説明

磁気誘導装置

【課題】対象物内部の磁性体を装着した被誘導部材を磁気誘導することができるとともに、誘導用磁界や被誘導部材に装着された磁性体の影響を受けることなく、リアルタイムに被誘導部材の位置や方向の情報を得ることができる磁気誘導装置を提供する。
【解決手段】対象物内部に導入された磁性体を備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるための電流を供給する電流供給手段と、磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物内部に導入した被誘導部材を、外部磁界により誘導する磁気誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体を備えた器具(被誘導部材)を対象物内部に導入し、これらの器具を磁気的に誘導する磁気誘導装置は、古くは1960年代の米国から近年までさまざまな形で提案されている(特許文献1〜4)。
【0003】
このような磁気誘導装置は、被誘導部材が磁性体を備えているという簡単な構造で、ワイヤレスで被誘導部材を制御でき、被誘導部材の方向制御だけでなく被誘導部材に駆動力も与えることができるといった点で、他のアクチュエータでは実現が困難な優れた特長がある。
【0004】
磁気誘導装置は、被誘導部材を誘導するという観点からすると次の2つ以上に分けることができる。そのうちの一つは、固定された一個以上の磁気発生部(例えば複数のコイル)を使用したものであって、磁気発生部で発生する磁気の強さを変化させる装置である。もう一つは、磁気発生部の位置を変化させることによって被誘導部材に作用させる磁界を変化させる装置である。
【0005】
磁気発生部が固定された磁気誘導装置では、可動部がないために操作者及び患者が安心感を得られ、かつ、安全性が高いという利点がある。一方、磁気発生部を可動させる装置は、固定された磁気発生部による装置と比較して、使用する磁気発生部が少なくて済むことや、状況に応じて、被誘導部材にできるだけ近づけることが可能なために、省エネルギー、装置の低コスト化、及び装置の軽量化が期待できる。
【0006】
一方、磁気発生部の構造という観点からすると、磁気発生部として空芯コイルを使用する場合と、鉄等の磁性体を挿通したコイルを使用する場合と、に大別することができる。
【0007】
磁気発生部として空芯コイルを使用した場合には、比較的軽量な装置で均一な磁界が発生でき、コイル電流と発生磁界がほぼ完全な比例関係にあるために磁界の制御が容易である、という利点がある。
【0008】
一方、磁気発生部として鉄等の磁性体を挿通したコイルを使用した場合は、鉄等の磁性体があるために、磁界の発生効率が著しく高くなるという利点がある。さらに、2つの磁極のギャップの反対側を磁性体で連結すると、ギャップ方向の反対側の磁極面がなくなるため、さらに発生磁界の効率を高めることができ、漏れ磁束を著しく低減できるという利点がある。
【0009】
このように、対象物内部の被誘導部材を磁気的に誘導する磁気誘導装置は様々な形態のものが考えられるが、近年、被誘導部材を精度よく誘導するために、いずれの形態のものについても被誘導部材の位置や方向を検出する装置と併用されることが多くなりつつある。従来は、被誘導部材の位置や方向を検出する装置として、X線を用いた画像診断装置(X線画像診断装置)が用いられることが多かった。
【特許文献1】米国特許第3358676号明細書
【特許文献2】特開2001−179700号公報
【特許文献3】特開2002−233575号公報
【特許文献4】特開2004−105247号公報
【特許文献5】特開2004−213620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、磁気誘導装置とX線画像診断装置とを併用する場合には、両装置のレイアウト上の制限のために、装置が大型化したり、性能がお互いに制限されたりするという問題があった。さらに、X線画像診断装置では、操作者や対象物(例えば患者)へのX線の被爆の問題があった。このため、被誘導部材の位置や方向を検出する装置としては、X線画像診断装置以外の装置が求められつつある。
【0011】
また、被誘導部材として内視鏡を、被誘導部材の位置や方向を検出する装置としてX線画像診断装置を、それぞれ用いた場合、X線画像診断装置から得られる位置や方向の情報からだけでは、内視鏡による画像における位置や方向が特定できなかった。このため、内視鏡による画像を見ても、すばやく確実に、内視鏡の画像に基づいた誘導を行うことが困難であるという問題があった。
【0012】
X線画像診断装置以外の被誘導部材の位置や方向の検出装置としては、位置及び方向検出用に設けた外部のコイルで発生した磁界、及び、被誘導部材を誘導させるために作用させる磁界を、磁気センサで検知する装置(例えば特許文献5に示すようなモーションキャプチャセンサ装置)や、対象物内部の磁性体から発生する磁界を外部の磁気センサで検知する装置(例えば特許文献2)がある。
【0013】
しかし、位置及び方向検出用に設けた外部のコイルから発生した磁界を磁気センサで検知する装置を使用する場合は、被誘導部材に装着されている磁性体自体が、その近傍に大きな磁気を作用させるため、外部のコイルからの磁界のみを分離して検出することは困難であった。さらに、磁気誘導装置により、被誘導部材を誘導するための大きな磁界が外部から作用しているために、位置や方向を検出するための磁界のみを分離して検出することがさらに困難であった。また、外部磁界に応じて被誘導部材自体が大きく動いてしまうため、リアルタイムで外部磁界と被誘導部材との位置関係を特定することが難しく、リアルタイムでの方向の検出も困難であった。
【0014】
一方、対象物内部の被誘導部材に装着した磁性体の磁気を外部に設けた磁気センサで位置を検出する場合は、誘導を行っているときには、被誘導部材誘導用の大きな磁界が発生しているので、被誘導部材誘導用の磁界と被誘導部材に装着した磁性体からの磁界との分離を行うことが難しく、やはり、誘導を行いながらの、リアルタイムでの位置や方向の検出が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体を備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるための電流を供給する電流供給手段と、磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるための電流を供給する電流供給手段と、磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を機械的に変位させる手段と、磁気センサが検知する信号を、フィルタを用いて、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材に設けられた磁気シールドの磁気遮蔽効果を変化させる手段と、磁気センサが検知する信号を、フィルタを用いて、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0019】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を構成する磁気回路の磁気抵抗を変化させる手段と、磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させる磁界発生部材と、磁気センサが検知する信号を、フィルタを用いて、周波数および位相の違いから検知する検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる交流磁界を発生させるための交流電流を供給する電流供給手段と、磁気センサが検知する信号を、位相検波するための位相検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0022】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を機械的に振動させる手段と、磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材に設けられた磁気シールドの磁気遮蔽効果を変調させる手段と、磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0024】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、対象物外部に配置され、磁気誘導部材に対して、被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を構成する磁気回路の磁気抵抗を変調させる手段と、磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【0025】
また、本発明の磁気誘導装置は、対象物内部に導入された磁性体またはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、被誘導部材に備えられた磁気センサと、対象物外部に配置され、被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる交流磁界を発生させる交流磁界発生部材と、磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、を備え、検波器による検出結果に基づいて被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、対象物内部の磁性体を装着した被誘導部材を磁気誘導することができるとともに、誘導用磁界や被誘導部材に装着された磁性体の影響を受けることなく、リアルタイムに被誘導部材の位置や方向の情報を得ることができる。このため、被誘導部材の制御性が向上し、より安全な誘導を行うことが可能になる。さらに、被誘導部材の位置や方向の情報を得るための放射線診断装置を使用する頻度を低減することができるために、対象物や操作者への放射線被爆を低減することができる。
【0027】
また、被誘導部材に磁性体を備えた内視鏡を使用する場合は、磁気による動力を用いて、屈曲だけでなく推進力を得ることができるため、内視鏡にワイヤーなどによる有線の屈曲機構を備える必要がなくなり、内視鏡を微細化できる。したがって、従来内視鏡を導入することが困難であったために観察や治療ができなかった部位にも内視鏡を挿入できる。さらに、磁気センサを内視鏡に備えることにより、内視鏡の位置及び向いている方向を確定させることができる。このため、内視鏡の画像に基づいて誘導方向を指定することにより、容易に磁気誘導を行うことができる。
【0028】
また、位置や方向を検出するための交流磁界の大きさを、被誘導部材が微振動する程度の大きさにすれば、この振動の効果で、被誘導部材と被誘導部材が接する面との接触抵抗を低減させることができ、被誘導部材の誘導補助の効果も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明にかかる実施形態を図面を参照しつつ詳しく説明する。本実施形態に係る磁気誘導装置は、3軸の平行配置空芯コイル(磁気誘導部材)10、電源(交流電流供給手段)20A、位相検波器30、内視鏡4(被誘導部材)、及び、磁気センサ6、を有する。
【0030】
平行配置空芯コイル10は、Z軸方向(鉛直方向)(図1の上下方向)、並びに、Z軸方向に直交する水平面内で互いに直交するX軸方向(図1の左右方向)及びY軸方向に、それぞれ2つずつ配置された空芯コイルからなる。すなわち、X軸方向において互いに平行に配置されたX軸方向コイル111及びX軸方向コイル112、Y軸方向において互いに平行に配置されたY軸方向コイル121及びY軸方向コイル122、並びに、Z軸方向において互いに平行に配置されたZ軸方向コイル131及びZ軸方向コイル132により、平行配置空芯コイル10は構成される。
【0031】
X軸方向コイル111、112、Y軸方向コイル121、122、Z軸方向コイル131、132は、それぞれ絶縁皮膜された銅線が多層に巻かれることで構成された空芯コイルであって、例えば、直方体状のフレーム(不図示)の各面にそれぞれが固定されることによって、3軸の平行配置空芯コイル10を構成する。
【0032】
X軸方向コイル111、112、Y軸方向コイル121、122、Z軸方向コイル131、132には、電源211、212、221、222、231、232がそれぞれ接続されている。これらの電源は、接続されている制御装置55の制御のもと、互いに独立して作動する。よって、X軸方向コイル111、112、Y軸方向コイル121、122、Z軸方向コイル131、132に印加される電流は互いに独立している。
【0033】
電源212、222、232(電源20B)は、X軸方向コイル112、Y軸方向コイル122、Z軸方向コイル132に対して、内視鏡4を誘導するための電流をそれぞれ印加する。これに対して、電源211、221、231(電源20A)は、X軸方向コイル111、Y軸方向コイル121、Z軸方向コイル131に対して、内視鏡4を誘導するための電流(主電流)に所定の交流電流(重畳交流電流)を重畳した電流をそれぞれ印加する。
【0034】
制御装置55には入力装置としてのジョイスティック60が接続されている。操作者がこのジョイスティック60を操作することにより、所望の内視鏡4の方向や位置を、ジョイスティックからの電圧信号として、制御装置55に、入力することができる。なお、入力装置は、ジョイスティックのほかに、マウス、キーボードなどを用いることができる。
【0035】
電源211、221、231に重畳される交流電流の周波数は、互いに異なるように設定され、例えば、電源211に重畳する交流電流の周波数を7Hz、電源221に重畳する交流電流の周波数を13Hz、電源231に重畳する交流電流の周波数を20Hzとすることができる。
【0036】
電源211、221、231に重畳する交流電流の振幅は、内視鏡4を誘導するための主電流よりも小さいことが好ましく、例えば主電流として最大供給できる電流の200分の1とすることができる。
【0037】
内視鏡4は、磁性体5と磁気センサ6を備えている。磁性体5は、内視鏡4の先端部の外周上に装着されている。磁気センサ6は、内視鏡4に接続された画像表示装置41(例えばディスプレイと画像処理装置)に表示される内視鏡の画像において、左から右に向かう方向に対応する方向に磁気の検知面が向くように、内視鏡4の先端部に内蔵されている。このように配置された磁性体5、磁気センサ6は、X軸方向コイル111、112、Y軸方向コイル121、122、Z軸方向コイル131、132で囲まれる空間内に配置される。磁性体5としては、例えば、純鉄、鉄合金のほか、プラチナマグネット、希土類磁石、金属磁石などの磁石を使用することができる。磁気センサ6は、1軸のセンサであって、例えば、寸法が数十ミクロン単位で、ダイナミックレンジが大きく、応答速度が少なくとも数百Hz以上あることが知られているホール素子を用いることができる。
【0038】
磁気センサ6は、内視鏡4を磁気誘導するための大きな磁界、内視鏡4に装着された磁性体5が発生する磁界、及び、位置検出のために電源20Aに重畳された交流電流によって発生する微弱な交流磁界を検出することができる。磁気センサ6から出力された検出信号は、これに接続されたセンサ信号増幅器42で増幅される。
【0039】
位相検波器31、32、33(位相検波器30)は、電源211、221、231にそれぞれ接続されており、電源211、221、231がX軸方向コイル111、Y軸方向コイル121、Z軸方向コイル131へ出力する重畳交流電流と同期した電圧信号(参照信号)が入力される。さらに、この位相検波器31〜33は、センサ信号増幅器42を介して磁気センサ6に接続されており、磁気センサ6から出力された検出信号が入力される。磁気センサ6からの信号は、センサ信号増幅器42で増幅された後に、T字型や十字型の分配器(不図示)を介して、同じ信号が、位相検波器31、32、33に供給される。
【0040】
つづいて、内視鏡の位置及び方向の検知について、図2及び図3を参照しつつ説明する。なお、図2のa〜eは図3のa〜eに対応する。内視鏡4の位置及び方向の検出は、位相検波器31〜33に入力された信号のうち、参照信号と同期した信号だけを取り出して、これを増幅(位相検波増幅)することにより行う。検出はフィルタを用いて周波数および位相の違いから検知することもできる。
【0041】
以下の説明は、参照信号として、電源211から位相検波器31に7Hzの交流電流に同期した電圧信号を、電源221から位相検波器32に13Hzの交流電流に同期した電圧信号を、電源231から位相検波器33に20Hzの交流電流に同期した電圧信号を、それぞれ供給した場合について行う。
【0042】
位相検波器31〜33は、入力した信号のうち、それぞれ参照信号と同期した成分だけをそれぞれ位相検波増幅し、平滑化された直流電圧信号(出力電圧信号)Vs1,Vs2,Vs3をそれぞれ、制御装置55に供給する。この位相検波器31〜33からの出力信号は、磁気センサ6のある位置におけるそれぞれの交流磁界ベクトルと磁気センサ6の検知面を垂直に貫く単位方向ベクトルとの内積となっている。
【0043】
磁気センサ6の検知面を垂直に貫く単位方向ベクトルを(Lx,Ly,Lz)(直交座標系)とし、7Hzの参照信号で位相検波して得られた出力電圧信号Vs1を磁界に換算したものをHs1、13Hzの参照信号で位相検波して得られた出力電圧信号Vs2を磁界に換算したものをHs2、20Hzの参照信号で位相検波して得られた出力電圧信号Vs3を磁界に換算したものをHs3とし、X軸方向コイル111に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H11、H12、H13)、Y軸方向コイル121に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H21、H22、H23)、Z軸方向コイル131に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H31、H32、H33)とすると、次の3式(式1)が成り立つ。
s1=H11x+H12y+H13z
s2=H21x+H22y+H23z
s3=H31x+H32y+H33z
【0044】
ここで、関数H11からH33は、それぞれが位置座標(X,Y,Z)の関数であるが、これは、あらかじめ計算や実測によって求めておくことができる。これらの関数は、基本的に、被誘導部材を誘導するための主磁界に依存しない。
【0045】
s1、Hs2、Hs3は実測値であるので、任意の(X,Y,Z)の組み合わせについて、上式の連立方程式を解けば、Lx、Ly、Lzが求まる。ただし、Lx、Ly、Lzは単位ベクトルであるので、次式(式2)が成立する必要がある。
x2+Ly2+Lz2=1
【0046】
そこで、例えば、被誘導部材を誘導することを想定している最大限の領域について、XとYとZ方向にそれぞれ3分割した、27個のブロック領域の中心点の座標について式1を解き、その結果の中で、Lx2+Ly2+Lz2の値が最も1に近づく点を選び、この点を中心とした、前回の計算領域よりも小さな領域で同様に27個のブロック領域に分割してその中心点での座標での計算を行う、といった操作を、誘導制御を行うのに十分な範囲に収束するまで繰り返すことにより、高い精度で、磁気センサ6の位置座標(X,Y,Z)及び方位(Lx,Ly,Lz)を求めることができる。
【0047】
以上の計算は、位相検波増幅器3の出力電圧信号Vs1、Vs2、Vs3が、制御装置55に供給されると、制御装置内のAD変換器を介してデジタル信号に換算された後、Hs1、Hs2、Hs3の値に換算され、さらに上述のアルゴリズムによって計算することにより求めることができるが、収束させるのに例えば10回の繰り返し計算を行うとしても、わずかに270回の一次3連の連立方程式を解くほどの演算に過ぎない。さらに、前回の位置が判明している場合には、位置の計算走査を行う範囲を前回の位置の近くの一定範囲に限定することにより、計算時間を短縮することもできる。
【0048】
次に、磁気センサ6の存在する位置の座標(X0,Y0,Z0)および磁気センサ6の方位を示す座標(Lx0、Ly0、Lz0)を求めるアルゴリズムを示す図2及び図3に基づいて、内視鏡の位置及び方向の検知の流れについて説明する。
【0049】
まず、磁気センサ6で検知され、位相検波器31〜33で位相検波して得られた出力電圧を磁界に換算した値を制御装置55に入力する(ステップS1)。以下の演算は制御装置55で行う。
【0050】
つづいて、初期値として、Xs、Ys、Zsをそれぞれ0に、εminを100に設定し、Xm、Ym、ZmをXmax、Ymax、Zmaxにそれぞれ設定する(ステップS2)。Xmax、Ymax、Zmaxは、位置検出を行う走査範囲の最大値の1/2である。次に、Xを−Xm+Xsに(ステップS3)、Yを−Ym+Ysに(ステップS4)、Zを−Zm+Zsに(ステップS5)、それぞれ設定する。
【0051】
さらに、H11、H12、H13、H21、H22、H23、H31、H32、及びH33を、f1(X,Y,Z)、f2(X,Y,Z)、f3(X,Y,Z)、f4(X,Y,Z)、f5(X,Y,Z)、f6(X,Y,Z)、f7(X,Y,Z)、f8(X,Y,Z)、及びf9(X,Y,Z)に、それぞれ設定する(ステップS6)。f1〜f9は、あらかじめ計算や実測によって求められる位置座標の関数である。
【0052】
以上のように設定されたH11、H12、H13、H21、H22、H23、H31、H32、H33、並びに、HS1、HS2、HS3と、式1を用いて、(Lx,Ly,Lz)を算出する(ステップS7)。
【0053】
次に、ステップS7で算出した(Lx,Ly,Lz)について、|Lx2+Ly2+Lz2−1|を算出し、その値をεに入力する(ステップS8)。このεがεminよりも小さいとき(ステップS9でYES)は、εmin、X0、Y0、Z0、Lx0、Ly0、Lz0を、ε、X、Y、Z、Lx、Ly、Lzに、それぞれ設定し(ステップS10)、εがεminと同一又はεminより大きいとき(ステップS9でNO)は、εmin、X0、Y0、Z0、Lx0、Ly0、Lz0の値を維持する。
【0054】
つづいて、Zを、Z+Zmに設定し(ステップS11)、このZがZm+Zsと同一又はZm+Zsより小さいとき(ステップS12でNO)は、ステップS6にもどる。これに対して、ZがZm+Zsより大きいとき(ステップS12でYES)は、Yを、Y+Ymに設定する(ステップS13)。
【0055】
次に、YがYm+Ysと同一又はYm+Ysより小さいとき(ステップS14でNO)は、ステップS5にもどる。これに対して、YがYm+Ysより大きいとき(ステップS14でYES)は、Xを、X+Xmに設定する(ステップS15)。
【0056】
さらに、XがXm+Xsと同一又はXm+Xsより小さいとき(ステップS16でNO)は、ステップS4にもどる。これに対して、XがXm+Xsより大きいとき(ステップS16でYES)は、Xs、Ys、Zs、Xm、Ym、ZmをX0、Y0、Z0、Xm/2、Ym/2、Zm/2に設定する(ステップS17)。
【0057】
次に、XmとXmax/29を比較して、Xmax/29と同一又はXmax/29より大きいとき(ステップS18でNO)は、ステップS3にもどる。一方、XmがXmax/29より小さいとき(ステップS18でYES)は、X0、Y0、Z0、Lx0、Ly0、Lz0を出力(例えば画像表示装置41に表示)して(ステップS19)、動作を終了する。
【0058】
以上の計算結果を利用することにより、内視鏡の画像を基準とした方位での内視鏡の誘導の指定に対して、6つのコイルのコイル電流を制御することが可能となる。例えば、内視鏡4に装着されている磁性体5が同心円柱パイプ状永久磁石であり、着磁方向が円柱の軸方向で、内視鏡の先端がN極、反対側がS極であるとき、Xコイル左が3軸コイルの内側から見てS極となり、Xコイル右が3軸コイルの内側から見てN極となり、他のコイルに印加する主電流を0とすれば、内視鏡4の先端が、X軸方向コイル111に正対するような向きに内視鏡4に装着された磁性体5に磁気トルクは作用する。このとき、上述した位置と方向の検出方法によって、磁気センサ6の方位が(0、−1、0)であったとすると、磁気センサ6の方位と内視鏡4の先端の方位は常に一定の関係があるので、ただちに内視鏡4の先端の方位は必然的に(−1、0、0)であることがわかり、まさに内視鏡4の先端がX軸方向コイル111に正対していることが確認できる。
【0059】
このとき、内視鏡の方位を、画像表示装置41上の画像において右方向に回転させたいときに、ジョイスティック60を右側に倒せば、制御装置55は、磁気センサ6の方位の情報から直ちに、Y軸方向コイル121が3軸コイルの内側から見てN極になり、Y軸方向コイル122が3軸コイルの内側から見てS極になるようにそれぞれ主コイル電流を増加させ、またX軸方向コイル111、112に印加する電流を徐々に小さくするように制御することでこれを実現できる。
【0060】
さらに、位置情報(X0,Y0,Z0)によってさらに精密な方位制御や、磁気勾配による並進力を作用させる制御が可能となる。
【0061】
また、磁気トルクによる方位制御のみが重要な場合であれば、内視鏡の位置座標はあまり重要ではなく、内視鏡の方位情報が重要であって、なおかつ、対向するコイルは直列に接続されて、交流重畳電流も含めて同じ電源からコイル電流が供給され、被誘導部材が誘導される領域では極めて均一な磁界が発生している場合では、H11〜H33は定数になり、繰り返し計算をする必要なく、直接式1からLx、Ly、Lzを求めることができる。前述したモデルのようにコイルが直交座標の軸上にあるモデルでは、H12、H13、H21、H23、H31、H32がすべて0になるので、計算はより簡単になる。
【0062】
以下に変形例について説明する。
【0063】
位相検波器31〜33による位相検波増幅は、いわゆる2位相検波型とすることもできる。この場合、例えば、X軸方向コイル112用電源212に、X軸方向コイル111に重畳する交流電流と同じ周波数であって、90度位相の異なる交流電流を重畳する機構を備えさせ、同様に、Y軸方向コイル122用電源222に、Y軸方向コイル121に重畳する交流電流と同じ周波数であって、90度位相の異なる交流電流を重畳する機構を備え、さらに、Z軸方向コイル132用電源232に、Z軸方向コイル131に重畳する交流電流と同じ周波数であって、90度位相の異なる交流電流を重畳する機構を備えさせると、2位相検波型の位相検波器により得られる出力電圧信号を磁界に換算したHs1〜Hs6は、以下の6式(式3)を満たす。
s1=H11x+H12y+H13z
s2=H21x+H22y+H23z
s3=H31x+H32y+H33z
s4=H41x+H42y+H43z
s5=H51x+H52y+H53z
s6=H61x+H62y+H63z
【0064】
ここで、電源211からの参照信号から90度ずれた信号を位相検波して得られた出力電圧信号Vs4を磁界に換算したものをHs4、電源221からの参照信号から90度ずれた信号を位相検波して得られた出力電圧信号Vs5を磁界に換算したものをHs5、電源231からの参照信号から90度ずれた信号を位相検波して得られた出力電圧信号Vs6を磁界に換算したものをHs6としている。また、X軸方向コイル112に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H41、H42、H43)、Y軸方向コイル122に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H51、H52、H53)、Z軸方向コイル132に供給される交流電流による交流磁界の振幅ベクトルを(H61、H62、H63)としている。
【0065】
この場合、図2のステップS1でHs1〜Hs6を入力し、Hs1〜Hs6うちで、絶対値が大きいものから、式3の6つの方程式から、これと対応する3つの方程式を選んで、図2のステップS7に対応する方程式の解を求める計算を行うことにより、図2及び図3に示すのと同様のアルゴリズムで、内視鏡先端の方向と座標を求めることができる。この方法では、X軸方向コイル111およびY軸方向コイル121およびZ軸方向コイル131から遠い位置において、Hs1〜Hs3の値が小さくなるために、内視鏡先端の方向と位置の検出精度が低下するという問題を改善することができる。
【0066】
磁気センサ6は、ホール素子に代えて、例えば、交流磁界に対して感度の高いフラックスゲート、磁気によってインピーダンスが変化する素子、又は、磁気によって光学的特性が変化する(磁気光学的効果)素子を用いることができる。また、光ファイバと連結された磁気光学素子を用いることもでき、この場合は磁気センサ6に供給する電力や信号検知のための電気配線を省略できるという利点がある。
【0067】
内視鏡4は、画像データや磁気センサ6の信号を無線信号で伝送するカプセル型の内視鏡でもよい。
【0068】
上述の説明では、平行配置空芯コイル10において、内視鏡に動力を与えるための磁界と内視鏡の位置及び方向を検知するための交流磁界の両方を発生させるようにしていたが、位置や方位検出のための交流磁界発生コイル、及び、この交流磁界発生コイルに交流電流を供給する電源を、内視鏡誘導用の磁界を発生するコイル及びこのコイルに電流を供給する電源とは別に設けることもできる。
【0069】
さらに、上述の実施形態では、互いに直交する平行配置空芯コイルの場合について説明したが、コイルが平行配置でなくても、コイル間の角度が直交しなくても、同様の手法を用いて実施することができる。
【0070】
また、主磁場あるいは位置や方位検出のための交流磁界発生のために磁性体(例えば、純鉄、鉄合金、プラチナマグネット、希土類磁石、金属磁石などの磁石)を挿通したコイルを使用した場合にも、電流と発生磁界の関係の非線形性を補正した計算を加えることにより、同様の手法を用いて実施することができる。
【0071】
被誘導物の位置や方向を検出するための交流磁界を発生する手段としては、コイルに交流電流を供給することが一般的であるが、磁気誘導部材を微振動させるなどの機械的な操作を加えることで交流磁界を発生させてもよい。これは、例えばアーム機構などを利用してコイル111、121、131を微振動させることにより実現することができる。あるいは、例えば、磁気誘導部材の被誘導物側に設けた、一部が強磁性体からなる円板、を回転させるなど、磁気誘導部材に設けた磁気シールドの遮蔽効果に変調を加える(例えばコイルとセンサ間で遮蔽変調する)ことで交流磁界を発生させてもよい。あるいは、例えば、強磁性体からなる閉磁路構造の磁気発生部材を用いる場合に、ヨークの連結部に設けた空隙を機械的に周期的に変化させるなど、磁気誘導部材を構成する磁気回路の磁気抵抗に変調を加えることで交流磁界を発生させてもよい。
【0072】
上述の実施形態では、1軸の磁気センサを用いた場合について説明したが、2軸、3軸などの多軸の磁気センサを被誘導部材に装着してもよい。
【0073】
上述の実施形態では、位相検波器を用いて磁気センサからの信号を検波したが、フィルタ回路を使用して、磁気センサからの信号を検波しても良い。
【0074】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態にかかる磁気誘導装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる被誘導部材の位置や方向を求めるためのアルゴリズムの前半部分を示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートに続くアルゴリズムの後半部分を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
4 内視鏡(被誘導部材)
5 磁性体
6 磁気センサ
10 平行配置空芯コイル(磁気誘導部材)
20A 電源(交流電流供給手段)
20B 電源
30 位相検波器
31 位相検波器
32 位相検波器
33 位相検波器
111 X軸方向コイル
112 X軸方向コイル
121 Y軸方向コイル
122 Y軸方向コイル
131 Z軸方向コイル
132 Z軸方向コイル
211 電源
212 電源
221 電源
222 電源
231 電源
232 電源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるための電流を供給する電流供給手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項2】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を機械的に変位させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項3】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材に設けられた磁気シールドの磁気遮蔽効果を変化させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、フィルタを用いて周波数および位相の違いから検知する検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項4】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を構成する磁気回路の磁気抵抗を変化させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、フィルタを用いて周波数および位相の違いから検知する検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項5】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる磁界を発生させる磁界発生部材と、
前記磁気センサが検知する信号を、周波数および位相の違いから検知する検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項6】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる位相の交流磁界を発生させるための交流電流を供給する電流供給手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項7】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる位相の交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を機械的に振動させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項8】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる位相の交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材に設けられた磁気シールドの磁気遮蔽効果を変調させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項9】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記磁気誘導部材に対して、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる位相の交流磁界を発生させるために、前記磁気誘導部材を構成する磁気回路の磁気抵抗を変調させる手段と、
前記磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。
【請求項10】
対象物内部に導入された磁性体あるいはコイルを備える被誘導部材を誘導する磁気誘導装置であって、
前記被誘導部材に備えられた磁気センサと、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界を発生する磁気誘導部材と、
前記対象物外部に配置され、前記被誘導部材に動力を与えるための磁界とは異なる位相の交流磁界を発生させるための磁界発生部材と、
前記磁気センサが検知する信号を、位相検波する位相検波器と、
を備え、
前記検波器による検出結果に基づいて前記被誘導部材の位置及び方向に関する情報を得ることを特徴とする磁気誘導装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−190164(P2007−190164A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10569(P2006−10569)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【出願人】(502336117)株式会社玉川製作所 (10)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】