説明

移動式地面乾燥機械装置

【課題】土の移動や土盛り工事、宅地造成工事に伴う土の乾燥に電磁波を応用した技術を提供する。
【解決手段】軽量アングル架台に、内側に電磁波反射板、外側に電磁波シールド塗膜を配した内板を固定し、一方を解放した電磁波放射箱を形成する。該放射箱の内側に電磁波発生装置および電磁波錯乱装置を設け、該放射箱の外側に密着させてアルミハニカムベースを固定する。電磁波発生装置と電磁波錯乱装置に配線を施して単体電磁波発生手段とし、該単体電磁波発生手段を本体積載部に複数装着して電磁波照射本体部14とする。電磁波照射本体部14の側面に通気排出口15、およびスカート部分が上下にスライド出来る電磁波シールドカーテン9を装着する。トラックに電磁波照射制御部、発電機部20、本体格納部21、リモコンアンテナおよび電磁波反射板23を設け、電磁波照射本体部14を装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の土盛り、宅地造成等の工事に求められる最適な路盤にするために、電磁波を最大限に活用した、地面乾燥装置の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、路盤改良の作業工法としては、地盤にセメント生石灰などの擬固材や砕石などを混ぜて、撹拌して水分抜き時間を待って、乾燥させてから添圧していた。また、埋め立て工事などの場合は、地面の中に暗梁管等をいれたり、粗染と砂と4号砕石などの断層溝を作り水分を浸透させて抜いていた。
【0003】
こうした中で近年、実用新案公開・昭64−042310号のように、電磁波を利用して、アスファルトの簡易溶解装置とか、特開2003−322467のマイクロ波による耐火物の乾燥装置とか、特開2005−09281のごとく、電磁波を照射しての、移動融雪装置等の技術が公開されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状では、土の移動や土盛り工事や宅地造成工事での路盤生成中等に夕立や雨で、地面が柔らかくなってしまう。また粘土質の土は水分がある為に添圧しても、路盤が落ち着かない。その水分を含んだ土は、作業機械やスコップ、草掻きレーキなどに土が付着し、剥がれにくい。またローラーなどで添圧しても、路盤の不陸調整が出来ないばかりか、ランマーで添圧すると盤膨れの状態になり苦慮する。さらに広い敷地では、土を盛り上げて台形にして、自重添圧等で土の水を絞りだす方法が取られているが2ケ月〜3ケ月あまりの時間がかかっていた。また近年の技術では、物質に電磁波照射をすると、分子同士の動きが活発になり、分子が衝突を繰り返す現象で、物質内部に摩擦熱が発生する、これを応用してアスファルトを溶解させたり、雪を溶かしたり、耐火物の水分を抜いたりするものが、前記のごとく公開されている。しかしながら電磁波つまり、マイクロ波には周波数があり、さらに電波の性質で、360度に無指向に出てしまう。これらの技術では、この辺の検証が不足しており、電磁波による被爆対策や、最適周波数の設定等、多くの課題が残った。
これら問題点を改善し、路盤改良の工法などに特化した本発明がなされたのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は出来る限りの簡単構成で、ローコストに装置化したものである。まず、骨組みとなる、軽量アングル架台(1)を用意し、板の内側一方を電磁波反射板(2)とし、その反対側の外側に、特殊塗料を塗布して、電磁波シールド塗膜(3)として設けた、内板(4)を形成し、これを該架台に貼付けて固定し設けて、一方を解放した電磁波放射箱(5)として形成する。次にこの該放射箱の内側に、電磁波発生装置(6)および電磁波錯乱装置(7)を設ける。さらに該放射箱の外側周囲に沿って密着させて、その全体を包み込んだ電磁波シールド反射材である、アルミハニカムベース(8)を固定して設ける。またさらに該ベースの外側を、一部上下にスカート部分(10)が動くようにした、電磁波シールドカーテン(9)をこの全体に被せて装着する。またシールドカーテン止金具(11)を設ける。そして、電磁波放射箱(5)に設けた電磁波発生装置(6)と電磁波錯乱装置(7)に、電源配線および制御配線を施して、この様にこれら全体を単体の完成体として組立てたものを、単体電磁波発生手段(12)として設ける。
【0006】
つぎにこの単体電磁波発生手段(12)を、本体積載部(13)に複数装着する。これにより、単体で電磁波を発生するよりも、大容量且つ、効率良く、電磁波発生集合体として照射できる、電磁波照射本体部(14)として設ける。また電磁波照射本体部(14)の側面に、電磁波により土から発生する水蒸気を逃がす、通気排出口(15)を設ける。次に電磁波照射本体部(14)の全体に、作業者の電磁波被爆から守る、電磁波シールドカーテン(9)を被せて装着して、さらに該カーテンの、スカート部分(10)が、常に地面に接っして、透き間が出来ないように上下にスライド出来るように設ける。さらには、これら電磁波照射本体部(14)を、専用トラック(16)の操作クレーン(17)に、ワイヤー等(18)で接続して吊り下げ自在に設ける。また該トラックには、電磁波照射制御部(19)と電磁波照射の電源になる発電機部(20)および、本体格納部(21)とリモコンアンテナ(22)を設ける。さらにこれらに、電源および制御配線を施し、またトラック全面にも脱着容易に電磁波反射板(23)を設ける。最後に電磁波照射本体部(14)をトラックに、本体安定用接続金具(24)で装着する。また、図4または図5のように、タイヤおよびキャタピラーの動輪を設けた、極めて難道向きの小型自走車に、電磁波照射本体部(14)を直結一体に搭載した装置でも良い。この小型の自走車は人は搭乗せず、トラックターのように運転並走するだけである。
本発明は以上のような構成および特徴よりなる、移動式地面乾燥機械装置である。
【発明の効果】
【0007】
電磁波照射により、地面の中から水分だけを蒸発させるために、土砂を掘削しないで乾燥させる事が出来るので、地面が適度に硬くなり作業がしやすくなり、土盛り工事や宅地造成工事の添圧作業に於いても、大幅に作業時間や工期が短縮され、機械および労働力等も少なくて済み、さらに地面の種類を選ばず色々な土(土砂や岩石等含)が、混じっていても気にせずに扱えるので、大きなコストダウンにつながった。
また、電磁波のシールド対策は2重3重に被爆防止が施されており、さらに単体装置で強い電磁波を照射するよりも、電圧を下げて複数の集合体装置で電磁波を発生させる方式であるので、人体への影響は皆無である。そして、専用トラックや専用自走車で制御および作業運転を行うので、地面の乾燥作業が短時間で且つ、安全に行える。
さらに本装置は、土だけでなく、路面の積雪した雪を溶かす事が出来るので、雪除車として、多目的に利用出来るので、地域社会に於いても大いに役立。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本構成は、骨組みとなる、軽量アングル架台(1)を溶接して組立て用意する。次に板の内側一方を電磁波反射板(2)とし、その反対側の外側に、特殊塗料を塗布して、電磁波シールド塗膜(3)として設けた、内板(4)を形成し、これを該架台に貼付けて固定し設けて、一方を解放した電磁波放射箱(5)として形成する。次にこの該放射箱の内側に、電磁波発生装置(6)および電磁波錯乱装置(7)を設ける。ここで使用される電磁波つまりマイクロ波は地面の水蒸気に対しては検証の結果、2450GHzが一番最適であった。また電磁波の拡散を押さえる安全面に於いても、指向性を得る為にも、単体装置で電磁波を発生させるより、複数装置で電圧を下げて発生させる方が、安全で効率のよい結果が出た。さらに該放射箱の外側周囲に沿って密着させて、その全体を包み込んだ電磁波シールド反射材である、アルミハニカムベース(8)を固定して設ける。またさらに該ベースの外側を、一部上下にスカート部分(10)が動くようにした、電磁波シールドカーテン(9)をこの全体に被せて装着する。またシールドカーテン止金具(11)を設ける。そして、電磁波放射箱(5)に設けた電磁波発生装置(6)と電磁波錯乱装置(7)に、電源配線および制御配線を施して、この様にこれら全体を単体の完成体として組立てたものを、単体電磁波発生手段(12)として設ける。なお、電磁波錯乱装置(7)は電磁波を地面全体に均等に乱反射させるものである。
【0009】
つぎにこの単体電磁波発生手段(12)を、本体積載部(13)に複数装着する。これにより、単体で電磁波を発生するよりも、大容量且つ、効率良く、電磁波発生集合体として照射できる、電磁波照射本体部(14)として設ける。また電磁波照射本体部(14)の側面に、電磁波により土から発生する水蒸気を逃がす、通気排出口(15)を設ける。これは地盤の中の水分電磁波により熱されて、水蒸気が多量に発生するのである。この水分除去作業は、地盤の表層から地面下1mぐらいの深さ内で行われる。次に、電磁波照射本体部(14)の全体に、作業者の電磁波被爆から守る、電磁波シールドカーテン(9)を被せて装着して、さらに該カーテンの、スカート部分(10)が、常に地面に接っして、透き間が出来ないように上下にスライド出来るように設ける。この透き間を無くす事で、電磁波は該本体部から外に漏れないから、電磁波のロスを押さえ、電磁波漏れによる作業者への被爆影響も無くなる。さらには、これら電磁波照射本体部(14)を、専用トラック(16)の操作クレーン(17)に、ワイヤー等(18)で接続して吊り下げ自在に設ける。また該トラックには、電磁波照射制御部(19)と電磁波照射の電源になる発電機部(20)および、本体格納部(21)とリモコンアンテナ(22)を設ける。さらにこれらに、電源および制御配線を施し、またトラック全面にも脱着容易に電磁波反射板(23)を設ける。最後に電磁波照射本体部(14)をトラックに、本体安定用接続金具(24)で装着する。また、地面作業現場の地形や地面が凸凹の状況に強い、図4または図5のように、タイヤおよびキャタピラーの動輪を設けた、極めて難道向きの小型自走車に、電磁波照射本体部(14)を直結一体に搭載した装置でも良い。
本発明は以上のような構成であり、これを使用実施するときには、
【0010】
専用トラックまたは自走車を運転および制御コントロールを行い、真下の地面に向けて電磁波照射本体部(14)より、マイクロ波・2450GHzを発生放射させて、地面を移動すると、その部分の地面および地中が暖められて水分が蒸発して乾燥する。この装置の中で電磁波を発生させているのは、発電機部(20)より送り込まれる、電圧電流を電源にしてマグネトロンという真空管に、高い電圧を加えることにより、発生しているのである。地面の加熱は、このマイクロ波と物質の摩擦相互作用によって、電波の振動により特定の物質が、互いにぶつかり合い内部から、熱を発生させる。この装置の場合、無機質である土砂岩石と水分同士の振動摩擦相互作用によって水分が暖められて水蒸気となって地面から排出される。とくに良い点は、地面の中の水分のみを選択的に且つ、急速均一に加熱する事ができるのである。また、この時に地面の種類を選ばないで(粘土やその他の土、土砂岩石混じり等)、水分のみを除去し乾燥が行えるのである。この水分等は本装置の通気排出口(15)より、外部に排出される。このように、土砂等を掘削しないで乾燥させる為に、作業時間が短縮され機械や労働力等も大幅に軽減される。また、電磁波は人体に対して低周波被爆を起こしてしまう危険がある。つまり1台の単体で電磁波を発生させて、地面乾燥を行うには、大きな大電力が必要になり、電磁波も極力強くする必要があり、このため電磁波が周囲に漏れる心配がある。本装置は、安全且つ効率的に乾燥作業が出来るように、電磁波照射本体部(14)を設けて、複数の電磁波発生手段で、電圧を低く下げて地面へ照射するが、能力的に早く作業効率も良い。これにより電磁波漏れも極力小さくなり、さらに電磁波シールド反射板を設けこれと合わせて、電磁波をシールドするカバーやカーテン、それから軽量で機械強度を持つ、蜂の巣構造のアルミハニカムベースなどを利用して、完全に電磁波による被爆影響の解消対策を設けてある。また地面乾燥作業は、広範囲の場合には、専用トラックにて運転席よりクレーンにて作業操作が出来る。また地形構造や地面が狭かったり、地面の凸凹状況等極めて難道の場合は、キャタピラー付きの自走車で行う事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の実施図である。
【図2】 本発明の単体電磁波発生手段の断面説明図である。
【図3】 本発明の平面図である。
【図4】 本発明の自走車タイプの側面図である。
【図5】 本発明の自走車タイプの平面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 軽量アングル架台
2 電磁波反射板
3 電磁波シールド塗膜
4 内板
5 電磁波放射箱
6 電磁波発生装置
7 電磁波錯乱装置
8 アルミハニカムベース
9 電磁波シールドカーテン
10 スカート部分
11 シールドカーテン止金具
12 単体電磁波発生手段
13 本体積載部
14 電磁波照射本体部
15 通気排出口
16 専用トラック
17 操作クレーン
18 ワイヤー等
19 電磁波照射制御部
20 発電機部
21 本体格納部
22 リモコンアンテナ
23 電磁波反射板
24 本体安定用接続金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量アングル架台(1)に、内側に電磁波反射板(2)、外側に電磁波シールド塗膜(3)を設けた、内板(4)を貼付けて固定し設け、一方を解放した電磁波放射箱(5)として形成する、次にこの該放射箱の内側に、電磁波発生装置(6)および電磁波錯乱装置(7)を設ける、さらに該放射箱の外側に密着させて、その全体を包み込んだ電磁波シールド反射材である、アルミハニカムベース(8)を固定して設ける、またさらに該ベースの外側を、一部上下にスカート部分(10)が動くようにした、電磁波シールドカーテン(9)をこの全体に被せて装着し、またシールドカーテン止金具(11)を設ける、そして、電磁波放射箱(5)に設けた電磁波発生装置(6)と電磁波錯乱装置(7)に、電源配線および制御配線を施して、この様にこれら全体を単体の完成体として組立てたものを、単体電磁波発生手段(12)として設ける、つぎにこの単体電磁波発生手段(12)を本体積載部(13)に複数装着して、電磁波照射本体部(14)として設ける、また電磁波照射本体部(14)の側面に、通気排出口(15)を設け、次に電磁波照射本体部(14)の全体を、電磁波シールドカーテン(9)で被せて装着し、該カーテンの、スカート部分(10)が上下にスライド出来るように設ける、さらにはこれら電磁波照射本体部(14)を、専用トラック(16)の操作クレーン(17)に、ワイヤー等(18)で接続して吊り下げ自在に設ける、該トラックには電磁波照射制御部(19)と電磁波照射の電源になる発電機部(20)および、本体格納部(21)とリモコンアンテナ(22)を設け、さらにこれらに電源および制御配線を施し、またトラック全面にも脱着容易に電磁波反射板(23)を設け、最後に電磁波照射本体部(14)をトラックに、本体安定用接続金具(24)で装着せしめてなる特徴の、移動式地面乾燥機械装置。
【請求項2】
タイヤおよびキャタピラーの動輪を設けた、極めて難道向きの小型自走車に、クレーンではなく直接一体に搭載した、請求項1記載の移動式地面乾燥機械装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−255391(P2010−255391A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122522(P2009−122522)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(509141110)
【Fターム(参考)】