説明

磁石付き風船おもちゃ及びその製造方法

【課題】鮮明な写真画像を印刷でき、安全な位置に磁石を取付けることができ、更に、野外で快適に遊べる、磁石付き風船おもちゃ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】この磁石付き風船おもちゃ1は、複数枚のフィルム12,13,14を重ね合わせて、それらの周縁を熱溶着により接合して風船本体10を構成し、その接合面の少なくとも一箇所にフィルムからなるバルブ20を挟着し、少なくとも1つの磁石体25がフィルムの内面に接着されて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面に磁石機能を有する重りを取付けたフィルム風船からなる、磁石付き風船おもちゃ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風船おもちゃには、主として、塩化ビニールで形成されたビニール風船おもちゃと、合成樹脂フィルムで形成されたフィルム風船おもちゃと、ゴム風船で形成されたゴム風船おもちゃとがある。
【0003】
これらの風船おもちゃの表面には、漫画・アニメ等のキャラクターを印刷したり、犬や猫等の動物やアイドル等の人物の写真を印刷したりすることが広く行われている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、空気袋本体に描かれた絵、文字等の図柄の全部又は一部を少なくとも二重に形成すると共に、その周端を囲繞すべくヒートシールして中空袋状に密閉し、かつ、該中空袋状に空気注入弁を介して前記図柄部を空気袋本体とは独立して膨出せしめることを特徴とする遊戯用空気袋が開示されている。また、底部シート片の下面に起上用錐体を取付けている。更に、空気袋本体は、塩化ビニールシート等で形成されることが記載されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、少なくとも一部に磁性部を有する風船が開示されている。その実施形態の1つとして、風船の表面に磁性部を取付けることが記載されている。
【0006】
更に、下記特許文献3には、ゴムや、ビニールなどでできた風船において、重りとなる固形物を風船内部に投入し、該風船を裏返した後、該固形物を装着する、重り装着方法が開示されている。
【特許文献1】特開2000−107326号公報
【特許文献2】実開昭63−106498号公報
【特許文献3】特開2004−351176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1における空気袋本体は、塩化ビニールシート等で形成されているので、比較的重くなってしまうという問題があった。また、塩化ビニールシートは伸びやすいので、写真印刷等を利用した精緻な図柄の風船を作ることは困難であった。
【0008】
また、上記特許文献2の風船は、磁性部を設けているが、特許文献1の起上用錐体となるような重さの磁性部を設けることは意図していない。このため、多様な遊びができないという問題があった。また、風船表面に磁性部を取付けた場合には、小さな子供等が磁性部を剥がして、飲み込んでしまうという可能性が懸念される。
【0009】
更に、上記特許文献3の風船は、ゴムやビニール等に重りを投入したのち、裏返す作業が必要となるので、ゴム等の弾性に富む材質でなければ作ることができず、フィルム風船には適用することができない。
【0010】
一方、塩化ビニールシートでできたビニール風船は、所定形状にカットされたシートを1枚ずつ溶着しながら作るので、その内部に起上用錐体などを装着しやすいが、フィルム風船では、バルブ装着部を残して全周を溶着したものを自動機によって一度に作るようにしているので、その内部に錐体などを入れることが困難であるという問題があった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、軽くて、写真印刷が可能で、安全で、多様な遊びができるようにした磁石付き風船おもちゃ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の磁石付き風船おもちゃは、複数枚のフィルムを重ね合わせて、熱溶着により接合して風船本体を構成し、接合面の少なくとも一箇所にフィルムからなるバルブを挟着してなるフィルム風船において、少なくとも1つの磁石体がフィルムの内面に接着されていることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、フィルム風船からなるので、軽量で手軽に扱うことができ、また、微細な濃淡が表現可能なグラビア印刷や、高精度の印刷が可能なフレキソ印刷等によって、例えば動物写真等の図柄を鮮明に施すことができ、風船おもちゃの外観や見栄えを向上させ、おもちゃとしての価値を高めることができる。
【0014】
また、磁石体がフィルムの内面に接着されているので、不要意に剥がされたり、外れたりしてしまうことを確実に防止でき、おもちゃとしての安全性を確保することができる。
【0015】
更に、上記磁石体は、鉄板からなる壁等に風船を吸着させたり、風船の重りとしても機能するので、風船が不用意に飛んでいくことを防止できる。
【0016】
本発明の磁石付き風船おもちゃにおいては、前記風船本体の底部が丸みのある膨らみ形状をなし、前記磁石体が前記風船本体の底部内面に接着されており、前記磁石体が重りとなって、起き上がりこぼしとして機能することが好ましい。これによれば、風船本体の丸みを帯びた内部底面に、磁石体が重りとして接着されていることにより、床や地面においたときに、倒しても再度起き上がる、いわゆる起き上がりこぼしとして機能するので、風船おもちゃの遊びの幅を広げることができる。
【0017】
本発明の磁石付き風船おもちゃにおいては、前記風船本体が、前後のフィルムと、底部のフィルムとからなる3枚のフィルムを接合して構成されていることが好ましい。これによれば、底部を有する風船本体を、最小のフィルムで効率よく形成することができる。
【0018】
本発明の磁石付き風船おもちゃにおいては、前記風船本体を構成するフィルムに、写真印刷が施されていることが好ましい。これによれば、鮮明な写真印刷により、おもちゃとしての価値をより一層高めることでき、更に、店頭で展示した場合に、需要者の購買意欲等を向上させることができる。
【0019】
本発明の磁石付き風船おもちゃにおいては、前記底部フィルムの磁石体が接着された位置には、更に補強シールが貼着されていることが好ましい。これによれば、底部フィルムの磁石体が接着された位置は、補強シールにより補強されているので、磁石体のエッジやバリ等により底部フィルムに傷が付いても、空気やガス等が風船本体内から漏れることを確実に防止することができる。
【0020】
一方、本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法は、複数枚のフィルムを重ね合わせて、バルブ装着部を残して熱溶着により接合して風船本体を構成し、該風船本体のバルブ装着部に設けられた開口部を通して、片面に接着層が設けられた磁石体を挿入し、該磁石体の接着層が設けられた面に風船本体の所定箇所のフィルム内面を押付けることにより、該磁石体を該フィルム内面に接着し、次いでフィルムからなるバルブを前記開口部に挿入して熱溶着することにより、バルブを装着することを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、風船本体を構成した後、開口部を通して磁石体を挿入して、その接着層が設けられた面に、風船本体の所定箇所のフィルム内面を押付けるだけの簡単な操作で、フィルム内面に磁石本体を確実に接着させることができ、安全性が高い風船おもちゃを得ることができる。
【0022】
本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法においては、前記磁石体の片面に設けられた接着層が、両面接着テープを貼着して構成されていることが好ましい。これによれば、両面接着テープの一方の面を、磁石体に貼着するだけの操作で、磁石体の片面に接着層を設けることができ、磁石体の接着作業性を向上させる。
【0023】
本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法においては、細長い板状をなし、先端部の前記磁石体が載置される部分の周囲の少なくとも一部に、前記磁石体の厚さよりも高いリブが設けられた挿入治具を用い、前記磁石体を、前記挿入治具のリブの内側に前記接着層を上面にして載置し、その状態で前記開口部を通して前記挿入治具の先端部を前記風船本体の内部に挿入し、前記磁石体が前記風船本体内の所定箇所に配置されたら、該箇所に位置するフィルムの内面を前記磁石体の接着層に外側から押付けて接着することが好ましい。
【0024】
これによれば、細長い板状をなし、先端部の前記磁石体が載置される部分の周囲の少なくとも一部に磁石体の厚さよりも高いリブが設けられた挿入治具を用い、磁石体の接着層を上面に載置した状態で、開口部を通して挿入するようになっているので、開口部周縁に引っ掛かることなくスムーズに挿入できると共に、所定位置に配置するまで、磁石体の接着層にフィルム内面が接着するのを防止することができ、所定位置に磁石体を確実に接着させることができる。
【0025】
本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法においては、前記底部フィルムの磁石体が接着された位置に、更に補強シールを貼着する工程を含むことが好ましい。これによれば、底部フィルムの磁石体が接着された位置は、補強シールにより補強されるので、磁石体のエッジやバリ等により底部フィルムに傷が付いても、空気やガス等が風船本体内から漏れることを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の風船おもちゃによれば、軽量で手軽に扱うことができ、写真印刷を施すことができるので、風船おもちゃの外観や見栄えを向上させ、おもちゃとしての価値を高めることができる。また、磁石体がフィルムの内面に接着されているので、不要意に剥がされたり、外れたりしてしまうことを確実に防止でき、おもちゃとしての安全性を確保することができる。更に、磁石体により、鉄板からなる壁等に風船を吸着させることができると共に、風船が不用意に飛んでいくことを防止できる。
【0027】
一方、本発明の風船おもちゃの製造方法によれば、上記のような特徴を有する風船おもちゃを、風船本体の開口部を通して磁石体を挿入した後、フィルム内面を押付けるだけの簡単な操作で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の磁石付き風船おもちゃの一実施形態を説明する。
【0029】
図1には、本発明の磁石付き風船おもちゃの分解斜視図が示されている。図2には、同風船おもちゃの斜視図が示されている。図3には、本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法であって、挿入治具を用いて、磁石体を風船内部に挿入していく際の斜視図が示されている。図4には、同風船おもちゃの製造方法であって、風船内部に配置された磁石体に、フィルム内面を押し付ける際の斜視図が示されている。図5には、同風船おもちゃの製造方法であって、風船本体の所定箇所に磁石体を接着させた際の斜視図が示されている。図6には、本発明の風船おもちゃの動作状態を表す斜視図が示されている。図7には、同風船おもちゃの一使用方法を表す斜視図が示されている。
【0030】
図1に示すように、この磁石付き風船おもちゃ1(以下、「風船おもちゃ1」とする)は、風船本体10を有している。この風船本体10は、所定形状の前方フィルム12と、これに適合した形状をなすと共に、その後方に重ね合わせて配置され、下方周縁部以外の周縁部が熱溶着により接合される後方フィルム13と、各フィルム12,13の下方に配置されて、それらの下方周縁部に熱溶着により接合される、略ラグビーボール形状をなした横長楕円形状の底部フィルム14との、3枚のフィルムから構成されている。これらの前方フィルム12、後方フィルム13及び底部フィルム14の厚さとしては、20〜45μmのものが好ましく用いられる。
【0031】
各フィルムの材質としては、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール重合体等が好ましく用いられる。この実施形態では、前記前方フィルム12の表面に、動物の写真が、グラビア印刷や、フレキソ印刷等によって施されている。また、各フィルムに、金属蒸着を施したり、金属箔をラミネートしたりしてもよい。中でも、ポリアミドフィルムの内面にポリエチレンフィルムをラミネートしたフィルム、あるいは該ラミネートフィルムの外側に金属蒸着を施したフィルムが、特に好ましく用いられる。
【0032】
また、上記風船本体10には、その内部に空気やガスを送り込むための、バルブ20が取付けられている。このバルブ20は、ポリエチレン等からなる一対の帯状フィルム21,21の両側部を重ね合わせて熱溶着し、ガス入口21a及びガス出口21bが開放され、更にその内部に、風船本体10への熱溶着時にも溶着しない非溶着部(図示せず)を設けた構造となっている。このバルブ20は、前記風船本体10の前方フィルム12及び底部フィルム14の各突出部からなるバルブ装着部15(図2参照)に挟み込まれて、それらと一緒に熱溶着されることにより、風船本体10に装着されるようになっている。
【0033】
ただし、バルブ20としては、上記構造に限定されず、この種の風船に用いられる各種構造のフィルム状逆止弁を用いることができる。そのような逆止弁として、例えば実開平6−37665号、特開平3−502058号などに開示されたものが挙げられる。
【0034】
また、前記底部フィルム14の内面側であって、そのほぼ中央には、所定重さの円盤状の磁石体25が、接着層25a(図3参照)を介して接着されている。更に、底部フィルム14の外面側で、磁石体25が接着された位置には、その補強を図るために補強シール27が接着されている。これは、磁石体25のエッジやバリ等によって底部フィルム14が破損しても、風船本体10内部からの空気やガス漏れを防ぐと共に、風船おもちゃ1を鉄板等の被取付部材A(図7参照)に貼着させる際に、底部フィルム14を痛めないようにするものである。
【0035】
そして、前記バルブ20のガス入口21aに、ガスノズルやストローが挿入され、気体が注入されることにより、図2に示すような風船おもちゃ1が形成される。このとき、前方フィルム12及び後方フィルム13が膨張すると共に、底部フィルム14が丸みのある膨らみ形状をなすようになっている。また、この丸みを帯びた底部フィルム14の内面中央、すなわち、風船おもちゃ1の重心位置に、前述した磁石体25が接着されている。
【0036】
次に、上記構造をなす風船おもちゃを製造するための、本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法の一実施形態について、図3〜5を参照して説明する。
【0037】
この実施形態における製造方法においては、図3に示すような挿入治具30が用いられるようになっている。この挿入治具30は、所定長さで伸びる細長板31と、この細長板31の先端部の、長さ方向両側縁から立設した一対の保持壁32,32と、細長板31の先端部表縁側に配置されると共に、前記保持壁32,32の間に配置される一対のストッパ壁33,33とから構成されている。上記保持壁32及び/又はストッパ壁33は、少なくとも磁石体25の厚さよりも高くなるように形成されている。また、各保持壁32,32の先端部には、細長板31の長さ方向先端に向かって次第に高さが低くなるテーパ面32a,32aが形成されており、後述する開口部15a(図3参照)に挿入治具30を挿入しやすくなっている。
【0038】
そして、この風船おもちゃの製造方法は、次のような工程を有している。なお、各フィルム12,13,14は、内面がポリエチレン等の溶着可能なフィルムからなり、外面がポリアミド等の溶着しないフィルムからなっている。これらのフィルム12,13,14は、予め所定形状に切断されたものを重ね合わせてそれらの周縁を熱溶着してもよいが、工業的に製造する場合は、所定幅で連続して供給されるフィルムを重ね合わせ、所定形状に溶着すると共に切断して(溶断して)形成することが好ましい。この場合、前方フィルム12を構成するフィルムと、後方フィルム13を構成するフィルムとの間に、底部フィルム14を構成するフィルムを、内面を外側に向けてV字状に折って挿入し、3枚のフィルムの周縁となる部分を一度に溶断することが好ましい。底部フィルム14はV字状に折られているが、折り曲げられた内側の面(風船の表側となる面)は溶着しないポリアミド等のフィルムで構成されているので、溶着してしまうことはない。ここまでの工程は、自動機によって製造する技術が確立されている。こうして、フィルム12,13,14の周縁がバルブ装着部を残して溶着され、風船本体10が形成される。
【0039】
次いで、図3に示すように、前記挿入治具30の保持壁32,32及びストッパ壁33,33の間に、両面接着テープが貼着されて、接着層25aが形成された磁石体25を、接着層25aを上面にして載置する。そして、図3に示す如く、磁石体25を載置した挿入治具30を、開口部15aを通して風船本体10の内部に挿入していき、底部フィルム14のほぼ中央に磁石体25が配置されるまで押し込む。更に、図4に示すように、指等で磁石体25の上方から、底部フィルム14を押しつける。すなわち、底部フィルム14の内面を、磁石体25の接着層25aに外側から押しつけることにより、底部フィルム14の内面に、磁石体25が接着層25aを介して接着されることとなる。
【0040】
その後、バルブ接着部15の開口部15aに、バルブ20を、ガス出口21b側から挿入して、これをバルブ接着部15と共に熱溶着することにより、バルブ20が装着される。その後、底部フィルム14の外面側の、前記磁石体25が接着された部分に、補強シール27を貼着し、最後にストロー等を介してバルブ20から気体が注入されることにより、図1に示す風船おもちゃ1が製造されるようになっている。
【0041】
以上説明したように、本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法においては、風船本体10を構成した後、開口部15aを通して磁石体25を挿入し、その接着層25aにフィルム内面を押付けるだけの簡単な操作で、フィルム内面に磁石体25を確実に接着させることができる。特にこの実施形態では、図3に示すような挿入治具30を用いたことにより、磁石体25を、開口部15aの周縁に引っ掛かることなくスムーズに挿入できると共に、所定位置に配置するまで、接着層25aにフィルム内面が接着するのを防止でき、所定位置に磁石体25を確実に接着させることができる。
【0042】
次に、上記製造方法により製造された本発明の風船おもちゃ1の作用効果について説明する。すなわち、この実施形態における風船おもちゃ1は、前述したような合成樹脂のフィルム12,13,14から形成されており、ポリ塩化ビニールシートのように伸びることがないので、各フィルムに、微細な濃淡が表現可能なグラビア印刷や、高精度の印刷が可能なフレキソ印刷等によって、動物写真等の図柄を鮮明に施すことができ、風船おもちゃ1の外観や見栄えを向上させ、おもちゃとしての価値を高めることができる。
【0043】
また、磁石体25が、風船本体10の内面、この実施形態では底部フィルム14の内面に接着されているので、不要意に剥がされたり、外れたりしてしまうことを確実に防止でき、おもちゃとしての安全性を確保することができる。
【0044】
更に、磁石体25が接着されていることにより、例えば、図7に示すように、鉄板等でできた被取付部材Aに、風船おもちゃ1を吸着させることができ、遊びの幅を広げることができる。また、磁石体25は、重りとしても機能するので、風等によって不用意に飛んでいくことがなく、快適に遊ぶことができる。
【0045】
また、この実施形態においては、風船本体10の底部を丸みのある膨らみ形状とすると共に、丸みを帯びた底部フィルム14のほぼ中央であっても、その内面に磁石体25を接着させたことにより、風船おもちゃ1を、いわゆる起き上がりこぼしてして機能させることができる。
【0046】
すなわち、風船本体10の丸みを帯びた内部底面に、磁石体25が重りとして接着されていることにより、図6の想像線で示すように、床や地面においたときに、倒しても再度起き上がる、いわゆる起き上がりこぼしとして機能するので、風船おもちゃの遊びの幅を広げることができる。
【0047】
また、この実施形態における風船おもちゃ1においては、前後のフィルム12,13と、底部のフィルム14とからなる3枚のフィルムを接合して構成されているので、底部を有する風船本体10を、最小のフィルムで効率よく形成することができる。
【0048】
更に、この実施形態における風船おもちゃ1においては、風船本体10の前方フィルム12に写真印刷が施されているので、風船おもちゃの外観や見栄えを向上させ、おもちゃとしての価値をより一層高めることでき、店頭で展示した場合に、需要者の購買意欲等を向上させることができる。
【0049】
また、この実施形態における風船おもちゃ1においては、底部フィルム14の磁石体25が接着された位置は、補強シール27により補強されているので、磁石体25のエッジやバリ等により底部フィルム14に傷が付いても、空気やガス等が風船本体19内から漏れることを確実に防止することができる。更に、底部フィルム14に補強シール27が接着されているため、風船おもちゃ1を被取付部材Aへ貼着させた場合にも、風船おもちゃ1の磁石体25による底部フィルム14の破損を回避することができる。
【0050】
なお、本発明が適用される風船おもちゃは、前述したような3枚のフィルム12,13,14からなるものに限られず、通常の2枚のフィルムからなる風船の内側に磁石体25を接着したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の磁石付き風船おもちゃの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】同風船おもちゃの斜視図である。
【図3】本発明の磁石付き風船おもちゃの製造方法であって、挿入治具を用いて、磁石体を風船内部に挿入していく際の斜視図である。
【図4】同風船おもちゃの製造方法であって、風船内部に配置された磁石体に、フィルム内面を押し付ける際の斜視図である。
【図5】同風船おもちゃの製造方法であって、風船本体の所定箇所に磁石体を接着させた際の斜視図である。
【図6】本発明の風船おもちゃの動作状態を示す斜視図である。
【図7】同風船おもちゃの一使用方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 磁石付き風船おもちゃ(風船おもちゃ)
10 風船本体
12 前方フィルム
13 後方フィルム
14 底部フィルム
15 バルブ装着部
15a 開口部
20 バルブ
21 帯状フィルム
21a ガス入口
21b ガス出口
25 磁石体
25a 接着層
27 補強シール
30 挿入治具
31 細長板
32 保持壁
32a テーパ面
33 ストッパ壁
A 被取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のフィルムを重ね合わせて、熱溶着により接合して風船本体を構成し、接合面の少なくとも一箇所にフィルムからなるバルブを挟着してなるフィルム風船において、
少なくとも1つの磁石体がフィルムの内面に接着されていることを特徴とする磁石付き風船おもちゃ。
【請求項2】
前記風船本体の底部が丸みのある膨らみ形状をなし、前記磁石体が前記風船本体の底部内面に接着されており、
前記磁石体が重りとなって、起き上がりこぼしとして機能する請求項1記載の磁石付き風船おもちゃ。
【請求項3】
前記風船本体が、前後のフィルムと、底部のフィルムとからなる3枚のフィルムを接合して構成されている請求項1又は2記載の磁石付き風船おもちゃ。
【請求項4】
前記風船本体を構成するフィルムに、写真印刷が施されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の磁石付き風船おもちゃ。
【請求項5】
前記底部フィルムの磁石体が接着された位置には、更に補強シールが貼着されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の磁石付き風船おもちゃ。
【請求項6】
複数枚のフィルムを重ね合わせて、バルブ装着部を残して熱溶着により接合して風船本体を構成し、
該風船本体のバルブ装着部に設けられた開口部を通して、片面に接着層が設けられた磁石体を挿入し、
該磁石体の接着層が設けられた面に風船本体の所定箇所のフィルム内面を押付けることにより、該磁石体を該フィルム内面に接着し、
次いでフィルムからなるバルブを前記開口部に挿入して熱溶着することにより、バルブを装着することを特徴とする磁石付き風船おもちゃの製造方法。
【請求項7】
前記磁石体の片面に設けられた接着層が、両面接着テープを貼着して構成されている請求項6記載の磁石付き風船おもちゃの製造方法。
【請求項8】
細長い板状をなし、先端部の前記磁石体が載置される部分の周囲の少なくとも一部に、前記磁石体の厚さよりも高いリブが設けられた挿入治具を用い、
前記磁石体を、前記挿入治具のリブの内側に前記接着層を上面にして載置し、
その状態で前記開口部を通して前記挿入治具の先端部を前記風船本体の内部に挿入し、
前記磁石体が前記風船本体内の所定箇所に配置されたら、該箇所に位置するフィルムの内面を前記磁石体の接着層に外側から押付けて接着する請求項6又は7記載の磁石付き風船おもちゃの製造方法。
【請求項9】
前記底部フィルムの磁石体が接着された位置に、更に補強シールを貼着する工程を含む請求項6〜8のいずれか1つに記載の磁石付き風船おもちゃの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−69197(P2010−69197A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242271(P2008−242271)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(391044845)エスエージーバルーンズ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】