説明

磁気記憶装置及び磁気記憶媒体

【課題】媒体上に形成された磁性ドットを含む媒体のビットと同期したライトクロックを精度良く生成するために用いるライトクロックの位相ずれを測定する磁気記憶装置を提供する。
【解決手段】磁気記憶装置が、磁気記憶媒体4に形成された位相ずれ量測定用ビットを読み取って再生信号を出力し、再生信号が不定であるかを判断し、判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する。また、磁気記憶装置が、測定された位相ずれ量に基づいてデータ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックを生成し、生成されたライトクロックを用いて、データ記録用ビットにデータを記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記憶装置及び磁気記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の急速な発展と各種情報に対する多様な要求によって、作り出される情報量は急激な伸びを示し、2008年に400ExaBytesであった総情報量は、2年後の2010年には1000Exabytes(1ZBytes,10の21乗bits)に達すると予想されている。この大量の情報を記憶する主な手段としては、その容量、記憶のためのビットコスト、アクセス性能、及び信頼性等の観点から、未だに磁気ディスク装置以外の手段は見つからない。このような、磁気ディスク装置への大容量化の要求は、同時に高密度記録化の要求でもあり、高密度記録を達成するための種々の技術が研究開発されている。
【0003】
高密度記録を達成する技術として、記録すべき情報の1ビットを、媒体上に形成された磁気的に孤立した磁性ドット又は磁性ドット群に対応させて記録する記録方式である、いわゆるビットパターンドメディア記録方式(以下、BPM方式と記述)の研究開発が行われている。BPM方式においては、媒体上のデータ記録用の磁性ドット又は磁性ドット群(以下、単に磁性ドットと記述)とライト電流の遷移タイミングとの同期(以下、記録同期と記述)をとることが必要である。記録同期が不完全な場合、例えば、媒体上の磁性ドットの中央で記録電流の遷移が起こると、その磁性ドットとしての磁化方向が不定になってしまい、ライトエラーが発生することになる。
【0004】
このような、ライトエラーの発生を抑えるためには、媒体上に形成されている磁性ドットと同期したライトクロックを精度良く生成する必要がある。ライトクロックの生成方法としては、連続パターンであるプリアンブルを各セクターの先頭に配置し、データ記録の際に、このプリアンブルを検出し、検出されたプリアンブルに基づいて、ライトクロックを生成する技術が提案されている。
【0005】
上述した技術におけるプリアンブルの検出は、再生信号に同期しているので、磁性ドットに同期して記録するタイミングと磁性ドットとは周波数は合致しているが、ライトクロックと磁性ドットとの位相は必ずしも同期していない。この結果、正確な記録同期ができないという問題がある。再生回路と記録回路は別回路であるため遅延量は異なり、また、記録ヘッドと再生ヘッドとは物理的に異なる配置及び構成であって、記録ヘッドと再生ヘッドでの遅延量も異なっているので、プリアンブルの検出が再生信号に同期したとしても、ライトクロックと磁性ドットとの正確な同期を図ることは困難である。
【0006】
このような問題点を解決するために、ライトクロックをエラーレートが最適となる量だけ遅延させて記録同期を行う情報記憶装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−48352号公報
【特許文献2】特開2004−199806号公報
【特許文献3】特開2006−164349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような情報記憶装置では、エラーレートを求めるために、再生回路が最適化されてなければならない。更に、再生回路系を最適化するためには、媒体のビットと媒体に記録するタイミングとの同期がとれてなければならない。ここで、上述した情報記憶装置は、再生波形をパーシャルレスポンスに波形等化する波形等化器を用いてエラーレートを求めている。しかし、上述した情報記憶装置では、上記波形等化器が最適化されているとは限らないため、求めたエラーレートが最適であるかどうかがわからない。その結果、媒体のビットと媒体に記録するタイミングとの同期をとることができないという問題が生じる。
【0009】
本発明は、媒体上に形成された磁性ドットを含む媒体のビットと同期したライトクロックを精度良く生成するために用いるライトクロックの位相ずれを測定する磁気記憶装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願出願に開示する磁気記憶装置は、孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体の、1又は複数の磁性ドットを含むビットに対してデータを記録する磁気記憶装置である。上記磁気記憶装置は、前記磁気記憶媒体に形成された位相ずれ量測定用ビットを読み取って再生信号を出力する再生手段と、前記再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する位相ずれ量測定手段とを備える。
【0011】
また、開示の磁気記憶媒体は、孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体である。前記磁気記憶媒体のビットが1又は複数の磁性ドットを含んでいる。前記磁気記憶媒体のデータ記録用ビットが形成されている領域と異なる領域に、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量の測定に用いられる位相ずれ量測定用ビットが形成されている。前記位相ずれ量が、前記位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果に基づいて測定される。
【発明の効果】
【0012】
開示の磁気記憶装置及び磁気記憶媒体によれば、磁気記憶媒体上に形成された磁性ドットを含む磁気記憶媒体のビットと同期したライトクロックを精度良く生成するために用いるライトクロックの位相ずれを測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】開示の磁気記憶装置の、本実施形態における構成例を示す図である。
【図2】位相ずれ量テーブルの例を示す図である。
【図3】本実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。
【図4】データ記録用ビットの例を示す図である。
【図5】不定である再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットの決定処理の例を説明する図である。
【図6】不定である再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットの決定処理の例を説明する図である。
【図7】他の実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。
【図8】他の実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、開示の磁気記憶装置の、本実施形態における構成例を示す図である。図1に示す磁気記憶装置は、記録再生用ヘッド6を介して磁気記憶媒体4からデータを読み出す再生系1、記録再生用ヘッド6を介してデータを磁気記憶媒体4に記録する記録系2、記録系2によるデータの記録処理を制御する制御系3を備える。図1中、7は記録再生用ヘッド6を支持するとともに、記録再生用ヘッド6の位置決め制御を行うヘッド指示機構/位置決め機構である。
本実施形態においては、磁気記憶媒体4は、例えばパターンドメディアである。磁気記憶媒体4のトラック5には、互いに物理的に孤立した磁性ドットが形成されている。また、磁気記憶媒体4のビットは、1又は複数の磁性ドットを含む。例えば、トラック5には、位相ずれ量測定用ビットとデータ記録用ビットとが形成されており、位相ずれ量測定用ビットとデータ記録用ビットの各々が、1又は複数の磁性ドットを含んでいる。位相ずれ量測定用ビットは、その再生信号からライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定するために用いられるビットである。
本実施形態においては、位相ずれ量測定用ビットには、所定のライトクロックでデータが予め記録されているものとする。位相ずれ量測定用ビットに、データ記録用ビットへデータを記録する際のライトクロックが有する最高周波数でデータが予め記録されていてもよい。データ記録用ビットは、ユーザデータを記録するために用いられるビットである。データ記録用ビットは、データ記録用ビットが形成されている領域と異なる領域に形成されている。
【0015】
再生系1は、再生部11と位相ずれ量測定部12とを備える。再生部11は、トラック5に形成された1又は複数の磁性ドットを含む位相ずれ量測定用ビットを読み取って再生信号を出力する。位相ずれ量測定部12は、上記再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する。
再生信号が不定であるとは、再生信号の信号レベルが、ライトクロックに基づく記録磁界によって磁化される位相ずれ量測定用ビットの、磁化のどの方向に対応する信号レベルであるかが定まらないことをいう。具体的には、位相ずれ量測定部12は、不定であると判断された再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットを決定する。そして、位相ずれ量測定部12は、予め位相ずれ量テーブル13に記憶された、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報に基づいて、上記決定された位相ずれ量測定用ビットに対応する位相ずれ量を、ライトクロックの位相ずれ量として決定する。これにより、ライトクロックの位相ずれ量を精度よく決定することができる。位相ずれ量テーブル13には、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報が予め記憶される。
【0016】
記録系2は、クロック位相調整部21と記録部22とを備える。クロック位相調整部21は、位相ずれ量測定部12によって測定された位相ずれ量に基づいて、磁気記憶媒体4のデータ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックを生成する。例えば、クロック位相調整部21は、上記測定された位相ずれ量をキャンセル(又は最小化)するようにライトクロックの位相を調整する。これにより、ライトクロックとデータ記録用ビットとが同期する。記録部22は、生成(調整)されたライトクロックを用いて、ライト電流を記録再生用ヘッド6に供給し、該ライト電流によって生じる記録磁界でデータ記録用ビットにデータを記録する。これにより、データ記録用ビットにデータを記録する際の記録同期を図ることができる。
【0017】
制御系3は、位相ずれ閾値発生部31と比較部32とを備える。位相ずれ閾値発生部31は、位相ずれ量測定部12によって測定された位相ずれ量と比較対象となる所定の閾値を出力する。比較部32は、位相ずれ量測定部12によって測定された位相ずれ量と位相ずれ閾値発生部31が出力した閾値とを比較し、比較結果に基づいて、記録系2の記録部22によるデータの記録処理を制御する。
【0018】
図2は、位相ずれ量テーブルの例を示す図である。位相ずれ量テーブルには、例えば、磁気記憶媒体4上に形成された磁性ドットを含む各々の位相ずれ量測定用ビットの配置順序をnとして、nとライトクロックの位相ずれ量との対応情報が予め記憶される。
【0019】
図3は、本実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。図3に示す例では、位相ずれ量測定用ビット(群)が、磁気記憶媒体4上の領域のうち、データ記録用ビットが形成されている領域(以下、データ記録領域)41の前の領域に形成されている。なお、ギャップ領域は、少なくとも、位相ずれ量の測定処理とライトクロックの生成処理に要する時間に相当する長さを持つ。
【0020】
図4は、データ記録用ビットの例を示す図である。図4に示す矩形で囲った部分は、それぞれ磁気記憶媒体4のデータ記録用ビットに対応する領域を示す。図4中の塗りつぶし部分が、データ記録用ビットに含まれる磁性ドットである。図4に示すように、データ記録用ビットには1又は複数の磁性ドットが含まれる。また、各々の磁性ドットの形状は、図4(A)に示すように矩形でもよく、図4(B)及び図4(D)に示すように円形でもよく、図4(C)及び図4(E)に示すように楕円形でもよい。なお、位相ずれ量測定用ビットも、図4に示すデータ記録用ビットと同様に、1又は複数の磁性ドットを含んでいる。
【0021】
図5及び図6は、不定である再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットの決定処理の例を説明する図である。図5(A)はライト電流波形を示す。図5(B)は、ライト記録用ビット100を示す。図5(C)は、位相ずれ量測定用ビット101を示す。
図5(A)中の太線で示すライト電流波形は、図5(B)に示すデータ記録用ビット100との位相ずれ量、すなわち、隣り合う2つのデータ記録用ビット100間の中央と記録磁界の遷移位置との位相ずれ量が0degであるライト電流波形である。本実施形態においては、各々の位相ずれ量測定用ビット101は、データ記録用ビット100の周期的な基準位置200から所定の量だけずらして配置されている。例えば、nを磁気記憶媒体4上に形成された磁性ドットを含む位相ずれ量測定用ビット101の配置順序、p(n)をn番目の位相ずれ量測定用ビット101の上記基準位置200からのずれ量、Pdをデータ記録用ビットの周期、N0を位相ずれ量の測定分解能Δωに対応した2πの分割数として、各々の位相ずれ量測定用ビット101が、p(n)=Pdn/N0を満たすように配置されている。なお、上記位相ずれ量の測定分解能Δωは、2π/N0で表される。
【0022】
また、図5(C)中に示す各々の位相ずれ量測定用ビット101において、ハッチングが施された部分におけるハッチングパターンは、磁化の方向に対応している。異なるハッチングパターンは、異なる磁化の方向を示す。各々の位相ずれ量測定用ビット101において、ハッチングパターンが変化している部分が、記録磁界の遷移が起こっている部分である。記録磁界の遷移が位相ずれ量測定用ビット101内の中央で起こっている場合、この位相ずれ量測定用ビット101の再生信号は不定となる。本実施形態の磁気記憶装置は、記録磁界の遷移が位相ずれ量測定用ビット101内の中央で記録磁界の遷移が起こっている(再生信号が不定である)位相ずれ量測定用ビット101を決定し、位相ずれ量テーブル13を参照して、上記決定された位相ずれ量測定用ビット101に対応する位相ずれ量を測定する。
【0023】
例えば、図5(C)の第1列目の位相ずれ量測定用ビット101のうち、中央で記録磁界の遷移が起こっている位相ずれ量測定用ビット101は、点線の矩形で囲ったn=3に対応する位相ずれ量測定用ビット101である。すなわち、図6に示すように、このn=3に対応する位相ずれ量測定用ビット101の再生信号は、位相ずれ量測定用ビット101のどの磁化の方向に対応した信号レベルを有するかが定まらないので、不定となる。本実施形態の磁気記憶装置が備える位相ずれ量測定部12は、例えば、図2に示す位相ずれ量テーブル13を参照して、0degをn=3の位相ずれ量測定用ビット101に対応する位相ずれ量として決定する。また、図5(C)の第2列目の位相ずれ量測定用ビット101については、位相ずれ量測定部12は、点線の矩形で囲ったn=4に対応する位相ずれ量測定用ビット101の再生信号が不定であると判断し、位相ずれ量テーブル13を参照して、60degをn=4の位相ずれ量測定用ビット101に対応する位相ずれ量として決定する。同様にして、位相ずれ量測定部12は、図5(C)の第3列目、第4列目、第5列目、第6列目の位相ずれ量測定用ビット101については、それぞれ、n=5、n=0、n=1、n=2の位相ずれ量測定用ビット101の再生信号が不定であると判断する。そして、120deg、180deg、240deg、300degを、位相ずれ量測定用ビット101に対応する位相ずれ量として決定する。
【0024】
図7は、他の実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。図7に示す例では、位相ずれ量測定用ビット群が、磁気記憶媒体4上の領域のうち、データ記録領域41の後ろの領域に形成されている。図7に示す実施形態においては、位相ずれ量測定部12が、データ記録領域41の後ろの領域に配置された位相ずれ量測定用ビットに対応する再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する。そして、図1に示す制御系3の比較部32が、測定された位相ずれ量と位相ずれ閾値発生部31が出力した閾値とを比較し、測定された位相ずれ量が閾値より大きい場合に、記録系2の記録部22に指示して、図7に示すデータ記録領域41に形成されているデータ記録用ビットに対してデータを記録させる。図7を参照して説明した実施形態によれば、データ記録領域41の後ろの領域に配置された位相ずれ量測定用ビットに対応する再生信号に基づいて測定された位相ずれ量を用いて、データ記録領域41へデータを記録することができる。
【0025】
図8は、他の実施形態の磁気記憶媒体上のトラックフォーマット例を示す図である。図8に示す例では、位相ずれ量測定用ビット群が、磁気記憶媒体4上の領域のうち、データ記録領域41の前後の領域に形成されている。この例では、図1に示す記録系2の記録部22が、データ記録領域41の前の領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量に基づいて生成されたライトクロックを用いて、データ記録領域41に形成されているデータ記録用ビットにデータを記録する。また、図1に示す再生系1の位相ずれ量測定部12が、データ記録領域41の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて、ライトクロックの位相ずれ量を測定する。そして、図1に示す制御系3の比較部32が、上記データ記録領域41の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量と位相ずれ閾値発生部31が出力した閾値とを比較する。比較部32が、上記測定された位相ずれ量が閾値より大きい場合に、記録系2の記録部22に指示して、データ記録領域41に形成されているデータ記録用ビットに対してデータを再記録させる。図8を参照して説明した実施形態によれば、データ記録領域41の後ろの領域に配置された位相ずれ量測定用ビットに対応する再生信号に基づいて測定された位相ずれ量を用いて、データ記録領域41へデータを再記録することができる。
【0026】
以上の説明から把握できるように、本実施形態の特徴を述べると以下の通りである。
【0027】
(付記1)孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体の、1又は複数の磁性ドットを含むビットに対してデータを記録する磁気記憶装置であって、
前記磁気記憶媒体に形成された位相ずれ量測定用ビットを読み取って再生信号を出力する再生手段と、
前記再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する位相ずれ量測定手段とを備える
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【0028】
(付記2)前記位相ずれ量測定手段が、前記不定であると判断された再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットを決定し、予め所定の記憶手段に記憶された、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報に基づいて、前記決定された位相ずれ量測定用ビットに対応する位相ずれ量を決定する
ことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置。
【0029】
(付記3)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている
ことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置。
【0030】
(付記4)前記測定された位相ずれ量に基づいて前記データ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記生成されたライトクロックを用いて、前記データ記録用ビットにデータを記録する記録手段とを備える
ことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置。
【0031】
(付記5)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されており、
前記位相ずれ量測定手段が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に配置された位相ずれ量測定用ビットに対応する再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定し、
前記測定された位相ずれ量と所定の閾値とを比較し、前記測定された位相ずれ量が前記閾値より大きい場合に、前記記録手段に指示して、前記位相ずれ量測定用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されているデータ記録用ビットに対してデータを記録させる制御手段を備える
ことを特徴とする付記4記載の磁気記憶装置。
【0032】
(付記6)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前後の領域に形成されており、
前記記録手段が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量に基づいて生成されたライトクロックを用いて、前記データ記録用ビットにデータを記録し、
前記制御手段が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量と所定の閾値とを比較し、該測定された位相ずれ量が該閾値より大きい場合に、前記記録手段に指示して、前記データ記録用ビットに対してデータを再記録させる
ことを特徴とする付記4記載の磁気記憶装置。
【0033】
(付記7)nを前記磁気記憶媒体上に形成された前記位相ずれ量測定用ビットの配置順序、p(n)をn番目の位相ずれ量測定用ビットのデータ記録用ビットの周期的な基準位置からのずれ量、Pdをデータ記録用ビットの周期、N0を位相ずれ量の測定分解能に対応した2πの分割数として、
各々の位相ずれ量測定用ビットが、p(n)=Pdn/N0を満たすように配置されている
ことを特徴とする付記1記載の磁気記憶装置。
【0034】
(付記8)孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体であって、
前記磁気記憶媒体のビットが1又は複数の磁性ドットを含んでおり、
前記磁気記憶媒体のデータ記録用ビットが形成されている領域と異なる領域に、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量の測定に用いられる位相ずれ量測定用ビットが形成されており、
前記位相ずれ量が、前記位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果に基づいて測定される
ことを特徴とする磁気記憶媒体。
【0035】
(付記9)前記位相ずれ量が、前記位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果と、予め所定の記憶手段に記憶された、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報とに基づいて測定される
ことを特徴とする付記8記載の磁気記憶媒体。
【0036】
(付記10)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている
ことを特徴とする付記8記載の磁気記憶媒体。
【0037】
(付記11)前記測定された位相ずれ量が、前記データ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックの生成に用いられる
ことを特徴とする付記8記載の磁気記憶媒体。
【0038】
(付記12)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されており、
前記位相ずれ量が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果に基づいて測定され、
前記測定された位相ずれ量と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記位相ずれ量測定用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されているデータ記録用ビットに対してデータが記録される
ことを特徴とする付記11記載の磁気記憶媒体。
【0039】
(付記13)前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前後の領域に形成されており、
前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量に基づいて生成されたライトクロックを用いて、前記データ記録用ビットにデータが記録され、
前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号に基づいて測定された位相ずれ量と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記データ記録用ビットに対してデータが再記録される
ことを特徴とする付記11記載の磁気記憶媒体。
【0040】
(付記14)nを前記磁気記憶媒体上に形成された前記位相ずれ量測定用ビットの配置順序、p(n)をn番目の位相ずれ量測定用ビットのデータ記録用ビットの周期的な基準位置からのずれ量、Pdをデータ記録用ビットの周期、N0を位相ずれ量の測定分解能に対応した2πの分割数として、
各々の位相ずれ量測定用ビットが、p(n)=Pdn/N0を満たすように配置されている
ことを特徴とする付記8記載の磁気記憶媒体。
【符号の説明】
【0041】
1 再生系
2 記録系
3 制御系
4 磁気記憶媒体
5 トラック
6 記録再生用ヘッド
7 ヘッド支持機構/位置決め機構
11 再生部
12 位相ずれ量測定部
13 位相ずれ量テーブル
21 クロック位相調整部
22 記録部
31 位相ずれ閾値発生部
32 比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体の、1又は複数の磁性ドットを含むビットに対してデータを記録する磁気記憶装置であって、
前記磁気記憶媒体に形成された位相ずれ量測定用ビットを読み取って再生信号を出力する再生手段と、
前記再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定する位相ずれ量測定手段とを備える
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項2】
前記位相ずれ量測定手段が、前記不定であると判断された再生信号に対応する位相ずれ量測定用ビットを決定し、予め所定の記憶手段に記憶された、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報に基づいて、前記決定された位相ずれ量測定用ビットに対応する位相ずれ量を決定する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
【請求項4】
前記測定された位相ずれ量に基づいて前記データ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックを生成するライトクロック生成手段と、
前記生成されたライトクロックを用いて、前記データ記録用ビットにデータを記録する記録手段とを備える
ことを特徴とする請求項1記載の磁気記憶装置。
【請求項5】
前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されており、
前記位相ずれ量測定手段が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に配置された位相ずれ量測定用ビットに対応する再生信号が不定であるかを判断し、該判断結果に基づいて、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量を測定し、
前記測定された位相ずれ量と所定の閾値とを比較し、前記測定された位相ずれ量が前記閾値より大きい場合に、前記記録手段に指示して、前記位相ずれ量測定用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されているデータ記録用ビットに対してデータを記録させる制御手段を備える
ことを特徴とする請求項4記載の磁気記憶装置。
【請求項6】
孤立した磁性ドットが形成されている磁気記憶媒体であって、
前記磁気記憶媒体のビットが1又は複数の磁性ドットを含んでおり、
前記磁気記憶媒体のデータ記録用ビットが形成されている領域と異なる領域に、ライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量の測定に用いられる位相ずれ量測定用ビットが形成されており、
前記位相ずれ量が、前記位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果に基づいて測定される
ことを特徴とする磁気記憶媒体。
【請求項7】
前記位相ずれ量が、前記位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果と、予め所定の記憶手段に記憶された、位相ずれ量測定用ビットとライトクロックのデータ記録用ビットに対する位相ずれ量との対応情報とに基づいて測定される
ことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶媒体。
【請求項8】
前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の前の領域に形成されている
ことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶媒体。
【請求項9】
前記測定された位相ずれ量が、前記データ記録用ビットにデータを記録するときのライトクロックの生成に用いられる
ことを特徴とする請求項6記載の磁気記憶媒体。
【請求項10】
前記位相ずれ量測定用ビットが、前記磁気記憶媒体上の領域のうち、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されており、
前記位相ずれ量が、前記データ記録用ビットが形成されている領域の後ろの領域に形成されている位相ずれ量測定用ビットの再生信号が不定であるかについての判断結果に基づいて測定され、
前記測定された位相ずれ量と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記位相ずれ量測定用ビットが形成されている領域の前に形成されているデータ記録用ビットに対してデータが記録される
ことを特徴とする請求項9記載の磁気記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218632(P2010−218632A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64444(P2009−64444)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】