説明

移動用深層海水の取水装置

【課題】活甘エビの畜養水槽に取水した海水を常時給水できるようにした移動用深層海水の取水装置を提供することで、漁獲した活甘エビを畜養水槽内で元気な状態で生存させる。
【解決手段】 移動船1に巻上げドラム2、吸水ポンプ3及び甘エビ生存用の畜養水槽5を装設する。巻上げドラム2には、昇降するガイドロープ6を接続し、該ガイドロープ6と一緒に昇降する吸引ホース9の上端は吸水ポンプ3に巻着自在に装着され、ガイドロープ6と吸引ホース9とは、所定間隔を設けて各々相対向する接続具の連結部によって着脱自在に結合されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘エビが生息する範囲の海水を取水し、これを漁船等の移動船に設けた生存用の畜養水槽に貯水し、漁獲した活甘エビを畜養水槽内で元気な状態で生存させる移動用深層海水の取水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の移動船における甘エビの生存方法として、移動船内の畜養水槽には、深層の海水でなく、表層の海水を取水して充填し、この海水を移動船等に搭載した冷却装置或いは、真水氷によって冷却し、この中に漁獲した活甘エビを挿入して畜養生存させることが、普通に実施されている現状である。
然し、この様な生存方法では、深層海水で生息している甘エビでは、長期間の畜養生存は困難である。また、表層の海水には、細菌が多く存在するため、この中で生存させた甘エビを出荷する場合は、出荷梱包1日後でも甘エビの劣化が著しく生ずるので、鮮度を維持できないと云う問題点がある。
また、近年、海洋深層水を取水して、これを畜養水槽に利用して実用化されたものも散見されているが、これ等のものは、注入するための固定式装置のために、自由に回避する甘エビの生息域を代用する取水の海水とは成らない問題点もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来の問題点を解決するものであり、その目的とする所は、エビ駕籠漁により漁獲される甘エビが生息する範囲は、海面下200m以下であるため、この海水範囲内から取水した海水は必然的に深層水となり、細菌数が著しく少なく、養分も豊富で温度も低いものである。従って甘エビの生息環境の海水を常時取水した海水を畜養水槽に注入することによって生存と鮮度を長期間保持するために、下端に重錘を装設したガイドロープに深層海水を汲み上げる吸引ホースとの両者を一体に結合して深層の海水を常時新鮮な状態で漁獲した活甘エビの水槽内に注入して、長時間の元気な生存状態を維持する新しい器具及び装置よりなる移動用深層海水の取水装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
次に、上記目的を達成するために、本発明の移動用深層海水の取水装置によれば、漁船等よりなる移動船には、巻上げドラムと吸水ポンプ及び畜養水槽を装設する。該巻上げドラムには、。垂直に降ろすガイドロープを設ける。該ガイドロープには、下端に各種形状の重錘を連結する。また、該吸水ポンプには、昇降する吸引ホースを連結する。次に、該ガイドロープと共に昇降する深層海水を導く該吸引ホースとは、各々各種形状の金具又は輪紐等を所定間隔を設けて、相対向する接続具を設け、該接続具を着脱自在に固結するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上説明したように構成されているので、従来の如く、海面近くの海水を使用することがない為に、甘エビの生息環境と同様な深海水によって長期間に亘って元気に生存させることができる優れた効果と、各甘エビの鮮度向上が従来のものより著しく貢献できると云う実利的な効果もある。そして、漁船等よりなる移動船に使用する巻上げドラム、吸水ポンプ及び畜養水槽は、漁船上に常時、設備されている用具であるので大変に便利である効果と、巻上げドラムに巻下げ、巻上げのガイドロープを連接し、該ガイドロープの下端に各種の重錘を連結したので、深層海底まで、吸引ホースと共に、垂直に降下できる効果がある。
また、該ガイドロープと、吸引ホースとを並設し、所定間隔を設けて、各種の金具又は輪紐等の相対向する各接続具によって着脱自在に結合したので、該吸引ホースの下端は、ガイドロープと共に確実に深海に達することが出来ると共に、海中における水圧に対しても充分に強度を維持できる効果と、各接続具を所定間隔に結合してあるので、その荷重を充分に分散でき、吸引ホースの破損等を防止できる効果もある。
さらに、所定間隔を設けて相対応して接続する接続具によっては、巻上げドラムの巻下げ及び巻上げに際して、ガイドロープと吸引ホースとの結合、分離が極めて敏速且つ確実に作業が出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
上記のように構成された、移動用深層海水の取水装置によれば、移動船に装設された巻上げドラム、吸水ポンプ、畜養水槽は、重錘と浮き及び目印旗を備えたガイドロープを自在な場所に設置、移動、撤去、保管する作業は常時実施される。そして、甘エビが生息する範囲は海面下200m以下であるため、エビ駕籠漁による漁獲位置に重錘を設けたガイドロープを降下する時に、該ガイドロープの所定間隔位置に設けた各種の接続具に対して、吸水ポンプに連結してある吸引ホースの接続具によって順次結合し、両者を深層の吸引位置まで降下させる。該吸引ホースより吸引された深海水は、常時畜養水槽に注入して使用する。その上昇時には、各接続具を各離脱して各々別個に巻着するものである。
【実施例】
【0007】
実施例について説明すると、本発明は、甘エビが生息する範囲は、海面下200mを超える海中であって、その海水を取水するものであり、図1において、各種の漁船等よりなる移動船(1)には、巻上げドラム(2)と、吸水ポンプ(3)及び甘エビを入れる畜養水槽(5)が装備されている。該巻上げドラム(2)には、ガイドロープ(6)を昇降自在に巻着される。図2、図3に示す如く該ガイドロープ(6)には、適宜の間隔を設けて、吸引ホース(9)とを繋ぐ輪状等よりなる金具または輪紐の接続具(8)(8)を取着してある。また、該ガイドロープ(6)には、下端の海底(15)まで降下させる各種形状の重錘(7)を取着してある。
【0008】
次に、該吸水ポンプ(3)は、図2、図3のように該ガイドロープ(6)と共に昇降自在に巻上げられる吸引ホース(9)が連結されている。該吸引ホース(9)には、所定間隔を設けて接続具(11)(11)を取着してある。該接続具(11)(11)は、該ガイドロープ(6)(6)に取着されている接続具(8)(8)とを接続するための連結部(10)によって自脱自在に連接されている。符号(13)は、該吸引ホース(9)の下端に設けた吸込口を示し、(14)は海面を示し、(15)は海底を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の移動用深層海水の取水装置の一部欠除した全体の側面図である。
【図2】 同じく本発明の要部の一部欠除した側面図である。
【図3】 本発明の図2の拡大した一部欠除した側面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 移動船
2 巻上げドラム
3 吸水ポンプ
5 畜養水槽
6 ガイドロープ
7 重錘
8、11 接続具
9 吸引ホース
10 連結部
13 吸込口
14 海面
15 海底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の漁船等よりなる移動船に巻上げドラム、吸水ポンプ及び甘エビを生存させる畜養水槽に装設した移動用深層海水の取水装置において、該巻上げドラムには、巻着される昇降するガイドロープを有し、該ガイドロープには、下端に各種の重錘を連結し、且つ該吸水ポンプには、昇降する吸引ホースを連結し、該ガイドロープと該吸引ホースとを並設し、所定間隔を設けて、各種の金具又は輪紐等の相対向する接続具によって着脱自在に結合したことを特徴とする移動用深層海水の取水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−89553(P2007−89553A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313434(P2005−313434)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(505251288)有限会社Cell 12 (9)
【Fターム(参考)】