説明

科学教習用遊戯装置

【課題】 遊戯者に科学的あるいは技術的な興味を遊びながら与えることができる科学教習用遊戯装置を提供することを目的としたものである。
【解決手段】 側面パネル3に透し窓4と手動回転ハンドル5を設けた角箱体1の内部に手動回転ハンドル5による回転運動を他の運動に変換する伝達機構6をその一部が透し窓4より透視されるようにしたもの。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は公園やテーマパーク、科学館等に設置される科学教習用遊戯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々のメカニズムを透明なボックスに収納してメカニズムの動きをみることができるようにした玩具は種々知られているが、これらはスイッチのオンオフにより駆動されるため、メカニズムにより回転運動がどのように伝達されていくか体験しにくいという問題があった。そこで、遊戯者が直接メカニズムを駆動して体験できるようにした科学教習用遊戯装置も提案されているが、これらの科学教習用遊戯装置はメカニズム全体が露呈されているため、メカニズムの動きを直接的に理解できるがゆえに、却って遊戯者自身がメカニズムに興味を示すことがなくなり、教習効果が小さいという問題があった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決しようとするところは前記のような問題を解決し、遊戯者が遊びながらにして科学的あるいは技術的な興味を覚えることができる科学教習用遊戯装置を提供しようとすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決した本考案は、角箱体の側面パネルに透し窓を設けるとともに手動回転ハンドルを設けてあり、この角箱体の内部には前記手動回転ハンドルによる回転運動を他の運動に変換する伝達機構を設けて前記透し窓を通じて伝達機構の一部が透視されるようにしたことを特徴とする科学教習用遊戯装置と、角箱体の各側面パネルに透し窓を設けるとともに手動回転ハンドルを設けてあり、角箱体の内部には第1の側面パネルの手動回転ハンドルによる回転運動を水平から垂直に変換する傘歯車を有する第1の伝達機構と、第2の側面パネルの手動回転ハンドルによる回転運動を上下運動に変換するカム装置を有する第2の伝達機構と、第3の側面パネルの手動回転ハンドルによる回転運動をウォーム歯車の回転運動に変換する第3の伝達機構と、第4の側面パネルの手動回転ハンドルによる回転運動を平歯車群の回転運動に変換する第4の伝達機構を各伝達機構の一部が前記透し窓より透視されるように配置したことを特徴する科学教習用遊戯装置とよりなるものである。
【0005】
【考案の実施の形態】
本考案における伝達機構としては、手動回転ハンドルによる回転運動を水平から垂直に変換する傘歯車を有するものであっても、手動回転ハンドルによる回転運動を上下運動に変換するカム装置を有するものであっても、手動回転ハンドルによる回転運動をウォーム歯車の回転運動に変換するものであっても、手動回転ハンドルによる回転運動を平歯車群の回転運動に変換するものであってもよく、また、角箱体の天板には伝達機構に連繋された回転運動表示体や上下運動表示体を立設して回転運動や上下運動が外から表示されるようにしてもよい。
【0006】
次に、本考案の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
1は角箱体であり、該角箱体1は四角形に配置立設された4本の支柱2間に4枚の側面パネル3を張り付けたもので、各側面パネル3には楕円形や円形の透し窓4が形成されて内部を透視できるようになっている。さらに、各側面パネル3には前記透し窓4を通じて内部を透視することができる位置に手動回転ハンドル5が設けられており、また、角箱体1の内部には各手動回転ハンドル5により駆動される各伝達機構6が設けられていて各伝達機構6の一部が前記透し窓4より透視できるようになっている。
【0007】
伝達機構6としては種々のものがある。先ず、図2に示される第1の伝達機構6は、第1の側面パネル3に設けられた手動回転ハンドル5の軸端に取り付けられた傘歯車5aと、該傘歯車5aと噛合して90°軸方向を変換する傘歯車5bと、方向変換された水平な軸7の先端に設けられた傘歯車7aと、該傘歯車7aと噛合して軸8の方向を垂直に変換する傘歯車8aとよりなるもので、この傘歯車7a、8aが透し窓4より透視されるようになっている。なお、9は垂直な軸8の回転運動により回転される回転運動表示体であり、該回転運動表示体9は角箱体1の天板に立設される軸9aの周面に多数の横棒9bをスパイラル状に配設し、横棒9bの先端に球体9cを取り付けたものとしている。
【0008】
次に、図3に示される第2の伝達機構6は、第2の側面パネル3に設けられた手動回転ハンドル5の軸端に取り付けられた傘歯車5aと、該傘歯車5aと噛合して90°軸方向が変換される傘歯車5bと、方向変換された水平な軸7の先端に設けられた傘歯車7aと、該傘歯車7aと噛合してカム装置のカム板10を回転させる傘歯車8aと、カム板10のカム面に当接されて上下動される垂直な軸11とよりなるもので、カム板10と軸11は透し窓4より透視されるようになっている。なお、12は垂直な軸11の上下運動により上下動される上下運動表示体であり、この上下運動表示体12は角箱体1の天板に立設される円形の装飾板12aに3個の窓孔12bを形成して窓孔12b内に円盤12cを配置し、この円盤12cを取り付けたワイヤー13を前記垂直な軸11と連繋し、軸11の上下運動にともなって円盤12cが上下動するようになっている。
【0009】
また、図4に示される第3の伝達機構6は、第3の側面パネル3に設けられた手動回転ハンドル5のハンドル軸に取り付けられたチェンスプロケット14aと、前記ハンドル軸と所定間隔おいて並設された軸に設けられたチェンスプロケット14bと、チェンスプロケット14a、14bに巻き掛けられるチェン15と、前記チェンスプロケット14bを設けた軸の軸端に取り付けられた傘歯車16と、該傘歯車16に噛合する傘歯車16aと、該傘歯車16aにより回転されるウォーム歯車のウォーム17と、該ウォーム17に噛合されるウォームホィール17aとよりなるもので、傘歯車16aとウォーム歯車は透し窓4より透視されるようになっている。
【0010】
さらに、図5に示される第4の伝達機構6は、第4の側面パネル3に設けられた手動回転ハンドル5のハンドル軸に取り付けられた平歯車18と、該平歯車18と噛合する平歯車19と、該平歯車19と噛合される平歯車20と、該平歯車20と同軸に並設される小径の平歯車20aと、該平歯車20aと噛合する平歯車21と、該平歯車21と同軸に並設される小径の平歯車21aと、該平歯車21aと噛合する平歯車22とよりなるもので、前記平歯車群は透し窓4より透視されるようになっている。
【0011】
このように構成されたものは、遊戯者が角箱体1の第1の側面パネル3の手動回転ハンドル5を回転させれば、手動回転ハンドル5の回転運動は第1の伝達機構6の傘歯車5a、5b及び傘歯車7a、8aを介して水平から垂直に変換されることとなり、遊戯者は透し窓4を通じてこの変換メカニズムを理解する同時に、角箱体1の天板に設けられた回転運動表示体9を見て傘歯車7a、8aにより回転運動が回転運動表示体9に伝達されることを理解することができる。しかし、遊戯者が見ることができるのは、回転運動表示体9と透し窓4より透視できる傘歯車7a、8aのみであるため、手動回転ハンドル5の回転がどのようにして傘歯車7aに伝達され、さらに、角箱体1の天板に立設される回転運動表示体9が手動回転ハンドル5の駆動にともなってどのように回転が伝達されたかは知ることができないので、遊戯者は軸8の回転運動がどのようにして傘歯車7aや回転表示体9に伝達されたかを推測したり、想像することとなる。
【0012】
次に、遊戯者が角箱体1の第2の側面パネル3の手動回転ハンドル5を回転させれば、手動回転ハンドル5の回転運動は第2の伝達機構6の傘歯車5a、5b及び傘歯車7a、8aを介して180°軸方向が変換される。そして、傘歯車8aにより回転されるカム装置のカム板10によって、軸8は上下動することとなる。遊戯者はカム板10による軸8の上下運動を透し窓4を通じて変換メカニズムを理解すると同時に上下運動表示体12の上下運動を見ることにより、カム板10を介して回転運動が上下運動表示体12に伝達されたことを理解することができる。しかし、前記と同様遊戯者が見ることができるのは、上下運動表示体12と透し窓4より透視されるカム装置のカム板10のみであるため、手動回転ハンドル5の回転がどのようにして傘歯車7aに伝達されたかは見ることができないので、遊戯者は手動回転ハンドル5の回転運動がどのように変換されて傘歯車7aに伝達されたかを推測したり、想像するほかなく、自然に科学的な思考を身に着けることができる。
【0013】
また、遊戯者が角箱体1の第3の側面パネル3の手動回転ハンドル5を回転させれば、手動回転ハンドル5の回転運動は第3の伝達機構6のチェンスプロケット14a、チェン15、チェンスプロケット14b、傘歯車16、傘歯車16aを介してウォーム歯車のウォーム17とウォームホィール17aを回転させることとなり、このウォーム歯車の回転は透し窓4を通じて見ることができ、どのようにして手動回転ハンドル5の回転が伝達されたかを理解することができる。しかも、伝達機構6の運動は他の運動に置き換えられることなく終わっているので、遊戯者はウォーム歯車やその他の歯車等を利用した他の運動を想像したり、推測したりする等、自由な発想を得ることができる。
【0014】
さらに、遊戯者が角箱体1の第4の側面パネル3の手動回転ハンドル5を回転させれば、手動回転ハンドル5の回転運動は第4の伝達機構6の平歯車18、平歯車19、平歯車20、小径の平歯車20a、平歯車21、小径の平歯車21a、平歯車22に順次伝達されて回転される平歯車群を透し窓4より見ることにより、どのようにして手動回転ハンドル5の回転が伝達されたかを理解することができる。しかも、伝達機構6の運動は平歯車群で終わっているため、その回転運動をどのようにして置き換えらるかを遊戯者は想像したりして自由に発想することができる。
【0015】
【考案の効果】
本考案は前記説明によって明らかなように、角箱体の側面パネルに透し窓と手動回転ハンドルを設けるとともに角箱体の内部に前記手動回転ハンドルによる回転運動を他の運動に変換する伝達機構を設けて前記透し窓を通じて伝達機構の一部が透視されるようにしたもので、遊戯者に伝達機構のメカニズムの全体がわからないようにしてメカニズムの特徴的構造の一部のみを透し窓を通じて観察できるようにしているので、わからない未知のメカニズムを想像したり、推測したりする等の遊び性をもたせることにより、科学的な興味を自発的に起こさせるようにして科学的な教習効果をより一層高めることができる。また、請求項6に記載の考案のように角箱体の天板に回転運動表示体を伝達機構に連繋させて設けたときは、遊戯者により明確に回転運動の技術的利用範囲を示し、具体的な方向性を与えることができ、また、請求項7に記載の考案のように角箱体の天板に上下運動表示体を伝達機構に連繋させて設けたときは、遊戯者により明確に上下運動の技術的利用範囲を示し、具体的な応用範囲を示すことができる。さらに、請求項8に記載の考案は、角箱体内に配置した種々の伝達機構を前記透し窓を通じてそれぞれの一部が透視されるようにしてあるので、メカニズムの基本的なものを角箱体の各側面より透視してメカニズムを理解した後にメカニズムを自由に組合せる応用力を高めることができ、前記した効果がより発揮されることとなる。
従って、本考案は従来の問題点を解決した科学教習用遊戯装置として実用的価値極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す斜視図である。
【図2】第1の伝達機構を示す一部切欠正面図である。
【図3】第2の伝達機構を示す一部切欠背面図である。
【図4】第3の伝達機構を示す一部切欠側面図である。
【図5】第4の伝達機構を示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
1 角箱体
3 側面パネル
4 透し窓
5 手動回転ハンドル
6 伝達機構
9 回転運動表示体
12 上下運動表示体

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 角箱体(1) の側面パネル(3) に透し窓(4) を設けるとともに手動回転ハンドル(5) を設け、この角箱体(1) の内部には前記手動回転ハンドル(5) による回転運動を他の運動に変換する伝達機構(6) を設けて前記透し窓(4)を通じて伝達機構(6) の一部が透視されるようにしたことを特徴とする科学教習用遊戯装置。
【請求項2】 伝達機構(6) が、手動回転ハンドル(5) による回転運動を水平から垂直に変換する傘歯車を有するものである請求項1に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項3】 伝達機構(6) が、手動回転ハンドル(5) による回転運動を上下運動に変換するカム装置を有するものである請求項1に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項4】 伝達機構(6) が、手動回転ハンドル(5) による回転運動をウォーム歯車の回転運動に変換するものである請求項1に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項5】 伝達機構(6) が、手動回転ハンドル(5) による回転運動を平歯車群の回転運動に変換するものである請求項1に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項6】 角箱体(1) の天板に伝達機構(6) に連繋された回転運動表示体(9) が立設されている請求項2に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項7】 角箱体(1) の天板に伝達機構(6) に連繋された上下運動表示体(12)が立設されている請求項3に記載の科学教習用遊戯装置。
【請求項8】 角箱体(1) の各側面パネル(3) に透し窓(4) を設けるとともに手動回転ハンドル(5) を設けてあり、角箱体(1) の内部には第1の側面パネル(3) の手動回転ハンドル(5) による回転運動を水平から垂直に変換する傘歯車を有する第1の伝達機構(6) と、第2の側面パネル(3) の手動回転ハンドル(5) による回転運動を上下運動に変換するカム装置を有する第2の伝達機構(6) と、第3の側面パネル(3) の手動回転ハンドル(5) による回転運動をウォーム歯車の回転運動に変換する第3の伝達機構(6) と、第4の側面パネル(3) の手動回転ハンドル(5) による回転運動を平歯車群の回転運動に変換する第4の伝達機構(6) を各伝達機構(6)の一部が前記透し窓(4) より透視されるように配置したことを特徴する科学教習用遊戯装置。

【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3023292号
【登録日】平成8年(1996)1月31日
【発行日】平成8年(1996)4月16日
【考案の名称】科学教習用遊戯装置
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−10245
【出願日】平成7年(1995)9月28日
【出願人】(391028960)内田工業株式会社 (3)