説明

移動監視装置

【課題】比較的簡易な構造で防爆性能に優れた非接触の電力供給装置を有する移動監視装置を提供する。
【解決手段】交流電流が流れる給電線10から電磁誘導により電力を非接触で受電して機器に電力を供給する電力供給装置を有する移動監視装置において、交流電流によって生じる磁束により起電力が誘起されるピックアップコイル20を有する安全増防爆構造のコイル部14と、ピックアップコイル20に接続され、ピックアップコイル20と共振回路を構成するコンデンサ32を有し、コイル部14とは別個独立に設けられた耐圧防爆構造のコンデンサ部16とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動監視装置に係り、特に、電磁誘導により非接触で電力を供給する電力供給装置を有する移動監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスプラントや石油化学プラント等の可燃性ガス・蒸気が発生する虞がある場所で使用される機器には、防爆対策を施すことが必要とされている。また、このような環境においては、資材等を搬送する搬送車、移動監視装置等の移動機器に対する電力供給手段として、非接触の電力供給装置(給電装置)が用いられている(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
従来、移動機器に用いられる非接触の電力供給装置では、移動機器の移動経路に沿って高周波電流が供給される給電線を配置し、この給電線の周波数に共振して電磁誘導により起電力が生じるピックアップコイルを設けて電力を受電する。こうして、ピックアップコイルにより給電線から受電した電力が移動機器に供給される。
【0004】
このような非接触の電力供給装置についても、可燃性ガス等が発生する虞がある場所で使用するためには防爆対策を施す必要がある。
【特許文献1】特開平6−70491号公報
【特許文献2】特開平7−2310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置を防爆構造とする方法としては、耐圧防爆構造の筐体にその装置を収納する方法が知られている。耐圧防爆構造とは、全閉構造の容器内部で可燃ガスの爆発が起こった場合に、容器がその圧力に耐えて、外部の爆発性ガスに引火する虞のない構造のことである。
【0006】
しかしながら、電磁誘導により電力を供給する非接触の電力供給装置では、給電線からの磁束をピックアップコイルにより捕捉して共振を起こさせている。したがって、一般に鉄系の金属材料により構成される耐圧防爆構造の筐体の内部にピックアップコイルを収納することは、原理上ほぼ不可能である。このため、ピックアップコイル部を耐圧防爆構造とすることはできない。
【0007】
また、耐圧防爆構造以外の防爆構造としては、樹脂充填防爆構造が知られている。樹脂充填防爆構造とは、火花の発生又は加熱によって爆発性雰囲気に点火するおそれのある部分を爆発性雰囲気に点火できないような方法でコンパウンドの中に閉じ込めた防爆構造のことである。電力供給装置のピックアップコイル部を防爆構造とする方法として、この樹脂充填防爆構造とすることも考えられる。
【0008】
しかしながら、樹脂充填防爆構造は、日本国内では特殊防爆構造として許容されているが、その認定は個々の機器毎に取得する必要がある。また、防爆認定そのものも煩雑な作業となることがある。
【0009】
他方、特許文献1には、防爆機器の移動経路に沿って変流器の1次巻線となる給電ケーブルを支持するケーブル支持体上を防爆機器とともに走行し得る台車を設け、該台車に変流器を搭載し、該変流器の環状鉄心に前記給電ケーブルをゆるく貫通させ、変流器の2次巻線から得られる電力を防爆機器に給電するように構成された防爆機器用の給電装置が記載されている。この装置において、変流器は機械的衝撃による破損防止のために外面をゴムで覆ったり樹脂でモールドすることが記載されている。しかしながら、変流器の環状鉄芯にキャプタイヤケーブルを緩く貫通させていることから、変流器及びその周辺機器とキャプタイヤケーブルとの接触等による給電線の劣化が懸念される。
【0010】
また、特許文献2には、搬送装置の移動経路に沿って高周波の正弦波電流を流す線路を敷設し、この給電線路からピックアップコイルにより電力の供給を受ける搬送装置が記載されている。この装置においては、給電線路をカバーで覆うことが記載されているにとどまっている。
【0011】
本発明の目的は、比較的簡易な構造で防爆性能に優れた非接触の電力供給装置を有する移動監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、無線信号に基づき防爆エリア内を移動する移動装置と、前記移動装置に搭載され、無線信号に基づき前記防爆エリア内を監視する監視装置と、前記移動装置に搭載され、交流電流が流れる給電線から電磁誘導により電力を非接触で受電して前記移動装置及び前記監視装置に電力を供給する電力供給装置と、を有し、前記電力供給装置は、前記交流電流によって生じる磁束により起電力が誘起されるピックアップコイルを有する安全増防爆構造のコイル部と、前記ピックアップコイルに接続され、前記ピックアップコイルと共振回路を構成するコンデンサを有し、前記コイル部とは別個独立に設けられた耐圧防爆構造のコンデンサ部とを有する、ことを特徴とする移動監視装置により達成される。
【0013】
また、上記の電力供給装置において、前記コイル部は、前記ピックアップコイルを収容する容器と、前記容器内に充填された樹脂とを更に有するようにしてもよい。
【0014】
また、上記の監視装置は防爆マイク、防爆カメラの両方若しくはどちらかを有し、前記防爆カメラは可視カメラまたは赤外線カメラであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線信号に基づき防爆エリア内を移動する移動装置と、前記移動装置に搭載され、無線信号に基づき前記防爆エリア内を監視する監視装置と、前記移動装置に搭載され、交流電流が流れる給電線から電磁誘導により電力を非接触で受電して前記移動装置及び前記監視装置に電力を供給する電力供給装置とを有する移動監視装置において、前記電力供給装置を、交流電流によって生じる磁束により起電力が誘起されるピックアップコイルを有するコイル部を安全増防爆構造とし、ピックアップコイルに接続され、ピックアップコイルと共振回路を構成するコンデンサを有し、コイル部とは別個独立に設けられたコンデンサ部を耐圧防爆構造とするので、比較的簡易な構造で防爆性能に優れた非接触の電力給電装置を有する移動監視装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[一実施形態]
本発明の一実施形態による電力供給装置を有する移動監視装置について図1乃至図3を用いて説明する。図1は本実施形態による移動監視装置における電力供給装置の構成を示す概略図、図2は本実施形態による電力供給装置の原理を説明する概略図、図3は本実施形態による移動監視装置を有する異常監視システムの構成を示す概略図である。
【0017】
(電力供給装置)
まず、本実施形態による電力供給装置について図1及び図2を用いて説明する。
【0018】
図1に示すように、紙面垂直方向に延在する給電線10に対して、給電線10から非接触で電力を受電する受電部12が設けられている。
【0019】
給電線10には、交流電源(図示せず)が接続されており、交流電源により高周波の交流電流が流される。給電線10は、剥き出しにならないように樹脂により被覆されている。なお、給電線10は、例えば、後述するように、電力供給装置により電力が供給される移動監視装置の移動経路に沿って設けられる。
【0020】
受電部12は、ピックアップコイル20を備えたコイル部14と、ピックアップコイル20に接続されたコンデンサ32を備えたコンデンサ部16とを有している。なお、図示しないが、1台のコンデンサ部16に、複数台のコイル部14が接続されている。例えば、1台のコンデンサ部16に、4台のコイル部14が接続されている。
【0021】
コイル部14は、U字形状の磁性体コア18と、磁性体コア18に巻回されたピックアップコイル20と、ピックアップコイル20が巻回された磁性体コア18を収容する樹脂容器22とを有している。
【0022】
ピックアップコイル20は、U字形状の磁性体コア18の2本の腕部18aに巻回されている。ピックアップコイル20は、樹脂により被覆されている。
【0023】
樹脂容器22には、2本の腕部22aが設けられている。2本の腕部22a内には、ピックアップコイル20が巻回された磁性体コア18の2本の腕部18aがそれぞれ位置している。
【0024】
樹脂容器22内には樹脂24が充填され、磁性体コア18及びピックアップコイル20が樹脂24で埋め込まれている。樹脂24としては、シリコン樹脂、ポリウレタン等が用いられている。
【0025】
樹脂容器22の2本の腕部22aの間の溝部26には、樹脂容器22と非接触で溝部26に沿って給電線10が通されている。こうして、コイル部14は、給電線10に対して所定の間隔を空けて配置される。給電線10は、樹脂容器22内のピックアップコイル20により挟まれている。
【0026】
樹脂容器22には、ピックアップコイル20をコンデンサ部16のコンデンサ32に接続するための端子箱28が取り付けられている。端子箱28には、コネクタ又は耐圧パッキン式引き込み器具(いずれも図示せず)が設けられており、防爆性能を保持しつつ、ピックアップコイル20がコンデンサ部16のコンデンサ32にケーブル30を介して接続されている。
【0027】
樹脂24が充填されたコイル部14は、安全増防爆構造となっている。
【0028】
コンデンサ部16は、ピックアップコイル20とともに共振回路を構成するコンデンサ32を含む電気回路34と、電気回路34を収容する耐圧防爆構造の耐圧防爆型容器36とを有している。コンデンサ32は、ケーブル30を介してコイル部14のピックアップコイル20に接続されている。
【0029】
コイル部14とコンデンサ部16とから構成される受電部12には、次のようにして給電線10から電力が供給される。
【0030】
図2に示すように、高周波の交流電流Iが給電線10に流されると、給電線10の周囲に磁束Φが発生する。この磁束Φは、ピックアップコイル20により捕捉され、電磁誘導によりピックアップコイル20に起電力が誘起される。ピックアップコイル20とコンデンサ32とにより構成される共振回路は、給電線10に流れる交流電流Iの周波数と共振状態になるように、ピックアップコイル20のインダクタンスと、コンデンサ32のキャパシタンスとが設定されている。これにより、共振回路は、ピックアップコイル20に誘起された起電力を受けて高周波交流の電源として機能する。
【0031】
なお、コイル部14とコンデンサ部16とは、互いに別個独立に設けられ、ケーブル30を介して接続されている。このため、コンデンサ16のキャパシタンスは、ピックアップコイル20とコンデンサ32とを接続するケーブル30により生じるキャパシタンスを考慮して設定されている。
【0032】
コンデンサ部16の電気回路34には整流器(図示せず)等が含まれており、共振回路の出力である交流電力は最終的に所定の交流電流や直流電力に変換されて出力される。
【0033】
こうして、受電部12は、給電線10から非接触で電力を受電して電源として機能し、後述するように移動監視装置等の機器に電力を供給する。
【0034】
本実施形態による電力供給装置は、ピックアップコイル20を備えたコイル部14と、コンデンサ32を備えたコンデンサ部16とが互いに別個独立に設けられ、コイル部14が安全増防爆構造となっており、コンデンサ部16が耐圧防爆構造となっていることに主たる特徴がある。
【0035】
コイル部14とコンデンサ部16とが互いに別個独立に設けられているため、コイル部14には、スパークの発生源となり得るコンデンサが含まれていない。
【0036】
また、コイル部14は、磁性体コア18、ピックアップコイル20等の動作時に殆ど温度上昇のない部材で構成されている。このため、コイル部14が点火源や着火源となることはない。
【0037】
さらに、コイル部14は、安全増防爆構造となっており、機械的強度を有するように構成されている。このため、コイル部14が、剥き出しとなった給電線10、その他の金属部材に接触することがあったとしても、スパークが発生することもない。
【0038】
また、本実施形態による電力供給装置は、1台の移動装置に複数台のコイル部14が接続されていることにも主たる特徴がある。
【0039】
1台の移動装置に接続されるコイル部14を複数台にすることにより、1台のコイル部14当たりの負荷を低減することができる。したがって、コイル部14の温度上昇を確実に抑制することができる。
【0040】
他方、コイル部14とは別個独立に設けられたコンデンサ部16は、コンデンサ32を含む電気回路34を耐圧防爆型容器36に収容した耐圧防爆構造となっている。
【0041】
したがって、本実施形態によれば、比較的簡易な構造で防爆性能に優れた非接触の電力給電装置を有する移動監視装置を構成することができる。
【0042】
(異常監視システム)
次に、上記図1に示す電力供給装置を備えた移動監視装置を用いた異常監視システムについて図1及び図3を用いて説明する。
【0043】
本実施形態による異常監視システムは、石油プラントや工場等の危険場所における装置、配管等の漏洩や回転機の不具合等を、防爆型の移動監視装置により監視して異常を報知するものである。なお、移動監視装置としては、例えば特開2006−317312号公報に記載の耐圧防爆型監視装置を用いることができる。
【0044】
監視対象である例えば石油プラントの防爆エリア内には、図3に示すように、プラント内の監視対象を監視する移動監視装置38と、防爆無線機40、42とが設置されている。防爆無線機40は、無線本局としての無線機であり、非防爆エリアである計器室44に設置された監視制御装置46及び操作制御盤48に接続されている。また、防爆無線機42は、中継局としての無線機である。
【0045】
移動監視装置38は、防爆エリア内に設けられた1本のレール50に沿って移動することが可能な車両52と、車両52の移動を制御する車両制御装置54と、移動監視装置38の電源として機能する上記図1に示す電力供給装置56(受電部12)と、プラント内の監視対象を監視する監視装置58とを有している。これら車両52、車両制御装置54、電力供給装置56、及び監視装置58は、いずれも防爆構造になっている。
【0046】
車両52は、レール50の下側を吊り下がりながら移動する懸垂式のものであり、レール50を走行するための複数の走行用タイヤ60と、車両制御装置54及び監視装置58を搭載するための支持体62とを有している。
【0047】
車両52には、走行用タイヤ60のほか、走行時の安定性を高めるためにレール50の側面に接触しながら回転する複数のサイドローラ(図示せず)が設けられている。また、車両52には、登坂走行時の駆動力を高めるためにレール50の下面に接触しながら回転する複数のアンダーローラ(図示せず)が設けられている。
【0048】
支持体62の下側には、車両制御装置54及び監視装置58が取り付けられている。
【0049】
車両制御装置54は、DC/DCコンバータ64と、レギュレータ66と、マイコン68と、駆動部70と、これらを収容する耐圧防爆構造の耐圧防爆型容器72とを有している。
【0050】
耐圧防爆型容器72の外壁には、電力供給装置56のコンデンサ部16が取り付けられている。なお、コンデンサ部16は、耐圧防爆型容器72内に収容するようにしてもよい。
【0051】
コンデンサ部16には、ケーブル30を介して電力供給装置56のコイル部14が接続されている。コイル部14は、レール50に沿って設けられた給電線10に対して図1に示すように非接触で配置されている。コイル部14は、移動監視装置38の移動に伴って給電線10に沿って移動する。
【0052】
こうして移動監視装置38に備えられた電力供給装置56は、上述のように給電線10から電力を受電し、移動監視装置38の車両制御装置54及び監視装置58に電源として電力を供給する。
【0053】
DC/DCコンバータ64には、電力供給装置56から電力が供給される。DC/DCコンバータ64は、電力供給装置56から供給された直流電圧をもとに所定の直流電圧を出力する。DC/DCコンバータ64の出力電圧は、レギュレータ66により安定化される。レギュレータ66により安定化されたDC/DCコンバータ64の出力電圧は、マイコン68及び駆動部70に供給される。
【0054】
マイコン68は、操作制御盤48から送信される後述の車両用制御信号に基づき、駆動部70を動作させるための信号を駆動部70に出力する。
【0055】
駆動部70は、サーボモータ及びサーボコントローラを有し、マイコン68から入力される信号に基づき走行用タイヤ60を駆動し、車両52を走行させる。
【0056】
このように、車両52及び車両制御装置54により、車両用制御信号に基づき防爆エリア内を移動する移動装置が構成されている。
【0057】
監視装置58は、監視装置本体74と、プラントの運転音を監視するための防爆マイク76と、プラント内の様子を撮影するための防爆カメラ78と、防爆マイク76からの音響データ及び防爆カメラ78からの画像データの送信や、防爆マイク用、防爆カメラ用及び車両用制御信号の受信のための防爆アンテナ80とを有している。防爆カメラ78としては、可視カメラまたは赤外線カメラが搭載される。防爆マイク76、防爆カメラ78及び防爆アンテナ80は、監視装置本体74の下面側に取り付けられている。
【0058】
監視装置58は、電力供給装置56から供給される電力により動作する。
【0059】
監視装置本体74は、所定の機能を有する電気回路82と、電気回路82を収容する耐圧防爆構造の耐圧防爆型容器84とを有している。
【0060】
電気回路82は、防爆マイク76から入力される信号に基づいて音響データを生成し、また、防爆カメラ78から入力される信号に基づいて画像データを生成し、これらのデータを防爆アンテナ80を介して防爆無線機40に送信する。
【0061】
また、電気回路82は、防爆無線機40から出力された制御信号を防爆アンテナ80を介して受信し、受信した制御信号に基づいて所定の処理を行う。
【0062】
また、電気回路82は、防爆無線機40から出力された車両制御用信号を防爆アンテナ80を介して受信し、受信した制御信号を制御ケーブル86を介して車両制御装置54に入力する。
【0063】
なお、防爆無線機40と移動監視装置38との間のデータ及び制御信号の送受信は、防爆無線機42により中継される。
【0064】
移動監視装置38は、車両用制御信号に基づき防爆エリア内をレール50に沿って移動することができる。移動監視装置38は、防爆エリア内の所定の監視位置に移動して防爆マイク76及び防爆カメラ78による監視を行う。また、移動しながら監視を行うこともできる。
【0065】
移動監視装置38は、所定の監視場所で停止して監視を行うことができるように、反射式の位置標識を検出する光電スイッチを備えている。防爆エリア内の所定の監視場所には反射式の位置標識が設置されている。移動監視装置38は、光電スイッチにより反射式の位置標識を検出すると、その所定の監視位置で停止して防爆マイク76及び防爆カメラ78による監視を行う。
【0066】
また、移動監視装置38には、その走行により作業員が危険にさらされないように、安全装置が備えられている。例えば、安全装置として、超音波により障害物を検知すると走行を停止させる超音波センサー、障害物に接触すると走行を停止させる安全バンパー等が備えられている。また、走行開始時又は走行時にブザー音を鳴らす警報ブザー、走行時に点灯する走行表示灯が備えられていてもよい。
【0067】
計器室44内に設置された監視制御装置46は、移動監視装置38による監視を制御するための制御信号を出力し、また、移動監視装置38から出力される音響データ及び画像データの管理、処理等を行うものである。
【0068】
また、操作制御盤48は、移動監視装置38の移動処理を行うための車両用制御信号を出力するものである。
【0069】
防爆無線機40は、監視制御装置46及び操作制御盤48から出力される制御信号を移動監視装置38へ向けて送信し、また移動監視装置38から出力される音響データや画像データを受信して監視制御装置46へ伝達するためのものである。防爆無線機42は、防爆無線機40と移動監視装置38との間の信号及びデータの送受信を中継するためのものである。
【0070】
こうして本実施形態による異常監視システムが構成されている。
【0071】
次に、本実施形態による異常監視システムを用いたプラントの異常監視方法について図3を用いて説明する。
【0072】
監視制御装置46は、移動監視装置38による監視を制御する制御信号を、防爆無線機40を介して移動監視装置38に無線電送する。制御信号には、監視装置58の防爆カメラ78を水平方向及び垂直方向に方向変更するための制御信号、監視装置58の監視モデル情報等が含まれる。また、操作制御盤48は、移動監視装置38の移動処理を行うための車両用制御信号を、防爆無線機40を介して移動監視装置38に無線電送する。これら制御信号の移動監視装置38への無線電送は、防爆無線機42により中継される。
【0073】
プラント内に設置された移動監視装置38は、電力供給装置56から供給される電力を電源として動作する。
【0074】
移動監視装置38は、監視制御装置46から送信された制御信号の情報に基づき、プラント内の監視用データを取得する。プラント内の運転音は監視装置58に搭載された防爆マイク76により収集し、プラント内の外観的な様子は監視装置58に搭載された防爆カメラ78により撮影することができる。
【0075】
移動監視装置38は、操作制御盤48から送信された車両用制御信号に基づいてプラント内を移動し、プラント内の所定の監視位置における監視用データを取得する。
【0076】
監視装置58の防爆マイク76により収集された音響データ及び防爆カメラ78により撮影された画像データは、防爆無線機40に無線電送される。これらデータの防爆無線機40への無線電送は、防爆無線機42により中継される。
【0077】
防爆無線機40に電送された監視用データは、計器室44に設置された監視制御装置46に電送され、監視制御装置46によって処理・監視される。即ち、監視制御装置46の画像処理装置では、移動監視装置38により取得された画像データを、予め保存しておいた比較画像と比較して画像中の変化を検知することにより、プラント内の異常監視を行う。また、音響データを管理する装置では、移動監視装置38により取得された音響データから周波数スペクトルを算出し、ニューラルネットワークモデルによりプラント内の異常発生を検知する。
【0078】
こうして、電力供給装置56から電力が供給される移動監視装置38により取得された画像データ及び音響データに基づき、プラント内の異常が監視される。
【0079】
本実施形態では、電力供給装置56において、コイル部14とコンデンサ部16とが互いに別個独立に設けられ、コイル部14が安全増防爆構造となっており、コンデンサ部16が耐圧防爆構造となっているので、比較的簡易な構造で防爆性能に優れた非接触の電力給電装置56により、移動監視装置38に電力を供給することができる。
【0080】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態では、ピックアップコイル20が巻回される磁性体コア18がU字形状である場合について説明したが、磁性体コア18の形状はこれに限定されるものではない。磁性体コア18は、例えば、U字形状のほか、E字形状、C字形状等であってもよい。なお、樹脂容器22の形状は、磁性体コア18の形状に応じた形状とする。
【0082】
また、上記実施形態では、監視装置58が防爆マイク76及び防爆カメラ78の両者を有する場合について説明したが、監視装置58は、防爆マイク76及び防爆カメラ78のいずれかを有するものであってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、防爆エリア内の移動監視装置38に電力供給装置56により電力を供給する場合について説明したが、電力供給装置56は、移動監視装置38のほか、防爆エリア内において使用される種々の機器の電源として用いることができる。例えば、防爆エリア内において資材等を搬送する搬送車の電源として電力供給装置56を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態による電力供給装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による電力供給装置の原理を説明する概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による異常監視システムの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0085】
10…給電線
12…受電部
14…コイル部
16…コンデンサ部
18…磁性体コア
18a…腕部
20…ピックアップコイル
22…樹脂容器
22a…腕部
24…樹脂
26…溝部
28…端子箱
30…ケーブル
32…コンデンサ
34…電気回路
36…耐圧防爆型容器
38…移動監視装置
40、42…防爆無線機
44…計器室
46…監視制御装置
48…操作制御盤
50…レール
52…車両
54…車両制御装置
56…電力供給装置
58…監視装置
60…走行用タイヤ
62…支持体
64…DC/DCコンバータ
66…レギュレータ
68…マイコン
70…駆動部
72…耐圧防爆型容器
74…監視装置本体
76…防爆マイク
78…防爆カメラ
80…防爆アンテナ
82…電気回路
84…耐圧防爆型容器
86…制御ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号に基づき防爆エリア内を移動する移動装置と、
前記移動装置に搭載され、無線信号に基づき前記防爆エリア内を監視する監視装置と、
前記移動装置に搭載され、交流電流が流れる給電線から電磁誘導により電力を非接触で受電して前記移動装置及び前記監視装置に電力を供給する電力供給装置と、を有し、
前記電力供給装置は、前記交流電流によって生じる磁束により起電力が誘起されるピックアップコイルを有する安全増防爆構造のコイル部と、
前記ピックアップコイルに接続され、前記ピックアップコイルと共振回路を構成するコンデンサを有し、前記コイル部とは別個独立に設けられた耐圧防爆構造のコンデンサ部とを有する、
ことを特徴とする移動監視装置。
【請求項2】
前記電力供給装置において、前記コイル部は、前記ピックアップコイルを収容する容器と、前記容器内に充填された樹脂とを更に有する
ことを特徴とする請求項1記載の移動監視装置。
【請求項3】
前記監視装置は防爆マイク、防爆カメラの両方若しくはどちらかを有し、
前記防爆カメラは可視カメラまたは赤外線カメラである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の移動監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−11046(P2009−11046A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168763(P2007−168763)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)