説明

磁気記録媒体及び磁気記録媒体への磁気記録方法

【課題】銀行で使用されている磁気カードの保磁力を高めに設定する要請が、カードメーカや装置メーカに寄せられているが、現状では磁気特性の変更は実施されていない。本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、従来の読取り/書込み装置がそのまま使用でき、外部磁界に対して安全な、高保磁力磁気記録媒体及び記録媒体への書込み読取り方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部が形成された磁気記録媒体において、前記磁気記録部に形成された磁性層は、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成された磁気記録媒体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体及び磁気記録媒体への書込み読取り方法に関し、詳しくは、外部磁界の影響を受けにくい磁気記録媒体と、この磁気記録媒体への書込み読取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体は、例えば、オーディオ業界では音声記録用としてカセットテープやミニディスク、画像記録用としてビデオテープ等で、また、ビジネス分野では流通業界におけるクレジットカード、金融機関における銀行カード、交通機関における切符やプリペイドカード等で広く使用されている。
【0003】
現在流通している磁気記録媒体(以下、磁気カードともいう)は、ISO(International Organization for Standardization)及びJIS(Japan Industrial Standard)によって詳細な規格が定められており、カードメーカは、この規格に則ってカードを作製している。
また、JISでは金融機関で使用されている磁気カードについて、早くから外部磁界に対する影響に配慮して磁気カードに使用される磁気材料の保磁力を、オーディオ業界などで使用されている磁気記録媒体の保磁力の2倍以上に設定した。
しかしながら、磁気カードの磁気記録部に使用されている磁性体よりも保磁力が大きな磁気製品が日常で使用されているために、磁気カードに記録された磁気情報が消去されるトラブルが絶えない。
そこで、クレジットカード等に適用されている磁気記録部も、ISO規格で(JIS規格でも)見直しが行われ、ISO/IEC7811−6(1996年に制定)では、磁気カードの磁気記録部に使用される磁性材料は139kA/m(1750エルステッド)、または、218kA/m(2750エルステッド)の保磁力を有するものを使用することとした。
【0004】
上述のように、ISO/IEC7811−6で新しい規格が制定されても、市場では従来のカードが流通しており、保磁力が低い磁性体を使用した磁気カードが全て回収されて新しく入れ替えられない限り日常使用されている磁石によるトラブルは無くならない。
【0005】
一方、銀行で使用されている磁気通帳などは、銀行間における互換性を必要としないために、磁気記録部を低保磁力部と高保磁力部の積層構造とした磁気通帳が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、磁気記録部を低保磁力磁性層と高保磁力磁性層の2層構造とし、低保磁力磁性層に記録されたデータをダミーとして使用する方法等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−65603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
銀行で使用されている磁気カードの保磁力を高めに設定する要請が、カードメーカや装置メーカに寄せられているが、現状では磁気特性の変更は実施されていない。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、従来の読取り/書込み装置がそのまま使用でき、外部磁界に対して安全な、高保磁力磁気記録媒体及び記録媒体への書込み読取り方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の目的を達成するために、本発明の磁気記録媒体の第一の態様は、非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部が形成された磁気記録媒体において、前記磁気記録部に形成された磁性層は、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、第二の態様は、第一の態様において、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成された磁性層のカード基体側に、加圧により保磁力が変化しない磁性体による磁性層が更に形成されたことを特徴とするものである。
【0010】
また、第三の態様は、第一または第二の態様において、加圧は磁気記録装置の磁気ヘッドによって行われることを特徴とするものである。
【0011】
また、第四の態様は、第三の態様において、磁気ヘッドによる加圧の範囲は0.1〜10MPaであり、そのときに加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体の保磁力は非加圧時の85〜10%に低下することを特徴とするものである。
【0012】
また、第五の態様は、第一〜第四何れかの態様の磁気記録媒体への磁気記録方法であって、磁気記録は磁気記録媒体が磁気ヘッドに加圧された状態で行われることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
1)第一の態様のように、非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部が形成され磁気記録媒体において、前記磁気記録部に形成された磁性層は、加圧によって保磁力が低下し、加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成されたことによって、カード利用者は、ハンドバックの留め金や、事務用品の磁石、携帯電話などによる外部磁界に影響されないカードとして取り扱うことができる。また、カードを提供する側では、従来から使用されているATM等の読取/書込み装置がそのままの状態で利用できる。
また、カードメーカは各種カード規格を満足する安全なカードとして供給することができる。
2)また、第二の態様のように、第一の態様において加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成された磁性層のカード基体側に、加圧により保磁力が変化しない磁性体による磁性層が更に形成されたことにより、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成された磁性層を磁気シールド層として扱うことができる。
3)また、第三の態様のように、第一または第二の態様において、加圧は磁気記録装置の磁気ヘッドによって行われることによって、従来から使用されているATM等の読取/書込み装置がそのまま利用できる。
4)また、第四の態様のように、第三の態様において、磁気ヘッドによる加圧の範囲は0.1〜10MPaであり、そのときに加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体の保磁力は非加圧時の85〜10%に低下することによって、カード利用者は、ハンドバックの留め金や、事務用品の磁石、携帯電話などによる外部磁界に影響されないカードとして取り扱うことができ、サービスを提供する側では従来から使用されているATM等の読取/書込み装置がそのまま利用できる。
5)また、第五の態様のように、第一〜第四何れかの態様の磁気記録媒体の磁気記録方法であって、磁気記録は磁気記録媒体が磁気ヘッドに加圧された状態で行われることによって、サービスを提供する側では従来から使用されているATM等の読取/書込み装置がそのまま利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の磁気記録媒体及び磁気記録媒体への磁気記録方法の一例について説明するための図である。
【図2】図1のA−A線断面の一例について説明するための図である。
【図3】図1のA−A線断面の他の一例について説明するための図である。
【図4】加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体による磁気記録部の磁気記録時の保磁力及び出力特性について説明するための図である。
【図5】加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体のシールド効果の一例について説明するための図である。
【図6】磁気記録部の電磁変換特性について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本実施形態の磁気記録媒体及び磁気記録媒体への磁気記録方法の一例について説明する。
多くの磁気カード(磁気記録媒体)1は、図1に示すように、非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部2が形成され、磁気記録部が形成された面と同一面に「ABC銀行 キャッシュカード」のようなカード名やロゴ等の印刷情報3が形成されている。また、磁気記録部が形成された面と同一面に「123−0−456789」のようなエンボス文字等によるカード情報4が形成されている。
磁気記録部2は、カードデザインなどによって隠され、磁気記録部の存在が視認できないようになっている場合もある。このようなカードをJIS II型カードと称し、銀行のキャッシュカードなどに使用されている。
【0016】
図示しないが、前述のJIS II型カードとは異なり、非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部が形成され、磁気記録部が形成された面と逆面にカード名やロゴ等の印刷情報が形成され、エンボス文字等によってカード情報が形成されている磁気カードが使用されている。このようなカードをJIS I型カードと称し、クレジットカードや日本以外の銀行カードなどに使用されている。
JIS I型カードの多くは、磁気記録部はJIS II型カードより幅が広く、磁性材料がむき出しで形成されている。
【0017】
図2を参照して、図1のA−A線断面の一例について説明する。
本実施形態の磁気カード1のカード基体100は、コアシート12の両面にカバーシート11,12が積層され、カバーシート11の表出面上に磁性層2が形成され、多くは、カバーシート11と磁性層2の表出面が同じ高さになっている。
図示しないが、前述のように磁性層2の表出面がカードデザインなどによって隠され、磁気記録部の存在が視認できないようになっている場合もある。
図1で説明した印刷情報3は、通常コアシート12の表面に印刷され、印刷面を保護するためにカバーシート11を貼り合わせる。
裏面の印刷も同様、通常コアシート12の裏面に印刷され、印刷面を保護するためにカバーシート13を貼り合わせる。
【0018】
ここで、本実施形態の磁気記録媒体への磁気記録方法の一例について説明する。
磁性層2は、加圧によって保磁力が低下し、加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成されている。図示しないが、磁気記録装置に磁気カード1が挿入され、磁気記録装置内のカード搬送ローラで磁気カード1が搬送されると、磁性層2の表出面に磁気記録ヘッドが接触し、接触圧1〜2Mpaで加圧しながら磁気情報を記録して行く。
磁性層2は磁気記録ヘッドが接触した瞬間、磁性体の保磁力が加圧により25〜22%に低下し、低下した保磁力の状態で磁気記録が行われる。
磁気カードに形成された磁性体は、磁気記録を終えて磁気カードが磁気ヘッドの加圧状態から開放された瞬間に元の保磁力に復帰して磁気記録装置から外に排出される。
磁気カードは磁気記録装置に挿入される前、および、磁気記録装置から排出された後は高い保磁力を有する磁気カードとして取り扱われる。
【0019】
図3を参照して、図1のA−A線断面の他の一例について説明する。
本実施形態の磁気カード1のカード基体100は、コアシート12の両面にカバーシート11,12が積層され、カバーシート11の表出面上に磁性層2及び磁性層21が形成され、多くは、カバーシート11と磁性層2の表出面が同じ高さになっている。
図示しないが、前述のように磁性層2の表出面がカードデザインなどによって隠され、磁気記録部の存在が視認できないようになっている場合もある。また、磁性層2はカード全面に塗布されていてもよく、磁気記録部の遮蔽層としての役割を持たせてもよい。
図1で説明した印刷情報3は、通常コアシート12の表面に印刷され、印刷面を保護するためにカバーシート11を貼り合わせる。
裏面の印刷も同様、通常コアシート12の裏面に印刷され、印刷面を保護するためにカバーシート13を貼り合わせる。
【0020】
磁性層2は、加圧によって保磁力が低下し、加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成されている。また、磁性層21は、加圧により保磁力が変化しない磁性体で構成されている。
磁気記録装置に磁気カード1が挿入され、磁気記録装置内のカード搬送ローラで磁気カード1が搬送されると、磁性層2の表出面に磁気記録ヘッドが接触し、接触圧0.1〜10Mpaで加圧されながら磁気情報が記録されて行く。
磁性層2は磁気記録ヘッドが接触した瞬間、磁性体の保磁力が加圧により85〜10%に低下し、低下した保磁力の状態で磁性層2の裏側(コアシート12側)に形成された加圧により保磁力が変化しない磁性層21に磁気記録が行われる。
磁気カードに形成された磁性層2は、磁気記録を終えて磁気カードが磁気ヘッドの加圧状態から開放された瞬間に元の保磁力に復帰して磁気記録装置から外に排出される。
【0021】
加圧により保磁力が変化する磁性体による磁性層2は、磁性層21に比べ低保磁力で形成され、磁性層21に対して磁気シールド層としての役割を果たす。
磁気カードは磁気記録装置に挿入される前、磁気記録装置から排出された後は磁気シールド性を有する磁気カードとして取り扱われる。
【0022】
図4、図6を参照して、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体による磁気記録部の磁気記録時の保磁力及び出力特性について説明する。図6において、縦軸は、(再生出力電圧/基準せん頭出力電圧)×100で、横軸は、(印加磁界/基準磁界)×100である。
以下、保磁力「1」Oeは「0.0793」kA/mであるが、以下の説明では、保磁力「1」Oeを「0.08」kA/mで説明する。
図4に示す表1の比較例1は、保磁力が52kA/m(650Oe)で加圧により保磁力が変化しない磁性体により磁性層が形成された磁気カードである。
また、比較例2は、保磁力が220kA/m(2750Oe)で加圧により保磁力が変化しない磁性体により磁性層が形成された磁気カードである。
また、実施例は、加圧前は保磁力が220kA/m(2750Oe)で1MPaの力で加圧すると保磁力が52kA/m(650Oe)に低下する磁性体で磁性層が形成された磁気カードである(加圧から開放されたときには、保磁力が220kA/mに復帰する)。
ここで、比較例1や比較例2などに使用される磁気カードには、加圧により保磁力が変化しない磁性体が使用されているが、厳密には多少保磁力が低下するものもある。
しかし、本実施形態の「加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体」に比べると、その変化の大きさは微小なものであるために、ここでは、「保磁力が変化しない磁性体」と記載している。
【0023】
比較例1,2及び実施例の磁性層は、何れも残留磁束(φr)が1.5×10nWb/cm(1.5Mx/cm)であった。
また、図6に示すピーク時の80%を示す記録電流値は、表中には記載していないが、比較例1では30mA、比較例2では150mA、実施例では30mAであった。
JISでは、図6に示す矩形6の枠内で記録し、その出力信号電圧5は、矩形6の枠内に入らなければならないことに定められており、前記ピーク時の80%を示す前記記録電流値から比較例1,実施例の最適書込み電流値を105mA、比較例2の最適書込み電流値を525mAとした。前記最適書込み電流値は何れも、ピーク時の80%を示す前記記録電流値の3.5倍の電流値となっている。
【0024】
磁気読取り/書込み装置によって、前記書込み電流で各磁気カードにオール「1」信号を書き込み、出力波形を測定した結果、出力電圧は表1の「磁気出力」の「記録時」の欄に記載の通りであった。
次に、それぞれの記録部の表面を保磁力80kA/m(1000Oe)の永久磁石で2往復なぞって、再度磁気読取り/書込み装置によって出力波形を測定した。
測定結果は、表1に示す通りで、比較例1の磁気カードからは出力は得られなかった。
また、比較例2の最適書込み電流値(保磁力220kA/mの磁気カードの最適書込み電流値525mA)で記録した磁気カードからと、実施例の低保磁力用書込み電流値(保磁力52kA/mの磁気カードの最適書込み電流値105mA)で記録した磁気カードからは正常な出力(5V)が得られ、何れの磁気カードにも出力の低下は見られなかった。
つまり、比較例1は、105mAで良好に記録できるが磁石で消磁してしまい、情報を読み出せず、比較例2は磁石による消磁こそ起こらないが、良好に記録するには高電流値525mAが必要であった。低記録電流で記録でき、磁石による消磁も起こらないものは実施例のみであった。
【0025】
図5、図6を参照して、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体(以下、この磁性体による磁性層をシールド層ともいう)のシールド効果の一例について説明する。
比較例1,2には図2で説明したシールド層が無い磁気カードの例である。実施例は図3で説明したシールド層を設けた磁気カードの例である。
【0026】
比較例1,2及び実施例の磁気カードに図4で説明した磁気読取り/書込み装置によって、前記書込み電流で各磁気カードにオール「1」信号を書き込み、出力波形を測定した。
その結果は、表2の「磁気出力」の「記録時」の欄に記載の通りであった。
次に、それぞれの記録部の表面を保磁力80kA/m(1000Oe)の永久磁石で2往復なぞって、再度磁気読取り/書込み装置によって出力波形を測定した。
測定結果は、出力電圧は表2に示す通りで、比較例1の磁気カードからは出力波形は得られなかった。
また、比較例2の最適書込み電流値(保磁力220kA/mの磁気カードの最適書込み電流値525mA)で記録した磁気カードからと、実施例の低保磁力用書込み電流値(保磁力52kA/mの磁気カードの最適書込み電流値105mA)で記録した磁気カードからは正常な出力(5V)が得られ、何れの磁気カードにも出力の低下は見られなかった。
つまり、比較例1は、105mAで良好に記録できるが磁石で消磁してしまい、情報を読み出せず、比較例2は磁石による消磁こそ起こらないが、良好に記録するには高電流値525mAが必要であった。低記録電流で記録でき、磁石による消磁も起こらないものは実施例のみであった。
【0027】
磁気ヘッド圧の測定装置及び測定条件について説明する。
磁気ヘッド圧力の測定には、磁気カード(カード基体の厚さは、0.76mm)の磁気記録部が形成された面に富士写真フィルム株式会社製のプレスケールLLW(極低圧用)を貼り付け測定した。前記プレスケールの発色部を富士写真フィルム株式会社製プレスケール専用濃度計FPD−305、富士写真フィルム株式会社製プレスケール専用圧力換算機FPD−306で測定し、圧力値を求めた。なお、本実施形態で使用した磁気読取り/書込み装置の磁気ヘッド圧力は1MPaであった。
【0028】
(材料)
以下、本実施形態の磁気記録媒体に使用される材料について説明する。
1)カード基体に使用される材料例。
例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂(PETG)、ポリ乳酸樹脂、トリアセテート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック類、アルミニウム等の非鉄金属、紙等から適宜選択して使用する。
2)加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体に使用される材料例。
例えば、γ−Fe23、Co被着Fe23、Fe34、Co−Cr、Co−Ni、Baフェライト、Srフェライト等公知の磁性粉を溶剤により溶解された結合剤中に分散させて磁性体を形成する。
3)結合材に使用される材料例。
ブチラール樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合体樹脂等から適宜選択して使用する。また、必要に応じてニトリルゴム等のゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマー等を添加することができる。また、磁性材料分散材として、必要に応じ、界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、カーボン等の顔料を添加する。
【0029】
(磁性層の形成)
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等、耐熱・耐溶剤性フィルムに、グラビアコーター、ロールコーター、ナイフエッジコータ等の公知の塗布装置により塗布する。
塗布装置内で、磁気材料を配向する場合は、例えば、永久磁石の間、ソレノイドコイルの中を通過させ配向した後、乾燥装置を通過させて塗料を乾燥させる。
また、高抗磁力の磁性材料を用いて、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法等により形成することもできる。
前述の方法でキャリアフィルム上に塗布された磁性層は、キャリアフィルムと共に所定の幅にスリットされて、熱転写等の方法で、カード基体(カバーシート)に転写される。
【産業上の利用可能性】
【0030】
外部磁界の影響を受け難くした、例えば、金融機関で使用されている磁気カード、流通業界で使用されているクレジットカード等に利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1,10 磁気記録媒体
2 磁気記録部、磁性層
3 印刷情報
4 カード情報
5 出力信号電圧5
6 矩形
11,13 カバーシート
12 コアシート
21 加圧により保磁力が変化しない磁性体による磁性層
100 カード基体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料によるカード基体上に磁気記録部が形成され磁気記録媒体において、
前記磁気記録部に形成された磁性層は、加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気記録媒体において、
加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体で構成された磁性層のカード基体側に、加圧により保磁力が変化しない磁性体による磁性層が更に形成されたことを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の磁気記録媒体において、加圧は磁気記録装置の磁気ヘッドによって行われることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気記録媒体において、磁気ヘッドによる加圧の範囲は0.1〜10MPaであり、そのときに加圧によって保磁力が低下し加圧から開放されたときに元の保磁力に復帰する磁性体の保磁力は非加圧時の85〜10%に低下することを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項5】
請求項1〜4何れかに記載の磁気記録媒体への磁気記録方法であって、
磁気記録は磁気記録媒体が磁気ヘッドに加圧された状態で行われることを特徴とする磁気記録媒体への磁気記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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