説明

移動制御方法、移動操作装置及び移動体の移動を操作する方法

【課題】移動体の移動操作において、手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作ができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できること。
【解決手段】信号伝送用ケーブル8と、そのケーブル8の一方端側に配置される操作用リモートコントローラ9の筐体10と、筐体10の方向に対応する信号を生成するロータリエンコーダ19と、ケーブル8の他方端側に配置され、筐体10の方向に対応する信号に基づき移動体7の移動を制御するモータ駆動制御回路18とを備え、ケーブル8を通じて筐体10の方向に対応する信号をロータリエンコーダ19からモータ駆動制御回路18へ供給する。したがって、作業者は手元を見なくても操作スイッチ11を押しつつ、移動体としてのフック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながら操作用リモートコントローラ9のリモコン筐体10の方向を調整して所望の方向へ搬送物を移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動を操作する技術に関し、より詳しくは初心者でも容易に、安全、確実そして迅速に移動体の移動を操作することが可能になる移動制御方法、移動操作装置、移動操作方法等に関する。
なお、本発明において、次に掲げる用語の定義又は解釈は以下のとおりである。
(1) 「リモコン」とは、遠隔操作、遠隔制御等を行うための装置の意味を有するリモートコントローラの略称又は遠隔操作、遠隔制御等の意味を有するリモートコントロールの略称である。なお、無線、有線といった信号伝送方式の違いは、別段の説明を行う場合を除き、「リモコン」の定義又は解釈を左右しない。
(2) 「三次元方向」とは、別段の説明を行う場合を除き、上下、左右及び前後又は東・西・南・北・上・下の全方向又は各方向をいう。
(3) 「三次元移動装置」とは、物品の三次元方向への相対的移動を可能にする装置をいう。三次元方向へ相対的に移動(自走)が可能な装置又は三次元方向へ相対的に移動が可能な構成部材を備える装置は、その装置を構成しない物品(たとえば荷物や荷台などの搬送物)の三次元方向への相対的移動を可能にすると否とに拘らず、「三次元移動装置」に含まれる。「三次元移動装置」の具体例は、天井クレーン、車両搭載型クレーン、ジブクレーンを始めとするクレーン装置や、物品を把持又は搭載する搬送アームを備える搬送用ロボット、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプターである。
(4) 「昇降機」の具体例は、クレーン装置における巻上機、搬送用ロボットにおける搬送アームの駆動モータ、高所作業車におけるブーム、ヘリコプターにおける主プロペラである。
(5) 「移動体」とは、三次元移動装置により三次元方向へ相対的に移動させられる物品をいう。三次元方向へ相対的に移動(自走)が可能な装置の場合は、その装置自体が「移動体」に該当し、三次元方向へ相対的に移動が可能な構成部材を備える装置の場合は、その構成部材が「移動体」に該当する。「移動体」の具体例は、三次元移動装置により三次元方向へ相対的に移動させることが可能なあらゆる物品、クレーン装置におけるフック、搬送用ロボットにおける物品を把持又は搭載する搬送アーム又はその把持部、搭載部等の荷台相当部分、高所作業車におけるバケット(デッキ)、ヘリコプターにおけるヘリコプター本体である。
(6) 「移動機構」とは、移動体を移動させる機構であり、昇降機の原動機を含む。移動体が三次元方向に移動する場合、その移動を可能にするX軸モータ、Y軸モータ及びZ軸モータは「移動機構」に該当する。
(7) 「操作用リモートコントローラの筐体の方向」における「方向」は、別段の説明を行う場合を除き、絶対的方向であっても相対的方向であってもよい。たとえば、操作用リモートコントローラの筐体が実際に向いている絶対的方向であっても「操作用リモートコントローラの筐体の方向」に該当し、基準として定めた方向(固定された不動の方向であっても、それ自体が変動する方向であってもよい)からその筐体の向きが偏倚することで相対的に定まる方向もこれに該当する。
(8) 「操作用リモートコントローラ」を「操作用リモコン」と省略していう場合がある。「操作用リモートコントローラの筐体」を「リモコン筐体」と省略していう場合がある。「操作用リモートコントローラの筐体の方向」を「リモコン筐体の方向」又は「操作用リモコンの方向」と省略していう場合がある。
【背景技術】
【0002】
工場等の天井に設置される天井クレーンは、例えば、特許文献1に示されるように、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レール上を車輪走行する1対のサドル間に、巻上機を横行可能に備えたガーダを横架して構成されている。この巻上機としては、巻上用支持体としてワイヤロープを用いた電動ホイストや、ロードチェーンを用いた電動チェーンブロック等が使用され、巻上機から垂下されたフックブロックに設けられたフックに、搬送物に掛け回した玉掛け用具を掛けて吊り上げ、天井クレーンによって搬送物を任意の位置に移動させる。
【0003】
かかる天井クレーンの操作は、従来、巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置が備える6個の押しボタン(東・西・南・北・上・下)を順次押すことにより行われているが、搬送物が大きい場合には、巻上機に吊り上げられた搬送物と巻上機から吊り下げられた有線式のリモコン装置を操作する作業者とが接触する可能性があり、安全性が十分ではないという問題があった。
【0004】
そこで、かかる問題を解決するために、無線操縦式のリモコン装置、例えば、特許文献2に記載のクレーン用光リモコン装置が開発されている。このクレーン用光リモコン装置は、従来の無線操縦式のリモコン装置が電波を利用するものであり、コストを下げることが困難なこと、一方、光リモコン装置はコストの低減を容易に行えるが、光を遮る物体があると送受信ができないという問題点に対して、巻上機本体の下方に広角の受光特性を持つ受光器を二つ以上配置することによって、実用的なクレーン用光リモコン装置としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−75284号公報
【特許文献2】特開平11−106179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リモコン装置が有線式の場合、無線式の場合を問わず、特に、塗装工場等において使用される天井クレーン等の場合には、塗料等でリモコン装置の押しボタンが汚れて押しボタンに刻印してある文字(東・西・南・北・上・下)が判読し難くなり、リモコン装置を注視しながら押しボタンを押して操作しなければならないため、天井クレーンで搬送される搬送物の動きを注視することができず、迅速的確な作業を行うことが困難であるばかりか、搬送物がリモコン装置を操作する作業者に接近しても気が付かないおそれがあった。
【0007】
また、リモコン装置の汚れがひどい場合には、ベテランの作業者でも一度押しボタンを試し押ししてみて巻上機に吊り上げられた搬送物がどちらに動くか確認してから、実際の搬送作業を行うのが現実であった。さらに、初心者が操作する場合には、東・西・南・北の方向を瞬時に判断することが困難であるため、迅速・確実な作業を行うことができないという問題点があった。
【0008】
上記の問題は、天井クレーンという三次元移動装置に固有のものではなく、他の三次元移動装置でも起こる。また、三次元移動装置に固有のものではなく、リモコン装置を用いる他の移動装置においても起こる。さらに、塗装という技術分野に固有のものではなく、リモコン装置の押しボタンが汚れることがある他の技術分野においても起こる。工場という屋内における作業に固有のものではなく、むしろ屋外作業において起こりやすい。そして、リモコン装置を用いて移動体の移動操作を行うことに熟達していない初心者にとってこれを安全・確実・迅速に又は効率的に行うことは一般に容易なことではない。
【0009】
本発明は、以上の問題の少なくとも一つを解決することを課題とし、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に又は効率的に操作することができる技術、特にそのような操作を可能にする移動制御方法、移動操作装置、移動操作方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための、本発明の第1の形態に係る移動制御方法は、移動体の移動を操作する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号に基づき前記移動機構の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第2の形態に係る移動制御方法は、第1の形態に係る方法であって、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向が、前記長尺部材に対する又は前記長尺部材を基準として定まる方向であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第3の形態に係る移動制御方法は、第1又は第2の形態に係る方法であって、前記長尺部材である又は前記長尺部材内に配置される信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記操作用リモートコントローラから、前記移動機構の駆動を制御する前記駆動制御装置に供給することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第4の形態に係る移動制御方法は、移動体の移動を操作する移動制御方法であって、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号を前記移動機構の駆動を制御する駆動制御装置に供給し、前記駆動制御装置の一部において前記信号に基づき制御信号を生成し、前記駆動制御装置の残部において前記制御信号に基づき前記移動機構の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第5の形態に係る移動制御方法は、第4の形態に係る方法であって、前記制御信号を前記信号伝送用ケーブルを通じて前記制御信号を前記駆動制御装置の一部から前記駆動制御装置の残部に供給することを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第6の形態に係る移動制御方法は、第1乃至第5の形態に係る方法であって、前記信号が、前記長尺部材に回動可能に取り付けられた前記筐体の方向に関する信号であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第7の形態に係る移動操作装置は、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体の方向に関する信号を生成する筐体方向判別手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、前記信号に基づき移動体の移動を制御する駆動制御装置とを備え、前記信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記筐体方向判別手段から前記駆動制御装置へ供給するものである。
なお、第7の形態の派生形態(第7Aの形態)として、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体の方向に関する信号を生成する筐体方向判別手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動機構と、前記信号に基づき前記移動機構の駆動を制御する駆動制御装置とを備え、前記信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記駆動制御装置に供給することを特徴とするものがある。
【0017】
本発明の第8の形態に係る移動操作装置は、第7又は第7Aの形態に係る装置であって、前記筐体が、前記長尺部材に回動自在に取り付けられており、前記筐体方向判別手段が、前記長尺部材に対する又は前記長尺部材を基準として定まる前記筐体の方向に関する信号を生成する手段であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第9の形態に係る移動操作装置は、第7(若しくは第7A)又は第8の形態に係る装置であって、前記筐体を手に持ち、前記移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所に前記筐体の前記長尺部材に対する方向を表示する表示手段を備えることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第10の形態に係る移動体の移動を操作する方法は、第7乃至第9(第7Aを含む)のいずれかの形態に係る装置を用いて行う方法であって、前記長尺部材に対して又は前記長尺部材を基準として前記筐体の方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第11の形態に係る移動体の移動を操作する方法は、第9の形態に係る移動操作装置を用いて行う方法であって、前記表示手段に表示される前記筐体の前記長尺部材に対する方向を目視して確認しながら、前記筐体の方向を前記長尺部材に対し相対的に変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第12の形態に係る三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ及び前記Z軸モータの少なくとも一つを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の方向を検出する筐体方向判別手段、前記リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるように前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び/又は前記Y軸モータを制御する前記リモコン筐体に内蔵した操作スイッチ、前記移動体を上昇又は下降させる前記リモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、前記筐体方向判別手段によって検出された前記リモコン筐体の方向のデータ、前記操作スイッチ、前記上下スイッチの動作の有無データを前記モータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備することを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第13の形態に係る三次元移動装置は、第12の形態に係る装置であって、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第14の形態に係る三次元移動装置は、第13の形態に係る装置であって、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記筐体方向判別手段は前記ケーブルチューブの下端に前記リモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第15の形態に係る三次元移動装置は、第14の形態に係る装置であって、前記ロータリエンコーダはアブソリュートエンコーダであることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第16の形態に係る三次元移動装置は、第12の形態に係る装置であって、前記操作用リモコンと前記モータ駆動制御回路との間の通信は、前記操作用リモコンに設けられた発信装置と前記モータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、前記筐体方向判別手段は前記リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段であることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第17の形態に係る三次元移動装置は、第16の形態に係る装置であって、前記無線通信は電波通信装置によることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第18の形態に係る三次元移動装置は、第17の形態に係る装置であって、前記無線通信は光通信装置によることを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第19の形態に係る三次元移動装置は、第16乃至第18のいずれかの形態に係る装置であって、前記操作用リモコンの前記リモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で前記移動機構の主電源を入れることによって、前記X軸モータ及び/又は前記Y軸モータ及び/又は前記Z軸モータが作動して前記移動体が所定の原位置に移動することを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第20の形態に係る三次元移動装置は、第12乃至第19のいずれかの形態に係る装置であって、前記リモコン筐体の前記操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、該第2の操作スイッチを押すことによって前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動することを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第21の形態に係る三次元移動装置は、第12乃至第19のいずれかの形態に係る装置であって、前記操作スイッチは十字キーであって、前記十字キーの上部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、前記十字キーの下部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、前記十字キーの左部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、前記十字キーの右部を押すと前記移動体が前記リモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動することを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第22の形態に係る三次元移動装置は、第12乃至第21のいずれかの形態に係る装置であって、前記操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には前記操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、前記リモコン筐体がその後向きを変えても、前記操作スイッチが押し込まれた時点で前記リモコン筐体が向いていた方向に前記移動体が水平面内で移動し続け、前記操作スイッチを再度強く押し込むことによって前記操作スイッチが戻って前記移動体が停止することを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第23の形態に係る三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、前記X軸モータ、前記Y軸モータ及び前記Z軸モータの少なくとも一つを駆動し、所望の位置に前記移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、前記モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、前記通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、前記操作用リモコンは、前記通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、前記リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、前記移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、前記操作スイッチのうち1つが押された場合に前記通信線を通じて前記モータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、前記モータ駆動制御回路によって前記X軸モータ及び前記Y軸モータが駆動して前記移動体が前記操作スイッチが押された方向に水平面内で移動することを特徴とするものである。
【0033】
本発明の第24の形態に係る三次元移動装置は、第12乃至第23のいずれかの形態に係る装置であって、前記リモコン筐体を手に持ち、前記移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所に前記リモコン筐体が向いている方向を表示する表示手段を備えることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第25の形態に係る移動体の移動操作方法は、第12乃至第23のいずれかの形態に係る三次元移動装置を用いて移動体の移動を操作する方法であって、前記リモコン筐体が向いている方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とするものである。
【0035】
本発明の第26の形態に係る移動体の移動操作方法は、第24の形態に係る三次元移動装置を用いて移動体の移動を操作する方法であって、前記表示手段に表示される方向を目視して確認しながら、前記リモコン筐体が向いている方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とするものである。
【0036】
本発明の第27の形態に係る移動体の移動制御方法は、移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0037】
本発明の第28の形態に係る移動体の移動制御方法は、第27の形態に係る移動制御方法であって、前記長尺部材の一方端側に配置される前記棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体の回転方向又は回転量に関する信号に基づき、前記移動装置の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0038】
本発明の第29の形態に係る移動操作装置は、少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される前記棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体内に配置され、前記棒状部材の軸回りの当該筐体の回転方向又は回転量に関する信号を生成する信号生成手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動装置と、前記信号に基づき前記移動装置の駆動を制御する駆動制御装置と、前記筐体の回転方向又は回転量に関する信号を前記駆動制御装置へ供給する信号伝送用ケーブルを通じて又は無線伝送手段とを備えることを特徴とするものである。
【0039】
本発明の第30の形態に係る移動操作装置は、第29の形態に係る移動操作装置であって、前記信号発生手段は、前記筐体が回転可能に取り付けられた前記棒状部材に対する又はその棒状部材を基準として相対的に定まる前記筐体の回転方向又は回転量に関する信号を生成する手段であることを特徴とするものである。
【0040】
本発明の第31の形態に係る移動操作装置は、第29または第30の形態に係る移動操作装置であって、前記筐体を手に持ち、移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所に設置された、移動体の移動方向又はその作業者が選択した方向を表示する表示手段を備えることを特徴とするものである。
【0041】
本発明の第32の形態に係る操作用リモートコントローラは、少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材の一方端側に配置される前記棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた筐体と、該筐体内に配置され、前記その棒状部材の軸回りの当該筐体の回転方向又は回転量に関する信号を生成する信号生成手段とを備え、前記信号に基づき、移動体を移動させる移動装置であって前記長尺部材の他方端側に配置されるものの駆動を制御することを特徴とするものである。
【0042】
本発明の第33の形態に係る移動体の移動制御方法は、移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、前記長尺部材の一方端側に配置され、前記長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体に設けられたスイッチ手段又はこれと連動する部材と前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分と一体をなす物体又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材と一体をなす物体との間の距離の変化に応じて発生する信号に基づき、前記移動装置の駆動を制御することを特徴とするものである。
ここで、「・・・変化に応じて発生する信号」における該信号の発生手段としては、光学センサがあるが、「光学センサ」はこのような「信号発生手段」の代表的な一例を示し、そのほかに「磁気センサ」、「近接センサ」などの非接触センサが同様に使用できる。
【0043】
本発明の第34の形態に係る移動制御方法は、第33の形態に係る移動制御方法であって、移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、前記長尺部材の一方端側に配置され、前記長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体に設けられた押しボタン又は該押しボタンと連動する部材と前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分に同軸に固定された円盤又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材に同軸に固定された円盤との間の距離の変化に応じて出力される光学センサの出力信号に基づき、前記移動装置の駆動を制御することを特徴とするものである。
【0044】
本発明の第35の形態に係る移動操作装置は、長尺部材と、該長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動装置と、該移動装置の駆動を制御する駆動制御装置と、前記筐体に設けられたスイッチ手段と、該スイッチ手段又はこれと連動する部材と前記筐体内に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分と一体をなす物体又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材と一体をなす物体との間の距離の変化に応じて信号を発生する信号発生手段と、前記信号を前記駆動制御装置に供給する信号伝送用ケーブルを通じて又は無線伝送手段とを備えることを特徴とするものである。
【0045】
本発明の第36の形態に係る移動操作装置は、第35の形態に係る移動操作装置であって、前記スイッチ手段は、前記筐体に設けられた押しボタンであり、前記信号発生手段は、前記押しボタン又は該押しボタンと連動する部材を検知するための、前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分に同軸に固定された円盤又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材に同軸に固定された円盤に設けられた光学センサを備えることを特徴とするものである。
【0046】
本発明の第37の形態に係る操作用リモートコントローラは、長尺部材の一方端側に配置され、前記長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられたる筐体と、該筐体に設けられたスイッチ手段と、該スイッチ手段又はこれと連動する部材と前記筐体内に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分と一体をなす物体又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材と一体をなす物体との間の距離の変化に応じて信号を発生する信号発生手段とを備え、前記信号に基づき、移動体を移動させる移動装置であって前記長尺部材の他方端側に配置されるものの駆動を制御することを特徴とするものである。
【0047】
本発明の第1乃至第11の各形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができるようになる。なお、第1乃至第11の各形態における「駆動制御装置」の一例は、移動体を移動させる移動機構を制御する装置である。
【0048】
本発明の第1乃至第11の各形態が奏する作用効果は以下のとおりである。
〔1〕 本発明の第1の形態に係る移動制御方法では、長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号に基づき前記駆動制御装置により前記移動機構の駆動を制御する。
【0049】
〔1−1〕 ここで、「長尺部材」とは、断面の実効直径又は平均直径よりも大きな長さを有する部材であって、信号伝送用ケーブルをその内部に装填することができるものをいう。「長尺部材」は信号伝送用ケーブルをその内部に装填することができることが条件となるが、断面が閉管状(O字状)である必要はなく、断面がU字状であってもよく、断面C字状、即ち長さ方向に沿って内部を外部に露出させる裂け目又は未封止部があってもよい。
【0050】
また、外観上断面の実効面積が一定である必要はなく、直棒状であっても曲棒状であってもよい。撓みはするが捩れないケーブル若しくはそのケーブルチューブ又は撓みが自在で、捩れないケーブル若しくはそのケーブルチューブは「長尺部材」に該当するが、別段の説明をする場合を除き、撓み易さや捩れ易さは「長尺部材」の条件にはならない。
なお、「撓みはするが捩れないケーブチューブ」又は「撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ」としては、JIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管が典型例であり、具体的には株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブがある。
【0051】
〔1−2〕 「操作用リモートコントローラの筐体の方向」は、圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等のジャイロ手段を用いることによって検出することができる。
なお、「操作用リモートコントローラの筐体の方向」に直接対応しない信号であっても、当該方向を求めるために利用される限り、「操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号」に含まれる。たとえば、リモコン筐体の方向の変化(変位ベクトル)を、予め設定しておいた基準位置からベクトル合成すると「操作用リモートコントローラの筐体の方向」を求めることができる。それ故、リモコン筐体の方向の変化に対応する信号は、当該方向を求めるために用いられる限り、「操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号」に含まれる。
【0052】
〔1−3〕 上記〔1−1〕及び〔1−2〕における用語・表現の説明内容は、本発明のすべての形態において当て嵌まる。
【0053】
〔1−4〕 操作用リモコンの筐体の方向を検出する手段及び/又はその検出結果に基づき操作用リモコンの筐体の方向に関する信号を生成する手段は、当該信号が確実に駆動制御装置に供給される限り、長尺部材の一方端側、即ち操作用リモートコントローラを配置する側に設置しても良いし、長尺部材の他方端側、即ち駆動制御装置を配置する側に設置しても良い。また、これらの手段の少なくとも一つを長尺部材の一方端側に設置する場合には、これをリモコン筐体内に設置することができる。
【0054】
操作用リモコンの筐体の方向を検出する手段を長尺部材の他方端側に設置する場合、たとえば長尺部材の他方端側における当該長尺部材の変位に基づきリモコン筐体の方向を算出することは理屈の上では可能である。しかし、この場合、長尺部材の長さ、横弾性係数、曲げ剛性等の材料力学的特性、リモコン筐体との接続具合などによっては算出誤差がかなり大きくなり、ときには算出困難になる。それ故、操作用リモコンの筐体の方向を検出する手段は基本的に長尺部材の一方端側、即ち操作用リモートコントローラを配置する側に設置するのが現実的であり、好ましい。
なお、上記のジャイロ手段は、少なくとも操作用リモコンの筐体の方向を検出する手段であり、その機能に鑑みるに、に長尺部材の一方端側、即ち操作用リモートコントローラを配置する側、特にリモコン筐体内に設置すべきである。
【0055】
〔1−5〕 この第1の形態における移動制御方法では、操作用リモコンの筐体の方向に応じて移動体の移動を制御する。
それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、移動体を移動させたい方向にリモコン筐体の方向を変えることにより、移動体をその所望の方向に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0056】
かくして、この第1の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができる移動制御方法を実現することができる。
【0057】
〔2〕 本発明の第2の形態に係る移動制御方法では、長尺部材に対する又は長尺部材を基準として定まるリモコン筐体の方向に関する信号を駆動制御装置に供給し、当該信号に基づき前記移動体の移動を制御する。このため、作業者は、長尺部材の位置を念頭に入れてこれを基準としてリモコン筐体を動かすことができるので、リモコン筐体の方向をより正確に直感又は認識することができる。
【0058】
それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、リモコン筐体の方向をより容易に、より的確・迅速に移動体を移動させたい方向に変えることができ、移動体をその所望の方向により効率的に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0059】
かくして、この第2の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速にしかも効率邸に移動体の移動を操作することができる移動制御方法を実現することができる。
【0060】
〔3〕 本発明の第3の形態に係る移動制御方法では、長尺部材である又は長尺部材内に配置される信号伝送用ケーブルを通じてリモコン筐体の方向に関する信号を操作用リモートコントローラから駆動制御装置に供給する。
それ故、第3の形態によれば、ケーブルが邪魔になって作業者に操作に支障を与えることもなく、第1又は第2の形態が奏するのと同様の作用効果を奏する。
【0061】
なお、本発明の第1及び第2の各形態に係る方法では、リモコン筐体の方向に関する信号を操作用リモートコントローラから駆動制御装置に供給する方式に制限はなく、無線方式でも有線方式でも良い。これに対し、この第3の形態に係る方法では、有線方式によるものとし、しかも信号伝送用ケーブルが長尺部材を兼ねる又は長尺部材内に配置される。このため、有線方式だからといってケーブルの敷設の仕方に気を遣う必要はない。
【0062】
〔4〕 本発明の第4の形態に係る移動制御方法では、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号を前記移動機構の駆動を制御する駆動制御装置に供給し、前記駆動制御装置の一部において前記信号に基づき制御信号を生成し、前記駆動制御装置の残部において前記制御信号に基づき前記移動機構の駆動を制御する。
【0063】
この第4の形態に係る移動制御方法でも、第1の形態に係る方法と同様に、操作用リモコンの筐体の方向に応じて移動体の移動を制御する。
それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、移動体を移動させたい方向にリモコン筐体の方向を変えることにより、移動体をその所望の方向に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。かくして、この第3の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができる移動制御方法を実現することができる。
【0064】
なお、本発明の第1乃至第3の各形態に係る方法では、長尺部材の一方端側に操作用リモコンが、他方端側に駆動制御装置を配置する。これに対し、この第4の形態に係る方法では、駆動制御装置の一部も長尺部材の一方端側に配置する。このため、長尺部材の一方端側に配置する装置や機器の調整や保守管理により、移動体の移動制御上必要な調整や保守管理の多くを済ませることができる。
この第4の形態に係る方法を実現する装置においては、この駆動制御装置の一部を操作用リモコン内に組み込んで構成してもよい。
【0065】
〔5〕 本発明の第5の形態に係る移動制御方法では、長尺部材の一方端側に配置する駆動制御装置の一部において生成した制御信号を、前記信号伝送用ケーブルを通じて駆動制御装置の残部に供給する
第4の形態に係る方法では、駆動制御装置の一部において生成した制御信号を駆動制御装置の残部に供給する方式は、方式に制限はなく、無線方式でも有線方式でも良い。これに対し、この第5の形態に係る方法では、有線方式によるものとし、しかも信号伝送用ケーブルが長尺部材を兼ねる又は長尺部材内に配置される。このため、有線方式だからといってケーブルの敷設の仕方に気を遣う必要はない。
〔6〕 本発明の第6の形態に係る移動制御方法では、リモコン筐体の方向に関する信号が、長尺部材に回動可能に取り付けられたリモコン筐体の方向に関する信号である。
【0066】
〔6−1〕 リモコン筐体を長尺部材に回動可能に設置するためには、それを可能にする公知の機構を利用して構成した回動接続部を介してリモコン筐体と長尺部材とを接続すればよい。回動接続部内にロータリエンコーダを設け、そのロータリエンコーダによりリモコン筐体がどちらに何回転したかを測定すれば、その測定データに係る信号は、「長尺部材に回動可能に取り付けられたリモコン筐体の方向に関する信号」に相当する。この信号を駆動制御装置に供給すれば、駆動制御装置から出力される制御信号に基づき移動体の移動を制御することができる。
【0067】
〔6−2〕 それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、移動体を移動させたい方向にリモコン筐体の方向を変えることにより、移動体をその所望の方向に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0068】
かくして、この第6の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができる移動制御方法を実現することができる。
【0069】
〔6−3〕 なお、長尺部材として、撓みはするが捩れないケーブルチューブ又は撓みが自在で、捩れないケーブルチューブを使用することが好ましい。このようなケーブルチューブを使用すれば、ケーブルチューブを撓ませることによって操作用リモコンを移動体の真下から離れた位置で操作することができ、移動体に近づく必要がないので作業者の安全が確保される。また、操作用リモコンを移動させてもケーブルチューブは回転せず、ロータリエンコーダの基準点(原点)がずれることはない。それ故、ロータリエンコーダによってリモコン筐体がどちらに何度回転したかを測定して、その測定データに係る信号を駆動制御装置に供給すれば、移動体の移動をより精度良く制御することができる。
【0070】
〔6−4〕 また、ロータリエンコーダとしてアブソリュートエンコーダを用いることができる。通常のロータリエンコーダにより測定できるのはリモコン筐体の回転方向と角度に止まるが、アブソリュートエンコーダにより測定できるのは、リモコン筐体が実際に向いている絶対的方向である。それ故、エンコーダの出力信号からリモコン筐体の方向を求める演算がより簡潔になり、好ましい。
【0071】
〔7〕 本発明の第7の形態に係る移動操作装置は、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体の方向に関する信号を生成する筐体方向判別手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、前記信号に基づき移動体の移動を制御する駆動制御装置とを備え、前記信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記筐体方向判別手段から前記駆動制御装置へ供給するものである。
【0072】
〔7−1〕 「筐体方向判別手段」の典型例は、圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等のジャイロ手段、ロータリエンコーダ、アブソリュートエンコーダであるが、これらに限定されない。
【0073】
〔7−2〕 この第7の形態における移動操作装置では、操作用リモコンの筐体の方向に応じて移動体の移動を制御される。
それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、移動体を移動させたい方向にリモコン筐体の方向を変えることにより、移動体をその所望の方向に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0074】
かくして、この第7の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができる移動操作装置を実現することができる。
【0075】
〔7−3〕 なお、第7Aの形態に係る移動操作装置では、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体の方向に関する信号を生成する筐体方向判別手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動機構と、前記信号に基づき前記移動機構の駆動を制御する駆動制御装置とを備え、前記信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記駆動制御装置に供給する。この形態によれば、第7の形態が奏するもの同様の作用効果を奏する。
【0076】
〔8〕 本発明の第8の形態に係る移動操作装置では、操作用リモコンの筐体が、長尺部材に回動自在に取り付けられており、筐体方向判別手段が、長尺部材に対する又は長尺部材を基準として定まる当該筐体の方向に関する信号を生成する手段とされる。
【0077】
〔8−1〕 まず、この第8の形態に係る装置では、リモコン筐体が長尺部材に回動可能に取り付けられている。リモコン筐体を長尺部材に回動可能に設置するためには、それを可能にする公知の機構を利用して構成した回動接続部を介してリモコン筐体と長尺部材とを接続すればよい。筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダを当該回動接続部内に設け、そのロータリエンコーダによりリモコン筐体がどちらに何回転したかを測定し、その測定データに係る信号を駆動制御装置に供給すれば、駆動制御装置から出力される制御信号に基づき移動体の移動が制御される。
【0078】
それ故、この第8の形態に係る装置を用いれば、操作用リモコンを手にした作業者は、移動体を移動させたい方向にリモコン筐体の方向を変えることにより、移動体をその所望の方向に移動させることができる。
なお、このとき長尺部材として、撓みはするが捩れないケーブルチューブ又は撓みが自在で、捩れないケーブルチューブを使用することが好ましいこと(上記〔6−3〕参照)及び、ロータリエンコーダとしてアブソリュートエンコーダを用いることができること(上記〔6−4〕参照)については、第5の形態の場合と同様なので、説明を省略する。
【0079】
〔8−2〕 次に、この第8の形態に係る装置では、筐体方向判別手段が、長尺部材に対する又は長尺部材を基準として定まる当該筐体の方向に関する信号を生成し、この信号が駆動制御装置に供給される。このため、作業者は、長尺部材の位置を念頭に入れてこれを基準としてリモコン筐体を動かすことができるので、リモコン筐体の方向をより正確に直感又は認識することができる。
【0080】
それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、リモコン筐体の方向をより容易に、より的確・迅速に移動体を移動させたい方向に変えることができ、移動体をその所望の方向により効率的に移動させることができる。
【0081】
〔8−3〕 また、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0082】
かくして、この第8の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の移動を操作することができる移動操作装置を実現することができる。
【0083】
〔9〕 本発明の第9の形態に係る移動操作装置は、リモコン筐体を手に持ち、移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所にそのリモコン筐体が向いている方向を表示する表示手段を備えている。
【0084】
〔9−1〕 ここで、「作業者が目視可能な場所」とは、作業者が操作用リモコンを操作する際、その視界に入る場所を意味し、たとえば、作業者が手元を一瞥したときに視界に入るリモコン筐体やその近傍の長尺部材の適当箇所、作業者が移動体を眺めたときに視界に入る移動体の適当箇所、天井、壁面その他の場所がその典型例であるが、いずれの例であれ、操作用リモコンの操作に支障を与えず、移動体の移動も阻害しない場所であることが前提となる。また、リモコン筐体が向いている方向を表示する表示手段の典型例は、当該方向を文字、記号、数字、矢印、色の種類や濃淡、光の点滅などで表示する電光掲示板や方向指示器であるが、作業者が当該方向を認識又は直感できる表示がなされるものである限り、特に制限はない。
【0085】
〔9−2〕 それ故、作業者は、操作用リモコンの筐体の向きを表示手段の表示により確認しながら操作用リモコンを操作することができるので、操作用リモコンの手元を逐一注視してその筐体の向きを確認する必要がなくなる。また、このとき作業者は視野を大きく移すことなく、表示手段の表示から手元のリモコン筐体が向いている方向を確認しつつ移動体の動きを注視することができるので、操作が容易になり、作業効率を高めることができ、また、より安全に作業を行うことができる。
【0086】
かくして、この第9の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつより安全・確実・迅速に、しかも効率的に移動体の移動を操作することができる移動操作装置を実現することができる。
【0087】
〔10〕 本発明の第10の形態に係る移動体の移動操作方法は、長尺部材に対して又は長尺部材を基準として操作用リモコンの筐体の方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有する。
【0088】
このため、作業者は、長尺部材の位置を念頭に入れてこれを基準としてリモコン筐体を動かすことができるので、リモコン筐体の方向をより正確に直感又は認識することができる。それ故、操作用リモコンを手にした作業者は、リモコン筐体の方向をより容易に、より的確・迅速に移動体を移動させたい方向に変えることができ、移動体をその所望の方向により効率的に移動させることができる。このとき、作業者は、操作用リモコンの押しボタンの操作に過度に注意を払わずに済み、また移動体から目を離さずに済む。またリモコン筐体におけるボタンやスイッチの数が減るので、操作用リモコンの操作が容易になり、リモコン筐体表面が汚れていてもボタンやスイッチを押し間違えの頻度も減る。
【0089】
かくして、この第10の形態によれば、作業者は操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速にしかも効率邸に移動体の移動を操作することができる。
【0090】
〔11〕 本発明の第11の形態に係る移動体の移動操作方法は、前記表示手段に表示される前記筐体の前記長尺部材に対する方向を目視して確認しながら、前記筐体の方向を前記長尺部材に対し相対的に変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とするものである。
【0091】
それ故、作業者は、操作用リモコンの筐体の向きを表示手段の表示により確認しながら操作用リモコンを操作することができるので、操作用リモコンの手元を逐一注視してその筐体の向きを確認する必要がなくなる。また、このとき作業者は視野を大きく移すことなく、表示手段の表示から手元のリモコン筐体が向いている方向を確認しつつ移動体の動きを注視することができるので、操作が容易になり、作業効率を高めることができ、また、より安全に作業を行うことができる。
かくして、この第11の形態によれば、作業者は操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつより安全・確実・迅速に、しかも効率的に移動体の移動を操作することができる。
【0092】
本発明の第12乃至第26の各形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の三次元方向の移動を操作することができるようになる。
【0093】
本発明の第12乃至第26の各形態が奏する作用効果は以下のとおりである。なお、第12乃至第26の各形態における「モータ駆動制御回路」は、第1乃至第11の各形態における「駆動制御装置」に含まれる。
〔12〕 本発明の第12の形態係る三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ及びZ軸モータの少なくとも一つを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、リモコン筐体の方向を検出する筐体方向判別手段、リモコン筐体が向けられた方向に水平に移動させるようにモータ駆動制御回路によってX軸モータ及び/又はY軸モータを制御するリモコン筐体に内蔵した操作スイッチ・移動体を上昇又は下降させるリモコン筐体に内蔵した上下スイッチとを有し、筐体方向判別手段によって検出されたリモコン筐体の方向のデータ、操作スイッチ・上下スイッチの動作の有無データをモータ駆動制御回路との間で通信する操作用リモコンとを具備する。
【0094】
それ故、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0095】
従って、この第12の形態によれば、初心者でも迅速かつ安全確実に操作することができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違えるおそれがない。かくして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0096】
〔13〕 本発明の第13の形態に係る三次元移動装置では、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信は操作用リモコンとモータ駆動制御回路とを接続する通信ケーブルを用いて有線通信によって行われる。このように有線操作方式とすることによって、上記特許文献2にかかるような無線通信装置を取付ける必要がなく、簡単な構成とすることができる。また、筐体方向判別手段として圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等のジャイロ手段を用いることによって、通信ケーブルが捩れてもリモコン筐体の方向を正確に検出することができ、所望の方向に移動体を水平移動させることができる。
【0097】
それ故、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0098】
従って、この第13の形態によれば、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違えるおそれがない。かくして、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0099】
〔14〕 本発明の第14の形態に係る三次元移動装置は、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチューブの下端にリモコン筐体を回転自在に接続する回転接続部内にロータリエンコーダを設けてなる。
【0100】
ここで、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」又は「撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS−C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。尤も、「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」はこれらの具体例に限定されるものではなく、撓みが自在で、捩れないケーブルチューブである限り、これに該当する。
【0101】
これにより、ケーブルチューブを撓ませることによって操作用リモコンを移動体の真下から離れた位置で操作することができ、移動体に近づく必要がないので作業者の安全が確保される。また、ケーブルチューブは撓みはするが捩れないものであるため、操作用リモコンを移動させてもケーブルチューブは回転せず、筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダの基準点(原点)がずれることはない。従って、回転接続部内に設けられたロータリエンコーダによってリモコン筐体がどちらに何度回転したかを測定して、その測定データを通信線を通じてモータ駆動制御回路に送信し、モータ駆動制御回路は受信した測定データに基いてリモコン筐体が向いている方向に移動体を水平面内で移動させるように、X軸モータ及び/又はY軸モータを制御することができるようになる。
【0102】
それ故、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0103】
従って、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違えるおそれがない。
【0104】
かくして、この第14の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0105】
〔15〕 本発明の第15の形態に係る三次元移動装置においては、ロータリエンコーダとしてアブソリュートエンコーダを用いる。
ここで、「アブソリュートエンコーダ」とは、通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、実際に向いている絶対的方向を検出できるエンコーダである。
【0106】
これにより、作業の終了・中断等によって三次元移動装置の主電源を切った場合においても、再び三次元移動装置の主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体が向いている方向を検出することができるため、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる。
それ故、作業者は操作用リモコンを手にして、移動体を注視しつつ、移動体を水平面内で移動させたい方向にリモコン筐体を向けながら操作スイッチを押し続けることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に水平移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作することによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0107】
従って、初心者でも迅速かつ安全確実に操作をすることができ、またリモコン筐体にはスイッチが2個(上下スイッチが一体の場合)若しくは3個(上下スイッチにおいて上昇スイッチと下降スイッチが別々の場合)しかないため、リモコン筐体表面が汚れていてもスイッチを押し間違えるおそれがない。
【0108】
かくして、この第15の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに操作を開始することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0109】
〔16〕 本発明の第16の形態に係る三次元移動装置においては、操作用リモコンとモータ駆動制御回路との間の通信が、操作用リモコンに設けられた発信装置とモータ駆動制御回路に接続された受信装置とを用いて無線通信によって行われ、筐体方向判別手段はリモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段である。
【0110】
ここで、ジャイロ手段としては、例えば圧電ジャイロ、光ファイバジャイロ等を用いることができる。また、リモコン筐体は平板状・円板状・直方体・立方体等を始めとして、どのような形状をしていても良く、リモコン筐体の正面又は先端となる部分に印を付けておく等によって、リモコン筐体の方向が明確に分かるようになっていれば良い。また、操作スイッチもリモコン筐体のどの位置に設けられていても構わない。
【0111】
この第16の形態に係る三次元移動装置は、第13乃至第15の各形態に係る三次元移動装置が有線操作方式であるのに対して、無線リモコン操作式である点に大きな特徴がある。即ち、操作用リモコンに設けられたジャイロ手段によってリモコン筐体の向いている絶対的な方角を検出し、そのデータを発信装置から受信装置へ無線信号で伝達し、モータ駆動制御回路がその信号を受け取って、リモコン筐体の方向へ移動体を水平移動させるように、X軸モータ及びY軸モータを制御することができる。
【0112】
従って、有線リモコン操作式の場合のように通信ケーブルの敷設の仕方に気を遣う必要もなく、また移動体の真下から大きく離れた場所から(クレーン装置、ヘリコプター、等の場合)操作することができるため、作業者にとってより安全性が向上し、操作もより容易になる。
なお、リモコン筐体の向きがジャイロ手段の検出限界を超えると、操作用リモコンによる移動体の正常な移動操作ができなくなり、危険である。このような事態を未然に防止するために、リモコン筐体の向きがジャイロ手段の検出限界を超えた場合には、作業者が操作用リモコンの操作スイッチを押しても移動体が移動しないようにしておく必要がある。
【0113】
かくして、この第16の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より安全性が向上して操作もより容易になる三次元移動装置を実現することができる。
【0114】
〔17〕 本発明の第17の形態に係る三次元移動装置は、無線通信は電波通信装置によるものである。ここで、「電波」とは、周波数が数THz程度以下の電磁波であり、長波、中波、短波、超短波、マイクロ波を含むものである。
【0115】
この第17の形態によれば、電波による無線通信は間に障害物が存在していても確実に通信することができるため、操作用リモコンを持った作業者は、最も操作し易くかつ安全な位置から、移動体を移動操作することができるようになる。かくして、無線通信手段として電波を用いることによって、操作用リモコンを操作する場所を選ばない、非常に使い易い三次元移動装置を実現することができ、ひいては操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、操作用リモコンを操作する場所を選ばず非常に使い易い三次元移動装置を実現することができる。
【0116】
〔18〕 本発明の第18の形態に係る三次元移動装置は、無線通信は光通信装置によるものである。ここで、「光」とは、波長が約1nm〜約1mmの範囲内にある電磁波であり、可視光線のみならず、赤外線、紫外線をも含むものである。
【0117】
光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による三次元移動装置の操作システムを安価に構築することができる。
【0118】
かくして、この第18の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、無線通信による操作システムを安価に構築することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0119】
〔19〕 本発明の第19の形態に係る三次元移動装置は、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態で主電源を入れることによって、X軸モータ及び/又はY軸モータ及び/又はZ軸モータが作動して移動体が所定の原位置に移動する。
【0120】
無線操作方式の三次元移動装置の場合には、三次元移動装置の主電源を切断・投入する場合に、第15の形態に係る三次元移動装置におけるようにアブソリュートエンコーダを用いることができないため、リセットの手段を講じる必要がある。特に、車両搭載型クレーン等の場合に、その必要性が大きい。
【0121】
そこで、三次元移動装置の主電源を切断した場合には、操作用リモコンのリモコン筐体を所定の原方向に向けた状態にしておいて、操作用リモコンに設けられた主電源スイッチ、又は他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ、Y軸モータ及びZ軸モータの少なくとも一つを駆動させて移動体を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、その時点から操作用リモコンのリモコン筐体が向いている方向のデータが、リモコン筐体に内蔵されたジャイロ手段によって測定されて無線で送信される。
【0122】
特に、無線操作方式の三次元移動装置の場合には、操作用リモコンも独自の電源を有する必要があることを逆に利用して、操作用リモコンの電源を充電式電池として、充電器に操作用リモコンをセットした場合にリモコン筐体が所定の原方向に向くようにしておけば、より確実にリセット操作を行うことができる。
【0123】
かくして、この第19の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、主電源を切断・投入する度に確実にリセット操作をすることができる三次元移動装置を実現することができる。
【0124】
〔20〕 本発明の第20の形態に係る三次元移動装置においては、リモコン筐体の操作スイッチが設けられている面の反対側の面に第2の操作スイッチが設けられ、第2の操作スイッチを押すことによって移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に移動する。
【0125】
第12乃至第19の形態に係る三次元移動装置においては、移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、リモコン筐体も360度回転させる必要があったが、第20の形態に係る三次元移動装置においては、リモコン筐体を180度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0126】
それ故、作業者が三次元移動装置を操作するのがより容易になり、楽な姿勢で移動距離も少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0127】
かくして、この第20の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、より楽な姿勢で移動距離も少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置を実現することができる。
【0128】
〔21〕 本発明の第21の形態に係る三次元移動装置においては、操作スイッチが十字キーであって、十字キーの上部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に水平面内で移動し、十字キーの下部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向と正反対の方向に水平面内で移動し、十字キーの左部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度左方向に水平面内で移動し、十字キーの右部を押すと移動体がリモコン筐体が向けられた方向に対して90度右方向に水平面内で移動する。
【0129】
移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させるためには、第12乃至第19の各形態に係る三次元移動装置においてはリモコン筐体も360度回転させる必要があり、第20の形態に係る三次元移動装置においてはリモコン筐体を180度回転させる必要があったが、第21の形態に係る三次元移動装置においては、リモコン筐体を90度の範囲内で回転させるのみで移動体を水平面内の360度いずれの方向へも移動させることができる。
【0130】
それ故、作業者が三次元移動装置を操作するのがさらに容易になり、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なく操作をすることができる。また、常に移動体の方向を向いて移動体を移動させることができ、移動中の移動体に背を向けることがないため、より安全性が高くなる。
【0131】
かくして、この第21の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、さらに楽な姿勢で移動距離もより少なくより安全性が高く操作をすることができる三次元移動装置を実現することができる。
【0132】
〔22〕 本発明の第22の形態に係る三次元移動装置においては、操作スイッチは二段階に押し込めるスイッチであり、強く押し込んだ場合には操作スイッチが押し込まれた状態で固定され、リモコン筐体がその後向きを変えても、操作スイッチが押し込まれた時点でリモコン筐体が向いていた方向に移動体が水平面内で移動し続け、操作スイッチを再度強く押し込むことによって操作スイッチが戻って移動体が停止する。
【0133】
操作用リモコンを手にした作業者がリモコン筐体の方向を移動体を水平面内で移動させたい方向と一致させて操作スイッチを押しても、作業者がリモコン筐体をその方向に向けて保持し続けなければならないとすれば、作業者にとって負担となる。そこで、操作スイッチを二段階に押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、その後リモコン筐体の向きを変えても移動体が水平移動する方向が変わらないようにすれば、リモコン筐体を一定の向きに保持する必要がなくなり、作業者の負担は大きく軽減される。そして、移動体を停止させたい場合には、再度強く押すことによって操作スイッチが戻るようにすれば良い。
【0134】
かくして、この第22の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、作業者の負担を大きく軽減することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0135】
〔23〕 本発明の第23の形態に係る三次元移動装置は、昇降機によって移動体を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構と、X軸モータ、Y軸モータ及びZ軸モータの少なくとも一つを駆動し、所望の位置に移動体を移動させるモータ駆動制御回路と、モータ駆動制御回路と通信ケーブルで接続された操作用リモコンとを具備し、通信ケーブルは撓みが自在で、捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、操作用リモコンは、通信ケーブルの下端に固定された直方体のリモコン筐体と、リモコン筐体の4つの側面にそれぞれ設けられた操作スイッチと、移動体を上昇及び下降させる上下スイッチとを有し、操作スイッチのうち1つが押された場合に通信線を通じてモータ駆動制御回路に電気信号が伝達され、モータ駆動制御回路によってX軸モータ及びY軸モータが駆動して移動体が操作スイッチが押された方向に水平面内で移動する。
【0136】
これにより、移動体を注視しつつ、リモコン筐体の側面に設けられた4個の操作スイッチのうち、移動体を移動させたい方向の操作スイッチを押し、移動体を移動させたい方向が直方体のリモコン筐体に対して斜めである場合には、2つの操作スイッチを交互に押すことによって移動体を水平面内でジグザグに移動させることによって、移動体から目を離すことなく、移動体を所望の位置に移動させることができる。そして、リモコン筐体の上下スイッチを操作して移動体を下降させることによって、移動体を所望の位置に降ろすことができる。
【0137】
それ故、初心者でも迅速かつ安全確実に三次元移動装置の操作をすることができ、またリモコン筐体には各側面に操作スイッチが1個ずつしか設けられていないため、リモコン筐体が汚れていても操作スイッチを押し間違えるおそれが全くない。
また、第23の形態に係る三次元移動装置においては、第12乃至第22の各形態に係る三次元移動装置と異なり、筐体方向判別手段(ロータリエンコーダ、ジャイロ装置等)のような高価な機器を使用しない簡単な構成であるため、低コストにすることができる。
【0138】
なお、第23の形態に係る三次元移動装置においては、リモコン筐体の各側面が三次元移動装置のX軸及びY軸と平行である必要はない。しかし、リモコン筐体の各側面を三次元移動装置のX軸及びY軸と平行にしておけば、移動体をX軸方向に水平移動させる場合には1つの操作スイッチのみを押し続ければ良くなり、移動体をY軸方向に水平移動させる場合にも1つの操作スイッチのみを押し続ければ良くなるので、作業者にとっては操作がし易くなり、より好ましい。
【0139】
かくして、この第23の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作できるとともに、低コスト化することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0140】
〔24〕 本発明の第24の形態に係る三次元移動装置は、リモコン筐体を手に持ち、移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所にそのリモコン筐体が向いている方向を表示する表示手段を備えている。なお、「作業者が目視可能な場所」の意味及び解釈については、既述のとおりである(上記〔9−1〕参照)。
【0141】
それ故、作業者は、操作用リモコンの筐体の向きを表示手段の表示により確認しながら操作用リモコンを操作することができるので、操作用リモコンの手元を逐一注視してその筐体の向きを確認する必要がなくなる。また、このとき作業者は視野を大きく移すことなく、表示手段の表示から手元のリモコン筐体が向いている方向を確認しつつ移動体の動きを注視することができるので、操作が容易になり、作業効率を高めることができ、また、より安全に作業を行うことができる。
【0142】
かくして、この第24の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に、しかも効率的に移動体の三次元方向の移動を操作することができる三次元移動装置を実現することができる。
【0143】
〔25〕 本発明の第25の形態に係る移動体の移動操作方法は、リモコン筐体が向いている方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有している。それ故、この第25の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に移動体の三次元方向の移動を操作することができる。
【0144】
〔26〕 本発明の第26の形態に係る移動体の移動操作方法は、作業者が目視可能な場所に配置された表示手段に表示される方向を確認しながら、リモコン筐体が向いている方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有している。
それ故、作業者は、操作用リモコンの筐体の向きを表示手段の表示により確認しながら操作用リモコンを操作することができるので、操作用リモコンの手元を逐一注視してその筐体の向きを確認する必要がなくなる。また、このとき作業者は視野を大きく移すことなく、表示手段の表示から手元のリモコン筐体が向いている方向を確認しつつ移動体の動きを注視することができるので、操作が容易になり、作業効率を高めることができ、また、より安全に作業を行うことができる。
【0145】
かくして、この第26の形態によれば、操作用リモコンの手元を注視する必要がなく、移動体の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつより安全・確実・迅速に、しかも効率的に移動体の三次元方向の移動を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。
【図3】図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
【図13】図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態6にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態7にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態8にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの概略正面図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態9にかかる三次元移動装置としての天井クレーンに用いる操作用リモコンの概略構成を示す縦断面図である。
【図19】図19は図18のA−A断面図である。
【図20】図20は図18の操作用リモコンの縦切断端面図である。
【図21】図21は図20のB−B断面図である。
【図22】図22は図18の操作用リモコンの押しボタンの押し込みと、方向指示の関係を示す説明図である。
【図23】図23は図18の操作用リモコンの押しボタンの押し込みと、方向指示の関係を示す説明図である。
【図24】図24は、操作用リモコンに光学センサを組み込んだ場合の実施の形態にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【図25】図25は、図24の三次元移動装置としての天井クレーンの動作の一例を示すフローチャートである。
【図26】図26は、図24の三次元移動装置としての天井クレーンの動作において、インバータにより指示される駆動電圧の演算を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0147】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0148】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0149】
図1は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図である。図3(a)は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体部分を示す斜視図である。図4は本発明の実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。
【0150】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1は、建物の天井近傍に平行に敷設された走行レール2A,2Bを車輪を介して走行する1対のサドル3A,3B間に、昇降機としての巻上機5を横行可能に備えたクレーンガーダ4を横架して、昇降機としての巻上機5により巻き上げられる支持ワイヤロープ6の先端に移動体としてのフック7を固定して構成されている。
【0151】
このように、天井クレーン1は、走行レール2A,2Bに対してほぼ垂直にクレーンガーダ4を横架して、このクレーンガーダ4上を先端にフック7を有する巻上機5が移動するように構成されているので、移動体としてのフック7を上下方向に移動させるZ軸モータ、及び水平面内で移動させるX軸モータ及びY軸モータとを具備する移動機構を中心とした本発明にかかる三次元移動装置として適している。
【0152】
巻上機5からは、長尺部材としての撓みはするが捩れない通信ケーブル8が床面近傍まで垂下しており、通信ケーブル8の下端は通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介してリモコン筐体10に接続されている。ここで、撓みはするが捩れない通信ケーブル8は、撓みはするが捩れないケーブルチューブ内に通信線を内蔵してなり、筐体方向判別手段はケーブルチュー一ブの下端にリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12内にロータリエンコーダを設けてなる。「撓みはするが捩れないケーブルチューブ」としては、具体的にはJIS-C8309に規定される金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管があり、例えば株式会社三桂製作所製の商品名プリカチューブ或いは防水プリカチューブを用いることができる。
【0153】
直方体のリモコン筐体10の正面には、二段押しボタン式の操作スイッチ11が設けられており、操作スイッチ11は軽く押すと固定されずに離すとばね力で戻り、強く押すと押し込まれた状態で保持され、再度強く押すとばね力で戻るようになっている。回転接続部12内には、筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが内蔵されている。本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、これらの操作スイッチ11を有するリモコン筐体10と、通信ケーブル8に対してリモコン筐体10を回転自在に接続する回転接続部12から構成されている。
【0154】
更に、図2に示されるように、巻上機5はクレーンガーダ4を挟んで設けられた1対の車輪14を有しており、これらの車輪14が横行用モータ(Y軸モータ)13で駆動されて回転することによって、巻上機5がクレーンガーダ4に沿って横行する。これらの横行ユニットには支持部材15によって巻上機本体17が吊り下げ支持されており、巻上機本体17には支持ワイヤロープ6を巻き上げ、又は伸ばすための巻上用モータ(Z軸モータ)16が取付けられている。
【0155】
そして、図1に示されるクレーンガーダ4を両端で支持して走行レール2A,2Bの上を走行するサドル3A,3Bには、それぞれ図示しない走行用車輪と走行用モータ(X軸モータ)が設けられている。また、図2に示される巻上機本体17には、これらのX軸モータ、Y軸モータ13、Z軸モータ16を、操作用リモコン9の操作に応じて駆動させるためのモータ駆動制御回路が内蔵されている。
【0156】
次に、本実施の形態1にかかる操作用リモコン9の構造について、図3(a)を参照して説明する。図3(a)に示されるように、リモコン筐体10は通信ケーブル8に対して360度回転自在に回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体10の正面には中央に大きい操作スイッチ11が設けられ、その上下に上下スイッチとしての上昇スイッチ11Aと下降スイッチ11Bとが設けられている。
【0157】
前述の如く、回転接続部12の内部には筐体方向判別手段としての光学式ロータリエンコーダが設けられており、リモコン筐体10が基準となる方向(本実施の形態1においては図1に示されるようにリモコン筐体10がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)に対して、どちら側に何度回転したかを測定して、この回転角度のデータを電気信号として通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達される。
【0158】
ここで、操作スイッチ11を軽く押すと、操作スイッチ11が軽く押されたという電気信号が通信ケーブル8に内蔵されている通信線を通じて、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路に伝達され、モータ駆動制御回路の制御によってX軸モータ及び/又はY軸モータ13が作動して、移動体としてのフック7がリモコン筐体10の方向、即ちリモコン筐体10の正面と正反対の方向へ水平移動する。
【0159】
このモータ駆動制御回路における制御について、図1ないし図4を参照して説明する。
【0160】
図1および図4に示されるように、操作用リモコン9を構成するリモコン筐体10には操作スイッチ11、上昇スイッチ11A、下降スイッチ11Bが設けられており、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が内蔵されている。そして、巻上機本体17に内蔵されているモータ駆動制御回路18は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)20、インバータ(又はコンタクタ)21によって構成されている。
【0161】
ここで、マイコン20は、CPU(中央処理装置)、ROM、RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備しており、リモコン筐体10から通信ケーブル8内の通信線を通じて送信される電気信号を受信して必要な演算処理を行い、その処理結果を電気信号としてインバータ(又はコンタクタ)21に出力する。マイコン20は、所謂ワンチップマイコンでも良いし、複数のチップ又は素子・部品から構成されるものでも良い。
【0162】
光学式ロータリエンコーダ19は、リモコン筐体10が通信ケーブル8に対して原位置からどちら側に何度回転したかを測定して、その測定値を電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信する。そして、操作スイッチ11が押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じてマイコン20に送信され、マイコン20はインバータ(又はコンタクタ)21に制御信号を送信して、インバータ(又はコンタクタ)21は制御信号にしたがってX軸モータ23及び/又はY軸モータ13に駆動電流を供給し、X軸モータ23及び/又はY軸モータ13を駆動させて、移動体としてのフック7をリモコン筐体10が向いている方向に移動させる。
インバータ21およびマイコン20を含むモータ駆動制御回路18は、X軸モータ23及び/又はY軸モータ13の駆動制御を行い、コンタクタ22が、Z軸モータ16の駆動を制御する。
したがって、モータ駆動制御回路18とコンタクタ22とを含んで駆動制御装置61が構成されており、この駆動制御装置61と操作用リモコン9とは、図1の通信ケーブル8を含んで移動操作装置60を構成している。
また、X軸モータ23とY軸モータ13とZ軸モータ16とは移動機構62に相当する。
【0163】
ここで、インバータ21を用いた場合には、X軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさを無段階で制御できるため、巻上機5をリモコン筐体10が向いている方向に直線的に移動させることができるが、コンタクタ21を用いた場合はX軸モータ23及びY軸モータ13に供給する駆動電流の大きさは常に一定値になるため、巻上機5のフック7の移動方向は走行レール2A,2Bに平行な方向とクレーンガーダ4に平行な方向、及びそれらの中間の方向の合計8方向にしか移動させることができない。したがって、巻上機5のフック7は細かく見るとジグザグに走行してリモコン筐体10が向いている方向に移動することになる。
【0164】
なお、操作用リモコン9に設けられている上下スイッチとしての上昇スイッチ11A及び下降スイッチ11Bが押された場合には、所定の電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて、モータ駆動制御回路18と同じく巻上機本体17に内蔵されているコンタクタ22に伝達され、コンタクタ22からZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、上昇スイッチ11Aが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を巻き上げてフック7を上昇させるように作動し、下降スイッチ11Bが押された場合にはZ軸モータ16が支持ケーブル6を伸ばしてフック7を下降させるように作動する。
【0165】
したがって、図1に記される天井クレーン1を操作する作業者は、まず操作用リモコン9の下降スイッチ11Bを押してZ軸モータ16を作動させてフック7を下降させ、床面に置かれている搬送物にフック7を掛け、上昇スイッチ11Aを押してZ軸モータ16を作動させ、支持ワイヤロープ6を巻き上げて搬送物を水平方向の移動に支障のない高さまで吊り上げる。続いて、搬送物を移動させたい方向にリモコン筐体10を向けて、操作スイッチ11を軽く押し、フック7に掛けられて移動する搬送物の移動方向を見ながらリモコン筐体10の向きを微調整することによって、所望の方向へ搬送物を平行移動させることができる。
【0166】
操作スイッチ11を押すのを止めると操作スイッチ11はばね力で戻って、巻上機5のフック7は停止する。また、搬送物が所望の方向に移動しているのを確認したら、操作スイッチ11を強く押し込むことによって操作スイッチ11は押し込んだ状態で保持され、以後リモコン筐体10の方向の電気信号は伝達されなくなり、リモコン筐体10の向きを変えても巻上機5のフック7の移動する方向は変化しない。
【0167】
このようにして、巻上機5のフック7に吊り下げられた搬送物を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ11を離して(軽く押し続けた場合)又は再度強く押し込んで(操作スイッチ11を固定させた場合)操作スイッチ11を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ11Bを押すことによって、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に作動し、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0168】
このように、本実施の形態1にかかる天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体10の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を所望の位置に移動させることができる。
【0169】
したがって、初心者でも迅速かつ安全確実に天井クレーン1の操作をすることができ、またリモコン筐体10にはスイッチが3個(操作スイッチ11,上昇スイッチ11A,下降スイッチ11B)しかないため、塗装工場等で使用することによってリモコン筐体10が汚れていても、スイッチを押し間違えるおそれがない。
【0170】
このようにして、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる天井クレーン1となる。
【0171】
本実施の形態1においては、操作スイッチ11を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には操作スイッチ11が押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、操作スイッチ11を押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0172】
次に、本実施の形態1の変形例にかかるクレーン装置における操作用リモコンについて、図3(b)を参照して説明する。
上述した本実施の形態1にかかる操作用リモコン9は、図3(a)に示されるように操作スイッチ11が1個しかないため、巻上機5のフック7を後退させるためには、リモコン筐体10を180度回転させて操作スイッチ11を押す必要があった。即ち、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるためには、リモコン筐体10を360度回転させる必要があった。
【0173】
これに対して、図3(b)に示されるように、本実施の形態1の変形例にかかる操作用リモコン9Aにおいては、操作スイッチ11の裏面に第2の操作スイッチ11Cを設けている。この第2の操作スイッチ11Cが押された場合には、リモコン筐体10の方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7を移動させるように、図4のマイクロコンピュータ20において制御が行われる。
【0174】
これによって、巻上機5のフック7を後退させる場合には、リモコン筐体10を動かすことなく第2の操作スイッチ11Cを押すことによって、正確に巻上機5のフック7を後退させることができる。したがって、2個の操作スイッチ11,11Cを併用することによって、巻上機5のフック7を水平面内のあらゆる方向に移動させるのに、リモコン筐体10を180度の範囲内で回転させるだけで良いことになる。
【0175】
このようにして、本実施の形態1の変形例にかかる天井クレーンにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、作業者の移動距離が短くなり、より楽に操作することができる。
【0176】
なお、本実施の形態1の変形例においても、操作スイッチ11及び/又は第2の操作スイッチ11Cを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体10の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとしても良いし、操作スイッチ11及び/又は第2の操作スイッチ11Cを押している間はリモコン筐体10の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0177】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図5及び図6を参照して説明する。
図5は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。
図6は本発明の実施の形態2にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0178】
なお、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aは、操作用リモコン35の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0179】
図5に示されるように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1とは異なる平板形状のリモコン筐体36を有する操作用リモコン35が取付けられている。リモコン筐体36は、通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体36の正面には操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられている。
【0180】
次に、操作用リモコン35の構成について、図6を参照して説明する。
【0181】
図6に示されるように、本実施の形態2にかかる操作用リモコン35においては、リモコン筐体36の正面に上述の如く操作スイッチとしての十字キー37が中央に設けられており、十字キー37の上下には上下スイッチとしての上昇スイッチ38A,下降スイッチ38Bが設けられている。ここで、十字キー37の上部37A,下部37B,左部37C,右部37Dは、いずれも二段階に押し込めるようになっており、軽く押した場合には離すとばね力で戻り、強く押し込んだ場合には押し込まれた状態で固定され、再度強く押すとばね力で戻る。
【0182】
回転接続部12の内部には、図4に示されるようにロータリエンコーダ(光学式ロータリエンコーダ)19が設けられており、リモコン筐体36が通信ケーブル8に対して初期位置(本実施の形態2においては図5に示されるようにリモコン筐体36がクレーンガーダ4と平行に向いた方向)からどちら側に何度回転したかのデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。
【0183】
ここで、図6に示される操作スイッチとしての十字キー37は、上部37Aを押すとリモコン筐体36の方向に巻上機5のフック7が水平移動し、下部37Bを押すとリモコン筐体36の方向と逆方向(180度方向)に巻上機5のフック7が水平移動し、左部37Cを押すとリモコン筐体36の方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動し、右部37Dを押すとリモコン筐体36の方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように、マイクロコンピュータ20及びインバータ(又はコンタクタ)21によって制御される。
【0184】
したがって、リモコン筐体36を初期位置から右方向又は左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となる。
【0185】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー37を離して(軽く押し続けた場合)、又は再度強く押して(強く押し込んで固定した場合)十字キー37を戻して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ38Bを押すことによって、電気信号が通信ケーブル8内の通信線を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0186】
このように、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、操作スイッチとしての十字キー37の上部37A,下部37B,左部37C,右部37Dを押すことによって、リモコン筐体36の方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体36の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0187】
このようにして、本実施の形態2にかかる天井クレーン1Aにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0188】
本実施の形態2においては、操作スイッチとしての十字キー37の各部37A,37B,37C,37Dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体36の向きを変化させても巻上機5のフック7の移動方向が変わらないものとした場合について説明したが、必ずしも二段階で押し込めるものとする必要はなく、十字キー37の各部37A,37B,37C,37Dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して巻上機5のフック7の移動方向が変化する方式としても良い。
【0189】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図7乃至図9を参照して説明する。
【0190】
図7は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図8は本発明の実施の形態3にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。図9は本発明の実施の形態3の変形例にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0191】
なお、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bは、操作用リモコン40の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。また、モータ駆動制御回路の構成も操作スイッチの構造が異なる点及びロータリエンコーダがアブソリュートエンコーダである点を除けば、図4に示される実施の形態1の場合と同様であるので、適宜図4を参照して細かい説明は省略する。
【0192】
図7に示されるように、本実施の形態3にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Bにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1及び実施の形態2とは異なるグリップ部分の設けられた平板形状のリモコン筐体41を有する操作用リモコン40が取付けられている。リモコン筐体41は、平板面に対して垂直に通信ケーブル8に対して回転自在な回転接続部12を介して取付けられており、リモコン筐体41の上面には操作スイッチとしての十字キー42が中央に設けられている。
【0193】
次に、操作用リモコン40の構成について、図8を参照して説明する。
【0194】
図8に示されるように、本実施の形態3にかかる操作用リモコン40においては、リモコン筐体41の上面に操作スイッチとしての十字キー42が設けられており、リモコン筐体41の先端には、グリップを兼ねた回転式の上下スイッチ43が設けられている。十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dは、いずれも押している間は所定の電気信号を通信ケーブル8内の通信線を通じてマイクロコンピュータ20に送信し、離すとばね力で戻るようになっている。
【0195】
また、上下スイッチ43は、作業者が片手でリモコン筐体41を押さえてもう一方の手で力を入れないと回転しないようになっており、また右回りに回転させたらフック7が上昇し、左回りに回転させたらフック7が下降するが、上下スイッチ43の表面に矢印とともに「上昇」、「下降」の文字が良く見えるように表示されている。なお、この表示は刻印により行ってもよい。
【0196】
さらに、回転接続部12には筐体方向判別手段としてのロータリエンコーダ(光学式アブソリュートエンコーダ)19が内蔵されており、リモコン筐体41が通信ケーブル8に対して初期位置から何度回転した位置にあるかの角度の絶対情報のデータを、電気信号として通信ケーブル8内の通信線を通じて、巻上機本体17内のマイクロコンピュータ20に送信する。そして、リモコン筐体41は想像線(鎖線)と矢印で示されるように、通信ケーブル8に対して360度自在な方向に回すことができるが、どの方向に向けたとしても、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押すとその時点で操作スイッチ42の上部42aが向いている方向に巻上機5のフック7が移動するように、図4に示されるマイコン20によって制御される。
【0197】
即ち、ロータリエンコーダ(アブソリュートエンコーダ)19によって現在リモコン筐体41が向いている方向のデータがマイコン20に常に送信されているため、操作スイッチとしての十字キー42の上部42aを押されたことを示す電気信号がマイコン20に送信された場合には、マイコン20においてその時点でのリモコン筐体41が向いている方向に巻上機5のフック7が前進するように、インバータ(又はコンタクタ)21に制御信号が送信され、インバータ(又はコンタクタ)21からはそれにしたがってX軸モータ23及びY軸モータ13に駆動電流が供給される。
【0198】
同様にして、操作スイッチとしての十字キー42の下部42bを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向と逆方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の左部42cを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度左方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御され、十字キー42の右部42dを押すとその時点でリモコン筐体41が向いている方向に対して90度右方向に巻上機5のフック7が水平移動するように制御される。
【0199】
したがって、リモコン筐体41を初期位置から右方向又は左方向に90度の範囲内で回転させるだけで、巻上機5のフック7を水平面内で360度あらゆる方向に移動させることが可能となるとともに、作業者が操作し易い位置に回り込んで操作することが可能になるので、移動距離が短くなり操作が楽になる。
【0200】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチとしての十字キー42を離して巻上機5のフック7を停止させ、上下スイッチ43を左回りに回転させることによって、電気信号が通信ケーブル8を通じて巻上機本体17内のコンタクタ22に送信され、コンタクタ22によってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0201】
このように、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、操作スイッチとしての十字キー42の上部42a,下部42b,左部42c,右部42dを押すことによって、リモコン筐体41の方向に対して所定の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体41の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0202】
このようにして、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられた搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、さらに楽に操作することができる。
【0203】
さらに、本実施の形態3にかかる天井クレーン1Bにおいては、筐体方向判別手段としてアブソリュートエンコーダ、即ち通常のロータリエンコーダのように単に回転方向と角度を測定するだけでなく、現在向いている絶対的方向を検出できるエンコーダを使用したことによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Bの主電源を切った場合においても、再び天井クレーン1Bの主電源を入れた場合に、アブソリュートエンコーダによって即座にリモコン筐体41が向いている方向を検出することができるため、天井クレーン1Bの主電源を切断・投入する度に一々リセット操作をする必要がなく、直ちに天井クレーン1Bの操作を開始することができる。
【0204】
次に、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aについて、図9を参照して説明する。図9に示されるように、本実施の形態3の変形例にかかる操作用リモコン40Aの構造は、全体的には図8に示される操作用リモコン40と類似している。異なるのは、リモコン筐体41に固定されているグリップ44は回転せず巻上機本体17の上下スイッチを兼ねるものではなく、代わりに図9に示されるように、リモコン筐体41の側面に上昇スイッチ43A及び下降スイッチ43Bが独立して設けられている点である。
【0205】
これによって、図8に示されるようにグリップ(上下スイッチ)43を回転させる場合に、どちらに回転させればフック7が下降するのかじっくり確認してから操作する必要がなくなり、フック7を上昇させる場合には図9に示される上昇スイッチ43Aを押せば良く、また、フック7を下降させる場合には下降スイッチ43Bを押せば良いので、素早く判断ができ、巻上機本体17によるフック7の昇降操作がより行い易くなる。
【0206】
このようにして、本実施の形態3の変形例にかかる天井クレーン及び操作用リモコン40Aにおいては、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全確実に操作することができるとともに、昇降動作についてもより確実かつ迅速に操作することができる。
【0207】
本実施の形態3においては、操作スイッチとしての十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを押している間はリモコン筐体36の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー42の各部42a,42b,42c,42dを二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体41の向きを変化させても移動体としてのフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0208】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図10及び図11を参照して説明する。
【0209】
図10は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図11は本発明の実施の形態4にかかる三次元移動装置における操作用リモコンを示す斜視図である。
【0210】
なお、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cは、操作用リモコン45の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0211】
図10に示されるように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1で述べたように撓みはするが捩れないチューブを用いた通信ケーブル8の下端に、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なる直方体形状のリモコン筐体46を有する操作用リモコン45が取付けられている。リモコン筐体45は、通信ケーブル8に対して回転不能に固定して取付けられており、リモコン筐体45の直方体の各側面には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dがそれぞれ設けられている。
【0212】
次に、操作用リモコン45の構成について、図11を参照して説明する。図11に示されるように、本実施の形態4にかかる操作用リモコン45においては、上述の如く、通信ケーブル8の下端にリモコン筐体46が固定されており、リモコン筐体46の4つの側面には、それぞれ操作スイッチ47A,47B,47C,47Dが設けられている。また、操作スイッチ47Aの設けられている側面には、操作スイッチ47Aの上下に、上下スイッチとしての上昇スイッチ48A及び下降スイッチ48Bが設けられている。
【0213】
そして、操作スイッチ47A,47Cの設けられている側面は天井クレーン1Cの走行レール2A,2Bに平行であり、操作スイッチ47B,47Dの設けられている側面は天井クレーン1Cのクレーンガーダ3A,3Bに平行となっている。
【0214】
さらに、巻上機本体17内には制御機器としてコンタクタのみが設けられており、操作スイッチ47Aが押されたときには、図1に示される巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3A側へ移動するように、操作スイッチ47Cが押されたときには巻上機5のフック7がクレーンガーダ4に沿ってサドル3B側へ移動するように、また操作スイッチ47Bが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の右上方向に移動するように、操作スイッチ47Dが押されたときにはクレーンガーダ4が図1の左下方向に移動するように、それぞれ横行用モータ(Y軸モータ)13又はサドル3A,3Bに設けられた図示しないX軸モータ23に、駆動電流が供給される。
【0215】
したがって、天井クレーン1Cを操作する作業者は、フック7に掛けられた搬送物を注視しながら、リモコン筐体46の4つの操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押すことによって、特に斜め方向に搬送物を移動させる場合には操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのうちいずれか二つを交互に断続的に押すことによって、ジグザグに所望の方向に巻上機5のフック7を移動させて搬送物を移動させることができる。
【0216】
このようにして、巻上機5のフック7を所望の位置まで水平移動させたら、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを離して巻上機5のフック7を停止させ、下降スイッチ48Bを押すことによってZ軸モータ16に駆動電流が供給されて、Z軸モータ16がフック7を下降させる方向に駆動され、支持ワイヤロープ6が伸ばされて搬送物が自重で下降して所定の位置に降ろされる。
【0217】
このように、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、操作スイッチ47A,47B,47C,47Dを押すことによって、それぞれのスイッチの押された方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながら操作スイッチ47A,47B,47C,47Dのいずれかを押せば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を好みの位置に移動させることができる。
【0218】
さらに、本実施の形態4の天井クレーン1Cにおいては、実施の形態1乃至実施の形態3と異なり、光学式ロータリエンコーダやマイクロコンピュータ等の高価な装置を使用しない簡単な構造であるため、装置として安価になり、小型工場等でも設置し易いものとなっている。
【0219】
このようにして、本実施の形態4にかかる天井クレーン1Cにおいては、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができるとともに、より低コストにすることができる。
【0220】
<実施の形態5>
次に、本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンについて、図12乃至図14を参照して説明する。図12は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図である。図13(a)は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンのリモコン筐体の全体構成を示す正面図、(b)は左側面図である。図14は本発明の実施の形態5にかかる三次元移動装置における操作用リモコンの制御の仕組みを示すブロック図である。
【0221】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、通信ケーブル8がない点、巻上機内のモータ駆動制御回路の構成、及び操作用リモコン50の部分を除いて、図1に示される実施の形態1の天井クレーン1と外観上は同じであるため、同一部分には図1と同一の符号を付して細かい説明は省略する。
【0222】
図12に示されるように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dは、上記実施の形態1乃至実施の形態4にかかる天井クレーンがいずれも通信ケーブル8を用いた有線操作式であったのに対して、無線操作式である点が大きく異なっている。
【0223】
即ち、本実施の形態5においては、図14に示されるようにリモコン筐体51内には電波の発信装置30が内蔵されており、巻上機29内には電波の受信装置31が内蔵されていて、リモコン筐体51の操作スイッチとしての十字キー52等を押すことによって、そのデータが無線信号に変換されて発信装置30から電波として発信され、受信装置31がその電波を受信して電気信号に変換し、モータ駆動制御回路28内のマイクロコンピュータ20の入出力(I/O)ポートに入力させて移動体としてのフック7の移動制御が行われる。
【0224】
したがって、多少高価にはなるが、天井クレーン1Dが設置された建屋内の何処からでもフック7の移動制御を行うことができるので、より安全であり、かつ非常に使い易い天井クレーン1Dとなる。
【0225】
まず、リモコン筐体51及び巻上機29の内部構成について、図14を参照して説明する。図14に示されるように、本実施の形態5においてはリモコン筐体51内にもマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)27が内蔵されており、このマイコン27はマイコン20と同様に、CPU(中央処理装置)、ROM、RAM等のメモリ装置、入出力(I/O)装置を具備している。さらに、リモコン筐体51内には、圧電ジャイロ25及び地磁気センサ26が内蔵されており、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体51の向いている方角がリモコン筐体51の回転によって検出される。
【0226】
また、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53Bの他に、リセットボタン55が設けられており、このリセットポタン55は圧電ジャイロ25による方角の検出にずれが生じてきた場合に押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0227】
これらの圧電ジャイロ25、地磁気センサ26、操作スイッチ52、上昇スイッチ53A、下降スイッチ53B、リセットボタン55からの電気信号は、マイコン27に入力され、マイコン27のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号として発信装置30に送信され、発信装置30から電波として発信される。
【0228】
一方、巻上機29の内部には、図4と同様にマイクロコンピュータ20が内蔵されており、発信装置30から発信された電波を受信する受信装置31からの電気信号が入力されて、マイコン20のメモリ装置に記憶されたプログラムにしたがって演算処理された後に、制御信号がインバータ(又はコンタクタ)21及びコンタクタ22に電気信号として送信され、インバータ(又はコンタクタ)21からはX軸モータ23及びY軸モータ13に制御信号に応じた駆動電流が供給され、コンタクタ22からはZ軸モータ16に駆動電流が供給される。
【0229】
次に、本実施の形態5における移動体としてのフック7の移動方向の制御の具体的内容について、図13(a)及び図14を参照して説明する。図13(a)においては、リモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとする。図13(a)に示されるように、リモコン筐体50の先端が圧電ジャイロ25の0度方向(真北方向)に対して角度θだけ西方向に向いている場合に、操作スイッチとしての十字キー52の上部を押すと、圧電ジャイロ25が真北方向に対して角度θだけ西方向に向いていることを検出して、そのデータ信号をマイコン27に送信する。
【0230】
すると、マイコン27においては、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の上部が押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。発信装置30から無線電波として発信された制御信号を受信した受信装置31から送信された制御信号は、マイコン20によって電気信号としてインバータ21に送信され、インバータ21からは巻上機29を真北方向に対して角度θ西方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0231】
また、図13(a)において・操作スイッチとしての十字キー52の右部52Aが押された場合には、マイコン27において、リモコン筐体50が真北方向に対して角度θ西方向に向いていること、及び十字キー52の右部52Aが押されたことが判定されて、フック7を真北方向に対して角度(θ−90)度だけ西方向に、即ち角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、制御信号が発信装置30に送信される。制御信号を受信したマイコン20によって、インバータ21が制御されて、フック7を真北方向に対して角度(90−θ)度だけ東方向に移動させるように、X軸モータ23及びY軸モータ13にそれぞれ必要な駆動電流が供給される。
【0232】
なお、図13(a)においてリモコン筐体50はほぼ水平に保持されているものとしたが、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向に傾いていても、圧電ジャイロ25によってリモコン筐体50が水平面内においてどの方向を向いているかが検出されて、同様に移動体としてのフック7を移動させる制御が行われる。但し、リモコン筐体50が前後方向或いは左右方向にほぼ90度以上傾いている場合には、圧電ジャイロ25による方角の修正ができないため、十字キー52を押しても移動体としてのフック7は移動しないようになっている。
【0233】
したがって、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dを操作する作業者は、まず床面に置かれた搬送物及び巻上機29のフック7から離れた場所において、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれか押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送物の真上に移動させる。続いて、図13(b)に示されているようにリモコン筐体51の左側面に設けられた下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を搬送物に届くまで下降させる。
【0234】
それから、作業者は搬送物に近づいて、フック7を搬送物に掛け、再び搬送物から離れた位置に移動して、図13(b)に示されているようにリモコン筐体51の左側面に設けられた上昇スイッチ53Aを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を上昇させ、搬送物を水平移動に支障がない高さまで吊り上げる。そして、操作用リモコン50の十字キー52の上部・下部・左部・右部のいずれかを押して、かつリモコン筐体51を適切な方向に向けることによって、巻上機29のフック7を搬送場所の真上に向けて水平移動させる。巻上機29のフック7を搬送場所の真上まで移動したら、操作用リモコン50の十字キー52を離して巻上機29のフック7を停止させ、下降スイッチ53Bを押すことによって、Z軸モータ16を駆動させてフック7を下降させて搬送物を所定の搬送場所に荷降ろしする。
【0235】
このように、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、無線電波によって巻上機29のフック7を移動させるために、作業者は天井クレーン1Dが設置された建屋内のどの位置からでも天井クレーン1Dを操作することができ、しかも手元を注視する必要がなく搬送物の動きを注視しながら操作できるため、初心者でも容易に、かつ安全・確実・迅速に天井クレーン1Dを操作することができる。
【0236】
ここで、圧電ジャイロ25については、時間とともに方角の検出にずれが生じてくる場合が多いため、作業者が方角の検出にずれが生じたと判断した場合には、図13(b)に示されるようにリモコン筐体51の左側面に設けられたリセットボタン55を押すことによって、地磁気センサ26で正確に測定される真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0237】
なお、本実施の形態5にかかる天井クレーン1Dにおいては、方角検出のずれを補正するために地磁気センサ26を用いる場合について説明したが、天井クレーン1Dが設置されている建屋において東西南北が正確に分かっている場合には、地磁気センサ26を用いる必要はなく、操作用リモコン50のリモコン筐体51を真北に向けた状態でリセットボタン55を押すことによって、正確な真北の方角を圧電ジャイロ25の基準方向(方角0度の方向)としてセットし直すことができる。
【0238】
また、本実施の形態5においては、操作スイッチとしての十字キー52の各部52A等を押している間はリモコン筐体51の向きに追従して移動体としてのフック7の移動方向が変化するとした場合について説明したが、十字キー52の各部52A等を二段階で押し込めるものとして、強く押し込んだ場合には押し込んだ状態で固定されて、以後リモコン筐体51の向きを変化させても巻上機29のフック7の移動方向が変わらないものとしても良い。
【0239】
さらに、本実施の形態5においては、無線通信の方法として電波通信装置を用いた場合について説明したが、電波の代わりに光を用いることもできる。光は電波と異なり、発信装置(発光装置)と受信装置(受光装置)の間に障害物があると信号の伝達が妨げられるという短所はあるが、光通信装置は電波通信装置に比較して遥かに低コストであるという長所を有する。したがって、無線通信による天井クレーンの操作システムを安価に構築することができる。
【0240】
また、本実施の形態5にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1Dにおいては、無線操作式であるため、操作用リモコン50も電源を独自に有する必要があるが、操作用リモコン50の電源を充電式電池として、その充電器に操作用リモコン50をセットした場合に、リモコン筐体51の向きが天井クレーン1Dの走行レール2A,2Bと平行(又は垂直)になるように、充電器を建屋内に固定しても良い。
【0241】
これによって、作業の終了・中断等によって天井クレーン1Dの主電源を切断した場合には、操作用リモコン50が充電器にセットされることによってリモコン筐体51が所定の原方向に向けられた状態となり、操作用リモコン50に設けられた主電源スイッチ、又は他の場所に設けられた主電源スイッチを投入するとともに、X軸モータ23・Y軸モータ13・Z軸モータ16を駆動させてフック7を所定の原位置に移動させることによって、リセット操作を行うことができ、天井クレーン1Dの主電源の切断・投入の操作を繰り返しても確実にリセット操作が行われる。
【0242】
上記各実施の形態においては、本発明にかかる三次元移動装置として天井クレーンの例についてのみ説明したが、本発明にかかる三次元移動装置は天井クレーンに限られるものではなく、モバイルハーバクレーン・車両搭載型クレーン・ジブクレーン等の種々のクレーン装置を始めとして、高所作業車(自走式高所作業車を含む)、さらにはラジオコントロール式の飛行機やヘリコプター等に幅広く使用することができる。
【0243】
また、上記各実施の形態においては、モータ駆動制御回路を巻上機内に配置した例について説明したが、モータ駆動制御回路は巻上機内に配置される場合に限られず、巻上機の近傍に筐体に入れて配置されていても良い。
【0244】
本発明を実施する際には、三次元移動装置のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではなく、任意の形態とすることができる。
【0245】
<実施の形態6>
本発明の実施の形態6にかかる三次元移動装置について説明する。尤も、この実施の形態6は、三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図が異なるだけで、既述の実施の形態1と同じである。それ故、当該ブロック図を示す図15のみについて説明し、その他の説明は省略する。
【0246】
図15は本発明の実施の形態6にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。この実施の形態6に係る三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図、天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図並びに、天井クレーン操作用リモコン及びその変形例のリモコン筐体部分を示す斜視図は、それぞれ、図1、図2並びに図3(a)及び図(b)であり、実施の形態1において説明済みであるので、ここでは図15についてのみ説明する。
【0247】
図15において、9は操作用リモコン、10はリモコン筐体、11は操作スイッチ、11Aは上昇スイッチ、11Bは下降スイッチ、13はY軸モータ、16はZ軸モータ、18はモータ駆動制御回路、19はロータリエンコーダ、20はマイコン、21Aはインバータ、23はX軸モータである。なお、ロータリエンコーダ19は、ジャイロ手段により代替できる。またインバータ21は、X軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16のそれぞれの駆動を制御するための3つのインバータを寄せ集めたものである。
マイコン20には、操作スイッチ11、上昇スイッチ11A、下降スイッチ11B及びロータリエンコーダ19の信号出力が入力される。これらの信号は、長尺部材としての又は長尺部材内に配置された信号伝送用ケーブル8を通じてマイコン20に供給される。
【0248】
これらの入力信号に基づき、マイコン20においてインバータ21を制御するための制御信号が生成される。この制御信号は、X軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16のそれぞれの駆動又は回転速度を制御するためインバータ21の動作に対応して3種類ある。インバータ21は、その3種類の制御信号に基づきX軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16の各交流電源の周波数と電圧を制御する。これにより、各モータの回転が制御される。この結果、天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動する。
このため、作業者は、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体10の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を所望の位置に移動させることができる。
【0249】
従って、初心者でも迅速かつ安全確実に天井クレーン1の操作をすることができ、またリモコン筐体10にはスイッチが3個(操作スイッチ11,上昇スイッチ11A,下降スイッチ11B)しかないため、塗装工場等で使用することによってリモコン筐体10が汚れていても、スイッチを押し間違えるおそれがない。かくして、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる天井クレーン1となる。
【0250】
<実施の形態7>
本発明の実施の形態7にかかる三次元移動装置について説明する。尤も、この実施の形態7は、実施の形態6と同様、三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図が異なるだけで、既述の実施の形態1と同じである。それ故、当該ブロック図を示す図16のみについて説明し、その他の説明は省略する。
【0251】
図16は本発明の実施の形態7にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図である。この実施の形態6に係る三次元移動装置としての天井クレーンの全体構成を示す斜視図、天井クレーンの昇降機としての巻上機の構造を示す図並びに、天井クレーン操作用リモコン及びその変形例のリモコン筐体部分を示す斜視図は、それぞれ、図1、図2並びに図3(a)及び図(b)であり、実施の形態1において説明済みであるので、ここでは図16についてのみ説明する。
【0252】
図16において、9は操作用リモコン、10はリモコン筐体、11は操作スイッチ、11Aは上昇スイッチ、11Bは下降スイッチ、13はY軸モータ、16はZ軸モータ、18はモータ駆動制御回路、19はロータリエンコーダ、20はマイコン、21及び22Aはインバータ(又はコンタクタ)、23はX軸モータである。なお、ロータリエンコーダ19は、ジャイロ手段により代替できる。またインバータ21は、X軸モータ23及びY軸モータ13のそれぞれの駆動を制御するための2つのインバータを寄せ集めたものである。
【0253】
マイコン20には、操作スイッチ11、上昇スイッチ11A、下降スイッチ11B及びロータリエンコーダ19の信号出力が入力される。これらの信号は、長尺部材としての又は長尺部材内に配置された信号伝送用ケーブル8を通じてマイコン20に供給される。これらの入力信号に基づき、マイコン20においてインバータ21及びインバータ22Aを制御するための制御信号が生成される。
この制御信号は、X軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16のそれぞれの駆動又は回転速度を制御するためインバータ21及びインバータ22Aの動作に対応して3種類ある。そして、これら3種類の制御信号は、長尺部材としての又は長尺部材内に配置された信号伝送用ケーブル8を通じてインバータ21及び22Aにそれぞれ供給される。
【0254】
インバータ21及び22Aは、それぞれの制御信号に基づきX軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16の各交流電源の周波数と電圧を制御する。これにより、各モータの回転が制御される。この結果、天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動する。
これらの入力信号に基づき、マイコン20においてインバータ21及びインバータ22Aを制御するための制御信号が生成される。この制御信号は、X軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16のそれぞれの駆動又は回転速度を制御するためインバータ21の動作に対応して3種類ある。インバータ21及びインバータ22Aは、その3種類の制御信号に基づきX軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ16の各交流電源の周波数と電圧を制御する。これにより、各モータの回転が制御される。この結果、天井クレーン1においては、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動する。
【0255】
このため、作業者は、操作スイッチ11を押すことによってリモコン筐体10の方向に巻上機5のフック7が移動するので、手元を注視する必要がなく、搬送物の移動方向を注視しながらリモコン筐体10の向きを調整すれば良いため、巻上機5のフック7に掛けられている搬送物から目を離すことなく、搬送物を所望の位置に移動させることができる。
従って、初心者でも迅速かつ安全確実に天井クレーン1の操作をすることができ、またリモコン筐体10にはスイッチが3個(操作スイッチ11,上昇スイッチ11A,下降スイッチ11B)しかないため、塗装工場等で使用することによってリモコン筐体10が汚れていても、スイッチを押し間違えるおそれがない。かくして、手元を注視する必要がなく、巻上機5のフック7に掛けられて搬送される搬送物の動きを注視しながら操作することができ、初心者でも容易にかつ安全・確実・迅速に操作することができる天井クレーン1となる。
【0256】
なお、図4や図15に示された制御機構のブロック図では、マイコン20は駆動制御装置(特にモータ駆動制御回路)の一部を構成しているが、図16に示されたブロック図では、マイコン20は操作用リモコン9の一部として構成している。即ち、図16に示された制御機構では、長尺部材8の一方端側に操作用リモコンと駆動制御装置の一部であるマイコン20が配置し、その他方端側には駆動制御装置の残部であるインバータ(又はコンタクタ)21及び22A並びに移動機構であるX軸モータ23、Y軸モータ13及びZ軸モータ169に組み込まれ、一体的に構成される。このような構成にすることにより、操作用リモコン9を多機能化でき、また、長尺部材の一方端側に配置する装置や機器の調整や保守管理により、移動体の移動制御上必要な調整や保守管理の多くを済ませることができるという副次的メリットも生じる。
【0257】
〈実施の形態8〉
次に、本発明の実施の形態8にかかる三次元移動装置としての天井クレーン1を説明する。
図17(a)は、この実施の形態に係る天井クレーンについて示す概略正面図であり、図1の実施形態と同一の構成には共通する符合を付して、重複する説明は省略し、以下、相違点を中心に述べる。
この実施の形態では、巻上機5からリモコン筐体10まで延びる通信ケーブルが、それ自体柔軟であったり、そのケースとなる長尺部材が柔軟であると、自重により垂れ下がり、湾曲した部分が作業者の視界を遮ったり、搬送物と干渉したりするという不都合も考えられる。そこで、この実施の形態では、ある程度剛性のある長尺部材により通信ケーブル本体を支持しつつ、リモコン筐体10の動きに自由度を与えようとするものである。
【0258】
図において、巻上機5からは、長尺部材としての撓みはするが捩れない通信ケーブルが床面近傍まで垂下しており、この長尺部材の下端にはリモコン筐体10が接続されている。
また、巻上機5から垂下される支持ワイヤ6には支持手段7−1を介して、搬送物としての荷物Nが固定されている。
そして、上記長尺部材としては、他の実施の形態の場合と同様な材料により通信ケーブルを形成することができるが、この実施の形態で特徴的なのは、該長尺部材が、少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材で形成されている点である。
【0259】
具体的には、長尺部材は、金属製可とう電線管及びビニル被覆金属製可とう電線管などのように、長尺部材の内部に通信ケーブルを通すものの他、管状の構造を備えておらず、断面円形、楕円形、長円形の棒状部材を使用することができる。
この実施の形態では、長尺部材として、図示のように、B1,B2,B3,B4の3本の棒状部材を直列方向に配置し、これらを接続部材65,66,67を介して接続している。
各接続部材は同じ構造のものを採用することができ、接続部材67について説明すると、該接続部材67としては典型的にはユニバーサルジョイント(自在継手)を利用することができる。すなわち、ユニバーサルジョイントは、2軸の軸端に二又のフォーク状端部を形成し、それぞれを1個の十字形部品の直交する2軸と回り対遇を利用して接続したものである。
【0260】
これにより、リモコン筐体10は、長尺部材B4の長手方向に延びる仮想の中心軸Cに対して、矢印に示す軸周りに回動可能であり、さらに鎖線で示すように、軸Cに対して所定角度で屈曲可能とされている。
このため、リモコン筐体10内には前述のように当該筐体10の(回動)回転方向又は回転量に関する信号を生成する信号生成手段が形成されているから、これにより、該信号に基づく制御がされて、リモコン筐体10の回転方向又は回転量に対応して搬送物である荷物Nを移動させることができる。
なお、リモコン筐体10の回転方向もしくは回転量に対応して定まる荷物Nの搬送方向について、例えば、天井クレーン1が設置された部屋の天井付近に、LED(発光ダイオード)などの適当な発光手段を用いて、該荷物Nが搬送される前に、方向表示がされるような設備を設けると好ましい。
【0261】
図17(a)、図17(b)は、巻上機5からリモコン筐体10に延びる通信ケーブル本体の配置の仕方を示す説明図である。
図17(a)に示すように、長尺部材B2,B3とほぼ平行に通信ケーブル本体Lを配置し、この平行部分の所定箇所を、対応する長尺部材に接着などの手段で固定する。B2,B3を繋ぐ接続部材66に対応する箇所には、通信ケーブル本体Lを固定せず、大きく迂回させておいて、該接続部材66の動きに自由度を持たせることができる。
しかも、長尺部材に対して、通信ケーブル本体Lの長さを長めにとる必要があるものの、その長さが極端に長くなることなく、通信ケーブル本体Lのたるみ部分が生じにくい利点がある。
図17(c)に示す例では、長尺部材B2,B3に対して、通信ケーブル本体Lをかなり長くとり、接続部材66を避けた箇所にて、該長尺部材B2,B3の一部に対して、部分的に固定した構成を示している。この場合は、長尺部材B2,B3に対する通信ケーブル本体Lの着脱が容易である利点がある。
【0262】
(実施の形態9)
図18ないし図19は、操作用リモコン9の具体的構成に関する実施の形態を示すものである。
図18は、操作用リモコン9の概略構成を示す縦断面図、図19は図18のA−A断面図、図20は図18の操作用リモコン9の詳しい縦切断端面図である。
これらの図において、操作用リモコン9は、リモコン筐体10の内部を縦方向に貫通する物体である主軸71を有しており、筐体10は、該主軸71の軸回りに矢印Cに示すように相対的に回動もしくは回転自在に構成されている。
【0263】
主軸71は、図17などで説明した長尺部材8−1もしくはこれを構成する複数の棒状部材のうち、下端に位置する棒状部材B4の下端部と一体に形成されるか、該棒状部材B4の長手方向に沿って延びるように連結もしくは結合されている。
また、この実施の形態では、筐体10は、主軸71に対して、例えば図20に示すボールベアリング72,72等を介して、該主軸71の周囲で、回転もしくは回動するようになっている。主軸71の下端付近には、エンコーダ73が主軸71と固定されて配置されており、該エンコーダ73の回転軸は筐体10に結合もしくは一体とされている。
主軸71の長さ方向に沿って、等間隔をおいて複数の円盤が配置されている。この実施の形態では、円盤は3つ設けられており、各円盤81,82,83の円周上には、等間隔をおいて、信号発生手段が配置されている。
この実施の形態では、信号発生手段は、例えば、対となる受発光素子からなる複数の光学センサが配置されている。該信号の発生手段としては、光学センサのほかに「磁気センサ」、「近接センサ」などの非接触センサが同様に使用できる。
この実施の形態において、光学センサは、図19に示されているように、各円盤81,82,83上に、符号91,92,93,94で示すように、それぞれ4つ設けられている。
【0264】
他方、筐体10の一面(この一面を「表面」とする)には、上記各円盤に対応して、縦方向に等間隔をおいてスイッチ手段としての押しボタン74,75,76が一列に並んで配置されている。図18では図示省略されているが、このような押しボタンは、図20で示すように、裏面側にも符号77,78.79に示すように設けられている。
各押しボタンは、これと連動する部材として、筐体10内で押しボタンと一体の邪魔板を有している。各押しボタンは同じ構造であるから、押しボタン76を例にして説明すると、筐体10から露出する押しボタン76は、図20に示すようにコイルスプリングのような付勢手段により、外方に向かうように付勢されており、例えば、二段押しボタンの構成とされている。すなわち、押しボタン76を軽く押すと固定されずに離すと付勢力により戻り、強く押すと押し込まれた状態で保持され、再度強く押すと戻る構成とすることができる。この押しボタン76の動きに連動して、筐体10の内部では、押しボタン76と一体の邪魔板86が進退する。
【0265】
図21を参照する。
図示されているように、上記した押しボタンと連動する邪魔板86は、内端に円盤83の円周よりも大きな円弧となる曲面を有するようにされており、押しボタンが押し込まれた際には、円盤83上に90度間隔で設けられたいずれかの光学センサの発光素子の光路に挿入されるようになっている。また、邪魔板86と対向して設けられ、図20の押しボタン79と一体に設けられた邪魔板89も同様の構造とされている。
このため、該押しボタン79が押し込まれたとき、円盤83上に90度間隔で設けられたいずれかの光学センサの発光素子の光路に挿入され、該押しボタンが付勢力により戻ると、邪魔板86は光学センサの光路から離脱するようになっている。
これにより、該押しボタン79が押し込まれたとき、邪魔板86の光学センサへの対向面で発光素子からの光が反射されて、該光学センサの反射光が受光素子に入射すると、光電変換されて電気信号として検出される。
すなわち、図21に示すように、この図21(c)の状態で、筐体10の向きが0度とすると、図21(a)が45度、図21(b)が22.5度だけ筐体10が回動もしくは回転したものとして回転検出が行われる。
【0266】
図22および図23は、押しボタンの押し込みと、方向指示の関係を示している。図20をあわせて参照しながら説明する。
平面視において、一方向に長い直方体状の筐体10の左を前進方向、右を後退方向とする。
図22(a)では、筐体10を図において水平に位置させた状態で、押しボタン76が押し込まれると、邪魔板86は矢印a方向に移動し、光学センサ92がスイッチングされるので、これにより、前進方向Aへの移動指示がなされる。
これとは逆に図22(b)では、押しボタン79が押し込まれると、邪魔板89は矢印b方向に移動し、光学センサ94がスイッチングされるので、後退方向Bへの移動指示がなされる。
【0267】
これに対して 図23(a)では、筐体10を図において水平から約45度傾斜させた状態で、押しボタン76が押し込まれると、邪魔板86は矢印a方向に移動し、光学センサ92と93とが同時にスイッチングされるので、これにより、斜めの前進方向Aへの移動指示がなされる。
また、図23(b)では、押しボタン79が押し込まれると、邪魔板89は矢印b方向
に移動し、光学センサ91と94とが同時にスイッチングされるので、斜めの後退方向B
への移動指示がなされる。
【0268】
このように、本実施の形態によれば、エンコーダ73の回転検出位置との関係で、筐体の向いている方向が検出されることになり、該エンコーダ73の角度情報とあわせて、表面側の押しボタンが押されたか、裏面側の押しボタンが押されたかを検出することによって、前進、後退の指示を判別することができる。
なお、この実施の形態では、電気的な部品、特に回路や給電手段は、長尺部材を介して、主軸71上に配されることから、筐体10は信号線などの影響を受けずに制限無く回動もしくは回転する構成を実現できる。
また、エンコーダ73による角度情報は、前進あるいは後退などの押しボタン操作の有無にかかわらず、筐体10の向きにより常時検出できることから、既に説明したように、工場内などに設備した表示手段に、当該筐体10の向きに応じて、クレーンの走行方向を、走行前に予め広く知らせることができる。
なお、本実施の形態では、光学センサを主軸71とともに回転する円盤上に設けているが、光学センサは押しボタンと一体に進退する邪魔板側に設け、主軸71側に、光学センサの光路に挿脱されるスイッチング手段を設けてもよい。
【0269】
図24は、操作用リモコンに上述の光学センサを組み込んだ場合の実施の形態にかかる三次元移動装置としての天井クレーンにおける制御機構を示すブロック図であり、基本的には、図4の構造と共通であるが、その一部がより具体的に示されたものである。このため、図4の構造との重複する部分の説明を避けて、以下、特徴部分を中心に説明する。
エンコーダ73からの角度情報と、光学センサのコントロールスイッチ11−1からのスイッチ情報は、信号伝送用ドライバ・レシーバ111を経て、入力インターフェイス102に送られ、該入力インターフェイス102を介して、マイコン20に入力される。
【0270】
入力インターフェース102には、例えば、図1の走行レール2A、2Bなどの端部などに設置した図示しないリミットスイッチ101の信号が入力されるようになっており、軌道上の走行範囲を超えようとした場合には、その信号が入力インターフェイス102を介して、マイコン20に入力され、走行停止がなされるようになっている。
マイコン20は、信号伝送用ドライバ・レシーバ111を経て入力されるエンコーダ73からの角度情報と、光学センサのコントロールスイッチ11−1からのスイッチ情報に対応して、その指示に適合するように、移動機構62に必要な指示情報を演算し、D/A(アナログーディジタル)変換器105で、指令電圧に変換し、X軸とY軸の各速度インバータスピードコントローラ109,110に与える。各速度インバータスピードコントローラ109,110はX軸とY軸の各モータ23,13を駆動する。
また、マイコン20は、巻上げ機ドライバ108に指示を出し、Z軸モータ16を駆動する。さらに、マイコン20は、インバータ電源コントローラ107を介して、インバータ73を制御する。
好ましくは、マイコン20は、工場内に設置された表示手段106としてのディスプレイなどに、エンコーダ73からの角度情報と、光学センサのコントロールスイッチ11−1からのスイッチ情報に基づくクレーンの走行方向の表示を行い、該走行方向を工場内などにおいて、広く知らせるようにすることができる。
【0271】
図25は、図24の三次元移動装置としての天井クレーンの動作の一例を示すフローチャートである。
電源がオンされることにより、システムが起動され(ST1)、マイコン20により、システムの診断シーケンスが実行され、システムが正常か否かが判断される(ST2)。
ここで、肯定結果を得ると、マイコン20は、インバータ電源コントローラ107を介してインバータ73の電源をオンし(ST3)、該インバータ73が正常か否か判断する(ST4)。
ここで、肯定結果を得られたら、システムが正常に動作しえることを表示し(ST5)、エンコーダ73の現在の位置・状態をその角度情報から確認する(ST6)。
ここで、エンコーダとしては、通常のロータリエンコーダでもよいが、好ましくは、アブソリュート方式のものを使用することができる。
すなわち、通常のロータリエンコーダにより測定できるのはリモコン筐体10の回転方向と角度に止まるが、アブソリュートエンコーダにより測定できるのは、リモコン筐体が実際に向いている絶対的方向である。
このため、電源投入時から絶対角度を常時出力し、原点復帰動作を行う必要がなく、エンコーダ本体が回転してしまわない限り絶対角度出力が狂うことはない。これにより、エンコーダの出力信号からリモコン筐体の方向を求める演算がより簡潔になり、好ましい。
この状態で、操作用リモコンである移動操作装置60により、いずれかの押しボタンが押し込まれると、マイコン20は、上述したように、クレーンの走行方向を演算し、必要な指令を出す(ST8)。
【0272】
ここで、エンコーダ73から割り出した角度に基づいて、図26の説明図を参照する。
図において、X軸とY軸の各速度インバータスピードコントローラ109,110に速度指令を出す手法を説明する。
この実施の形態では、インバータ73は通常、マイナス10V(ボルト)ないし10Vの電圧入力範囲で、当該電圧に比例してモータ出力を停止状態から最高速度までコントロールできる(なお、マイナス側は反転となる)。
図において0度方向から見て、時計回りに250度の方向にクレーンを走行させるには、
X軸速度=マイナスcos20度×10(V)=マイナス9.4(V)
Y軸速度=マイナスsin20度×10(V)=マイナス3.4(V)
という電圧をX軸とY軸の各速度インバータスピードコントローラ109,110に入力することにより、図示の矢印方向Aに走行させることができる。
ついで、押しボタンがオフされる(ST9)と、X軸とY軸の各速度インバータスピードコントローラ109,110に入力される電圧はオフとなり、走行は停止する(ST10)
【0273】
本実施の形態ではモータ駆動制御回路としてインバータを使用した。
しかしながら、「インバータ」はクレーンに使用される一般的な交流誘導電動機の速度、トルク、ブレーキ制御などを行うためのモータドライバで、そのほかにもサーボモータを駆動させるための「サーボドライバ」、ステッピングモータを駆動させるための「ステッピングモータドライバ」など、使用形態に合ったモータとドライバの組み合わせに置き換えることも出来る。
その場合、例えば各軸にサーボモータとサーボドライバを使用した場合、X軸・Y軸及びZ軸で構成されるクレーン動作範囲内である立方体(仮想範囲)の全ての位置をマイコンが数値で把握できるようになる。
これにより、ある2点間を繰り返し往復する作業がある場合、その2点又はそれ以上の地点の位置情報を個々にマイコンに記憶させ、作業者が動作指令を行う直前に必要な地点を呼び出し、動作指令を出すことにより簡単に指定した地点までクレーンを移動できるシステムが実現できる。また、多点登録することにより、登録した地点を通過点として指定し、決められた軌跡を描きながらクレーンを動作させるシステムも考えられる。
【0274】
本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではない。また、上述の各実施の形態を互いに組合わせてもよく、また、その一部を省略して、組み合わせることも可能であり、さらには、説明しない他の技術的要素を組合わせることもできる。
【符号の説明】
【0275】
1,1A,1B,1C,1D 三次元移動装置(天井クレーン)
2A,2B 走行レール
3A,3B サドル
4 クレーンガーダ
5, 29 昇降機(巻上機)
6 支持ワイヤ
7 移動体(フック)
8 通信ケーブル
9, 9A,35,40,40A,45,50 操作用リモコン
10,36,41,46,51 リモコン筐体
11,47A,47B,47C,47D 操作スイッチ
11A,38A,43A,48A,53A 上昇スイッチ
11B,38B,43B,48B,53B 下降スイッチ
11C 第2の操作スイッチ
12 回転接続部
13 横行用モータ(Y軸モータ)
16 巻上用モータ(Z軸モータ)
37,42,52 操作スイッチ(十字キー)
43 上下スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動を操作する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号に基づき前記移動機構の駆動を制御することを特徴とする移動制御方法。
【請求項2】
前記操作用リモートコントローラの筐体の方向は、前記長尺部材に対する又は前記長尺部材を基準として定まる方向であることを特徴とする請求項1に記載の移動制御方法。
【請求項3】
前記長尺部材である又は前記長尺部材内に配置される信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記操作用リモートコントローラから、前記移動機構の駆動を制御する前記駆動制御装置に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動制御方法。
【請求項4】
移動体の移動を操作する移動制御方法であって、信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材の一方端側及び他方端側に操作用リモートコントローラ及び移動体を移動させる移動機構をそれぞれ配置し、前記操作用リモートコントローラの筐体の方向に関する信号を前記移動機構の駆動を制御する駆動制御装置に供給し、前記駆動制御装置の一部において前記信号に基づき制御信号を生成し、前記駆動制御装置の残部において前記制御信号に基づき前記移動機構の駆動を制御することを特徴とする移動制御方法。
【請求項5】
前記信号は、前記長尺部材に回動可能に取り付けられた前記筐体の方向に関する信号であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の移動制御方法。
【請求項6】
信号伝送用ケーブルである又は信号伝送用ケーブルを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体の方向に関する信号を生成する筐体方向判別手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、前記信号に基づき移動体の移動を制御する駆動制御装置とを備え、前記信号伝送用ケーブルを通じて前記信号を前記筐体方向判別手段から前記駆動制御装置へ供給することを特徴とする移動操作装置。
【請求項7】
前記筐体は、前記長尺部材に回動自在に取り付けられており、前記筐体方向判別手段は、前記長尺部材に対する又は前記長尺部材を基準として定まる前記筐体の方向に関する信号を生成する手段であることを特徴とする請求項6に記載の移動操作装置。
【請求項8】
前記筐体を手に持ち、前記移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所に前記筐体の前記長尺部材に対する方向を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の移動操作装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の移動操作装置を用いて移動体の移動を操作する方法であって、前記長尺部材に対して又は前記長尺部材を基準として前記筐体の方向を変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の移動操作装置を用いて移動体の移動を操作する方法であって、前記表示手段に表示される前記筐体の前記長尺部材に対する方向を目視して確認しながら、前記筐体の方向を前記長尺部材に対し相対的に変化させることにより、所望の場所に移動体を移動させる工程を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御することを特徴とする移動制御方法。
【請求項12】
少なくとも二本の棒状部材とその棒状部材間を屈曲可能に接続する接続部材とを備える長尺部材と、該長尺部材の一方端側に配置される前記棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた操作用リモートコントローラの筐体と、該筐体内に配置され、その棒状部材の軸回りの当該筐体の回転方向又は回転量に関する信号を生成する信号生成手段と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動装置と、前記信号に基づき前記移動装置の駆動を制御する駆動制御装置と、前記筐体の回転方向又は回転量に関する信号を前記駆動制御装置へ供給する信号伝送用ケーブルを通じて又は無線伝送手段とを備えることを特徴とする移動操作装置。
【請求項13】
前記信号発生手段は、前記筐体が回転可能に取り付けられた前記棒状部材に対する又はその棒状部材を基準として相対的に定まる前記筐体の回転方向又は回転量に関する信号を生成する手段であることを特徴とする請求項12に記載の移動操作装置。
【請求項14】
前記筐体を手に持ち、移動体の移動を遠隔操作する作業者が目視可能な場所に設置された、移動体の移動方向又はその作業者が選択した方向を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項6,7,8,12,13のいずれかに記載の移動操作装置。
【請求項15】
移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、前記長尺部材の一方端側に配置され、前記長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体に設けられたスイッチ手段又はこれと連動する部材と前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分と一体をなす物体又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材と一体をなす物体との間の距離の変化に応じて発生する信号に基づき、前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法。
【請求項16】
移動体を移動させる移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、長尺部材の一方端側に配置された操作用リモートコントローラにより、その他端側に配置された前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法であって、前記長尺部材の一方端側に配置され、前記長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体に設けられた押しボタン又は該押しボタンと連動する部材と前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分に同軸に固定された円盤又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材に同軸に固定された円盤との間の距離の変化に応じて出力される光学センサの出力信号に基づき、前記移動装置の駆動を制御する移動制御方法。
【請求項17】
長尺部材と、該長尺部材の一方端の部分又はその部分を構成する棒状部材の軸回りに回転可能に取り付けられた前記操作用リモートコントローラの筐体と、前記長尺部材の他方端側に配置され、移動体を移動させる移動装置と、該移動装置の駆動を制御する駆動制御装置と、前記筐体に設けられたスイッチ手段と、該スイッチ手段又はこれと連動する部材と前記筐体内に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分と一体をなす物体又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材と一体をなす物体との間の距離の変化に応じて信号を発生する信号発生手段と、前記信号を前記駆動制御装置に供給する信号伝送用ケーブルを通じて又は無線伝送手段とを備えることを特徴とする移動操作装置。
【請求項18】
前記スイッチ手段は、前記筐体に設けられた押しボタンであり、前記信号発生手段は、前記押しボタン又は該押しボタンと連動する部材を検知するための、前記筐体の内部に配置される前記長尺部材の一方端の部分若しくはその部分に同軸に固定された円盤又は前記長尺部材の一方端の部分を構成する棒状部材若しくはその棒状部材に同軸に固定された円盤に設けられた光学センサを備えることを特徴とする請求項17に記載の移動操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−251852(P2011−251852A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207800(P2011−207800)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【分割の表示】特願2008−558011(P2008−558011)の分割
【原出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(505199739)株式会社五合 (11)