説明

禾穀類のための6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤及びクロキントセット−メキシルの薬害軽減組成物

小麦及び大麦における6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレートによって引き起こされる除草剤による損傷が、低施用量のクロキントセットの使用によって低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月24日に出願された米国特許仮出願第61/117,330号の利益を主張する。本発明は、禾穀類における6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレートにより引き起こされる除草剤損傷の薬害軽減に関する。
【背景技術】
【0002】
植物保護薬剤及び特に除草剤などの農薬が使用される場合、栽培植物は、農薬の用量及びそれらの施用方法、栽培植物の種、土壌の性質及び気候条件、例えば、日照時間の長さ、温度及び降雨量などの要因に応じて、ある程度の損傷を受けることがある。したがって、望ましくない植物の生長の悪影響から保護すべき栽培植物は、有効用量の除草剤が使用される場合に、ある程度の損傷を受けることがあることが知られている。栽培植物に対する除草剤の悪影響を特異的に防ぎ得る、即ち、戦うべき雑草に対する除草作用に同時に著しく影響を及ぼすことなく栽培植物を保護し得る様々な物質が、この問題を解決するために提案されている。しかし、提案された解毒剤は、狭い用途範囲しか有さないことが多く、即ち、特定の解毒剤は、栽培植物の個別の種での使用及び/又は個別の除草剤物質若しくは物質の群から栽培植物を保護するためにしか適していないことが多いことが見出されている。頻繁に提案された解毒剤は、個別の除草剤物質の施用量より高い施用量で使用されることも見出されている。
【0003】
米国特許第7,314,849 B2号は、特定の6−(多置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート化合物及びそれらの除草剤としての使用を記載している。これらの化合物のいくつかは、禾穀類における望ましくない植生を防除するために特に有効な除草剤であることが示されているが、それらは、望ましくない植生を十分に防除するために必要な濃度において、小麦及び大麦の両方に少量の損傷を生ずることも示されている。米国特許第7,314,849 B2号は、1:1から1:4の間の範囲にある除草剤と薬害軽減剤の比における、即ち、薬害軽減剤の施用量が除草剤の施用量に等しいか又は上回る施用量におけるクロキントセット−メキシルによる除草剤損傷の薬害軽減も記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
現在、驚くべきことに、小麦及び大麦に対する特定の6−(三置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート化合物の植物毒性作用は、オーキシンの作用機構を有するが、非常に低い施用量におけるキノリニルオキシアセテート薬害軽減剤の使用によって改善され得ることが見出された。本発明は、式(I)
【0005】
【化1】


(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から禾穀類を保護する方法に関し、この方法は、6−(三置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤のキノリニルオキシアセテート薬害軽減剤に対する重量比が2:1から64:1の間である、化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーから選択される薬害軽減剤を、小麦及び大麦と接触させるステップ、又は栽培中の範囲に施用するステップを含む。キノリニルオキシアセテートの予想外に低い施用量が、小麦及び大麦などの禾穀類に対する式(I)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤の除草作用を妨げる。
【0006】
本発明は、式(I)
【0007】
【化2】


(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から小麦及び大麦を保護するための組成物にも関し、この組成物は、6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤に加えて、6−(三置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤のキノリニルオキシアセテート薬害軽減剤に対する重量比が2:1から64:1の間である、化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーからの活性薬害軽減剤を含む。好ましい組成物において、6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤は、4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体又は4−アミノ−3−クロロ−6−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体である。好ましい組成物において、キノリニルオキシアセテート薬害軽減剤は、クロキントセットであり、最も好ましくはクロキントセット−メキシルである。
【0008】
式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤を含む組成物中の低施用量におけるクロキントセット−メキシルの使用は、ヤエムグラ(ガリウム・アパリンL(Galium aparine L);GALAP)、ヒメオドリコソウ(ラミウム・プルプレウムL(Lamium purpureum L);LAMPU)、ホウキグサ(コキア・スコパリアL(Kochia scoparia L);KCHSC)、カミツレ(マトリカリア・カモミラL(Matricaria chamomila L);MATCH)、ヒナゲシ(パパウェル・ロエアスL(Papaver rhoeas L);PAPRH)、ソバカズラ(ポリュゴヌム・コンウォルウルスL(Polygonum convolvulus L);POLCO)、ロシアアザミ(サルソラ・イベリカL(Salsola iberica L);SASKR)、ハコベ(ステッラリア・メジアL(Stellaria media L);STEME)、クワガタソウ(ウェロニカ・ペルシカL(Veronica persica L);VERPE)、野生のサンシキスミレ(ウィオラ・トリコロルL(Viola tricolor L);VIOTR)などの雑草に対する除草作用を失うことなく、2:1から64:1の間の除草剤と薬害軽減剤の比において、春小麦及び冬小麦(トリチクム・アエスチウムL(Triticum aestivum L);TRZAS、TRZAW)、デュラム小麦(トリチクム・ジュルムL(Triticum durum L);TRZDU)及び春大麦及び冬大麦(ホルデウム・ウルガレL(Hordeum vulgare L);HORVS、HORVW)に対する、式(I)のピリジンカルボキシレート除草剤の植物毒性に対する保護作用を示すことが驚くべきことに見出された。
【0009】
式Iのピリジンカルボン酸は、除草活性を有する化合物の1つの新しいクラスである。4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリジン−2−カルボン酸を含めて、いくつかのピリジンカルボン酸化合物が米国特許第7,314,849号(B2)に記載されている。式(I)のピリジンカルボン酸は、小麦及び大麦における一年生雑草及び広葉雑草を防除するが、商業的な除草剤用量において小麦及び大麦に対しても植物毒性であり得る。
【0010】
化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーからの薬害軽減剤は、米国特許第4,902,340号に記載されている。化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーからの好ましい薬害軽減剤は、クロキントセットの誘導体であり、最も好ましくはそれらのメチルエステルである。クロキントセットは、[(5−クロロ−8−キノリニル)オキシ]酢酸の一般名である。その薬害軽減活性は、農薬マニュアル、第14版、2006年に記載されている。クロキントセットは、小粒穀物(small grain cereal)における薬害軽減剤として使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
除草剤という用語は、植物を殺す、防除する又はその生長を別な方法で有害に変更する活性成分を意味するために本明細書で使用される。除草剤として有効な又は植生を防除する量は、有害に変更する作用を引き起こし、自然な発育からの逸脱、殺滅、調節、枯渇、遅延などを含む活性成分の量である。植物及び植生という用語には、発芽種子、新生の苗及び定着した植生が含まれる。本明細書で使用される薬害軽減剤という用語は、標的雑草種における活性を著しく低下させることなく、除草剤による損傷から穀物植物を選択的に保護する化合物を意味する。
【0012】
除草活性は、化合物が、生育の任意の段階で又は種まき若しくは出芽前に、葉面施用、土壌施用、又は水施用によって、直接植物に又は植物の場所に施用される場合に、化合物によって示される。観察される作用は、防除すべき植物種、植物の生長の段階、希釈及び噴霧液滴の大きさの施用パラメータ、固体成分の粒径、使用の時間における環境条件、使用される特定の化合物、使用される特定のアジュバント及び担体、土壌種類など、同様に施用される薬品の量によって決まる。これら及び他の要因を、非選択的又は選択的除草作用を促進するために当技術分野で知られているように調節することができる。一般的に、雑草の最大の防除を達成するために、本発明の組成物を出芽後から比較的未成熟な望ましくない植生に施用することが好ましい。
【0013】
望ましくない植物生長の有害作用から保護すべき栽培植物は、有効用量の除草剤が使用される場合、ある程度の損傷を受けることがある。薬害軽減は、栽培植物に対する除草剤の有害作用を防ぐこと、即ち、栽培植物を保護し、同時に戦うべき雑草に対する除草作用に著しく影響を及ぼすことがないことを意味する。
【0014】
本発明の組成物において、栽培植物に対する除草作用が薬害軽減される、式(I)のピリジンカルボン酸の薬害軽減剤に対する重量比は、2:1から64:1の間の範囲内にある。好ましくは、栽培植物に対する除草作用が妨げられる、式(I)のピリジンカルボン酸の薬害軽減剤に対する重量比は、4:1から32:1の間の範囲内にある。
【0015】
薬害軽減された組成物が施用される割合は、防除すべき雑草の特定の種類、求められる防除の程度、並びに施用のタイミング及び方法によって決まる。一般的に、本発明の組成物は、組成物中の式(I)のピリジンカルボン酸及び薬害軽減剤の合計量に対して、1ヘクタール当たり0.8グラム(g/ha)から350g/haの間の施用量で施用することができる。本発明の1つの特に好ましい実施形態において、クロキントセットは、0.273g/haから70g/haの間の施用量で施用され、式(I)のピリジンカルボン酸の成分は、0.55g/haから280g/haの間の施用量で施用される。
【0016】
本発明の式(I)のピリジンカルボン酸及び薬害軽減剤は、別々に又は多成分除草剤系の部分として一緒に施用することができる。
【0017】
本発明の除草剤−薬害軽減剤混合物は、より広範な望ましくない植生を防除するために、1種又は複数の他の除草剤と一緒に施用することができる。他の除草剤と一緒に使用される場合、上記組成物は、他の1種若しくは複数の除草剤と共に配合することができ、他の1種若しくは複数の除草剤とタンクミックスすることができ又は他の1種若しくは複数の除草剤と逐次的に施用することができる。本発明の薬害軽減された組成物と一緒に使用され得る除草剤のいくつかには、2,4−Dエステル及びアミン、アセトクロル、アシフルオルフェン、アクロニフェン、AE0172747、アラクロル、アミドスルフロン、アミノシクロピラクロル、アミノトリアゾール、アンモニウムチオシアネート、アニリホス、アトラジン、AVH 301、アジムスルフロン、ベンフレサート、ベンスルフロン−メチル、ベンタゾン、ベンチオカルブ、ベンゾビシクロン、ビフェノックス、ビスピリバック−ナトリウム、ブロマシル、ブロモキシニル、ブタクロール、ブタフェナシル、ブトラリン、カフェンストロール、カルベタミド、カルフェントラゾン−エチル、クロルフルレノール、クロリムロン、クロルプロファム、シノスルフロン、クレトジム、クロマゾン、クロピラリド、クロランスラム−メチル、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シハロホップ−ブチル、ジカンバ、ジクロベニル、ジクロルプロップ−P、ジクロスラム、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメテナミド、ジメテナミド−p、ジクワット、ジチオピル、ジウロン、EK2612、EPTC、エスプロカルブ、ET−751、エトキシスルフロン、エトベンザニド、F7967、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−エチル、フェノキサプロップ−エチル+イソキサジフェン−エチル、フェントラザミド、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホップ、フルアジホップ−P−ブチル、フルセトスルフロン、フルフェナセット、フルフェンピル−エチル、フルメツラム、フルミクロラック−ペンチル、フルミオキサジン、フルオメツロン、フルピルスルフロン、フルロキシピル、ホメサフェン、ホラムスルフロン、フミクロラック、グルホシネート、グルホシネート−アンモニウム、グリフォセート、ハロスルフロン、ハロキシホップ−メチル、ハロキシホップ−R、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、ヨードスルフロン、イオキシニル、IR 5790、イソプロツロン、イソキサベン、イソキサフルトール、KUH−021、ラクトフェン、リヌロン、MCPA、MCPAエステル又はアミン、メコプロップ−P、メフェナセット、メソスルフロン、メソトリオン、メタミホップ、メトラクロル、メトスラム、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、MSMA、ナプロパミド、ニコスルフロン、ノルフルラゾン、OK−9701、オルソスルファムロン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサジクロメフォン、オキシフルオルフェン、パラコート、ペンジメタリン、ペノクススラム、ペントキサゾン、ペントキサミド、ピクロラム、ピコリナフェン、ピペロホス、プレチラクロル、プロホキシジム、プロパクロル、プロパニル、プロピザミド、プロスルホカルブ、プロスルフロン、ピラクロニル、ピラスルホトール、ピラゾギル、ピラゾスルフロン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバック−メチル、ピリミスルフロン、ピロクススラム、キンクロラック、キザロホップ−エチル−D、S−3252、サフルフェナシル、セトキシジム、シマジン、SL−0401、SL−0402、s−メトラクロル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホセート、テブチウロン、テルバシル、TH−547、チアゾピル、チオベンカルブ、トリクロピル、トリクロピルエステル及びアミン、トリフルラリン及びトリトスルフロンが含まれる。
【0018】
本発明の薬害軽減された組成物は、さらに、グリフォセート耐性穀物、グルホシネート耐性穀物、ジカンバ耐性穀物、イミダゾリノン耐性穀物又は2,4−D耐性穀物に対して、グリフォセート、グルホシネート、ジカンバ、イミダゾリノン又は2,4−Dと一緒に使用することができる。本発明の除草剤−薬害軽減剤混合物を、使用される施用量において、処理される穀物に選択的であり、これらの化合物によって防除される雑草のスペクトルを補完する除草剤と一緒に使用することが一般的に好ましい。本発明の薬害軽減された組成物及び他の補完的な除草剤を、複合製剤として又はタンクミックスとしてのいずれかで同時に施用することが、さらに一般的に好ましい。
【0019】
実際に、本発明の薬害軽減された組成物を、少なくとも1種の農学的に許容されるアジュバント又は担体と一緒に、除草剤として有効な量の除草剤組成物を含む混合物中で使用することが好ましい。好適なアジュバント又は担体は、特に、穀物の存在下で選択的な雑草防除のために組成物を施用するのに使用される濃度において、貴重な穀物に対して植物毒性であってはならず、除草剤組成物又は他の組成物成分と化学的に反応してはならない。このような混合物は、直接雑草に若しくはそれらの場所への施用のために設計することができ、又は施用前に追加の担体及びアジュバントで正常に希釈される原液若しくは製剤であってよい。それらは、例えば、ダスト、顆粒、水分散性顆粒、若しくは水和剤などの固体、又は、例えば、乳剤、溶液、乳濁液若しくは懸濁液などの液体であり得る。
【0020】
本発明の除草剤混合物を調製するのに有用である好適な農業用アジュバント及び担体は、当業者によく知られている。これらのアジュバントのいくつかには、それだけには限らないが、穀物油原液(鉱油(85%)+乳化剤(15%));ノニルフェノールエトキシレート;ベンジルココアルキルジメチル第4級アンモニウム塩;石油炭化水素、アルキルエステル、有機酸、及び陰イオン界面活性剤のブレンド;C−C11アルキルポリグリコシド;リン酸処理アルコールエトキシレート;天然第1級アルコール(C12−C16)エトキシレート;ジ−sec−ブチルフェノールEO−POブロックコポリマー;ポリシロキサン−メチルcap;ノニルフェノールエトキシレート+ウレアアンモニウムナイトレート;乳化メチル化種油;トリデシルアルコール(合成)エトキシレート(8EO);獣脂アミンエトキシレート(15EO);PEG(400)ジオレエート−99が含まれる。
【0021】
使用し得る液体担体には、水、トルエン、キシレン、石油ナフサ、穀物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコール、モノメチルエーテル及びジエチレングリコールモノメチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアルキルアミド、ジメチルスルホキシド、液体肥料などが含まれる。水は原液の希釈用に一般的に選択される担体である。
【0022】
好適な固体担体には、タルク、パイロフィライトクレー、シリカ、アタパルガスクレー、カオリンクレー、多孔質珪藻土、チョーク、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレー、フラー土、綿実外皮、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、クルミ殻粉、リグニンなどが含まれる。
【0023】
1種又は複数の表面活性剤を本発明の組成物に組み込むことは一般的に望ましい。このような表面活性剤は、固体及び液体組成物の両方に、特に施用前に担体で希釈されるよう設計されたものに有利に使用される。表面活性剤は、性質が陰イオン性、陽イオン性又は非イオン性であってよく、乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤として、又は他の目的で使用し得る。製剤の技術分野で通常使用されており、本製剤にも使用され得る界面活性剤は、とりわけ、「McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual」、New Jersey州、Ridgewood市、MC Publishing Corp.、1998年及び「Encyclopedia of Surfactants」I−III巻、New York市、Chemical Publishing Co.、1980−81年に記載されている。一般的な表面活性剤には、ジエタノールアンモニウムラウリル硫酸塩などのアルキル硫酸塩;カルシウムドデシルベンゼンスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩;ノニルフェノール−C18エトキシレートなどのアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加生成物;トリデシルアルコール−C16エトキシレートなどのアルコールアルキレンオキシド付加生成物;ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸;ナトリウムジブチルナフタレンスルホン酸塩などのアルキルナフタレン−スルホン酸塩;ナトリウムジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸エステルなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル;ソルビトールオレイン酸エステルなどのソルビトールエステル;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アミン;ポリエチレングリコールステアリン酸エステルなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル;エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー;モノ及びジアルキルリン酸エステルの塩;大豆油、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、パーム油、落花生油、サフラワー油、ゴマ油、桐油などの植物油;及び上記植物油のエステルが含まれる。
【0024】
農業用組成物に一般的に使用される他の添加剤には、相溶化剤、消泡剤、金属イオン封鎖剤、中和剤及び緩衝剤、腐食防止剤、染料、脱臭剤、展着剤、浸透補助剤、固着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗微生物剤などが含まれる。上記組成物は、他の相溶性の成分、例えば、他の除草剤、植物成長調整剤、抗真菌剤、殺虫剤なども含むことができ、硝酸アンモニウム、尿素などの液体肥料又は固体、粒状肥料担体と配合することができる。
【0025】
本発明の除草剤−薬害軽減剤混合物における活性成分の濃度は、一般的に0.001から98重量パーセントである。0.01から90重量パーセントの濃度が使用されることが多い。原液として使用されるよう設計された組成物において、活性成分は、一般的に、5から98重量パーセント、好ましくは10から90重量パーセントの濃度で存在する。このような組成物は、一般的に、施用前に水などの不活性担体で希釈される。雑草又は雑草の場所に通常施用される希釈された組成物は、0.0001から1重量パーセントの活性成分を含み、好ましくは0.001から0.05重量パーセントを含む。
【0026】
本組成物は、従来の地上若しくは空中散粉機、噴霧器、及び散粒機、又は灌漑水を使用して、並びに当業者に知られている他の従来の手段によって、雑草又はそれらの場所に施用することができる。
【0027】
以下の実施例は、本発明を例証している。
【0028】
禾穀類における出芽後の除草剤薬害軽減の評価
所望の試験植物種の種子を、103.2平方センチメートル(cm)の表面積を有する、プラスチックポット中の、一般的に6.0から6.8のpH及び30パーセントの有機物含有量を有するSun Gro MetroMix(登録商標)306 planting mixtureにまいた。良好な発芽及び健康な植物を確実にすることが求められる場合、抗真菌剤による処理及び/又は他の化学的若しくは物理的処理が適用された。日中18℃及び夜間17℃に維持された、約14時間(h)の光周期の温室中で7から36日(d)の間、植物を生長させた。栄養素及び水を定期的に添加し、必要に応じて補足的な照明を高架のメタルハライド1000ワットランプを用いて与えた。第2又は第3本葉期に達した時に、植物を試験に使用した。
【0029】
4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)ピリジン−2−カルボン酸(化合物1)のエステル(メチル)又は塩(TEA[トリエチルアンモニウム]、カリウム[K])の計量した量を、原液を得るために、97:3体積/体積(v/v)のアセトン/ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。実験化合物が容易に溶解しなかった場合、その混合物を温め、且つ/又は超音波処理した。濃縮された原液を、適切な施用量を提供するために1.5% v/vのAgri−dex穀物油原液の水性混合物で希釈した。化合物の必要量は、1ヘクタール当たり187リットル(L/ha)の割合における12mLの施用体積に基づく。薬害軽減剤の原液は、同じ手順に従って調製した。薬害軽減剤及び実験化合物の混合物の噴霧液は、適切な量の両方の原液を適切な量の希釈溶液に添加して2元組合せの活性成分を含む12mLの噴霧液を形成することによって調製した。配合された化合物を、平均の植物キャノピー高さから18インチ(43センチメートル(cm))の噴霧高さで0.503平方メートル(m)の施用面積に187L/haを供給するよう較正された、8002Eノズルを備えたオーバーヘッドMandelトラックスプレーを用いて植物材料に施用した。対照植物に、溶媒ブランクを同じ方法で噴霧した。
【0030】
処理された植物及び対照植物を、上述された温室に置き、試験化合物が洗い流されるのを防ぐために、地下灌漑(sub irrigation)によって給水した。20−22日後、対照植物の状態と比較した試験植物の状態を、視覚的に測定し、0から100パーセントで評点をつけ、ここで、0は、全く損傷がないことに相当し、100は、完全な死滅に相当する。
【0031】
コルビー式を使用して、混合物から予想される除草作用を求めた(Colby,S.R.除草剤組合せの相乗的応答及び拮抗的応答の計算(Calculation of the synergistic and antagonistic response of herbicide combinations)、Weeds 1967、15巻、20−22頁。)。
【0032】
以下の式を使用して、2種の活性成分、A及びBを含有する混合物の予想される活性を計算した。
予想値=A+B−(A×B/100)
A=混合物中で使用されたのと同じ濃度における活性成分Aの実測効力。
B=混合物中で使用されたのと同じ濃度における活性成分Bの実測効力。
【0033】
試験された化合物、使用された施用量、試験された植物種、及び結果のいくつかが、表1から表7に与えられている。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化3】


(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から小麦及び大麦を保護するための組成物であって、6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤に加えて、6−(三置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤のキノリニルオキシアセテート薬害軽減剤に対する重量比が2:1から64:1の間である、化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーからの薬害軽減剤を含む組成物。
【請求項2】
前記6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤が、4−アミノ−3−クロロ−6−(4−クロロ−2−フルオロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体又は4−アミノ−3−クロロ−6−(2,4−ジクロロ−3−メトキシフェニル)−2−ピリジンカルボン酸誘導体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記薬害軽減剤がクロキントセットメキシルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤の前記薬害軽減剤に対する重量比が、4:1から32:1の間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)
【化4】


(式中、halは、F、Cl又はBrを表し、Rは、メチル又はエチルを表す)の6−(三置換フェニル)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤並びにその農学的に許容される塩、エステル及びアミド誘導体の有害作用から小麦及び大麦を保護する方法であって、6−(三置換アリール)−4−アミノ−2−ピリジンカルボキシレート除草剤のキノリニルオキシアセテート薬害軽減剤に対する重量比が2:1から64:1の間である、化学薬品のキノリニルオキシアセテートファミリーからの薬害軽減剤を、小麦及び大麦と接触させるステップ、又は栽培中の範囲に施用するステップを含む方法。


【公表番号】特表2012−509884(P2012−509884A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537568(P2011−537568)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/064926
【国際公開番号】WO2010/059680
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】