説明

移動端末へのユーザ入力を予測するシステム及び方法

【課題】移動端末へのユーザ入力を予測する方法を提供する。
【解決手段】移動端末は、移動端末への入力を含む未加工ユーザ入力データレコードを生成する(210)。コンテキストデータレコードが未加工ユーザ入力データレコードに追加され(220)、両方が格納される(230)。ユーザ入力の反復パターンを識別するために、別の工程により、未加工ユーザ入力データベースに含まれるレコードを処理する(240)。識別されたパターンは、認識済み入力パターンデータベースに格納される(250)。次に、移動端末は、現在の入力を監視し、現在の入力と認識済み入力パターンデータベースに格納された反復パターンとを比較する。現在の入力と反復パターンとが規定許容範囲内で一致すると、移動端末は、移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを促す(260、280)。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景技術
携帯電話または携帯端末は、拡張し続ける多種多様のサービスをユーザに提供できる極
めて強力な音声およびデータ装置に進化している。移動端末ユーザは、習慣から同じかま
たは類似したアクティビティを繰り返すことが多い。あいにく、ユーザは同じ結果を得る
ために毎回同じデータを入力する必要がある。移動端末に関連する入力メカニズムの多く
は移動端末の携帯性により小さいので、上記行為はユーザにとって煩雑なものとなり得る
。比較的小さな表示装置を監視ながら比較的小さなキーパッドにアクセスすることは苛立
たしいものとなり得る。
【0002】
必要とされるのは、認識済み入力データパターンから、移動端末上のユーザの多くのア
クティビティを移動端末が学習し予想することができる手段である。
【発明の概要】
【0003】
要約
本発明は、移動端末へのユーザ入力を予測するための方法、システムおよびコンピュー
タプログラム製品を含む。移動端末は、移動端末への入力を含む未加工ユーザ入力データ
レコードを生成する。コンテキストデータレコードが未加工ユーザ入力データレコードに
追加され、両方が格納される。ユーザ入力の反復パターンを識別するために、別の工程に
より未加工ユーザ入力データベースに含まれるレコードを処理する。識別されたパターン
は、認識済み入力パターンデータベースに格納される。次に、移動端末は、現在の入力を
監視し、現在の入力と、認識済み入力パターンデータベースに格納された反復パターンと
を比較する。現在の入力と反復パターンとが規定許容範囲内で一致すると、移動端末は、
該移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを促す(prompt)。
あるいは、移動端末が高い信頼度を有する場合、移動端末は、ユーザを促すことなく自動
的にデータ入力処理を終了してよい。
【0004】
本発明は、また、移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを
促す工程に先立って、ユーザに警告を発することができる。
【0005】
データベースが大きくなり過ぎ扱いにくくなるか、あるいはその容量を超えるのを回避
するために、移動端末は、規定期日を過ぎて古くなったデータを、未加工ユーザ入力デー
タベース、及び認識済み入力パターンデータベースから、消去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
【図1】本発明が動作する環境を例示するブロック図である。
【図2】本発明を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書で使用される用語「移動端末」は、セルラ移動電話またはハンドセット、及び
セルラーネットワークにアクセスすることができる他の携帯用無線通信装置を含む。
【0008】
図1に、本発明に関係するハードウェアおよびソフトウエア構成部品を示す移動端末(
携帯電話)100の形態の携帯無線通信装置を例示する。本発明は、ユーザによる反復入
力パターンを記録し発見するために、ユーザ入力を調整、制御、および処理するソフトウ
ェアアプリケーションの形態を取る。反復入力パターンは、限定するものではないが、特
に音声通信(電話ダイアリング、電話設定、データ通信(SMSまたはMMSメッセージ
通信、電子メール、インターネットアクセスおよびブラウジング、IRまたはブルートゥ
ースまたはシリアルケーブル接続)、電話管理(音量、背景表示、様々なテーマ、カメラ
動作、ファイル管理などのプロフィル設定)、およびアプリケーション管理(電話帳、連
絡先、カレンダー、タスク)を含む、移動端末の任意の数の機能形態と関連してよい。
【0009】
基本となる前提は、ユーザ入力と、該ユーザ入力に関する同時発生のコンテキストデー
タ(contemporaneous contextual data)とを監視し格納するために、連続的に走るバッ
クグラウンドアプリケーションを必要とする。「スマートモードアプリケーション」と呼
ぶこのバックグラウンドアプリケーションはまた、反復パターンを求めて未加工ユーザ入
力データを探査する。ユーザが新しい入力系列を開始した場合、スマートモードアプリケ
ーションは、該入力を以前に使用されたものとして認識し、該入力を「終了する」ことを
ユーザに提案することができる。これは、手動で入力データを入力する際のユーザの時間
と労力を省くであろう。
【0010】
移動端末100は、カメラ105(静止画またはビデオ)、キーパッド110、マイク
ロホン115、タッチスクリーンディスプレイ120等のいくつかの入力モードを含むこ
とができる。カメラ入力は身振り認識を含むであろう。マイクロホン入力は音声命令を含
むであろうし、キーパッド入力は一つまたは複数のキー押しを含む。タッチスクリーン入
力は、表示装置上の特定領域との接触応答を含む。マイクロプロセッサ125の支援によ
りバックグラウンドで実行するスマートモードアプリケーション145は、これら入力モ
ードからのユーザ入力を監視し、データベース140に未加工入力データを格納する。ス
マートモードアプリケーション145はまた、限定するものではないが、固定メモリ13
0、およびSIMカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリスティック等の一つまたは複数
の取り外し可能メモリ135を含む、他の移動端末構成部品へアクセスする。
【0011】
図2に、ユーザの移動端末への入力意図を予測するために使用される工程を例示する。
スマートモードアプリケーションは、機能的に2つのモードに分類される。第1のモード
は学習モードである。第2のモードはパターン探査モード(pattern mining mode)であ
る。
【0012】
学習モードでは、スマートモードアプリケーションは、移動端末へのすべてのユーザ入
力210を未加工ユーザ入力データベース230にログ記録する(220)。実際の入力
に加えて、学習モード構成部品は、ユーザ入力レコードにコンテキストデータを加える。
コンテキストデータは、限定するものではないが、日時のタイムスタンプ、地理的な位置
データ、ネットワークコールまたはデータアクティビティ、および現在の移動端末プロフ
ィル設定を含んでよい。コンテキストデータにより、パターン探査モード240は、単に
コンテンツ関連だけでなく、時間的および/または空間的に関連し得るユーザ入力パター
ンを発見できるようになる。例えば、ユーザは、同じ番号をダイヤルするかもしれないし
、あるいは毎日ほぼ同時刻にダイヤルするかもしれない。あるいは、ユーザは毎朝ほぼ同
時刻に自分のカレンダーをチェックするかもしれない。コンテキストデータにより、パタ
ーン探査モードは、規則的にスケジューリングされた間隔で入力コンテンツが発生するこ
とを発見できる。
【0013】
パターン探査モード240もまた、バックグラウンドで走る。パターン探査モードは、
拡張し続ける入力パターンの未加工ユーザ入力データベースを連続的に処理する。パター
ン探査モードは、反復入力パターンを捜し出すために、実際のコンテンツデータとコンテ
キストデータを使用することによりその解析を行なう。パターン探査モードはまた、現在
の入力が発生した際に、認識済み入力パターンのデータベース250と比較できるように
、現在のユーザ入力を監視する。一致の可能性があることを示す閾値が発生すると、スマ
ートモードアプリケーションはアクションを起こすことができる。
【0014】
最も可能性の高いアクションは、スマートモードアプリケーションが予想されるユーザ
入力の残りを表示装置に表示し、これがユーザの意図したものかどうかユーザに促す(2
60)。この促す動作(the prompt)に先立って、パターンが認識されたかもしれない旨
の、ユーザへの可聴(信号音)、物理的(振動)、または視覚的(点滅アイコン等)警報
があってもよい。そうであれば、それに応じてユーザは促す動作の受諾または拒絶を指示
することができる(270)。ユーザが促す動作を受諾した場合、スマートモードアプリ
ケーションは、入力系列が遂行していたであろう所望の機能またはアクティビティを自動
的に実行する。ユーザが促す動作を拒絶した場合、ユーザは自由に移動端末への手動入力
を続けることができる。
【0015】
スマートモードアプリケーションが、これがユーザの意図であるという極めて高い確信
をもってパターンを検知した場合、スマートモードアプリケーションは、ユーザに対する
促し工程をバイパスし、自動的にアクティビティを開始してよい(280)。例えば、ユ
ーザは、自分の一日のカレンダーが毎朝7時30分に自分の装置上に自動的に表示される
ことを望むかもしれない。該装置の時計が午前7時30分を表示するとカレンダーは自動
的に表示されることになる。ユーザが7時30分直前にカレンダーのための入力を開始す
ると、スマートモードアプリケーションは、これがユーザの意図であると確信し、自動的
にタスクを実行してよい。
【0016】
時には、ユーザ入力は、送信すべきメッセージを作成するような、部分的なタスクを示
すかもしれない。スマートモードは、ユーザがメッセージを作成したいが、指定受信者が
未だ分からないということを認識できる。この場合、スマートモードアプリケーションは
、ユーザ入力の認識済みパターンに基づき、できるだけ多くのタスクを実行することがで
きる。ユーザが受信者データおよびメッセージコンテンツまたは付属データを入力するた
めに、メッセージ画面がユーザに提示される。スマートモードは、コンテンツ入力を監視
し続けることができ、新しいパターンを認識することができる。このような場合、スマー
トモードアプリケーションが、受信者またはコンテンツデータが入力されていることを認
識できるならば、ユーザは、受信者またはコンテンツデータのすべてを入力しなくてよい
。したがって、本発明の予測入力形態は、本質的にインクリメンタル(incremental)で
あってよく、このことは、全体のタスクまたはアクティビティを構成するサブタスクまた
はサブアクティビティを独立して認識することができ、それに作用することができること
を意味する。
【0017】
本発明の利点は、移動端末ユーザが特定のタスクを遂行するために同じかまたは類似し
た入力を繰り返す必要性を低減することができるということである。
【0018】
スマートモードアプリケーションは、必要に応じユーザにより無効にすることができる
。更に、未加工ユーザ入力データベース230が大きくなり過ぎた場合、それを消去する
ことができる。これは、データベースサイズが限界に達すると、6か月以上経過したすべ
てのレコードを消去することにより、時間ベースで行うことができる。正確な時間閾値は
、ユーザに適合するように変更してよい。同様に、認識済み入力パターンデータベース2
50が大きくなり過ぎた場合、それを消去することができる。
【0019】
様々なコンピュータプログラム命令形式のコンピュータプログラムコードを、本発明の
実施形態の実行に関与する処理の少なくとも一部を実施するために使用することができる
ということに留意されたい。このようなコンピュータプログラムコードは、媒体に格納さ
れたコンピュータプログラム命令のすべてまたは一部を含むコンピュータプログラム製品
を介して提供することができる。媒体は固定されていても取外し可能であってもよい。こ
のような媒体は固定記憶媒体であってもよいが、同時に、簡単に取り外し可能な、光また
は磁気ディスクまたはテープであってよい。本コンピュータプログラム命令は、コンピュ
ータプラットフォーム、命令実行システム、あるいはバスまたはネットワークを介して相
互接続されるこれらシステムの集合体のうち任意のタイプにより実行されるコンピュータ
プログラムコードを含む、格納する、通信する、伝達する、または運ぶことができる任意
の媒体上に存在することができる。このようなコンピュータ可読媒体は、限定するもので
はないが、例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体のシステムまたは装
置であってよい。
【0020】
本発明のすべてまたは一部を実施するコンピュータプログラム命令はまた、インターネ
ットなどのネットワークを介して読み出されるストリーム情報で具現化されてもよい。コ
ードは、例えば光走査を介して電子的に取り込み、次に、コンパイルされインタープリー
トされるか、そうでなければ好適なやり方で処理されるので、コンピュータ利用可能また
はコンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムコードが印刷される紙または別の好
適な媒体であってもよいことに留意されたい。
【0021】
本発明は、本発明の例示的な実施形態についてかなり詳細に示され、記載されているが
、例示的な実施形態は、本発明を、開示された特定の実施形態に限定することを意図する
ものではないということを当業者は理解すべきである。本発明の斬新な教示および利点か
ら実質的に逸脱することなく特に前述の教示に照らし、開示された実施形態に対し様々な
修正、省略および追加を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末へのユーザ入力を予測する方法であって、
前記移動端末への入力を含む未加工ユーザ入力データレコードを生成する工程(210
)と、
前記未加工ユーザ入力データレコードに追加されるコンテキストデータレコードを生成
する工程(220)と、
前記未加工ユーザ入力データレコードと前記コンテキストデータレコードとの組み合わ
せを未加工ユーザ入力データベースに格納する工程(230)と、
ユーザ入力の反復パターンを識別するために、前記未加工ユーザ入力データベースに含
まれる前記レコードを処理する工程(240)と、
認識済み入力パターンデータベースにユーザ入力の反復パターンを格納する工程(25
0)と、
前記移動端末への現在の入力を監視する工程と、
前記現在のユーザ入力と前記認識済み入力パターンデータベースに格納された前記反復
パターンとを比較する工程と、
前記現在の入力と前記データベース内の反復パターンとが規定許容範囲内で一致すると
、前記移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを促す工程(2
60)と、を含む方法。
【請求項2】
前記移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを促す工程に先
立って、ユーザに警告を発する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
規定期日を過ぎて古くなったデータを前記未加工ユーザ入力データベースから消去する
工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
規定期日を過ぎて古くなったデータを前記認識済み入力パターンデータベースから消去
する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
移動端末へのユーザ入力を予測する方法であって、
移動端末への入力を含む未加工ユーザ入力データレコードを生成する工程(210)と

前記未加工ユーザ入力データレコードに追加されるコンテキストデータレコードを生成
する工程(220)と、
前記未加工ユーザ入力データレコードと前記コンテキストデータレコードの組み合わせ
を未加工ユーザ入力データベースに格納する工程(230)と、
ユーザ入力の反復パターンを識別するために、前記未加工ユーザ入力データベースに含
まれる前記レコードを処理する工程(240)と、
認識済み入力パターンデータベースにユーザ入力の反復パターンを格納する工程(
250)と、
前記移動端末への現在の入力を監視する工程と、
前記現在のユーザ入力と前記認識済み入力パターンデータベースに格納された前記反復
パターンとを比較する工程と、
前記現在の入力と前記データベース内の反復パターンとが規定許容範囲内で一致すると
、デー入力処理を自動的に終了する工程(280)と、を含む方法。
【請求項6】
規定期日を過ぎて古くなったデータを前記未加工ユーザ入力データベースから消去する
工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
規定期日を過ぎて古くなったデータを前記認識済み入力パターンデータベースから消去
する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
移動端末へのユーザ入力を予測するためのシステムであって、
前記移動端末への入力を含む未加工ユーザ入力データレコードを生成する手段(210
)と、
前記未加工ユーザ入力データレコードに追加されるコンテキストデータレコードを生成
する手段(220)と、
前記未加工ユーザ入力データレコードと前記コンテキストデータレコードの組み合わせ
を未加工ユーザ入力データベースに格納する手段(230)と、
ユーザ入力の反復パターンを識別するために、前記未加工ユーザ入力データベースに含
まれる前記レコードを処理する手段(240)と、
認識済み入力パターンデータベースにユーザ入力の反復パターンを格納する手段(
250)と、
前記移動端末への現在の入力を監視する手段と、
前記現在のユーザ入力と前記認識済み入力パターンデータベースに格納された前記反復
パターンとを比較する手段と、
前記現在の入力と前記データベース内の反復パターンとが規定許容範囲内で一致すると
、前記移動端末にデータ入力処理を終了することを許可するよう、ユーザを促す手段(2
60、280)と、を含むシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−59083(P2013−59083A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−241045(P2012−241045)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【分割の表示】特願2007−548179(P2007−548179)の分割
【原出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(502087507)ソニーモバイルコミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】