説明

移動体

【課題】車両の操作感覚の犠牲を抑制しつつ、カント路上における移動体の走行状態を好適に確保すること。
【解決手段】倒立二輪型車両100は、一組の車輪(11、12)を回転制御して移動する移動体である。倒立二輪型車両100は、搭乗者によって操作されるハンドル部45と、搭乗者による操作に応じて姿勢変化したハンドル部45を初期姿勢へ復帰させるバネ56と、搭乗者による操作に応じて初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化したハンドル部45を、第1姿勢から初期姿勢までハンドル部45の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、バネ56と共にハンドル部45を復帰させるバネ58と、を備える。更に、倒立二輪型車両100は、ハンドル部45が逆方向へ傾くことに対応するべく、バネ66、バネ68を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパクトな構成で高い移動性能を有する車両型ロボットとして、倒立二輪型移動体が注目されている。特許文献1は、倒立二輪型移動体がカント路を走行する時、車両の現在のロール角に基づいて、ユーザーにより入力される操作指令のロール成分を補償する点が開示されている(同文献の段落0049には、「コントローラーが、車両の現在のロール角に基づいて乗り手の指令(例えば、操舵指令)の方向成分を補償することによって、ユーザー入力装置への乗り手の指令入力について、車両の動作への影響を減らすことができる」と記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011−500423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カント路(移動体から見て、その左右方向に傾斜している傾斜面)を移動体が走行する際、搭乗者がハンドルを起立状態へと変化させることに応じて、搭乗者が意図したわけでもなく、移動体が旋回してしまう場合がある。特許文献1に記載のようにコントローラーにより入力指令を補償する場合、搭乗者は、コントローラー側で変更された入力指令に基づく移動体の動作量を感じることで移動体の操作感覚を獲得することができる。しかしながら、この場合、搭乗者によりハンドルが操作された時点とハンドル操作に応じて移動体が動作する時点との間にはタイムラグが生じてしまう場合がある。この結果、車両の操作感覚を搭乗者が把握しにくい状態が生じてしまうおそれがある。
【0005】
上述の説明から明らかなように、本願発明者らは、車両の操作感覚の犠牲を抑制しつつ、カント路上における移動体の走行状態を好適に確保するという新たな課題を見出した。なお、上記した特許文献1との比較説明は、本願発明の課題を説明するために例示的に示したものである。従って、特許文献1との比較説明に基づいて本願発明を限定解釈することは許されない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動体は、複数の車輪を回転制御して移動する移動体であって、搭乗者によって操作される操作子と、前記搭乗者による操作に応じて姿勢変化した前記操作子を初期姿勢へ復帰させる第1復帰手段と、前記搭乗者による操作に応じて前記初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化した前記操作子を、前記第1姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、前記第1復帰手段と共に前記操作子を復帰させる第2復帰手段と、を備える。
【0007】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくとも弾性部材を含む、と良い。
【0008】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくとも弾性部材を含み、前記第2復帰手段に含まれる前記弾性部材の弾性力は、前記第1復帰手段に含まれる前記弾性部材の弾性力とは異なる、と良い。
【0009】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくともバネを含み、前記第2復帰手段に含まれる前記バネのバネ長は、前記第1復帰手段に含まれる前記バネのバネ長とは異なる、と良い。
【0010】
前記搭乗者による操作に応じて姿勢変化した前記操作子を初期姿勢へ復帰させる第3復帰手段と、前記搭乗者による操作に応じて前記初期姿勢とは異なる第2姿勢へ変化した前記操作子を、前記第2姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、前記第3復帰手段と共に前記操作子を復帰させる第4復帰手段と、 を更に備える、と良い。
【0011】
前記初期姿勢から前記中間姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作しないように構成されている、と良い。
【0012】
前記初期姿勢から前記中間姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作しないように構成され、かつ前記中間姿勢から前記第1姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作するように構成されている、と良い。
【0013】
搭乗者の双方の足が載置される載置部と、前記載置部上における前記搭乗者の重心移動に応じて、姿勢変化する平行リンク機構と、を更に備え、一組の前記車輪の夫々は、前記平行リンク機構の姿勢の変化に応じて、接地面に対して傾きを有するように調整される、と良い。
【0014】
前記第1及び第2復帰手段は、少なくとも前記平行リンク機構を介して、前記操作子に対して作用する、と良い。前記平行リンク機構が初期姿勢から変化するに応じて、前記第1復帰手段は、前記平行リンク機構が初期姿勢へ復帰するように前記平行リンク機構に対して作用する、と良い。
【0015】
本発明に係る移動体は、搭乗者による操作に応じて初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化した操作子を、前記第1姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで第1の復帰力により姿勢変化させ、その後、第1の復帰力よりも弱い第2の復帰力で前記操作子の姿勢を変化させるように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両の操作感覚を犠牲にすることを抑制しつつ、カント路走行時の意図しない旋回を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な正面図である。
【図2】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な側面図である。
【図3】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な部分拡大正面図である。
【図4】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な上面図である。
【図5】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な正面図である。
【図6】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な部分拡大模式図である。
【図7】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体に内蔵されるバネユニットの概略的な構成を示す模式図である。
【図8】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の動作を示すグラフ図である。
【図9】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の動作を示す模式図である。
【図10】比較例にかかる倒立二輪型移動体に内蔵されるバネユニットの概略的な構成を示す模式図である。
【図11】比較例にかかる倒立二輪型移動体の動作を示すグラフ図である。
【図12】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。
【図14】実施の形態1にかかる倒立二輪型移動体の概略的な動作を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態2にかかる倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2にかかる倒立二輪型移動体に組み込まれた表示部の構成を示す模式図である。
【図17】実施の形態2にかかる倒立二輪型移動体の概略的な動作を示すフローチャートである。
【図18】従来例と実施の形態1、2とを比較説明した参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明する各実施形態は、個々に独立したものではなく、互いに組み合わせ可能であり、その組み合わせに基づく相乗効果も主張可能なものとする。原則として、各実施形態間の重複記載は排除されている。各実施形態の同一要素には同一の符号を付し冗長説明は省略されている。なお、図面は、発明の説明を目的として作成されたものであり、この開示に基づいて本願発明の技術的範囲を限定解釈することは許されない。
【0019】
実施の形態1
後述の説明から明らかなように、本実施形態に係る倒立二輪型車両100(図1参照)は、一組の車輪(11、12)を個別に回転制御して移動する移動体である。倒立二輪型車両100は、搭乗者によって操作されるハンドル部45と、搭乗者による操作に応じて姿勢変化したハンドル部45を初期姿勢へ復帰させるバネ56(図7参照)と、搭乗者による操作に応じて初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化したハンドル部45を、第1姿勢から初期姿勢までハンドル部45の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、バネ56と共にハンドル部45を復帰させるバネ58(図7参照)と、を備える。更に、倒立二輪型車両100は、ハンドル部45が逆方向へ傾くことに対応するべく、バネ66、バネ68を有する(図7参照)。なお、バネは、復帰手段、復帰機構、弾性部材の一例である。
【0020】
ハンドル部45は、バネ56のみによって内側へ付勢される状態(初期姿勢に至るまで押し戻される状態)と、バネ56とバネ58によって内側へ付勢される状態(初期姿勢に至る前段階の中間姿勢まで押し戻される状態)を持つ。バネ58のバネ長を適切に設定することによって、ハンドル部45に対して遊びを持たせることができる。この遊び量に対応づけて、入力指令の無効化又は入力指令による動作量の低減を図る。これにより、カント路上を走行する際、搭乗者がハンドルを起立状態へ変化させたとしても、搭乗者の意図に反して移動体が旋回してしまうことを抑制することが可能となる。
【0021】
例えば、搭乗者は、自身から見てハンドル部45を右方向へ傾斜させると、ある傾斜角度を境として、バネ56のみによる復帰力(反力、反発力)を受けていた状態から、バネ56及びバネ58双方による復帰力(反力、反発力)を受ける状態へと変化する。搭乗者は、ハンドル部45の操作を通じて、ハンドル部45を介して受ける力が比較的大きく変化する角度を覚えることができる。従って、カント路上を走行する時においても、ハンドル部45をどの程度傾ければ、倒立二輪型車両100が実効的に旋回動作するか否かを把握することができる。
【0022】
上述の説明から明らかなように、本実施形態によれば、車両の操作感覚を搭乗者が把握しにくい状態が発生することを抑制することで、カント路走行時の意図しない旋回を抑制することが可能となる。なお、ハンドル部45に対して付与される復帰力の段階数は、2以上であれば良く、2つに限られるべきではない。換言すれば、バネ長方向が並列となるように配置されたバネの個数は、2以上であれば良い。ハンドル部45に対して復帰力を供給する手段は、バネに限らず、ゴム等の他の弾性体であっても良く、また、スプリング部材(ガススプリング、オイルスプリング等)であっても良い。なお、コスト的な観点から、バネを採用することが望ましい。なお、以下の具体例では、平行リンク機構20を介して、バネの復帰力がハンドル部45まで伝達するが、この構成に限られるべきではない。
【0023】
以下、図面を参照しつつ説明する。図1は、倒立二輪型移動体の概略的な正面図である。図2は、倒立二輪型移動体の概略的な側面図である。図3は、倒立二輪型移動体の概略的な部分拡大正面図である。図4は、倒立二輪型移動体の概略的な上面図である。図5は、倒立二輪型移動体の概略的な正面図である。図6は、倒立二輪型移動体の概略的な部分拡大模式図である。図7は、倒立二輪型移動体に内蔵されるバネユニットの概略的な構成を示す模式図である。図8は、倒立二輪型移動体の動作を示すグラフ図である。図9は、倒立二輪型移動体の動作を示す模式図である。図10は、比較例にかかる倒立二輪型移動体に内蔵されるバネユニットの概略的な構成を示す模式図である。図11は、比較例にかかる倒立二輪型移動体の動作を示すグラフ図である。図12は、倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。図13は、倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。図14は、倒立二輪型移動体の概略的な動作を示すフローチャートである。
【0024】
図1乃至図4に模式的に示すように、倒立二輪型車両100は、ベースユニット10、ハンドル部(操作子)45、及びグリップ部(把持部)46を有する。ベースユニット(本体部)10は、一組の車輪11、12、一組のフットプレート(載置部)13、14、及び格納部15を有する。車輪11と車輪12は、格納部15を挟んで対向配置されている。フットプレート13とフットプレート14は、格納部15を挟んで対向配置されている。なお、ベースユニット10には、ベースユニット10が接地することを回避するための補助輪16が設けられている(図2参照)。
【0025】
搭乗者は、フットプレート13、14上に自身の各足を載せた状態で、グリップ部46を両手で把持し、ベースユニット10上で自身の重心を移動する。搭乗者が自身の重心を移動する過程で、ハンドル部45の姿勢は変化する。ハンドル部45の姿勢変化を介して、倒立二輪型車両100に対して指令(操作指令、操舵指令、操縦指令)が入力される。
【0026】
なお、ハンドル部45の姿勢変化は、例えば、ハンドル部45に組み込まれた加速度センサ、角速度センサ、ジャイロセンサ等のセンシング手段により検知される。ロータリー型又はリニア型のポテンションメーターを活用してハンドル部45の姿勢変化を検出しても良い。この他、光学的/磁気的な手法を活用してハンドル部45の姿勢変化を検出しても良い。何らかの方法でセンシングされたハンドル部45の姿勢情報は、倒立二輪型車両100に内蔵されたコンピュータ(コントローラー/制御装置/制御部)へ供給されて演算処理される。
【0027】
図1、2、4に示すように、ハンドル部45は、円柱状部材である。ハンドル部45の下端は、ベースユニット10内の保持部品により保持されている。ハンドル部45は、自身の下端を回転中心として、任意の方向(前後/左右/前斜め右/前斜め左/後斜め右/後斜め左方向)へ傾き調整可能となっている。ベースユニット10から見てハンドル部45が所定方向に傾斜した状態をハンドル部45が"寝た状態"と呼ぶ場合もある。ベースユニット10から見てハンドル部45が垂直に起立した状態をハンドル部45が"起立した状態"と呼ぶ場合もある。
【0028】
なお、図1乃至図6に示したy軸は、鉛直方向に一致する。x軸は、鉛直方向に対して垂直な軸線である。倒立二輪型車両100が配置されている基準面(接地面)は、x軸方向を含む平面である。z軸は、倒立二輪型車両100の直進方向に一致する。
【0029】
グリップ部46は、搭乗者により把持される部分であり、ハンドル部45の上端に固定されている。図1、2、4に示すように、グリップ部46は、2つの環状部46a、46bが連結したように構成されている。環状部46aは、ハンドル部45の上端に固定され、略3角形状に構成されている。環状部46bは、環状部46aの一辺に対して連結し、略矩形状に構成されている。環状部46bは、前方へ寝た姿勢となるように環状部46aに対して配置されている。これにより、搭乗者によるグリップ部46の把持態様の自由度を高めることができる。
【0030】
図1乃至4に示すベースユニット10は、倒立二輪型車両100の本体部分であり、ユーザーによるハンドル部45の操作に応じて、車輪11、12を個別駆動する。ベースユニット10内には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、マザーボード、各種センサ(加速度センサ、角加速度センサ、ジャイロセンサ、ロータリーエンコーダ)、機械部品(平行リンク機構20、バネ、シャフト、連結部材等)等が収容される。ベースユニット10が地面に対して接触することを回避するために、図2に示すように、補助輪16がベースユニットに設けられている。
【0031】
フットプレート13は、ユーザーの左足が載せられる。フットプレート14は、搭乗者の右足が載せられる。図4に示すように、フットプレート13は、中心側に位置する格納部15から外側へ延在するに応じて幅狭になる。フットプレート14は、中心側に位置する格納部15から外側へ延在するに応じて幅狭になる。フットプレート13とフットプレート14は、両者間に存在する仮想線AX10を対称線として対称に構成される。なお、仮想線AX10は、初期倒立姿勢にある倒立二輪型車両100の重心上を通過する。
【0032】
図3に示すように、フットプレート13は、平坦部13a、湾曲部13b、及びカバー部13cを有する。平坦部13aと湾曲部13bが連続した部分は、略U字状となっている。カバー部13cは、車輪11のホイールを覆うように配置されている。カバー部13cを設けることにより、車輪11のホイールを汚れ等から保護することができる。フットプレート14は、フットプレート13と同様、平坦部14a、湾曲部14b、及びカバー部14cを有する。フットプレート14の構成は、フットプレート13の構成と略同様であり、重複説明は省略する。
【0033】
格納部15内には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等により構成されたコンピュータが内蔵される。格納部15内に内蔵されるコンピュータの構成については、後述する。
【0034】
図1及び図4に示すように、ベースユニット10には、平行リンク機構20が組み込まれている。平行リンク機構20は、リンク21、リンク22、リンク23、リンク24により構成されている。リンク21とリンク22は、x軸方向(横方向)を長手方向とするリンクであり、互いに平行配置されている。リンク23とリンク24は、y軸方向(高さ方向)に沿って延在するリンクであり、互いに平行配置されている。平行リンク機構20は、リンク21とリンク22間の平行及びリンク23とリンク24間の平行を保持しながら姿勢変化(変形)する。
【0035】
なお、リンク21の一端は、連結軸を介して、リンク23に対して回転可能に接続されている。リンク21の他端は、連結軸を介して、リンク24に対して回転可能に接続されている。リンク22の一端は、連結軸を介して、リンク23に対して回転可能に接続されている。リンク22の他端は、連結軸を介して、リンク24に対して回転可能に接続されている。なお、リンク間を接続する具体的な方法は任意である。
【0036】
図1及び図5の対比から明らかなように、平行リンク機構20は、ハンドル部45の姿勢変化に同調して姿勢変化する。一組の車輪11、12は、ハンドル部45/平行リンク機構20の姿勢変化に同調して姿勢変化する。このように構成することによって、倒立二輪型車両100が平坦面を移動する際、倒立二輪型車両100に搭乗している搭乗者が感じる車両操縦感覚を高めることができる。これにより、倒立二輪型車両100を操縦する搭乗者に対して、走る楽しさ/走る喜びを提供することができる。なお、平行リンク機構20とハンドル部45とは、例えば、機械的に固定/接続等されている。平行リンク機構20と一組の車輪11、12とは、機械的に固定/接続等されている。
【0037】
図1及び図5の対比から明らかなように、紙面を正面視して、ハンドル部45が右方向へ傾くと、これに同調して、リンク23とリンク24から構成された平行リンク対も右方向へ傾く。同様に、ハンドル部45が右方向へ傾くと、これに同調して、車輪11と車輪12とから構成された車輪対も右方向へ傾く。なお、ハンドル部45が右方向へ傾くことを、ハンドル部45が時計の針のように回動すると把握しても良い。
【0038】
ハンドル部45は、上述のように搭乗者によって任意の方向へ倒されて傾く。ベースユニット10内には、このように任意に姿勢変化されるハンドル部45を初期姿勢へ復帰させるための復帰機構が組み込まれている。
【0039】
図1に示したベースユニット10の部分拡大図を図6に示す。図6に示すように、ベースユニット10内には、x軸方向を長手方向とするバネ66が内蔵されている。バネ66は、保持部材62と保持部材64との間に挟まれている。バネ66の変形方向をx軸方向に規制するためのシャフト61も設けられている。シャフト61は、例えば、螺旋状に巻かれたバネ66の内部空間に配置される。シャフト61は、保持部材62と保持部材64との間に挟まれている。シャフト61は、伸縮可能に構成されており、保持部材62の変位に応じて伸縮する。油圧等を活用することによって、シャフト61に対して復帰特性を付与しても良い。なお、図6では、図7に示すバネ68の図示は省略されているが、上述と同様の機構により、バネ68の変形方向は、バネ66と同様に規制されている。
【0040】
図1を正面視して、左側に配置されているバネ56も、バネ66と同様の態様によりベースユニット10内に組み込まれている。また、図7に示すバネ58も、バネ68と同様の態様によりベースユニット10内に組み込まれている。
【0041】
図7乃至図9を参照して、ベースユニット10内に組み込まれる復帰機構50、60の構成について簡易的に説明する。
【0042】
図7に示すように、復帰機構50は、保持部材52、保持部材54、バネ(復帰手段/付勢手段/弾性体)56、及びバネ(復帰手段/付勢手段/弾性体)58を有する。保持部材52は、リンク22に固定される。保持部材54は、リンク21に固定される。これにより、平行リンク機構20の姿勢変化に同調して、保持部材52と保持部材54間の間隔が変動する。例えば、図1に示した状態から図5に示した状態へ平行リンク機構20の姿勢が変化すると、保持部材52と保持部材54間の間隔は短くなる。つまり、図7に模式的に示したハンドル部45を左に傾けると、保持部材52と保持部材54間の間隔が短くなる。なお、保持部材とリンク間の接続関係を逆としても良い。
【0043】
復帰機構60は、復帰機構50と同様、保持部材62、保持部材64、バネ66、及びバネ68を有する。復帰機構60の構成/動作は、復帰機構50と略同様であるため、重複説明は省略する。
【0044】
図7に示すように、ハンドル部45が初期位置(初期姿勢)にあるとき、保持部材52と保持部材54間の間隔W10は、非圧縮時のバネ56の全長に略対応している。バネ58のバネ長W20は、間隔W10よりも間隔W30分だけ短い。このように、バネ56とバネ58のバネ長を異ならせることによって、ハンドル部45の搭乗者に対して、多段階的な操作感を与えることが可能となる。
【0045】
図8は、旋回角度を横軸とし、操作力を縦軸として、ハンドル部45の操作量に対する倒立二輪型車両100の動作量との関係を模式的に示す。図8の横軸に割り当てられた旋回角度は、旋回方向におけるハンドル部45の傾き角に一致する。図8の縦軸に割り当てられた操作力は、倒立二輪型車両100の動作量(運動量)に対応する。
【0046】
図8に模式的に示すように、点線で示す範囲内(以下、単に不感帯と呼ぶこともある)においては、ハンドル部45を動かしたとしても、そのハンドル部45の操作量に応じて、倒立二輪型車両100は、実効的に動作しない。換言すると、倒立二輪型車両100は、点線の範囲内に含まれるハンドル部45の操作を検知しても、そのハンドル部45の操作に応じて実効的に旋回しないように構成されている。これによって、倒立二輪型車両100がカント路上を走行する際、搭乗者がハンドルを起立状態へと変化させたとしても、搭乗者の意図に反して移動体が旋回してしまうことを抑制することが可能となる。
【0047】
本実施形態では、図7に示した間隔W30と不感帯の範囲とは、互いに対応づけられている。換言すると、バネ56のバネ長さとバネ58のバネ長さの差と不感帯の範囲とは、互いに対応づけられている。これによって、ハンドル部45を操作している搭乗者に対して、ハンドル部45が不感帯から非不感帯へ入ったことを搭乗者に対して報知することができる。搭乗者は、ハンドル部45を初期姿勢から任意の方向へ倒していくと、ある傾きを超えるとハンドル部45から受ける復帰力が増加することを体感する。これにより、カント路上を走行する場合であっても、ある角度まではハンドル部45を倒すことができることを把握することができ、倒立二輪型車両100の走行の安定性が向上される。
【0048】
なお、図8に示したハンドル部45の操作と倒立二輪型車両100の実動作間の調整は、倒立二輪型車両100に組み込まれたコンピュータにより実行される。このコンピュータによる制御については、補足的な説明として後述する。
【0049】
図9を参照して、ハンドル部45の操作と復帰機構60の動作との関係について説明する。
【0050】
図9(a)に示すように、初期位置からハンドル部45がある位置まで傾けられる(回転角度θ10)と、保持部材62と保持部材64間の間隔が狭くなる(間隔W40<間隔W20<間隔W10)。その後、ハンドル部45に対して搭乗者が力を加えることを停止すると、図9(b)に示すように、ハンドル部45は、初期位置に戻る方向へ変位しようとし、保持部材62も同様に、その初期位置へ戻る方向へ変位する。このとき、保持部材62は、バネ66とバネ68の双方によって左側へ付勢される。その後、図9(c)に示すように、ハンドル部45がある位置まで戻ると(回転角度θ5<回転角度θ10)、バネ68は伸びた状態(非収縮状態)となる。このとき、保持部材62は、バネ66のみによって左側へ付勢される。保持部材62と保持部材64間の間隔W45は、バネ68のバネ長W20よりも広い。バネ68と保持部材64間の間隔W35は、初期状態の間隔W30よりも狭い。ハンドル部45が、ある位置(所定姿勢)から初期位置(初期姿勢)へ復帰するとき、復帰機構60がハンドル部45に対して与える力は、多段階的に変化する。従って、搭乗者は、ハンドル部45を介して伝達する力の度合いを把握し、これにより、非不感帯から不感帯へ戻ったことも把握することができる。
【0051】
ハンドル部45を初期位置から任意の姿勢へ変化させる過程は、図9に示した場合とは逆の順番にて理解すれば容易に把握することができる。
【0052】
参考までに、図10及び図11を参照して比較例について説明する。図10に示すように、復帰機構150は、保持部材152、保持部材154、及びバネ156を具備する。復帰機構160も、復帰機構150と同様、保持部材162、保持部材164、及びバネ166を具備する。図10から把握されるように、比較例の場合には、1つのバネしか用いていない。従って、本実施形態のように多段階的に操作感を搭乗者に提供することができない。また、図11に示すように、比較例の場合、点線で示す範囲内と範囲外とで比例係数は変化していない。つまり、比較例の場合、不感帯が設けられていない。従って、倒立二輪型車両がカント路上を走行する時、搭乗者の意図に反して倒立二輪型車両が旋回してしまうおそれがある。
【0053】
図12乃至図14を参照して、倒立二輪型車両100のシステム構成及び動作について更に説明する。なお、図12乃至図14に開示する内容は、あくまで一例にすぎないものであり、この開示を根拠として本願発明を限定解釈することは許されない。平行リンク機構20の姿勢変化を検出することによって、ハンドル部45の操作状態を検出しても良い。
【0054】
図12に示すように、倒立二輪型車両100は、状態検出部70、メインコントローラ80、バッテリーコントローラ92、バッテリー93、駆動系95、駆動系96、及びストレージ97を有する。なお、倒立二輪型車両100は、多重駆動系を具備する装置である。状態検出部70は、旋回角検出部70a、傾斜角検出部70b、回転量検出部70cを有する。駆動系95は、ドライバ95a、モーター95bを有する。駆動系96は、ドライバ96a、モーター96bを有する。
【0055】
状態検出部70の各出力は、メインコントローラ80に供給される。メインコントローラ80の出力は、バッテリーコントローラ92、ドライバ95a、ドライバ96aに個別に供給される。バッテリーコントローラ92の出力は、バッテリー93に供給される。ドライバ95aの出力は、モーター95bに接続される。ドライバ96aの出力は、モーター96bに接続される。メインコントローラ80とストレージ97は、データ入出力可能に相互接続される。
【0056】
旋回角検出部70aは、加速度センサユニットと、各加速度センサの各出力に基づいてハンドル部45の旋回角を算出する演算器とを含む。加速度センサユニットは、例えば、ハンドル部45に設けられる。加速度センサユニットは、3軸方向の加速度を個別に検出する3つの加速度センサを含んで構成される。旋回角は、ハンドル部45が初期状態にあるときがゼロ度である。ハンドル部45がy軸回りに回転する際、旋回角検出部70aは、所定時間間隔で変位角度を算出し、これを積分処理する。これにより、現在のハンドル部45の旋回角が検知される。逆方向にハンドル部45が変位する場合には、旋回角検出部70aは、積分値から算出値を減算処理する。角度の変化量は、角加速度の積分から算出される。
【0057】
傾斜角検出部70bは、加速度センサユニットと、加速度センサの各出力に基づいてハンドル部45の傾斜角を算出する演算器とを含む。加速度センサユニットは、例えば、ハンドル部45に設けられる。傾斜角は、ハンドル部45が初期状態にあるときがゼロ度である。ハンドル部45がx軸回りに回転する際、傾斜角検出部70bは、所定時間間隔で変位角度を算出し、これを積分処理する。これにより、現在のハンドル部45の傾斜角が検知される。逆方向にハンドル部45が変位する場合には、旋回角検出部70aは、積分値から算出値を減算処理する。
【0058】
回転量検出部70cは、各車輪11、12に対応づけて設けられたロータリーエンコーダと、個々のロータリーエンコーダの出力に基づいて車輪11、12の回転量を算出する演算器とを含む。回転量検出部70cに代えて、ベースユニット10に対して加速度センサユニットを組み込み、この出力を活用して車輪の速度を検出しても良い。ロータリーエンコーダの種類は任意であり、アブソリュート型であっても良い。
【0059】
メインコントローラ80は、旋回角検出部70aから供給される旋回角を示す検出値、傾斜角検出部70bから供給される傾斜角を示す検出値、及び回転量検出部70cから供給される回転量を示す検出値等に基づいて、駆動系95、96を個別に制御する。メインコントローラ80は、ストレージ97からリードしたプログラムを実行するCPU(演算処理器)を含んで構成される。なお、駆動系95は、車輪11を駆動する機構である。駆動系96は、車輪12を駆動する機構である。
【0060】
本実施形態では、メインコントローラ80は、旋回角検出部70aから供給される旋回角を示す検出値が図8に示した不感帯に属するか否かを判定する。例えば、メインコントローラ80は、その検出値が不感帯に属するとき、図8に模式的に示すように、駆動系95、96に対して僅かに旋回することを指示する。例えば、メインコントローラ80は、その検出値が不感帯に属するとき、駆動系95、96に対して旋回動作を指示しない。このようにメインコントローラ80が動作することによって、カント路上を走行する際、搭乗者がハンドルを起立状態へと変化させたとしても、搭乗者の意図に反して移動体が旋回してしまうことを抑制することが可能となる。
【0061】
図13を参照して、駆動系95を駆動制御する仕組みの具体例について説明する。図13に示すように、メインコントローラ80は、速度指令生成部82、実速度算出部88、加算器84、及び速度調整部86を含む。速度指令生成部82は、旋回角検出部70a、傾斜角検出部70bの出力に基づいて、目標となる速度を示す速度値を生成する。実速度算出部88は、回転量検出部70cの出力(単位時間当たりの車輪11の回転量)に基づいて、現在の速度を示す速度値を生成する。加算器84は、速度指令生成部82から供給された速度値から速度指令生成部82から供給された速度値を減算する。速度調整部86は、加算器84から供給された速度値を算出処理等により値を調整する。速度調整部86の出力は、駆動系95のドライバ95aに供給される。ドライバ95aは、調整された値の速度値に応じてモーター95bを駆動する。モーター95bにより生成された回転力は、車輪11へ伝達し、車輪11は回転する。
【0062】
速度指令生成部82は、旋回角に応じて目標速度を調整する。これにより、各車輪11、12間で回転量の差が生じ、倒立二輪型車両の旋回が実現される。なお、上述したように旋回角が不感帯に属する時、旋回動作が抑制される。この動作は、例えば、速度指令生成部82により実行される。速度指令生成部82は、旋回角が所定値を超えない限り、旋回角を無視して目標速度を算出する。これにより、旋回角に依存しない速度値が算出され、倒立二輪型車両100の旋回動作が抑制されることになる。
【0063】
なお、メインコントローラ80は、駆動系96についても、駆動系95の場合と同様に駆動制御する。
【0064】
なお、ストレージ97には、プログラム、制御値、ユーザーデータ等が格納されている。バッテリーコントローラ92は、バッテリー93の状態を制御するIC(Integrated Circuit)である。バッテリー93は、倒立二輪型車両100内に存在する電気部品等に対して電力を供給する。
【0065】
図14を参照して倒立二輪型車両100の動作について説明する。
【0066】
まず、搭乗者は、ハンドルを傾ける(S101)。これに応じて、旋回方向(横方向)のハンドルの傾き角が検知される(S102)。具体的には、旋回角検出部70aは、ハンドル部45の旋回角を算出し、これをメインコントローラ80へ供給する。
【0067】
次に、不感帯の範囲内か否かを判定する(S103)。具体的には、メインコントローラ80は、旋回角が不感帯に属するか否かを判定する。メインコントローラ80により旋回角が不感帯に属すると判断されたとき、旋回は行われず、ステップS102に戻る。他方、メインコントローラ80により旋回角が不感帯に属しないと判断されたとき、旋回が行われる。
【0068】
実施の形態2
本実施形態では、実施の形態1の構成に加えて、搭乗者に対して旋回量を報知する報知機構を倒立二輪型車両100に組み込む。これによって、搭乗者に対して、倒立二輪型車両100の旋回量を報知することができる。搭乗者は、現在のハンドルの位置/姿勢が不感帯に属するのか否かも把握することができるため、装置側の状態をより的確に把握することが可能となる。なお、本実施形態においても、実施の形態1で説明してものと同様の効果を得ることができる。
【0069】
以下、図面を参照して説明する。図15は、倒立二輪型移動体の概略的な構成を示すブロック図である。図16は、倒立二輪型移動体に組み込まれた表示部の構成を示す模式図である。図17は、倒立二輪型移動体の概略的な動作を示すフローチャートである。
【0070】
図15に示すように、実施の形態1の場合の構成に加えて、倒立二輪型車両100は、表示部98を具備する。表示部98は、図16に模式的に示す表示装置200である。表示装置200は、例えば、図1に示した倒立二輪型車両100のグリップ部46等に設けられる。表示装置200は、ライン状に配置された複数の領域R10〜R16を具備する。各領域には、個別にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子が組み込まれている。表示装置200は、図16に模式的に示すように、旋回量が増加すると、より多くの領域を点灯させる。例えば、旋回量が所定値のとき、領域R10が点灯する。旋回量が所定値の3倍のとき、領域R10〜R12が点灯する。なお、表示装置200の各領域の点灯制御は、メインコントローラ80によって実行される。
【0071】
メインコントローラ80は、傾斜角、旋回角等の検出値に基づいて旋回角を算出する。メインコントローラ80は、算出した旋回角が不感帯に属するか否かを判定する。算出した旋回角が不感帯に属する時、メインコントローラ80は、表示装置200に含まれる領域を点灯制御しない。算出した旋回角が不感帯を超えた時、メインコントローラ80は、その旋回角の値の絶対値に応じて、表示装置200に含まれる領域を点灯制御する。
【0072】
図17に示すように、S104にて旋回動作すると略同時に、旋回量の報知をする(S105)。具体的には、上述のメインコントローラ80は、旋回角の絶対値に応じて、表示装置200に含まれる領域を点灯制御する。これにより、搭乗者に対して、倒立二輪型車両100の旋回量を報知することができる。
【0073】
なお、搭乗者に旋回量を報知する具体的な手法は任意であり、光による報知に代えて、音による報知、振動による報知、送風による報知等を採用しても良い。
【0074】
最後に、図18を参照して、上述の実施の形態の効果を模式的に説明する。図18(a)に示すように、従来タイプの倒立二輪型車両500では、カント路400走行時に搭乗者によりハンドル部が起立させられると、図18(a)の右側図に模式的に示すように倒立二輪型車両500が大きく旋回してしまう場合がある。
【0075】
上述の実施形態に係る倒立二輪型車両100では、カント路400走行時に搭乗者によりハンドル部が起立させられたとしても、図18(b)の右側図に模式的に示すように倒立二輪型車両100は大きく旋回することはなく、小さく旋回するように挙動する。なお、上述の説明から明らかなように、図18(b)に示したように倒立二輪型車両100を小さく旋回させることに代えて、倒立二輪型車両100が全く旋回しないようにしても良い。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、復帰機構の具体的な構成は任意である。バネ以外の弾性体を採用しても良い。バネの個数は2以上であれば良く、2つに限定されるべきものではない。
【符号の説明】
【0077】
100 倒立二輪型車両
10 ベースユニット
11、12 車輪
13 フットプレート
14 フットプレート
15 格納部
20 平行リンク機構
45 ハンドル部
46 グリップ部
50、60 復帰機構
52、62 保持部材
54、64 保持部材
56、66 バネ
58、68 バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪を回転制御して移動する移動体であって、
搭乗者によって操作される操作子と、
前記搭乗者による操作に応じて姿勢変化した前記操作子を初期姿勢へ復帰させる第1復帰手段と、
前記搭乗者による操作に応じて前記初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化した前記操作子を、前記第1姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、前記第1復帰手段と共に前記操作子を復帰させる第2復帰手段と、
を備える、移動体。
【請求項2】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくとも弾性部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくとも弾性部材を含み、
前記第2復帰手段に含まれる前記弾性部材の弾性力は、前記第1復帰手段に含まれる前記弾性部材の弾性力とは異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体。
【請求項4】
前記第1及び第2復帰手段それぞれは、少なくともバネを含み、
前記第2復帰手段に含まれる前記バネのバネ長は、前記第1復帰手段に含まれる前記バネのバネ長とは異なることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項5】
前記搭乗者による操作に応じて姿勢変化した前記操作子を初期姿勢へ復帰させる第3復帰手段と、
前記搭乗者による操作に応じて前記初期姿勢とは異なる第2姿勢へ変化した前記操作子を、前記第2姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで、前記第3復帰手段と共に前記操作子を復帰させる第4復帰手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項6】
前記初期姿勢から前記中間姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項7】
前記初期姿勢から前記中間姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作しないように構成され、かつ前記中間姿勢から前記第1姿勢まで前記操作子の姿勢が変化するとき、実効的に旋回動作するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項8】
搭乗者の双方の足が載置される載置部と、
前記載置部上における前記搭乗者の重心移動に応じて、姿勢変化する平行リンク機構と、を更に備え、
一組の前記車輪の夫々は、前記平行リンク機構の姿勢の変化に応じて、接地面に対して傾きを有するように調整されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の移動体。
【請求項9】
前記第1及び第2復帰手段は、少なくとも前記平行リンク機構を介して、前記操作子に対して作用することを特徴とする請求項8に記載の移動体。
【請求項10】
前記平行リンク機構が初期姿勢から変化するに応じて、前記第1復帰手段は、前記平行リンク機構が初期姿勢へ復帰するように前記平行リンク機構に対して作用することを特徴とする請求項9に記載の移動体。
【請求項11】
搭乗者による操作に応じて初期姿勢とは異なる第1姿勢へ変化した操作子を、前記第1姿勢から前記初期姿勢まで前記操作子の姿勢が変化する過程の姿勢である中間姿勢まで第1の復帰力により姿勢変化させ、その後、第1の復帰力よりも弱い第2の復帰力で前記操作子の姿勢を変化させるように構成された移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−236522(P2012−236522A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107255(P2011−107255)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】