説明

移動通信端末、契約情報管理システム、端末制御方法、及び契約情報送信方法

【課題】パケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、プリペイド課金方式による課金情報を適切に提供する。
【解決手段】移動通信端末10は、パケット交換網30を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信部と、回線交換網40を介してプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバ21から自端末の課金情報を取得する取得部と、取得部によって取得された課金情報を出力する出力部とを備える。契約情報管理サーバ21を含む契約情報管理システムは、移動通信端末10によるパケット交換網30における通信を検出する検出部を備え、契約情報管理システムは検出部による検出が行われたときに移動通信端末10に対して、回線交換網40を介して課金情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末、契約情報管理システム、端末制御方法、及び契約情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機の使用に応じて課金される通信料金を加入者が前払いするプリペイド課金方式の携帯電話機が知られている。例えば、特許文献1では、契約なしで簡単に購入できるプリペイド式携帯電話機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−53912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリペイド課金方式でパケット通信を行う携帯電話機において、現在のチャージ残量をユーザが入手したい場合、ユーザはチャージ残量を確認することができる専用サイトにパケット交換網を介して接続し、確認する必要がある。その際、携帯電話機がパケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合、ユーザはそれまで行っていたパケット交換網における通信を一旦切断し、専用サイトに再接続する必要がある。このような通信の切断及び再接続は、ユーザの利便性の低下につながる。
【0005】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、パケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、プリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる移動通信端末、契約情報管理システム、端末制御方法、及び契約情報送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る移動通信端末は、パケット交換網を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信手段と、回線交換網を介してプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバから自端末の課金情報を取得する取得手段と、取得手段によって取得された課金情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る移動通信端末では、パケット交換網を介して一つの通信セッションを確立してパケット通信による移動体通信が行なわれる一方、回線交換網を介してプリペイド課金方式による課金情報が取得され、出力される。従って、本発明に係る移動通信端末によれば、パケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、プリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる。
【0008】
本発明に係る移動通信端末は、回線交換網を介して、契約情報管理サーバに対して課金情報の送信要求を送信する送信手段を更に備えることが望ましい。この構成によれば、本発明に係る移動通信端末は、契約情報管理サーバから任意のタイミングで課金情報を取得することができる。従って、プリペイド課金方式による課金情報をタイムリーに提供することができる。
【0009】
本発明に係る移動通信端末において、送信手段は、パケット通信手段によってパケット通信の発信または切断が行われることを検出して、送信要求を送信することが望ましい。この構成によれば、本発明に係る移動通信端末は、パケット通信の発信または切断が行われるだけで、自動的に送信要求が送信され、課金情報を取得することができる。従って、プリペイド課金方式による課金情報の取得をユーザが毎回指示することなく自動的に提供することができる。
【0010】
本発明に係る移動通信端末は、移動体通信の通信事業者を特定する情報を記憶する可搬記憶媒体であって、移動体通信を行う際に装着する必要がある可搬記憶媒体を装着する装着手段を更に備え、出力手段は、課金情報を、装着手段によって装着された可搬記憶媒体に記憶することが望ましい。この構成によれば、移動体通信の通信事業者を特定する情報が記憶された可搬記憶媒体を異なる移動通信端末に装着して移動体通信を行う場合でも、可搬記憶媒体に記憶された課金情報を利用することができる。従って、本発明に係る移動通信端末は、例えば、移動体通信を行うことなく課金情報を取得することができ、プリペイド課金方式による課金情報をタイムリーに提供することができる。
【0011】
出力手段によって出力された課金情報に基づいて、所定の処理を実行する実行手段を更に備えることが望ましい。この構成によれば、本発明に係る移動通信端末は、課金情報に基づいて自動的に適切な処理を実行することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0012】
ところで、本発明は、上記のように移動通信端末の発明として記述できる他に、以下のように端末制御方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0013】
即ち、本発明に係る端末制御方法は、パケット交換網を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信ステップと、回線交換網を介してプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバから自端末の課金情報を取得する取得ステップと、取得ステップを介して取得された課金情報を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る契約情報管理システムは、パケット交換網おける移動通信端末による移動体通信のプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバを含む契約情報管理システムであって、移動通信端末によるパケット交換網における通信を検出する検出手段と、検出手段による検出が行われたときに移動通信端末に対して、回線交換網を介して課金情報を送信する課金情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る契約情報管理システムでは、移動通信端末によるパケット交換網における通信が検出されたときに、移動通信端末に対して、回線交換網を介して課金情報が送信される。従って、本発明に係る契約情報管理システムによれば、移動通信端末がパケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、移動通信端末に対してプリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる。
【0016】
検出手段は、更に、移動通信端末がプリペイド課金方式を適用されるか否かを確認して、課金情報送信手段は、検出手段による検出が行われると共に検出手段によって移動通信端末がプリペイド課金方式を適用されると確認されたときに課金情報を送信することが望ましい。この構成によれば、本発明に係る契約情報管理システムは、例えば、移動通信端末がプリペイド課金方式を適用される場合のみに課金情報を送信することで、移動通信端末のユーザが必要としない課金情報の送信がなくなり、ネットワーク負荷を低減することができる。
【0017】
ところで、本発明は、上記のように契約情報管理システムの発明として記述できる他に、以下のように契約情報送信方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0018】
即ち、本発明に係る契約情報送信方法は、パケット交換網おける移動通信端末による移動体通信のプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバを含む契約情報管理システムによる契約情報送信方法であって、移動通信端末によるパケット交換網における通信を検出する検出ステップと、検出ステップにおける検出が行われたときに移動通信端末に対して、回線交換網を介して課金情報を送信する課金情報送信ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パケット交換網を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、プリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの概念を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る移動通信端末の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る契約情報管理システムの構成を示す図である。
【図4】移動通信端末の画面表示の例を示す図である。
【図5】可搬記憶媒体に格納される課金情報の例を示すテーブルである。
【図6】本発明の実施形態に係る移動通信端末のハードウェア構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る契約情報管理システムのハードウェア構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る移動通信端末及び契約情報管理システムで実行される処理(端末制御方法)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る移動通信端末及び契約情報管理システムで実行される処理(端末制御方法及び契約情報送信方法)を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る移動通信端末及び契約情報管理システムで実行される処理(端末制御方法及び契約情報送信方法)を示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面と共に本発明に係る移動通信端末、契約情報管理システム、端末制御方法、及び契約情報送信方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本実施形態における通信システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように通信システム1は、移動通信端末10と、契約情報管理サーバ21と、パケット交換網30と、回線交換網40とを含んで構成される。移動通信端末10は、セル方式による移動体通信を行うことができる装置であり、具体的には、携帯電話機等に相当する。契約情報管理サーバ21は、移動通信端末10のユーザのユーザ情報を管理するサーバである。契約情報管理サーバ21は、具体的には、HLR(Home Location Register)である。なお、契約情報管理サーバ21は、後述の契約情報管理システム20に含まれる。また、契約情報管理システム20は、後述のSGSN(Serving GPRS Support Node)を含んでもよい。
パケット交換網30及び回線交換網40は、移動通信端末10と契約情報管理サーバ21とを中継するネットワークである。パケット交換網30及び回線交換網40は、HLRのユーザ情報を一時的に記憶するVLR(Visitor Location Register)を含んでもよい。移動通信端末10と契約情報管理サーバ21との間で、パケット交換網30を介することでパケット通信を行うことができ、回線交換網40を介することで、回線交換通信を行うことができる。
【0023】
ここで、契約情報管理サーバ21において管理されているユーザ情報は、移動通信端末10のユーザのパケット交換網30における移動体通信のプリペイド課金方式による課金情報を含む。なお、課金情報は、契約情報管理サーバ21に含まれるデータベース22に格納され、管理される。また、課金情報は、移動通信端末10がパケット交換網30等に接続する際の接続先であるAPN(Access Point Name)ごとに保持される。プリペイド課金方式とは、移動体通信を提供する通信事業者に対して予め一定額の料金を前払いしておき、前払いした料金分の時間又はパケット通信量の移動体通信が行えるという方式である。なお、プリペイド課金方式において移動体通信を行う中で、前払いした料金分の時間又はパケット通信量を使い切ると、接続が切断され、それ以降移動体通信が行えなくなる。課金情報の具体例としては、チャージ残量が挙げられる。チャージ残量とは、プリペイド課金方式において、前払いした料金に対して実際に移動体通信を行った料金分を差し引いた残りの料金のこと、つまり、移動体通信を行うことが可能な料金のこと、または、その料金で移動体通信が可能な時間又はパケット通信量のことを示す。なお、課金情報は、例えば、ユーザが申し込んだ契約内容に基づいて、移動体通信を提供する通信事業者により入力される。
【0024】
まず、移動通信端末10の構成について説明する。図2に示すように、移動通信端末10は、装着部11と、パケット通信部12と、送信部13と、取得部14と、出力部15と、実行部16とを備えて構成される。また、移動通信端末10は、上記の構成要素以外にも、例えば、携帯電話機としての機能も備えていてもよい。
【0025】
装着部11は、移動通信端末10のユーザが契約している移動体通信の通信事業者を特定する情報を記憶する可搬記憶媒体であって、移動体通信を行う際に装着する必要がある可搬記憶媒体を装着する装着手段である。具体的には、装着部11は、可搬記憶媒体から情報を読み込んだり、可搬記憶媒体へ情報を書き込んだりするために、可搬記憶媒体と接続可能な物理的な接続端子により構成される。
【0026】
ここで、可搬記憶媒体は具体的には、加入者認証モジュールであるSIM(Subscriber Identity Module)カード等に相当する。可搬記憶媒体には、移動体通信の契約者である移動通信端末10のユーザを識別するための情報やユーザの電話番号等が記憶されていてもよい。可搬記憶媒体を移動通信端末10とは異なる移動通信端末に装着することで、複数の移動通信端末において、同じユーザの電話番号及び同じユーザの契約内容によって移動体通信を行うことができる。
【0027】
パケット通信部12は、パケット交換網30を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信手段である。パケット通信部12によりパケット交換網30を介して移動体通信が行われるに従って、契約情報管理サーバ21で管理されている移動通信端末10のユーザの課金情報が更新される。具体的には、パケット通信部12によりパケット交換網30を介して移動体通信が行われるに従って、契約情報管理サーバ21で管理されている移動通信端末10のユーザのチャージ残量が減少する。
【0028】
送信部13は、回線交換網40を介して、契約情報管理サーバ21に対して課金情報の送信要求を送信する送信手段である。具体的には、送信部13は、契約情報管理サーバ21に対して、移動通信端末10のユーザの課金情報を問い合わせるためのUSSD(Unstructured Supplementary Service Data)コードを、回線交換網40を経由して送信する。USSDコードが回線交換網40を経由して送信される際に、回線交換網40に含まれるVLRを経由してもよい。なお、送信部13が送信する送信要求は、USSDコードに限るものではない。例えば、送信部13が送信する送信要求は、SMS等のメッセージであってもよい。
【0029】
送信部13は、パケット通信部12によってパケット通信の発信または切断が行われることを検出して、送信要求を送信してもよい。なお、パケット通信の発信または切断のたびに送信部13が送信要求を送信してもよい。また、例えば、前回の送信要求の送信から所定の回数の発信または切断が行われたら送信部13が送信要求を送信する等、送信要求を送信する回数を削減する仕組みを移動通信端末10で取り入れてもよい。
【0030】
ここで、契約情報管理サーバ21は、送信部13から送信されたUSSDコードを受信すると、例えば、移動通信端末10のユーザの課金情報であるチャージ残量を、後述のデータベース22から抽出する。そして、契約情報管理サーバ21は、抽出したチャージ残量を、回線交換網40を経由して移動通信端末10に送信する。なお、課金情報であるチャージ残量が移動通信端末10に送信される際に、回線交換網40に含まれるVLRを経由してもよい。また、契約情報管理サーバ21からの通知は、USSDコードであってもよいし、SMS等のメッセージであってもよい。
【0031】
取得部14は、回線交換網40を介してプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバ21から自端末の課金情報を取得する(受信する)取得手段である。また、取得部14は、送信部13によって送信された送信要求に基づいて契約情報管理サーバ21から回線交換網40を介して送信された自端末の課金情報を取得してもよい。例えば、取得部14は、送信部13によって送信された移動通信端末10のユーザの課金情報を問い合わせるためのUSSDコードに対する応答として、契約情報管理サーバ21から回線交換網40を経由して送信されてきた課金情報であるチャージ残量を取得する。取得部14は、取得した課金情報を出力部15に出力する。なお、取得部14が取得する課金情報は、回線交換網40を経由して送信されてきた課金情報に限るものではない。例えば、取得部14は、装着部11が装着する可搬記憶媒体に記憶された課金情報を取得してもよい。
【0032】
出力部15は、取得部14によって取得された課金情報を出力する出力手段である。具体的には、出力部15は、取得部14から入力されたチャージ残量を移動通信端末10の画面に表示する。図4は、移動通信端末10がパケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行っている際の移動通信端末10の画面を示す図である。出力部15は、例えば、図4に示すチャージ残量表示60のように、取得部14から入力されたチャージ残量の内容に基づき、残パケット通信量が122MBであることを移動通信端末10の画面上に表示することで、移動通信端末10のユーザに通知する。このように、出力部15は、課金情報に応じた表示を行ってもよい。移動通信端末10のユーザは、出力部15が出力したチャージ残量表示60の内容を確認することで、例えば、チャージ残量が残り少ないので、今後パケット通信を控える、あるいは移動体通信の通信事業者に追加で料金を前払いすることで、チャージ残量を増やす、等の行動を取ることができる。
【0033】
出力部15は、課金情報を、装着部11によって装着された可搬記憶媒体に記憶してもよい。具体的には、出力部15は、取得部14から入力されたチャージ残量を、装着部11によって装着されたSIMカードに記憶する。例えば、出力部15は、図5に示すように、移動通信端末10のユーザの電話番号と、取得部14によって取得されたチャージ残量の内容とを対応付けた情報をSIMカードに記憶する。なお、出力部15によって課金情報が可搬記憶媒体に記憶されてから所定の期間が過ぎても、出力部15によって新たに課金情報が記憶されない場合がある。その場合、移動通信端末10は、送信部13及び取得部14により、契約情報管理サーバ21から最新の課金情報を取得し、取得した課金情報を出力部15により記憶してもよい。
【0034】
実行部16は、出力部15によって出力された課金情報に基づいて、所定の処理を実行する実行手段である。具体的には、実行部16は、出力部15によって出力されたチャージ残量を入力し、入力されたチャージ残量を判定し、判定結果に応じて、移動通信端末10に予め記憶され、移動通信端末10において実行可能な所定のアプリケーションを実行する。例えば、実行部16によって、チャージ残量が所定の量よりも少ないと判定された場合、実行部16は、APNを切り替えるためのアプリケーションを実行してもよい。また、例えば、実行部16によって、チャージ残量が所定の量よりも少ないと判定された場合、実行部16は、大容量データ通信を伴うアプリケーションの実行及び利用を規制してもよい。また、例えば、実行部16によるチャージ残量の判定に応じて、実行部16は、オペレータ課金サイトへの接続アプリケーションを起動したり、待ち受けユーザインタフェースやメニューを急かすモードに変換したりしてもよい。
【0035】
図6に移動通信端末10のハードウェア構成を示す。図6に示すように、移動通信端末10は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM103(Read Only Memory)、操作部104、無線通信部105、ディスプレイ106、アンテナ107等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した移動通信端末10の各機能が発揮される。
【0036】
続いて、契約情報管理システム20の構成について説明する。図3に示すように、契約情報管理システム20は、契約情報管理サーバ21と、検出部23とを備えて構成される。また、契約情報管理サーバ21は、データベース22を備えて構成される。契約情報管理サーバ21及びデータベース22については上記で既に説明したため、ここでの説明は省略する。検出部23は、例えば、パケット交換網30を構成する交換機であるSGSNの一機能である。
【0037】
検出部23は、移動通信端末10によるパケット交換網30における通信(移動体通信)を検出する検出手段である。具体的には、検出部23は、移動通信端末10のパケット通信部12によってパケット通信の発信、通信及び切断のいずれかが行われることを検出する。また、検出部23は、移動通信端末10の送信部13により送信された課金情報の送信要求を受信したことを検出してもよい。検出部23は、さらに、移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されるか否かを確認してもよい。具体的には、検出部23は、検出された移動体通信を行っている移動通信端末10のユーザを特定し、データベース22に格納されている特定したユーザの課金情報を抽出する。そして、検出部23は、抽出した課金情報に基づいて、特定したユーザがプリペイド課金方式を適用されるか否かを確認する。なお、検出部23は、課金情報を自端末で保持し、保持している課金情報に基づいて確認してもよい。課金情報には予めプリペイド課金方式やポストペイド課金方式等のユーザの課金方式等が登録されている。検出部23は、特定したユーザの課金情報と、特定したユーザがプリペイド課金方式を適用されるか否かの確認結果を契約情報管理システム20に送信する。確認結果を受信した契約情報管理システム20は、回線交換網40を介して移動通信端末10に対して課金情報を送信する。
【0038】
契約情報管理システム20は、検出部23による検出が行われると共に検出部23によって移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されると確認されたときに課金情報を送信してもよい。具体的には、契約情報管理システム20は、検出部23よりユーザがプリペイド課金方式を適用されるとの確認結果が入力されると、当該ユーザの移動通信端末10に対して、回線交換網40を介して、検出部23より入力された当該ユーザの課金情報を送信する。
【0039】
図7に契約情報管理サーバ21のハードウェア構成を示す。図7に示すように、契約情報管理サーバ21は、CPU201、主記憶装置であるRAM202及びROM203、通信モジュール204、及び補助記憶装置205等のハードウェアにより構成されている。これらの構成要素が動作することにより、上述した契約情報管理サーバ21の各機能が発揮される。なお、検出部23も同様のハードウェア構成上で動作する。
【0040】
引き続いて、図8、9及び10に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係る移動通信端末10及び契約情報管理システム20で実行される処理(端末制御方法及び契約情報送信方法)を説明する。まず、図8に示すフローチャートについて説明する。図8に示すフローチャートは、移動通信端末10から契約情報管理サーバ21に回線交換網40を介してチャージ残量を問い合わせ、問い合わせの結果取得したチャージ残量を示す情報に応じた処理を移動通信端末10で行う処理の流れを説明した図である。
【0041】
まず、パケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で行う移動体通信の発信操作が行われる(S01、パケット通信ステップ)。S01の発信操作を契機として、送信部13により、チャージ残量を問い合わせるUSSDコードが回線交換網40に含まれるVLRに送信される(S02)。
【0042】
USSDコードを受信したVLRは、移動通信端末10のユーザが、受信したUSSDコードを利用可能なユーザか否かを、自装置に格納されている課金情報に基づいて判定する(S03)。なお、課金情報には予めユーザがUSSDコードを利用できるか否かの情報が登録されている。移動通信端末10のユーザが受信したUSSDコードを利用できないとVLRが判定した場合、VLRはそれ以降の処理を行わない。このように、USSDコードが利用できないユーザであれば規制することで、ネットワークのトラフィック量を削減することができる。
【0043】
移動通信端末10のユーザが受信したUSSDコードを利用できるとVLRが判定した場合、USSDコードがVLRにより契約情報管理サーバ21に送信される(S04)。USSDコードを受信した契約情報管理サーバ21により、受信したUSSDコードの応答として、移動通信端末10のユーザのチャージ残量を示す情報が回線交換網40に送信される(S05)。回線交換網40に送信されたチャージ残量を示す情報は、移動通信端末10に送信され、取得部14によりチャージ残量を示す情報が取得される(S06、取得ステップ)。取得されたチャージ残量を示す情報は、取得部14により出力部15へ出力される。
【0044】
続いて、出力部15により、取得部14から入力されたチャージ残量が0より大きいか、あるいは0であるかの判定が行われる(S07)。S07にて、チャージ残量が0より大きいと判定された場合、出力部15により、チャージ残量を示す情報に応じた表示が行われる(S08、出力ステップ)。例えば、チャージ残量にまだ余裕がある旨を表示してもよい。そして、移動通信端末10は、パケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で移動体通信を開始する(S09)。
【0045】
S07にて、チャージ残量が0であると判定された場合、出力部15により、チャージ残量を示す情報に応じた表示が行われる(S10、出力ステップ)。例えば、チャージ残量が0である旨を表示してもよい。続いて、例えば、パケット交換網30に含まれるSGSNから移動通信端末10に対して、移動通信端末10が接続するAPNを、異なるAPNに変更しても良いか否かを示すAPN切替許諾が送信され、その旨が移動通信端末10の画面上に表示される(S11)。S11にて、ユーザが許諾しない場合、それ以降の処理は行われない。S11にて、ユーザが許諾した場合、接続先のAPNが、ユーザが許諾したAPNに切り替えられる。APNの切り替えが完了すると、その旨が移動通信端末10に通知される(S12)。そして、移動通信端末10は、パケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で移動体通信を開始する(S13)。
【0046】
次に、図9に示すフローチャートについて説明する。図9に示すフローチャートは、移動通信端末10のパケット交換網における移動体通信が検出されると、契約情報管理サーバ21から移動通信端末10に対してチャージ残量を示す情報が送信される処理の流れを説明した図である。
【0047】
まず、パケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で行う移動体通信の発信操作が行われる(S21、パケット通信ステップ)。パケット通信部12により、S21の発信操作の発信処理がパケット交換網30に含まれ、契約情報管理システム20にも含まれるSGSNの検出部23に送信される(S22)。発信処理が検出部23に送信されると、検出部23により、移動通信端末10によるパケット交換網30における移動体通信が検出される(S23、検出ステップ)。移動体通信を検出した検出部23は、さらに、移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されるか否かを確認する。移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されないと検出部23が確認した場合、それ以降の処理を行わない。
【0048】
移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されると検出部23が確認した場合、検出部23により、契約情報管理サーバ21に対して、移動通信端末10への課金情報の送信を促す通知が送信される(S25)。その通知を受信した契約情報管理サーバ21により、移動通信端末10のユーザのチャージ残量を示す情報が回線交換網40に送信される(S26、課金情報送信ステップ)。なお、S26における契約情報管理サーバ21によるチャージ残量を示す情報の送信は、移動通信端末10から発信処理を受信するたびに行ってもよいし、チャージ残量の残り時間が10分や残り通信量が1M等のチャージ残量が少ない場合に行ってもよい。また、移動通信端末10のユーザが、S26における契約情報管理サーバ21によるチャージ残量を示す情報の送信の契機を設定してもよい。
【0049】
回線交換網40に送信されたチャージ残量を示す情報は、移動通信端末10に送信され、取得部14によりチャージ残量を示す情報が取得される(S27、取得ステップ)。取得されたチャージ残量を示す情報は、取得部14により出力部15へ出力される。
【0050】
続いて、出力部15により、取得部14から入力されたチャージ残量を示す情報に応じた表示が、移動通信端末10の画面にて行われる(S28、出力ステップ)。そしてパケット通信部12により、パケット交換網30を介してプリペイド課金方式でパケット通信が行われる(S29)。なお、S29におけるパケット通信は、S22以降であればいつでも行ってもよい。
【0051】
次に、図10に示すフローチャートについて説明する。図10に示すフローチャートは、移動通信端末10がパケット交換網30を介して移動体通信を行っている際に、契約情報管理サーバ21から移動通信端末10に対してチャージ残量を示す情報が送信される処理の流れを説明した図である。
【0052】
図10に示す全体の処理の間に、パケット通信部12によりパケット交換網30を介してプリペイド課金方式で行うパケット通信が断続的に行われている(S31)。ここで、検出部23が、移動通信端末10のユーザのチャージ残量が所定の残量より小さくなったこと、または、移動通信端末10のパケット通信が切断されたことを検出する(S32)。
【0053】
検出部23による検出が行われたときに、契約情報管理サーバ21により、移動通信端末10のユーザのチャージ残量を示す情報が、回線交換網40に送信される(S33)。なお、S33における契約情報管理サーバ21によるチャージ残量を示す情報の送信の契機を、移動通信端末10のユーザが設定してもよい。回線交換網40に送信されたチャージ残量を示す情報は、移動通信端末10に送信され、取得部14によりチャージ残量を示す情報が取得される(S34、取得ステップ)。取得されたチャージ残量を示す情報は、取得部14により出力部15へ出力される。
【0054】
続いて、出力部15により、取得部14から入力されたチャージ残量を示す情報に応じた表示が、移動通信端末10の画面にて行われる(S35、出力ステップ)。以上が本実施形態に係る移動通信端末10及び契約情報管理システム20で実行される処理(端末制御方法及び契約情報送信方法)である。
【0055】
本実施形態によれば、移動通信端末10では、パケット交換網30を介して一つの通信セッションを確立してパケット通信による移動体通信が行なわれる一方、回線交換網40を介してプリペイド課金方式による課金情報が取得され、出力される。従って、移動通信端末10がパケット交換網30を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、プリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる。
【0056】
また、本実施形態のように、送信部13により、回線交換網40を介して、契約情報管理サーバ21に対して課金情報の送信要求を送信してもよい。また、取得部14は、送信部13によって送信された送信要求に基づいて契約情報管理サーバ21から送信された課金情報を取得してもよい。この構成によれば、移動通信端末10は、契約情報管理サーバ21から任意のタイミングで課金情報を取得することができる。従って、プリペイド課金方式による課金情報をタイムリーに提供することができる。
【0057】
また、本実施形態のように、送信部13は、パケット通信部12によってパケット通信の発信または切断が行われることを検出して、送信要求を送信してもよい。この構成によれば、移動通信端末10は、パケット通信の発信または切断が行われるだけで、自動的に送信要求が送信され、課金情報を取得することができる。従って、プリペイド課金方式による課金情報をユーザが毎回指示することなく自動的に提供することができる。
【0058】
また、本実施形態のように、装着部11によりSIMカードが装着され、出力部15が、課金情報を、装着部11によって装着されたSIMカードに記憶してもよい。この構成によれば、移動体通信の通信事業者を特定する情報が記憶されたSIMカードを異なる移動通信端末に装着して移動体通信を行う場合でも、SIMカードに記憶された課金情報を利用することができる。従って、移動通信端末10は、例えば、移動体通信を行うことなく課金情報を取得することができ、プリペイド課金方式による課金情報をタイムリーに提供することができる。
【0059】
また、本実施形態のように、出力部15は課金情報に応じた表示を行ってもよい。この構成によれば、移動通信端末10は、プリペイド課金方式による課金情報を移動通信端末10のユーザに通知することができる。通知を受けたユーザは、課金情報に基づいて適切な行動を取ることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0060】
また、本実施形態のように、実行部16は、出力部15によって出力された課金情報に基づいて、所定の処理を実行してもよい。この構成によれば、移動通信端末10は、課金情報に基づいて自動的に適切な処理を実行することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0061】
また、本実施形態によれば、契約情報管理システム20では、移動通信端末10によるパケット交換網30における移動体通信が検出されたときに、移動通信端末10に対して、回線交換網40を介して課金情報が送信される。従って、移動通信端末10がパケット交換網30を介して二つ以上の通信セッションを同時に確立することができない場合でも、移動通信端末10に対してプリペイド課金方式による課金情報を適切に提供することができる。
【0062】
また、本実施形態のように、検出部23は、移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されるか否かを確認して、契約情報管理システム20は、検出部23による検出が行われると共に検出部23によって移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用されると確認されたときに課金情報を送信してもよい。この構成によれば、契約情報管理システム20は、例えば、移動通信端末10がプリペイド課金方式を適用される場合のみに課金情報を送信することで、移動通信端末10のユーザが必要としない課金情報の送信がなくなり、ネットワーク負荷を低減することができる。
【0063】
上述の実施形態は、主にGPRS(General Packet Radio Service)による通信システムを用いたものである。しかしながら、このような通信システムに限定するものではなく、パケットデータを通信することができる通信システムにおいては適宜適用可能であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)などの新規な通信システムにおいても適用可能である。その際、GGSN(Gateway GPRS Support Node)に相当するものは、P−GW(Packet Data Network Gateway)であり、SGSNに相当するものは、MME(Mobility Management Entity)若しくはS−GW(Serving Gateway)である。また、契約情報管理サーバ21に相当するものは、HSS(加入者情報管理サーバ:Home Subscriber System)である。なお、契約情報管理サーバ21としてPCRF(ポリシー制御装置:Policy and Charging Rule Function)を用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…通信システム、10…移動通信端末、11…装着部、12…パケット通信部、13…送信部、14…取得部、15…出力部、16…実行部、20…契約情報管理システム、21…契約情報管理サーバ、22…データベース、23…検出部、30…パケット交換網、40…回線交換網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット交換網を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信手段と、
回線交換網を介して前記プリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバから自端末の課金情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記課金情報を出力する出力手段と、
を備える移動通信端末。
【請求項2】
前記回線交換網を介して、前記契約情報管理サーバに対して前記課金情報の送信要求を送信する送信手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記送信手段は、前記パケット通信手段によってパケット通信の発信または切断が行われることを検出して、前記送信要求を送信することを請求項2に記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記移動体通信の通信事業者を特定する情報を記憶する可搬記憶媒体であって、前記移動体通信を行う際に装着する必要がある前記可搬記憶媒体を装着する装着手段を更に備え、
前記出力手段は、前記課金情報を、前記装着手段によって装着された前記可搬記憶媒体に記憶することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記出力手段によって出力された前記課金情報に基づいて、所定の処理を実行する実行手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の移動通信端末。
【請求項6】
パケット交換網を介してプリペイド課金方式で移動体通信を行うパケット通信ステップと、
回線交換網を介して前記プリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバから自端末の課金情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記課金情報を出力する出力ステップと、
を含む端末制御方法。
【請求項7】
パケット交換網おける移動通信端末による移動体通信のプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバを含む契約情報管理システムであって、
前記移動通信端末によるパケット交換網における通信を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出が行われたときに前記移動通信端末に対して、回線交換網を介して前記課金情報を送信する課金情報送信手段と、
を備える契約情報管理システム。
【請求項8】
前記検出手段は、更に、前記移動通信端末が前記プリペイド課金方式を適用されるか否かを確認して、
前記課金情報送信手段は、前記検出手段による検出が行われると共に前記検出手段によって前記移動通信端末が前記プリペイド課金方式を適用されると確認されたときに前記課金情報を送信することを特徴とする請求項7に記載の契約情報管理システム。
【請求項9】
パケット交換網おける移動通信端末による移動体通信のプリペイド課金方式による課金情報を管理する契約情報管理サーバを含む契約情報管理システムによる契約情報送信方法であって、
前記移動通信端末によるパケット交換網における通信を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける検出が行われたときに前記移動通信端末に対して、回線交換網を介して前記課金情報を送信する課金情報送信ステップと、
を含む契約情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138711(P2012−138711A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288795(P2010−288795)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】