説明

神経学的な疾患の処置におけるハッショウマメ種の粉末およびそのエキスを含有する医薬組成物、並びにその使用法

本発明は、ハッショウマメ種、または1つ以上のハッショウマメ種の成分、物質、画分、もしくはそれから得られる物質の混合物、を含有する医薬組成物を提供する。更に、本発明は、神経学的な疾患を予防し、軽減しまたは治療するための医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種、または1つ以上のハッショウマメ種の成分、物質、画分もしくはそれらから得られる物質の混合物、の使用に関する。加えて、本発明は、神経保護または神経刺激のための医薬組成物の製造におけるハッショウマメ種の使用、および神経学的な疾患を処置するための医薬組成物の製造において使用することができるハッショウマメのエキスの製造方法に関する。最後に、本発明は、パーキンソン病の処置のための医薬組成物の製造におけるハッショウマメ種の使用に関するものであって、L−ドーパ療法におけるより広い治療学的な窓を得て、組み合わせ療法の必要性を遅らせ、L−ドーパ効力のより早い発生およびより長い期間を得て、そして急性および慢性のL−ドーパ毒性を防止しまたは軽減する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ハッショウマメ種または1つ以上のハッショウマメ種の成分、物質、画分もしくはそれらから得られる物質の混合物、を含有する医薬組成物を提供する。その上、本発明は、神経学的な疾患を予防し、軽減し、または治療するための医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種の粉末、または1つ以上のハッショウマメの成分、物質、画分、もしくはそれから得られる物質の混合物の使用に関する。加えて、本発明は、神経保護または神経刺激のための医薬組成物の製造におけるハッショウマメ種の使用、および神経学的な疾患を処置するための医薬組成物の製造において使用することができるハッショウマメエキスの製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
いくつかの刊行物を、本明細書のテキスト中に引用する。本明細書中に引用する刊行物の開示内容(いずれかの製造の詳細、指示などを含む)は、本明細書の一部を構成する。
【0003】
多数の神経学的疾患および神経学的変性疾患が知られ、その多数が現在治癒できない。これらの疾患は、例えばパーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハルラーホルデン−スッパツ病、アルツハイマー疾患、老人性痴呆、クロイツフェルト−ヤコブ病、動脈硬化性痴呆、中枢閉塞性血栓血管炎、およびその他多数などの医学的な疾患を含む。パーキンソン病(PD)は進行性の運動および加齢関連の疾患であって、このものは米国において例えば500,000以上のヒトに影響を及ぼしていると見積もられており、毎年50,000ほどの新たな症例があり、1年で27ビリオンドルの費用と見積もられている。通常、PDはヒトの50代後半または60代前半において発症するが、そのものは運動コントロールの進行的な低下を生じ、運動の開始、速さおよび平滑をコントロールする能力に影響を及ぼす。PDの症状は、65〜74歳の間の15%まで、および75〜84歳の間のほぼ30%に見られる。PDは、大脳基底核の最も特徴的な疾患の1つである。該疾患と共に起こる症状は、静止時律動性振戦(rhythmical tremor)、筋緊張もしくは強直性における特異的な増大(このものは、歯車様−またはラチェット様−の特性を有することが多い)、運動の開始の困難さ、同時の動きの不足(アキネジア)、および運動の遂行における緩慢さ(運動緩除)が挙げられる。パーキンソン病を患っているヒト患者において、ドーパミンは、本質的に必要とされる(例えば、身体の運動をコントロールするため)脳の特定の領域において消失し、または最も劇的に低下する。L−ドーパは、体内でドーパミンに代謝され、このものは、神経伝達物質として脳の代謝において顕著な役割を果たす。
【0004】
該疾患の症状と同時発生するドーパミンの低下に加えて、ドーパミン−産生神経細胞(特に、中脳における黒質緻密部のもの)(これは、脳内の末梢運動コントロール中枢の1つ)が、該疾患に寄与するとも推測される。このコントロール中枢は、身体中の運動パターンを精錬するのを助ける。パーキンソン病を有する患者の脳はまた、神経細胞の減少および脳幹の2色素座位(黒質および青斑核)における色素脱失をも有することが観察された。従って、黒質における変化の激しさは、線条体中のL−ドーパミンの低下に対応する。黒質の緻密部は脳中に多数のドーパミン作用性神経細胞体を含んでいるので、これらの観察は、黒質から線状体へのドーパミン作用性経路がパーキンソン病において妨害されることを示唆する。しかしながら、PDを支配している分子機構は未だ研究中であって、そして理解に乏しい。
【0005】
PD患者の脳はドーパミンレベルが劇的に低下するという上記の発見から、脳中のドーパミンの量が正常に回復する場合には、彼らは助けられ得ると考えられた。従って、特に、L−3,4−ヒドロキシフェニルアラニン(L−ドーパ)(これは、レボドパとしても知られる)は、患者に静脈内投与される。L−ドーパ(これは、ドーパミンの直前の前駆体である)は、ドーパミンに対比して血液−脳障壁を通過することができる。長時間の投与後に、患者の症状における著しいが短時間の寛解が観察され、このことはパーキンソン病の処置のための方法を示唆する。しかしながら、この影響は通常、長期間の副作用に関係し、そして疾患の進行は防止されない。レボドパを用いる処置の間に観察される強い副作用の理由は分からないが、このことは、該化合物またはその代謝産物(ドーパミンを含む)の毒性影響であると示唆される。その上、L−ドーパおよびその代謝産物であるL−ドーパミン自身は、神経−組織における毒性影響を有し、従って該疾患症状を緩和する以外に疾患の進行に寄与し得ると、推定される。ドーパミンが十分な量で血液脳関門を通過せず、従って全身投与後に、ほんの数パーセントのL−ドーパが脳中に達するだけであることは重要である。その上、L−ドーパは末梢で直ぐに代謝され、従って高い全身性のL−ドーパ用量が臨床的効果を得るのに必要とされる(例えば、3〜4gのL−ドーパ/日)。速効性の副作用はL−ドーパのピーク血漿中レベルに直接的に関連することを考えると、近年、L−ドーパは、他の化合物(例えば、脱カルボキシラーゼおよびCOMT(カテコール−アミン−O−メチル−トランスフェラーゼ)インヒビター)との組み合わせ療法で投与されて、末梢の代謝を防止される。脳中でのドーパミンの代謝を防止するために、MAO(モノ−アミンオキシダーゼ)インヒビターもまた使用された。これらの添加物を用いて、L−ドーパの1日必要用量を平均約600mg/日にまで減少させることができる。しかしながら、これらの添加物は、レボドパを用いた処置の毒性副作用をほんの一部低下させることができるだけで、疾患の進行を防止することはできない。従って、パーキンソン病および他のレボドパ感受性の神経学的疾患(これは、L−ドーパの副作用に関係せずまたは相殺しない(例えば、神経毒性を含む))の有効な処置のための緊急の要求が存在する。
【0006】
従って、本発明の根底にある技術的な問題は、神経学的な疾患(例えば、パーキンソン病を含む)を処置するための手段および方法を提供することである。
【0007】
この技術的な問題に対する解決法は、特許請求の範囲において特徴付けられる実施態様を提供することによって、達成される。
【0008】
従って、本発明は、ハッショウマメ種粉末、またはそれから得られる1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、および医薬的に許容し得る希釈剤、賦形剤または担体、を含有する医薬組成物に関する。
【0009】
ハッショウマメは、マメ科(Leguminoseae)ファミリーの植物であって、そしてこのものは、熱帯性の国(例えば、インドおよび西インド諸島)に常在する。そのものは、長さが6mにまで成長することができる一年生のつる性マメ科ツル植物(climbing leguminous vine)である。披針形の葉は、3つの大きい菱形−卵形の小葉を有する互生(alternate)である。花は、2または3で花序(racemes)に成長し、そして白色から暗紫色であって、長い花序をつける。ハッショウマメはさやのクラスターを産生し、このものは、曲がっており(長さが4〜8cmである)、そして2〜6個の種を含む。該種は、色が黒色、白色から斑点にまで多様である。厚くそして革のように堅い(leathery)さやは、赤みがかった−橙色の長い硬い毛(stiff hairs)で覆われており、このものは容易に取り除かれ(dislodged)、そして皮膚への激しい刺激作用を生じ得る。
【0010】
ハッショウマメおよびその使用は非常に広範であってそして中国から英国、イランからスペイン、アフリカから南アメリカまでコモンフェアであると考えられているので、そのものは、Nescafe、Cowage、Velvetbean、Fagiolo Di Rio Negro、Fogarate、Jeukerwt、Juckbohne、Nd、Pien Tou、Pois A Gatter、Pois Gratte、Swagupta、T'Ao Hung King、Kekara gatel、またはRarawejahなどの様々な一般名を有する。ベルベットビーン(よく育つ一年生のつる性マメ科植物)は、元来南中国および東インド由来であって、このものは、ひところは緑色野菜作物として広く栽培された。マメ科(Fabaceae)ファミリーに属するムクナ属は、おそらく一年生および多年生のマメ科植物(例えば、一年生ベルベットビーンを含む)の100種類を含む。
【0011】
Dr. Duke's Phytochemical and Ethnobotanical Databases at phytochemical Database, USDA-ARS-NGRL, Beltsville Agricultural Research Center, Beltsville, Maryland (http://www.rain-tree.com/db/Mucuna-prurience-phytochem. htm)によれば、ハッショウマメは、多数の種々の光化学品を含む。これは例えば、1−メチル−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノロン、5−ヒドロキシトリプタミン、5−メトキシ−n,n−ジメチルトリプタミン−n−オキシド、5−オキシインドール−3−アルキルアミン、6−メトキシハルマン(harman)、アラニン、アラキドン酸、アルギニン、アスパラギン酸、ベヘン酸、ベータ−カルボリン、ベータ−シトステロール、ブフォテニン、コリン、シス−12,13−エポキシオクタデカ−トランス−9−シス−酸、シス−12,13−エポキシオクタデカ−トランス−9−エン酸、シスチン、ドーパ、没食子酸、グルタミン酸、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、L−ドーパ、レシチン、ロイシン、リノール酸、ムクナジン(Mucuadine)、ムクナイン(Mucuain)、ムクニン(Mucunine)、ミリスチン酸、N−n−ジメチルトリプタミン、N−n−ジメチルトリプタミン−n−オキシド、ニコチン、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、フェニルアラニン、リン、プロリン、タンパク質、プルリエニジン(Prurienidine)、プルリエニン(Prurienine)、サポニン、セリン、セロトニン、ステアリン酸、トレオニン、トリプタミン、チロシン、バリン、ベルノル酸(Vernolic-acid)が挙げられる。従って、ハッショウマメは従来、多数の疾患における使用が見出されており、そしてこのものは通常、駆風薬、血圧降下剤、および血糖降下剤として使用される。その上、そのものはまた、鎮痛薬、解毒薬、媚薬(aphrodisiac)、利尿薬、神経鎮痛薬(nervine)、溶解薬、発赤薬(rubefacient)、および駆虫薬としても用いられ;全身浮腫、喘息、癌、コレラ、咳、下痢、イヌにかまれた傷(dogbite)、水症、排尿障害、精神病(insanity)、おたふく風邪、胸膜炎、白癬、ヘビにかまれた傷(snakebite)、びらん、梅毒、腫瘍、および寄生虫(worms)のためにも用いられる。
【0012】
光化学の観点から、該薬物は、ジメチルトリプタミンアルカロイドおよび関連アルカロイド、レシチンおよびタンニン、並びにL−ドーパ、神経伝達物質ドーパミンの前駆体を含む。これらの化合物は全て、ハッショウマメの種中に存在することが知られる。従って、ハッショウマメ様の植物は、それらが多数の他の光化学品において大量のレボドパ(L−ドーパ)を含むという理由で、パーキンソン病のための薬物の天然供給源を供する。
【0013】
用語「治療学的に有効な」とは、疾患に関係する疾患または症状を予防し、治療しまたは軽減するのに十分な量であることを意味する。用語「得られる」とは、単離、抽出、またはそれ以外には該種から採取されもしくは得られることを意味する。当該分野の当業者は、植物から化合物を単離しまたは得るための様々な方法を知っており、そのうちのいくつかを以下に記載する。
【0014】
用語「医薬的に許容し得る」とは、動物(特に、ヒト)における使用のために、国家規制機関(national regulatory agency)または通常の薬局方によって承認されることを意味する。用語「担体」とは、治療剤を投与する場合に組み合わせる、希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを意味する。該医薬的な担体は、減菌性の液体(例えば、水および油)であり得て、このものは例えば、石油、動物、植物、または合成起源のもの(例えば、ピ−ナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む。医薬組成物を静脈内投与する場合には、水は好ましい担体である。生理食塩水、並びに水性デキストロースおよびグリセリン溶液はまた、液体担体として、特に注射可能な液剤として使用することができる。適当な医薬賦形剤としては例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、グリセロール・モノステアリン酸、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グルセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。所望する場合には、該組成物はまた、微量の湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝化剤を含み得る。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとり得る。該組成物は、通常の結合剤および担体(例えば、トリグリセリド)と一緒に坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、徐放性担体(例えば、医薬的なグレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなど)を含み得る。適当な医薬的担体としては例えば、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。該組成物は、治療学的に有効な量の該化合物(精製形態が好ましい)を、適当な量の担体と一緒に含み、その結果、患者への適当な投与のための形態を得る。該製剤は、投与の様式に適合させるべきである。
【0015】
用語「成分」、「物質」、「画分」または「物質の混合物」は全て、ハッショウマメ種から単離される、化合物または化合物の混合物を意味する。用語「単離」とは、該化合物を得てまたは単離する方法を意味する。該単離された成分は最初に、該種の粗エキス中に、該種の多数の他の成分と一緒に存在し得る。該抽出方法の最後の段階は、減少した様々な成分を含有する画分を与えるであろう。この成分の混合物は、同じ物理学的なまたは化学的な性質を有し得る。しかしながら、更なる分画は最後に、単一分子種(これは、「単離」成分である)の完全な単離を与えるであろう。本明細書中で使用する用語「物質」とは、単離または純粋な成分を意味する。しかしながら、例えば溶媒抽出などの方法は通常、微量の混入物を含む最終的な画分を与える。該物質は100%純度であることが好ましく、該物質は少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、80%または少なくとも70%純度であることがやや好ましい。しかしながら、ある場合にはより小さい程度の純度を有する物質もまた治療学的に有効であり得る。従って、本発明はまた、わずかに少なくとも60%、55%、または50%純度でさえある物質を意味する。
【0016】
本発明によって開示される、医薬組成物であるハッショウマメ種の粉末またはエキスにより、通常の処置方法において観察される短期および長期の副作用なしで、神経学的な疾患(例えば、パーキンソン病を含む)の長期間のL−ドーパ処置が可能となる。用語「ハッショウマメ種の粉末」は、ハッショウマメの種から製造される粉末を意味する。ハッショウマメ種の粉末は、該培養毛(cutular hairs)からブラッシング機械によって遊離させ、次いで生薬のために特定のミル中でミルすることによって、乾燥大豆から製造することができる。得られた粉末を、標準的なふるい4または5番(これらは、メッシュ幅が850または355μmに相当する)を用いてろ過する。L−ドーパを含有しない本発明の医薬組成物および特定のエキスは、通常の神経変性疾患の処置のために、そのままでまたは必要とされる場合には単離L−ドーパと組み合わせて適用することができる。
【0017】
通常のL−ドーパ療法は、長時間にわたる該有効用量の徐々の増大を必要とし、その結果、疾患および/またはL−ドーパもしくはドーパミンの神経毒性影響の進行を発生し、長時間にわたって毒性反応が増大し、ジスキネジアが出現し、用量による激しさが増大する。ハッショウマメ種製造物を用いる臨床的な実験において、パーキンソン病の有効な処置の場合には、これらの負の現象は観察されず、ハッショウマメ由来のL−ドーパの用量はより長時間にわたってかなり安定なままであって、そして、通常のL−ドーパ製造物を用いる長期間の療法後に予め存在するジスキネジアを有する患者の場合でさえも、ジスキネジアは発生率および激しさの低下が見られる。
【0018】
本発明は、この実験にとって合理的である。驚くべきことに、ハッショウマメの投与後に血液中のL−ドーパがかなり高レベルであっても、即時の毒性影響となることはなく、通常、通常の製剤の投与後のレベルを有すると予想される。
【0019】
本発明の実施例において提示する臨床的な研究は、このハッショウマメの種粉末製剤がかなりの量のL−ドーパを含み、これは短期間のL−ドーパの応答を有する変動する患者において、持続性期間を絶えず誘発するには十分である。1回用量チャレンジ後の運動改善の質は、合成LD/DCを用いた場合に観察される場合と同じであった。用量が15gおよび30gの両方のハッショウマメの場合に、スイッチ「オン」の開始時間および完全な「オン」−状態の時間は、合成L−ドーパおよび脱カルボキシラーゼインヒビター(LD/DC)の組み合わせを含有する医薬組成物の場合よりも有意に短い。オン−期間の長さは、LD/DCの場合よりも30gハッショウマメの場合よりも有意に長かった。このことは、L−ドーパ血漿中レベルの薬物動態学的なプロファイルに影響を及ぼし、このことは、ハッショウマメについての有意な急勾配の傾きおよび速いT最大値、並びにより大きな全AUCを示す。30gハッショウマメの場合には、早期の発生および長期間の効果の両方が、この用量の摂取後の、早く且つより高いピーク用量レベル、並びに大きなAUCによっていくらか説明することができる。有意ではないが、15gハッショウマメ用量の効果の長さは、LD/DCの場合よりもいくらか短い傾向がある。このことは、この用量後のL−ドーパレベルが約1.5時間後にLD/DCのレベル以下に低下するという薬物動態学的な発見に影響を及ぼす。従って、臨床的な設定の場合には、このことは用量順応(dose adaptation)を用いて校正することができる。
【0020】
これらの発見は、ハッショウマメ製剤が標準的なL−ドーパ製剤よりもより速いバイオアベイラビリティを実際に有し得る可能性を生じる。このことは、十二指腸からのL−ドーパの胃腸管吸収の速さの差違に関するようである。ハッショウマメ製剤および本研究において使用される合成製剤の間の最も明らかな差違は、カプセル剤とは反対に懸濁剤としてのハッショウマメの投与、および標準的なL−ドーパ製剤への末梢性脱カルボキシラーゼインヒビターの添加である。
【0021】
脱カルボキシラーゼインヒビターは主に、L−ドーパのドーパミンへの末梢性分解を遮断することによって、L−ドーパ血漿中レベルを増大させ、従って、このことにより、より多くのL−ドーパが血液脳関門を通過することが可能となり、外因性L−ドーパ用量は60〜80%(14−17)低下する。しかしながら、経口L−ドーパの脱カルボキシル化のための部位の1つは胃および腸の粘膜(18)であって、そして脱カルボキシラーゼインヒビターは、腸のL−ドーパ吸収を増大させることが報告されており(19、20)、これはおそらく胃における代謝経路(例えば、芳香族脱ヒドロキシル化)を阻害することによる。他の研究により、脱カルボキシラーゼインヒビターの存在下において、ピークL−ドーパ濃度がより高く、そしてより速くに達成されることが確認された(14、21、22)。
【0022】
これらの報告に照らすと、基礎研究における観察は驚くべきものである。このことについての可能な説明は、ハッショウマメの懸濁剤としての投与において可能である。一方で、ハッショウマメ種粉末におけるL−ドーパは、有機物質中に包埋される。排除することができるわけではないが、その放出が胃液中のゼラチンカプセル剤の分解よりもずっと早い(このことは、薬物動態学におけるそのような著しい差違についての十分な説明である)ことはないようである。ハッショウマメ粉末製剤中に含まれる添加物はまた、吸収において影響を有し得る:化学的な安定性(23)のために加えられる少量のアスコルビン酸およびクエン酸は、潜在的に胃腸吸収(24)を改善し得る。しかしながら、該製剤に実際に加えられる少量(0.188g/単位)は、十分な説明となるとは考えられない。その上、該添加物を含有しないハッショウマメを用いるこれまでの臨床的な治験において、L−ドーパのC最大値もまた、1時間以内に達するようである(5)。脱カルボシラーゼインヒビターは、L−ドーパの半減期を延長することが分かった(21、22、25)。15gハッショウマメにおけるL−ドーパの血漿中レベルの低下はLD/DCの場合よりもわずかに(有意ではない)速いが、30gハッショウマメの場合のL−ドーパのレベルは、患者内分析(図2)に示す通り、LD/DCの場合と同じ速度で低下した。従って、L−ドーパに加えて、ハッショウマメ種の粉末は、吸収増大因子および潜在的にはまた脱カルボキシラーゼインヒビター様因子を含むことがあり得る。
【0023】
別の驚くべき発見は、ハッショウマメ製剤におけるずっと高いL−ドーパ曝露にも関わらず、それに応じて該3−OMD血漿中レベルは増大しないことである。実際に、LD/DCの場合のレベルと比較して、30gハッショウマメ(159%高いLD AUCを有する)の場合において3−OMDレベルの有意な差違は存在しなかった。その上、15gハッショウマメ(31%高いLD AUCを有する)の場合には、LD/DCの場合とは有意な差違に達する(240分時では、p=0.009)、3−OMDレベルの一定の低下が存在した。脱カルボキシラーゼインヒビター様因子がムクナ(Mucuna)種粉末中に全く存在しない場合には、このことは、脱カルボキシル化によるL−ドーパの有意な代謝によって説明することができる。加えて、それ以外にも、ハッショウマメ種粉末中に含まれる別因子によるドーパミン代謝の用量依存性COMT−様阻害は機能し得る。
【0024】
ハッショウマメ種粉末は天然の植物製品であって、従ってこのものは定義によれば、L−ドーパ以外のより多くの化学的な物質を含む。従って、我々の研究の結果の観点より、潜在的にL−ドーパの胃腸管吸収を促進しおよびその代謝を改変する因子についての更なる研究が保証される。
【0025】
許容度を、全ての研究薬剤において比較した。起こる全ての有害な事象は、穏やかでおよび短い持続であった。L−ドーパの急性の副作用(例えば、悪心、嘔吐、および/または起立性低血圧(めまい))は、血漿中レベルと相関することが分かった(26)。LD/DCの場合よりもムクナの場合に有意により高い血漿中レベルが得られたことを考えると、副作用プロファイルがこの1回用量チャレンジ研究において同様であることは注目すべきである。実際に、患者数には有意に依存しないが、ムクナにおける事象の数は、LD/DCの場合と比較して低かった。
【0026】
加えて、AIMSおよびGoetzのスコアの結果は、ムクナの場合の有意により高い血漿中L−ドーパレべルにもかかわらず、ジスキネジアはLD/DCの場合と比較してムクナの場合には増大しなかった(27)。その上、ジスキネジア運動指標さえも、該指標における用量依存性低下を示す。しかしながら、この低下は、この1回用量チャレンジ研究において少ない患者数のために有意性に達しなかったが、しかし、このものは初期の臨床的な観察を実証すると考える。
【0027】
ハッショウマメは、いずれかの公知の天然供給源よりもより多量のL−ドーパを含む(28、29)。上記にまとめた臨床的なデータは、L−ドーパ取り込みがかなり増大することを示す。従って、このハッショウマメはまた、酸化損傷から脆弱細胞を保護するための因子を生み出すことができると仮定できる。実際に、本発明と組み合わせて実施する実験は、ハッショウマメの神経保護および神経刺激の性質を実証する。
【0028】
ハッショウマメ中の活性成分を確認し、そして可能であれば、ドーパミンの取り込みの増大に関与する因子を同定し、そしてハッショウマメの神経保護性質を確認するために、多数のインビトロ実験を行なった。最初に、一次ドーパミン作動性培養物に及ぼすハッショウマメ画分の影響を試験し、これにより、ドーパミン取り込みを有意に増大する2個の画分を同定した。別の組の実験において、ハッショウマメエキスの画分を、MPPおよびBSOの毒性影響を低下させるそれらの能力について試験した。それらの実験の結果により、ハッショウマメの神経保護因子を含有する画分の同定が可能となった。加えて、該実験は、他の画分がドーパミンの細胞取り込みを増大する因子を含むことを実証する。
【0029】
パーキンソン病および短期間のL−ドーパ応答を有する患者におけるこの予備的な1回用量の二重盲検化の二重ダミーのチャンレンジ研究に基づいて、該ハッショウマメ製剤は、ずっと高いLD血漿中レベルにもかかわらず、現存する商業的に入手可能な合成L−ドーパ製剤よりも潜在的な利点(これは、作用の速い開始と、相当またはより長い治療学的な応答の期間とを併せ持つ)を有し、運動障害または急性LD毒性の増大はないと考えられる。L−ドーパの良好な許容度が、更なる前臨床的であって、より大きく且つ長期間の臨床的な研究において確認することができる場合には、ハッショウマメは、PD患者におけるL−ドーパ処置についてのより広い治療学的な指標を与え、従って標準的な合成L−ドーパ製剤に対する貴重な代替物となり得る。
【0030】
好ましい実施態様において、該成分、物質、または物質の混合物はハッショウマメ種から抽出する。
【0031】
用語「抽出」とは、ハッショウマメ種から化合物を得たりまたは単離する方法を意味する。当該分野の当業者は様々な抽出技術を知っており、それらの全ては単離する化合物の物理学的な性質による。本明細書中で使用する抽出は、選択的な溶媒の使用によって、不活性型(inactive)成分または不活性(inert)成分からハッショウマメの医学的に活性な部分の分離に関する。当該分野の当業者は、該用語「抽出」とは解離、滲出、消化、注入および煎出(decoction)を含むことを知っている。多数の抽出方法は、1つ以上の工程の種の機械的な処置を含み、このものは、通常初期工程であって、その後にろ過、洗浄および/または乾燥工程を行なうことができる。該抽出プロトコールはいくつかの抽出工程から構成され得て、これにより様々な濃度の治療学的に活性な化合物を含有する1つ以上の画分を得る。しかしながら、例えば溶媒抽出などの方法により、通常最終画分を得て、このものは微量の混入物を含む。該物質は100%純度であることが好ましく、そして該物質は、少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、80%または少なくとも70%純度であることがやや好ましい。しかしながら、ある場合には、より小さい大きさの純度を有する物質が、治療学的に有効であり得る。従って、本発明はまた、わずかに少なくとも60%、55%または50%でさえの純度の物質を意味する。該抽出プロトコールが1つ以上の抽出工程を含む場合には、該抽出工程は、前処置の更なる工程の後であったりまたは先であり得る。これらの前処置は次の抽出方法の質および/または量を最適化するために重要であって、そしてこのものは、例えば混合、加熱処置、化学的化合物の添加、ろ過、蒸留などの工程を含み得る。
【0032】
好ましい実施態様において、該医薬組成物は、ハッショウマメの抽出によって得られる双極性−親油性分子を含む。
【0033】
溶媒抽出は、種成分の異なる溶媒溶解度に依存する。極性溶媒は水溶性化合物を抽出する傾向があって、非−極性溶媒は親油性化合物を抽出する傾向があり、一方で両親媒性溶媒は親油性化合物および水溶性化合物を抽出することができる。当該分野の当業者は、抽出方法において使用することができる様々な溶媒を知っている。使用する溶媒は、水、ヘキサン、アセトン、エタノール、クロロホルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、および石油エーテルからなる群から選ばれる単一溶媒であることが好ましい。しかしながら、2つ以上の溶媒の混合物もまた好ましい。該溶媒は加えて、例えば酵素インヒビター(例えば、ホスファターゼインヒビターまたはプロテアーゼインヒビターを含む)、還元剤または酸化剤(例えば、DTT、GSH、アスコルビン酸またはSO−ガスを含む)、キレート化剤(例えば、EGTAまたはEDTAを含む)、および一価または二価のイオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Na、Li、Cl、SO、K、NOを含む)などの化合物を含み得る。該溶媒中に存在したりまたは抽出後に加えられるこれらの更なる化合物は、治療学的に活性な化合物の物理学的な状態を保存するのに重要であり得る。別の好ましい実施態様は、ガス(例えば、窒素またはアルゴン)(これは、該エキスの酸化状態を制御するためにも重要であり得る)の存在下での抽出である。
【0034】
物理学的なパラメータ(例えば、圧力または温度)は、それらが種成分または溶媒の凝集状態に強い影響を有し得るという理由で、抽出方法にとって重要であり得る。例えば、高圧により、二酸化炭素および他のガスの液化を生じ、そして、このことは該抽出方法の結果に強い影響を有し得る。例えば、二酸化炭素は、超臨界(hypercritical)条件で優れた溶媒であることが知られる。植物物質の抽出方法(例えば、超臨界COを用いる抽出方法を含む)が、当該分野において知られる(Verdichtete Gase zur Extraktion und Raffinierung, E. Stahl, Springer Verlag, Heidelberg, Berlin, 1986)。従って、本発明の抽出方法は、低圧、すなわち<200バールの低圧、200〜300バールの中間圧、>300バールの高圧で実施することができる。同様に、該抽出方法の間の温度は、該抽出方法の収率にとって重要となり得る。従って、本発明は、低温、すなわち0〜10℃の間で、中間温度、すなわち10℃〜40℃の間で、好ましくは20℃、25℃、30℃、もしくは37℃で、または高温度で、すなわち40℃〜100℃の間で、実施することができる。
【0035】
従って、好ましい実施態様において、本発明はハッショウマメのエキスまたはエキス画分の製造のための方法に関するものであって、該方法は、該ハッショウマメの種をCOまたはCOとブタン、プロパンもしくは他のガスとの混合物を用いて超臨界条件または異なる圧および温度の下で抽出することを含み、物質の精製および選択、またはハッショウマメエキスの分画を得る。
【0036】
本発明の好ましい実施態様において、ハッショウマメ種または種粉末は、アセトンを用いて2回抽出する。該残りの物質は更に、n−プロパノールを用いて抽出する。
【0037】
本発明の別の好ましい実施態様において、ハッショウマメ種または種粉末は、水およびエタノールの1:1混合物を用いて少なくとも1回抽出する。該抽出方法は、アスコルビン酸があってもなくても実施することができる。本発明の別の好ましい実施態様において、ハッショウマメ種または種粉末は最初に水によって抽出し、得られたエキスを更にエタノール沈降によって分画する。
【0038】
より好ましい実施態様において、該成分、物質、画分または物質の混合物は、双極性−親油性の溶媒分子(例えば、アセトン、DMSO、またはジメチルホルムアミド)を用いることによってハッショウマメ種から抽出し、これにより、親油性物質および非常に極性の親水性物質を植物物質から抽出する。これらの溶媒はまた、単に双極性と示されることもある。他の抽出方法は、有機溶媒を用いて出発し続いて極性溶媒を用いるかまたはその逆である、スタッガー(staggered)方法である。水−アルコール、アルコール−アセトン、またはアセトン−ヘキサン溶媒の混合物を用いて、親油性および親水性の構成成分を1抽出方法で抽出することも非常に多い。該双極性−親油性溶媒は、アセトン、DMSO、またはジメチルホルムアミドからなる群から選ばれることが好ましい。しかしながら、この例示は限定するものではなく、そして当該分野の当業者は抽出方法において使用し得る多数の他の双極性−親油性分子を知っている。
【0039】
別の好ましい実施態様において、該医薬組成物は、注入剤、注射液剤、ゼラチンカプセル剤、錠剤または徐放性錠剤として製剤化する。多数の運搬システムが当該分野の当業者によって知られ、そしてこのものを用いて、本発明の化合物を投与することができ、例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル中でのカプセル化を挙げられる。導入の方法は、例えば皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口の経路を含むが、これらに限定されない。該化合物または組成物は、いずれかの簡便な経路によって、例えば注入もしくはボーラス注射、上皮もしくは粘膜皮膚系統による吸収(例えば、経口粘膜、直腸および腸の粘膜など)によって投与することができ、そしてこのものは他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することができる。投与は、全身性または局所的であり得る。加えて、本発明の医薬的な化合物または組成物をいずれかの適当な経路(例えば、脳室内およびくも膜下腔内の注射)によって、中枢神経系中に導入することが所望され得て;脳室内注射は、例えばリザバー(例えば、Ommayaリザバー)と連結した脳室内カテーテルによって容易となり得る。肺投与はまた、例えば吸入器または噴霧器の使用、およびエアロゾル化剤を用いる製剤化によって、使用することもできる。本発明の医薬的な化合物または組成物を処置の必要な領域に局所的に投与することが所望され得る。該化合物または組成物は、ビヒクル、特にリポソーム中で運搬することができる(Langerによる、Science 249: 1527-1533 (1990);Treatらによる、in Liposomes in Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler(編), Liss, New York, 353-365頁 (1989);Lopez-Berestein, 同書, 317-327頁;通常、同書を参照)。該化合物または組成物は、徐放性システム(例えば、ポンプの使用を含む)で運搬することができる(Langerによる上記;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201 (1987);Buchwaldらによる、Surgery 88: 507 (1980);Saudektらによる、N. Engl. J. Med. 321: 574 (1989)を参照)。上記の徐放性システムは治療学的な標的(すなわち、脳)の近位に置くことができ、従って、全身性投与の画分のみ必要とする(例えば、Goodsonによる、in Medical Applications of Controlled Release, 上記, 2巻, 115-138頁 (1984)を参照)。
【0040】
別の好ましい実施態様において、本発明の医薬組成物は、(a)ハッショウマメの神経刺激エキス(これは、M−PL0100、M−EL100、M−BL0100および、LAT543−0からなる群から選ばれる)または(b)ハッショウマメの神経保護エキス(これは、M−W−EL1299、M−W0100、MWEL0700、およびM−ML0100からなる群から選ばれる)を含む。該エキスの1つ以上は、同じ医薬組成物中で組み合わせることができる。
【0041】
該用語「M−PL0100」は、ハッショウマメの微粉砕種(10g)を振り混ぜ(n−プロパノール(50mL)中、室温で18時間が好ましい)、引き続いてろ過することによってハッショウマメから得ることができる、エキスを意味する。該残渣の抽出は、1、2個またはそれ以上の更なる、n−プロパノールを用いる振り混ぜおよびろ過の工程によって行なうことができる。該ろ液は一緒に貯蔵し、そして該溶媒を留去して油状物の塊を得た。当然に、L−PL0100のより多いまたはより少ない量は、単に種および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0042】
用語「M−EL100」は、ハッショウマメの微粉砕種(20g)を振り混ぜる(ETOH(100mL)中、18時間が好ましい)ことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスを意味する。ろ過後に、該残渣を好ましくは18時間、振りませ、そしてろ過する。該方法を、2回、3回、4回または10回まで繰り返すことができる。引き続いて、該ろ液を濃縮し、そして一緒に貯蔵してエキスを得る。当然に、より多いまたはより少ない量のM−EL100は、単に種および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0043】
用語「M−BL0100」は、ハッショウマメの微粉砕種(10g)を振り混ぜる(n−ブタノール(50mL)中、室温で18時間が好ましい)ことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスを意味する。続いてろ過の工程を行なうことが好ましい。引き続いて、該残渣をn−ブタノールを用いて2回以上抽出することができ、その後にろ過の工程を行なうことが好ましい。該ろ液は一緒に貯蔵して、そして該溶媒を留去することができる。従って、該油状エキスを得る。当然に、より多いまたはより少ない量のM−BL0100は、単に種および溶媒の量を減少しまたは増大することによって製造することができる。
【0044】
用語「LAT00270543」は「LAT543」と定義され、そして用語「LAT00270543−0」は「LAT543−0」と定義される。LAT543およびLAT543−0の両方が、多糖類画分である。それらは、先行するヘキサン、ジクロロメタン、およびメタノールによるソックスレー抽出後に、水エキスから得ることができる。該有機溶媒エキスを廃棄する。該水抽出は、80℃で1時間実施することができる。室温で冷却後に、NaN(1g)を加えることができる。該溶液を8000Upmで30分間遠心分離し、そしてこのものを蒸留水を用いて2回洗浄することができる。該溶液を、バイキング(VIKING)透析チューブ36/32(直径27mm)中、4℃で96時間、水交換を12回行なって透析することができる。該透析した水画分を遠心分離し、そして凍結乾燥することができる。用語LAT543は、蒸留水(300mL)中に溶解した熱水の茶色がかった残渣(3g)から得ることができる沈降物に関し、そしてエタノール滴(水:エタノールの1:1)(300mL)を4℃で撹拌下、滴定する。該沈降物を遠心分離し、少量の蒸留水に溶解し、そして凍結乾燥させることができ、一方で、用語LAT543−0は、エタノール(水:エタノールの1:4)(900mL)を上記と同様な方法で処理したLAT543沈降物の上清みから得ることができる沈降物に関し、これにより、LAT543−0の多糖類の沈降を得る。LAT543およびLAT543−0の両方の沈降物を凍結乾燥し、そしてこのものを被験のために様々な濃度で水に溶解することができる。
【表1】

【0045】
LAT543およびLAT543−0の糖類含有量は、BLAKENEYらによる(1983)に従って定量化することができる。該LAT543およびLAT543−0のウロン酸含有量は、BLUMENKRANZおよびASBOE-HANSEN(1973)に従って定量化することができる。LAT543およびLAT543−0のアルブミンとしての窒素含有量は、LOWRY(1951)に従って定量化することができる。
【0046】
用語「M−W−EL1299」は、ハッショウマメの微粉砕種物質(200g)を振り混ぜる(n−ヘキサン(200mL)中、室温が好ましく、18時間が好ましい)ことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスに関する。ろ過後に、該物質は、n−ヘキサン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過した。該ろ液を集めて、そして該溶媒を留去して黄色がかった油状物を得ることができる。引き続いて、該n−ヘキサン抽出の残渣を振り混ぜ(アセトン(200mL)中、室温で18時間が好ましい)、好ましくはその後にろ過の工程を行なう。該残渣は、更に振り混ぜる(18時間が好ましい)ことによってアセトン(200mL)を用いて1回以上抽出し、続いてろ過の工程を行なうことができる。引き続いて、該残渣をアセトン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過することができる。貯蔵後に、該ろ液を蒸留によって蒸発させる(減圧下が好ましい)ことによって、黄色がかった塊を得ることができる。該残渣(このものは、上記の抽出から得る;約96g)を振り混ぜ、これは、0.5%アスコルビン酸を有する水−EtOH(1:1)混合物(500mL)中、室温で18時間が好ましい。該溶媒をろ過しそして濃縮(これは、減圧下、35℃の温度が好ましい)することができる。該抽出方法を、1回、2回、3回、4回、またはそれ以上繰り返すことができる。濃縮後に、該ろ液を集めて、そして該溶媒を真空下で除去して固体の塊を得ることができる。当然に、より多いまたはより少ない量のM−W−EL1299を、単に種および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0047】
用語「M−W0100」は、M−EL0100エキス(上記参照)を振り混ぜ(脱塩水中、室温で18時間が好ましい)、その後にろ過の工程を行なうことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスに関する。該抽出は、1回、2回、3回、4回、またはそれ以上繰り返すことができる。引き続いて、該ろ液を一緒に貯蔵し、そしてSiOを通してろ過した後に水を留去して、L−ドーパの酸化を防止することができる。当然に、より多いまたはより少ない量のM−W0100を、単に投入物質(M−EL0100画分)および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0048】
用語「MWEL0700」は、ハッショウマメを水:エタノール(1:1)混合物(アスコルビン酸の添加がないことが好ましい)を用いて抽出し、100g粉末をこの溶媒混合物(500mL)と一緒に振り混ぜる(室温で18時間が好ましい)ことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスに関する。該溶媒を減圧下で蒸発させて、乾固することができる。当然に、より多いまたはより少ない量の「MWEL0700」を、単にハッショウマメ粉末および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0049】
該用語「M−ML0100」は、ハッショウマメの微粉砕種(10g)を振り混ぜ(メタノール(50mL)中、室温で18時間が好ましい)、続いてろ過の工程を行なうことによって、ハッショウマメから得ることができるエキスに関する。該残渣の抽出は、メタノールを用いる抽出の2回以上の工程、続くろ過工程によって行なう。該ろ液を一緒に貯蔵し、そして該溶媒を留去して半固体塊を得ることができる。当然に、より多いまたはより少ない量の「M−ML0100」は、単にハッショウマメ種および溶媒の量を減少または増大することによって製造することができる。
【0050】
ある場合には、該溶媒とのインキュベート時間を減少しまたは増大することが好ましいこともあり得る。従って、該インキュベート時間は18時間以下、すなわち17、16、15、14、13、12、11、10時間であり得て、あるいは18時間以上、すなわち19、20、21、22、23または24時間であり得る。加圧下で抽出を行なう場合には実質的に、短い時間で該エキスを製造するのに十分であり得る。該抽出は室温で行なうことが好ましいが、しかしながら、ある場合には、該エキスの量または質を改善するために、温度を低下させたりまたは上昇させることが好ましいこともあり得る。従って、例えば約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃または40℃などの温度が好ましく、これらの温度は±0.5℃で変わり得る。
【0051】
本発明は、(a)L−ドーパおよび/またはドーパミンの代謝を抑制するため;(b)L−ドーパの吸収を改善して、結果、L−ドーパ効力のより早い発生を得るため;および、(c)L−ドーパ効力のより長い期間のため、の医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られもしくは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物の使用に関する。
【0052】
その上、本発明はまた、神経保護または神経刺激のための医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られもしくは抽出される1つ以上の成分、画分もしくは物質の混合物の使用をも提供する。
【0053】
用語「神経保護」とは、神経組織の保護を意味する。その上、神経保護は、神経細胞、並びに神経細胞の代謝、生存または機能に負の影響を及ぼす内因的または外因的な物理学的もしくは化学的な因子(例えば、加熱法、レントゲン放射線療法、虚血(ischaemia)、神経毒、オキシダント、中毒(intoxications)(例えば、重金属を含む)、感染症およびワクチン接種の続発症(sequelae)、全身性代謝疾患、および内分泌または電解質のホメオスタシスにおける障害)に対するそれらの機能の防止を意味する。
【0054】
用語「神経刺激」とは、神経組織の刺激を意味する。その上、神経刺激とは、物理学的方法(例えば、電気刺激的方法または化学−薬理学的方法などの方法)による、シグナル伝達および形質導入の両方に関しての、細胞増殖または神経細胞の活性の刺激による中枢および末梢の両方の神経細胞組織の機能の改善、増強または修復である。ハッショウマメの神経保護効果は、ムクナエキスを用いる前処置および損傷(酸化、毒性)ストレス薬剤への曝露後の、中脳または運動ニューロンの生存および増殖の割合のインビトロ測定法によって記録される。
【0055】
本発明はまた、神経学的な疾患を予防し、軽減しまたは治療するための医薬組成物の製造における、ハッショウマメから得られまたは抽出される1つ以上のハッショウマメの成分、画分、または物質の混合物の使用をも提供する。該用語「神経学的な疾患」とは、例えばパーキンソン病(PD)、アルツハイマー疾患(AD)、筋萎縮性側索硬化症(aALS)、運動ニューロン疾患などの疾患を含む。
【0056】
本発明の好ましい実施態様において、該使用は神経学的な変性疾患に関し、そして当該分野における当業者にとって知られる多数の疾患を含む。本発明によれば、神経変性疾患または神経学的な変性疾患は、以下の群A〜Dのうちの1つに入る。
A:変性疾患および遺伝性変性疾患(神経組織の萎縮は一次的(primair)である。この群としては例えば、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハレルフォルデン−スパッツ(Hallervorder-Spatz)疾患、アルツハイマー疾患、老人性痴呆、クロイツフェルト−ヤコブ病、動脈硬化性痴呆、中枢閉塞性血栓血管炎(cerebral thrombangitis obliterans)を含むが、これらに限定されない);
B;代謝性疾患および栄養学的疾患(全身性障害に二次的)(この群としては例えば、脂質代謝における障害(a.o. Gaucher,Niemann-Pick, Tay-Sachs, Hurler, Refsu)、ロイコジストロフィー(Leukodystrophien)、アミノ酸および炭水化物の代謝障害、肝レンズ核変性症など、欠損症(例えば、ビタミンB12欠損症または葉酸欠損症)を含む);
C:全身性疾患、内分泌障害および神経系に影響を及ぼす自己免疫応答(この群は例えば、甲状腺低下症(hypothyreose)、副甲状腺機能低下症および副甲状腺機能亢進症(hyperparathyreoidismus)、膠原病(Collageen diseases)、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシス、白質脳症、脱髄を含むが、これらに限定されない);
D:様々な内因性因子および外因性因子による神経組織の損傷(この群は例えば、虚血、外傷、身体の病毒(physical noxen)、金属による中毒(水銀、鉛、アルミニウムなど)および神経毒、アルコール乱用、感染症およびワクチン接種の続発症を含むが、これらに限定されない)。
【0057】
予防し、治療しまたは軽減され得る本明細書に使用する神経学的な変性疾患は、神経系病変の形成を特徴とする疾患である。これらの病変としては例えば、中枢(例えば、脊髄、脳を含む)または末梢の神経系のいずれかの以下の病変を含むが、これらに限定されない:(1)虚血性病変(このものは、神経系部分における酸素の欠乏により、ニューロンの損傷または死を生じる)(例えば、脳の梗塞または虚血、または脊髄の梗塞または虚血を含む);(2)外傷性病変(例えば、物理学的な損傷が原因であるかまたは外科手術に関係する病変、例えば神経系部分を切断する病変または圧迫損傷);(3)悪性病変(神経系部分は、悪性組織によって破壊されまたは損傷され、これは神経系関連性悪性または非神経系組織由来の悪性のいずれかである);(4)感染性病変(神経系部分は、例えば膿瘍による感染の結果として破壊されまたは損傷され、あるいはヒト免疫不全ウイルス、帯状疱疹、または単純ヘルペスウイルスによる感染症、またはライム病、結核、もしくは梅毒に関係する);(5)変性病変(神経系部分は、変性プロセスの結果として破壊されまたは損傷され、ここで、該変性プロセスとしては例えば、パーキンソン病、アルツハイマー疾患、ハンチントン舞踏病、または筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関係する変性を含むが、これらに限定されない);(6)栄養学的な疾患または障害に関係する病変(神経系部分は、栄養学的な障害または代謝の障害によって破壊されまたは損傷され、例えばビタミンB12欠損症、葉酸欠損症、ウェルニッケ脳症、タバコ−アルコール性弱視、マルキアファーヴァ・ビニャミ(Marchiafava-Bignami)疾患(脳梁の一次的な変性症)およびアルコール性中枢変性症を含むが、これらに限定されない);(7)全身性疾患に関係する神経学的な病変(例えば、糖尿病(糖尿病性神経障害、ベル麻痺)、全身性エリテマトーデス、癌腫、またはサルコイドーシス)を含むが、これらに限定されない);(8)毒性物質(例えば、アルコール、鉛、特定の神経毒を含む)が原因の病変;および、(9)脱髄病変(神経系部分は脱髄性疾患によって破壊されまたは損傷され、例えば多発性硬化症、ヒト免疫不全症ウイルス関連性ミエロパシー、横断脊髄障害または様々な病因、進行性多巣性白質脳症、および橋中心髄鞘壊死(central pontine myelinolysis)を含むが、これらに限定されない)。病変の形成に関係する神経額的な変性疾患および/または行動障害としては例えば、アルツハイマー疾患、パーキンソン病、トゥレット症候群、統合失調症、躁病、痴呆、パラノイア、強迫性障害、パニック障害、学習障害、ALS、精神病、自閉症、および異常行動(altered behaviors)(例えば、摂食、睡眠パターン、バランス、および認知における障害を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0058】
より好ましい実施態様において、神経学的な変性疾患は、変性および遺伝性変性疾患の群から選ばれ、例えばパーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ハレルフォルデン−スパッツ、アルツハイマー疾患、老人性痴呆、クロイツフェルト−ヤコブ病、動脈硬化性痴呆、中枢閉塞性血栓血管炎、または他の疾患(外因性因子または内因性因子が原因であり得る、神経変性疾患の群AからDにおいて記載する疾患のいずれか1つに記載する他の疾患)を挙げられる。用語「内因性因子」とは生物内起源を意味し、用語「外因性因子」とは生物外起源を意味する。
【0059】
更に別のより好ましい実施態様は、パーキンソン病である神経学的な変性疾患に関する。本発明の特に好ましい実施態様において、パーキンソン病は、急性または慢性のL−ドーパ毒性を防止することによって処置する。本発明によれば、ハッショウマメを用いて処置する患者において、ずっと高レベルのL−ドーパが毒性副作用の誘発を伴うことなく許容であり、ハッショウマメおよびそのエキスは毒性副作用を抑制するのに使用することができる。神経保護性または神経刺激性の活性を示すハッショウマメの画分またはエキスが、特に好ましい。
【0060】
更に別の好ましい実施態様は、神経学的な変性疾患を予防し、軽減しまたは処置するための医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種粉末、またはハッショウマメから得られもしくは抽出される1つ以上のハッショウマメの成分、画分もしくは物質の混合物の使用に関するものであって、ハッショウマメから得られまたは抽出される該成分、画分または物質の混合物はハッショウマメ中に含まれるいずれかの化学的な物であり得てまたは含み得る。しかしながら、該成分、画分または物質の混合物は、アルカロイド、タンパク質、ペプチド、多糖類、グリコシド、糖タンパク質、ステロール、光化学品、例えば1−メチル−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノロン、5−ヒドロキシトリプタミン、5−メトキシ−n,n−ジメチルトリプタミン−n−オキシド、5−オキシインドール−3−アルキルアミン、6−メトキシハルマン(harman)、アラニン、アラキドン酸、アルギニン、アスパラギン酸、ベヘン酸、ベータ−カルボリン、ベータ−シトステロール、ブフォテニン、コリン、シス−12,13−エポキシオクタデカ−トランス−9−シス−酸、シス−12,13−エポキシオクタデカ−トランス−9−エン酸、シスチン、DOPA、没食子酸、グルタミン酸、グルタチオン、グリシン、ヒスチジン、L−ドーパ、レシチン、ロイシン、リノール酸、ムクナジン(Mucudine)、ムクナイン(Mucunain)、ムクニン(Mucunine)、ミリスチン酸、N−n−ジメチルトリプタミン、N−n−ジメチルトリプタミン−n−オキシド、ニコチン、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、フェニルアラニン、リン、プロリン、タンパク質、プルリエニジン(Prurienidine)、プルリエニン(Prurienine)、サポニン、セリン、セロトニン、ステアリン酸、トレオニン、トリプタミン、チロシン、バリン、ベモ酸(Vemolic acid)またはホスファチド(posphatides)(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール)を含む。好ましいアルカロイドは、L−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、L−3−カルボキシ7,8−ジヒドロキシ−1,1−ジメチル,1,2,3,4−テトラ−ヒドロイソキノリン、L−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラ−ヒドロイソキノリン、L−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1 β−メチル−1,2,3,4−テトライソキノリン、および1−メチル−3−カルボキシ−6,7−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソ−キノリンを含む。該成分、画分または物質の混合物は、L−ドーパおよびハッショウマメ中に含まれる1つ以上の成分を含むことがより好ましい。本発明の別の好ましい実施態様は、ハッショウマメから単離される成分、物質、画分または物質の混合物の使用に関するものであって、これらは医薬的に有効な量またはほんの微量のL−ドーパを含まない。
【0061】
本発明の別の好ましい実施態様は、ハッショウマメの成分、画分または物質の混合物の抽出のために使用される、アルコールおよび/またはその混合物の使用に関するものであって、ここで、該アルコールは、ヘキサノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびプロパノールからなる群から選ばれる。
【0062】
更なる好ましい実施態様は、ハッショウマメの成分、画分または物質の混合物の抽出のために使用される、有機溶媒および/またはその混合物に関するものであって、ここで、該有機溶媒は、クロロホルム、CO、超臨界CO、エーテル、DMSO、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタン、およびアセトンからなる群から選ばれる。
【0063】
更なる別の好ましい実施態様は、ハッショウマメの成分、画分または物質の混合物の抽出のために使用される、極性溶媒および/またはその混合物の使用に関するものであって、ここで、該極性溶媒は、水、エタノール、メタノール、プロパノール、およびイソプロパノールからなる群から選ばれる。
【0064】
より好ましい実施態様は、0.5%アスコルビン酸[重量比%]を含有する1:1の水およびエタノール混合物の使用に関する。この工程は、n−ヘキサンを用いる最初の抽出工程で先行し、その後にアセトンを用いる抽出工程を行なうことが好ましい。しかしながら、本発明はまた混合物の使用にも関し、ここで、該エタノール濃度は、10%〜75%の間が好ましく、20%〜65%の間がより好ましく、30%〜60%の間がより一層好ましく、そして50%が最も好ましい。該混合物は0.01%〜2%の間のアスコルビン酸を含むことが好ましく、0.1%〜1.2%の間がより好ましく、0.3%〜0.9%の間がより一層好ましく、そして0.5%のアスコルビン酸が最も好ましい。しかしながら、ある場合には、抽出溶液にアスコルビン酸を全く加えないことが有利なこともあり得る。
【0065】
別の好ましい実施態様は、抽出方法のための1つ以上の溶媒または該溶媒の混合物の使用に関する。本実施態様によれば、アルコール、有機溶媒、および極性溶媒の群から選ばれる2つ以上の溶媒を該抽出方法に使用する。
【0066】
更に別の実施態様は、分画抽出に関する。
【0067】
本発明の使用の好ましい実施態様において、ハッショウマメのエキスは、(a)ハッショウマメの神経刺激エキス(このものは、M−PL0100、M−EL100、M−BL0100、およびLAT543−0からなる群から選ばれる)、または(b)ハッショウマメの神経保護エキス(このものは、M−W−EL1299、M−W0100、MWEL0700、およびM−ML0100からなる群から選ばれる)である。1つ以上の該エキスを、同じ医薬組成物中で組み合わせることができる。
【0068】
別の好ましい実施態様において、本発明の医薬組成物は、(a)ハッショウマメの神経刺激エキス(このものは、M−PL0100、M−EL100、M−BL0100、およびLAT543−0からなる群から選ばれる)、または(b)ハッショウマメの神経保護エキス(このものは、M−W−EL1299、M−W0100、MWEL0700、およびM−ML0100からなる群から選ばれる)を含む。1つ以上の該エキスを、同じ医薬組成物中で組み合わせることができる。
【0069】
本発明はまた、ハッショウマメのエキスまたはエキス−画分の製造法をも提供し、該方法は、(a)ハッショウマメの種をn−ヘキサンを用いて抽出して第1エキス溶液を得て;(b)該第1エキス溶液をろ過し;(c)(b)のろ紙保持物質をアセトンを用いて抽出して第2エキス溶液を得て;(d)該第2エキス溶液をろ過し;(e)(d)のろ紙保持物質を、0.5%アスコルビン酸を含有する水およびエタノールの1:1混合物を用いて抽出して、第3エキス溶液を得て;(f)該第3エキス溶液をろ過し;(g)(f)によって得られる保持物質について(e)の抽出方法を少なくとも4回繰り返し;そして、(h)該貯蔵したエキス溶液を濃縮する、ことを含む。しかしながら、本発明はまた、更なるろ過、洗浄または抽出の工程を含む方法に関する。該用語「ろ過」とは、ろ紙を通すことによるろ過を意味する。該用語「洗浄」とは、記載する溶媒を用いてろ紙上のろ過残渣を洗浄することを意味する。用語「濃縮」とは、低温(40〜75℃)で且つ常圧または減圧下での蒸発を意味する。別法として、水エキスを凍結乾燥することができる。
【0070】
その上、本発明はまた、最初の工程のヘキサンおよび/または第2の抽出工程のアセトンを上で定義する少なくとも1つの他の有機溶媒によって置き代える方法に関する。その上、本発明はまた、エタノール含有量および/またはアスコルビン酸の含有量を変える方法にも関する。特に、該エタノール濃度は、10%〜75%の間のいずれかの濃度に変えることができ、20%〜65%の間がより好ましく、30%〜60%の間がより一層好ましく、そして45%〜55%の間が最も好ましい。該混合物は、0.01%〜2%の間のアスコルビン酸を含むことが好ましく、0.1%〜1.2%の間がより好ましく、0.3%〜0.9%の間がより一層好ましく、そして0.45%〜5.5%の間のアスコルビン酸が最も好ましい。しかしながら、ある場合には、アスコルビン酸を該抽出溶液に全く加えないことが有利なこともあり得る。その上、本発明のこの方法により、エタノールを他のアルコール性化合物(このものは、プロパノール、イソプロパノール、およびメタノールからなる群から選ばれる)で置換することが可能である。ハッショウマメのエキスまたはエキス−画分の製造方法は、工程(f)の保持物質における工程(e)の抽出方法を繰り返すことを含む。それにもかかわらず、ある場合には、該方法からこの工程を除いたり、または本工程を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または10回まで繰り返すことが有利なこともあり得る。
【0071】
本発明はまた、ハッショウマメのエキスまたはエキス−画分の製造方法をも提供し、該方法は、(a)ハッショウマメの種をアルコール(ここで、該アルコールは(i)メタノール、エタノール、および/またはプロパノールである)を用いて抽出して、第1エキス溶液を得て;(b)該第1エキス溶液をろ過し;(c)(b)によって得られる保持物質について(a)の抽出方法を少なくとも2回繰り返し、そして、該貯蔵するエキス溶液を濃縮する、ことを含む。該第1エキス溶液は10〜100%のアルコールを含むことが好ましく、30〜100%のアルコールがより好ましく、70〜100%のアルコールがより一層好ましく、90〜100%のアルコールが更により好ましく、99〜100%のアルコールが最も好ましい。ハッショウマメのエキスまたはエキス−画分の製造方法は、工程(b)の保持物質についての工程(a)の抽出方法を繰り返すことを含む。ある場合には、該方法からこの工程を除いたりまたはこの工程を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、または10回まで繰り返すことが有利なこともあり得る。その上、ある場合には、有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))または水を加えることが有利なこともあり得る。
【0072】
好ましい実施態様において、該方法は更に、DMSOおよび/または蒸留水を含有する溶媒中に、ハッショウマメのエキスまたはエキス画分を溶解させることを含む。再溶解は、該溶解剤の存在下での該エキスの加熱処理によって支持することができ、適当な条件は当該分野の当業者によって容易に確立することができる。
【0073】
本発明はまた、ハッショウマメのエキスまたはエキス画分の製造方法にも関するものであって、該方法は、ハッショウマメの種をCO2、またはCOとブタン、プロパンもしくは他のガスとの混合物を用いて、超臨界条件または異なる圧力および温度の下で抽出して、物質の精製および選択、またはハッショウマメエキスの分画を得ることを含む。
【0074】
本発明はまた、神経疾患を処置するための医薬組成物の製造における、本発明の方法によって得ることができる、ハッショウマメ種または種粉末、並びにハッショウマメのエキスまたはエキス画分の使用をも提供する。用語「得ることができる」または「得る」とは、本発明のいずれかの方法によって製造し、単離し、または抽出することを意味する。
【0075】
本発明の好ましい実施態様は、エキス、エキス−画分、または抽出した成分、物質もしくは物質の混合物の使用に関するものであって、ここで、ハッショウマメは粉砕形態(例えば、顆粒剤、散剤、沈降剤、画分、エキス、乾燥エキス、および/または浸出物が挙げられるが、エキスが好ましい)で使用する。
【0076】
本発明の別の好ましい実施態様は、ハッショウマメ種もしくは種粉末、ハッショウマメのエキスもしくはエキス画分、または抽出した成分、物質もしくは物質の混合物の使用に関するものであって、ここで、該ハッショウマメの成分、物質、画分、またはそれらから得られる物質の混合物は、1つ以上の他の活性薬剤と組み合わせて使用する。本明細書中で使用する用語「活性薬剤」とは、神経学的な疾患の処置のために臨床的に使用されまたは将来使用されるであろう治療学的な薬剤または製品に関するものであって、例えば成分は、L−ドーパ、イソキノリンアルカロイド画分、多糖類または糖タンパク質の画分、ホスファチド、脂肪酸画分のあるなしでアミノ酸画分を含み、ここで、活性薬物とハッショウマメの成分、物質、画分または物質の混合物との組み合わせは、臨床的に有利であり得る。
【0077】
ハッショウマメの成分、物質、または物質の混合物は、個々の患者の臨床的な条件(特に、該ハッショウマメエキスを単独で用いて処置する場合の副作用)、運搬の部位、投与方法、投与スケジュール、および実施者にとって知られる他の因子を考慮して、良好な薬務と一致する様式で製剤化しそして投与する。従って、本明細書の目的のための「有効な量」は、それらの考慮によって決定される。
【0078】
本発明のエキスを含有する医薬組成物は、経口、直腸、非経口、槽内(intracistemally)、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、ゲル剤、滴剤、または経皮パッチとして)、頬側的(bucally)、または経口もしくは鼻腔内のスプレーとして投与する。「医薬的に許容し得る担体」とは、非−毒性の固体、半固体、または液体の賦形剤、希釈剤、カプセル物質、またはいずれかの種類の製剤化補助物質を意味する。本明細書中で使用する用語「非経口」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下、および関節内の注射および注入を含む、投与様式を意味する。
【0079】
該エキスはまた、徐放性システムによって適当に投与される。徐放性組成物の適当な例としては、成型した物品の形態(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)での半浸透性高分子マトリックスを含む。徐放性マトリックスとしては例えば、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号、EP 58,481)、L−グルタミン酸とガンマ−エチル−L−グルタミン酸との共重合体(Sidmanらによる、Biopolymers, 22: 547-556 (1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerらによる、J. Biomed. Mater. Res. 15: 167-277 (1981);および、Langerによる、Chem. Tech., 12: 98-105 (1982))、エチレンビニルアセテート(R. Langerらによる)、またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP 133, 988)を含む。徐放性組成物はまた、リポソーム封入されたエキスを含む。該ハッショウマメエキスを含有するリポソームは、当該分野の当業者によって知られる方法によって製造される。通常、該リポソームは、小さい(約200〜800オングストローム)単層タイプであって、ここで、該脂質含有量は約30molパーセント以上のコレステロールであって、これは最適な療法のために調節した選択比率である。
【0080】
非経口的な投与の場合に、1実施態様において、該エキスは通常、そのものを所望する大きさの純度で1回投与注射可能な形態(液剤、懸濁剤、または乳剤)中、医薬的に許容し得る担体(すなわち、使用する用量および濃度でレシピエントにとって非毒性であって、そして該製剤の他の成分と適合し得るもの)と一緒に混合することによって製剤化する。例えば、該製剤は、酸化剤、およびハッショウマメエキスの治療学的な有効性にとって有害であると知られる他の化合物を含まないことが好ましい。
【0081】
通常、該製剤は、該ハッショウマメエキスを、液体担体もしくは微細に分けた固体担体またはその両方と均一におよび密に接触させることによって製造する。次いで、必要ならば、該製品を所望する製剤に成型する。該担体は非経口担体であることが好ましく、レシピエントの血液と等張である溶液がより好ましい。該担体ビヒクルとしては例えば、水、生理食塩水、リンガー溶液、およびデキストロース溶液を含む。非水性ビヒクル(例えば、キャリヤーオイルおよびオレイン酸エチル)もまたリポソームと併せて、本明細書中で有用であり得る。
【0082】
該担体は、微量の添加物(例えば、等張性および化学安定性を増大する物質)を適当に含む。該物質は、使用する用量および濃度でレシピエントにとって非毒性であって、そしてそのものは例えば、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、および他の有機酸またはそれらの塩);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸);低分子量の(約10以下の残基)ポリペプチド(例えば、ポリアルギニンまたはトリペプチド);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性高分子(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニン);単糖類、二糖類および他の炭水化物(例えば、セルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリン);キレート化剤(例えば、EDTA);糖質アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);対イオン(例えば、ナトリウム);および/または、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート、ポロキサマー(poloxamer)またはPEG)を含む。
【0083】
該ハッショウマメエキスは典型的に、濃度が約0.1mg/mL〜100mg/mL(1〜10mg/mLが好ましい)、pHが約3〜8で、該ビヒクル中で製剤化する。
【0084】
治療学的な投与のために使用するいずれかのハッショウマメエキスは、減菌性であり得る。減菌性は、減菌ろ過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を用いるろ過によって容易に達成される。治療学的なハッショウマメの組成物は通常、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する減菌アクセスポート(例えば、静脈内溶液のバッグまたはバイアル)を有する容器中に置く。
【0085】
ハッショウマメは通常、1回または多数回の投与容器(例えば、封したアンプルまたはバイアル)中に、水性液剤または再構築のための凍結乾燥製剤として保存される。該注入液剤は、該凍結乾燥したハッショウマメエキスを注射用の静菌性水を用いて再構築することによって製造する。
【0086】
本発明の別の好ましい実施態様は、エキスもしくはエキス−画分、または抽出した成分、物質もしくは物質の混合物の使用に関するものであって、ここで、該ハッショウマメの成分、物質、画分または物質の混合物は、適用のための経口形態用注入液剤、注射液剤として、治療学的なパック、顆粒剤、食物サプリメントとして、または浣腸剤の形態で製剤化する。
【0087】
本発明の更に別の好ましい実施態様は、エキス、エキス−画分、または抽出した成分、物質もしくは物質の混合物の、経口、局所および/または非経口の適用での使用に関する。
【0088】
本発明は、ハッショウマメの成分、物質、画分もしくは物質の混合物、または本発明の医薬組成物で充填した1つ以上の容器を含有する医薬的なパックまたはキットを提供する。該容器に関連して、医薬品または生物学的な製品の製造、使用または販売を規制する国民健康保険庁(national health authority)によって規定された形であるとの通知があり、該通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売の当局による承認に影響を及ぼす。加えて、本発明のハッショウマメエキスは、他の治療学的な化合物と組み合わせて使用することができる。
【0089】
本発明はまた、神経保護性または神経刺激性の活性が必要な個体の処置方法にも関するものであって、該方法は、該個体において必要な神経保護性または神経刺激性の活性を供する際に有効である量の、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られもしくは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を該個体に投与することを含む。例えば、L−ドーパを用いて処置されるパーキンソン疾患者は典型的に、急性の毒性副作用、および長期間の使用後の副作用(例えば、ジスキネジア)を発生する。ハッショウマメまたはそのエキスを含有する医薬組成物を個体に投与することによって、該毒性の副作用は、激しさが軽減され、なくなり、または引き延ばされる。ハッショウマメ成分を含有する医薬組成物は、全ての種粉末、そのエキスの製剤として投与することができ、あるいはL−ドーパと組み合わせてまたは別々にエキス画分として投与することができる。
【0090】
本発明はまた、L−ドーパ療法における広い治療学的な窓が必要な個体の処置方法にも関するものであって、そして例えば、脱カルボキシラーゼインヒビター、脱カルボキシラーゼ、COMTもしくはMAOインヒビター、または他の抗パーキンソン病薬剤(例えば、アマンタジン、ペルゴリド、ロピニロール、カベルゴリン、プラミペキソール)との組み合わせ療法のための早期の必要性を防止することである。該方法は、該個体において必要とされるより広い治療学的な窓を供する際に有効である量の、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を該個体に投与することを含む。より広い治療学的な窓により、患者をL−ドーパまたはより高用量のL−ドーパを用いてずっと長時間、患者を処置することが可能となり、組み合わせ療法の必要性およびその結果生じる負の副作用もない。
【0091】
本発明はまた、L−ドーパの毒性で急性および/または慢性の副作用を抑制することができる医薬組成物が必要な個体(パーキンソン病患者が好ましい)の処置方法に関するものであって、該方法は、該患者においてL−ドーパの毒性で急性および/または慢性の副作用を抑制する際に有効である量の、ハッショウマメ種、または1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を投与することを含む。
【0092】
本発明はまた、L−ドーパ活性の早期の発生が必要な個体(パーキンソン病患者が好ましい)の処置方法に関するものであって、該個体に、該個体においてL−ドーパ活性の早期の発生を得る際に有効である量の、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を投与することを含む。該ハッショウマメのエキスは、L−ドーパの供給源であり得るが、しかしながら、外因性のL−ドーパを該医薬組成物に加えることができる。本方法は、ハッショウマメを用いて処置した患者はL−ドーパの吸収の増大およびL−ドーパ活性の早期の発生を示すという驚くべき臨床的な観察に基づく。
【0093】
その上、本発明はまた、末梢L−ドーパの変換を阻害するための組み合わせ療法に対する必要性なしで、持続的なL−ドーパの血漿中レベルが必要な個体(パーキンソン病患者が好ましい)の処置方法にも関するものであって、該方法は該個体に、該個体における持続的なL−ドーパの血漿中レベルを得る際に有効である量の、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を投与することを含む。
【0094】
最後に、本発明は、L−ドーパおよび/またはドーパミン代謝の抑制が必要な個体(パーキンソン病患者が好ましい)の処置方法に関するものであって、該方法は該個体に、該個体においてL−ドーパおよびドーパミン代謝を抑制するのに有効である量の、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物、を含有する医薬組成物を投与することを含む。
【0095】
典型的に、5g〜60gのハッショウマメまたはそのエキスを、患者に投与する。しかしながら、該量は特に、例えば体重、年齢、または疾患状態などの因子に依存する。従って、少なくとも5g、少なくとも10g、少なくとも15g、少なくとも20g、少なくとも25g、少なくとも30g、少なくとも40g、少なくとも45g、少なくとも50g、少なくとも55g、または少なくとも60gのハッショウマメが、所望する治療学的な効果を達成するのに適当であり得る。活性成分はあるエキス中で濃縮することができるので、より少量が患者における所望する効果を誘発するのに既に十分なこともあり得る。
【0096】
本発明は、以下の実施例によって例示する。
臨床研究
実施例1:患者、方法および研究デザイン
患者の選別:動揺性動作障害(motor fluctuations)および決まった短期間のL−ドーパ応答(1.5〜4時間)を有する、the Queen Square Brain Bank基準(9)を満たす特発性PDを有する患者は、包含するのに好適であった。それらの現行の薬物療法の毎朝の服用後の臨床的に関連するピーク用量ジスキネジアは、更に必須であった。患者はまた、研究を開始する前の少なくとも1ヶ月の期間、一定用量の処置において安定であることが必要とされた。
【0097】
それらの現行の薬物投与計画がL−ドーパ、COMTインヒビター、セレギリン(selegiline)、抗コリン作用薬、または胃の吸収を潜在的に妨害することができる他の薬物(例えば、制酸剤)の徐放性製剤を含む場合には、患者は除かれる。他の排除基準は、精神病症候群もしくは抗精神病処置中の患者、または臨床学的に関連する認知障害(このものは、MMS(ミニメンタル・ステート(Mini Mental State)スコアが24以下と定義される(10))、妊娠の危険、「オフ」状態にあるHoehn & Yahrステージ5、重度の不安定な糖尿病、および医学的な病気(例えば、不安定な循環器病疾患または中位から重度の直腸または肝臓の損傷)を有する患者を含む。全血算(Full blood count)、肝臓および腎臓の機能の血液試験を、ベースラインおよび研究の完結後に採取した。
【0098】
研究デザイン:治験は、デザインとしてランダム化の二重盲検および交差とした。各患者を順番にランダム化した。ここで、LD/DCまたはハッショウマメ種粉末製剤の2個の投与のうちの1個のいずれかを、3個の連続的なセッションにおいてダブルダミー様式で1回用量チャレンジで投与した。
【0099】
ランダム化は処置数のコンピューター発生によるものとし、該研究への参加の順番に従って各患者に割り当てた。研究薬物は、the National Hospital for Neurology and Neurosurgery, Londonの薬局において保たれ、そしてこのものは個々の薬剤師によって分配された。The Medicines Control Agency/Department of Health, UKは、研究薬物についてのライセンスの順番からの免除を発行する。該研究は、the Joint Ethics Committee of University College London/University College London Hospitalsによって承認された。全ての患者について、インフォームドコンセントを得た。
【0100】
研究薬物:ハッショウマメ種粉末製剤は、明るい黄色がかった粉末であって、このものは、独国(Wiewelhove GmbH TM)における優良医薬品製造基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)下、インドで得られる生大豆から製造しそして製剤化し、そしてこのものを7.5gのサッシェ(単位)中にパックした。水中の安定性および溶解性を増大するため、および味を改善するために、アスコルビン酸、タンジェリン(tangerine)油、二酸化ケイ素、サッカリン−Na、およびクエン酸、並びにソルビトールおよびレシチンを加えた。同じ一貫性、色および味を有する粉末物質を含有するマッチさせたプラセボサッシェを、該研究のために製造した。該製造およびプラセボについての資格品質証明書(Quality Assurance Certificates)は、独立した実験室(LAT GmbH、Munich、独国)から入手した。提示するHPLC分析は、L−ドーパの含有量がサッシェ当たり4.86%または250mgであることを示した。
【0101】
1回用量チャレンジ:患者を、チャレンジセッション前に、週間隔で3個の別々の機会での翌朝に、終夜滞在のために病院にいれた。真夜中からの全ての抗パーキンソン病薬物療法の休薬後に、従来のデイ(previous day)チャレンジを、絶食条件(紅茶、またはコーヒーおよび水を除く)下、各患者における朝の全く同じ時間に実施した。
【0102】
患者を、以下のものを受けた日の順番にランダム化した。カプセル製剤としての200mgL−ドーパ/50mgカルビドパ+7.5gプラセボ粉末製剤の4サッシェ、または15g=ムクナ種粉末の2サッシェ(500mgL−ドーパを含有)+プラセボ散剤の2サッシェ+LD/DCカプセル剤と型、色および味が同一のプラセボカプセル剤;もしくは、30g=ムクナ種粉末の4サッシェ(100mgL−ドーパを含有)+プラセボカプセル剤のいずれか。
【0103】
薬物動態学的な評価: チャレンジする前に、22G静脈内カテーテルを、患者の前腕に挿入した。各5mLの血液試料を、ベースライン、並びに該薬物療法の摂取の15、30、45、60、75、90、105、120、140、160、180、210および240分後、または完全な「オフ状態(off-state)」が達成されるまでに(この場合は、薬物摂取の240分後よりも早く起こる場合である)を採取した。試料を、各評価の終止後直ぐに遠心分離し、そしてアッセイするまで深温冷凍(deep frozen)乾燥した。血漿中L−ドーパおよび3−O−メチル−ドーパのレベルを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価した。
【0104】
最後の評価時に、更なる血液を、通常の血液学、血中糖、肝臓および腎臓の機能のために採取した。
【0105】
臨床的な評価:運動機能は、UPDRS(統合パーキンソン病評価尺度)運動スコアおよび「脳(Brain)−試験(11):トラッピング試験(tapping test)は、ラックトップコンピュータのキーボード上の手により多くの影響を及ぼされた患者について行なった」を用いて評価した。これらの試験は、ベースラインで、次いで患者が完全な「オン(on)」ステージに達するまでに、各血液サンプリング後直ぐに実施した。その後に、薬物投与後の240分までまたは患者が彼らのベースライン「オフ」−状態に達するまでに(いずれか最初に来る方)、20分の3間隔および30分の間隔とした。患者が完全な「オン」−状態に達した後に、ビデオ記録を20分間隔で3回実施した。特定の精神および運動の課題がジスキネジアを増大させることが分かっているので(12)、以下の課題を選択して、各ビデオセッションの間に行なった。
1.1分間、座ったままでいる;
2.暗算(mental calculations)を行なう;
3.コートを着てそしてボタンをかける;
4.1カップの水を持ち上げそして飲む;
5.歩く。
【0106】
ビデオテープを、Goetz評価スケール(Rating Scale)および異常不随意運動評価尺度(Abnormal Involuntary Movements Scale)(AIMS)の改変バージョンを用いる2の盲検評価者によって独立して評点して、薬物誘発性ジスキネジアの可能な増大を文書で証明した。
【0107】
全体的な評点および顔面筋をAIMSについて除く改変バージョンを適用し、一方でGoetzの現象学的な評点を除き、そして舞踏病(choreatic)運動だけをカウントした。
【0108】
ジスキネジアの実際の発生率および激しさは、ジスキネジア運動、ジスキネジアを長期間、客観的に評価するために開発した小さい移動式電子デバイス(13)を用いて測定した。該デバイスを、より患部側の患者の肩にテーピングした。モニターは、チャレンジセッションの全時間中に記録し、そして絶対値(このものは、発症したジスキネジアの回数および激しさの結果である)を得る。
【0109】
盲検化:ランダム化情報は、活性薬物およびマッチングプラセボを製造しそして供する会社を付した盲検フォーマット中に保った。該ランダム化コードを有する緊急用エンベロープ(Emergency envelopes)はまた、国立神経学神経外科病院(the National Hospital for Neurology and Neurosurgery, London)のヘッド薬剤師により保った。盲検化は、データベースをロックした後まで維持した。
【0110】
統計学およびデータ分析:二重盲検化治験は、処置時のAIMSスコアの間の25%の差異(このものは、従来の刊行物(13)および臨床的な判断に基づいて、臨床的に関連する変化と考える)を検出するために動力を供給した。電力計算は、5%の有意性レベルで80%の電力を得るのに、処置の手が完結した8患者が必要とされることを示した。全てのデータセットを評価し、そして平均値/中央値を適宜、ウイルコクソンの対応のない符号順位検定(Wilcoxon's non-parametric signed rank test)または対応試料(paired-samples)t−検定を用いて比較した。患者間および患者内の両方のデータを分析した。2ビデオ評価者(raters')のAIMおよびGoetzのスコアを、分析のために組み合わせた。評価者間信頼度は、評価者間の同意(agreement)がどれほど近いかに従って加重したカッパ分析(kappa analysis)を用いて評価した(Stata Statistical Software Release 6.0)。
【0111】
患者の個体群:9患者(5女性および4男性)を研究に登録した。1患者が、第1の研究薬物療法(30gムクナ)の摂取の間に一時的な嘔吐(vomiting)のためにドロップアウトした。吸収はこの患者において起こらないようなので、この患者は更なる評価から除いた。8患者がこの研究の該3セッションを完結した。患者の平均年齢は、62.2歳(50〜72の幅)であった。平均的な疾患の長さは、12.4年(7〜17の幅)であった。平均的なHoehn & Yahrステージ(「オフ」−ステージ)は3.5(2.5〜4の幅)であった。患者は、治験前に平均的な1日L−ドーパ用量の572mgを摂取した。いずれかの患者によって摂取された他の抗パーキンソン病薬物療法は、各患者においてアマンタジンの2回(200mg)、ペルゴリドの3回(平均、3.2mg)、およびロビニロール(18mg)、カベルゴリン(6mg)、およびプラミペキソール(1.4mg)とした。
【0112】
実施例2:薬物動態学的な結果
図1において、平均的な血清中L−ドーパレベルを提示する。15gおよび30gの両方の場合の平均的なC最大値は、LD/DCの場合よりも有意に大きかった(それぞれ、+57%および+163%)。T最大値は、15gムクナの場合には30分後に、30gムクナの場合には45分後に、およびLD/DCの場合には90分後に達した。該3個の研究薬物の間には、T1/2の有意な差異は全くなかった。15gムクナの場合の平均的なL−ドーパ血漿中レベルは、約80分後にLD/DCのレベル以下にまで低下し始めた。患者間の変動および対応する標準偏差(C最大値;LD:1600ng/mL、15g:5962ng/mL、30g:7213ng/mL)を考慮して、患者間の平均値を、図2において研究薬物間の差異(このものは、LD/DCからのパーセントの差異で表す(LD/DC=100%))で提示した。15gおよび30gの両方のムクナについてのピーク差異は、15分後に達した(それぞれ、+1659%および+3155%)。
【0113】
患者間の平均値に基づくと、15gムクナのL−ドーパ血漿中レベルはまた、90分後にLD/DCのレベル以下に低下し、一方で30gムクナは、+88%〜+113%の差異を保った。累積的な患者間の血漿相関の平均値(患者間のAUC差違、AUC LD/DC=100%)は、ムクナ15gの場合には+31%、および30gの場合には+159%の差違を示した。値はLD/DCを投与した患者においてより高くなる傾向があるが、3−OMDのAUC値は、該3個の研究投与計画の間において有意に相違しなかった。3−OMDの場合の患者間の平均値(図3)はまた、LD/DCの場合の血漿中レベルの差異を示さなかったが、15gムクナの場合には、LD/DCの場合のレベル以下の一定の低下が顕著であって、これは240分後には−36%の差異に達した。この相違は、有意であった(240分時でp=0.009である)。
【0114】
実施例3:臨床的な評価の結果
結果および差違の統計学的な有意性を、表1および2において示す。完全な「オン」状態までの時間は、LD/DCの場合よりも15gムクナの場合は23分(33.4%)短く、そして30gムクナの場合は34分(49.5%)短かった。スイッチオンの開始までの時間は、15gムクナの場合には、27分だけ(49%)、そして30gムクナの場合には32分(58%)だけ減少した。これらの差違は、非常に有意であった。
【表2】

【表3】

【0115】
患者間の平均的な値に基づくと、完全な「オン」−状態の長さは、LD/DCの場合と比較して、30gムクナの場合には37分(22%)長かった。この差違は有意であった(p=0.021)。15gムクナの場合の長さは、LD/DCの場合よりもいくらか(20分(12%)だけ)短かった。この差異は、正規化した患者間の評価(個々の患者における差異%の平均値)によっては有意には支持されず、15gムクナの場合は、LD/DCの「オン」時間の長さの99%に達した。ベースラインでのUPDRSスコアの差異は平均的な患者間分析において、30gムクナ対LD/DCの場合に有意性に達したが、「オン」時の最善のUPDRS運動スコアおよびタッピングスピード(tapping speed)脳(BRAIN)は、該3個の研究薬物においては有意に相違しなかった。
【0116】
ビデオ記録の評点に関する評価者間の信頼度は、十分から良好であった;加重カッパ(Weighted kappa)は、Goetzスコアの場合には0.45(p<0.0001)(Spearman'sランクは0.87、p<0.0001)であり、そしてAIMSスコアの場合には0.62(p<0.0001)(Spearman'sランクは0.97、p<0.0001)であった。評点における有意な差違は、研究薬物の間には全く見られなかった。1患者の値は1セクションの間のデバイスの位置ずれ(dislocation)のために示さなかったので、ジスキネジア運動についての結果は、7患者について評価することができるのみである。LD血漿中レベルの有意な差異にも関らず、患者間および患者内の両方のDMI値は有意には相違しなかったが、LD/DCの場合と比較したムクナの場合の指標値の用量依存性低下を記録した。この低下が臨床上の基準を有するかどうかについては、AIMSおよびGoetzの場合の結果を考慮して更に評価する必要がある。
【0117】
実施例4:安全性および許容性
30gムクナおよびプラセボの摂取の間に嘔吐が原因でドロップアウトした患者は別にして、他の有害な事象が存在し;LD/DCの場合の2患者および30gムクナの場合の2患者において、弱く且つ短期間持続する悪心、LD/DCの場合の1患者においては弱い胃痛、並びにLD/DCおよび15gムクナの各々の場合の1患者においては弱いめまいがあった。従って、全エピソードは、LD/DCの場合には4であり、15gの場合には1であって、そして30gムクナの場合には2であった。血液学および生化学のパラメータにおける臨床的に関連する変化は、全く観察されなかった。
【0118】
インビトロ研究
実施例5:インビトロ研究の物質および方法
実験的なデザイン:ハッショウマメの13個(13)の異なるエキスを、中脳ニューロンの一次的な細胞培養物の生存について試験した。細胞培養物は、妊娠の14日目に胎仔げっ歯類の中脳から調製した。各エキスの3または4個の濃縮物を、これまでに公開された方法(Mytilineouらによる、1997, 1998)に従って、各パラダイムにおいて3組試験した。全ての実験は、盲検様式で実施した。
【0119】
ハッショウマメのエキスを、以下の条件下でのそれらの効果について試験した:
(I)培養したドーパミン作用性ニューロンの生存
(II)以下のもの:
(a)ブチオニンスルホキシイミン(3濃縮物)によるGSHの欠乏;
(b)MPP(3濃縮物)
へ曝露後の、培養したドーパミンニューロンの生存。
【0120】
データの分析:ドーパミンニューロンの生存に及ぼすハッショウマメのエキスの効果は、以下の測定値によって評価した:
(a)ドーパミン末端の数の基準および生存ドーパミンニューロンの数の指標としての、ドーパミンの取り込み:
(b)細胞生存の基準としての、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)の低下:
(c)生存細胞の数の測定値としてのLDH(乳酸脱水素酵素)の放出。
【0121】
これらの技術は、当該分野の当業者にとって良く知られており、そしてこれまでに公開されている(Mytilineouらによる、1997, 1998)。
【0122】
種々の(Miscellaneous)物質;妊娠ラットは、Taconic Farms(Germantown, NY)から購入した。最小必須培地(MEM)はGIBCO(Grand Isand, NY)から、ウマ血清はGemini(Calabasas, CA)から、およびNU血清はBecton Dickinson(Bedford, MA)から購入した。ベクタステインABCキットは、Vector Laboratories(Burlingame, CA)製である。他の化学品は、Sigma(St. Louis, MO)から購入した。
【0123】
細胞培養:中脳培養物は、これまでに記載されている通り(Mytilineouらによる、1993)、妊娠14日目のラット胎仔から調製する。解離細胞を、ポリ−L−オルニチン(0.1mg/mL)−コーティング皿(直径35mm、Falcon)上に、密度が10細胞/cmでプレートした。摂食培地は、30mMグルコース、2mMグルタミン、10%ウマ血清、および10%NU血清(これは、25%胎性子ウシ血清および他の添加物を含む)を有する、MEMからなる。
【0124】
ドーパミン取り込みについてのアッセイ:[H]DA取り込みは、これまでに記載されている通り(Houらによる、1996)測定する。要するに、培養物を2回洗浄して残留薬物を除去して、そしてこのものを[H]DA(0.5Ci/mL、21.4Ci/mmol)中で15分間インキュベートした。2回すすぎおよび新しい緩衝液と一緒に5分間インキュベートした後に、蓄積された[H]DAを95%エタノール(1mL)中に抽出し、このものをExoscintA(10mL)に加え、そしてシンチレーション分析器中でカウントした。
【0125】
MTTアッセイ:細胞生存度は、これまでに記載されている通り(Hanらによる、1996)、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)低下アッセイによって測定した。要するに、5mg/mLのMTT溶液(50μL)を0.5mL培地を含有する各細胞培養ウェルに加えた。37℃で3時間インキュベート後に、該培地を注意深く除き、そして得られたホルマザン結晶を、該プレートを静かに振り混ぜることによって、イソプロピルアルコール(1mL)中に溶解した。吸収は、マイクロプレートリーダー中、570nmで測定した。
【0126】
LDHアッセイ:Bergmeyerらによる(1963)による方法の改良法を用いて、該培地および該細胞のLDH活性を測定した。培地を集め、遠心分離してデブリを除去して、そしてアッセイまで−80℃で冷蔵した。細胞を、pH7.2の50mMリン酸カリウム緩衝液(1.0mL)中で集め、冷中で10秒間音波処理し、そして−80℃で冷蔵した。上清み(100μL)およびNAHD(1.2mg/mL HOストック溶液)(100μL)を緩衝液(800μL)に加え、そして該試料をボルテックス−混合した。250μLのアリコート(3組)を96ウェルプレート中に室温で置き、そして該反応をピルビン酸ナトリウム(0.35mg/HOストック溶液のmL)(25μL)を添加することによって開始した。NADHの消失の割合は、プレートリーダー(Spectramax(登録商標)、Molecular Devices Corporation、Sunnyvale CA)を用いて340nmで測定した。
【0127】
統計学的な評価:多重比較のために、統計学的な分析を、ANOVA、続いてTukey検定またはDunnett検定を用いて行なった。群間の有意性は、独立した両側t−検定を用いて試験した。
【0128】
エキスの組成物および性質
1.M−HX1299(50mg):
ハッショウマメの微粉砕種物質(200g)を、n−ヘキサン(200mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該物質を更に、n−ヘキサン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過した。該ろ液を集めて、そして該溶媒を留去して黄色がかかった油状物を得た。
【0129】
2.M−AC1299(50mg):
n−ヘキサン抽出の残渣(上記)を、アセトン(200mL)中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該残渣を、更に18時間振り混ぜることによってアセトン(200mL)を用いて1回以上抽出し、そしてろ過した。該残渣をアセトン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過した。貯蔵後に、該ろ液を減圧下で蒸留することによって蒸発させて、黄色がかった塊を得た。
【0130】
3.M−W−EL1299(50mg):
該残渣(上記のエキスから得る、約96g)を、0.5%アスコルビン酸を有する水−EtOH(1:1)混合物(500mL)中、室温で18時間振り混ぜた。該溶媒をろ過し、そして温度35℃で減圧下、濃縮した。上記の抽出方法を、4回繰り返した。濃縮後に、該ろ液を集めて、そして該溶媒を減圧下で除去して固体の塊を得た。
【0131】
4.M−CH1299(50mg):
ハッショウマメの微粉砕種(100g)を、EtOH(100mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該残渣を再び18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該方法を総計4回の抽出を繰り返した。該ろ液を濃縮し、そしてこのものを一緒に貯蔵してエキスを得た。
【0132】
5.M−EL0100(50mg):
ハッショウマメの微粉砕種(20g)を、EtOH(100mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該残渣を再び18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該方法を総計4回までの抽出を繰り返した。該ろ液を濃縮し、そして一緒に貯蔵してエキスを得た。
【0133】
6.M−W0100(50mg):
上記の通りエタノール抽出から得られる残渣を更に、脱塩水中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該抽出を、3回以上繰り返した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そしてL−ドーパの酸化を防止するためにSOを通した後に、水を留去した。その結果、該固体の粘着性エキスを得た。
【0134】
7.M−ML0100(50mg):
ハッショマメの微粉砕種(10g)をメタノール(50mL)中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該残渣の抽出をメタノールを用いて2回以上行ない、そしてろ過した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そして該溶媒を留去して半−固体塊を得た。
【0135】
8.M−BL0100(50mg):
ハッショウマメの微粉砕種(10g)をn−ブタノール(50mL)中、室温で18時間振り混ぜて、そしてろ過した。該残渣の抽出は、n−ブタノールを用いて2回以上行い、そしてろ過した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そして溶媒を留去した。その結果、該油状エキスを得た。
【0136】
9.M−PL0100(50mg):
ハッショウマメの微粉砕種(10g)をn−プロパノール(50mL)中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該残渣の抽出を再び、n−プロパノールを用いて2回以上行行ない、そしてろ過した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そして該溶媒を留去して油状物の塊を得た。
【0137】
M−ACPL0800:
該ハッショウマメ種粉末を、各々の該粉末を200mLのアセトンと一緒に振り混ぜることによって、アセトンを用いて室温で18時間、2回脱脂し、合わせた溶媒を減圧下で蒸発させ、そして該残渣をn−プロパノール(500mL)と一緒に室温で18時間抽出し、次いで蒸発させて乾固した。このエキスは、微量(無視できる)のL−ドーパを含む(増強後の場合のみ、TLCで検出可能)。
【0138】
MWEL0700:
ハッショウマメ種粉末をアセトンを用いて脱脂しないが、しかし、粉末(100g)をこの溶媒混合物(500mL)と一緒に室温で18時間振り混ぜることによって、アスコルビン酸なしで水:エタノール(1:1)混合物を用いて直接的に抽出した。該溶媒を、減圧下で蒸発させて乾固した。該エキスは、微量のL−ドーパのみを含む。
【0139】
エキスの溶解度
1.M−HX1299:DMSO(0.5mL)+蒸留水(0.5mL)中に6.5mg。
2.M−AC1299:DMSO(6滴)+蒸留水(0.2mL)中に2.0mg。
3.M−W−EL1299:蒸留水(0.1mL)中に5.0mg。
4.M−CH1299:DMSO(0.3mL)+蒸留水(0.8mL)中に10.0mg。
5.M−EL0100:DMSO(2滴)+蒸留水(1.0mL)中に3.0mg。
6.M−W0100:温かい(60℃)蒸留水(0.4mL)中に7.0mg。
7.M−ML0100:蒸留水(0.3mL)中に4.0mg。
8.M−BL0100:DMSO(4滴)+蒸留水(0.4mL)中に7.0mg。
9.M−PL0100:DMSO(4滴)+蒸留水(0.4mL)中に5.0mg。
10.LAT543:様々な濃度で水中に可溶(淡くタンパク石濁)。
11.LAT543−0:様々な濃度で水中に可溶(淡くタンパク石濁)。
【0140】
該エキスのL−ドーパ組成
1.M−HX1299:L−ドーパ含有なし。
2.M−AC1299:L−ドーパ含有なし。
3.M−W−EL1299:高いL−ドーパ含有量。
4.M−CH1299:L−ドーパ含有なし。
5.M−EL0100:中位のL−ドーパ含有量。
6.M−W0100:高いL−ドーパ含有量。
7.M−ML0100:やや高いL−ドーパ含有量。
8.M−BL0100:中位のL−ドーパ含有量。
9.M−PL0100:微量のL−ドーパ含有量。
10.M−ACPL0800:微量のL−ドーパ含有量。
11.MWEL0700:微量のL−ドーパ含有量。
12.LAT543:L−ドーパ含有なし。
13.LAT543−0:L−ドーパ含有なし。
【0141】
実施例6:ハッショウマメ種の抽出方法、分画抽出
ハッショウマメエキスは、以下のプロトコールの1〜7工程を行うことによって得た。
【0142】
ハッショウマメ種の抽出方法(バッチ番号MU99001)
1.ヘキサンエキス(M−HX1299)
ハッショウマメの微粉砕種物質(200g)を、n−ヘキサン(200mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該物質を更にn−ヘキサン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過した。該ろ液を集めて、そして該溶媒を留去して黄色がかかった油状液体(収率:2.75%(重量比))(5.5g)を得た。該エキス(50mg)は、DMSO(5%重量比)(1mL)中の透明な溶液で得た。
【0143】
2.アセトンエキス(M−AC1299)
n−ヘキサン抽出の残渣を、アセトン(200mL)中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該残渣を、更に18時間振り混ぜることによってアセトン(200mL)を用いて1回以上抽出した。該残渣をアセトン(100mL)を用いて洗浄し、そしてろ過した。貯蔵後に、該ろ液を減圧下で蒸留することによって蒸発させて、黄色がかった塊(収率:1.0%(重量比))(2.02g)を得た。
【0144】
3.水−EtOH(1:1)エキス(M−W−EL1299)
該残渣(約96g)を、0.5%アスコルビン酸を有する水−EtOH(1:1)混合物(500mL)中、室温で18時間振り混ぜた。該溶媒をろ過し、そして温度35℃で減圧下、濃縮した。上記の抽出方法を、4回繰り返した。濃縮後に、該ろ液を集めて、そして該溶媒を10分の1にまで減少させ、そしてこのものを2〜4℃で24時間保った。該結晶化した物質をろ過し、そして該ろ液を2〜4℃で更に24時間保った。該結晶化した物質を再びろ過し、そしてそして一緒にして結晶(収率1.75%)(1.75g)を得た。該ろ液を蒸発させて乾固して、結晶化後に得られる粗L−ドーパ(1.78g)と合わせた固体の塊(22.51g)を得た。
【0145】
4.クロロホルムエキス(M−CH1299)
ハッショウマメの微粉砕種(100g)を、1.7%のアンモニア化クロロロホルム(300mL)中、室温で18時間振り混ぜた。該エキスをろ過し、そして該抽出を3回繰り返した。該濃縮したエキスを水洗し(100mL)、そしてこのものを更に濃縮して、エキス(収率4.0%(重量比))(4.0g)を得た。
【0146】
5.エタノールエキス(M−EL0100)
ハッショウマメの微粉砕種(20g)を、EtOH(100mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該残渣を再び18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該方法は、総計4回までの抽出を繰り返した。該ろ液を濃縮し、そして一緒に貯蔵してエキス(1.34g)を得た。該エキスを、明確に(posiively)、TLCによってL−ドーパの存在について試験した。
【0147】
6.水溶液エキス(M−W0100)
上記の通りエタノール抽出から得られる残渣を更に、脱塩水中、室温で18時間振り混ぜ、そしてろ過した。該抽出を、3回以上繰り返した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そしてL−ドーパの酸化を防止するためにSOを通した後に、水を留去した。該エキス(4.68g)を、L−ドーパの存在について試験した。
【0148】
7.アセトンエキス(M−ML0100)
ハッショマメの微粉砕種(10g)をアセトン(50mL)中、室温で18時間振り混ぜた。ろ過後に、該残渣を再びアセトンを用いて抽出した。該抽出方法は、3回以上繰り返した。該ろ液を一緒に貯蔵し、そして該溶媒を留去した。該エキス(0.37g)を、ホスファチドの存在について試験した。
【0149】
実施例7:一次的なドーパミン作用性培養物に及ぼすエキスの影響
中脳培養物は、異なる濃度のエキスを用いて7日間処理した。[H]ドーパミン取り込みは、ドーパミンニューロンの生存および増殖の指標として測定した。これは、ドーパミンニューロンの数および末端に影響を及ぼす定量的な測定である。
【0150】
未変性のドーパミン作用性培養物におけるエキスの結果を、表3に示す。これらのエキスは、用量0.05μg/mLで刺激した。しかしながら、たった1つの1エキスのM−PL0100は全ての用量で刺激され、そして処置の1週間後に該培養物においてドーパミン取り込みが有意に増大した。該影響は、2−倍近い増大であった。しかしながら、SEM(SEM=構造方程式モデリング(Structural Equation Modeling)、観察された値と潜在性の変量(測定した変量および非測定のコンストラクト(constracts))との間の相関についての仮説を調べるための包括的な統計学的方法は、非常に高かった。特に、用量応答は観察されなかったが、これは使用した最も低濃度(0.05μg/mL)の最大効力のためであろう。M−EL0100およびM−BL0100は0.05μg/mLの場合のみ、およびLAT543−0の場合には50μg/mLの場合のみ、取り込みが有意に増大することを示した。
【表4】

【0151】
実施例8:MPPの毒性効果から中脳(mesencephlic)培養物を防止する際のエキスの効果
中脳培養物を、異なる濃度のエキスのあるなしで、5μM MPPを用いて24時間処理した。[H]ドーパミン取り込みは、MPPを除いた48時間後に測定した(表4)。4個の化合物は、ドーパミンニューロンをMPP毒性(M−W−EL1299;M−W0100、およびMWEL0700)から防止した。全ての場合に、50μg/mLの濃度で有効であった。
【表5】

【0152】
実施例9:中脳培養物をBSOの毒性影響から防止する際の、エキスの効果
中脳培養物を、10または50μMのBSOを用いて72時間処理して、GSHレベルを低下させ、そして酸化的な損傷を生じる。該エキスを、BSOと同じ時間に加えた。該MTTアッセイを実施して、細胞生存度を測定した(表5)。GSH欠乏は全ての細胞に対して毒性であるので、本アッセイにおけるエキスによる防止は、ドーパミンニューロンに必ずしも限られない。
【0153】
LDHアッセイ(表6)は培養物から集めた培地中で実施し、そしてこのものは細胞生存度の基準である。このものは非特異的なアッセイであるので、該エキスによる防止は、ドーパミンニューロンに限定することができない。該研究において、MTTおよびLDHの両方の方法を用いるMPP毒性に対する防止は、M−W−EL1299、M−ML0100、およびMWEL0700の場合に観察された。
【表6】

【表7】

【0154】
乳酸脱水素酵素(LDH)は、損傷または死んだ細胞から放出される細胞酵素である。従って、LDH値は、細胞の窮迫(distress)/損傷の場合に増大する。BSO添加後の強い増大は、GSH欠乏が得られたと予想すべきである。BSOがない場合には、該エキスはLDHを増大しないが、このことはエキスそのものの毒物効果がないことを示す。BSOが存在して且つ用量LDHレベルを増大させる場合には、3エキスを除いて強く増大し、そしてLDHは0レベルで維持され、このことは強い防止を示す。著しいことに、多数のエキスはLDHレベルの上昇を示し、このことは毒性の増大を示す。全てのエキスは、高濃度で毒性であり得るDMSOを含む。このモデルにおいてDMSOはBSO毒性を増強するようである。同様な現象は、表5においてみることができる。
【0155】
同様な物が、刺激モデルにおける例であり得る(表3)。3エキスは、0.05μg/mLの用量の場合に刺激する。全ての用量の場合は、M−PLO100のみ。全3個のエキスはアルコールエキスであるが、しかしながら、PL0100のみがDMSOを含まず、微量のL−ドーパのみを含み、他の2個のエキスは、DMSOおよび中位のL−ドーパ濃度を含む。従って、DSMOおよび/またはL−ドーパ(単独でまたは相乗作用で)の用量を増大させるにつれて、毒性効果を有し、その結果刺激性影響を受ける。
【0156】
引用文献:
(1)Manyam B.による、Paralysis agitans and levodopa in 「Ayurveda」: ancient Indian treatise. Mov Disord 1990; 5: 47-48。
(2)Manyam Bによる、Sanchez-Ramos JR. traditional and complementary therapies in Parkinson's Disease. Adv Neurol 1999; 80: 565-574。
(3)Damodaran M, Ramswamy R.による、Isolation of L-dopa from the seeds of Mucuna pruriens. Biochem 1937; 31: 2149-2451。
(4)HP-200 in Parkinson's Disease Study Group. An alternative medicine treatment for Parkinson's Disease: results of a multicentre clinical trial. J Altern Complement Med 1995; 1: 249-255。
(5)Vaidya AB, Rajgopalan TS, Mankodi NAらによる、Treatment of Parkinson's Disease with the Cowhage plant-Mucuna pruriens (Bak). Neurology India 1978; 36: 171-176。
(6)Nagashayana N, Sankarankutty P, Nampoothirir MR, Mohan PK, Mohankumar KPによる、Association of L-dopa with recovery following ayuerveda medication in Parkinson's Disease. J Neurol Sci 2000; 176: 124-127。
(7)Vaidya ABらによる、The Inhibitory effect of the Cowhage Plant-Mucuna pruriens and L-Dopa on Chlorpromazine-induced hyperprolactinaemia in man. Neurol India, 1978b; 26: 177-182。
(8)Hussain G, Manyam BV.による、Mucuna pruriens Proves More Effective than L-Dopa in Parkinson's Disease Animal Model. Phytotherapy Research, Vol 11, 419-423 (1997)。
(9)Gibb WRG, Lees AJ.による、The relevance of the Lewy body to the pathogenesis of idiopathic Parkinson's Disease. J Neurol Neurosurg Psychiatry 1988; 51: 745-752。
(10)Folstein MF, Folstein SE, McHugh PR.による、「Mini-mental state」。A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician, J Psychiatr Res 1975; 12: 189-198。
(11)Giovanni G, van Schalkwijk J, Fritz VU, Lees AJ.による、Bradykinesia akinesia inco-ordination test (BRAIN TEST): an objective computerised assessment of upper limb motor function. J Neurol NeurosurgPsychiatry 1999; 67: 624-629。
(12)Durif f, Vidailhet M, Debilly B, Agid Y. による、Worsening of levodopa-induced dyskinesias by motor and mental tasks [In Process Citation]. Mov Disord 1999; 14: 242-245。
(13)Manson AJ, Brown P, O'Sullivan JD, Asselman P, Buckwell D, Lees AJ.による、An ambulatory dyskinesia monitor. J Neurol Neurosurg Psychiatry 2000; 68: 196-201。
(14)Mars H.による、modification of levodopa effect by systemic decarboxylase inhibition. Arch Neurol 1973; 28: 91-95。
(15)Jaffe M.による、Clinical studies of carbidopa and L-dopa in the treatment of Parkinson's Disease. Adv Neurol 1973; 2: 161-172。
(16)Pinder RM, Brogden RN, Sawyer PR, Speight TM, Avery GS.による、Drugs 1976;11: 329-377。
(17)Cedarbaum JM, Kutt H, Dhar AK, Watkins S, McDowell FH.による、Effect of supplemental carbidopa on bioavailability of L-dopa. Clin Neuropharmacol 1986; 9: 153-159。
(18)Bergmark J, Carlsson A, granerus AK, Jagenburg R, Magrusson T, Svanborg A.による、Decarboxylation of orally administered L-dopa in the human digestive tract. Naunyn-Schmiedebergs Archives of pharmacology 1972; 272; 437。
(19)Bakke OM, Scheline RR.による、Inhibition of a minor pathway of L-dopa metabolism in the intestinal lumen using a decarboxylase inhibitor (Ro 4-4602). J Pharmacy Pharmacol 1974; 26: 377。
(20)Pletscher A,による、Bartholini G. Selective raise in brain dopamine by inhibition of extracerebral levodopa decarboxylation. Clin Pharm Ther 1971; 12: 117-131。
(21)Dunner DL, Brodie KH, Goodwin FK.による、Plasma dopa response to levodopa administration in man: effects of a peripheral decarboxylase inhibitor. Clin Pharm Ther 1971; 12: 212。
(22)Bianchine JR, Messiha FS, Hsu TH.による、Peripheral aromatic amino acid decarboxylase inhibitor in parkinsonism. II. Effect on metabolism of L-2-14C-dopa. Clin Pharm Ther 1972; 13: 584-594。
(23)Pappert EJ, Buhrfiend C, Lipton JW, Carvey PM, stebbins GT, Goetz CG.による、Levodopa stability in solution: time course, environmental effects, and practical recommendations for clnical use. Mov Disord 1997; 11: 24-26。
(24)Yazawa I, Terao Y, sai I, Hashimoto K, Sakuta M.による、Gastric acid secretion and absorption of levodopa in patients with Parkinson's Disease-the effect of supplement therapy to gastric acid. Rinsho Shinkeigaku 1994; 34: 264-266。
(25)Reid JL, Calne DB, Vakil SD, Allen JG, Davies CA.による、Plasma concentrations of levodopa in parkinsonism before and after inhibition of peripheral decarboxylase. J Neurol Sci 1972; 17: 45-51。
(26)Rinne UK, Sonninen V, Sirtola T.による、Plasma concentration of levodopa in patients with Parkinson's Disease. Europ Neurol 1973; 10: 301-310。
(27)Nutt JG.による、Levodopa-induced dyskinesia: review, observations, and speculations. Neurology 1990; 40: 340-345。
(28)Kempster PA, Bogetic Z,らによる、Motor effects of broad beans (Vicia fava) in Parkinson's Disease: single dose studies. Asia Pacific J Clin Nutr 1993; 2: 85-89。
(29)Melvin E, Daxenbichler CH, Etten V, Fontaine RE, Talletn WH.による、L-dopa recovery from Mucunaseed. J Agr Food Chem 1972; 20: 1046-1048。
(30)Tripathi YB, Upadhyay AK.による、Effect of the alcohol extract of the seeds of Mucuna pruriens on free radicals and oxidative stress in albino rats. Phytother Res 2002; 16: 534-538。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図1は、LD/DC200/50、15gおよび30gハッショウマメ後の、L−ドーパの血漿中レベルの患者間平均値を示す図面である。横軸は時間(単位、時間:分)を示し、縦軸はL−ドーパ血漿中レベル(単位:ng/mL)を示す。
【図2】図2は、LD/DC200/50、15gおよび30gハッショウマメ後の、L−ドーパ血漿中レベルの患者間平均値を示す図面である。血漿中レベルの差異は、LD/DC(=100%)後の血漿中レベルと比較した、L−ドーパ血漿中レベルの差異パーセントで提示する。
【図3】図3は、LD/DC200/50、15gおよび30gのハッショウマメ後の、3−O−メチル−L−ドーパ(3−OMD)の血漿中レベルの患者間の平均値を示す図面である。血漿中レベルの差異は、LD/DC(=100%)後の血漿中レベルと比較した、3−OMD血漿中レベルの差異パーセントで提示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のハッショウマメ種の成分、物質、画分またはそれらから得られる物質の混合物、および医薬的に許容し得る希釈剤、賦形剤または担体を含有する医薬組成物。
【請求項2】
該成分、物質、画分または物質の混合物はハッショウマメ種の抽出によって得られる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
ハッショウマメ種のエキスから得られる該成分、物質、画分または物質の混合物は双極性−親油性分子を含む、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
該組成物は、注入液剤、注射液剤、ゼラチンカプセル剤、錠剤または徐放性錠剤として製剤化される、請求項1〜3のいずれか1つ記載の医薬組成物。
【請求項5】
(a)M−PL0100、M−EL100、M−BL0100およびLAT543−0からなる群から選ばれるハッショウマメの神経刺激エキス、または(b)M−W−EL1299、M−W0100、MWEL0700およびM−ML0100からなる群から選ばれるハッショウマメの神経保護エキスを含有する、請求項1〜4のいずれか1つ記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られるかまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物の使用であって、
該医薬組成物は、
L−ドーパおよび/またはドーパミンの代謝を抑制するため;
L−ドーパの吸収を改善して、結果、L−ドーパ効力のより早い発生を得るため;および、
L−ドーパ効力のより長い期間のため、
のものである、該使用。
【請求項7】
神経保護または神経刺激のための医薬組成物の製造における、ハッショウマメ種、またはハッショウマメから得られるかまたは抽出される1つ以上の成分、物質、画分もしくは物質の混合物の使用。
【請求項8】
神経学的な疾患を予防し、軽減し、または治療するための医薬組成物の製造における、ハッショウマメから得られるかまたは抽出される1つ以上のハッショウマメの成分、物質、画分もしくは物質の混合物の使用。
【請求項9】
神経疾患は神経学的変性疾患である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
神経学的変性疾患は、ハンチントン舞踏病およびアルツハイマー疾患、または外因性もしくは内因性の因子によって引き起こされる他の疾患からなる群から選ばれる、請求項9記載の使用。
【請求項11】
神経学的変性疾患はパーキンソン病である、請求項9記載の使用。
【請求項12】
パーキンソン病は、急性または慢性のL−ドーパ毒性を防止することによって処置する、請求項11記載の使用。
【請求項13】
ハッショウマメから得られるかまたは抽出される成分、物質、画分または物質の混合物は、アルカロイド、タンパク質、ペプチド、多糖類、グリコシド、糖タンパク質、ステロール、ホスファチド、脂肪酸およびアミノ酸からなる群から選ばれる、請求項6〜12のいずれか1つ記載の使用。
【請求項14】
ハッショウマメから単離される成分、物質、画分または物質の混合物は医薬的に有効な量のL−ドーパを含まない、請求項6〜13のいずれか1つ記載の使用。
【請求項15】
ヘキサノール、ブタノール、エタノール、メタノール、イソプロパノールおよびn−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つのアルコールまたは2つ以上のアルコールの混合物は該抽出方法において使用される、請求項6〜14のいずれか1つ記載の使用。
【請求項16】
クロロホルム、CO、超臨界CO、エーテル、DMSO、ヘキサン、酢酸エチル、ジクロロメタンおよびアセトンからなる群から選ばれる少なくとも1つの有機溶媒または2つ以上の溶媒の混合物は該抽出方法において使用される、請求項6〜14のいずれか1つ記載の使用。
【請求項17】
水、エタノール、メタノール、プロパノールおよびイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つの極性溶媒または2つ以上の極性溶媒の混合物は該抽出方法において使用される、請求項6〜14のいずれか1つ記載の使用。
【請求項18】
アルコール、有機溶媒および極性溶媒からなる群から選ばれる2つ以上の溶媒は該抽出方法において使用される、請求項15〜17のいずれか1つ記載の使用。
【請求項19】
該抽出は分画抽出である、請求項6〜18のいずれか1つ記載の使用。
【請求項20】
ハッショウマメのエキスは、(a)M−PL0100、M−EL100、M−BL0100およびLAT543−0からなる群から選ばれるハッショウマメの神経刺激エキス、(b)M−W−EL1299、M−W0100、MWEL0700およびM−ML0100からなる群から選ばれる神経保護エキスである、請求項6〜19のいずれか1つ記載の使用。
【請求項21】
ハッショウマメのエキスまたはエキス画分の製造方法であって、
(a)ハッショウマメの種をn−ヘキサンを用いて抽出して第1エキス溶液を得て;
(b)該第1エキス溶液をろ過し;
(c)(b)のろ紙保持物質をアセトンを用いて抽出して第2エキス溶液を得て;
(d)該第2エキス溶液をろ過し;
(e)(d)のろ紙保持物質を、0.5%アスコルビン酸を含有する水およびエタノールの1:1混合物を用いて抽出して、第3エキス溶液を得て;
(f)該第3エキス溶液をろ過し;
(g)(f)によって得られる保持物質について(e)の抽出方法を少なくとも4回繰り返し;そして、
(h)該貯蔵したエキス溶液を濃縮する、
ことを含む、該方法。
【請求項22】
ハッショウマメのエキスまたはエキス画分の製造方法であって、
(a)ハッショウマメの種をアルコールを用いて抽出して、第1エキス溶液を得て、ここで該アルコールはメタノール、エタノール、および/またはプロパノールであり;
(b)該第1エキス溶液をろ過し;
(c)(b)によって得られた保持物質について(a)の抽出方法を少なくとも2回繰り返し;そして、
(d)該貯蔵したエキス溶液を濃縮する、
ことを含む、該方法。
【請求項23】
更に、請求項21の工程(h)または請求項22の工程(d)において得られるハッショウマメのエキスまたはエキス画分を、それぞれDMSOおよび/または蒸留水を含有する溶媒中に溶解することを含む、請求項21または22のいずれか記載の方法。
【請求項24】
ハッショウマメのエキスまたはエキス画分の製造方法であって、ハッショウマメの種を超臨界条件または異なる圧力および温度の下で、COまたはCOとブタン、プロパンもしくは他のガスとからの混合物を用いて抽出して、ハッショウマメエキスの物質または画分の精製および選択を得ることを含む、該方法。
【請求項25】
神経疾患を処置するための医薬組成物の製造における、請求項21〜23のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる、ハッショウマメのエキスまたはエキス画分の使用。
【請求項26】
ハッショウマメは、顆粒、粉末、沈降物、画分、エキス、乾燥エキスおよび/または浸出物(エキスが好ましい)としての粉砕型、非改変型で使用する、請求項6〜20、25のいずれか1つ記載の使用。
【請求項27】
1つ以上のハッショウマメの成分、物質、画分またはそれから得られる物質の混合物は、1つ以上の他の活性薬剤と組み合わせて使用される、請求項6〜20、25、26のいずれか1つ記載の使用。
【請求項28】
ハッショウマメの成分、物質、画分または物質の混合物は、注入液剤、注射液剤、経口適用形態、治療用パック、顆粒剤、食物サプリメント、または浣腸形態で製剤化される、請求項6〜20、25〜27のいずれか1つ記載の使用。
【請求項29】
適用は経口適用、局所適用または非経口適用である、請求項6〜20、25〜28のいずれか1つ記載の使用。
【請求項30】
ハッショウマメの成分、物質、画分もしくは物質の混合物で満たした1つ以上の容器、または請求項1〜5のいずれか1つ記載の医薬組成物、を含有する、キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−507288(P2006−507288A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547503(P2004−547503)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010975
【国際公開番号】WO2004/039385
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505158334)フュトリックス・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【氏名又は名称原語表記】PHYTRIX AG
【Fターム(参考)】