説明

移動式物体のストッパ装置

【課題】力が加わる方向にかかわらず十分な保持力を発揮して移動式物体の設置位置を確実に保持することができる移動式物体のストッパ装置を提供すること。
【解決手段】キャスタを取り付けた移動式物体Mの底面に固定される本体部1に等角度間隔に少なくとも3個以上の接地部材3をレバー片2を介して揺動自在に枢着し、レバー片2を支持して接地部材3を持ち上げるようにするカム板5を水平面内で回動可能に本体部1に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明はキャスタを取り付けた家具、事務機、電気製品等の移動式物体のストッパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式テーブルや椅子等の移動式物体には、当該物体を小さい力で移動できるようにキャスタが取り付けられ、その設置位置を保持する手段として、ストッパ装置が設けられている。
ところで、このストッパ装置としては、キャスタが回転しないように固定するものが汎用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、ストッパ装置としてキャスタが回転しないように固定するものは、キャスタが回転しないように固定した状態でも、キャスタの向きによってキャスタと床面の摩擦抵抗が小さくなり、力が加わる方向によっては十分な保持力が得られず、このため、小さな力でテーブルや椅子等の移動式物体が、設置位置から移動してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−115705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の移動式物体のストッパ装置の有する問題点に鑑み、力が加わる方向にかかわらず十分な保持力を発揮して移動式物体の設置位置を確実に保持することができる移動式物体のストッパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の移動式物体のストッパ装置は、キャスタを取り付けた移動式物体のストッパ装置において、移動式物体の底面に固定される本体部に等角度間隔に少なくとも3個以上の接地部材をレバー片を介して揺動自在に枢着し、レバー片を支持して接地部材を持ち上げるようにするカム板を水平面内で回動可能に本体部に配設したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、複数個のストッパ装置のカム板を、連結杆を介して連動させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の移動式物体のストッパ装置によれば、キャスタを取り付けた移動式物体のストッパ装置において、移動式物体の底面に固定される本体部に等角度間隔に少なくとも3個以上の接地部材をレバー片を介して揺動自在に枢着し、レバー片を支持して接地部材を持ち上げるようにするカム板を水平面内で回動可能に本体部に配設するようにしているので、少なくとも3個以上の接地部材のいずれかと床面との間に摩擦抵抗が加わるため、移動式物体を移動させようとする外力が加わる方向にかかわらず十分な保持力を発揮して移動式物体の設置位置を確実に保持することができる。
【0009】
また、複数個のストッパ装置のカム板を、連結杆を介して連動させるようにすることにより、キャスタを取り付けた移動式物体の回転に対して十分な保持力を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の移動式物体のストッパ装置の一実施例を示し、(a)は接地部材を持ち上げた状態を、(b)は接地部材が接地した状態を、(c)は本体部を示す説明図(各図の上側の図は底面図、下側の図は正面図)である。
【図2】2個のストッパ装置のカム板を連結杆を介して連結した状態を示す説明図(底面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の移動式物体のストッパ装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に、本発明の移動式物体のストッパ装置の一実施例を示す。
この移動式物体のストッパ装置は、キャスタ(図示省略)を取り付けた移動式物体Mの底面に固定される本体部1に等角度間隔に少なくとも3個以上(本実施例においては、4個の例を示すが、3個以上であれば、その個数は制限されない。)の接地部材3をレバー片2を介して揺動自在に枢着し、レバー片2を支持して接地部材3を持ち上げるようにするカム板5を水平面内で回動可能に本体部1に配設するようにしている。
【0013】
この場合において、本体部1には、レバー片2を揺動自在に枢着する支持部11を突設し、この支持部11に軸12を介してレバー片2を支持するようにする。
また、本体部1には、ストッパ装置を移動式物体Mの底面にねじ等によって固定するための取付孔13を形成するようにする。
【0014】
レバー片2は、中間部を折り曲げた略く字状に形成し、上端部を軸12を介して本体部1の支持部11に支持するようにし、下端部に接地部材3を取り付けるようにする。
【0015】
接地部材3は、接地部材3が床面FLに接地した状態で、移動式物体Mの移動に対して、床面FLとの間に摩擦抵抗を生じさせるような、ゴム等の材料から構成される。
なお、接地部材3の構成材料は、床面FLの構成材料、表面状態等に合わせて、摩擦抵抗を生じさせる材料を適宜選択することができる。
【0016】
カム板5は、水平面内で回動可能となるように、本体部1に設けた回転部材4に配設するようにする。
カム板5は、水平面内で回動させることによって、その周面がレバー片2に当接して接地部材3を持ち上げた状態(図1(a))と、当接せずに接地部材3が床面FLに接地した状態(図1(b))とに、選択的にできるようにするものである。
カム板5には、カム板5を水平面内で回動させるための操作片52を突設し、移動式物体Mの底面に位置するカム板5の操作性を向上するようにしている。
【0017】
ところで、この移動式物体のストッパ装置は、移動式物体Mの底面に1個のストッパ装置を配設するほか、複数個のストッパ装置を配設することができる。
これにより、キャスタを取り付けた移動式物体Mに対して十分な保持力、特に、移動式物体Mの回転に対して十分な保持力を発揮することができる。
この場合、図2に示すように、ストッパ装置のカム板5に突設した連結片53を連結杆54を介して連結することにより、2個のストッパ装置のカム板5同士を連動させるようにすることができ、これにより、カム板5の操作性を向上するようにしている。
【0018】
この移動式物体のストッパ装置によれば、接地部材3のいずれかと床面FLとの間に摩擦抵抗が加わるため、移動式物体Mを移動させようとする外力が加わる方向にかかわらず十分な保持力を発揮して移動式物体Mの設置位置を確実に保持することができ、例えば、地震によって移動式物体Mが移動することを確実に防止することができる。
【0019】
以上、本発明の移動式物体のストッパ装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の移動式物体のストッパ装置は、力が加わる方向にかかわらず十分な保持力を発揮して移動式物体の設置位置を確実に保持することができることから、キャスタを取り付けた家具、事務機、電気製品等の移動式物体のストッパ装置として広く用いることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 本体部
2 レバー片
3 接地部材
4 回動部材
5 カム板
51 カム面
52 操作片
53 連結片
54 連結杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスタを取り付けた移動式物体のストッパ装置において、移動式物体の底面に固定される本体部に等角度間隔に少なくとも3個以上の接地部材をレバー片を介して揺動自在に枢着し、レバー片を支持して接地部材を持ち上げるようにするカム板を水平面内で回動可能に本体部に配設したことを特徴とする移動式物体のストッパ装置。
【請求項2】
複数個のストッパ装置のカム板を、連結杆を介して連動させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の移動式物体のストッパ装置。

【図1】
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【図2】
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