説明

磁気記録媒体のサーボ領域検査方法および検査装置

【課題】
磁気記録媒体のサーボエリアの適否を電気的な検査装置において検査することが可能で、特に、原盤からスタンプされて形成された磁気記録媒体のサーボエリアの検査に適した磁気記録媒体のサーボエリアの検査方法および検査装置を提供することにある。
【解決手段】
この発明は、ジッタをキャンセルした複数のトラック1周分の読出信号を得て、その読出信号についての二値化した画像データを生成し、各サーボエリアのトラック番号位置をこの二値化した画像データから特定する。さらに、特定された各サーボエリアのトラック番号位置からこの位置の半径方向の読出信号を得て、この読出信号によりサーボエリアの検査をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気記録媒体のサーボ領域検査方法および検査装置に関し、詳しくは、原盤からスタンプされて形成されるディスクリートトラック方式の磁気記録媒体(ディスクリートトラックメディア(DTM))のサーボ領域あるいはこのディスクリートトラックをトラック方向において微細に磁区分割したビットパターンドメディア(BPM)のサーボ領域の適否を電気的な検査装置において検査することが可能な磁気記録媒体のサーボ領域検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DTM,BPMのような磁気記録媒体は、TMR(トンネル磁気抵抗)ヘッドあるいはGMR(ジャイアント磁気抵抗)ヘッドを持つ複合磁気ヘッドが使用され、ヘッドとの距離が10nm以下に設定され、その距離が制御されてデータが読出される記憶媒体である。
このような磁気記録媒体は、垂直磁気記録媒体として一般的にはガラス基板が用いられ、ガラス基板の上に軟磁性層が形成され、その上に磁性層が設けられる。そして、この磁性層がエッチングされることで溝を介したディスクリートなトラックがディスクサブストレート(なお、ここでのディスクサブストレートとはデータの読出/書込を行うHDDに搭載される磁気記録媒体に対してその材料としてその前段階にある各種のディスク基板を指している。)に形成される。
【0003】
トラック間を隔絶する溝のエッチングは、凹凸を持つフォトレジスト膜を介して行われる。フォトレジスト膜の凹凸は、ナノインプリントリソグラフィ法によりディスクサブストレートの磁性層にフォトレジスト膜を塗布してフォトレジスト膜の上から凹凸を持つスタンパを押付けることで形成される。この凹凸のフォトレジスト膜を介してドライエッチングにより形成されるディスクリートなトラックの幅は100nm以下であり、トラック間を隔絶する溝には後工程で非磁性体が充填される。この種の技術はすでに公知である(特許文献1,2)。
この垂直磁気記録媒体は、データ領域(以下データエリア)とサーボ領域(以下サーボエリア)とが区別されていて、サーボエリアには磁気ヘッドのトラック位置決め等のためのサーボ情報,トラック番号などが設けられている。そこで、凹凸を持つスタンパとなる原盤にはサーボエリアを形成するための凹凸が設けられ、データエリアと同時にサーボエリアがディスクメディアに形成され、サーボ情報等が設定される。この種の検査技術についてはすでに公知である(特許文献3)。
【0004】
この種の垂直磁気記録媒体におけるデータエリアの検査は、例えば、“010101…”と繰り返すビット信号のデータを記録して、そのデータを読出すことで行われる。その検査としては、“0”から“1”あるいはその逆に変化する磁化の変化点に対応して読出信号にレベルの変化があることから従来の水平記録のディスク検査と同様に磁化の変化点に対応する再生波形信号の転移点の検査を行うジッタノイズ検査、±50%のレベルの再生波形幅について検査を行うT50ノイズ検査等がある。この種の技術はすでに公知になっている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−012119号公報
【特許文献2】特開2007−149155号公報
【特許文献3】特開2008−176835号公報
【特許文献4】特開2008−171507号公報
【0006】
図7は、検査対象のDTMの部分説明図であって、DTM1全体の1/4円の部分を示してある。
DTM1には、各セクタ対応にサーボエリア1aが設けられていて、このサーボエリア1aにはトラック番号、ONトラック位置決めのためのサーボ情報(サーボバースト信号)、セクタ番号などが記録されている。その後に各ディスクリートトラック1bが設けられたデータエリア1eが形成されている。サーボエリア1aの磁性膜がエッジングされた領域、そして各ディスクリートトラック1bの間の領域には非磁性体1cが充填されている。
サーボエリア1aとデータエリア1eとは、各セクタ対応に設けられていて、通常、セクタ数は、1トラックに256個程度設けられる。
なお、この図7は、説明のためにサーボエリア1aとデータエリアとを拡大した模式図として示してある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
DTMは、数年後には、2.5インチで1テラビット/(インチ)を越える超高密度記録が可能な技術として現在注目されている。さらに、ディスクリートトラックをトラック方向において微細に磁区分割したビットパターンドメディア(BPM)もすでに実用化の段階に入っている。
しかし、サーボエリアの情報は、データエリアの“010101…”のような繰り返しビットパターンになっていないため、一定のスライスレベルを設定して大小比較を行った場合に読出信号のビット密度の変化が影響するために前記したジッタノイズ検査等のデータエリアでの電気的検査をサーボエリアに適用することは難しい。そこで、サーボエリアにつていは、光学的な撮像による映像検査等により原盤に対して正しくサーボエリアがDTMに形成されているか否かの検査が行われているのが現状である。
しかし、このような映像検査は、記録密度が高くなればなるほど、データ処理装置の画像処理ロードが大きくなり、検査処理のスループットが低下する問題がある。
この発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決するものであって、磁気記録媒体のサーボエリアの適否を電気的な検査装置において検査することが可能で、特に、原盤からスタンプされて形成された磁気記録媒体のサーボエリアの検査に適した磁気記録媒体のサーボエリアの検査方法および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するこの発明の磁気記録媒体のサーボエリア検査方法あるいは検査装置の構成は、回転する磁気記録媒体のDCイレーズされた所定のトラックに磁気ヘッドを位置決めし、磁気ヘッドを磁気記録媒体の半径方向に移動させて所定のトラックを含めてDCイレーズされた複数のトラックを横断させるとともに半径方向の各移動位置に対応して読出開始の信号に応じて磁気ヘッドによりトラック1周分の信号を読出し、トラック1周分の読出信号をA/D変換してデジタル値として半径方向の各移動位置に対応してメモリに記憶し、メモリから複数のトラック1周分の読出信号を得てこの複数のトラック1周分の読出信号においてトラック1周分の多数のサーボ領域の各サーボ領域に対応する各読出信号のトラック方向のジッタをキャンセルし、ジッタをキャンセルした各トラック1周分の読出信号を所定のスライスレベルにより二値化して半径方向の移動位置を一方の軸とし磁気記録媒体の円周方向を他方の軸とする画像の二値化画像データを生成し、この二値化画像データから各サーボエリアにおけるトラック番号の位置を検出し、各サーボエリアのトラック番号の位置における少なくともトラック番号の最下位ビットに対応するメモリに記憶された半径方向の読出信号に基づいてサーボエリアの欠陥を判定して各サーボエリアの検査をするステップからなるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明にあっては、ジッタをキャンセルした複数のトラック1周分の読出信号を得て、その読出信号についての二値化した画像データを生成し、各サーボエリアのトラック番号位置をこの二値化した画像データから特定する。さらに、特定された各サーボエリアのトラック番号位置からこの位置の半径方向の読出信号を得て、この読出信号によりサーボエリアの検査をする。
具体的には、磁気ヘッドを磁気記録媒体の半径方向に移動させてDCイレーズされた複数のトラックを横断させて、半径方向の各移動位置に対応してトラック1周分の読出信号をそれぞれ得て、各サーボエリアごとに各読出信号のトラック方向のジッタをキャンセルして半径方向を一方の軸としディスクの円周方向を他方の軸とする二値化画像データを生成する。この二値化画像からサーボエリアにおけるトラック番号の位置を検出して、検出したトラック番号の位置の少なくともトラック番号の最下位ビットに対応する読出信号を半径方向に参照してこの半径方向の読出信号に対して欠陥判定をする。
このような検査によりDTM、BPMあるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体のサーボエリアの欠陥検査をする。
【0010】
サーボエリアにおけるトラック番号は、半径方向に読出信号を辿ると周期的に“
0”と“1”のくり返しビットを発生する磁性膜配置になる。そこで、“010101…”の繰り返しビット信号のデータエリアと同様な電気的な検査が可能になる。
すなわち、円周方向のトラック番号の位置においては半径方向に読出信号を辿ると“0”と“1”のビットが交互に繰り返される信号が得られる。特に、トラック番号の最下ビットの位置は、反転する幅の狭い磁性膜が配置される領域に対応しているので、読出信号の“0”と“1”のビットのくり返し周波数が高い。そのため、原盤からスタンプされて形成されたサーボエリアにおいてトラック番号の最下ビットの位置は欠陥が発生し易く、最低限この領域の読出信号を検査対象とすれば、サーボエリアの検査ができる。
サーボエリアの他の領域は、原盤からスタンプされる磁性膜の反転幅が大きいのでその分、欠陥が発生し難いことから少なくともトラック番号の最下位ビットに対応する半径方向の読出信号を検査することで実質的にサーボエリアの検査をしたとみなすことができる。
もちろん、最下位ビットを含めたトラック番号の位置全体を検査することに越したことはない。
【0011】
その結果、この発明では、サーボエリアの適否の検査が“0”,“1”のくり返しビットパターンとなる半径方向の読出信号に対して行われるので電気的検査をしてもビット密度の変化に影響されることない。一定のスライスレベルを設定して複数のトラック1周分の読出信号に対して欠陥判定をすることができるので、電気的な検査装置においてサーボエリアの適否を検査することが可能になる。これにより、磁気記録媒体のサーボエリア検査方法および検査装置を容易に実現することができる。特に、原盤からスタンプされて形成された磁気記録媒体のサーボエリアの検査に適した検査方法あるいは検査装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明の磁気記録媒体のサーボエリア検査方法を適用した一実施例の磁気記録媒体のサーボエリア検査のブロック図である。
【図2】図2は、サーボエリアの欠陥検査処理のフローチャートである。
【図3】図3は、ある半径位置でのサーボエリアの読出波形の説明図である。
【図4】図4(a)は、ジッタキャンセル処理前の説明図、そして図4(b)は、ジッタキャンセル処理後の説明図である。、
【図5】図5は、あるサーボエリアにおけるトラック番号位置の二値化画像の説明図である。
【図6】図6は、あるサーボエリアのトラック番号の最下位ビットに対応する半径方向の読出信号についての説明図である。
【図7】図7は、検査対象の磁気ヘッドがアクセスするDTMのトラックについての部分説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、10は、磁気記録媒体のサーボエリアを検査する磁気ディスクテスターである。1は、DTM(ディスクリートトラックメディア)であって、スピンドル2に着脱可能に挿着されている。スピンドル2に隣接してヘッドキャリッジ3が設けられている。ヘッドキャリッジ3は、粗動ステージ4と微動ステージのピエゾステージ5からなる。ピエゾステージ5は、MRヘッド(リードヘッド)と薄膜インダクティブヘッド(ライトヘッド)を有する複合磁気ヘッド9(以下ヘッド9)を搭載する。
粗動ステージ4は、XYステージであって、そのXステージは、DTM1の半径方向(以下単に半径方向)の移動ステージである。これは、ピエゾステージ5をYステージを介してDTM1の半径方向に移動する。粗動ステージ4のYステージは、Xステージ上に搭載され、ヘッド9に対してスキュー等のY方向の位置調整のための移動を行う。このYステージ上にピエゾステージ5が搭載され、ヘッド9のX方向の位置を微調整する。
なお、X方向は、DTM1の中心を通る半径方向に一致している。
【0014】
ピエゾステージ5には、カートリッジ取付ベース6とこれをX方向に移動させるピエゾアクチュエータ等が設けられ、カートリッジ取付ベース6を介してヘッドカートリッジ7が取付けられている。
ヘッド9は、ヘッドカートリッジ7にサスペンションスプリング8を介して支持され、サスペンションスプリング8の先端側にヘッド9が搭載されている。ヘッド9は、DTM1のX軸方向に沿う半径方向に移動してDTM1のトラックをシークしてそのトラックの1つに位置決めされてデータをそのトラックから読出し、あるいはそのトラックにデータを書込む、いわゆるヘッドアクセス動作をする。
ヘッドカートリッジ7は、ヘッド9をヘッドカートリッジ7を介してヘッドキャリッジ3に装着するものであって、ヘッド9を着脱可能に搭載し、内部には読出アンプと書込アンプ等が設けられている。読出アンプは、MRヘッドから読出信号を受けてそれを増幅してアンプ11に送出し、アンプ11を介して読出信号がA/D変換回路12(A/D)に入力される。
【0015】
A/D12は、トリガー信号生成回路14からトリガー信号Tgを受け、トリガー信号Tgを受ける都度、これに同期してA/D変換を開始し、データ処理・制御装置20により選択された所定のサンプリング周波数、例えば、1GHz〜10GHzの範囲における所定の周波数で読出信号をサンプリングして読出信号の電圧値のデジタル値をデータ処理・制御装置20に送出する。
なお、サンプリング周波数は、読出信号におけるデータ周波数の2倍以上の周波数とすることが好ましい。
13は、ヘッドアクセス制御回路であって、データ処理・制御装置20からの制御信号を受けて粗動ステージ4とピエゾステージ5とを駆動してヘッド9を目標となる所定のトラックに位置決めする。
14は、トリガー信号生成回路であって、スピンドル2に設けられたエンコーダからインデックス信号IND(読出開始信号)を受けて、トリガー信号Tgを発生し、A/D12とデータ処理・制御装置20とに送出する。なお、読出開始信号は、インデックス信号INDに換えて読出開始のセクタ信号であってもよい。
15は、スピンドル制御回路であって、データ処理・制御装置20により制御されて、ヘッド9が位置決めされたDTM1の半径方向における位置に応じてその位置でのDTM1の回転数があらかじめ決められた一定値になるようにスピンドル2の回転数を制御をする。
【0016】
データ処理・制御装置20は、MPU21とメモリ22、インタフェース23、CRTディスプレイ24、そしてキーボード等により構成され、これらがバスにより相互に接続されている。そして、メモリ22には、ヘッドアクセスプログラム22a、DCイレーズプログラム22b、半径位置対応のトラック1周分の読出電圧採取プログラム22c、読出信号ジッタキャンセルプログラム22d、二値化画像データ生成プログラム22e、トラック番号位置の読出信号抽出プログラム22f,そして半径方向における読出信号のエラー検出プログラム22g等が記憶され、作業領域22hが設けられている。
【0017】
次に、図2のサーボエリアの欠陥検査処理のフローチャートを参照してデータ処理・制御装置20の検査処理について説明する。
MPU21は、ヘッドアクセスプログラム22aを実行してインタフェース23を介してヘッドアクセス制御回路13の所定のレジスタにR方向の移動距離r[mm]を設定してヘッドアクセス制御回路13を起動する。
レジスタにR方向の移動距離rmmが設定されることにより、ヘッドアクセス制御回路13により粗動ステージ4のXステージが駆動されて基準点あるいは所定のトラック位置からrmm分、粗動移動し、さらにピエゾステージ5が駆動されてヘッド9が距離rに向かって微動移動して目標トラックに位置決めされる(ステップ101)。これにより、ヘッド9が基準点あるいは所定のトラック位置から目標トラックに位置決めされる。
次にMPU21は、インタフェース23を介してヘッドアクセス制御回路16の所定のレジスタにR方向の移動距離−D[nm]を設定する。レジスタにR方向の移動距離−D[nm]が設定されることにより、ヘッドアクセス制御回路16によりピエゾアクチュエータ5が駆動されてヘッド9が目標トラックの手前のDnmの位置にシフトする(ステップ102)。
【0018】
次に、MPU21は、DCイレーズプログラム22bを実行して、Dnm手前から目標トラックを含む数十トラック分の測定範囲の領域をDCイレーズする(ステップ103)。このDCイレーズは、測定範囲全体(各トラックおよびトラック間)にデータ“0”を書き込むことにより行われる。これにより、サーボエリアの磁性膜の領域は、例えば、S極に磁化される。
なお、DCイレーズは、測定範囲全体にデータ“1”を書き込むことでもよい。これによりサーボエリアの磁性膜の領域は、逆にN極に磁化される。
次に、MPU21は、ヘッド9を目標トラックの手前に当たる、目標トラックの中心から−Dnmシフトした位置に位置決めする(ステップ104)。
次に、MPU21は、半径位置対応のトラック1周分の読出電圧採取プログラム22cをコールして実行してMRヘッド(リードヘッド)によるデータ読出状態に入る(ステップ105)。そして、半径方向にシークしながらトラック1周分の読出処理をする(ステップ106)。このとき、MPU21は、A/D12から受けるトリガー信号Tgから次に受けるトリガー信号Tgまでの期間におけるトラック1周分の読出電圧を受けてヘッドの半径位置に対応してメモリ22に記憶する。
【0019】
すなわち、ステップ106の処理において、MPU21は、最初のトラック1周分の読出のときには次に説明するステップ106aをスキップしてステップ106bに入り、106cを経てステップ106aに戻る。以降は、+Δdnm分(ただしΔd<<D)ヘッド9を半径方向に移動させ(ステップ106a)、A/D12によりA/D変換されたトラック1周分の読出信号をメモリ22の所定の領域に記憶し(ステップ106b)、移動回数NがN=m/Δdか否かにより測定範囲終了かの判定をして(ステップ106c)、NOのときにはステップ106aへと戻る処理を繰り返す。
MPU21は、このような処理を、測定範囲に対応する数十トラック分、ヘッド9を半径方向に移動させるまで繰り返す。
なお、mは、数十トラック分のヘッド9の移動距離であり、m/Δdは、距離mまでの移動回数である。Δdは、例えば、10nmであり、5nm〜20nm程度の範囲から選択することが好ましい。
これにより、MPU21は、目標トラックの手前から目標トラックの後ろまでの数十トラックまで、半径方向にヘッド9をシークさせながらトラック1周分、トラックに記録された信号のリードを繰り返し、半径方向において数十トラック分についての多数のトラック1周分の読出電圧についてのデータを採取することができる。
【0020】
図3は、このとき採取されるある半径位置でのサーボエリアの読出波形の説明図である。縦軸は電圧値であり、横軸は走査時間である。トラック1周分の読出信号としては、この波形が各セクタ対応に得られ、通常は、256個分となるが、図では、その1つを示してある。
そこで、図3に示すような読出電圧波形がトラック1周分で256個、そしてそれがヘッド9が位置決めされた各半径位置対応にメモリ22の作業領域22hに記録される。
次に、MPU21は、読出信号ジッタキャンセルプログラム22dをコールして実行し、トラック1周分の各読出信号の相互のずれを補正して読出信号のタイミングを一致させるジッタキャンセル処理をする(ステップ107)。
【0021】
図4を参照してジッタキャンセル処理について説明する。
トラック1周分の256個分サーボエリアのそれぞれのサーボエリアにおける各読出信号の電圧波形を、図4(a)に示す読出信号a〜eと仮定すると、このトラック方向の読出信号a〜eに対して、例えば、振幅の中心レベルをスライスレベルSLとして、各読出信号a〜eにおいて各サーボエリアにおいて最初に発生するピーク波形のスライスレベルSLを横切る点(ゼロクロス点、すなわち、転移点)Crがトラック方向において一致するように、時間軸をずらせてゼロクロス点Crのタイミングをトラック方向の各読出信号a〜eにおいて一致させる(図4(b)参照)。
なお、振幅の中心となるスライスレベルSLは、図3に示す読出信号の正極側ピークの平均値と負極側ピークの平均値の中央値として算出し、かつ、半径方向における各読出信号単位で算出する。
【0022】
これにより、図4(b)に示すように、例えば、読出信号aのスライスレベルSLを最初にゼロクロス点Cr、のタイミングt1に読出信号b〜eのスライスレベルをゼロクロス点Cr、が一致し、トラック方向(DTM1の円周方向)での各読出信号の時間的なずれ、すなわちジッタが各半径方向での読出信号についてキャンセルされる。
その結果、複数のトラック1回転における各読出信号a〜eのトラック方向のジッタは、メモリに記憶されたトラック1回転における読出信号aに従ってキャンセルされる。
なお、このジッタのキャンセルは、読出信号aの最初に発生するピーク波形のスライスレベルSLをゼロクロス点Cr、のタイミングt1に一致させることに限定されるものではない。タイミングt1に変えてあらかじめ決められたタイミング位置に各読出信号b〜eを合わせることでもよい。また、各読出信号a〜eのいずれかのスライスレベルSLを横切る点に一致するように他の読出信号の横切る点のタイミングを合わせてもよい。この場合のタイミング合わせはできるだけ最初か、これに近いゼロクロス点Cr、のタイミング位置が好ましい。
MPU21は、このようなジッタキャンセルを半径方向における所定数の読出信号単位でかつ各セクタのサーボエリア単位でトラック1周分のサーボエリアについて行い、さらに測定範囲のすべての読出信号に対してジッタのキャンセル処理を実行する。
【0023】
次に、MPU21は、二値化画像データ生成プログラム22eをコールして実行する。これの実行によりMPU21は、各サーボエリア単位にトラック方向のジッタがキャンセルされた半径方向の各読出信号に対して各スライスレベルSLを基準としてトラック1周分の各読出信号を二値化して半径方向を縦軸とし、ディスクの円周方向(回転方向)を横軸とした二値化画像データを各セクタのサーボエリア単位に生成する(ステップ108)。
なお、このときの二値化は、トラック番号位置を画像データから特定するために行うものであり、その二値化のスライスレベルは、スライスレベルSLを基準とすることが好ましいが、図4(b)における正極側の正の最小ピークと負極側の負の最小ピークとの間のスライスレベルであれば二値化画像が得られるので、そのようなスライスレベルでってもよい。したがって、二値化のスライスレベルは、スライスレベルSLに限定されない。
【0024】
図5は、あるサーボエリアにおけるトラック番号位置の二値化画像の説明図である。 25が二値化画像データにより表示されるそのトラック番号位置の二値化画像である。図5において、縦軸は、半径方向、横軸は走査時間である。
すなわち、この二値化画像データの二値化画像25は、ヘッド9の半径方向の移動位置を一方の軸とし、DTM1の円周方向を他方の軸とした画像である。
この二値化画像25において、黒で示す領域が二値化画像データにおいて読出信号が“0”となる領域で、白で示す領域が読出信号が“1”となる領域である。黒の部分は磁性膜がある“0”の書込でS極に磁化されたところに対応している。
サーボエリアにおけるトラック番号の位置は、半径方向において周期的に“0”と“1”のくり返しビットとなる磁性膜が配置されているので、この二値化画像25ではこの領域が白黒画像となって表示されている。なお、二値化のスライスレベルによっては、白と黒の領域の幅が多少異なってくる。
【0025】
二値化画像データからトラック番号位置の二値化画像25に対応する二値化画像データの抽出は、トラック番号の位置の最下位ビット(LSB)に対応する領域26を検出することで行うことができる。
図5に示すように、ヘッド9のトラック方向の走査時間において、二値化画像データ上のトラック番号の位置のLSBの領域26の後側は、半径方向においては二値化画像データにおいて“1”だけの信号になる。その手前にあるLSBの領域26は、二値化画像データにおいて、半径方向においては“010101…”と繰り返すビットの信号になっている。しかも、トラック番号は、通常、16ビット設けられている。これらのことでトラック番号の位置が二値化画像データ上で特定できる。
そこで、二値化した画像データに対して二値化画像25の円周方向に対応する円周方向を更新しながら各円周方向において二値化画像25の半径方向に対応する半径方向の画像データ上の信号を順次読取って辿り、“010101…”のビットパターンの信号を検出する。このビットパターンのうち周波数の一番高い領域がLSBの領域26に対応する二値化画像データになる。これにより領域26に対応する二値化画像データを検出して、これを基準として二値化画像データからトラック番号位置を検出してメモリに記憶する(ステップ109)。
【0026】
次に、MPU21は、トラック番号位置の読出信号抽出プログラム22fをコールして実行して、二値化画像25の二値化画像データにおいて検出されたサーボエリアにおける読出信号のトラック番号位置において最初はLSBの位置から半径方向にトラック番号位置の位置に対応する読出信号を二値化画像25の領域に対応して作業領域22hに記憶された多数の読出信号(データとして採取された読出信号)の中から抽出してメモリ22の作業領域22hの所定の領域に記憶する(ステップ110)。
図5に示されるように、トラック番号におけるLSBあるいは複数の下位数ビットに対応するサーボエリアの磁性膜の領域は、半径方向において“0”,“1”とビットが交互に反転する磁性膜の幅が狭いかつビットくり返し周波数が高い領域である。そのため、これに対応するLSBあるいは下位数ビットの領域の半径方向の読出信号は、データエリアを検査するときのデータの配列である“010101…”と同様に周波数が高い“010101…”を繰り返すビットパターンを生成する読出信号になっている。そこで、トラック番号の位置の読出信号を半径方向に沿って作業領域22hに記憶された読出信号の中から抽出して“010101…”のビットパターンの読出信号を得てサーボエリアを検査する。
【0027】
次に、MPU21は、半径方向における読出信号のエラー検出プログラム22gをコールして実行して、抽出された二値化画像25の領域に対応する作業領域22hに記憶された読出信号の中からトラック番号位置のLSBの位置から半径方向に読出信号27(図6参照)を作業領域22hから取得する。得られた半径方向の読出信号27に対して判定スライスレベルS(図6参照)を設定して、ピーク値がスライスレベルS以下か否かの判定をする(ステップ111)。トラック番号位置の半径方向の各読出信号においてピーク値が判定スライスレベルS以下のときには、DTM1を不合格と判定して不合格のカセットへと収納する処理(不合格処理)をする。
なお、このときの判定スライスレベルSは、ステップ110で抽出された、あるサーボエリアのトラック番号位置の多数の読出信号のピーク値の平均値を求めて、例えば、その90%として設定される。
【0028】
図6は、あるサーボエリアのトラック番号のLSBに対応する半径方向の軸に沿って読出された読出信号についての説明図である。
27は、あるサーボエリアのトラック番号のLSBに対応する半径方向の軸に沿って読出された読出信号であり、Sがその判定スライスレベルである。図6に示するように読出信号27のピーク値は、磁性膜欠陥の位置でスライスレベルSより小さくなる。
ところで、図6において●で示すところは図4(a),(b)に示すピーク波形のスライスレベルSLをゼロクロス点Cr、に対応する点である。読出信号として取得したデータが周期の途中までの場合には、左端に矩形の破線枠28で示すようなマスクを設けて端部をマスクすることで、半端なピーク値の波形部分を排除することができる。これにより判定スライスレベルSによる判定誤差を低減することができる。
【0029】
一方、ステップ111の判定でNOのときには、MPU21は、トラック番号位置の読出信号がすべて終了か否かの判定をして(ステップ112)、ここでNOのときには、ステップ110へと戻り、次の桁位置の半径方向の読出信号を抽出し、作業領域22hに記憶して(ステップ110)てステップ111の判定を繰り返す。
ステップ112でYESとなると、MPU21は、円周方向のすべてのサーボエリアの判定が終了か否かの判定をし(ステップ113)、ここでNOのときには、サーボエリアを更新してメモリに記憶されたその次のサーボエリアのトラック番号位置を得る(ステップ114)。そして、ステップ110へと戻る。ステップ110からステップ113へと至り、このステップ113においてYESのときには、MPU21は、DTM1の全面検査終了か否かの判定をする(ステップ115)。ここでNOのときには、測定範囲を更新して(ステップ116)、ステップ101へと戻り、検査処理を継続する。DTM1の検査終了キーがキーボードから入力されるまで、あるいはDTM1の全面の欠陥検査が終了するまで、MPU21は、このような検査処理を繰り返す。
なお、ステップ115の判定でYESのときには、MPU21は、DTM1を合格と判定して合格のカセットへと収納する処理(合格処理)をする。
【0030】
ところで、ステップ110におけるトラック番号位置の半径方向の読出信号の抽出とステップ111の判定は、トラック番号位置のLSBの位置の読出信号だけであってもよい。この場合には、ステップ112の処理は不要である。
トラック番号位置のLSBの位置は、“0”と“1”を繰り返すビットパターンの周期が最も短いところになるからである。
このトラック番号のLSBの位置には、半径方向において“0”と“1”のビットに対応して交互に反転する幅の狭い磁性膜が配置される。そこで、原盤からスタンプされて形成されたサーボエリアにおいてトラック番号のLSBの位置は欠陥が発生し易く、最低限この領域を検査対象とすればよい。前記したように、少なくともトラック番号のLSBの位置に対応する半径方向の読出信号を検査することで実質的にサーボエリアの検査をしたとみなすことができる。
なお、、ステップ110におけるトラック番号位置の半径方向の読出信号の抽出は、トラック番号の位置の半径方向の読出信号についてトラック番号位置を示す16ビットのすべての桁の読出信号を半径方向の軸に沿ってシリアルにかつ連続的に抽出してメモリ22に記憶して、これらの読出信号を一度に検査対象としてもよい。この場合、ステップ111の判定は、トラック番号位置のすべての桁位置の読出信号に対して検査を同時に行うことができる。この場合にもステップ112の処理は不要である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明してきたが、トラック番号位置の検出は、二値化画像25をCRTディスプレイ24に画像表示をしてオペレータ(人手)が選択してその位置のデータをデータ処理・制御装置20にキーボード等を介して入力することで位置指定する方法を採ってもよい。 また、この発明は、あらかじめDCイレーズされたDTM1を使用してサーボエリアの検査をしてもよい。したがって、実施例の図2におけるステップ101〜103のDCイレーズ処理は、あらかじめDCイレーズされたDTM1に対しては不要な処理となる。この場合にはこのステップ101〜103を削除することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…ディスク、2…スピンドル、
3…ヘッドキャリッジ、4…粗動ステージ、
5…ピエゾステージ、6…カートリッジ取付ベース、
7…ヘッドカートリッジ、8…ジンバルスプリング、
9…磁気ヘッド、10…磁気ディスクテスター、11…アンプ、
12…D/A変換回路(A/D)、13…ヘッドアクセス制御回路、
14…トリガー信号生成回路、15…スピンドル制御回路、
20…データ処理・制御装置、21…MPU、
22…メモリ、22a…ヘッドアクセスプログラム、
22b…DCイレーズ処理プログラム、
22c…半径位置対応のトラック1周分の読出電圧採取プログラム、
22d…読出信号ジッタキャンセルプログラム、
22e…二値化画像データ生成プログラム、
22f…トラック番号位置の読出信号抽出プログラム、
22g…半径方向における読出信号のエラー検出プログラム、
23…インタフェース、24…CRTディスプレイ、
25…二値化画像、26……最下位ビット(LSB)の領域、
27…半径方向の読出信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクリートトラック方式の磁気記録媒体、ビットパターンド方式の磁気記録媒体あるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体におけるサーボ領域検査方法において、
回転する前記磁気記録媒体のDCイレーズされた所定のトラックに磁気ヘッドを位置決めし、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半径方向に移動させて前記所定のトラックを含めてDCイレーズされた複数のトラックを横断させるとともに前記半径方向の各移動位置に対応して読出開始の信号に応じて前記磁気ヘッドによりトラック1周分の信号を読出し、
前記トラック1周分の読出信号をA/D変換してデジタル値として前記半径方向の各移動位置に対応してメモリに記憶し、
前記メモリから複数の前記トラック1周分の読出信号を得てこの複数のトラック1周分の読出信号においてトラック1周分の多数のサーボ領域の各サーボ領域に対応する各読出信号のトラック方向のジッタをキャンセルし、
ジッタをキャンセルした各前記トラック1周分の読出信号を所定のスライスレベルにより二値化して前記半径方向の移動位置を一方の軸とし前記ディスクの円周方向を他方の軸とする画像の二値化画像データを生成し、
この二値化画像データから各前記サーボ領域におけるトラック番号の位置を検出し、そして、
各前記サーボ領域の前記トラック番号の位置における少なくとも前記トラック番号の最下位ビットに対応する前記メモリに記憶された前記半径方向の前記読出信号に基づいて前記サーボエリアの欠陥を判定して各前記サーボ領域の検査をするステップとからなる磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項2】
前記ジッタをキャンセルするステップは、各前記サーボ領域ごとに前記半径方向の移動位置に対応する複数の前記読出信号を前記複数のトラック1周分の読出信号から得てこれら複数の読出信号における対応するタイミングにある少なくとも1つの転移点の位置を合わせる請求項1記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項3】
前記ジッタをキャンセルするステップにおける前記複数の読出信号における転移点の位置合わせは、前記複数の読出信号から選択された1つの前記読出信号の振幅の中心をスライスレベルとして、このスライスレベルを横切る点における前記選択された読出信号の所定のタイミング位置に残りの複数の前記読出信号の前記所定のタイミング位置に対応するタイミングの位置を合わせることによる請求項2記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項4】
さらに、複数のトラックをDCイレーズしあるいはDCイレーズされた前記磁気記録媒体を回転させるトラックイレーズステップを有し、前記二値化画像データを生成するステップは、前記複数のトラック1周分の読出信号に対して各前記サーボ領域ごとの各前記読出信号に対してそれぞれのスライスレベルによりそれぞれに二値化するものである請求項2記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項5】
前記A/D変換は、前記所定のトラックから読出される前記読出信号の電圧値に対して行われ、前記欠陥の判定は、前記半径方向の読出信号に対して所定のスライスレベルを設定することで行われる請求項2記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項6】
前記最下位ビットに対応する前記半径方向の読出信号は、前記二値化画像データにおいて“0”と“1”の繰り返しビットパターンの周期が最も短いところを最下位ビットの位置として検出することによる請求項5記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項7】
前記最下位ビットに対応する前記半径方向の読出信号は、前記二値化画像データにおいて最下位ビットの位置を検出することで行われ、この最下位ビットの位置の検出は、前記二値化画像データに基づいて表示された画像において選択されてその位置がデータとして入力されることによる請求項5記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査方法。
【請求項8】
ディスクリートトラック方式の磁気記録媒体、ビットパターンド方式の磁気記録媒体あるいはその他の凹凸パターンの記録層を有する磁気記録媒体におけるサーボ領域の検査装置において、
磁気ヘッドとこの磁気ヘッドから読出信号を受けるアンプとこのアンプからの読出信号をA/D変換するA/D変換回路とデータ処理装置とを有し、
前記データ処理装置は、回転する前記磁気記録媒体のDCイレーズされた所定のトラックに前記磁気ヘッドを位置決めする磁気ヘッド位置決め手段と、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の半径方向に移動させて前記所定のトラックを含めてDCイレーズされた複数のトラックを横断させるとともに前記半径方向の各移動位置に対応して読出開始の信号に応じて前記磁気ヘッドによりトラック1周分の信号を読出信号として読出す信号読出手段と、
前記トラック1周分の読出信号を前記A/D変換回路を介してA/D変換してデジタル値として前記半径方向の各移動位置に対応してメモリに記憶する読出信号記憶手段と、
複数のトラック1周分の読出信号においてトラック1周分の多数のサーボ領域の各サーボ領域に対応する各読出信号のトラック方向のジッタをキャンセルするジッタキャンセル手段と、
ジッタをキャンセルした各前記トラック1周分の読出信号を所定のスライスレベルにより二値化して前記半径方向の移動位置を一方の軸とし前記磁気記録媒体の円周方向を他方の軸とする画像の二値化画像データを生成する二値化画像データ生成手段と、
前記二値化画像データから各前記サーボ領域におけるトラック番号の位置を検出するトラック番号位置検出手段と、
各前記サーボ領域の前記トラック番号の位置における少なくとも前記トラック番号の最下位ビットに対応する前記メモリに記憶された前記半径方向の読出信号に基づいて前記サーボエリアの欠陥を判定して各前記サーボ領域の検査をするサーボ領域検査手段とを備える磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。
【請求項9】
前記ジッタキャンセル手段は、各前記サーボ領域ごとに前記半径方向の移動位置に対応する複数の前記読出信号を前記複数のトラック1周分の読出信号から得てこれら複数の読出信号における対応するタイミングにある少なくとも1つの転移点の位置を合わせる請求項8記載の磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。
【請求項10】
前記ジッタキャンセル手段による前記複数の読出信号における転移点の位置合わせは、前記複数の読出信号から選択された1つの前記読出信号の振幅の中心をスライスレベルとして、このスライスレベルを横切る点における前記選択された読出信号の所定のタイミング位置に残りの複数の前記読出信号の前記所定のタイミング位置に対応するタイミングの位置を合わせることによる請求項9記載の磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。
【請求項11】
さらに、複数のトラックをDCイレーズしあるいはDCイレーズされた前記磁気記録媒体を回転させるトラックイレーズ手段を有し、前記二値化画像データ生成手段は、前記複数のトラック1周分の読出信号に対して各前記サーボ領域ごとの各前記読出信号に対してそれぞれのスライスレベルによりそれぞれに二値化するものである請求項9記載の磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。
【請求項12】
前記A/D変換回路は、前記所定のトラックから読出される前記読出信号の電圧値をA/D変換するものであり、前記サーボ領域検査手段は、前記欠陥の判定を前記半径方向の読出信号に対して所定のスライスレベルを設定することで行う請求項11記載の磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。
【請求項13】
前記最下位ビットに対応する前記半径方向の読出信号は、前記二値化画像データにおいて“0”と“1”の繰り返しビットパターンの周期が最も短いところを最下位ビットの位置として検出することによる請求項12記載の磁気記録媒体のサーボ領域検査装置。
【請求項14】
前記最下位ビットに対応する前記半径方向の読出信号は、前記二値化画像データにおいて最下位ビットの位置を検出することで行われ、この最下位ビットの位置の検出は、前記二値化画像データに基づいて表示された画像において選択されてその位置がデータとして入力されることによる請求項12記載の磁気記録媒体のサーボ領域の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−205393(P2010−205393A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20117(P2010−20117)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】