説明

移動式昇降ベッド

【目的】 固定及び固定解除の操作が簡単で安全な移動式昇降ベッドを提供することにある。
【構成】 ベッド(1)と、ベッド(1)を支持する脚フレーム(5)と、脚フレーム(5)の延設中途部とベッド(1)とに懸け渡して軸支される受けフレーム(6)と、脚フレーム(5)の上端を移動して該脚フレーム(5)を起立又は傾動させる移動部(7)と、移動部(7)を作動させる駆動部(8)と、脚フレーム(5)の下端に設けられる接地足(3)と、脚フレーム(5)の延設中途部に内側方に突設される内車輪(4a)とからなり、脚フレーム(5)が倒伏すると、内車輪(4a)が床(26)に着き接地足(3)が床(26)から離れ、ベッド(1)は内車輪(4a)の転動により移動容易状態となる移動式昇降ベッド。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、患者に物理療法を施す移動式昇降ベッドの移動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術の特開昭53−43993号公報には、ベースと、ベッドと、足踏板と、短いレバーと、長いレバーと、枢着部と、キャスターと、ストッパー等なら構成される移動式昇降ベッドが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来装置は、ベッドを使用する時には、ストッパーを回動操作して床へ押し付け車輪を床から離し、装置を固定していた。又、ベッドを使用しない時には、ストッパーを回動操作して床から離し車輪を床に着けて、ベッドを車輪の転動により容易に移動できるようにし、ベッドを部屋の適宜位置へ移動し片付けていた。
【0004】従来技術では、ベッドを床へ固定する時又は固定を解除する時にその都度、ストッパーを回動操作しなければならず、この操作が面倒であり、更に、固定操作を忘れて使用する可能性もあり、危険であった。
【0005】本発明の目的は、上記欠点を解決したものであり、固定及び固定解除の操作が簡単で安全な移動式昇降ベッドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、ベッド(1)と、ベッド(1)を支持する脚フレーム(5)と、脚フレーム(5)の延設中途部とベッド(1)とに懸け渡して軸支される受けフレーム(6)と、脚フレーム(5)の上端を移動させて該脚フレーム(5)を起立又は傾動させる移動部(7)と、移動部(7)を作動させる駆動部(8)と、脚フレーム(5)の下端に設けられる接地足(3)と、脚フレーム(5)の延設中途部に設けられる車輪(4)とからなる移動式昇降ベッドである。前記車輪(4)は、脚フレーム(5)の延設中途部に内側方に突設される内車輪(4a)であり、脚フレーム(5)が倒伏すると、内車輪(4a)が床(26)に着き接地足(3)が床(26)から離れ、ベッド(1)は内車輪(4a)の転動により移動容易状態となるものである。或いは、車輪(4)は、脚フレーム(5)の延設中途部に外側方に突設される外車輪(4b)であり、脚フレーム(5)が起立すると、外車輪(4b)が床(26)に着き接地足(3)が床(26)から離れ、ベッド(1)は外車輪(4b)の転動により移動容易状態となるものである。
【0007】
【作用】患者を乗せ施療をする本発明におけるベッド1の脚フレーム5はベッド1を支持し、脚フレーム5の延設中途部から分岐した受けフレーム6もベッド1を支持する。移動部7は、脚フレーム5の上端をベッド1の面と同方向の面において左右に移動させて脚フレーム5を倒伏又は起立方向に傾動させてベッド1を昇降させる。
【0008】脚フレーム5の下端に設けられた接地足3は床26に接して脚フレーム5を支持する。脚フレーム5の延設中途部に設けられる車輪4は脚フレーム5が倒伏又は起立すると床に着き、更に、倒伏又は起立方向への回動を進めると接地足3が床26から離れる。接地足3が床26から離れると、ベッド1は車輪4の転動により容易に移動できる状態になる。
【0009】脚フレーム5の延設中途部に内側方に突設される内車輪4aは、脚フレーム5が倒伏すると床に着き、更に倒伏方向への回動を進めると接地足3が床26から離れる。
【0010】脚フレーム5の延設中途部に外側方に突設される外車輪4bは、脚フレーム5が起立方向へ回動すると床に着き、更に起立方向への回動を進めると接地足3が床26から離れる。
【0011】
【実施例】図1ないし図3に示す本発明の第1実施例は、ベッド1と、ベッド1を昇降可能に支持する昇降機構2と、昇降機構2を支持する接地足3と、ベッド1を移動させる車輪4とからなる。
【0012】昇降機構2は、ベッド1の下方に設けられベッド1を昇降させるものであって、ベッド1を支持する脚フレーム5と、脚フレーム5の延設中途部とベッド1とに懸け渡して設けられる受けフレーム6と、脚フレーム5の上端を移動及び固定する移動部7と、移動部7を作動させる駆動部8とからなり、前記脚フレーム5及び受けフレーム6はベッド1の左右対称に設けられる。
【0013】移動部7は、中央で左右逆ネジに製作される一本のネジシャフト9と、該ネジシャフト9の左右に螺着されるナット10と、ナット10の下部に設けられる横架軸11とからなる。
【0014】脚フレーム5は、その上端が前記横架軸11に軸着され、延設中途部には交差軸12が設けられ、下端には足軸13が設けられる。受けフレーム6は、その上端がベッド1裏の端部に設けられた固定軸14に軸支され、下端は脚フレーム5の交差軸12に軸支される。
【0015】駆動部8は、モーター15と、モーター15の回動を減速しネジシャフト9に伝導する減速機16とからなる。接地足3は、脚フレーム5の下端に設けられる。車輪4は、内車輪4aとし、脚フレーム5の延設中途部に内側方に突設される。
【0016】図2中、17はベッド1を昇降操作する操作部、18はベッド1を昇降させる時に踏む昇降用フットスイッチ、19はベッド1の下部を覆うカバー、20は電源スイッチ、21は電源表示灯、22はベッド1の高さを表示する高さ表示器、23は患者を固定する固定ベルト、24は固定ベルト23を取り付けるパイプ、25は抗箘レザーである。
【0017】第1実施例を使用する場合、ベッド1に患者を乗せ施療者の作業に好都合な高さに調節設定する。ベッド1の高さを調節する際、昇降用フットスイッチ18を踏んで、モーター15を回動させ、ネジシャフト9を回動させる。
【0018】ネジシャフト9が回動するとナット10がベッド1の左方又は右方に移動し、このナット10の移動と共に脚フレーム5は倒伏方向へ又は起立方向へ動く。脚フレーム5が起立回動又は倒伏傾動するとベッド1が上昇又は下降する。
【0019】ベッド1を使用しない時には、昇降用フットスイッチ18を踏んで、モーター15を回動させ、ネジシャフト9を回動させ、脚フレーム5を倒伏させ、この倒伏作動により、内車輪4aを床26に着け、更に倒伏方向へ傾動を進め接地足3を床26から離し浮かせる。
【0020】内車輪4aが床26に着き接地足3が床26から離れると、ベッド1は容易に移動できる状態になり、ベッド1を水平方向へ押せば、内車輪4aが転動しつつ移動する。
【0021】図4に示す第2実施例は、第1実施例の内車輪4aの代わりに、脚フレーム5に直接に大径の車輪4を設けたものである。第2実施例では、車輪4の直径が大きい故に、脚フレーム5を倒伏回動させると、大径の車輪4が床26に着き、接地足3が床26から離れ、ベッド1が移動可能状態になり、操作者の手により移動される。
【0022】図5に示す第3実施例は、第1実施例の内車輪4aの代わりに、外車輪4bを脚フレーム5の外側方に突設したものである。第3実施例では、脚フレーム5を起立方向へ回動させていくと、外車輪4bが床26に着き、接地足3が床26から離れ、ベッド1が移動可能状態になり、操作者の手により移動される。
【0023】
【発明の効果】請求項1に記載した本発明は、脚フレーム5の延設中途部に設けられる車輪4を有し、脚フレーム5が倒伏又は起立すると、車輪4が床26に着き接地足3が床26から離れ、ベッド1は車輪4の転動により移動するものであるから、ベッド1を使用しない時には、部屋の隅へ移動させることを軽微な労力で容易に行なえ、好都合である。
【0024】又、ベッド1を移動容易にするための準備が、ベッド1を下降又は上昇させるという簡単な操作で行なえ、好都合である。
【0025】請求項2に記載した本発明は、脚フレーム5の延設中途部に内側方に突設される内車輪4aを有し、脚フレーム5が倒伏すると、車輪4が床26に着き接地足3が床26から離れ、ベッド1は車輪4の転動により移動するものである。通常、ベッド1を低位置より上昇させて、適宜高さに調節して使用するので、ベッド1の使用開始に際し床26への固定を忘れて危険な事態に至るといった心配もなく、安全に使用でき、好都合である。
【0026】又、万一、ベッド1を接地足3が床26に着かない低位置で使用しても、高さが低い故に、危険性は極めて低いものである。又、車輪4が脚フレーム5の内側に設けられているので、該車輪4が介助者がベッド1の傍で介助する際その作業の障害にならず、好都合である。
【0027】請求項3に記載した本発明は、脚フレーム5の延設中途部に外側方に突設される外車輪4bを有し、脚フレーム5が起立すると、車輪4が床26に着き接地足3が床26から離れ、ベッド1は車輪4の転動により移動するものである。ベッド1を収納のため移動する時は、脚フレーム5を起立方向に回動させ、ベッド1を通常使用状態より高くして行なうから、ベッド1は適度な高さとなって移動操作に係る操作性がよく、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のカバー内を透視した正面図である。
【図2】本発明の第1実施例の正面図である。
【図3】本発明の第1実施例の平面図である。
【図4】本発明の第2実施例の部分図である。
【図5】本発明の第3実施例の部分図である。
【符号の説明】
1 ベッド
3 接地足
4 車輪
4a 内車輪
4b 外車輪
5 脚フレーム
6 受けフレーム
7 移動軸
8 駆動部
26 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベッド(1)と、ベッド(1)を支持する脚フレーム(5)と、脚フレーム(5)の延設中途部とベッド(1)とに懸け渡して軸支される受けフレーム(6)と、脚フレーム(5)の上端を移動させて該脚フレーム(5)を起立又は傾動させる移動部(7)と、移動部(7)を作動させる駆動部(8)と、脚フレーム(5)の下端に設けられる接地足(3)と、脚フレーム(5)の延設中途部に設けられる車輪(4)とからなる移動式昇降ベッド。
【請求項2】 車輪(4)は、脚フレーム(5)の延設中途部に内側方に突設される内車輪(4a)であり、脚フレーム(5)が倒伏すると、内車輪(4a)が床(26)に着き接地足(3)が床(26)から離れ、ベッド(1)は内車輪(4a)の転動により移動容易状態となる移動式昇降ベッド。
【請求項3】 車輪(4)は、脚フレーム(5)の延設中途部に外側方に突設される外車輪(4b)であり、脚フレーム(5)が起立すると、外車輪(4b)が床(26)に着き接地足(3)が床(26)から離れ、ベッド(1)は外車輪(4b)の転動により移動容易状態となる移動式昇降ベッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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