説明

磁気記録媒体の検査方法、磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置

【課題】磁気ヘッドへの汚染物質や腐食物の付着(転写)を防止することができる磁気記録媒体の検査方法を提供する。
【解決手段】非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層、潤滑剤層を有する磁気記録媒体の検査方法であって、前記磁気記録媒体を、シロキサンを含む雰囲気に曝露し、前記磁気記録媒体の表面への前記シロキサンの吸着量から当該磁気記録媒体の環境物質に対する耐性を検査することを特徴とする磁気記録媒体の検査方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体の検査方法、磁気記録媒体、及び磁気記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、磁気記録再生装置の記録密度は400Gビット/平方インチが実用化されており、さらに今後、磁気記録再生装置の記録密度の向上は続くと言われている。そして、磁気記録再生装置の記録密度を向上させるために、高記録密度に適した磁気記録媒体の開発が進められている。このような磁気記録媒体としては、磁気記録媒体用の基板上にスパッタリング法などにより記録層等を積層した後、この記録層上にカーボン等の保護膜を形成し、更に保護膜上に液体の潤滑剤を塗布する構成が主流となっている。
【0003】
上記構成において、保護層は、記録層に記録された情報を保護するとともに、磁気ヘッドの摺動性を高める効果、記録層を被覆して記録層に含まれる金属が環境汚染物質により腐食するのを防ぐ役割を有する。しかし、保護層を設けただけでは、磁気記録媒体の保護は十分ではない。そのため、保護層の表面に、厚さが0.5〜3nm程度の潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成し、保護層の耐久性や保護力を改善している。このように、潤滑剤層を設けることによって、磁気ヘッド(磁気ヘッドスライダ)が保護層と直接接触するのを防止することができるとともに、磁気記録媒体上を摺動する磁気ヘッド(磁気ヘッドスライダ)の摩擦力を著しく低減させ、また、磁気記録媒体内部への汚染物質の侵入を防ぐことができる。
【0004】
ここで、潤滑剤としては、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤や脂肪族炭化水素系潤滑剤などが従来から提案されている。例えば、特許文献1には、HOCH−CFO−(CO)p−(CFO)q−CHOH(p、qは整数。)の構造をもつパーフロロアルキルポリエーテルの潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。また、特許文献2には、HOCHCH(OH)−CHOCHCFO−(CO)p−(CFO)q―CFCHOCH―CH(OH)CHOH(p、qは整数。)の構造をもつパーフロロアルキルポリエーテル(テトラオール)の潤滑剤を塗布した磁気記録媒体が開示されている。さらに、特許文献3には、(−CFO−)または(−CFCFO−)から選ばれたパーフルオロオキシアルキレン単位とホスファゼン化合物を有する磁気記録媒体用途の潤滑剤が開示されている。
【0005】
一方、磁気記録再生装置の記録密度を向上させるためには、磁気ヘッドの浮上量をより小さくして、磁気ヘッドを磁気記録媒体の表面により近づける必要がある。
【0006】
ところで、従来から磁気記録媒体の表面には、イオン性の汚染物質が存在する場合が多いという問題があった。このイオン性の汚染物質の多くは、磁気記録媒体の製造工程において外部(例えば、周囲環境または磁気記録媒体のハンドリング)から付着するものである。また、ハードディスクドライブ内部での使用に際して、環境汚染物質がドライブ内部に侵入し、付着していた。たとえば、磁気記録媒体またはハードディスクドライブを高温・高湿条件下に保持した場合、磁気記録媒体の表面にイオンなどの環境物質を含む水などが吸着する。このイオンなどの環境物質を含む水は潤滑剤層を通り抜け、潤滑剤層の下に存在する微少なイオン成分を凝縮させて、イオン性の汚染物質を発生させていた。
【0007】
このような汚染物質が磁気記録媒体上に存在する場合には、汚染物質が小さい場合でも、磁気ヘッドを磁気記録媒体の表面により近づけると、磁気ヘッドは汚染物質と容易に接触して、磁気ヘッドに汚染物が付着(転写)する。そして、磁気ヘッドに汚染物質が付着(転写)すると、磁気ヘッドの記録再生特性が低下するとともに、磁気ヘッドの浮上安定性が損なわれ、ひいては磁気ヘッドを破壊させる場合が発生する。また、イオン性の汚染物質の場合には、保護膜の微小欠陥部分(ピンホール)で記録層の腐食反応を引き起こす原因となる。そのため、磁気記録媒体製造の際、およびドライブ内での使用に際しては、このような汚染物質を除去または発生を防ぐ必要があった。
【0008】
汚染物質を除去するために、例えば、特許文献4には、保護膜を形成した磁気記録媒体の表面を純水でスクラブ洗浄して、磁気記録媒体の表面に付着した蟻酸イオン,しゅう酸イオン,アンモニウムイオン、あるいはその他のイオン塩類(SO2−,NO,Na)を除去した後、磁気記録媒体の表面に潤滑剤を塗布する方法が開示されている。
【0009】
ところで、潤滑剤層は、一般に、フッ素樹脂系潤滑剤をフッ素系溶媒に溶解または分散させて、潤滑剤を含む溶液を調整した後、これを保護層上に塗布して形成する。塗布方法としては、スピンコート法やディップ法などがある。たとえば、ディップ法では、潤滑剤浸漬槽に入れた潤滑剤を含む溶液中に磁気記録媒体を浸漬した後、潤滑剤浸漬槽から磁気記録媒体を所定の速度で引き上げて磁気記録媒体表面に均一な膜厚の潤滑剤層を形成する。
【0010】
記録密度を向上させるために、磁気記録再生装置の磁気ヘッドの浮上量をより小さくする場合、潤滑剤層もより薄くすることが求められる。しかし、潤滑剤層を薄くすると、潤滑剤層による磁気記録媒体の表面の被覆率が低下する。これにより、磁気記録媒体の表面の一部が露出される場合が発生する。このとき、汚染物質によって、その露出部分から磁気記録媒体の表面が汚染されるおそれがある。
【0011】
しかし、従来の上記方法では、磁気記録再生装置の記録密度の高まりに伴い、磁気ヘッド浮上量がより小さくなることにより顕著となった極微量の汚染物質を磁気記録媒体上から完全に取り除くことができなかった。そのため、磁気ヘッドへ汚染物質が付着(転写)され、磁気記録再生装置の磁気記録再生特性を不安定とする場合があった。なお、特許文献5には、イオン散乱を用いて磁気記録媒体表面の潤滑剤の被覆率を調べ、この方法を用いて被覆率を高めた磁気記録媒体を用いることにより耐蝕性を高めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭62−66417号公報
【特許文献2】特開平9−282642号公報
【特許文献3】特開2002−275484号公報
【特許文献4】特開2000−235708号公報
【特許文献5】特開2004−164704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、磁気記録媒体に付着し、または磁気記録媒体の内部に侵入して磁気記録媒体を腐食させる汚染物質を極限まで低減することにより、磁気ヘッドへの汚染物質や腐食物の付着(転写)を防止することができる磁気記録媒体の検査方法及び安定した磁気記録再生特性を有する磁気記録媒体及び磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述のように、磁気記録媒体の表面には平均膜厚が20オングストローム(2nm)程度の潤滑剤層が設けられている。ここで、潤滑剤は、平均分子量が2000〜5000程度の高分子化合物であることから、潤滑剤層はこの膜厚では炭素保護膜の全表面を均一に被覆しているとは考えにくく、磁気記録媒体の炭素保護膜表面でアイランド状または網目状に形成されていると考えられる。すなわち、ハードディスクドライブ内部に侵入した環境汚染物質は、潤滑剤層を容易にすり抜け、その下の炭素保護膜表面に達しているものと考えられる。
【0015】
本願発明者は、磁気記録媒体の腐食のメカニズムについて検討し、環境汚染物質は炭素保護膜表面に存在する「極性サイト」に付着し、この付着した汚染物質が磁気記録媒体内部に侵入することで磁性層等を腐食させることを解明した。また、本願発明者は、この腐食の進行を防ぐ方法について検討し、潤滑剤の化合物の骨格中に極性の大きい官能基を含有させ、この官能基を炭素膜の「極性サイト」に結合させることにより、磁気記録媒体の耐性を著しく向上できることを見出した。そして、本願発明者は、潤滑剤の極性官能基と炭素膜の「極性サイト」との結合力の強さを容易に測定する方法、及び耐性の高い磁気記録媒体を見出して本願発明を完成させた。
【0016】
すなわち、本発明は以下に関する。
(1) 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層、潤滑剤層を有する磁気記録媒体の検査方法であって、前記磁気記録媒体を、シロキサンを含む雰囲気に曝露し、前記磁気記録媒体の表面への前記シロキサンの吸着量から当該磁気記録媒体の環境物質に対する耐性を検査することを特徴とする磁気記録媒体の検査方法。
(2) 前記磁気記録媒体を回転させながら、前記シロキサンを含む雰囲気に曝露することを特徴とする前項(1)に記載の磁気記録媒体の検査方法。
(3) 前記シロキサンが、オクタメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする前項(1)又は(2)のいずれか一項に記載の磁気記録媒体の検査方法。
(4) 非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、前記潤滑剤層は、極性の大きい官能基を骨格中に有する化合物を含有し、前記官能基と前記保護層の表面の官能基とが結合されており、前記磁気記録媒体を2000rpm以上で回転させ、オクタメチルシクロテトラシロキサンを含む空気に大気圧で8時間曝露した後の、当該磁気記録媒体の表面のシロキサンの付着量が曝露前の1.5倍以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
(5) 前記潤滑剤層が、下記化学式(1)〜(5)から選ばれる化合物を単独又は2以上含むことを特徴とする前項(4)に記載の磁気記録媒体。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

但し、下記化学式(1)〜(4)においては、その構造中に少なくとも1つ以上の(A)または(B)で表される末端官能基構造を有する。
また、上記化学式(5)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOH又は−CH(OH)CHOHのパーフルオロポリエーテル鎖である。ここでRのパーフルオロポリエーテル鎖は繰り返し単位として(CFCFO),(CFO),(CFCFCFO)のうち少なくとも1つ以上を含む。
(6) 前記保護層が、炭素膜を含むことを特徴とする前項(4)又は(5)に記載の磁気記録媒体。
(7) 前項(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に情報の記録再生を行う磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上に移動するヘッド移動部と、前記磁気ヘッドからの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部と、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の磁気記録媒体は、環境汚染物質の付着が少なく、耐環境性が高いため、磁気記録媒体の表面から磁気ヘッドへの前記汚染物の転写を防止することができ、磁気記録再生特性を安定させることができる。
【0018】
本発明の磁気記録媒体の検査方法を用いれば、耐腐食性の高い磁気記録媒体の製造条件を容易に最適化することが可能となる。
【0019】
本発明の磁気記録再生装置は、磁気記録媒体上の汚染物質に起因する磁気ヘッドの汚染や破損が生じにくく、耐環境性に優れ、磁気記録再生特性の安定した磁気記録再生装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体の一例を示す断面模式図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を適用した磁気記録媒体の検査方法、磁気記録媒体及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0022】
<磁気記録媒体>
先ず、本発明の一実施形態である磁気記録媒体の検査方法に用いる磁気記録媒体について説明する。
図1に示すように、本実施形態の磁気記録媒体11は、非磁性基板1上に、磁性層2、保護層3、潤滑剤層4と、がこの順序で積層されて概略構成されている。
【0023】
(非磁性基板)
非磁性基板1としては、AlまたはAl合金などの金属または合金材料からなる基体上に、NiPまたはNiP合金からなる膜が形成されたものなどを用いることができる。また、非磁性基板1には、ガラス、セラミックス、シリコン、シリコンカーバイド、カーボン、樹脂などの非金属材料からなるものを用いてもよいし、この非金属材料からなる基体上にNiPまたはNiP合金の膜を形成したものを用いてもよい。
【0024】
(磁性層)
磁性層2は、主としてCoを主成分とする合金から形成するのが好ましく、例えば、Co−Cr−Ta系、Co−Cr−Pt系、Co−Cr−Pt−Ta系、Co−Cr−Pt−B−Ta系合金等からなる層を用いることができる。
【0025】
また、磁性層2は、面内磁気記録または垂直磁気記録の磁性層(磁気記録層ともいう)のいずれでもかまわないが、より高い記録密度を実現するためには垂直磁気記録の磁性層が好ましい。面内磁気記録の磁性層2としては、強磁性のCoCrPtTa磁性層を用いることができ、この場合、前記磁性層2と非磁性基板1との間に非磁性のCrMo下地層(図示略)を設けることが好ましい。前記下地層は、単層であっても多層であってもよい。
【0026】
垂直磁気記録の磁性層2としては、60Co−15Cr−15Pt合金や70Co−Cr−15Pt−10SiO合金からなる磁性層を用いることができ、前記磁性層2と非磁性基板1との間に、例えば、軟磁性のFeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrB、FeCoZrBCuなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNB、CoBなど)等からなる図示略の裏打ち層と、Pt、Pd、NiCr、NiFeCrなどの図示略の配向制御膜と、必要によりRu等の図示略の中間膜を設けることが好ましい。
【0027】
磁性層2の厚さは、3nm以上20nm以下とすることが好ましく、5nm以上15nm以下とすることがより好ましい。
また、磁性層2は、蒸着法、イオンビームスパッタ法、マグネトロンスパッタ法など従来の公知のいかなる方法によって形成してもよいが、通常、スパッタ法により形成する。
【0028】
(保護層)
保護層3としては、従来の公知の材料、例えば、炭素(通常は硬質炭素やダイヤモンド状炭素)、SiCの単体またはそれらを主成分とした材料を使用することができるが、「極性サイト」へのシロキサンの付着効果は、特に保護層3として炭素膜を用いた場合に顕著に発現するため、炭素膜を用いることが好ましい。
【0029】
保護層3の膜厚は、1nm〜10nmの範囲内とすることが好ましい。これにより、高記録密度状態で使用した場合、磁気的スペーシングを低減することができるとともに、耐久性を向上させることができる。ここで、磁気的スペーシングとは、磁気ヘッド(特に素子部)と磁性層4との間の距離を表す。磁気的スペーシングを狭くするほど電磁変換特性を向上させることができる。
【0030】
保護層3の成膜方法としては、通常のカーボンターゲット材を用いるスパッタ法や、エチレンやトルエンなどの炭化水素原料を用いるCVD(化学蒸着法)法,IBD(イオンビーム蒸着)法などを用いることができる。さらに、これらの方法を組み合わせて複数の層として構成しても良い。また、保護膜の強度を向上させたり、潤滑剤との親和性を増したりする目的で、炭素膜中に窒素原子を添加しても良い。窒素原子を添加する方法としては、スパッタ法やCVD法に使用するキャリアガスや原料ガスに窒素ガスを混合させる方法や、炭素膜形成後に窒素ガスプラズマ雰囲気に曝露する方法を採用することができる。
【0031】
(潤滑剤層)
潤滑剤層4は、以下の化学式(6)〜(10)から選ばれる化合物を単独又は2以上含む潤滑剤を用いることが好ましい。ここで、化学式(6)、化学式(7)、化学式(8)、化学式(9)は、パーフルオロポリエーテル化合物である。また、化学式(10)は、パーフルオロオキシアルキレン単位を有するホスファゼン化合物である。を有する潤滑剤等の混合物が使用できる。
【0032】
【化6】

【0033】
【化7】

【0034】
【化8】

【0035】
【化9】

【0036】
【化10】

【0037】
但し、上記化学式(6)〜(9)においては、その構造中に少なくとも1つ以上の(A)または(B)で表される末端官能基構造を有することを要する。
また、上記化学式(10)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOH又は−CH(OH)CHOHのパーフルオロポリエーテル鎖である。ここでRのパーフルオロポリエーテル鎖は繰り返し単位として(CFCFO),(CFO),(CFCFCFO)のうち少なくとも1つ以上を含む。
【0038】
なお、上記化学式(6)〜(9)に示す化合物としては、例えば、Fomblin Z−DOL(商品名、Solvay Solexis社製)、Fomblin Z−TETRAOL(商品名、Solvay Solexis社製)、又はこれらの関連物質を出発原料として合成、精製して得た反応生成物を挙げることができる。
【0039】
また、化学式(10)の化合物としては、X−1p(商品名、DowChemical社製)、MORESCO PHOSPHAROL A20H−2000(商品名、松村石油研究所(MORESCO)社製)、A20H−DD(商品名、松村石油研究所(MORESCO)社製)、またはこれらの関連物質を出発原料として合成、精製して得た反応生成物を挙げることができる。
【0040】
潤滑剤層4は、後述するように潤滑剤層4が設けられた磁気記録媒体11を、シロキサン化合物を含む雰囲気に曝露した際に、シロキサンの磁気記録媒体11の表面への吸着量が低いことが重要である。すなわち、このような磁気記録媒体11は、潤滑剤層4に含まれる潤滑剤の極性官能基が保護膜表面の官能基と結合しているため、磁気記録媒体11の環境物質に対する耐性が高い。このような潤滑剤を得るためには、化合物の骨格中に極性の大きい官能基、例えば水酸基、グリシジル基を含有させ、この極性の大きい官能基を保護層3の「極性サイト」と結合させる必要がある。
【0041】
なお、後述する本実施形態の磁気記録媒体の検査方法を用いれば、保護膜表面の官能基と強固な結合力を有する潤滑剤官能基を探索することが容易となる。したがって、このような保護膜表面の官能基と強固な結合力を有する官能基を多く含む潤滑剤を合成することが可能となる。
【0042】
(潤滑剤層の膜厚)
潤滑剤層4の平均膜厚は、0.5nm(5Å)〜3nm(30Å)の範囲内であることが好ましく、5Å〜20Åの範囲内とすることがより好ましい。潤滑剤層4の平均膜厚を上記範囲内にすることにより、磁気記録媒体11の保護効果を高めると共に、潤滑剤が磁気ヘッドに転写されて磁気ヘッドが汚染されることを防ぐことができる。また、磁気ヘッドの浮上量を十分小さくして、磁気記録媒体11の記録密度を高くすることができる。
【0043】
(潤滑剤層の形成方法)
潤滑剤層4は、潤滑剤層形成用溶液を調製した後、前記潤滑剤層形成用溶液を磁気記録媒体11上に塗布して形成する。
【0044】
通常、潤滑剤単体は粘度の大きい油状液体である。このため、潤滑剤を溶媒で希釈して、塗布方法に適した濃度の潤滑剤層形成用溶液(塗布溶液)とする。ここで用いる溶媒としては、例えば、バートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)等のフッ素系溶媒などを挙げることができる。
【0045】
次に、スピンコート法やディップ法などを用いて、潤滑剤層形成用溶液を保護層3上に塗布して潤滑剤層4を形成する。例えば、ディップ法では、ディップコート装置の潤滑剤浸漬槽に入れた前記潤滑剤層形成用溶液中に、保護層3までの各層を形成した非磁性基板1を浸漬した後、潤滑剤浸漬槽から非磁性基板1を所定の速度で引き上げて非磁性基板1の保護層3上の表面に均一な膜厚の潤滑剤層4を形成する。
【0046】
<磁気記録媒体の検査方法>
次に、本発明の一実施形態である磁気記録媒体の検査方法について説明する。
本実施形態の磁気記録媒体11の検査方法は、非磁性基板1上に少なくとも磁性層2、保護層3、潤滑剤層4を有する磁気記録媒体11を、シロキサンを含む雰囲気に曝露し、磁気記録媒体11の表面へのシロキサンの吸着量から磁気記録媒体11の環境物質に対する耐性を検査することを特徴としている。前述したように、潤滑剤層4は炭素からなる保護膜3の全表面を被覆しているわけではなく、磁気記録媒体11の保護層3の表面でアイランド状または網目状に形成されている。そして、ハードディスクドライブ内部に侵入した環境汚染物質は、潤滑剤層4を容易にすり抜け、その下の保護膜3の表面に達する。
【0047】
ここで、炭素膜からなる保護膜3自体は、本来は、化学的に安定であり、また耐性の高い物質であるが、発明者の検討によると、磁気記録媒体11に用いる炭素膜からなる保護膜3の表面には「極性サイト」が存在し、その「極性サイト」に環境汚染物質が付着する。付着した環境汚染物質は、その箇所で凝集して磁気ヘッドを汚染すると共に、保護膜3を通り抜けて磁性層2まで達し、磁性層2を腐食させて磁気特性を低下させ、また磁性層2の腐食物は保護膜3の表面に拡散して磁気ヘッドを汚染する。
【0048】
なお、本明細書において、「極性サイト」とは、炭素膜表面に存在する水酸基(−OH)、カルボン酸基(−COOH)、カルボニル基(−C=O)などの酸素原子を含む官能基、あるいはシアノ基(ニトリル基:−CN)、アミノ基(−NH)などの窒素原子を含む官能基、あるいは炭素膜中の炭素原子がラジカル状態にあり共有結合を形成していない部分(ダングリングボンド)をいう。
【0049】
本願発明者は、潤滑剤の化合物の骨格中に極性の大きい官能基を含有させ、この官能基を炭素膜の「極性サイト」に結合させることにより、磁気記録媒体の汚染物質からの耐性を向上できることを見出し、またその結合力を検査する方法として、シロキサンの磁気記録媒体表面への吸着量を用いる方法を発明した。すなわち、本願発明者の検討によると、シロキサンは炭素膜の「極性サイト」に付着するが、その「極性サイト」に潤滑剤の極性官能基が強固に結合している場合は付着できない。よって、磁気記録媒体をシロキサン雰囲気に曝露し、シロキサンの磁気記録媒体表面への吸着量を調べることにより炭素膜の「極性サイト」への潤滑剤の極性官能基の結合力を定量化可能となり、また、これにより磁気記録媒体の環境汚染物質に対する耐性を定量化することができる。
【0050】
なお、本実施形態の環境汚染物質とは、例えば、イオン性不純物であり、このイオン性不純物に含まれる金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどを挙げることができる。また、無機イオンとしては、例えば、シリコンイオン、塩素イオン、HCOイオン、HSOイオン、硫酸イオン、アンモニアイオン、シュウ酸イオン、蟻酸イオンなどを挙げることができる。
【0051】
本実施形態において、シロキサン(siloxane)とは、ケイ素と酸素を骨格とする化合物であり、Si−O−Si結合(シロキサン結合)を持つものの総称である。また、シロキサンは、例えば、一般式として、RSiO−(RSiO)n−SiR(Rはアルキル基を示す)で表すことができる。本願発明者の検討によると、シロキサンは炭素膜の「極性サイト」へ結合させることが可能であり、また、炭素膜の「極性サイト」に他の物質が結合している場合は、この結合箇所に結合させないことができる。
【0052】
本実施形態において、磁気記録媒体の表面へのシロキサンの吸着量を調べる方法には、公知の表面分析方法を用いることができる。具体的には、例えば、磁気記録媒体の表面に吸着しているシロキサンを脱離させ、この脱離したシロキサンを2次イオン質量分析計で測定し、その測定結果を曝露前の磁気記録媒体での測定結果と比較する。2次イオン質量分析計で測定される曝露前の吸着量に対する曝露後の吸着量の比(吸着率)を指標とする。本実施形態では、シロキサン吸着率は、1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1%以下であることが特に好ましい。シロキサン吸着率が1.5を超えると、実際の使用においてヘッドの浮上不安定および磁気信号の読み書き不能が引き起こされるために好ましくない。これにより、磁気記録媒体の環境汚染物質に対する耐性を、より現実の使用状態での耐性に近づけて定量化することが可能となる。
【0053】
本実施形態では、磁気記録媒体を、シロキサンを含む雰囲気へ曝露するに際し、磁気記録媒体を回転させ、実際の磁気記録媒体の使用態様、すなわち、磁気記録媒体がハードディスクドライブ等に内蔵されて使用される使用態様に合致させることが好ましい。シロキサンを含む雰囲気への曝露は、具体的には、例えば、磁気記録装置を用いて磁気記録媒体を2000rpm以上の回転速度で回転させて、シロキサンを0.5体積%含む空気に大気圧で8時間曝露させる条件で行う。
【0054】
磁気記録媒体の回転速度は、2000rpm以上が好ましく、3600〜15000rpmの範囲がより好ましく、4200〜15000rpmrpmの範囲が特に好ましい。回転速度が2000rpmrpm未満であるとシロキサンの吸着量が安定せず、再現性に乏しくなるために好ましくない。一方、4200〜15000rpmrpmの範囲であると、シロキサンの吸着量が安定するために好ましい。
【0055】
本実施形態では、シロキサンとしてオクタメチルシクロテトラシロキサンを用いることが好ましい。シロキサンとして上記オクタメチルシクロテトラシロキサンを用いた場合は、前述したようにシロキサンを保護膜3である炭素膜の「極性サイト」へ結合させることでき、また、炭素膜の「極性サイト」に他の物質が結合している場合は、この結合箇所に結合させない効果をより確実に発現させることができる。
【0056】
空気中の上記シロキサンの割合は、0.1〜5体積%であることが好ましく、0.2〜2体積%の範囲がより好ましく、0.5〜1体積%の範囲が特に好ましい。シロキサンの割合が0.1体積%未満であると、シロキサンの吸着量が飽和せず再現性に乏しくなるために好ましくなく、5体積%を超えると、過剰分が表面に堆積する場合があるために好ましくない。一方、0.2〜2体積%の範囲であると、シロキサンの吸着量が安定するために好ましい。
【0057】
磁気記録媒体へのシロキサンを含む空気の曝露時間は、3時間以上であることが好ましく、6時間以上がより好ましく、8時間以上が特に好ましい。曝露時間が3時間未満であると、シロキサンの吸着量が飽和せず再現性に乏しくなるために好ましくない。一方、8時間以上であると、シロキサンの吸着量が安定するために好ましい。
【0058】
<磁気記録再生装置>
次に、本発明を適用した一実施形態である磁気記録再生装置の一例について説明する。図2は、本実施形態の磁気記録再生装置101の一例を示す斜視図である。本実施形態の磁気記録再生装置101は、本実施形態である磁気記録媒体11と、これを記録方向に駆動する媒体駆動部123と、記録部と再生部からなる磁気ヘッド124と、磁気ヘッド124を磁気記録媒体11に対して相対運動させるヘッド移動部126、磁気ヘッド124への信号入力と磁気ヘッド124からの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段を組み合わせた記録再生信号処理部128とを具備したものである。これらを組み合わせて、記録密度の高い磁気記録再生装置101を構成することができる。
【0059】
磁気ヘッド124の素子部(再生部)をGMRヘッドあるいはTMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記録再生装置101を実現することができる。また、磁気ヘッド124の浮上量を0.005μm(5nm)〜0.020μm(20nm)と従来用いられているより低い高さで浮上させると、出力が向上して高いSNRが得られ、大容量で高信頼性の磁気記録再生装置101とすることができる。
【0060】
本実施形態の磁気記録再生装置101は、本実施形態である磁気記録媒体11と、磁気ヘッド124と、を具備する構成なので、磁気ヘッド124の浮上量を十分小さくすることができ、磁気記録媒体11の記録密度を向上させることができる。また、磁気記録媒体11上を摺動する磁気ヘッド124の摩擦力を著しく低減させることができるとともに、高温条件下におかれた場合であっても、磁気記録媒体11上の汚染物質に起因する磁気ヘッド124の汚染や破損を生じにくくして、耐環境性に優れ、磁気記録再生特性の安定した磁気記録再生装置101とすることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0062】
(実施例1〜6、比較例1〜4)
非磁性基板として、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmの結晶化ガラス基板(オハラ社製)を用意した。次に、この非磁性基板にテクスチャーを施して、十分に洗浄し乾燥した。次に、上記テクスチャーを施した非磁性基板をDCマグネトロンスパッタ装置(アネルバ社(日本)製、C3040)のチャンバ内にセットした後、前記チャンバ内の真空到達度が2×10−7Torr(2.7×10−5Pa)となるまで排気した。
【0063】
DCスパッタリング法を用いて、非磁性基板上に軟磁性層としてFeCoB膜、中間層としてRu膜、磁性層として25Fe−30Co−45Pt膜を順次成膜した。成膜したそれぞれの層の膜厚は、軟磁性層が600Å、中間層が100Å、磁性層が150Åであった。
【0064】
次に、CVD法を用いて、3nmの膜厚の保護膜(カ−ボン層)を積層した後、前記チャンバ内から上記各層を形成した非磁性基板を取り出した。このようにして、潤滑剤層形成前基板を作製した。
【0065】
次に、ディップ法を用いて、前記潤滑剤層形成前基板の保護層上に潤滑剤層を形成した。
潤滑剤には、表1に記述したものを用いて、それぞれ膜厚を0.18nmに調整した。なお、表1中の潤滑剤の種類はそれぞれ以下の通りである。
A−1:上記一般式(6)において、Xが(A)の構造を全体の76%、(B)の構造を同15%、(C)の構造を同8%、(D)の構造を同1%有する潤滑剤である。
B−1:上記一般式(7)において、Xが(A)の構造を全体の70%、(B)の構造を同2%、(C)の構造を同28%有する潤滑剤である。
C−1:上記一般式(8)において、Xが(A)の構造を全体の50%、(B)の構造を同1%、(C)の構造を同49%有する潤滑剤である。
D−1:上記一般式(9)において、Xが(A)の構造を全体の80%、(B)を同10%、(C)の構造を同5%、(D)の構造を同5%有する潤滑剤である。
E−1:上記一般式(10)において、RがCFであり、Rが−(CFCFO)−(CFO)−CHOHである潤滑剤を20重量%と、上記一般式(1)において、Xがすべて(C)の構造有する潤滑剤を80重量%とを混合した潤滑剤である。
F−1:上記一般式(1)において、Xが(A)の構造を全体の76%、(B)を同15%、(C)を同8%、(D)を同1%有する潤滑剤を80重量%と、上記一般式(10)において、RがCFであり、Rが−(CFCFO)−(CFO)−CHOHである潤滑剤を20重量%とを混合した潤滑剤である。
A−2:上記一般式(6)において、Xがすべて(C)の構造を有する潤滑剤のみである。
B−2:上記一般式(7)において、Xがすべて(C)の構造を有する潤滑剤のみである。
C−2:上記一般式(8)において、Xがすべて(C)の構造を有する潤滑剤のみである。
D−2:上記一般式(9)において、Xがすべて(C)の構造を有する潤滑剤のみである。
【0066】
なお、潤滑剤層形成用溶液を溶解するための溶媒として、バートレルXF(商品名、三井デュポンフロロケミカル社製)を用いた。また、潤滑剤層形成用溶液中における潤滑剤(化合物A及び化合物B)の濃度はいずれも0.3質量%とした。ディップコート装置の浸漬槽に前記潤滑剤層形成用溶液を満たし、その中に前記潤滑剤層形成前基板を浸漬した。次に、一定の引き上げ速度で前記浸漬槽から前記潤滑剤層形成前基板を引き上げて、前記潤滑剤層形成前基板の保護層上に均一な膜厚の潤滑剤層を形成して、実施例の磁気記録媒体を作製した。なお、潤滑剤層の平均膜厚は19.5Åであった。
【0067】
(シロキサン吸着量の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜4で製造した磁気記録媒体を、市販の磁気記録装置(2.5インチ型ハードディスクドライブ:例えば東芝社製MK1646GSX,回転数5400rpm)内のスピンドルモーターに固定した。装置内の空間にオクタメチルシクロテトラシロキサン50μLをマイクロシリンジにて滴下し、装置上部の蓋を閉めた後装置を起動した。室温で8時間稼動させることにより、シロキサンへの曝露操作を行った。その後、磁気記録媒体表面のシロキサンの吸着量を2次イオン質量分析計(SIMS:Oryx社製TTS−2000)によって調べた。なお、磁気記録媒体表面には曝露処理前であってもある程度の量のシロキサンが吸着しているため、磁気記録装置に組み込む前に予めSIMSにて吸着量を調べておき、曝露処理後に測定した吸着量との比を調べることでシロキサンの吸着能を測定した。
【0068】
【表1】

【0069】
(シロキサン吸着量の測定結果)
表1に示すように、比較例1〜4における曝露処理前後のシリコンの吸着量比(前後比:Y/X)は、1.5よりも大きかった。これに対して、実施例1〜6は、曝露処理前後のシリコンの吸着量比がいずれも1.5以下であった。
したがって、本発明に係る実施例1〜6は、炭素保護膜に対する潤滑剤の被覆率を高め、かつ、炭素保護膜表面の極性サイトを潤滑剤の官能基で消失させることができることを確認した。
【符号の説明】
【0070】
1…非磁性基板
2…磁性層
3…保護層
4…潤滑剤層
11…磁気記録媒体
101…磁気記録再生装置
123…媒体駆動部
124…磁気ヘッド
126…ヘッド移動部
128…記録再生信号処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層、潤滑剤層を有する磁気記録媒体の検査方法であって、
前記磁気記録媒体を、シロキサンを含む雰囲気に曝露し、
前記磁気記録媒体の表面への前記シロキサンの吸着量から当該磁気記録媒体の環境物質に対する耐性を検査することを特徴とする磁気記録媒体の検査方法。
【請求項2】
前記磁気記録媒体を回転させながら、前記シロキサンを含む雰囲気に曝露することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項3】
前記シロキサンが、オクタメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の検査方法。
【請求項4】
非磁性基板上に少なくとも磁性層、保護層、潤滑剤層を有する磁気記録媒体であって、
前記潤滑剤層は、極性の大きい官能基を骨格中に有する化合物を含有し、前記官能基と前記保護層の表面の官能基とが結合されており、
前記磁気記録媒体を2000rpm以上で回転させ、オクタメチルシクロテトラシロキサンを含む空気に大気圧で8時間曝露した後の、当該磁気記録媒体の表面のシロキサンの付着量が曝露前の1.5倍以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
前記潤滑剤層が、下記化学式(1)〜(5)から選ばれる化合物を単独又は2以上含むことを特徴とする請求項4に記載の磁気記録媒体。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

但し、下記化学式(1)〜(4)においては、その構造中に少なくとも1つ以上の(A)または(B)で表される末端官能基構造を有する。
また、上記化学式(5)中、xは1〜5の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基のいずれかであり、Rは末端基が−CHOH又は−CH(OH)CHOHのパーフルオロポリエーテル鎖である。ここでRのパーフルオロポリエーテル鎖は繰り返し単位として(CFCFO),(CFO),(CFCFCFO)のうち少なくとも1つ以上を含む。
【請求項6】
前記保護層が、炭素膜を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の磁気記録媒体。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
前記磁気記録媒体に情報の記録再生を行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体上に移動するヘッド移動部と、
前記磁気ヘッドからの記録再生信号の処理を行う記録再生信号処理部と、を備えることを特徴とする磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−218659(P2010−218659A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66736(P2009−66736)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】