD100bがセルフSTW工程が実行されたものであると判別すると、このHDD100bに対して、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)およびSRT用設定工程(ステップS15)を実行させる。この後、HDD100bは調整装置400から取り外され、試験装置500に再度接続される。この状態で、外部STW型HDDと同様に、SRT工程(ステップS16)が実行される。これにより、セルフSTW型のHDD100bが完成する。
【0131】
ここで、図17および図18は、装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。この図17を用いて、本実施の形態のHDD製造システムと、従来のHDD製造システムとの動作の違いについて説明する。なお、図17では、図16に対応する構成要素については同じ符号を付して示している。
【0132】
図18において、調整装置951は、外部STW型のHDD100aの調整を行うための装置である。この調整装置951では、組み立て装置220において磁気ディスク媒体101aが組み込まれたHDD100aに対して、図16のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13a)と、図16のステップS15に対応するSRT用設定工程(ステップS15a)とが実行される。さらに、試験装置961に接続されたHDD100aには、試験装置961において、図16のステップS16に対応するSRT工程(ステップS16a)が実行される。
【0133】
一方、セルフSTW型のHDD100bを製造するためには、上記の調整装置951および試験装置961とは別に、セルフSTW用の調整装置970とセルフSTW装置980とを設ける必要があった。組み立て装置220において磁気ディスク媒体101bが組み込まれたHDD100bは、調整装置970に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS22に対応するセルフSTW用調整工程(ステップS22b)と、図16のステップS24に対応するセルフSTW用設定工程(ステップS24b)とが実行される。
【0134】
この後、調整装置970から取り外されたHDD100bは、セルフSTW装置980に接続され、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS25に対応するセルフSTW工程(ステップS25b)が実行される。
【0135】
これらの工程によりサーボトラックが書き込まれたHDD100bは、調整装置970から取り外されて、次の調整・試験工程に投入される。通常、セルフSTW型HDD用の調整装置952および試験装置962は、セルフSTW型HDD用の製造ライン上に、外部STW型HDD用の調整装置951および試験装置961とは別に設けられる。HDD100bは、調整装置952に接続されて、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS13に対応する装置調整工程(ステップS13b)と、図16のステップS15に対応するSRT用設定工程(ステップS15b)とが実行される。
【0136】
さらに、HDD100bは試験装置962に接続され、電源の供給を受ける。そして、この状態で、図16のステップS16に対応するSRT工程(ステップS16b)が実行される。
【0137】
このように、従来、セルフSTW型HDDを製造するためには、セルフSTW工程を実行するための専用の装置が必要であったため、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDの各製造設備を共通化することが困難であった。このため、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDの両方を並行して製造しなければならない場合、製造設備に要するコストが増大するという問題があった。
【0138】
これに対して、本実施の形態のHDD製造システムでは、外部STW型HDDおよびセルフSTW型HDDに対する各調整・試験工程が、共通の調整装置400および試験装置500において実行可能となっている。これとともに、調整装置400においてセルフSTW用の設定工程も実行可能とし、試験装置500においてセルフSTW工程も実行可能となっている。これにより、外部STW型HDDとセルフSTW型HDDとの両方を製造しなければならない場合の製造コストを抑制し、これらのHDDを効率よく製造できるようになる。
【0139】
次に、調整装置400における処理を詳しく説明する。図19は、調整装置の機能を示すブロック図である。
調整装置400は、HDD制御部421、HDD判別処理部422およびセルフSTW判別処理部423を備える。なお、調整装置400は、図8に示した調整・試験装置300と同様のハードウェア構成によって実現可能である。そして、HDD制御部421、HDD判別処理部422およびセルフSTW判別処理部423の各機能は、調整装置400が備えるCPU(図8のCPU301に対応)により所定の制御プログラムが実行されることで実現される。また、図19に示した不揮発性記憶装置403は、図8の不揮発性記憶装置303に対応する。
【0140】
HDD制御部421は、図9に示したHDD制御部321と同様、この調整装置400に接続されたHDD100a,100bに対して制御コマンドを送信することにより、HDD100a,100bに対して装置調整工程などの各種工程を実行させる。
【0141】
不揮発性記憶装置403には、HDD100a,100bに実行させるF/Wとして、セルフSTW調整用F/W431a、セルフSTW用F/W432a、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが格納されている。さらに、セルフSTW調整用F/W431aおよび装置調整用F/W433aにそれぞれ対応する制御コマンドを含むコマンドテーブル431b,433bも、不揮発性記憶装置403に格納されている。なお、これらのセルフSTW調整用F/W431a、装置調整用F/W433a、コマンドテーブル431b,433bは、それぞれ図9に示したセルフSTW調整用F/W331a、装置調整用F/W333a、コマンドテーブル331b,333bと同様のものである。
【0142】
セルフSTW用F/W432aは、セルフSTW型のHDD100bにセルフSTW工程(図16のステップS25に対応)を実行させるためのプログラムである。また、不揮発性記憶装置403には、セルフSTW用F/W432aをHDD100bに実行させるための制御コマンドがその実行順に格納されたセルフSTWスケジュール432bが記憶されている。
【0143】
SRT用F/W434aは、HDD100a,100bにSRT工程(図16のステップS16に対応)を実行させるためのプログラムである。また、不揮発性記憶装置403には、SRT用F/W434aをHDD100a,100bに実行させるための制御コマンドがその実行順に格納されたSRTスケジュール434bが記憶されている。
【0144】
HDD判別処理部422は、この調整装置400に接続されたHDDが、外部STW型のHDD100aであるか、あるいはセルフSTW型のHDD100bであるかを判別する。この機能は図9に示したHDD判別処理部422と同様のものであり、本実施の形態では、HDD100a,100bの外装面に添付された装置情報ラベルの情報を基に、HDDの種別が判別される。
【0145】
セルフSTW判別処理部423は、調整装置400に接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであった場合に、このHDD100bにおいてセルフSTWが完了しているか否かを判別する。本実施の形態では、後述するように、HDD100bの磁気ディスク媒体101bに記録されたセルフSTWフラグを基に、セルフSTWが完了しているか否かが判別される。
【0146】
図20は、HDDが接続された場合の調整装置における処理手順を示すフローチャートである。
[ステップS71]このステップでは、HDD判別処理部422およびHDD制御部421により、図10のステップS31でのHDD判別処理部322およびHDD制御部321と同様の処理が実行される。すなわち、調整装置400にHDDが接続されると、このHDDに貼付された装置情報ラベルのバーコードがバーコードリーダによって読み取られ、読み取り情報がHDD判別処理部422に入力される。HDD判別処理部422は、入力された読み取り情報を基に、接続されたHDDがセルフSTW型のものであるか否かを判別し、判別結果をHDD制御部421に通知する。HDD制御部421は、通知された判別結果に基づき、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであった場合には、ステップS72の処理を実行し、そうでなかった場合にはステップS77の処理を実行する。
【0147】
なお、このステップS71におけるHDD種別の判別処理は、上記のような装置情報ラベルを用いた方法の他、例えば、図13〜図15において説明した変形例の方法によって行われてもよい。
【0148】
[ステップS72]セルフSTW判別処理部423により、接続されたHDD100bにおいてセルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かが判定され、判定結果がHDD制御部421に通知される。なお、この判定処理の具体的な手順の例については、後述する。HDD制御部421は、セルフSTW工程が正しく実行済みであった場合には、ステップS77の処理を実行し、正しく実行済みでなかった場合には、ステップS73の処理を実行する。
【0149】
[ステップS73]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW調整用F/W431aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW調整用F/W431aとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW調整用F/W431aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0150】
[ステップS74]HDD制御部421は、HDD100bに対して、セルフSTW用調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部421は、コマンドテーブル431bから、セルフSTW調整用F/W431aを実行させるための制御コマンドを読み込み、HDD100bに送信する。これにより、HDD100bでは、図10のステップS33と同様の手順でセルフSTW用調整工程が実行される。
【0151】
[ステップS75]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTWスケジュール432bの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTWスケジュール432bとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTWスケジュール432bを不揮発性メモリ107に格納する。
【0152】
[ステップS76]HDD制御部421は、接続されたHDD100bに対して、セルフSTW用F/W432aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとセルフSTW用F/W432aとをHDD100bに送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したセルフSTW用F/W432aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0153】
以上のステップS73〜S76の処理が実行されたHDD100bは、調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続される。試験装置500は、接続されたHDDに対する電源供給機能を備えている。HDD100bは、試験装置500から電源の供給を受けると、MCU106が不揮発性メモリ107にアクセスする。そして、MCU106は、セルフSTW用F/W432aを、セルフSTWスケジュール432bに従って実行する。これにより、図16のステップS25のセルフSTW工程が、試験装置500において自動的に実行される。また、図16で説明した通り、この工程が実行されたHDD100bは、試験装置500から取り外されて、調整装置400に再度接続される。
【0154】
一方、以下のステップS77〜S80の処理は、接続されたHDDが外部STW型のHDD100aであると判別された場合、および、接続されたHDDがセルフSTW型のHDD100bであるが、セルフSTW工程が完了していてすでにサーボトラックが正しく書き込まれていると判断された場合に実行される。
【0155】
[ステップS77]HDD制御部421は、接続されたHDD100(HDD100aまたはHDD100b)に対して、装置調整用F/W433aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドと装置調整用F/W433aとをHDD100に送信する。HDD100bのMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信した装置調整用F/W433aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0156】
[ステップS78]HDD制御部421は、HDD100に対して、装置調整工程の実行を要求する。具体的には、HDD制御部421は、コマンドテーブル433bから、装置調整用F/W433aを実行させるための制御コマンドを読み込み、HDD100に送信する。これにより、HDD100では、図10のステップS37と同様の手順で装置調整工程が実行される。
【0157】
[ステップS79]HDD制御部421は、接続されたHDD100に対して、SRTスケジュール434bの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとSRTスケジュール434bとをHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したSRTスケジュール434bを不揮発性メモリ107に格納する。
【0158】
[ステップS80]HDD制御部421は、接続されたHDD100に対して、SRT用F/W434aの書き込みを要求する。具体的には、HDD制御部421は、書き込み要求のための制御コマンドとSRT用F/W434aとをHDD100に送信する。HDD100のMCU106は、受信した制御コマンドに従って、受信したSRT用F/W434aを不揮発性メモリ107に格納する。
【0159】
以上のステップS77〜S80の処理が実行されたHDD100は、調整装置400から取り外されて、試験装置500に接続され、SRT工程が実行される。ところで、SRT工程を実行するための装置は、ステップS76の後に実行されるセルフSTW工程と同様に、少なくとも、HDDに対する電源供給機能を備えていればよい。このため、セルフSTW工程を実行するための装置とSRT工程を実行するための装置とは、試験装置500として共通化することが可能である。
【0160】
HDD100が試験装置500に接続されて、この試験装置500からHDD100に対して電源が供給されると、HDD100内のMCU106は不揮発性メモリ107にアクセスする。そして、MCU106は、SRT用F/W434aを、SRTスケジュール434bに従って実行する。これにより、図16のステップS16のSRT工程が、試験装置500において自動的に実行される。なお、HDD100でのSRT工程は、例えば、図6のステップS14に示した装置試験工程におけるHDD100での処理が、HDD100内部の制御により行われるものである。
【0161】
なお、本実施の形態では、HDDにおいてSRT工程およびセルフSTW工程をそれぞれ実行可能にするための設定工程として、HDDに対するF/Wおよびスケジュールの書き込みを行っているが、これに限ったことではない。例えば、F/WについてはHDDにあらかじめ記憶させておき、設定工程ではその実行スケジュールのみをHDDに設定するようにしてもよい。
【0162】
ここで、図21は、HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。なお、図21では、図13に対応する構成要素には同じ符号を付して示している。
【0163】
調整装置400や試験装置500に接続されるHDD100の不揮発性メモリ107には、例えば、図13に示した装置情報コード131およびF/W132に加えて、スケジュール133、セルフSTW実行結果134およびSRT実行結果135が格納される。
【0164】
装置情報コード131には、図13において説明した通りである。F/W132およびスケジュール133は、調整装置400から送信されて格納される情報である。本実施の形態では、F/W132には、前述したセルフSTW調整用F/W431a、セルフSTW用F/W432a、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが含まれる。
【0165】
スケジュール133には、前述したセルフSTWスケジュール432bおよびSRTスケジュール434bが含まれる。図21に示すように、スケジュール133には、例えば、スケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dが含まれる。
【0166】
スケジュール番号133aは、対応する実行コマンド133bの実行順を示す。実行コマンド133bは、対応するF/W132を実行するためのコマンドである。開始シリンダ133cは、磁気ディスク媒体101における処理対象領域のシリンダ方向の開始位置を示す。処理シリンダ数133dは、開始シリンダ133cにより示される位置を起点としたときの、磁気ディスク媒体101におけるシリンダ方向の処理対象範囲を示す。
【0167】
図示を省略するが、スケジュール133には、これらのスケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dが、セルフSTWスケジュール432bおよびSRTスケジュール434bのそれぞれについて記述される。
【0168】
なお、実行済みのF/W132や、それに対応するスケジュール133は、MCU106の処理によって不揮発性メモリ107から消去されてもよい。
セルフSTW実行結果134には、セルフSTWスケジュール432bに従ってセルフSTW用F/W432aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。図21に示すように、このセルフSTW実行結果134には、例えば、セルフSTW完了フラグ134aが含まれる。セルフSTW完了フラグ134aは、セルフSTW工程が正しく終了したか否かを示すフラグである。
【0169】
このセルフSTW完了フラグ134aは、例えば、セルフSTW用F/W432aが実行された後に、MCU106によって不揮発性メモリ107に記録される。この場合、セルフSTW完了フラグ134aの値は、セルフSTW工程が正しく終了した場合と、セルフSTW工程が実行されたものの正しく終了しなかった場合のいずれかを示す。また、セルフSTW工程の実行前に、セルフSTW完了フラグ134aとして、セルフSTW工程が正しく終了していないことを示す値があらかじめ格納され、セルフSTW工程が正しく実行された後に、セルフSTW完了フラグ134aの値が変更されてもよい。
【0170】
SRT実行結果135には、SRTスケジュール434bに従ってSRT用F/W434aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。
以上の各情報のうち、調整装置400のセルフSTW判別処理部423は、セルフSTW実行結果134内のセルフSTW完了フラグ134aを読み込むことにより、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0171】
図22は、セルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。なお、この図22の処理は、図20に示したステップS72において実行されるものである。
[ステップS91]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して所定の制御コマンドを送信し、セルフSTW完了フラグ134aの値を送信するように要求する。HDD100bのMCU106は、調整装置400からの制御コマンドに応じて、不揮発性メモリ107からセルフSTW完了フラグ134aの値を読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整装置400に返信する。
【0172】
[ステップS92]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからセルフSTW完了フラグ134aを受信し、その値を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0173】
[ステップS93]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
以上説明した第2の実施の形態では、装置調整工程およびSRT用設定工程を実行可能な調整装置400において、セルフSTW用調整・設定工程も実行可能になっている。また、このような機能を実現するために、調整装置400に、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否か、および、セルフSTW工程が正しく実行されたものであるか否かをそれぞれ判別する機能を設けている。そして、セルフSTW型HDDが接続されており、なおかつ、セルフSTW工程が正しく実行されていない場合には、まず、セルフSTW用調整・設定工程を実行させる。一方、セルフSTW型HDDが接続された場合であっても、セルフSTW工程が正しく実行されたものであれば、外部STW型HDDが接続された場合と全く同様の装置調整工程およびSRT用設定工程を実行させる。
【0174】
これにより、装置調整工程、SRT用設定工程、セルフSTW用調整・設定工程を実行するための設備が共通化され、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストが抑制される。また、セルフSTW工程が実行されたセルフSTW型のHDDを、オペレータによる設定などの操作を行うことなく、調整装置400に再度接続できるようになるので、製造効率が向上する。
【0175】
さらに、SRT工程を実行するための装置と、セルフSTW工程を実行するための装置とを、少なくとも電源供給機能を備えた試験装置500として共通化することが可能となる。また、これらの工程で、電源供給のためのケーブルを共通化することも可能である。従って、HDD製造のための設備コストをさらに抑制できる。
【0176】
また、調整装置400には、接続されたHDDがセルフSTW型であるか否かを判別するだけでなく、セルフSTW工程が正しく実行されたものであるか否かを判別する機能も設けた。これにより、HDD100bにおいてセルフSTWが一度も実行されていない場合だけでなく、HDD100bにおいてセルフSTWが実行されたものの正常に終了しなかった場合(例えば、磁気ディスク媒体101bの一部にサーボトラックが正常に書き込まれなかった場合など)にも、セルフSTWを確実に実行させることができる。
【0177】
〔セルフSTW判別処理の変形例1〕
上記の第2の実施の形態において、図20のステップS72におけるセルフSTW判別処理は、別の方法によって行うことも可能である。例えば、上記のようにHDD100内の不揮発性メモリ107に格納された情報の代わりに、次の図23および図24に示すように、磁気ディスク媒体101に記録された情報を基に、セルフSTWが正しく実行されたか否かを判別するようにしてもよい。
【0178】
図23は、HDDに搭載された磁気ディスク媒体におけるデータマップの例を示す図である。
調整装置400や試験装置500に接続されるHDD100の磁気ディスク媒体101には、その最も外周側にアウタガードエリア141が設けられ、最も内周側にインナガードエリア142が設けられている。そして、アウタガードエリア141とインナガードエリア142との間の領域には、ユーザデータエリア143が設けられている。さらに、図23の例では、アウタガードエリア141とユーザデータエリア143との間に、装置情報コード144、F/W145、スケジュール146、セルフSTW実行結果147およびSRT実行結果148が格納されている。
【0179】
アウタガードエリア141、インナガードエリア142、ユーザデータエリア143および装置情報コード144は、例えば、この磁気ディスク媒体101に対するサーボトラックの書き込みに続いて記録される。装置情報コード144には、例えば、機種コード142a、プラッタ数142b、回転数142c、STW種別142dおよび製造番号142eが含まれている。これらの情報は、図21に示した機種コード131a、プラッタ数131b、回転数131c、STW種別131dおよび製造番号131eとそれぞれ同様の情報である。
【0180】
F/W145およびスケジュール146は、調整装置400から送信されて格納される情報である。本実施の形態では、F/W145には、前述した装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが記録される。すなわち、図20のステップS77,S80では、装置調整用F/W433aおよびSRT用F/W434aが磁気ディスク媒体101に書き込まれる。
【0181】
また、スケジュール146には、例えば、スケジュール番号146a、実行コマンド146b、開始シリンダ146cおよび処理シリンダ数146dが含まれる。これらの情報の内容は、図21に示したスケジュール番号133a、実行コマンド133b、開始シリンダ133cおよび処理シリンダ数133dと基本的に同様である。本実施の形態では、スケジュール146には、前述したSRTスケジュール434bが記録される。すなわち、図20のステップS79では、SRTスケジュール434bが磁気ディスク媒体101に書き込まれる。
【0182】
なお、実行済みのF/W145や、それに対応するスケジュール146は、MCU106の処理によって磁気ディスク媒体101から消去されてもよい。
セルフSTW実行結果147には、セルフSTWスケジュール432bに従って、セルフSTW用F/W432aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。ただし、セルフSTW実行結果147は、セルフSTW型HDD100b内の磁気ディスク媒体101bにのみ格納される。
【0183】
図23に示すように、このセルフSTW実行結果147には、セルフSTW完了フラグ147aが含まれる。セルフSTW完了フラグ147aは、セルフSTW工程が正しく終了したか否かを示すフラグである。なお、セルフSTW完了フラグ147aの内容やその書き込み・更新のタイミングなどは、図21に示したセルフSTW完了フラグ134aの場合と同様である。
【0184】
SRT実行結果148には、SRTスケジュール434bに従ってSRT用F/W434aが実行された結果を示す情報が、MCU106の処理によって格納される。
以上の各情報のうち、調整装置400のセルフSTW判別処理部423は、セルフSTW実行結果147内のセルフSTW完了フラグ147aを読み込むことにより、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別することができる。
【0185】
図24は、磁気ディスク媒体内の情報に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。なお、この図24の処理は、図20に示したステップS72において実行されるものである。
【0186】
[ステップS101]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して所定の制御コマンドを送信し、セルフSTW完了フラグ147aの値を送信するように要求する。HDD100bのMCU106は、調整装置400からの制御コマンドに応じて、磁気ディスク媒体101bからセルフSTW完了フラグ147aの値を読み込み、HDC105および通信I/F109を介して調整装置400に返信する。
【0187】
[ステップS102]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからセルフSTW完了フラグ147aを受信し、その値を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0188】
[ステップS103]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
〔セルフSTW判別処理の変形例2〕
図20のステップS72におけるセルフSTW判別処理は、接続されたHDDの磁気ディスク媒体の全面に亘ってシーク動作を実行させた実行結果を基に行われてもよい。この場合、調整装置400のセルフSTW判別処理部423において、次の図25に示す処理が実行されればよい。
【0189】
図25は、シーク動作結果に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
[ステップS111]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bに対して、磁気ディスク媒体101bのアウタ側からインナ側までの全面に対するシーク動作を実行するように要求する。
【0190】
接続されたHDD100bのMCU106は、この要求に応じて、磁気ディスク媒体101bを回転させるとともに、磁気ヘッド102を磁気ディスク媒体101の最もアウタ側から最もインナ側までを移動させ、サーボトラックの信号を読み取る。セルフSTW工程が正しく終了していれば、磁気ディスク媒体101の全面に亘ってシーク動作は正常に実行される。MCU106は、磁気ディスク媒体101の全面に亘ってシーク動作が正常に実行されたか否かを示す情報を、調整装置400に対して送信する。
【0191】
[ステップS112]セルフSTW判別処理部423は、接続されたHDD100bからシーク動作の実行結果を受信し、その情報を基に、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かを判別する。
【0192】
[ステップS113]セルフSTW判別処理部423は、セルフSTW工程が正しく実行済みであるか否かの判別結果を、HDD制御部321に通知する。
なお、この図25に示した処理が採用される場合には、図20のステップS71でのHDD判別処理を省略し、上記処理によるステップS72での判別結果のみを基に、ステップS73またはステップS77のどちらの処理を実行するかを決定してもよい。すなわち、接続されたHDD100において、磁気ディスク媒体101の全面に亘るシーク動作が正常に実行された場合には、調整装置400は、このHDD100には正常にサーボトラックが書き込まれていると認識できる。このため、この場合には、ステップS77〜S80の処理が実行される。一方、シーク動作が正常に実行されなければ、調整装置400は、このHDD100には正常にサーボトラックが書き込まれていないか、あるいは、サーボトラックの書き込み自体が行われていないと認識できる。このため、この場合には、ステップS73〜S76の処理が実行される。
【0193】
〔セルフSTW型HDDの他の適用例〕
上記の各実施の形態では、セルフSTW型HDDの例として、スパイラルパターンなどの仮サーボ信号が書き込まれた磁気ディスク媒体を利用したHDDを適用した。しかし、セルフSTW方式には、この他の方式も存在し、そのようなHDDを上記各実施の形態に適用可能である。ここでは他のセルフSTW方式の例として、複数の磁気ディスク媒体を有するHDDにおいて、それらの1枚にのみあらかじめサーボトラックを書き込んでおく方式について説明する。
【0194】
図26は、複数の磁気ディスク媒体を備えたセルフSTW型HDDに対するサーボ信号パターンの書き込み例を模式的に示す図である。
この図26では、例として、3枚の磁気ディスク媒体101c_1〜101c_3を備えるHDDを想定する。セルフSTW工程の実行前の段階においては、図26中の左側に示すように、これらのうち例えば1枚の磁気ディスク媒体101c_1にのみ、サーボトラックがあらかじめ書き込まれている。この例では、サーボトラックとして、前述の外部STW型HDDにおける放射状パターンP1(図4参照)の場合と同様の放射状パターンP4が書き込まれる。そして、セルフSTW工程では、図26中の右側に示すように、磁気ディスク媒体101c_1に書き込まれたサーボトラックを基に、他の磁気ディスク媒体101c_2,101c_3のそれぞれに対して同様のサーボトラックが書き込まれる。
【0195】
ここで、図6および図16を参照して、前述の各実施の形態に対する図26の磁気ディスク媒体の適用について、より具体的に説明する。まず、STW装置210では、ステップS11のSTW工程により、磁気ディスク媒体101c_1に対してサーボトラックが書き込まれる。そして、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101c_1と、何の信号も書き込まれていない磁気ディスク媒体101c_2,101−c_3とが、組み立て装置220においてHDDに組み込まれる(ステップS12)。以上の工程は、図6のシステムと図16のシステムのどちらにも共通である。
【0196】
図6のシステムにおいては、磁気ディスク媒体101c_1〜101c_3が組み込まれたHDDが、調整・試験装置300に接続される。そして、ステップS23のセルフSTW工程において、調整・試験装置300からの制御により、磁気ディスク媒体101c_2,101c_3に対してサーボトラックが書き込まれる。この後、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)および装置試験工程(ステップS14)が実行される。このような工程により、第1の実施の形態と同様に、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0197】
また、図16のシステムにおいては、サーボトラックが書き込まれた磁気ディスク媒体101c_1と、何の信号も書き込まれていない磁気ディスク媒体101c_2,101−c_3とが組み込まれたHDDが、調整装置400に接続される。調整装置400は、このHDDがセルフSTW型HDDであって、セルフSTW工程が実行されていないと判別して、セルフSTW用調整工程(ステップS22)およびセルフSTW用設定工程(ステップS24)を実行する。これらのうち、セルフSTW用設定工程では、磁気ディスク媒体101c_1に書き込まれたサーボトラックを基に、他の磁気ディスク媒体101c_2,101c_3のそれぞれに同様のサーボトラックを書き込むためのF/Wおよびスケジュールが、HDDに対して設定される。
【0198】
そして、このHDDは試験装置500に接続され、設定されたセルフSTW用のF/WがHDDに実行されることにより、磁気ディスク媒体101c_2,101c_3に対してサーボトラックが書き込まれる(ステップS25)。この手順によりセルフSTW工程が完了したHDDは、再度調整装置400に接続される。そして、外部STW型HDDと同様に、装置調整工程(ステップS13)およびSRT設定工程(ステップS15)が実行され、さらに試験装置500においてSRT工程(ステップS16)が実行される。このような工程により、第2の実施の形態と同様に、セルフSTW型および外部STW型の両方の方式のHDDを並行して製造する場合の製造コストを抑制できる。
【0199】
以上の各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の試験装置。
【0200】
(付記2) 前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0201】
(付記3) 前記装置判別部は、前記磁気記憶装置の筐体面に記載された前記装置種別情報を、読み取り装置が読み取った情報を基に、判別処理を行うことを特徴とする付記2記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0202】
(付記4) 前記装置判別部は、前記磁気記憶装置が備える、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置から、前記装置種別情報を読み出すことを特徴とする付記2記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0203】
(付記5) 前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体から前記サーボトラックの情報を読み取るように要求し、前記サーボトラックの情報が正しく読み取られた場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要でない装置であると判別することを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0204】
(付記6) 前記試験制御部、前記第1の調整制御部、前記自己書き込み動作制御部および前記第2の調整制御部は、接続された前記磁気記憶装置に対して所定の制御信号を送信することにより、当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験、前記書き込み/読み出し試験のための調整動作、前記自己書き込み動作、および、前記自己書き込み動作のための調整動作をそれぞれ実行させることを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の試験装置。
【0205】
(付記7) 磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の調整装置。
【0206】
(付記8) 前記装置判別部は、
接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを判別する装置種別判別部と、
前記装置種別判別部により、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であると判別された場合に、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別部と、
を有し、前記装置種別判別部により前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別された場合、および、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであると判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別し、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みでないと判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別することを特徴とする付記7記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0207】
(付記9) 前記磁気記憶装置の筐体面には、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報が記載されており、
前記装置種別判別部は、前記装置種別情報を読み取り装置が読み取った情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0208】
(付記10) 前記磁気記憶装置は、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報が記録された、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置を備えており、
前記装置種別判別部は、前記不揮発性記憶装置から読み出した前記装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0209】
(付記11) 前記装置種別判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体から前記サーボトラックの情報を読み取るように要求し、前記サーボトラックの情報が正しく読み取られた場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別することを特徴とする付記8記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0210】
(付記12) 前記磁気記憶装置は、当該磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行されたか否かを示す実行完了情報が記録された、磁気ディスク媒体以外の不揮発性記憶装置を備えており、
前記動作実行判別部は、前記不揮発性記憶装置から読み出した前記実行完了情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0211】
(付記13) 前記動作実行判別部は、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行されたか否かを示す実行完了情報を、当該磁気記憶装置の磁気ディスク媒体から読み出し、当該実行完了情報を基に判別処理を行うことを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0212】
(付記14) 前記動作実行判別部は、接続された前記磁気記憶装置に対して、磁気ディスク媒体の全面に亘って磁気ヘッドによるシーク動作を実行させ、当該シーク動作が正常に完了した場合に、当該磁気記憶装置において前記自己書き込み動作の実行が正常に実行済みであると判別することを特徴とする付記7〜11のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0213】
(付記15) 前記第1の設定処理部は、前記磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するためのプログラムを当該磁気記憶装置に送信し、
前記第2の設定処理部は、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するためのプログラムを当該磁気記憶装置に送信することを特徴とする付記7〜14のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0214】
(付記16) 前記第1の調整制御部および前記第2の調整制御部は、接続された前記磁気記憶装置に対して所定の制御信号を送信することにより、当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作、および、前記自己書き込み動作のための調整動作をそれぞれ実行させることを特徴とする付記7〜15のいずれか1つに記載の磁気記憶装置の調整装置。
【0215】
(付記17) 試験装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記試験装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記試験装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置に実行させる第1の試験実行工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記自己書き込み動作を当該磁気記憶装置に実行させる自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作実行工程において前記自己書き込み動作を実行した前記磁気記憶装置に、前記試験装置が、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を実行させる第2の試験実行工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【0216】
(付記18) 調整装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記調整装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第1の調整・設定工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第2の調整・設定工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【0217】
(付記19) 前記第2の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が実行される自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作が実行された前記磁気記憶装置が前記試験装置から取り外されて前記調整装置に接続され、前記装置判別工程が再度実行される装置再判別工程と、
をさらに含むことを特徴とする付記18記載の磁気記憶装置の製造方法。
【0218】
(付記20) 前記第1の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて前記試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記書き込み/読み出し試験が実行される試験実行工程をさらに含むことを特徴とする付記19記載の磁気記憶装置の製造方法。
【0219】
(付記21) 前記第2の調整・設定工程における設定処理では、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するための第1のプログラムが、前記調整装置から当該磁気記憶装置に対して送信され、
前記自己書き込み動作実行工程では、前記磁気記憶装置において前記第1のプログラムが実行されることにより前記自己書き込み動作が実行され、
前記第1の調整・設定工程における設定処理では、前記磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するための第2のプログラムが、前記調整装置から当該磁気記憶装置に対して送信され、
前記試験実行工程では、前記磁気記憶装置において前記第2のプログラムが実行されることにより前記書き込み/読み出し試験が実行される、
ことを特徴とする付記20記載の磁気記憶装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】実施の形態に係る試験装置の概要を示す図である。
【図2】実施の形態に係る調整装置の概要を示す図である。
【図3】HDD製造システムで製造されるHDDの基本的なハードウェア構成例を示す図である。
【図4】外部STW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
【図5】セルフSTW型HDDの磁気ディスク媒体におけるサーボ信号パターンの例を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。
【図7】従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図である。
【図8】調整・試験装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図9】調整・試験装置の機能を示すブロック図である。
【図10】HDDが接続された場合の調整・試験装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図11】HDDに貼付された装置情報ラベルを示す図である。
【図12】装置情報ラベル読み取りによるHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
【図14】不揮発性メモリのデータに基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】サーボ信号に基づくHDD判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】第2の実施の形態に係るHDD製造システムのシステム構成を示す図である。
【図17】装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図(その1)である。
【図18】装置調整工程と装置試験工程とが個別の設備で行われる場合の従来のHDD製造システムのシステム構成例を示す図(その2)である。
【図19】調整装置の機能を示すブロック図である。
【図20】HDDが接続された場合の調整装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図21】HDDが備える不揮発性メモリにおけるデータマップの例を示す図である。
【図22】セルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】HDDに搭載された磁気ディスク媒体におけるデータマップの例を示す図である。
【図24】磁気ディスク媒体内の情報に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】シーク動作結果に基づくセルフSTW判別処理の手順を示すフローチャートである。
【図26】複数の磁気ディスク媒体を備えたセルフSTW型HDDに対するサーボ信号パターンの書き込み例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0221】
10,30 試験装置
11,21 第1の調整制御部
12 試験制御部
13,23 第2の調整制御部
14 セルフSTW制御部
15 装置判別部
16 工程制御部
20 調整装置
22 第1の設定処理部
24 第2の設定処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の試験装置。
【請求項2】
前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【請求項3】
磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の調整装置。
【請求項4】
前記装置判別部は、
接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを判別する装置種別判別部と、
前記装置種別判別部により、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であると判別された場合に、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別部と、
を有し、前記装置種別判別部により前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別された場合、および、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであると判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別し、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みでないと判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別することを特徴とする請求項3記載の磁気記憶装置の調整装置。
【請求項5】
試験装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記試験装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記試験装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置に実行させる第1の試験実行工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記自己書き込み動作を当該磁気記憶装置に実行させる自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作実行工程において前記自己書き込み動作を実行した前記磁気記憶装置に、前記試験装置が、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を実行させる第2の試験実行工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【請求項6】
調整装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記調整装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第1の調整・設定工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第2の調整・設定工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が実行される自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作が実行された前記磁気記憶装置が前記試験装置から取り外されて前記調整装置に接続され、前記装置判別工程が再度実行される装置再判別工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて前記試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記書き込み/読み出し試験が実行される試験実行工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項1】
磁気記憶装置に接続して動作試験を実行させる磁気記憶装置の試験装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を実行させる試験制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を実行させる自己書き込み動作制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部および前記自己書き込み動作制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記自己書き込み動作のための調整動作および前記自己書き込み動作を順に実行させた後、さらに、前記第1の調整制御部および前記試験制御部の制御により、当該磁気記憶装置にそれぞれ前記書き込み/読み出し試験のための調整動作および前記書き込み/読み出し試験を順に実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の試験装置。
【請求項2】
前記装置判別部は、接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを示す装置種別情報を基に判別処理を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置の試験装置。
【請求項3】
磁気記憶装置に接続し、動作試験を行うために必要な事前調整動作を実行させる磁気記憶装置の調整装置において、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第1の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を施す第1の設定処理部と、
前記磁気記憶装置に、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させる第2の調整制御部と、
前記磁気記憶装置に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を施す第2の設定処理部と、
前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを判別する装置判別部と、
前記装置判別部による判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合には、前記第1の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記書き込み/読み出し試験のための調整動作を実行させ、さらに、前記第1の設定処理部により前記書き込み/読み出し試験のための設定処理を実行させ、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合には、前記第2の調整制御部の制御により当該磁気記憶装置に前記自己書き込み動作のための調整動作を実行させ、さらに、前記第2の設定処理部により前記自己書き込み動作のための設定処理を実行させる工程制御部と、
を有することを特徴とする磁気記憶装置の調整装置。
【請求項4】
前記装置判別部は、
接続された前記磁気記憶装置が、前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であるか否かを判別する装置種別判別部と、
前記装置種別判別部により、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置であると判別された場合に、前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであるか否かを判別する動作実行判別部と、
を有し、前記装置種別判別部により前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を行うタイプの装置でないと判別された場合、および、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みであると判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でないと判別し、前記動作実行判別部により前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が正常に実行済みでないと判別された場合に、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置であると判別することを特徴とする請求項3記載の磁気記憶装置の調整装置。
【請求項5】
試験装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記試験装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記試験装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置に実行させる第1の試験実行工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、前記自己書き込み動作を当該磁気記憶装置に実行させる自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作実行工程において前記自己書き込み動作を実行した前記磁気記憶装置に、前記試験装置が、前記書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を実行させた後、さらに、前記書き込み/読み出し試験を実行させる第2の試験実行工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【請求項6】
調整装置に接続された磁気記憶装置が、磁気ヘッドの位置決めのための基準信号を含むサーボトラックを前記磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に書き込む自己書き込み動作の実行が必要な装置か否かを、前記調整装置が判別する装置判別工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置でない場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置内の磁気ディスク媒体に対するデータの書き込み/読み出し試験を当該磁気記憶装置が実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記書き込み/読み出し試験を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第1の調整・設定工程と、
前記装置判別工程での判別結果に基づき、前記磁気記憶装置が前記自己書き込み動作の実行が必要な装置である場合に、前記調整装置が、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な装置内の調整動作を当該磁気記憶装置に実行させた後、さらに、当該磁気記憶装置が前記自己書き込み動作を実行するために必要な設定処理を当該磁気記憶装置に施す第2の調整・設定工程と、
を含むことを特徴とする磁気記憶装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記自己書き込み動作が実行される自己書き込み動作実行工程と、
前記自己書き込み動作が実行された前記磁気記憶装置が前記試験装置から取り外されて前記調整装置に接続され、前記装置判別工程が再度実行される装置再判別工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の調整・設定工程により調整動作が実行され設定処理が施された前記磁気記憶装置が、前記調整装置から取り外されて前記試験装置に接続され、当該試験装置から電源の供給を受けた前記磁気記憶装置において前記書き込み/読み出し試験が実行される試験実行工程をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の磁気記憶装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−157275(P2010−157275A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333706(P2008−333706)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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