説明

磁気転写用スタンパの製造方法及び情報記録媒体の製造方法

【課題】信頼性が高い所望のサーボ情報を磁気ディスク等の情報記録媒体の両面に記録できる磁気転写用スタンパを効率良く製造できる方法を提供する。
【解決手段】原盤40の初期凹凸パターンと凹凸関係が等しい基板12を有する第1スタンパを作製する第1スタンパ作製工程と、原盤40の初期凹凸パターンと凹凸関係が逆である基板22を有する第2スタンパを作製する第2スタンパ作製工程と、を含み、少なくとも一方のスタンパ作製工程は、最終被転写物及び最終被転写物よりも偶数回前の転写で得られる中間被転写物のいずれかを凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程、及び最終被転写物よりも奇数回前の転写で得られる中間被転写物50、第2中間被転写物54を凸部が平面視において拡大するように加工する凸部拡大工程のいずれかの凸部修正工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体に所定の情報を磁気的に転写するために用いられる磁気転写用スタンパの製造方法及びこの方法により得られるスタンパを用いた情報記録媒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブに備えられる磁気ディスクは両面にデータが記録されるようになっており、ハードディスクドライブには両面の記録/再生のために1枚の磁気ディスクに対して2つの記録/再生ヘッド及び先端近傍においてこれらの記録/再生ヘッドを支持する2つのサスペンションアームが備えられている。2つのサスペンションアームは共通の中心軸まわりに回転自在であり各記録/再生ヘッドは磁気ディスクのいずれか一方の側の表面に近接して磁気ディスクの径方向に沿って円弧軌道で移動するようになっている。このように2つの記録/再生ヘッドは共通の中心軸まわりに回転するので、2つの記録/再生ヘッドの円弧軌道は(各記録/再生ヘッドから磁気ディスクを見る平面視において)鏡面対称である。
【0003】
又、磁気ディスクは両面においてサーボ領域とデータ領域とに区分けされ、サーボ領域には記録/再生ヘッドの位置決めのためのサーボ情報が記録され、サーボ情報に基づいて記録/再生ヘッドのトラッキング等が行われる。より詳細には、磁気ディスクの径方向に沿う複数のサーボ領域が周方向に適宜な間隔で放射状に設定される。これらサーボ領域の間の部分がデータ領域であり、データ領域には所定のトラックに沿ってデータが記録される。サーボ領域は通常、記録/再生ヘッドの円弧軌道と同じ又は記録/再生ヘッドの円弧軌道に近い円弧形状である。上記のように2つの記録/再生ヘッドの円弧軌道は鏡面対称であるので、磁気ディスクの両面のサーボ領域の円弧形状も通常、鏡面対称である。又、各サーボ領域は、クロックの同期のためのプリアンブル領域、サーボデータの開始を示すSAM(Servo Address Mark)領域、セクタ番号を示すセクタアドレス信号領域、トラック番号を示すトラックアドレス信号領域、磁気ヘッドのトラッキングのためのバースト信号領域等に更に区分けされ、各領域にはそれぞれの目的に応じたサーボ情報が記録される。磁気ディスクの回転に伴って記録/再生ヘッドが各サーボ領域のサーボ情報を再生する際、プリアンブル領域、バースト信号領域等のサーボ情報が各サーボ領域において同じ順序で再生されるように、各サーボ領域にプリアンブル領域、バースト信号領域等が記録/再生ヘッドの(相対的な)進行方向に同じ順序で並んでいることが好ましい。このように磁気ディスクの両面のサーボ領域の円弧形状が鏡面対称であり、且つ、磁気ディスクの両面の各サーボ領域にプリアンブル領域、バースト信号領域等が記録/再生ヘッドの(相対的な)進行方向に同じ順序で並ぶようにするために、サーボ情報は磁気ディスクの両面に鏡面対称のパターンで記録されることが好ましい。尚、磁気ディスクの一方の面のサーボ領域の位相(サーボ領域の周方向の位置)と他方の面のサーボ領域の位相とが必ずしも一致している必要はない。
【0004】
サーボ情報は、具体的には記録層における1ビットの情報に相当する各領域を0又は1の情報に対応する方向に所定のサーボパターンで磁化することにより記録される。面内記録媒体では各領域を0又は1の情報に対応する周方向の一方の向き又はその逆の向きに所定のサーボパターンで磁化することによりサーボ情報が記録される。又、近年主流となりつつある垂直記録媒体では各領域を0又は1の情報に対応する表面に垂直な方向の一方の向き又はその逆の向きに所定のサーボパターンで磁化することによりサーボ情報が記録される。このようにサーボ情報は、0の情報に対応する方向に磁化された領域に対応する1ビットのサーボ情報要素と1の情報に対応する方向に磁化された領域に対応する1ビットのサーボ情報要素とが所定のサーボパターンで配置された構成である。記録/再生ヘッドのトラッキングのためのサーボ信号のS/N比を高めるためには(径方向の位置が等しい)各サーボ情報要素の周方向の長さが均一であることが好ましい。従って、0の情報に対応するサーボ情報要素の周方向の長さと1の情報に対応するサーボ情報要素の周方向の長さが等しいことが好ましい。例えば、プリアンブル領域には、0の情報に対応するサーボ情報要素と1の情報に対応するサーボ情報要素とが周方向に交互に並ぶように記録される。このようなサーボ情報は、サーボ記録装置によって各磁気記録媒体毎に記録層における各領域を0の情報及び1の情報に応じて順次磁化させていくものであるため、磁気ディスクの1面あたりのサーボ情報の記録に時間を要し生産性が低いという問題があった。特に近年、面記録密度の向上のため、サーボ情報についても高密度で、高精度な記録が要求されるようになっており、サーボ情報の記録の効率改善に対するニーズが高まっている。
【0005】
そこで磁気転写用スタンパを用いて磁気ディスクにサーボ情報を磁気転写することが提案されている。具体的には、サーボパターンに対応する凹凸パターンの転写面を有する磁気転写用スタンパを用意し、磁気転写用スタンパの転写面を磁気ディスクの表面に接触させて適当な大きさの直流外部磁場を印加することにより磁気ディスクにおける磁気転写用スタンパの転写面の凸部に接触する部分が一方向に選択的に磁化されサーボ情報が記録される。磁気転写用スタンパを用いれば短時間で磁気ディスクにサーボ情報を磁気転写することができるので、サーボ情報の記録効率の大幅な向上が期待されている。
【0006】
一方、磁気転写用スタンパを用いて磁気ディスクに転写されるサーボパターンは磁気転写用スタンパの凹凸パターンの平面視における形状と完全には一致しにくいという問題がある。具体的には、磁気転写用スタンパの転写面の凸部を磁気ディスクの表面に接触させて適当な大きさの直流外部磁場を印加すると、磁気ディスクにおける磁気転写用スタンパの凸部に接触する部分だけでなくその周辺部も磁気転写用スタンパの転写面の凸部に接触する部分と同じ方向に磁化されやすい。これは、磁気転写用スタンパの転写面の凸部を介して磁気ディスクに印加される直流外部磁場の磁路は磁気転写用スタンパの凸部と完全には一致せず直流外部磁場の一部は凸部の周辺部にも広がる(漏れる)ためであると考えられる。このため、凸部に対応する(一部の又は全部の)サーボ情報要素(例えば0の情報に対応するサーボ情報要素)の周方向の長さが凹部に対応する(一部の又は全部の)サーボ情報要素(例えば1の情報に対応するサーボ情報要素)の周方向の長さよりも長くなり、サーボ信号のS/N比が低下するという問題がある。
【0007】
これに対し、磁気転写用スタンパの凸部によって磁化したい部分だけを所望の方向に磁化するために、その磁化対象部分よりも磁気転写用スタンパの対応する凸部を小さく形成する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
このような磁気転写用スタンパは通常、凹凸パターンの基板と基板の凹凸パターンに倣って形成された強磁性膜等とを有しており、原盤からの凹凸転写によって磁気転写用スタンパの基板を作製することが提案されている。原盤を作製するためにはサーボ情報のパターンに対応するパターンで電子線等によってレジストを描画(露光)する必要があり、この描画工程には(例えば数週間程度の)多大な時間を要するという問題がある。上記のようにサーボ情報を磁気ディスクの両面に鏡面対称のパターンで記録するためには鏡面対称の凹凸パターンの転写面を有する2つの磁気転写用スタンパを作製する必要があり、2つの磁気転写用スタンパを作製するために多大な時間を要する描画工程を2回行うことになるため生産効率が低いという問題がある。
【0009】
これに対し、鏡面対称のサーボパターンに対応する2つの凹凸パターンのうちのいずれか一方に相当する原盤のみを作製し、この原盤からメッキ等の凹凸転写によってファザースタンパを作製し、ファザースタンパから凹凸転写によってマザースタンパを作製し、更にマザースタンパから凹凸転写によってサンスタンパを作製する手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。マザースタンパの転写面の凹凸パターンとサンスタンパの転写面の凹凸パターンとは凹凸が反転した関係(鏡面対称で凹凸関係が逆)であるので磁気ディスクの一方の面にマザースタンパの転写面を接触させ、他方の面にサンスタンパの転写面を接触させて外部磁場を印加することにより磁気ディスクの両面に鏡面対称のパターンのサーボ情報を記録することができる。尚、磁気ディスクの一方の面におけるマザースタンパの転写面の凸部に接触する部分と、これに対応する磁気ディスクの他方の面におけるサンスタンパの転写面の凹部に対向する部分とは逆方向に磁化されるが、それぞれの面を再生するための記録/再生ヘッドからの視点では同じ方向に磁化されているように見えるので好都合である。この手法では原盤を1つだけ作製すればよいので生産効率の向上が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−312819号公報
【特許文献2】米国特許第7,036,209号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のように磁気転写用スタンパの転写面の凸部を磁気ディスクの表面に接触させて適当な大きさの直流外部磁場を印加すると、磁気ディスクにおける磁気転写用スタンパの凸部に接触する部分だけでなくその周辺部も磁気転写用スタンパの転写面の凸部に接触する部分と同じ方向に磁化されやすい。従って、磁気ディスクの一方の面におけるマザースタンパの転写面の凸部(又は凹部)の大きさとこれに対応する磁気ディスクの他方の面におけるサンスタンパの転写面の凹部(又は凸部)の大きさとが同じであっても、磁気ディスクの一方の面におけるマザースタンパの転写面の凸部(又は凹部)に対応して磁化される部分の大きさと他方の面におけるサンスタンパの転写面の凹部(又は凸部)に対応して磁化される部分の大きさは一致しにくい。従って、マザースタンパとサンスタンパを用いて磁気ディスクの両面に記録されるサーボ情報は、マザースタンパの転写面の凸部(又は凹部)に対応するサーボ情報要素とサンスタンパの転写面の凹部(又は凸部)に対応するサーボ情報要素との配置は鏡面対称であっても対応する(一部又は全部の)サーボ情報要素同士の大きさが一致しにくく、サーボ情報要素の大きさも等しい鏡面対称のパターンのサーボ情報を磁気ディスクの両面に記録することは困難であった。
【0012】
更に、マザースタンパやサンスタンパの基板の凹凸面の上に強磁性膜等が成膜される場合には、強磁性膜等の厚さの分だけ凸部の幅が広くなる一方、凹部の幅は狭くなる。従って、マザースタンパ及びサンスタンパの一方の転写面の凸部に対応する(一部又は全部の)サーボ情報要素と他方の転写面の(対応する)凹部に対応する(一部又は全部の)サーボ情報要素との大きさの差は更に大きくなる。強磁性膜等は通常数十nm程度であるが、面記録密度の向上に伴い周方向又は径方向の幅が数十nmのサーボ情報要素を含むサーボ情報の記録も要求されるようになっており、数十nm程度の強磁性膜等であっても影響は無視できなくなっている。
【0013】
尚、例えば、磁気ディスクにおけるマザースタンパで磁気転写される側の面においてマザースタンパの凸部によって磁化したい部分だけを所望の方向に磁化するために、その磁化対象部分よりもマザースタンパの対応する凸部を小さく形成した場合、逆にサンスタンパの凸部はサンスタンパの凸部によって磁化したい部分よりも大きく形成される。従って、磁気ディスクにおけるサンスタンパで磁気転写される側の面においては、サンスタンパの凸部に対応する(一部又は全部の)サーボ情報要素の周方向の長さがサンスタンパの凹部に対応する(一部又は全部の)サーボ情報要素の周方向の長さよりも長い傾向が一層顕著になる。これにより、サーボ信号のS/N比が低下するという問題がある。
【0014】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、信頼性が高い所望のサーボ情報を磁気ディスク等の情報記録媒体の両面に記録できる磁気転写用スタンパを効率良く製造できる磁気転写用スタンパの製造方法及びこの方法により得られるスタンパを用いた情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、所定の初期凹凸パターンの転写面を有する原盤を作製する原盤作製工程と、原盤から偶数回の凹凸転写によって初期凹凸パターンと凹凸関係が等しい第1凹凸パターンの基板を有する第1スタンパを作製する第1スタンパ作製工程と、原盤から奇数回の凹凸転写によって初期凹凸パターンと凹凸関係が逆である第2凹凸パターンの基板を有する第2スタンパを作製する第2スタンパ作製工程と、を含み、第1スタンパ作製工程及び第2スタンパ作製工程の少なくとも一方は、原盤からの凹凸転写によって最終的に得られる最終被転写物及び最終被転写物よりも偶数回前の転写で得られる中間被転写物のいずれかをその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程、及び最終被転写物よりも奇数回前の転写で得られる中間被転写物をその転写面の凸部が平面視において拡大するように加工する凸部拡大工程のいずれかの凸部修正工程を含む磁気転写用スタンパの製造方法により上記目的を達成したものである。
【0016】
この磁気転写用スタンパの製造方法によれば、平面視において第1凹凸パターン及び第2凹凸パターンの少なくとも一方の凸部の形状が、原盤からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状になるように、第1凹凸パターンの基板及び第2凹凸パターンの基板を作製できる。従って、第1凹凸パターンの基板及び第2凹凸パターンの基板の両方の各凸部を各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状に形成できる。
【0017】
例えば、原盤作製工程において初期凹凸パターンが磁気転写対象の情報記録媒体に記録したい所望のサーボ情報のパターンと同じ又は所望のサーボ情報のパターンに近いパターンであるように原盤を作製し、第1スタンパ作製工程及び第2スタンパ作製工程の両方で凸部修正工程を実行することにより、第1凹凸パターンの基板及び第2凹凸パターンの基板の両方の各凸部を各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ及び第2スタンパを作製できる。このような第1スタンパ及び第2スタンパを用いて情報記録媒体に磁気転写を行うことにより情報記録媒体の両面に信頼性が高い所望のサーボ情報を記録できる。
【0018】
又、原盤作製工程において初期凹凸パターンが第1凹凸パターンと同じであるように原盤を作製し、第2スタンパ作製工程のみで凸部修正工程を実行してもよい。この場合、第1スタンパ作製工程では凸部修正工程を省略できるのでスタンパの生産効率を更に向上しうる。尚、この場合、初期凹凸パターンの各凸部(即ち、第1凹凸パターンの各凸部)の形状は、第1スタンパの各凸部によって磁化したい部分に対し縮小した形状とすればよい。
【0019】
又、原盤作製工程において初期凹凸パターンが第2凹凸パターンと凹凸が反転した関係であるように原盤を作製し、第1スタンパ作製工程のみで凸部修正工程を実行してもよい。この場合も、第2スタンパ作製工程で凸部修正工程を省略できるのでスタンパの生産効率を更に向上しうる。尚、この場合、初期凹凸パターンの各凹部(即ち、第2凹凸パターンの各凸部)の形状は、第2スタンパの凸部によって磁化したい部分に対し縮小した形状とすればよい。
【0020】
即ち、次のような本発明により、上記目的を達成することができる。
【0021】
(1)所定の初期凹凸パターンの転写面を有する原盤を作製する原盤作製工程と、前記原盤から偶数回の凹凸転写によって前記初期凹凸パターンと凹凸関係が等しい第1凹凸パターンの基板を有する第1スタンパを作製する第1スタンパ作製工程と、前記原盤から奇数回の凹凸転写によって前記初期凹凸パターンと凹凸関係が逆である第2凹凸パターンの基板を有する第2スタンパを作製する第2スタンパ作製工程と、を含み、前記第1スタンパ作製工程及び前記第2スタンパ作製工程の少なくとも一方は、前記原盤からの凹凸転写によって最終的に得られる最終被転写物及び前記最終被転写物よりも偶数回前の転写で得られる中間被転写物のいずれかをその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程、及び前記最終被転写物よりも奇数回前の転写で得られる中間被転写物をその転写面の凸部が平面視において拡大するように加工する凸部拡大工程のいずれかの凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【0022】
(2) (1)において、前記第1スタンパ作製工程及び前記第2スタンパ作製工程の両方が前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【0023】
(3) (1)において、前記原盤作製工程において前記初期凹凸パターンが前記第1凹凸パターンと同じであるように前記原盤を作製し、前記第2スタンパ作製工程のみが前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【0024】
(4) (1)において、前記原盤作製工程において前記初期凹凸パターンが前記第2凹凸パターンと凹凸が反転した関係であるように前記原盤を作製し、前記第1スタンパ作製工程のみが前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【0025】
(5) (1)乃至(4)のいずれかに記載の磁気転写用スタンパの製造方法により作製された前記第1スタンパ及び前記第2スタンパを用いて情報記録媒体の両面にサーボ情報を磁気転写する工程を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【0026】
尚、本出願において「情報記録媒体」という用語は、情報の記録のために磁気のみを用いる磁気記録媒体、情報の記録のために磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体、磁気とマイクロ波を併用するマイクロ波アシスト型の記録媒体、及び光磁気記録媒体を含む意義で用いることとする。
【0027】
又、本出願において「凹凸関係が等しい」とは、対応する凸部同士の配置が等しく対応する凹部同士の配置も等しい関係という意味で用いる。尚、「凹凸関係が等しい」は、対応する凸部同士の大きさが等しく対応する凹部同士の大きさも等しい関係、及び対応する凸部同士の大きさが異なり対応する凹部同士の大きさも異なる関係の両方を含む。
【0028】
又、本出願において「凹凸関係が逆」とは、対応する凸部と凹部の配置が逆である関係という意味で用いる。尚、「凹凸関係が逆」は、対応する凸部と凹部の大きさが等しい関係、及び対応する凸部と凹部の大きさが異なる関係の両方を含む。
【0029】
又、本出願において「凹凸が反転した関係」とは原盤から1回(又は奇数回)の凹凸転写によって得られる被転写物の凹凸パターンと原盤の凹凸パターンとの関係という意味で用いる。「凹凸が反転した関係」では、平面視において対応する凸部と凹部の大きさは実質的に等しい。
【0030】
又、本出願において「転写面の凸部が平面視において縮小する」とは、凸部の平面視における周縁部が減少するように転写面の凸部がスリム化されるという意味で用いる。例えば、平面視において矩形の凸部が縮小すると、より小さい矩形の凸部になる。又、平面視において矩形の複数の凹部を隔てる格子状の凸部が縮小すると、より細い格子状の凸部になる。尚、この場合、凸部で隔てられる凹部は拡大する。
【0031】
又、本出願において「転写面の凸部が平面視において拡大する」とは、凸部の平面視における周縁部が増大するように転写面の凸部が肥大するという意味で用いる。例えば、平面視において矩形の凸部が拡大すると、より大きい矩形の凸部になる。又、平面視において矩形の複数の凹部を隔てる格子状の凸部が拡大すると、より太い格子状の凸部になる。尚、この場合、凸部で隔てられる凹部は縮小する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、信頼性が高い所望のサーボ情報を情報記録媒体の両面に記録できる磁気転写用スタンパを効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本発明の第1実施形態に係る第1スタンパの構造を模式的に示す転写面側から見た平面図
【図1B】図1AのIB−IBに沿う断面図
【図1C】図1BのICから見た平面図
【図2A】同第1実施形態に係る第2スタンパの構造を模式的に示す転写面側から見た平面図
【図2B】図2AのIIB−IIBに沿う断面図
【図2C】図2BのIICから見た平面図
【図3A】同第1実施形態に係る情報記録媒体における前記第1スタンパによってサーボ情報が磁気転写された側の面を模式的に示す平面図
【図3B】同情報記録媒体における前記第2スタンパによってサーボ情報が磁気転写された側の面を模式的に示す平面図
【図3C】図3A、3BのIIIC−IIICに沿う断面図
【図3D】図3CのIIIDから見た平面図
【図3E】図3CのIIIEから見た平面図
【図4】同第1実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図5A】前記第1スタンパ及び前記第2スタンパを製造するための原盤の構造を模式的に示す平面図
【図5B】図5AのVB−VBに沿う断面図
【図5C】図5BのVCから見た平面図
【図6】同第1実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図7】同第1実施形態に係る第1スタンパ及び第2スタンパによる情報記録媒体への磁気転写工程を示す断面図
【図8】本発明の第2実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図9】同第2実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図10】本発明の第3実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図11】同第3実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図12】本発明の第4実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図13】同第4実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図14】本発明の第5実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図15】同第5実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図16A】本発明の第6実施形態に係る原盤の構造を模式的に示す平面図
【図16B】図16AのXVIB−XVIBに沿う断面図
【図16C】図16BのXVICから見た平面図
【図17】同第6実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図18】同第6実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図19】本発明の第7実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図20】同第7実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図21】本発明の第8実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図22】同第8実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図23】本発明の第9実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図24】同第9実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図25】本発明の第10実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図26】同第10実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図27】本発明の第11実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図28】同第11実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図29】本発明の第12実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図30】同第12実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図31A】本発明の第13実施形態に係る原盤の構造を模式的に示す平面図
【図31B】図31AのXXXIB−XXXIBに沿う断面図
【図31C】図31BのXXXICから見た平面図
【図32】同第13実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図33】同第13実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図34】本発明の第14実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図35】同第14実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図36】本発明の第15実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図37】同第15実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【図38】本発明の第16実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示すフローチャート
【図39】同第16実施形態に係る磁気転写用スタンパの製造方法の概要を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
本発明の第1実施形態は、図1A、1B、1Cに示されるような第1スタンパ10、及び図2A、2B、2Cに示されるような第2スタンパ20を製造する磁気転写用スタンパの製造方法に関する。これら第1スタンパ10及び第2スタンパ20は、図3A、3B、3C、3D及び3Eに示されるような情報記録媒体30の両面30A及び30Bに所定のサーボ情報を磁気的に転写するために用いられる。本第1実施形態の理解のため、まず情報記録媒体30の構造について簡単に説明する。
【0036】
情報記録媒体30は中心孔30Cが形成された垂直記録型の磁気ディスクであり両面にデータが記録されるようになっている。具体的には、情報記録媒体30は、基板32、軟磁性層34、配向層36及び記録層38を備え、これらの層が基板32の両面30A及び30Bに対称的に形成されている。尚、記録層38の上に保護層や潤滑層が形成されていてもよい。又、基板32と軟磁性層34との間に反強磁性層や下地層が形成されていてもよい。情報記録媒体30は両面30A及び30Bにおいてサーボ領域SAとデータ領域DAとに区分けされ、サーボ領域SAには記録/再生ヘッドの位置決めのためのサーボ情報が記録され、サーボ情報に基づいて記録/再生ヘッドのトラッキング等が行われる。より詳細には、情報記録媒体30の径方向に沿う複数のサーボ領域SAが円周方向に適宜な間隔で放射状に設定される。これらサーボ領域SAの間の部分がデータ領域DAであり、データ領域DAには所定のトラックに沿ってデータが記録される。尚、情報記録媒体30の内周部及び外周部はサーボ情報もデータも記録されない非記録領域である。サーボ領域SAは、記録/再生ヘッド(図示省略)の円弧軌道と同じ又は記録/再生ヘッドの円弧軌道に近い円弧形状である。情報記録媒体30の両面30A及び30Bの記録/再生のために備えられる2つの記録/再生ヘッドは共通の中心軸まわりに回転するように設置されるので、図3A及び3Bに示されるように、情報記録媒体30のサーボ領域SAの形状は円弧である。又、情報記録媒体30の一方の面30Aのサーボ領域SAの形状と他方の面30Bのサーボ領域SAの形状は鏡面対称である。又、各サーボ領域SAは、クロックの同期のためのプリアンブル領域、サーボデータの開始を示すSAM領域、セクタ番号を示すセクタアドレス信号領域、トラック番号を示すトラックアドレス信号領域、磁気ヘッドのトラッキングのためのバースト信号領域等に更に区分けされ、各領域にはそれぞれの目的に応じたサーボ情報が記録される。磁気ディスクの回転に伴って記録/再生ヘッドが各サーボ領域SAのサーボ情報を再生する際、各サーボ情報が各サーボ領域SAにおいて同じ順序で再生されるように、各サーボ領域SAにプリアンブル領域、バースト信号領域等が記録/再生ヘッドの(相対的な)進行方向に同じ順序で並んでいる。このように情報記録媒体30の両面のサーボ領域SAの円弧形状が鏡面対称であり、且つ、情報記録媒体30の両面の各サーボ領域SAにプリアンブル領域、バースト信号領域等が記録/再生ヘッドの(相対的な)進行方向に同じ順序で並ぶようにするために、図3C、3D及び3Eに示されるように、情報記録媒体30の一方の面30Aのサーボ情報のパターン形状と他方の面30Bのサーボ情報のパターン形状は鏡面対称である。図3D及び3Eにおける網掛け模様で示される部分は図3Cにおいて基板32に向かう方向に磁化されている部分に相当し、図3D及び3Eにおける網掛け模様がない部分は図3Cにおいて基板32から離れる方向に磁化されている部分に相当する。情報記録媒体30の一方の面30Aのサーボ領域SAの位相(周方向の位置)と他方の面30Bのサーボ領域SAの位相とは必ずしも一致している必要はない。
【0037】
次に、第1スタンパ10及び第2スタンパ20の構造について説明する。
【0038】
第1スタンパ10は、情報記録媒体30の一方の面30Aにサーボ情報を磁気転写するために用いられ、転写面には磁気転写するサーボパターンに対応した凹凸パターンが形成されている。図1B及び1Cの二点鎖線は後述する原盤40の初期凹凸パターンの形状である。尚、第1スタンパ10の転写面の各凸部により磁気転写しようとする部分の形状は図1Cに二点鎖線で示される形状、又はこれに近い形状(図1Cに二点鎖線で示される矩形又は帯状の部分を若干拡大又は縮小した形状)である。平面視において第1スタンパ10の転写面の各凸部の形状は各凸部により磁気転写しようとする部分に対し縮小した形状である。第1スタンパ10は、第1凹凸パターンが形成された基板12と、基板12の凹凸面に倣って成膜された下地膜と、下地膜の凹凸面に倣って成膜された強磁性膜と、を有して構成されている。尚、便宜上、下地膜及び強磁性膜の図示を省略しており、第1スタンパ10の凹凸パターンが基板12の第1凹凸パターンと一致するように図1B及び1Cを描いている。基板12の材料は樹脂、Ni等である。下地膜の材料はPt等である。下地膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さは、例えば5〜15nmである。又、強磁性膜の材料は、CoPt合金、FePt合金等である。強磁性膜は、垂直方向(第1スタンパ10の厚さ方向)に磁界の方向が揃うような異方性を有することが好ましい。下地膜によりこのような異方性を付与できる。強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さは、例えば3〜10nmである。尚、強磁性膜における凸部の上面及び凹部の底面に成膜される部分の厚さは、例えば10〜40nmである。
【0039】
第2スタンパ20は、情報記録媒体30の他方の面30Bにサーボ情報を磁気転写するために用いられ、第2スタンパ20の転写面にも磁気転写するサーボパターンに対応した凹凸パターンが形成されている。図2B及び2Cの二点鎖線は後述する原盤40の初期凹凸パターンと凹凸が反転した関係の凹凸パターンの形状である。第2スタンパ20の転写面の各凸部により磁気転写しようとする部分の形状は図2Cに二点鎖線で示される矩形又は帯状の部分を隔てる部分の形状、又はこれに近い形状(図2Cに二点鎖線で示される矩形又は帯状の部分を隔てる部分を若干拡大又は縮小した形状)である。尚、図2Cにおける各矩形(の内側)や帯状の部分は凹部であり、隣り合う2つの矩形の間の部分や隣り合う矩形と帯状の部分の間の部分が凸部である。平面視において第2スタンパ20の転写面の各凸部の形状も各凸部により磁気転写しようとする部分に対し縮小した形状である。第2スタンパ20は、第2凹凸パターンが形成された基板22と、基板22の凹凸面に沿って成膜された下地膜と、下地膜の凹凸面に倣って成膜された強磁性膜と、を有して構成されている。尚、便宜上、下地膜及び強磁性膜の図示を省略しており、第2スタンパ20の凹凸パターンが基板22の第2凹凸パターンと一致するように図2B及び2Cを描いている。基板22の材料、第2スタンパ20の下地膜の材料、下地膜の厚さ、強磁性膜の材料、強磁性膜の厚さは、第1スタンパ10のために例示したものと同じものを用いることができる。尚、第1スタンパ10の基板12の材料と第2スタンパ20の基板22の材料とは一致している必要はない。例えば一方の材料が樹脂で他方の材料がNiでもよい。
【0040】
次に、図4のフローチャートに沿って第1スタンパ10及び第2スタンパ20の製造方法について説明する。
【0041】
まず、図5A、5B及び5Cに示されるような初期凹凸パターンの原盤40を作製する(S102:原盤作製工程)。具体的には、ガラス、Si、グラッシーカーボン、SiC等の基板の上に、スパッタリング等によりNi、Cr、Ta等のマスク層を4〜6nmの厚さで成膜する。更に、マスク層の上にレジストを50nm程度の厚さで塗布し、電子ビームにより情報記録媒体30のサーボ情報のパターンに対応するパターンでレジストを描画(露光)/現像する。尚、レジストがポジ型の場合は、初期凹凸パターンの凹部に対応する部分に電子ビームを照射する。又、レジストがネガ型の場合は、初期凹凸パターンの凸部に対応する部分に電子ビームを照射する。これによりサーボ情報のパターンに対応するパターンのレジストが形成される。次に、このレジストに基いてAr等の希ガスを用いたIBE等によりマスク層をエッチングする。更にマスク層に基づいて基板をエッチングする。基板の材料がガラス、Si、SiCの場合、エッチング法としては、例えばCFやSFのようなフッ素系ガスを用いたRIEを用いることができる。又、基板の材料がグラッシーカーボンの場合、エッチング法としては、例えばOのような酸素系ガスを用いたRIEを用いることができる。これによりサーボ情報のパターンに対応するパターンの基板が形成される。基板の凸部の上に残存するマスク層は例えばウェットエッチングにより除去する。マスク層の材料がNiの場合、エッチング液としては例えばスルファミン酸溶液を用いることができる。これによりサーボ情報のパターンに対応する初期凹凸パターンの原盤40が得られる。尚、基板の上に直接レジストを形成し、レジストに基いて基板をエッチングして原盤40を作製してもよい。
【0042】
次に、原盤40に基いて図6に示されるように第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製する(S104:第1スタンパ作製工程、S106:第2スタンパ作製工程)。
【0043】
まず第1スタンパ作製工程(S104)について説明する。初めに原盤40からの凹凸転写により中間被転写物50を作製する(S104A:第1凹凸転写工程)。具体的には、化学めっき、スパッタリング等により原盤40の転写面にNi等の導電膜を成膜し、この導電膜を電極として電解めっき等により更にNi等を成膜する。これらの膜を一体で原盤40から剥離することにより中間被転写物50が得られる。
【0044】
次に、中間被転写物50をその凸部が平面視において拡大するように加工する(S104B:凸部拡大工程)。具体的には、スパッタリング等により中間被転写物50の転写面にCr、C、Pt、Ta等の追加膜50Aを成膜する。尚、電解めっきにより中間被転写物50の転写面にNi等の追加膜50Aを成膜してもよい。追加膜50Aの厚さは例えば10〜50nmである。
【0045】
次に、凸部が拡大した中間被転写物50からの凹凸転写により基板12(最終被転写物)を作製する(S104C:第2凹凸転写工程)。具体的には、凸部が拡大した中間被転写物50を金型内に設置し、射出成形により基板12を成形する。尚、電解めっき等により基板12(最終被転写物)を作製してもよい。基板12は原盤40から2回(偶数回)の凹凸転写で作製されるので、基板12の第1凹凸パターンは原盤40の凹凸パターンと凹凸関係が等しい。一方、基板12は、凸部が拡大した中間被転写物50からの凹凸転写により作製されるので、平面視において基板12の各凸部の形状は、原盤40における対応する各凸部に対し縮小した形状である。尚、上記のように図1B、1Cにおける二点鎖線が原盤40の初期凹凸パターンの形状を示す。
【0046】
次に、基板12の転写面の上に、スパッタリング等により下地膜及び強磁性膜(図示省略)を成膜する(S104D:下地膜及び強磁性膜成膜工程)。これにより第1スタンパ10が完成する。尚、スパッタリング等の真空成膜法の場合、下地膜及び強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分は、成膜条件によっては凸部の上面に成膜される部分よりも薄いことがある。下地膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さは、例えば5〜15nmである。又、強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さは、例えば3〜10nmである。凸部拡大工程(S104B)では、第1スタンパ10の凸部の所望の大きさに対して下地層及び強磁性膜の凸部側面の厚さの分だけ基板12の凸部が小さくなるように、下地層及び強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さの合計値を考慮した厚さの追加膜50Aを成膜する。例えば、下地層及び強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さの合計値が15nmの場合、合計値が10nmの場合よりも凸部の側面に成膜される追加膜50Aの厚さを5nm厚くする。第1スタンパ10の各凸部の所望の大きさ(幅)は各凸部によって記録したい部分の大きさ(幅)よりも例えば5〜20nm小さい。
【0047】
次に、第2スタンパ作製工程(S106)について説明する。初めに第1スタンパ作製工程(S104)の第1凹凸転写工程(S104A)と同じ要領で原盤40からの凹凸転写により第1中間被転写物52を作製する(S106A:第1凹凸転写工程)。
【0048】
次に、第1中間被転写物52からの凹凸転写により第2中間被転写物54を作製する(S106B:第2凹凸転写工程)。具体的には、電解めっき等により第1中間被転写物52の転写面にNi等を成膜し、この膜を第1中間被転写物52から剥離することにより第2中間被転写物54が得られる。
【0049】
次に、第2中間被転写物54をその凸部が平面視において拡大するように加工する(S106C:凸部拡大工程)。具体的には、第1スタンパ作製工程(S104)の凸部拡大工程(S104C)と同じ要領で第2中間被転写物54の転写面にスパッタリング等によりCr等の追加膜54Aを成膜する。尚、追加膜54Aの厚さは例えば10〜50nmである。
【0050】
次に、第1スタンパ作製工程(S104)の第2凹凸転写工程(S104C)と同じ要領で凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写(射出成形)により基板22(最終被転写物)を作製する(S106D:第3凹凸転写工程)。尚、電解めっき等により基板22(最終被転写物)を作製してもよい。基板22は原盤40から3回(奇数回)の凹凸転写で作製されるので、基板22の第2凹凸パターンは原盤40の凹凸パターンと凹凸関係が逆である。又、基板22は、凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写により作製されるので、平面視において基板22の各凸部の形状は、原盤40における対応する各凹部に対し縮小した形状である。尚、上記のように図2B、2Cにおける二点鎖線は原盤40の初期凹凸パターンと凹凸が反転した関係の凹凸パターンの形状を示す。
【0051】
次に、基板22の転写面の上に、第1スタンパ作製工程(S104)の下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)と同じ要領でスパッタリング等により下地膜及び強磁性膜(図示省略)を成膜する(S106E:下地膜及び強磁性膜成膜工程)。これにより第2スタンパ20が完成する。第1スタンパ作製工程(S104)と同様に、凸部拡大工程(S106C)では、第2スタンパ20の凸部の所望の大きさに対して下地層及び強磁性膜の凸部側面の厚さの分だけ基板22の凸部が小さくなるように、下地層及び強磁性膜の厚さを考慮した厚さの追加膜54Aを成膜する。第2スタンパ20の各凸部の所望の大きさ(幅)も各凸部によって記録したい部分の大きさ(幅)よりも例えば5〜20nm小さい。
【0052】
次に、第1スタンパ10及び第2スタンパ20を用いて情報記録媒体30にサーボ情報を磁気転写する方法について簡単に説明する。まず、情報記録媒体30の初期化を行う。具体的には、情報記録媒体30に充分に大きい垂直方向(情報記録媒体30の厚さ方向)の直流外部磁場を印加する。次に、図7に示されるように、情報記録媒体30の一方の面30Aに第1スタンパ10の転写面を接触させ、他方の面30Bに第2スタンパ20の転写面を接触させ、情報記録媒体30に上記初期化のための直流外部磁場の向きと逆の向きの垂直方向の直流外部磁場を印加する。情報記録媒体30には第1スタンパ10及び第2スタンパ20の凸部を介して直流外部磁場が印加され、情報記録媒体30の両面の記録層38における第1スタンパ10及び第2スタンパ20の凸部に接する部分が直流外部磁場の方向に磁化される。これにより磁気ディスクの両面の記録層38にサーボ情報が記録される。尚、直流外部磁場の大きさが過大であると、記録層38の全部が直流外部磁場の方向に磁化されうるので、直流磁場の大きさは情報記録媒体30に第1スタンパ10及び第2スタンパ20の凹凸パターンに倣ったサーボ情報を磁化転写できる大きさに制限する。
【0053】
この際、図7に示されるように第1スタンパ10及び第2スタンパ20の転写面の凸部を介して情報記録媒体30に印加される直流外部磁場の磁路は第1スタンパ10及び第2スタンパ20の凸部と完全には一致せず直流外部磁場の一部は凸部の周囲の微小な範囲にも広がる(漏れる)。一方、第1スタンパ10及び第2スタンパ20の各凸部は、平面視において(初期凹凸パターンの)原盤40からの凹凸転写のみによって得られる各凸部に対し縮小した形状であるので、例えば原盤40の初期凹凸パターンと一致するサーボパターンのサーボ情報を情報記録媒体30に記録することができる。即ち、例えば、原盤作製工程(S102)において初期凹凸パターンが磁気転写対象の情報記録媒体30に記録したい所望のサーボパターンと同じである(平面視において原盤40の初期凹凸パターンの各凸部の形状、大きさが、各凸部に対応する所望のサーボパターンの各部分の形状、大きさと同じである)ように原盤40を作製することにより、情報記録媒体30に所望のサーボパターンのサーボ情報を記録することが可能である。
【0054】
又、平面視において原盤40の初期凹凸パターンの各凸部の大きさが、各凸部に対応する所望のサーボパターンの各部分の大きさと若干異なっていても、凸部側面の追加膜50A、54Aの厚さや、下地層及び強磁性膜の厚さを調整することにより、第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を所望の形状に形成し、情報記録媒体30に所望のサーボパターンのサーボ情報を記録できる。尚、図7では情報記録媒体30に対し第1スタンパ10の凸部(又は凹部)と第2スタンパ20の対応する凹部(又は凸部)とが鏡面対称に配置されているが、第1スタンパ10と第2スタンパ20は位相(周方向の位置)がずれて配置されていてもよい。
【0055】
このように本第1実施形態によれば、第1スタンパ作製工程(S104)及び第2スタンパ作製工程(S106)の両方で凸部拡大工程(凸部修正工程)(S104B、S106C)を実行することにより、平面視において第1凹凸パターン及び第2凹凸パターンの両方の凸部の形状が、原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状になるように、第1スタンパ10の基板12及び第2スタンパ20の基板22を形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できる。このような第1スタンパ10及び第2スタンパ20を用いて情報記録媒体30に磁気転写を行うことにより情報記録媒体30の両面に信頼性が高い所望のサーボ情報を記録できる。
【0056】
尚、本第1実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)において中間被転写物50を作製し、第2スタンパ作製工程(S106)において第1中間被転写物52を作製しているが、第1中間被転写物52からの凹凸転写により第2中間被転写物54を作製(S106B)した後に、第1中間被転写物52を中間被転写物50の代わりに第1スタンパ作製工程(S104)の中間被転写物として利用してもよい。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)において、第1凹凸転写工程(S104A)、凸部拡大工程(S104B)、第2凹凸転写工程(S104C)を実行し、第2凹凸転写工程(S104C)において凸部が拡大した中間被転写物50からの凹凸転写により第1スタンパ10の基板12(最終被転写物)を作製しているが、本第2実施形態では、図8のフローチャート及び図9に示されるように、凸部拡大工程(S104B)を省略し、第2凹凸転写工程(S104C)において凸部が拡大していない中間被転写物50からの凹凸転写により最終被転写物56を作製する。更に、第2凹凸転写工程(S104C)の後に、最終被転写物56をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S104E)を実行する。又、凸部縮小工程(S104E)の後に、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)を実行する。その他については前記第1実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0058】
凸部縮小工程(S104E)では、ドライエッチングにより最終被転写物56をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。例えば、最終被転写物56の材料が樹脂の場合、加工用ガスとしてOガスを用いたIBE(イオンビームエッチング)又はRIE(反応性イオンエッチング)や、加工用ガスとしてFやCl等を含むハロゲン系ガスを用いたIBE又はRIEにより最終被転写物56の転写面を加工する。又、最終被転写物56の材料がNiの場合、加工用ガスとしてArガスやNガスを用いたIBEにより最終被転写物56の転写面を加工する。最終被転写物56の転写面の凸部は、側面部分だけでなく上面部分も除去される。又、凹部の底面部分も除去される。図9中の凸部縮小工程(S104E)を示す図における二点鎖線は最終被転写物56の転写面における除去される部分を示す。尚、ウェットプロセスにより最終被転写物56をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工してもよい。例えば、最終被転写物56の材料が樹脂の場合、溶剤中に最終被転写物56を浸漬して最終被転写物56の転写面を加工してもよい。又、最終被転写物56の材料がNiの場合、スルファミン酸溶液等の酸性の溶液中に最終被転写物56を浸漬して最終被転写物56の転写面を加工してもよい。凸部縮小工程(S104E)では、第1スタンパ10の凸部の所望の大きさに対して下地層及び強磁性膜の厚さの分だけ基板12の凸部が小さくなるように、下地層及び強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さの合計値を考慮して最終被転写物56の転写面を加工する。例えば、下地層及び強磁性膜における凸部の側面に成膜される部分の厚さの合計値が15nmの場合、合計値が10nmの場合よりも最終被転写物56の転写面を5nm多く除去する。
【0059】
このように本第2実施形態でも、第1スタンパ作製工程(S104)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S104E)を実行することにより、前記第1実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できる。
【0060】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前記第1及び第2実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、凸部拡大工程(S106C)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写により第2スタンパ20の基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第3実施形態では、図10のフローチャート及び図11に示されるように、凸部拡大工程(S106C)を省略し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大していない第2中間被転写物54からの凹凸転写により最終被転写物58を作製する。更に、第3凹凸転写工程(S106D)の後に、最終被転写物58をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S106F)を実行する。又、凸部縮小工程(S106F)の後に、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S106E)を実行する。その他については前記第1及び第2実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0061】
凸部縮小工程(S106F)では、前記第2実施形態の第1スタンパ作製工程(S104)の凸部縮小工程(S104E)と同じ要領で最終被転写物58をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。図11中の凸部縮小工程(S106F)を示す図における二点鎖線は最終被転写物58の転写面における除去される部分を示す。
【0062】
このように本第3実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106F)を実行することにより、前記第1及び第2実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できる。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。前記第1及び第2実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、凸部拡大工程(S106C)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写により第2スタンパ20の基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第4実施形態では、図12のフローチャート及び図13に示されるように、凸部拡大工程(S106C)を省略し、第1凹凸転写工程(S106A)と第2凹凸転写工程(S106B)の間において、第1中間被転写物52をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S106G)を実行する。その他については前記第1及び第2実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0064】
凸部縮小工程(S106G)では、前記第2実施形態の第1スタンパ作製工程(S104)の凸部縮小工程(S104E)と同じ要領で第1中間被転写物52をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。図13中の凸部縮小工程(S106G)を示す図における二点鎖線は第1中間被転写物52の転写面における除去される部分を示す。
【0065】
このように本第4実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106G)を実行することにより、前記第1〜第3実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できる。
【0066】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。前記第4実施形態では、第1中間被転写物52をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する凸部縮小工程(S106G)の後に更に、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第5実施形態では、図14のフローチャート及び図15に示されるように、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を省略し、凸部縮小工程(S106G)において転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工された被転写物(第4実施形態の第1中間被転写物52と同じもの)を基板22(最終被転写物)として利用する。その他については前記第4実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0067】
このように本第5実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106G)を実行することにより、前記第1〜第4実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できる。
【0068】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。前記第1〜第5実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)及び第2スタンパ作製工程(S106)の両方が凸部修正工程を含み、第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成するのに対し、本第6実施形態では、原盤作製工程(S202)において図16A、16B、16C、図17のフローチャート及び図18に示されるように初期凹凸パターンが第1スタンパ10の基板12の第1凹凸パターンと同じであるように原盤60を作製する。即ち、平面視において第1凹凸パターンの凸部の形状は、原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部の形状と同じである。一方、平面視において第2凹凸パターンの凸部の形状は、原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部の形状に対し縮小した形状である。従って、第2スタンパ作製工程(S106)のみが凸部修正工程を含み、第1スタンパ作製工程(S204)は凸部修正工程を含まない。その他については前記第1実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0069】
原盤作製工程(S202)では第1スタンパ10の基板12の第1凹凸パターンに相当するパターンでレジストを描画(露光)/現像する。他は前記第1〜第5実施形態の原盤作製工程(S102)と同じである。尚、図16B及び16Cの二点鎖線は前記第1〜第5実施形態の原盤40の初期凹凸パターンの形状を示す。本第6実施形態では、図16Cに二点鎖線で示される形状、又はこれに近い形状(図16Cの二点鎖線の矩形又は帯状の部分を若干拡大又は縮小した形状)が、第1スタンパ10の転写面の各凸部により磁気転写しようとする部分の形状に相当する。従って、原盤60の初期凹凸パターンの各凸部(及び基板12の第1凹凸パターンの凸部)の形状は、対応する第1スタンパ10の凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状である。
【0070】
第1スタンパ作製工程(S204)では前記第1〜第5実施形態の第1スタンパ作製工程(S104)に対し、凸部修正工程は実行せず、第1凹凸転写工程(S104A)、第2凹凸転写工程(S104C)、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)のみを実行する。これにより第1スタンパ10が完成する。
【0071】
第2スタンパ作製工程(S106)では前記第1実施形態の第2スタンパ作製工程(S106)と同様に、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、凸部拡大工程(S106C)、第3凹凸転写工程(S106D)、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S106E)を実行する。これにより第2スタンパ20が完成する。尚、凸部拡大工程(S106C)において成膜される追加膜54Aの厚さは前記第1実施形態よりも厚い。
【0072】
このように本第6実施形態では、第1スタンパ作製工程(S204)において凸部修正工程を実行することなく各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10を作製できる。又、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部拡大工程(凸部修正工程)(S106C)を実行することにより、第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。又、本第6実施形態では、第1スタンパ作製工程(S204)が凸部修正工程を含まないのでスタンパの生産効率を更に向上しうる。
【0073】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。前記第6実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、凸部拡大工程(S106C)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写により第2スタンパ20の基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第7実施形態では、図19のフローチャート及び図20に示されるように、前記第3実施形態と同様に、凸部拡大工程(S106C)を省略し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大していない第2中間被転写物54からの凹凸転写により最終被転写物58を作製する。更に、第3凹凸転写工程(106D)の後に、最終被転写物58をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S106F)を実行する。又、凸部縮小工程(S106F)の後に、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S106E)を実行する。他の工程については前記第6実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0074】
凸部縮小工程(S106F)では、前記第3実施形態の凸部縮小工程(S106F)と同じ要領で最終被転写物58をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。図20中の凸部縮小工程(S106F)を示す図における二点鎖線は最終被転写物58の転写面における除去される部分を示す。尚、最終被転写物58における凸部縮小工程(S106F)において除去される部分の厚さは前記第3実施形態よりも厚い。
【0075】
このように本第7実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106F)を実行することにより、前記第6実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。
【0076】
次に、本発明の第8実施形態について説明する。前記第6実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、凸部拡大工程(S106C)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、第3凹凸転写工程(S106D)において凸部が拡大した第2中間被転写物54からの凹凸転写により第2スタンパ20の基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第8実施形態では、図21のフローチャート及び図22に示されるように、前記第4実施形態と同様に、凸部拡大工程(S106C)を省略し、第1凹凸転写工程(S106A)と第2凹凸転写工程(S106B)の間において、第1中間被転写物52をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S106G)を実行する。その他については前記第6実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0077】
凸部縮小工程(S106G)では、前記第4実施形態の凸部縮小工程(S106G)と同じ要領で第1中間被転写物52をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。図22中の凸部縮小工程(S106G)を示す図における二点鎖線は第1中間被転写物52の転写面における除去される部分を示す。尚、第1中間被転写物52における凸部縮小工程(S106G)において除去される部分の厚さは前記第4実施形態よりも厚い。
【0078】
このように本第8実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106G)を実行することにより、前記第6及び第7実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。
【0079】
次に、本発明の第9実施形態について説明する。前記第8実施形態では、第1中間被転写物52をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する凸部縮小工程(S106G)の後に更に、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行し、基板22(最終被転写物)を作製しているが、本第9実施形態では、図23のフローチャート及び図24に示されるように、前記第5実施形態と同様に、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を省略し、凸部縮小工程(S106G)において転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工された被転写物(第8実施形態の第1中間被転写物52と同じもの)を基板22(最終被転写物)として利用する。その他については前記第8実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0080】
このように本第9実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106G)を実行することにより、前記第6〜第8実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。
【0081】
次に、本発明の第10実施形態について説明する。前記第7及び第8実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部縮小工程(S106F)、凸部縮小工程(S106G)のいずれか一方だけを実行しているが、本第10実施形態では、図25のフローチャート及び図26に示されるように、凸部縮小工程(S106F)、凸部縮小工程(S106G)の両方を実行する。その他については前記第7及び第8実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0082】
尚、第1中間被転写物52における凸部縮小工程(S106G)において除去される部分の厚さは前記第4実施形態と同じくらいであり、前記第8実施形態よりも薄い。又、最終被転写物58における凸部縮小工程(S106F)において除去される部分の厚さは前記第3実施形態と同じくらいであり、前記第7実施形態よりも薄い。
【0083】
このように本第10実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において2つの凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106F、S106G)を実行することにより、前記第6〜第9実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。又、2つの凸部縮小工程(凸部修正工程)(S106F、S106G)を実行することにより、第1中間被転写物52における凸部縮小工程(S106G)において除去される部分の厚さ、及び最終被転写物58における各凸部縮小工程(S106F)において除去される部分の厚さを抑制できるので加工精度の向上等に寄与する。
【0084】
次に、本発明の第11実施形態について説明する。前記第6及び第8実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106G)のいずれか一方だけを実行しているが、本第11実施形態では、図27のフローチャート及び図28に示されるように、凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106G)の両方を実行する。その他については前記第6及び第8実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0085】
尚、第1中間被転写物52における凸部縮小工程(S106G)において除去される部分の厚さは前記第4実施形態と同じくらいであり、前記第8実施形態よりも薄い。又、凸部拡大工程(S106C)において成膜される追加膜54Aの厚さは前記第1実施形態と同じくらいであり、前記第6実施形態よりも薄い。
【0086】
このように本第11実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106G)の2つの凸部修正工程を実行することにより、前記第6〜第10実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。又、凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106G)の2つの凸部修正工程を実行することにより、第1中間被転写物52における凸部縮小工程(S106G)において除去される部分の厚さ及び凸部拡大工程(S106C)において成膜される追加膜54Aの厚さを抑制できるので加工精度の向上等に寄与する。
【0087】
次に、本発明の第12実施形態について説明する。前記第6及び第7実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106F)のいずれか一方だけを実行しているが、本第12実施形態では、図29のフローチャート及び図30に示されるように、凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106F)の両方を実行する。その他については前記第6及び第7実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0088】
尚、凸部拡大工程(S106C)において成膜される追加膜54Aの厚さは前記第1実施形態と同じくらいであり、前記第6実施形態よりも薄い。又、最終被転写物58における凸部縮小工程(S106F)において除去される部分の厚さは前記第3実施形態と同じくらいであり、前記第7実施形態よりも薄い。
【0089】
このように本第12実施形態でも、第2スタンパ作製工程(S106)において凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106F)の2つの凸部修正工程を実行することにより、前記第6〜第11実施形態と同様に第2凹凸パターンの基板22の各凸部を原盤60からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。又、凸部拡大工程(S106C)及び凸部縮小工程(S106F)の2つの凸部修正工程を実行することにより、凸部拡大工程(S106C)において成膜される追加膜54Aの厚さ及び最終被転写物58における凸部縮小工程(S106F)において除去される部分の厚さを抑制できるので加工精度の向上等に寄与する。
【0090】
次に、本発明の第13実施形態について説明する。前記第1〜第5実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)及び第2スタンパ作製工程(S106)の両方が凸部修正工程を含み、第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を原盤40からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成するのに対し、本第13実施形態では、図31A、31B、31C、図32のフローチャート及び図33に示されるように原盤作製工程(S302)において初期凹凸パターンが第2スタンパ20の基板22の第2凹凸パターンと凹凸が反転した関係であるように原盤70を作製する。即ち、平面視において第2凹凸パターンの凸部の形状は、原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部の形状と同じである。一方、平面視において第1凹凸パターンの凸部の形状は、原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部の形状に対し縮小した形状である。従って、第1スタンパ作製工程(S104)のみが凸部修正工程を含み、第2スタンパ作製工程(S306)は凸部修正工程を含まない。その他については前記第1実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0091】
原盤作製工程(S302)では第2スタンパ20の基板22の第2凹凸パターンと凹凸が反転した関係のパターンに相当するパターンでレジストを描画(露光)/現像する。他は前記第1〜第5実施形態の原盤作製工程(S102)と同じである。尚、図31B及び31Cの二点鎖線は前記第1〜第5実施形態の原盤40の初期凹凸パターンの形状を示す。本第13実施形態では、図31Cの二点鎖線の矩形又は帯状の部分を隔てる部分の形状、又はこれに近い形状(図31Cの二点鎖線の矩形又は帯状の部分を隔てる部分を若干拡大又は縮小した形状)が、第2スタンパ20の転写面の各凸部により磁気転写しようとする部分の形状に相当する。従って、原盤70の初期凹凸パターンの各凹部(及び基板22の第2凹凸パターンの凸部)の平面視の形状は、対応する第2スタンパの各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状である。
【0092】
第1スタンパ作製工程(S104)では前記第1実施形態の第1スタンパ作製工程(S104)と同様に、第1凹凸転写工程(S104A)、凸部拡大工程(S104B)、第2凹凸転写工程(S104C)、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)を実行する。これにより第1スタンパ10が完成する。尚、凸部拡大工程(S104B)において成膜される追加膜50Aの厚さは前記第1実施形態よりも厚い。
【0093】
第2スタンパ作製工程(S306)では前記第1実施形態の第2スタンパ作製工程(S106)に対し、凸部修正工程は実行せず、第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S106E)を実行する。これにより第2スタンパ20が完成する。
【0094】
このように本第13実施形態では、第2スタンパ作製工程(S306)において凸部修正工程を実行することなく各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第2スタンパ20を作製できる。又、第1スタンパ作製工程(S104)において凸部拡大工程(凸部修正工程)(S104B)を実行することにより、第1凹凸パターンの基板12の各凸部を原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10を作製できる。又、本第13実施形態では、第2スタンパ作製工程(S306)が凸部修正工程を含まないのでスタンパの生産効率を更に向上しうる。
【0095】
次に、本発明の第14実施形態について説明する。前記第13実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)において、第1凹凸転写工程(S104A)、凸部拡大工程(S104B)、第2凹凸転写工程(S104C)、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)を実行し、第2凹凸転写工程(S104C)において凸部が拡大した中間被転写物50からの凹凸転写により第1スタンパ10の基板12(最終被転写物)を作製しているが、本第14実施形態では、図34のフローチャート及び図35に示されるように、前記第2実施形態と同様に、凸部拡大工程(S104B)を省略し、第2凹凸転写工程(S104C)において凸部が拡大していない中間被転写物50からの凹凸転写により最終被転写物56を作製する。更に、第2凹凸転写工程(S104C)の後に、最終被転写物56をその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程(S104E)を実行する。又、凸部縮小工程(S104E)の後に、下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)を実行する。その他については前記第13実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0096】
凸部縮小工程(S104E)では、前記第2実施形態の凸部縮小工程(S104E)と同じ要領で最終被転写物56をその転写面の凸部の側面部分が除去されるように加工する。図35中の凸部縮小工程(S104E)を示す図における二点鎖線は最終被転写物56の転写面における除去される部分を示す。尚、最終被転写物56における凸部縮小工程(S104E)において除去される部分の厚さは前記第2実施形態よりも厚い。
【0097】
このように本第14実施形態でも、第1スタンパ作製工程(S104)において凸部縮小工程(凸部修正工程)(S104E)を実行することにより、前記第13実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12の各凸部を原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10を作製できる。
【0098】
次に、本発明の第15実施形態について説明する。前記第13及び第14実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104)において凸部拡大工程(S104B)及び凸部縮小工程(S104E)のいずれか一方だけを実行しているが、本第15実施形態では、図36のフローチャート及び図37に示されるように、凸部拡大工程(S104B)及び凸部縮小工程(S104E)の両方を実行する。その他については前記第13及び第14実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0099】
尚、凸部拡大工程(S104B)において成膜される追加膜50Aの厚さは前記第1実施形態と同じくらいであり、前記第13実施形態よりも薄い。又、最終被転写物56における凸部縮小工程(S104E)において除去される部分の厚さは前記第2実施形態と同じくらいであり、前記第14実施形態よりも薄い。
【0100】
このように本第15実施形態でも、第1スタンパ作製工程(S104)において凸部拡大工程(S104B)及び凸部縮小工程(S104E)の2つの凸部修正工程を実行することにより、前記第13及び第14実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12の各凸部を原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10を作製できる。又、凸部拡大工程(S104B)及び凸部縮小工程(S104E)の2つの凸部修正工程を実行することにより、凸部拡大工程(S104B)において成膜される追加膜50Aの厚さ及び最終被転写物56における凸部縮小工程(S104E)において除去される部分の厚さを抑制できるので加工精度の向上等に寄与する。
【0101】
次に、本発明の第16実施形態について説明する。前記第13〜第15実施形態では、第2スタンパ作製工程(S306)において第1凹凸転写工程(S106A)、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を実行しているが、本第16実施形態では、図38のフローチャート及び図39に示されるように、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を省略し、第1凹凸転写工程(S106A)のみを実行して第1凹凸転写工程(S106A)で得られる被転写物を第2スタンパ20の基板22として利用する。その他については前記第13〜第15実施形態と同じ又は類似しているので説明を適宜省略する。
【0102】
このように本第16実施形態でも、第1スタンパ作製工程(S104)において前記第13〜第15実施形態のような凸部修正工程を実行することにより、前記第13〜第15実施形態と同様に第1凹凸パターンの基板12の各凸部を原盤70からの凹凸転写のみによって得られる凹凸パターンにおける対応する凸部に対し縮小した形状に形成できる。これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10を作製できる。又、第2スタンパ作製工程(S306)において、第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を省略し、第1凹凸転写工程(S106A)で得られる被転写物を第2スタンパ20の基板22として利用するので生産効率の更なる向上に寄与する。
【0103】
尚、前記第1〜第16実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104、S204)において、原盤40、60、70から2回の凹凸転写で最終被転写物を得ているが、原盤40、60、70から4回以上の偶数回の凹凸転写により最終被転写物を得てもよい。
【0104】
又、前記第1〜第16実施形態では、第2スタンパ作製工程(S106、S306)において、原盤40、60、70から1回又は3回の凹凸転写で最終被転写物を得ているが、原盤40、60、70から5回以上の奇数回の凹凸転写により最終被転写物を得てもよい。
【0105】
又、前記第1〜5、第6、第11、第12、第13、第15、第16実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104、S204)、第2スタンパ作製工程(S106、S306)において、最終転写物よりも1回前の転写で得られる中間被転写物に対して凸部拡大工程を行っているが、最終転写物よりも3回以上の奇数回前の転写で得られる中間被転写物に対して凸部拡大工程を行ってもよい。
【0106】
又、前記第4、第8、第10、第11実施形態では、第1スタンパ作製工程(S104、S204)、第2スタンパ作製工程(S106)において、最終被転写物よりも2回前の転写で得られる中間被転写物に対して凸部縮小工程を行っているが、最終転写物よりも4回以上の偶数回前の転写で得られる中間被転写物に対して凸部縮小工程を行ってもよい。
【0107】
又、前記第1〜第16実施形態では、情報記録媒体30は垂直記録型の磁気ディスクであるが、面内記録型の磁気ディスクにサーボ情報を記録するための磁気転写用スタンパにも本発明は適用可能である。又、情報の記録のために磁気と熱を併用する熱アシスト型の記録媒体、磁気とマイクロ波を併用するマイクロ波アシスト型の記録媒体、及び光磁気記録媒体にも本発明は適用可能である。
【実施例1】
【0108】
前記第1実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。尚、本実施例1では、情報記録媒体30のサーボ領域SAのうちプリアンブル領域に記録されるサーボ情報のパターンに対応する凹凸パターンを例として説明する。後述する実施例2−7でも同様である。プリアンブル領域に記録されるサーボ情報のパターンは、0の情報に対応する方向に磁化された径方向に長い部分と1の情報に対応する方向に磁化された径方向に長い部分とが周方向に交互に並ぶパターンである。従って、このサーボ情報のパターンに対応する凹凸パターンは、径方向に長い凸部と径方向に長い凹部とが周方向に交互に並ぶ凹凸パターンである。原盤作製工程(S102)では中心から半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凸部と凹部とが周方向に交互に並ぶ初期凹凸パターンの原盤40を作製した。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:120nm
凹部の周方向の幅:120nm
【0109】
第1スタンパ作製工程(S104)の第1凹凸転写工程(S104A)ではスパッタリング及び電解めっきにより中間被転写物50を作製した。中間被転写物50の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:120nm
凹部の周方向の幅:120nm
【0110】
凸部拡大工程(S104B)ではNiの中間被転写物50の転写面にスパッタリングにより追加膜50Aを成膜した。成膜の条件は以下のとおりであった。
追加膜50Aの材料:Cr
チャンバー内圧力:0.1Pa
成膜時間:60sec
成膜パワー(DC):500W
ターゲットと中間被転写物50との間隔:300mm
Cr粒子の照射方向と中間被転写物50の転写面の法線とがなす角度:20deg
成膜された追加膜50Aの厚さ:20nm
【0111】
尚、中間被転写物50の転写面の中心を通る法線が回転中心になるように中間被転写物50を回転させながら追加膜50Aを成膜した。追加膜50Aは中間被転写物50の転写面の凸部の側面及び上面に20nmの厚さで一様に成膜された。中間被転写物50の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:160nm
凹部の周方向の幅:80nm
【0112】
第2凹凸転写工程(S104C)では凸部が拡大した中間被転写物50を金型内に設置し、射出成形により基板12を作製した。基板12には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する第1凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0113】
下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)では基板12の凹凸面にスパッタリングにより下地膜を成膜した。成膜の条件は以下のとおりであった。
下地膜の材料:Pt
チャンバー内圧力:0.1Pa
成膜時間:30sec
成膜パワー(DC):500W
ターゲットと基板12との間隔:300mm
Pt粒子の照射方向と基板12の転写面の法線とがなす角度:10deg
成膜された下地膜の厚さ:10nm
【0114】
尚、基板12の中心を通る法線が回転中心になるように基板12を回転させながら下地膜を成膜した。下地膜は基板の凸部の側面、上面及び凹部の底面に10nmの厚さで一様に成膜された。更に、下地膜の上にスパッタリングにより強磁性膜を成膜した。成膜の条件は以下のとおりであった。
強磁性膜の材料:CoPt合金
チャンバー内圧力:0.1Pa
成膜時間:110sec
成膜パワー(DC):500W
ターゲットと基板12との間隔:300mm
CoPt合金粒子の照射方向と基板12の転写面の法線とがなす角度:0deg
成膜された強磁性膜の厚さ(凸部側面):5nm
成膜された強磁性膜の厚さ(凸部上面、凹部底面):20nm
【0115】
尚、基板12の中心を通る法線が回転中心になるように基板12を回転させながら強磁性膜を成膜した。
【0116】
このようにして得られた第1スタンパ10の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:130nm
凸部の周方向の幅:110nm
【0117】
第2スタンパ作製工程(S106)の第1凹凸転写工程(S106A)ではスパッタリング及び電解めっきにより第1中間被転写物52を作製した。又、第2凹凸転写工程(S106B)では電解めっきにより第2中間被転写物54を作製した。中間被転写物54の転写面には原盤40の初期凹凸パターンと同じ凹凸パターンが形成されていた。
【0118】
凸部拡大工程(S106C)ではNiの第2中間被転写物54の転写面にスパッタリングにより追加膜54Aを成膜した。追加膜54Aの材料等の成膜の条件は前記第1スタンパ作製工程(S104)の凸部拡大工程(S104B)と同じであった。追加膜54Aは第2中間被転写物54の転写面の凸部の側面、上面及び凹部の底面に20nmの厚さで一様に成膜された。第2中間被転写物54の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:160nm
凹部の周方向の幅:80nm
【0119】
第3凹凸転写工程(S106D)では凸部が拡大した第2中間被転写物54を金型内に設置し、射出成形により基板22を作製した。基板22には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する第2凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0120】
下地膜及び強磁性膜成膜工程(S106E)では基板22の転写面にスパッタリングにより下地膜及び強磁性膜を成膜した。成膜の条件は前記第1スタンパ作製工程(S104)の下地膜及び強磁性膜成膜工程(S104D)と同じであった。
【0121】
このようにして得られた第2スタンパ20の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:130nm
凸部の周方向の幅:110nm
【実施例2】
【0122】
前記第2実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。第1スタンパ作製工程(S104)の第2凹凸転写工程(S104C)では凸部が拡大していない中間被転写物50を金型内に設置し、射出成形により最終被転写物56を作製した。最終被転写物56には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:120nm
凸部の周方向の幅:120nm
【0123】
凸部縮小工程(S104E)では、IBEにより最終被転写物56の転写面を一様に加工し基板12を作製した。IBEの条件は以下のとおりであった。
加工用ガス:O
加工用ガスの流量:50sccm
チャンバー内圧力:0.02Pa
加工時間:15sec
ガスの照射方向と最終被転写物56の転写面の法線とがなす角度:10deg
最終被転写物56における除去された部分の厚さ:20nm
【0124】
尚、最終被転写物56の転写面の中心を通る法線が回転中心になるように最終被転写物56を回転させながら最終被転写物56をIBEで加工した。最終被転写物56の凸部の側面、上面及び凹部の底面における除去された部分の厚さはいずれも20nmの厚さで一様であった。基板12には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0125】
その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【実施例3】
【0126】
前記第3実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。第2スタンパ作製工程(S106)の第3凹凸転写工程(S106D)では凸部が拡大していない第2中間被転写物54を金型内に設置し、射出成形により最終被転写物58を作製した。最終被転写物58には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:120nm
凸部の周方向の幅:120nm
【0127】
凸部縮小工程(S106F)では、IBEにより最終被転写物58の転写面を一様に加工し基板22を作製した。IBEの条件は前記実施例2の第1スタンパ作製工程(S104)の凸部縮小工程(S104E)と同じであった。
【0128】
最終被転写物58の凸部の側面、上面及び凹部の底面における除去された部分の厚さはいずれも20nmの厚さで一様であった。基板22には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0129】
その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【実施例4】
【0130】
前記第4実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。第2スタンパ作製工程(S106)の凸部縮小工程(S106G)では、IBEによりNiの第1中間被転写物52の転写面を一様に加工した。IBEの条件は以下のとおりであった。
加工用ガス:Ar
加工用ガスの流量:10sccm
チャンバー内圧力:0.02Pa
加工時間:40sec
Arガスの照射方向と最終被転写物56の転写面の法線とがなす角度:5deg
第1中間被転写物52における除去された部分の厚さ:20nm
【0131】
尚、第1中間被転写物52の転写面の中心を通る法線が回転中心になるように第1中間被転写物52を回転させながら第1中間被転写物52をIBEで加工した。第1中間被転写物52の凸部の側面、上面及び凹部の底面における除去された部分の厚さはいずれも20nmの厚さで一様であった。第1中間被転写物52における半径が28mmの位置には以下のような凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0132】
この第1中間被転写物52に基いて第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を順次実行し、上記第1中間被転写物52と同じ凹凸形状の第2凹凸パターンの基板22が得られた。その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【実施例5】
【0133】
前記第6実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。原盤作製工程(S102)では中心から半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凸部と凹部とが周方向に交互に並ぶ初期凹凸パターンの原盤60を作製した。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:80nm
凹部の周方向の幅:160nm
【0134】
第1スタンパ作製工程(S204)では凸部拡大工程も凸部縮小工程も行わなかった。
【0135】
第2スタンパ作製工程(S106)の凸部拡大工程(S106C)ではNiの第2中間被転写物54の転写面にスパッタリングにより追加膜54Aを成膜した。成膜の条件は以下のとおりであった。
追加膜54Aの材料:Cr
チャンバー内圧力:0.1Pa
成膜時間:120sec
成膜パワー:500W(DC)
ターゲットと第2中間被転写物54との間隔:300mm
Cr粒子の照射方向と第2中間被転写物54の転写面の法線とがなす角度:20deg
成膜された追加膜54Aの厚さ:40nm
【0136】
追加膜54Aは第2中間被転写物54の転写面の凸部の側面、上面及び凹部の底面に40nmの厚さで一様に成膜された。第2中間被転写物54の転写面には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凸部の周方向の幅:160nm
凹部の周方向の幅:80nm
【0137】
その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【実施例6】
【0138】
前記第7実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。原盤60は前記実施例5と同じものを用いた。実施例5と同様に第1スタンパ作製工程(S204)では凸部拡大工程も凸部縮小工程も行わなかった。
【0139】
第2スタンパ作製工程(S106)の凸部縮小工程(S106F)では、前記実施例3と同様にIBEにより最終被転写物58の転写面を一様に加工し基板22を作製した。IBEの条件は以下のとおりであった。
加工用ガス:O
加工用ガスの流量:50sccm
チャンバー内圧力:0.02Pa
加工時間:30sec
ガスの照射方向と最終被転写物56の転写面の法線とがなす角度:10deg
最終被転写物58における除去された部分の厚さ:40nm
【0140】
尚、最終被転写物58の転写面の中心を通る法線が回転中心になるように最終被転写物58を回転させながら最終被転写物58をIBEで加工した。最終被転写物58の凸部の側面、上面及び凹部の底面における除去された部分の厚さはいずれも40nmの厚さで一様であった。基板12には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0141】
その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【実施例7】
【0142】
前記第8実施形態のとおり第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製した。原盤60は前記実施例5と同じものを用いた。実施例5と同様に第1スタンパ作製工程(S204)では凸部拡大工程も凸部縮小工程も行わなかった。
【0143】
第2スタンパ作製工程(S106)の凸部縮小工程(S106G)では、前記実施例4と同様にIBEによりNiの第1中間被転写物52の転写面を一様に加工した。IBEの条件は以下のとおりであった。
加工用ガス:Ar
加工用ガスの流量:10sccm
チャンバー内圧力:0.02Pa
加工時間:80sec
Arガスの照射方向と最終被転写物56の転写面の法線とがなす角度:5deg
第1中間被転写物52における除去された部分の厚さ:40nm
【0144】
尚、第1中間被転写物52の転写面の中心を通る法線が回転中心になるように第1中間被転写物52を回転させながら第1中間被転写物52をIBEで加工した。第1中間被転写物52の凸部の側面、上面及び凹部の底面における除去された部分の厚さはいずれも40nmの厚さで一様であった。第1中間被転写物52には半径が28mmの位置において以下のような寸法を有する凹凸パターンが形成されていた。
周方向の凹凸のピッチ:240nm
凹部の周方向の幅:160nm
凸部の周方向の幅:80nm
【0145】
この第1中間被転写物52に基いて第2凹凸転写工程(S106B)、第3凹凸転写工程(S106D)を順次実行し、上記第1中間被転写物52と同じ凹凸形状の第2凹凸パターンの基板22が得られた。その他の条件は前記実施例1と同じであった。実施例1と同じ凹凸形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20が得られた。
【0146】
実施例1〜7に示されるように、第1スタンパ作製工程及び/又は第2スタンパ作製工程において凸部拡大工程及び凸部縮小工程のいずれかの凸部修正工程を実行することにより、第1凹凸パターンの基板12及び第2凹凸パターンの基板22の両方の各凸部を各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状に形成できることが確認された。又、これにより各凸部が各凸部によって磁化したい部分の形状に対し縮小した形状の第1スタンパ10及び第2スタンパ20を作製できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、例えば、ハードディスク等の情報記録媒体の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0148】
10…第1スタンパ
12、22…基板
20…第2スタンパ
30…情報記録媒体
32…基板
34…軟磁性層
36…配向層
38…記録層
40、60、70…原盤
50…中間被転写物
50A、54A…追加膜
52…第1中間被転写物
54…第2中間被転写物
56、58…最終被転写物
DA…データ領域
SA…サーボ領域
S102、S202、S302…原盤作製工程
S104、S204…第1スタンパ作製工程
S104A…第1凹凸転写工程
S104B…凸部拡大工程(凸部修正工程)
S104C…第2凹凸転写工程
S104D…下地膜及び強磁性膜成膜工程
S104E…凸部縮小工程(凸部修正工程)
S106、S306…第2スタンパ作製工程
S106A…第1凹凸転写工程
S106B…第2凹凸転写工程
S106C…凸部拡大工程(凸部修正工程)
S106D…第3凹凸転写工程
S106E…下地膜及び強磁性膜成膜工程
S106F、S106G…凸部縮小工程(凸部修正工程)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の初期凹凸パターンの転写面を有する原盤を作製する原盤作製工程と、
前記原盤から偶数回の凹凸転写によって前記初期凹凸パターンと凹凸関係が等しい第1凹凸パターンの基板を有する第1スタンパを作製する第1スタンパ作製工程と、
前記原盤から奇数回の凹凸転写によって前記初期凹凸パターンと凹凸関係が逆である第2凹凸パターンの基板を有する第2スタンパを作製する第2スタンパ作製工程と、を含み、
前記第1スタンパ作製工程及び前記第2スタンパ作製工程の少なくとも一方は、前記原盤からの凹凸転写によって最終的に得られる最終被転写物及び前記最終被転写物よりも偶数回前の転写で得られる中間被転写物のいずれかをその転写面の凸部が平面視において縮小するように加工する凸部縮小工程、及び前記最終被転写物よりも奇数回前の転写で得られる中間被転写物をその転写面の凸部が平面視において拡大するように加工する凸部拡大工程のいずれかの凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1スタンパ作製工程及び前記第2スタンパ作製工程の両方が前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記原盤作製工程において前記初期凹凸パターンが前記第1凹凸パターンと同じであるように前記原盤を作製し、
前記第2スタンパ作製工程のみが前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記原盤作製工程において前記初期凹凸パターンが前記第2凹凸パターンと凹凸が反転した関係であるように前記原盤を作製し、
前記第1スタンパ作製工程のみが前記凸部修正工程を含むことを特徴とする磁気転写用スタンパの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気転写用スタンパの製造方法により作製された前記第1スタンパ及び前記第2スタンパを用いて情報記録媒体の両面にサーボ情報を磁気転写する工程を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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