説明

移動抑制部材が装備された装置

【課題】床面等に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安価に、安定的に画像形成装置を設置する。
【解決手段】画像形成装置Aには、床面に平行な方向にスライド可能かつ垂直面上で回動可能な移動抑制部材100が筺体の側面に固設される。この移動抑制部材100は、その一部が中空である丸棒形状の先端部101と、先端部101とねじにより螺合された丸棒形状の中間伸縮部102と、中間伸縮部102の少なくとも一部をその中空部に収納可能に形成された基体部103と、基体部103を床面に平行な方向への進退が可能に保持するとともに垂直面上で回動可能なように保持する保持部104とから構成される。基体部103には、先端部101及び中間伸縮部102を壁面に押圧する弾性力を発現するばね部材を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ機又はこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置を含む装置に関し、特に、装置が衝撃を受けても不用意に移動することを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
OA機器の1つとして、トナー像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ機又はこれらのうち2以上を組み合わせた複合機が広く用いられている。このような画像形成装置では、通常、露光プロセスにて感光体のような像担持体上に静電潜像を形成し、現像プロセスにて該静電潜像を現像して可視トナー像を形成し、転写プロセスにて該可視トナー像を記録紙等の記録媒体に転写し、或いは一旦中間転写ベルト等の中間転写体に1次転写し該中間転写体から記録媒体に2次転写し、定着プロセスにてこのように記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させることができる。
【0003】
このような画像形成装置のような大型のOA機器、例えば体積が1立方メートル程度の大きさの装置の多くは、相当の重量となる場合が多い。このため、このような装置には、作業者により設置場所まで運搬されるときに容易に動かせるように、キャスターを備えていることがある。設置場所まで運搬するときは、このキャスターによって大型の装置を容易に動かせることができ、設置場所まで運搬した後は、キャスターに設けられたロック機構によってキャスターを回転防止状態にすることにより、装置が設置場所から移動しないようにすることができる。上述した画像形成装置のような装置は、底面が略四角形となっており、それぞれの角付近にキャスターが取り付けられており、画像形成装置全体を4つのキャスターで支持するような構成となっていることが一般的である。
【0004】
ところで、このようなキャスターを備えた画像形成装置は、装置の設置面である床面とキャスターの接触部分だけで装置を支持するので、摩擦が小さくなっている。そのため、地震等による揺れによって衝撃を受けると、キャスターがロックされているにも関わらず、装置が床面を滑走して移動する可能性がある。この時、床面に突起物等があると、キャスターがその突起物に突き当たり、装置が転倒してしまう。このような画像形成装置の不用意な移動及び転倒を防止するために、装置が受けた衝撃(外力)を吸収する部材が用いられることがある。例えば、特開平9−280288号公報(特許文献1)は、地震発生時等において過大な衝撃や振動等の外力を受けても、事務機器自身の転倒や大きな移動及びユニットの脱落を防ぐととともに、装置内部に加わる加速度を緩和して内部部品やユニットの機能を保全することができる外力吸収手段を開示する。
【0005】
この特許文献1に開示された装置は、外力吸収手段は、床面又は壁面に固定された固定手段と、所定値以上の外力を受けて伸長する弛張手段と、該弛張手段の少なくとも一端に取り付けられて前記固定手段に係止される係止手段と、同弛張手段に保持されて該弛張手段の少なくとも一方向の相対移動を規制するとともに弛張手段との間に所定値以上の張力が作用すると弛張手段との間に滑りを生ずるロック手段を含んで構成される。
【0006】
この外力吸収手段によると、地震が発生した場合、過大な衝撃又は振動を装置が受けた場合には、事務機器の装置本体を囲んで張設された弛張手段は過大な衝撃力や振動力を装置本体を介して受けて伸び、この弛張手段の伸びによって過大な衝撃力や振動力が吸収緩和されるとともに、装置本体内に加わる加速度も緩和されるため、装置本体の転倒が免れるとともに、ユニットの脱落が防がれ、更に内部部品やユニットの機能が保全される。また、弛張手段の伸びによって装置本体は多少移動することはあっても、その移動量は弛張手段によって規制されるため、該装置本体が大きく移動して通路や避難路を塞ぐ等の不具合は発生しない。
【0007】
【特許文献1】特開平9−280288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された外力吸収手段における固定手段は、床面上にボルトで締結された部材であるため、ボルトをねじ込むための穴を床面に加工しなければならないので、画像形成装置等の設置作業が容易ではない。また、このような床面への加工作業が必要であることは、装置の位置を変更するたびに、このような床面への加工作業が必要であることを意味する。
【0009】
一方、床面、壁面又は天井面等への加工作業が不要で汎用的に用いられる転倒防止部材(例えば家具用の転倒防止部材)が市販されている。このような転倒防止部材は、丸棒端面に床面、壁面又は天井面を当接させ、他端を家具等に当接させて、丸棒内部に設けられたばね等の弾性部材で突っ張らせることにより家具等の転倒を防止できるものである。この丸棒端面に当接される面(床面、壁面又は天井面並びに家具表面)は平面であることが求められる。このような転倒防止部材を画像形成装置に適用することも考えられる。しかしながら、画像形成装置は、複雑な外観形状を備え開閉扉以外に平面が少なく、かつ、表面が(滑りやすい)プラスチック製の筺体で形成されている。このため、このような転倒防止部材を画像形成装置に適用することは困難である。
【0010】
これに対して、画像形成装置自体にこのような転倒防止部材を設ける(転倒防止部材の一端を画像形成装置に固設する)ことも考えられる。しかしながら、画像形成装置にこのような転倒防止部材を設けると装置の運搬時に邪魔になるという問題がある。さらに、このような運搬時に邪魔になることを回避するために転倒防止部材を装置の内部に格納できるように取り付けることは、装置の製造コストが上昇するという問題がある。
【0011】
そこで本発明は、画像形成装置等の装置であって、床面等に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安価に、安定的に設置することができる、装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため本発明は以下に示す装置を提供する。
室内に設置される装置であって、受けた衝撃による移動を抑制する移動抑制部材が装備された装置であって、
前記移動抑制部材は、
前記装置の周囲の前記室内の床面、壁面、天井面及びこれらの面が交錯する角の少なくともいずれかに当接する当接部と、
前記当接部を前記面及び前記角のいずれかの方向に押圧する押圧機構と、
前記当接部及び前記押圧機構を前記装置に取り付ける取付部とを含み、
前記取付部は、水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動自在に、前記装置に取り付けられた装置。
【0013】
この装置(例えば画像形成装置)が備える移動抑制部材によると、移動抑制機能が不要な梱包時や運搬時には、水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動させて、画像形成装置から移動抑制部材が突出しないようにできるので、梱包や運搬の邪魔になりにくい。画像形成装置の設置後は、移動抑制部材を水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動させて、移動抑制部材の当接部を壁面等に当接させ、押圧機構により当接部を壁面等に押し付ける。これにより、床面及び壁面に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安定的に、画像形成装置を設置することができる。
【0014】
なお、前記取付部は、水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動自在、かつ、前記移動抑制部材を前記装置に対して接近離隔する方向にスライドするように、前記装置に取り付けられたように構成できる。
【0015】
この装置(例えば画像形成装置)が備える移動抑制部材によると、移動抑制機能が不要な梱包時や運搬時には、スライドさせたり回動させたりして、画像形成装置から移動抑制部材が突出しないようにできるので、梱包時及び運搬時に邪魔になりにくい。画像形成装置の設置後は、移動抑制部材をスライドさせて伸ばしたり回動させたりして、移動抑制部材の当接部を壁面等に当接させ、押圧機構により当接部を壁面等に押し付ける。これにより、床面及び壁面に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安定的に、画像形成装置を設置することができる。
【0016】
また、前記移動抑制部材は、前記当接部と前記面及び前記角のいずれかとの間の長さを調整する調整機構をさらに含むように構成できる。
【0017】
移動抑制部材の当接部と面及び角のいずれかとの間の長さを調整できるので、設置位置の自由度が高くなる。
【0018】
また、前記押圧機構は、ばね部材により発現する弾性力により、前記当接部を前記面及び前記角のいずれかの方向に押圧するように構成できる。
【0019】
一般的に安価なばね部材を用いて(量販されている転倒防止部材のばね部材を転用して用いて)、当接部を面及び角のいずれかの方向に押圧することができ、画像形成装置の不用意な移動を安価に抑制することができる。
【0020】
なお、前記装置は、電子写真方式の画像形成装置とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によると、画像形成装置等の装置であって、床面等に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安価に、安定的に設置することができる、装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。以下の説明では、本実施の形態に係る移動抑制部材を備える装置は、その一例として画像形成装置であるとする。
【0023】
<第1の実施の形態>
[画像形成装置の全体構造]
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
図1は、画像形成装置Aの正面図であって、図2はその画像形成装置Aの側面図である。図1及び図2に示す画像形成装置Aは、画像読取装置Sを備えた複写機であるが、ファクシミリ機の機能及びコンピュータ等から供給される画像情報に応じてプリントするプリンタ機能も併せ持つ複合機とも言えるものである。以下においては、記録媒体は記録紙として説明する。
【0024】
図1及び図2の画像形成装置Aは、画像形成を行なう画像形成部B及びその下の記録紙収容カセットC1〜C4を有する記録紙カセット部CSを含んでいる。画像読取装置Sは画像形成を行なう画像形成部Bの上方に位置している。画像読取装置Sには原稿自動搬送装置ADF及び操作パネルPAが搭載されている。
【0025】
原稿自動搬送装置ADFは開閉可能で、画像読取装置Sの原稿載置台であるガラス板g1上に配置される原稿を覆うカバーを兼ねている。操作パネルPAには、複写画像形成やファクシミリ送信等の指示を行なうスタートキー、画像形成枚数等を設定するテンキー等のキー群Ke等のほか、液晶表示部Dも搭載されている。液晶表示部Dは、ユーザによるキー操作を反映表示したり、ユーザへの指示メニューを表示したり、画像形成を行なう画像形成部B等からの情報を表示したりすること等に用いられる。
【0026】
画像読取装置Sは、原稿台ガラスg1上に静止配置される原稿の画像を光学的に読み取ることができるほか、原稿自動搬送装置ADFにてその原稿載置トレイa1から搬送され、原稿排出トレイa2へ排出され、その途中で画像読取装置Sの原稿流し撮り用ガラス板g2に沿って移動する原稿の画像を光学的に読み取ることもできる。
【0027】
画像読取装置Sで読み取られた画像のデータは画像形成を行なう画像形成部Bへ送られ、そこでの画像形成に供されるか、或いはファクシミリ送信に供される。図示省略のコンピュータ等から送信されてくる画像データは、画像形成部Bへ送られ、そこでの画像形成に供される.
【0028】
画像形成部Bは、電子写真方式により記録紙上にトナー画像を形成するものである。本実施の形態に係る画像形成装置Aにおける画像形成部Bは、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kを中間転写ベルト4に沿って配列し、各画像形成部により形成されるトナー像を中間転写ベルト4に1次転写し、中間転写ベルト4上に重ねて1次転写された多重トナー像をいずれかのカセットから供給される記録紙Pに2次転写し、定着装置7で定着させてカラー画像を得ることができる、所謂タンデム型のフルカラータイプである。トナー画像が定着された記録紙Pは排出トレイTに排出される。
【0029】
画像形成部Bは、モノクロ画像を形成することもできるし、いずれか2つ又は3つの画像形成部を用いて画像形成することもできる。なお、画像形成装置Aは、4サイクル型カラータイプであっても、そもそもモノクロタイプであっても構わない。
【0030】
画像形成部Bには、上述の通り、中間転写ベルト4を有しており、この中間転写ベルト4は、駆動ローラ31とこれに対向するローラ32に巻き掛けられ、駆動ローラ31がベルト駆動部により駆動されることで図中反時計方向(図中矢印方向)に回転することができる。
【0031】
ローラ32上の中間転写ベルト4に当接して、中間転写ベルト4上の2次転写残トナー等を清掃するクリーナが臨んでいる。駆動ローラ31上の中間転写ベルト4に当接して、2次転写ローラ5が臨んでいる。
【0032】
2次転写ローラ5は、中間転写ベルト4との間にニップ部を形成し、中間転写ベルト4の回転に従動して、或いは、このニップ部に送り込まれる記録紙Pの移動に従動して回転する。2次転写ローラ5には、2次転写バイアス電源から2次転写バイアスを印加することができる。
【0033】
2次転写ローラ5の下方には、タイミングローラ6が配置されており、さらにその下方に、既述の記録紙収容カセット群がある。2次転写ローラ5の上方には既述の定着装置7が配置されている。
【0034】
中間転写ベルト4を巻き掛けた駆動ローラ31及びローラ32の間には、中間転写ベルト4に沿って、ローラ32から駆動ローラ31に向けて、既述のイエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C及びブラック画像形成部Kが、この順序で配置されている。
【0035】
Y、M、C、Kの各画像形成部は、ドラム型の感光体11を備えており、この感光体11の周囲に、帯電器、画像露光装置、現像器、1次転写ローラ2、感光体11上の1次転写残トナー等を除去清掃するクリーニング装置等がこの順序で配置されている。
【0036】
各画像形成部においては、感光体11、帯電器、現像器及びクリーニング装置を含むプロセスカートリッジが形成されている。すなわち、イエロー画像形成部Yを形成するためのイエロープロセスカートリッジYC、マゼンタ画像形成部Mを形成するためのマゼンタプロセスカートリッジMC、シアン画像形成部Cを形成するためのシアンプロセス、カートリッジCC、ブラック画像形成部Kを形成するためのブラックプロセスカートリッジKCである。各プロセスカートリッジは複写機本体(画像形成部Bの本体)に対し着脱可能である。
【0037】
1次転写ローラ2は、中間転写ベルト4を間にして感光体11に対向しており、中間転写ベルト4の走行に従動回転する。1次転写ローラ2には、感光体11上に形成されるトナー像を中間転写ベルト4へ1次転写するための1次転写バイアスを1次転写バイアス電源から印加できる。
【0038】
露光装置は、画像読取装置Sや図示省略のパーソナルコンピュータ等から提供される画像情報に応じて、レーザービームを用いて感光体11に画像露光を施す。各画像形成部における感光体11は、ここでは負帯電性の有機感光体であり、図示省略の感光体駆動モータにて回転駆動される。各画像形成部における帯電器には、図示省略の帯電電源から所定のタイミングで帯電電圧を印加できる。
【0039】
各画像形成部における現像器は、本実施の形態においては、負帯電性トナーを採用するもので、感光体11上に形成される静電潜像を、図示省略の現像バイアス電源から現像バイアス電圧が印加される現像ローラで反転現像することができる。
【0040】
画像形成部Bでは、上述の通り、Y、M、C、Kの画像形成部のうち1又は2以上を用いて画像を形成することができる。
【0041】
画像形成部Y、M、C及びKのすべてを用いてフルカラー画像を形成する場合を例にとると、先ず、イエロー画像形成部Yにおいてイエロートナー像を形成し、これを中間転写ベルト4に1次転写する。すなわち、イエロー画像形成部Yにおいて、感光体11が所定方向に回転駆動され、帯電器にて表面が一様に所定電位に帯電せしめられた感光体11の帯電域に画像露光装置からイエロー画像用の画像露光が施され、感光体11上にイエロー用静電潜像が形成される。この静電潜像はイエロートナーを有する現像器の現像バイアスが印加された現像ローラにて現像されて可視イエロートナー像となり、この可視イエロートナー像が1次転写ローラ2にて中間転写ベルト4上に1次転写される。このとき、1次転写ローラ2には図示省略の電源装置から1次転写バイアス電圧が印加される。
【0042】
同様にして、マゼンタ画像形成部Mにおいて可視マゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト4に転写され、シアン画像形成部Cにおいて可視シアントナー像が形成されて中間転写ベルト4に転写され、ブラック画像形成部Kにおいて可視ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト4に転写される。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの可視トナー像は、これらが中間転写ベルト4上に重ねて転写されるタイミングで形成される。中間転写ベルト4上に形成された多重トナー像は、中間転写ベルト4の回動により2次転写ローラ5へ向け移動する。
【0043】
一方、記録紙Pがいずれかの記録紙収容カセットから図示省略の記録紙供給ローラにて引き出され、タイミングローラ6へ供給され、待機している。タイミングローラ6のところで待機する記録紙Pは、中間転写ベルト4にて送られてくる多重トナー像に合わせて中間転写ベルト4と2次転写ローラ5とのニップ部へ供給されるようにタイミングローラ6が記録紙Pを搬送開始することにより、このニップ部へ送り込まれ、図示省略の電源から2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ5にて多重トナー像が記録紙P上に2次転写される。
【0044】
その後、記録紙Pは定着装置7に通され、そこで多重トナー像が加熱加圧下に記録紙Pに定着され、トレイTへ排出される。中間転写ベルト4上に残留する2次転写残トナー等は、クリーナにより除去清掃され、各画像形成部において感光体11上に残留する1次転写残トナー等はクリーニング装置の感光体11に接触するクリーニングブレードにより除去清掃される。以上のようにして画像形成される。
【0045】
このような構造及び動作を行なう画像形成装置Aの重量は、100kg〜400kg程度と重いものである。このため、画像形成装置Aには、その移動のために、キャスターCAを備える。キャスターCAは、画像形成装置Aの底面に4つ設けられている。画像形成装置Aの底面部は略四角形となっており、キャスターCAは、底面の4つある角近辺にそれぞれ1つずつ取り付けられている。このキャスターCAは、車輪と、その車輪を受ける軸受けと、軸受けの支持部材と、車輪が床面で360度回転自在(前方、後方、右側方及び左側方)に動けるように、支持部材を保持する回転部とから構成される。さらに、キャスターCAには車輪が回転しないように固定するレバーがあり、設置場所へ画像形成装置Aを移動する場合には、そのレバーを車輪の固定が解除される位置へ移動させる。設置場所への画像形成装置Aの移動が完了した場合には、そのレバーを車輪が固定される位置へ移動させる。このようにすることにより、画像形成装置Aが不用意に床面を移動することを抑制できる。本実施の形態に係る画像形成装置Aは、不用意な移動をさらに抑制する移動抑制部材を備えることを特徴とする。
【0046】
[移動抑制部材の取付構造]
上述した画像形成装置Aには、以下に説明する移動抑制部材を備える。図3は、本実施の形態に係る画像形成装置Aをコーナー(床面、壁面、天井面が交錯する角)に設置したときの上面図であって、図4は、その状態を示す斜視図である。
【0047】
図3及び図4に示すように、この画像形成装置Aは、その詳細な構造は後述する移動抑制部材100を備える。これらの図に示すように、この画像形成装置Aは、4個の移動抑制部材100を備える。なお、画像形成装置Aが備える移動抑制部材100の数は4個に限定されるものではない。なお、図4に示す背面側の移動抑制部材100は、縦スライドユニット140に取り付けられ、高さ方向の調整ができる。
【0048】
この画像形成装置Aにおいては、画像形成装置Aの右側面に2個、背面に2個の移動抑制部材100が備えられている(図4では画像形成装置A自体の影により背面に設けられた2個の移動抑制部材100は見えない)。移動抑制部材100は、床面に平行な方向への進退が可能かつ棒状の先端部が垂直面上で回動可能なように形成されている。移動抑制部材100が床面に平行な方向への進退(以下、この方向の移動をスライドと記載する場合がある)が可能であることにより、移動抑制部材100自体を画像形成装置Aから引き出すように用いることができる(すなわち不要な時には引っ込めておいて邪魔にならないようにすることができる)。また、移動抑制部材100の棒状の先端部が垂直面上で回動可能であることにより、移動抑制部材100自体を画像形成装置Aの筺体に沿うように回動させるように用いることができる(すなわち不要な時には画像形成装置Aの筺体に沿わせて邪魔にならないようにすることができる)。
【0049】
さらに、上述した画像形成装置Aには、上述した移動抑制部材を他の部分に方向を変更して備えることもできる。図5は、本実施の形態に係る画像形成装置Aを別のコーナー壁面に設置したときの上面図であって、図6は、その状態を示す斜視図である。
【0050】
図5及び図6に示すように、この画像形成装置Aは、上述した移動抑制部材100を90度回転させて画像形成装置Aに取り付けた移動抑制部材150を備えても構わない。これらの図に示すように、この画像形成装置Aは、2個の移動抑制部材150を備えるものとする。なお、画像形成装置Aが備える移動抑制部材150の数は2個に限定されるものではない。
【0051】
この画像形成装置Aにおいては、画像形成装置Aの右側面の背面側に2個の移動抑制部材150が備えられている。移動抑制部材150は、移動抑制部材100を90度回転させたものであるので(これに限定されるものではない)、床面に平行な方向への進退が可能かつ棒状の先端部が水平面上で回動可能なように形成されている。移動抑制部材150が床面に平行な方向への進退が可能であることにより、移動抑制部材150自体を画像形成装置Aから引き出すように用いることができる(すなわち不要な時には引っ込めておいて邪魔にならないようにすることができる)。また、移動抑制部材150の棒状の先端部が水平面上で回動可能であることにより、移動抑制部材150自体を画像形成装置Aの筺体に沿うように回動させるように用いることができる(すなわち不要な時には画像形成装置Aの筺体に沿わせて邪魔にならないようにすることができる)。
【0052】
なお、図5及び図6に示す移動抑制部材150に図4に示した縦スライドユニット140を組み合わせることも可能である。さらに、画像形成装置Aが移動抑制部材100及び移動抑制部材150の双方を備えることもできる。
【0053】
[移動抑制部材の構造]
上述したように画像形成装置Aには、移動抑制部材100又は/及び移動抑制部材150を備える。以下、この移動抑制部材の詳細な構造について説明する。図7に移動抑制部材100の斜視図を、図8に移動抑制部材150の斜視図を示す。上述したように、移動抑制部材150は、移動抑制部材100を90度回転させたものであるので、構成部品は同じであるため同じ参照符号を付してある。
【0054】
図7に示すように、この移動抑制部材100は、その一部が中空である丸棒形状の先端部101と、先端部101とねじにより螺合された丸棒形状の中間伸縮部102と、中間伸縮部102の少なくとも一部をその中空部に収納可能に形成された基体部103と、基体部103を床面に平行な方向への進退が可能に保持するとともに垂直面上で回動可能なように保持する保持部104とから構成される。
【0055】
また、図8に示すように、移動抑制部材150も移動抑制部材100と同じ構成であって、上述したように移動抑制部材100を90度回転させて画像形成装置Aに取り付けたものである。なお、このように画像形成装置Aに取り付けた移動抑制部材150は、保持部104により基体部103が床面に平行な方向への進退が可能に保持するとともに水平面上で回動可能なように保持されることになる。上述したように、移動抑制部材100と移動抑制部材150とは構成部品が同じで画像形成装置Aへの取り付け方向が異なるのみであるので、以下の移動抑制機構の内部構造の説明においては、移動抑制部材150を移動抑制部材100として説明する。なお、移動抑制部材150は、床面に平行な方向への進退が可能かつ棒状の先端部101が水平面上で回動可能なように形成されていれば移動抑制部材100と異なる構成であっても構わない。
【0056】
[移動抑制部材の内部構造]
上述した移動抑制部材100(移動抑制部材150)の内部構造について、図9を参照して説明する。図9は、図7の矢示9−9断面を示す図である。
【0057】
移動抑制部材100を構成する先端部101は、その一部が中空である丸棒形状であって、一端に閉じた先端当接部101Aを備え、他端に開放された開口部101Bを備える。開口部101Bの内部壁面には、後述する中間伸縮部102の先端ねじ部102Cと螺合するねじ部101Cを備える。中間伸縮部102は自転できないように基体部103に取り付けられているため先端部101の先端当接部101Aを回転(自転)させることにより移動抑制部材100の全長を変化させることができる。
【0058】
中間伸縮部102は、丸棒形状であって、一端に先端部101のねじ部101Cとねじにより螺合される先端ねじ部102Cを備え、他端に基体部103に少なくともその一部が収納される収納部102Bを備える。中間伸縮部102において、先端ねじ部102Cでも収納部102Bでもない丸棒部分は中間本体部102Aである。
【0059】
基体部103は、その一部が中空である略四角柱形状であって、一端に中間伸縮部102の収納部102Bを収納する中空部103Eを備え、他端近傍の側面には保持部104を、球体110を介して保持する保持穴103Bを備える。
【0060】
この中空部103Eは、中間伸縮部102が自転不可能かつ抜け落ち不可能であって、かつ、中間伸縮部102が基体部103に対して摺動可能に保持する。この中空部103Eには、収納部102Bの端面をその弾性力で押圧するばね部材103Fが収納されている。なお、中間伸縮部102を自転不可能かつ抜け落ち不可能に保持する機構(例えば中空部103Eにキー溝を設け中間本体部102Aにキーを設けた機構)については図示していない。
【0061】
この保持穴103Bは、球体110の形状に合致する形状を備える。この保持穴103Bは、基体部103の本体103Aの両側面に設けられた球体110を摺動させる溝部103Cに連結され、その溝部103Cの中間伸縮部102側の端部には保持部104が球体110を介して保持される保持穴103Dが連結されている。この保持穴103Dは保持穴103Bと同じ構成である。
【0062】
保持部104は、基体部103を挟むように構成された一対の、一部が中空の略四角柱形状を備える。この保持部104の端部には中空部104Bが設けられ、この中空部104Bには球体110をその弾性力で押圧する押圧ばね部材104Cが収納されている。保持部104において、中空部104B以外の部分は、保持本体部104Aである。保持本体部104Aは画像形成装置Aに取り付けられたり、縦スライドユニット140に取り付けられたりする。なお、画像形成装置Aの筺体には、基体部103がスライドする長さに対応する凹部を備えるものとする。
【0063】
このように構成された移動抑制部材100は、押圧ばね部材104Cに抗して球体110が設けられ、球体110は溝部103Cを摺動するとともに保持穴103B及び保持穴103Dに保持される。球体110は溝部103Cを摺動するため、基体部103、中間伸縮部102及び先端部101がスライド可能に構成される。さらに、保持穴103B及び保持穴103Dで球体110が保持されるため、この位置において、基体部103、中間伸縮部102及び先端部101が垂直面上で回動可能になる。
【0064】
ばね部材103Fに抗して中間伸縮部102が摺動自在に設けられているので、保持部104を移動抑制部材100の長手方向に移動しないように固定して(画像形成装置Aの筺体に保持部104を固定したり、画像形成装置Aの筺体に固定された縦スライドユニット140に保持部104を固定したりして)、先端当接部101Aの端面を壁面に当接させると、画像形成装置Aと壁面との間に設けられたこの移動抑制部材100がばね部材103Fにより突っ張られた状態にされる。このとき、先端部101と中間伸縮部102とは螺合されているので、ねじを回して移動抑制部材100の全長を調整することができる。
【0065】
なお、市販の家具用の転倒防止部材を、本実施の形態に係る移動抑制部材100及び移動抑制部材100の一部(基体部103の一部、先端部101及び中間伸縮部102)に適用すると、コストが低下する点で有利である。
【0066】
[移動抑制部材の使用方法]
次に、上述した構造を備えた移動抑制部材100を備えた画像形成装置Aの設置時における移動抑制部材100の使用方法について説明する。なお、以下の説明においては、画像形成装置Aは、図4に示す2個の移動抑制部材100と、図6に示す2個の移動抑制部材150とを備えているとする。
【0067】
梱包時及び運搬時には、移動抑制部材100及び移動抑制部材150は、画像形成装置Aの筺体に沿わせるように収納されていたり(移動抑制部材100においては垂直面上で下方に回動されて筺体に沿わされて、移動抑制部材150においては水平面上で側方に回動されて筺体に沿わされている)、床面に平行な方向へスライドされていたりして(保持穴103Dで球体110を保持されている)、画像形成装置Aから極端に飛び出ないように収納されている。なお、運搬時にこの移動抑制部材100又は移動抑制部材150の回動をロックしたりスライドをロックしたりして、移動抑制部材100又は移動抑制部材150を取手として用いることも可能である。
【0068】
画像形成装置Aの予め定められた設置場所までの移動が終わると、移動抑制部材100及び移動抑制部材150を用いて、画像形成装置Aが不用意に移動しないように設置する。なお、壁面と画像形成装置Aとの距離は、移動抑制部材100及び移動抑制部材150の全長(球体110が保持穴103Bに保持させて、先端部101を回して螺合している状態で最も伸ばしたときの長さ)よりも短いとする。
【0069】
まず、移動抑制部材100及び移動抑制部材150を床面に平行な方向へスライドさせる。具体的には、先端部101及び中間伸縮部102を引っ張る。このとき、押圧ばね部材104Cに抗して、保持穴103Dで保持されている球体110が保持穴103Dの円周部に沿って摺動して保持穴103Dから引き抜かれて、溝部103Cを摺動する。球体110が保持穴103Bの位置まで移動すると(先端部101及び中間伸縮部102が進行限まで引っ張られると、球体110が保持穴103Bに保持される。
【0070】
図4に示す背面側に設けられた移動抑制部材100においては、縦スライドユニット140を用いて、高さ方向を調整する(移動抑制部材150が縦スライドユニット140に取り付けられている場合は同様に移動抑制部材150も縦スライドユニット140を用いて、高さ方向を調整する)。なお、高さ調整は、先端部101の先端当接部101Aが当接する壁面の状態に応じて行なう。
【0071】
移動抑制部材100においては、球体110が保持穴103Bに保持されている状態であって、移動抑制部材100が水平位置まで回動させない状態(斜め状態)であるようにして、先端部101を回して、先端当接部101Aが当接する壁面と画像形成装置Aとの距離よりも、移動抑制部材100の全長が少し長くなるように、移動抑制部材100の全長を調整する。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持して、ばね部材103Fの弾性力に抗して収納部102Bを中空部103Eの方向へ押し縮めて、移動抑制部材100を水平位置まで回動させる。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持していることをやめると、先端当接部101Aの端面が壁面に当接されて、画像形成装置Aと壁面との間に設けられたこの移動抑制部材100がばね部材103Fにより突っ張られた状態にされる。なお、この状態において、先端部101を回して、移動抑制部材150の突っ張り状態を調整することもできる。
【0072】
移動抑制部材150においては、球体110が保持穴103Bに保持させている状態であって、移動抑制部材150が壁面当接位置(図5ではコーナー)に対向する水平位置まで回動させない状態(移動抑制部材150と壁面当接位置とが最短距離になる斜め状態ではない状態)であるようにして、先端部101を回して、先端当接部101Aが当接する壁面と画像形成装置Aとの距離よりも、移動抑制部材150の全長が少し長くなるように、移動抑制部材150の全長を調整する。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持して、ばね部材103Fの弾性力に抗して収納部102Bを中空部103Eの方向へ押し縮めて、移動抑制部材150を壁面当接位置(図5ではコーナー)に対向する水平位置(移動抑制部材150と壁面当接位置とが最短距離になる斜め状態)まで回動させる。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持していることをやめると、先端当接部101Aの端面が壁面に当接されて、画像形成装置Aと壁面との間に設けられたこの移動抑制部材150がばね部材103Fにより突っ張られた状態にされる。なお、上述と同じように、この状態において、先端部101を回して、移動抑制部材150の突っ張り状態を調整することもできる。
【0073】
以上のようにして、本実施の形態に係る移動抑制部材を備えた画像形成装置によると、移動抑制機能が不要な梱包時や運搬時には、移動抑制部材をスライドさせたり回動させたりして、できるだけ画像形成装置から突出しないようにできるので、梱包時及び運搬時に邪魔にならない。画像形成装置の設置後は、移動抑制部材をスライドさせて伸ばしたり回動させたりして、移動抑制部材の自由端を壁面に当接させる。これにより、床面及び壁面に加工作業が不要で、梱包時及び運搬時に邪魔にならないで、安価に、安定的に、画像形成装置を設置することができる。なお、運搬時に移動抑制部材を取手として用いると、画像形成装置を安定して運搬することができる。
【0074】
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について、図を参照して説明する。なお、対象となる画像形成装置Aは同じである。本実施の形態における画像形成装置Aは、上述の第1の実施の形態に係る移動抑制部材100及び移動抑制部材150と異なる取付構造を備えた移動抑制部材200を備える。それ以外の構造は上述の第1の実施の形態と同じであるので、それらについては同じ参照符号を付して、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0075】
図10に、図9に対応する、移動抑制部材200の内部構造を示す。図10に示すように、この移動抑制部材200は、先端部101と同じ構造を備えた先端部201と、中間伸縮部102と同じ構造を備えた先端部202と、基体部103と異なる構造を備えた基体部203と、基体部203を回転自在に支持する球体保持部210及び球体保持部210に連結されて球体保持部210を画像形成装置Aの筺体に支持する支持部211とを備える。
【0076】
基体部103は、その一部が中空である略円柱形状又は略角柱形状であって、一端に中間伸縮部202の収納部102Bを収納する中空部203Eを備え、他端近傍の側面には球体保持部210を保持する保持穴203Bを備える。さらに、基体部203は、中空部103Eに相当し同じ構成を備えた中空部203E、及び、ばね部材203Fに相当し同じ構成を備えたばね部材103Fを備える。なお、基体部203の本体203Aは、基体部103が備えた保持穴103B、溝部103C及び保持穴103Dを備えない。
【0077】
図11に示すように、球体保持部210は剛体で形成された球形状に、略四角柱形状(略円柱形状であっても構わない)の支持部211が接合されている。この球体保持部210が保持穴203Bに摺動自在に保持されている。このため、基体部203、中間伸縮部202及び先端部201が水平面上及び垂直面上で回動可能(上下左右に回動可能)になる。
【0078】
このような構造を備えた移動抑制部材200においては、球体保持部210が保持穴203Bに保持されている状態であって、球体保持部210に連結された支持部211が画像形成装置Aの筺体に固設されている。移動抑制部材200が壁面当接位置(図5のようなコーナー)に最短距離で対向する位置ではない位置で、先端部201を回して、先端当接部101Aが当接する壁面と画像形成装置Aとの距離よりも、移動抑制部材200の全長が少し長くなるように、移動抑制部材200の全長を調整する。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持して、ばね部材103Fの弾性力に抗して収納部102Bを中空部203Eの方向へ押し縮めて、移動抑制部材200を壁面当接位置(図5ではコーナー)に対向する位置(移動抑制部材200と壁面当接位置とが最短距離になる状態)まで回動させる。そして、作業者が手で中間本体部102Aを把持していることをやめると、先端当接部101Aの端面が壁面に当接されて、画像形成装置Aと壁面との間に設けられたこの移動抑制部材200がばね部材203Fにより突っ張られた状態にされる。なお、上述の第1の実施の形態と同じように、この状態において、先端部101を回して、移動抑制部材200の突っ張り状態を調整することもできる。
【0079】
以上のようにして、本実施の形態に係る移動抑制部材を備えた画像形成装置によると、移動抑制機能が不要な梱包時や運搬時には、移動抑制部材を回動させて、できるだけ画像形成装置から突出しないようにできるので、梱包や運搬の邪魔にならない。画像形成装置の設置後は、移動抑制部材を回動させて、移動抑制部材の自由端を壁面に当接させる。これにより、床面及び壁面に加工作業が不要で、運搬時に邪魔にならないで、安価に、安定的に、画像形成装置を設置することができる。
【0080】
<第2の実施の形態の変形例>
なお、運搬時に移動抑制部材200を取手として用いる場合、以下のような変形例に係る移動抑制部材にすると、画像形成装置を安定して運搬することができる。
【0081】
この変形例に係る移動抑制部材は、移動抑制部材200が球体保持部210で保持されていたのに対して、図11に示すように略円柱状の円筒保持部220で保持される。このため、水平面上又は垂直面上で回動可能(上下に回動可能又は左右に回動可能)になる。上下方向に回動しない向きに移動抑制部材を画像形成装置Aに取り付けると、上下方向の回動を規制できるので、取手として好ましい使用形態を実現できる。
【0082】
なお、上述した第2の実施の形態に係る移動抑制部材又は第2の実施の形態の変形例に係る移動抑制部材に、上述した縦スライドユニット140を組み合わせることもできる。
【0083】
<その他の実施の形態>
以下に、本発明のその他の実施の形態に係る画像形成装置について、説明する。
(1)上述した実施の形態においては、移動抑制部材を画像形成装置にスライド可能かつ回動自在に取り付けていたが、基体部の端部に嵌合する凹部を画像形成装置に設けて、取り外し自在に構成しても構わない。このとき、画像形成装置に高さが異なる複数の凹部を設けると、高さ方向の位置を調整できる。さらに、第2の実施の形態に係る支持部211と保持穴203Bとの間で切り離し可能なように形成して、移動抑制部材200を画像形成装置から取り外し自在に構成しても構わない。
(2)移動抑制部材を取手としても使用できるように構成する場合に、移動抑制部材が備えるスライド機能(球体110を溝部103Cに摺動させることにより発現する機能)を取手の高さ位置調整に用いても構わない。
(3)移動抑制部材が上下方向に画像形成装置を貫通していても構わない。この場合、移動抑制部材は、上述した移動抑制部材100の先端部101、中間伸縮部102及び基体部103から構成される部材を基体部103の本体103Aの端部(中間伸縮部102の逆側端部)を互いに当接させて一体化したものである。一方の先端部101の先端当接部101Aの端面が床面に当接し、かつ、他方の先端部101の先端当接部101Aの端面が天井面に当接して、画像形成装置を貫通した移動抑制部材により、床面と天井面との間を突っ張るものである。
【0084】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上述した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構造の概要を示す正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置をコーナーに設置した場合の上面図(その1)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図(その1)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置をコーナーに設置した場合の上面図(その2)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す斜視図(その2)である。
【図7】図3又は図4に示す移動抑制部材を示す斜視図である。
【図8】図5又は図6に示す移動抑制部材を示す斜視図である。
【図9】図7又は図8に示す移動抑制部材の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置に備えられる移動抑制部材の断面図である。
【図11】図10の保持部の拡大図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態の変形例に係る画像形成装置に備えられる移動抑制部材における保持部の拡大図である。
【符号の説明】
【0086】
A 画像形成装置
B 画像形成部
D 液晶表示部
S 画像読取装置
CA キャスター
CS 記録紙カセット部
PA 操作パネル
2 1次転写ローラ
4 中間転写ベルト
5 2次転写ローラ
6 タイミングローラ
7 定着装置
11 感光体
31 駆動ローラ
32 ローラ
100、150、200 移動抑制部材
101、201 先端部
101A 先端当接部
101B 開口部
101C ねじ部
102、202 中間伸縮部
102A 中間本体部
102B 収納部
102C 先端ねじ部
103、203 基体部
103A、203A 本体
103B、103D、203B 保持穴
103C 溝部
103E、203E 中空部
103F、203F ばね部材
104 保持部
104A 保持本体部
104B 中空部
104C 押圧ばね部材
110 球体
140 縦スライドユニット
210 球体保持部
211 支持部
220 円筒保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置される装置であって、受けた衝撃による移動を抑制する移動抑制部材が装備された装置であって、
前記移動抑制部材は、
前記装置の周囲の前記室内の床面、壁面、天井面及びこれらの面が交錯する角の少なくともいずれかに当接する当接部と、
前記当接部を前記面及び前記角のいずれかの方向に押圧する押圧機構と、
前記当接部及び前記押圧機構を前記装置に取り付ける取付部とを含み、
前記取付部は、水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動自在に、前記装置に取り付けられたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記取付部は、水平面内及び垂直面内の少なくともいずれかの面内で回動自在、かつ、前記移動抑制部材を前記装置に対して接近離隔する方向にスライドするように、前記装置に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動抑制部材は、前記当接部と前記面及び前記角のいずれかとの間の長さを調整する調整機構をさらに含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記押圧機構は、ばね部材により発現する弾性力により、前記当接部を前記面及び前記角のいずれかの方向に押圧することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、電子写真方式の画像形成装置である請求項1から請求項4のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−66341(P2010−66341A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230485(P2008−230485)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】