説明

移動農機

【課題】耕耘装置に機体に走行抵抗を付与する抵抗体と耕耘装置の耕深を調節する橇体とを一体に備える移動農機において、前記抵抗体と橇体とを同時に効率的に作用させることができるようにする。
【解決手段】耕耘装置5に、地中に没入して機体に走行抵抗を付与する抵抗体16と、接地しながら耕耘装置5の耕深を調節する橇体16とを一体に固設するにあたり、前記抵抗体16を橇体22よりも下方に突出させたことによって、当該抵抗体16により機体に適切な走行抵抗を付与しながら、同時に橇体22により耕耘装置5の所望の耕深を維持できるように構成し、且つ抵抗体16の一回の高さ調節により抵抗体16と橇体22とを所望の耕耘作用状態に同時に設定できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の後部に装着した耕耘装置に、機体に走行抵抗を付与する抵抗体と耕耘装置の耕深を調節する橇体とを一体に備える移動農機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の後部にロータリ耕耘装置等の耕耘装置を装着した小型移動農機においては、一つの接地具に、機体に走行抵抗を付与する抵抗体と耕耘装置の耕深を調節する橇体とを設けると共に、当該接地具の姿勢を切り換えるだけの簡単な操作で、抵抗体の下端が橇体の下端よりも相対的に下方に位置する状態と、橇体の下端が抵抗体の下端よりも相対的に下方に位置する状態とに切換自在に構成することによって、前記抵抗体を主に使用する状態と、橇体を主に使用する状態とに切り換えることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−153602号公報(第2−3頁、図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1のものは、抵抗体と橇体の何れか一方を主に作用させる状態に切り換えることは可能であるが、両者を同時に効率的に作用させることは困難であり、この不具合を改善することを期待されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、機体の後部に耕耘装置を装着した移動農機において、前記耕耘装置に、地中に没入して機体に走行抵抗を付与する抵抗体と、接地しながら耕耘装置の耕深を調節する橇体とを一体に設けるにあたり、前記抵抗体を橇体よりも下方に突出させたことを第1の特徴としている。
【0005】
そして、抵抗体に橇体を固設したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、耕耘装置に、地中に没入して機体に走行抵抗を付与する抵抗体と、接地しながら耕耘装置の耕深を調節する橇体とを一体に設けるにあたり、前記抵抗体を橇体よりも下方に突出させたことによって、当該抵抗体により機体に適切な走行抵抗を付与しながら、同時に橇体により耕耘装置の所望の耕深を維持することが可能になり、以って抵抗体と橇体を同時に作用させての効率的な耕耘作業が行なえるようになる。
【0007】
そして、抵抗体に橇体を固設したことによって、前記抵抗体の一回の高さ調節により抵抗体と橇体とを所望の耕耘作用状態に同時に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、小型移動農機である歩行型管理機1の側面図であって、この歩行型管理機1は、機体フレームを構成する側面視で略へ字状のミッションケース2が中央に配設してあり、該ミッションケース2の前側下部には、車軸3を軸架して走行車輪4を取付けている。また、ミッションケース2の後側下部には、ロータリ耕耘装置5の耕耘軸6を横架すると共に、該耕耘軸6の外周に複数本の耕耘爪7を植設している。
【0009】
そして、ミッションケース2の前方に取付けたエンジンフレーム8にエンジン9を搭載してあり、このエンジン9の一側に配設したベルトカバー10内の図示しないプーリやベルトを介して、当該エンジン9の駆動力をミッションケース2に伝達すると共に、該ミッションケース2に備える変速機構を介して変速した動力を、走行車輪4やロータリ耕耘装置5に伝達できるように構成している。
【0010】
また、ミッションケース2の上部には、後方に向けて前低後高状のハンドル11を延出してあり、このハンドル11をオペレータが把持した状態で歩行型管理機1を走行させながらロータリ耕耘装置5を回転駆動させることによって、所望の耕耘作業を行なうことができるようになっている。
【0011】
尚、ハンドル11の把持部11a周辺には、主クラッチレバー12やエンジンコントロールレバー13等が設けてあり、主クラッチレバー12を操作することにより、エンジン9とミッションケース2との間に介設した図示しないテンションクラッチ機構を介して、当該エンジン9とミッションケース2間の動力の断接がなされる。
【0012】
また、上述したロータリ耕耘装置5を構成する複数本の耕耘爪7の周囲には、この複数本の耕耘爪7の回転による泥土等の飛散を防止すべく、当該耕耘爪7の前側を含む上側、及び両側を覆う略半円弧状のロータリカバー14を設けると共に、その後側にも基端部15aを回動支点として上下回動自在なリヤカバー15を設けている。
【0013】
そして、円弧状のロータリカバー14の後側中央には、機体に走行抵抗を付与する抵抗体16を固定するホルダー17を設けると共に、その上部には、歩行型管理機1の移動走行用の尾輪体18を格納状態で装着できるように構成している。
【0014】
上述した抵抗体16は、ロータリ耕耘装置5の耕耘反力によってダッシング現象が起こることを防止するために設けるフラットバーからなる抵抗棒であって、このフラットバーからなる抵抗体16は、図2及び図3に示すように、その後側上部に複数段の切欠き16aを備える一方、これらの切欠き16aに選択的に係止して抵抗体16、及び詳細は後述する橇体22を所望の高さに調節するロックレバー19をホルダー17側に設けている。尚、ロックレバー19は、引張スプリング21を介して常時切欠き16aとの係止方向に付勢されている。
【0015】
また、抵抗体16の先端(下端)側には、耕耘作業中における耕深を安定させるための平面視で船形状、且つ側面視で前上がり傾斜面22aを有する橇体22を固設している。更に詳しくは、抵抗体16の先端部16bは、橇体22よりも下方に突出させた状態で一体に固設してあるので、当該抵抗体16により機体に適切な走行抵抗を付与しながら、同時に抵抗体16が地中に深く入り込むことを橇体22により抑制することが可能になると共に、抵抗体16と橇体22を軽量且つ安価に一体形成することができる。尚、橇体22の後側中央に穿設した孔22bを利用して、図4に示す如く移動走行用の尾輪体18を装着する。
【0016】
したがって、図1に示す作業形態のように、抵抗体16と橇体22とを二点鎖線で示す圃場面Gより深く入り込ませて、抵抗体16の先端部16bが耕耘爪7よりも下方に突出するように高さ調節した場合には、この時抵抗体16と橇体22は、主としてダッシング防止手段として作用させることができる。
【0017】
また、図5に示す作業形態のように、橇体22の下面を二点鎖線で示す圃場面Gに接地させた状態で、抵抗体16の先端部16bが耕耘爪7先端よりも上方に位置するように高さ調節した場合には、抵抗体16と橇体22は耕深調節手段として作用させることができる。
【0018】
即ち、歩行型管理機1の後部に装着した耕耘装置5に、地中に没入して機体に走行抵抗を付与する抵抗体16と、圃場面Gに接地しながら耕耘装置5の耕深を調節する橇体22とを一体に設けるにあたり、前記抵抗体16を橇体22よりも下方に突出させたことによって、当該抵抗体16により機体に適切な走行抵抗を付与しながら、同時に抵抗体16が地中に深く入り込むことを橇体22により抑制して、耕耘装置5の所望の耕深を維持することが可能になる。また、抵抗体16に橇体22を固設したことによって、抵抗体16の一回の高さ調節により抵抗体16と橇体22とを所望の耕耘作用状態に同時に設定することができ、以って抵抗体16と橇体22を同時に作用させての効率的な耕耘作業が行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】抵抗体と橇体をダッシング防止手段として作用させている状態を示す歩行型管理機の側面図。
【図2】抵抗体に橇体を固設した状態を示す側面図。
【図3】図2におけるA矢視図。
【図4】尾輪体を装着した移動走行状態を示す歩行型管理機の側面図。
【図5】抵抗体と橇体を耕深調節手段として作用させている状態を示す歩行型管理機の側面図。
【符号の説明】
【0020】
5 耕耘装置
16 抵抗体
22 橇体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の後部に耕耘装置(5)を装着した移動農機において、前記耕耘装置(5)に、地中に没入して機体に走行抵抗を付与する抵抗体(16)と、接地しながら耕耘装置(5)の耕深を調節する橇体(22)とを一体に設けるにあたり、前記抵抗体(16)を橇体(22)よりも下方に突出させたことを特徴とする移動農機。
【請求項2】
抵抗体(16)に橇体(22)を固設した請求項1に記載の移動農機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate