説明

移植された医療デバイスのためのエネルギー採取

診断若しくは治療用医療インプラントの機能の全て又は一部に動力を供給するためのエネルギーを発生するために使用する血管内に位置可能なエネルギー採取デバイス。エネルギー採取デバイスは圧電素子を含み、これは、機械的な血管活動(例えば、血管の屈曲、拡張又は伸縮或いは血管を通じる血液の流れ)に応じて電圧を発生するように配置されている。圧延素子により生成された電気的エネルギーは、バッテリを再充電し、キャパシタに蓄えるために用いてもよく、及び/又はインプラントの操作のために使用されるエネルギーを実時間で生成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー採取を用いる医療インプラントへエネルギーを供給するシステム及び方法に関する。
【背景】
【0002】
出願人の先願は心臓又は神経系構造、例えば神経、神経末端を刺激するエネルギーを搬送するため、及び/又は血流中へ薬剤を搬送するために用いられる脈管内デバイスに関する。これについては、米国特許出願番号2005/0043765号(発明の名称:INTRAVASCULAR ELECTROPHYSIOLOGICAL SYSTEM AND METHOD)及び米国特許出願番号2005/0234431号(発明の名称:INTRAVASCULAR DELIVERY SYSTEM FOR THERAPEUTIC AGENTS)、米国特許出願番号2007/0255379号(発明の名称:INTRAVASCULAR DEVICE FOR NEUROMODULATION)、アメリカ12/413,495号(発明の名称 :SYSTEM AND METHOD FOR TRANSVASCULARLY STIMULATING CONTENTS OF THE CAROTID SHEATH)、及び米国特許出願12/419,717号(2009年3月27日出願、発明の名称:INTRAVASCULAR SYSTEM AND METHOD FOR BLOOD PRESUUURE CONTROL)を参照されたい。
【0003】
図1は脈管内に配置されるそのようなシステムを示す。図示のシステムは細長いシステム本体12、一つ以上のリード線14、保持デバイス、アンカー16を含む。
【0004】
リード線は、デバイス本体12を例えば電極、超音波振動子又はエネルギーを組織対象へ指向させるように指示する他の要素26へ電気的に結合するのに用いられる。これらが脈管内に薬剤を搬送するために用いられるとき、リード線はデバイス本体を流体ポート、例えば弁、開口又は流体浸透膜に流体結合される。或るリード線は、患者の特定の状態を検知するために、また、検知した状態を示す信号を送るために配置されたセンサを含んでもよい。
【0005】
リード線14は、脈管構造にも置かれるデバイスボディ12に接続している。デバイスボディは、電源を収納しており、リード線にエネルギーを与えるために操作力を発生及び/又は薬剤の搬送のために駆動するポンプ及び/又はセンサを作動するために、バッテリーと電源回路を含んでもよい。インプラントが電気刺激器であるところで、血管ハウジングはリード線の電極によって、及び付加的に直接植込み型デバイスのボディの他の電極によって患者に伝達のために刺激脈を起こすために、血管内ハウジングは脈発生器を含む。プロセッサは、デバイスの作動をコントロールするために、血管内ハウジングに含めてもよい。
【0006】
ステントのような他の適当な構成を持ってもよい拡張可能なアンカー16を使用している血管には開示されたリード線の幾つかが係止する。電極26のような刺激要素は、アンカー16により支持されていてもよい。図1で示すように、アンカーは血管壁と接触するように拡張し、リード線の位置を維持して、電極26を血管壁と接触して配置させる。同様なアンカーデバイスは、必要とあればデバイスボディ12を固定するのに用いられる。アンカーは、それらに放射状に血管壁を係合させることを可能にする構造的特性を含めてもよい。
【0007】
例えば、アンカーはバンド、スリーブ、メッシュ、レーザーカットチューブ、又は一つ以上の形状記憶(例えば、ニッケル・チタニウム、ニチノール、熱的に起動する形記憶材料又は形状記憶ポリマー)要素又はステンレス鋼、Elgiloy、又はMP35N要素からなる他のフレームワークを含んでもよい。
【0008】
エネルギー採取デバイスは圧電部品を用いて機械的エネルギーを電荷へ変換して保存し、電気的デバイスを駆動するために用いられる。従前のエネルギー採取デバイスは、米国6407484号、米国6433465号、米国6737789号、米国71059828号、米国7331803号、及び米国2008/025217に説明された。インプラントの電気刺激エネルギーへ適用される振動/音響エネルギーの転換は、米国2006/0136004号に開示されている。
【0009】
本願はデバイス及び方法を開示し、ここでは、例えば従来出願に開示されたような血管内構成部品が自然体運動を用いて電気エネルギーを生成するために使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は内頸静脈に係止されているリード線を有する血管内インプラント及び下大静脈に配置されているインプラントを示す。
【図2】図2は採取されたエネルギーを用いて充電可能なバッテリーを有する脈管内インプラント・システムの典型的な実施形態を例示するブロック図である。
【図3】図3はエネルギー採取インプラントの第1の実施形態の斜視図である。
【図4A】図4Aは脈管内に配置されたエネルギー採取インプラント及びそれに付随するシステムの第2の実施形態を模式的に示す。
【図4B】図4Bは図4Aのインプラントのアンカー部分の横断面図である。
【図5】図5は図4Aのエネルギー採取インプラントの斜視図である。
【図6】図6は図4Aのインプラントの代替例の端面図である。
【図7】図7は図4Aのインプラントに対する他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8は血管の断面側面図であり、エネルギー採取インプラント及びそれに関連したシステムの第3実施形態の血管の断面側面図である。
【図9】図9は図8に示す採取インプラントの斜視図である。
【図10】図10はエネルギー採取に適する可撓性の細長いデバイスの平面図である。
【図11】図11は図10のデバイスの断面図であり、包囲体内の構成部品及び可撓性領域の部分は明瞭さのために省略されている。
【図12】図12は被験者体内の様々な体管内における図10及び11に示される形式のデバイスを模式的に示す。
【図13】図13は、インプラントにより使用するエネルギーを採取するために被験者の脈管内に配置されるリード線を示す。
【図14】図14はエネルギー採取と電子的生理的検知又は刺激との両方のために配置された心臓リード線を示す。
【図15】図15はエネルギー採取と電子的生理的検知又は刺激との両方のために配置された心臓リード線を示す。
【詳細な説明】
【0011】
本願は、血管内インプラントの使用を開示し、このインプラントは身体運動から機械的エネルギーを集めて、この集められたエネルギーをインプラント内の二次電池を再充電するために使用可能な電気エネルギーへ変換する。実施形態は血管内システムにおける採取インプラントの使用に関して図示及び説明され、これは電気刺激を心臓の神経系又は目標又は組織へ送達させる。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、これらの概念が脈管外インプラントを含む他の形式のインプラントに使用し得ることを了承されたい。
【0012】
図2に示されるシステム100では、インプラントデバイス12は、操作の動力刺激を生じるためにバッテリーと発電回路を含み得る電源11を収納する。デバイス12は脈発生器13も含み、リード線14の電極26によって、インプラントデバイス12のボディの電極により患者へ伝達する刺激脈を起こす。プロセッサ30は、デバイス12の作動を制御するために含み得る。
【0013】
一つの実施形態において、システム100は、充電式であるバッテリー11を含む。患者の体内エネルギー採取インプラント32は、バッテリーを再充電するために、デバイス12内の充電回路33へ電気的に接続される。他の実施形態において、採取インプラント32を使用して集められるエネルギーはコンデンサに蓄えてもよく、及び/又は、刺激のために使われるエネルギーを発生させるか、さもなければシステム100の電気又は電子的構成要素を操作するために実時間で使用してもよい。捕捉されたエネルギーを使用可能か貯蔵可能な形式へ変換させるのに用いられる回路は、当業者に公知であるので、本願では詳述しない。
【0014】
エネルギー採取インプラントは、様々な形態を採り得る。例えば、エネルギー採取インプラントは、血管内インプラントデバイス12自体に、リード線14又はアンカー16の一つ以上に、もう一つの血管内デバイスに、又は、無管インプラント又は体外デバイスへ組み込める。
【0015】
本明細書に開示された採取要素は、圧電素子を利用して、機械的応力、緊張、振動又は屈曲を電位に変換し、この電位は、インプラント・システムの構成要素へ駆動力を供給するために用いることができ、或いは、後の使用のためにコンデンサ又は充電式バッテリーに蓄えることができる。適宜な圧電材料は、圧電繊維複合物、圧電フィルム又は圧電セラミックを含む。多くの実施形態について、可撓な圧電素子(例えば可撓な圧電ファイバー複合物要素)を用いることが望ましく、それらが屈曲又は撓められるときに電荷が発生する。圧電素子は、電気エネルギーを即時に使用するための、或いは、後の使用のために蓄えるためのデバイス12へ導く電極及びコンダクターと電気的接触して配置される。
【0016】
図3を参照すると、エネルギー採取インプラント32aは、血管ルーメンの内部に沿って並ぶために釣り合うコイル状のリボンとしてもよい。この実施形態では、インプラント32aは、血管自体の脈動からエネルギーを集める。インプラント32aは、圧電素子42を有するリボン40を含む。このリボンは、圧電素子42として圧電繊維を含む圧電複合物のリボンを形成してもよく、或いは、圧電素子をベース・リボン基板に配置してもよく、さもなければそれの上へ搭載される。血管壁(矢印F参照)の収縮運動に応じて電位を生み出すように、素子42は正しい位置に置かれる。例えば、図3で示すように、血管壁収縮から生じている血管直径の周期的な縮小に応じて、圧電素子42は曲がることができる。他の実施形態(図4−7に関連して説明したものを含む)において、圧電材料は血管の拡大の間、重圧に応じて電流を発生させるたように、或いは、患者の動きが血管を屈曲させるときに強制力を招くように配置する。
【0017】
圧電素子からデバイス12まで電気エネルギーを導電するコンダクターには、リボンの内部の及び/又は外表面に配置し得る電極(図示せず)が接続している。リボン40はデバイス12の一端から延伸し得るか、或いは、デバイス12から離間された配置されたリード線に結合してもよい。リボンデバイスの適宜な部位は、大動脈、下大静脈、上大静脈、肺動脈と肺静脈を含む心臓の近くで、より大きな血管を含む。
【0018】
開示された実施形態の多くと同様に、コイル状のリボン40が、減少径位置を有し、ここでは、コイル状のリボン40が、血管に通過するように展開さや、又はカテーテル内に配置される。
【0019】
一たび血管内に入ると、リボン40はシース/カテーテルから展開されて、(能動的に、即ちそれ自身の径方向力の下で)血管壁と接触する拡張位置へ拡張する。好ましい実施形態において、拡張された姿勢におけるコイル状リボンの外向き径方向力は、血管内にリボンを係止する。
【0020】
リボン40は、上述した出願に記載した治療的な刺激を送達するために、刺激電極を更に支持してもよい。
【0021】
図4−7は、血管壁の機械の動きを電気エネルギーに変換する他の実施形態を例示する。
【0022】
図3に関連して説明するように、血管内に配置された円筒形デバイスは、血管壁の収縮運動からそれに与えられる径方向応力を被る。特定の血管は、他の血管よりも多くの筋細胞を伴う壁を有する。例えば、動脈は静脈より多くの細胞を一般に含む。より筋肉的な血管は、血液の圧送を支援するのに重要な収縮及び膨張を経る。この円筒形圧送運動は緊張をステント、アンカー、リングに配置されている圧電素子、或いは血管内に配置された他のデバイスに与えることができる。図4Aを参照すると、エネルギー採取インプラントは、部分的に又は完全に環状のデバイス(例えば血管内に配置可能なアンカー16(図1)、ステント、バンド又はリング)を含む。一つの実施形態において、インプラントは、脈管構造内にデバイス12を保持するのに用いられるアンカー16である。他の実施形態において、インプラントは、脈管構造のリード線14を保持するために用いられるアンカーとしてもよい。リード線は、図1で示すようにパルスジェネレータのようなデバイス12に結合してもよい。いずれにせよ、アンカー、リード線又はデバイスで電極で組織を囲むことにより、集められたエネルギーは、(アンカー上又はデバイスの電子部品/回路により)達達のための刺激エネルギーに直ちに変換し得る。或いは、エネルギーは後に使用するためにバッテリー又はコンデンサに蓄えるか、さもなければ、デバイスの作動のために必要とされる他の電子部品に動力を与えるために直ちに用いてもよい。図4Aの実施形態は大動脈に配置されて示され、そこで、集められたエネルギーは電気エネルギーに変換されて、アンカー16又はリード線14上の電極を用いて、周囲の圧受レセプター又は関連する神経系目標又は構造体を刺激するのに用いられる。
【0023】
圧電素子42はインプラント32bの内外に配置されるか、或いはインプラント32bに取り付けられる。図4Bの断面図に示すように、インプラント32aの管状ボディを横断面で見てクラムシェル型配置として、圧電素子が周囲の移植材料の二つの端の間に配置されるようにしてもよい。例えば、圧電素子が隙間又はスロット内に配置されるように、インプラント32aのボディは縦方向の隙間又はスロットを有してもよい。
【0024】
インプラントが血管収縮によって圧縮されて(図4B中の矢印F1)、素子42に対してインプラントによって与えられる応力ために、素子42は電気エネルギーを発生する。
【0025】
或いは、インプラントが血管収縮の後、再拡大して、素子42に対して与えられる緊張(矢F2)により、素子42は電気エネルギーを発生するかもしれない。素子42は、インプラントの壁に沿って図5におけるように軸方向に位置するか、又は図6におけるように、円周方向に、或いは図7におけるように軸方向と円周方向との両方に位置させる。
【0026】
図8及び図9は、他の実施形態を示し、ここではエネルギー採取インプラント32cは、デバイス12又は脈管構造のリード線14を支持するために用いられるステント又はアンカー16とし得る。
【0027】
この実施形態では、インプラント32c中を流れる血液は、インプラント32c内を流れる血液は、インプラント32cの内腔へ延伸する片持ち圧電素子42に曲げ強制力を与える。圧電気の圧電繊維又は結晶は、流れる血液によって素子42を曲げることに応じて、電位を生み出す。一つの実施形態において、素子42は血管内で血液の安定した流れにより緊張したままであるが、それは血流で脈打って、それによって流れる血液の各々の脈で電圧を発生させる。
【0028】
図4A−9実施形態において、エネルギー採取インプラントは、バンド、スリーブ、メッシュ、レーザーカットチューブの形態におけるステント状デバイス、又は一つ以上の形状記憶要素(例えば、ニッケル・チタニウム、ニチノール、熱的に起動する形記憶材料又は形状記憶ポリマー)又はステンレス鋼、Elgiloy、又はMP35N要素からなる他のフレームワークを含んでもよい。ステント状インプラント、又はアンカー状ステントは、それらが放射状に血管壁に係合するように拡張可能であるという点で、これらのンプラント又はアンカーは、それらが従来は移植されていた疾患血管の開存性を維持するために、このようなステントにより必要とされていたような従来のステントにより保持された輪状強度を持つ必要がない点に留意されたい。
【0029】
図4−9のそれらに類似するデバイスは、身体の他の内腔(例えば蠕動運動運動を電気エネルギーに変換できる腸内腔)で使用するために変更し得る。図4−9のデバイスへの更なる変形例では、圧電素子を備えるカフを血管又は腸の内腔のような他の内腔を囲んで配置してもよい。この種の実施形態が特に適するのは、デバイス12が従来のペースメーカー又はICD、又は脈管外薬物送達デバイス、又は他の形式の脈管外治療的若しくは診断用デバイスのために使用される形式の皮下パルスジェネレータなどの脈管外デバイスである場合である。デバイス12のような若干の血管内デバイスは、デバイスのより堅固な部分の間でデバイスを可撓にさせることを可能にする可撓性ジョイント又は相互接続器を含んでもよい。この形式の構成は、出願人の米国特許第7,363,082号(発明の名称FLEXIBLE HERMETIC ENCLOSURE FOR IMPLANTABLE MEDICAL DEVICES)及び、出願人の米国特許出願第2005/0043765号(発明の名称INTRAVASCULAR ELECTROPHYSIOLOGICAL SYSTEM AND METHOD)に記載されている。例えば、図10に示すように、複数の堅固な密封筐体50は可撓領域52により接続してもよく、その幾つかは撓み姿勢で示される。堅固なコンテナは、精巧なインプラント型デバイスを作るために電子構成要素、電気機械パーツ又はアセンブリを包含する。個別のコンテナを有する部品は、ケーブル、可撓性回路、又は区画の間で延伸する他の形式の相互接続器を用いて有効に結合することができる。可撓領域52は、図10に示すように、相互接続器において撓むことを可能にしながら、相互接続器を保護するように設計された柔軟なシリコーン、密封ベロー・デバイス構造又は他の構造要素を用いて被包してもよい。
【0030】
図11はデバイス12を部分的に構成された形態で示しており、電気的及び電子的構成部品を伴わないので、機械的構成部品はより容易に視認できる。図示のように、カプラー72は、端部70近傍で、包囲体50内に(例えば溶接又は類似した技術によって)取り付けられる。後述するように、ヒンジ領域52が包囲体の間にあり、体液に対して封止される。一つ以上の圧電素子78がカプラー72に連結されて、一対の隣接した包囲体50を機械的に連結する機械式アセンブリを形成する。さらに、要素78が可撓性領域52におけるデバイスの可撓性に応じて屈曲するので、要素78上の圧電結晶/ファイバ/フィルムその他は、屈曲に応じて電位を生じ、この屈曲をシステムによって直ちに又はその後に使用するための電気エネルギーに変換することを可能にする。代替的な設計において、圧電素子は包囲体50の間に延伸する可撓性管状ハウジングに含めてもよく、又はそれに加えるか或いはそれに代わるものとして、相互連結部材内に被包してもよい。
【0031】
図1に示すようにデバイスが下大静脈に位置するとき、自然な腹部の運動及び呼吸はデバイスの撓みをもたらすることができる。著しい身体運動に基づく採取を可能にするのを許す他の適当な場所は、肩関節S(例えば鎖骨下部又は橈側皮静脈)の領域における首領域N(例えば頸静脈又は頸動脈)、肘関節Eの領域(例えば内肘の領域における中間肘静脈)、又は身体下部の関節を含む。図12において、リード線線は、下大静脈のみならず領域N、S、及びEに概略的に例示される。
【0032】
図10及び図11はデバイスボディ12自体を示し、これはエネルギー採取のために折り曲げ力を受け取る圧電素子を含む。しかしながら、このような素子は細長いリード線内に同様に位置させてもよく、それらのリード線は刺激又は薬物を身体へ導くのに用いられるか、或いは、それらがシステムの二つ以上の相互接続された可動部品へ接続してもよい(例えばデバイス12及び周辺部品を通じて再充電が実行され、或いは、薬剤を薬物送達デバイスを補充するように経皮的に注入する)。他の実施形態において、リード線は、エネルギー採取のみの目的のための部位へ延伸するものとしてもよい。図13を参照すると、ここでは例えば、肩部領域を通じて延伸するリード線14がリード線の撓みを通じてエネルギーを採取するために使用し得る。この実施形態は、刺激又は薬物の送達における使用のために脈管構造内の他の部位に配置された更なるリード線を含むか、及び/又は、(体外デバイスを用いて)誘導的に再充電又は薬物再充填するように修正してもよい。
【0033】
関節(臀部、肘、肩、膝、その他)における著しい筋肉運動からの屈曲エネルギーを変換するエネルギー採取インプラントは、脈管外使用のために、及び体外使用のためにさえも変更してもよい。
【0034】
刺激の送達と撓みを通じてのエネルギー採取との両方のために使用されるリード線は、代替的に心臓に配置されるかもしれない。現在のICD及びペースメーカーのリード線は刺激のために心臓に配置されるか、及び/又は心臓のあらゆる鼓動による撓みの経験を検知する。特に、比較的に大きな量の屈曲を被るリード線の長さに沿った点において、各鼓動からの運動を集めて、これをリード線14内外に圧電素子を含めることにより、電圧に変換することができる。図14に示すように、適宜な高い撓み点80は、上大静脈(SVC)と右房(RA)との間の遷移を含むか、又は、RAと右心室(RV)との間の遷移を含む。高い撓み点80において大量の撓みを被るリード線の他の位置は、図15に示すように、とりわけIVCからRAへ延伸する。リード線は血管内デバイスボディ12(図1)へ接続されるか、又は、より一般的な皮下ICD又はペースメーカーへ接続することができる。
【0035】
エネルギー採取部品は、採取されたエネルギーを受け取るデバイスへ配線接続してもよく、或いは、これに代えて、誘導結合は、採取されたエネルギーをインプラントされたシステムの他の部分へ送達するのに用いてもよい。誘導結合の使用は、上述した部位を含めて、血管外部位から集められたエネルギーの使用をさらに可能にする。他の例として、圧電素子は、肋間腔で隣接した肋骨の間に延伸するように位置させて、呼吸の間の肋骨拡大によって要素へ与えられる機械的な力を集めて変換するようにしてもよい。呼吸運動は、呼吸の間に横隔膜の運動に応じて電位を発生するように配置された圧電素子を用いて集めてもよい。他の例として、圧電素子は、筋肉又は腱/靭帯へ接続して、自発的(又は無意識の)筋肉運動の長期化又は短期化からのエネルギーを集めるようにしてもよい。圧電素子を有するパッチを心臓に位置させて、心臓の鼓動に応じた素子の揺動又は屈曲が電気エネルギーを発生するようにしてもよい。
【0036】
本明細書において参照した全ての従来特許及び出願は、すべての目的のために参照によって本明細書に取り込まれている。
【0037】
上述の特定された実施形態の多数の変形例は、上述の説明を考慮すれば当業者には明らかであることに留意されたい。したがって本発明は、本明細書に説明及び図示された本発明の特定の実施形態及び方法によって制限されるものではない。むしろ本発明の要旨は、以下の請求項及びそれらの均等物によって規定される。
【0038】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管壁を有する血管内に位置可能なエネルギー採取インプラントであり、
血管内に配置するように寸法付けられたインプラントデバイスと、
前記インプラントデバイスに配置され、血管の活動に応じて機械的な力を受け取ることにより、電圧を発生するように位置された少なくとも一つの圧電素子とを備えるエネルギー採取インプラント。
【請求項2】
請求項1のエネルギー採取インプラントであり、前記圧電素子は、血管の活動に応じて屈曲力を受け取り、且つそれに応じて電圧を発生するように位置されたエネルギー採取インプラント。
【請求項3】
請求項2のエネルギー採取インプラントであり、前記インプラントデバイスは細長いデバイスボディを含み、この細長いデバイスボディは血管の曲げに応じて屈曲可能な少なくとも一つの可撓性領域を含み、前記圧電素子は前記細長いデバイスボディの前記可撓性領域に位置しているエネルギー採取インプラント。
【請求項4】
請求項2のエネルギー採取インプラントであり、
前記インプラントデバイスは内腔を有する管状デバイスであり、前記管状デバイスは血管壁に接触するように拡張可能であり、
前記圧電素子は前記内腔へ延伸して、且つ前記血管を通る血液流の脈打ちに応答して屈曲可能であるエネルギー採取インプラント。
【請求項5】
請求項2のエネルギー採取インプラントであり、
前記インプラントデバイスは血管壁に接触可能に位置可能な壁を有する管状デバイスであり、この管状デバイスは血管の収縮に応じて圧縮位置へ移動可能であり、
前記圧電素子は前記血管壁の収縮及び/又は伸長に応じて機械的な力を受け取ることにより、電圧を発生するように位置しているエネルギー採取インプラント。
【請求項6】
請求項5のエネルギー採取インプラントであり、前記圧電素子は前記管状デバイス上に位置しており、前記管状デバイスの運動は、前記圧電素子に対する圧縮力の適用により圧縮位置へもたらされるエネルギー採取インプラント。
【請求項7】
請求項5のエネルギー採取インプラントであり、前記圧電素子は前記管状デバイス上に位置しており、前記管状デバイスの運動は、前記圧電素子に対する圧縮力の適用により圧縮位置へもたらされるエネルギー採取インプラント。
【請求項8】
請求項5のエネルギー採取インプラントであり、前記管状デバイスは前記血管壁の伸長に応じて拡張位置へ移動可能であり、前記圧電素子は前記管状デバイス上に位置し、前記圧電素子への緊張の適用により拡張位置へもたらされるエネルギー採取インプラント。
【請求項9】
請求項2のエネルギー採取インプラントであり、前記インプラントデバイスは、前記血管壁に接触するように位置可能な外面を有するコイル状リボンであるエネルギー採取インプラント。
【請求項10】
請求項9のエネルギー採取インプラントであり、前記コイル状リボンは圧電ファイバ組成材料から形成されているエネルギー採取インプラント。
【請求項11】
請求項2のエネルギー採取インプラントであり、前記エネルギー採取インプラントの少なくとも一部は血管内で径方向圧縮姿勢で位置するように構成されており、且つ前記エネルギー採取インプラントを前記血管内に保持するように径方向拡張姿勢になるように構成されているエネルギー採取インプラント。
【請求項12】
医療用インプラントにおける使用のために血管からの機械的エネルギーを採取する方法であって、
血管内にインプラントデバイスを位置させ、このインプラントデバイスは少なくとも一つの圧電素子を含み、この圧電素子は血管活動に応じて機械的な力を受け取ることにより電圧を発生する方法。
【請求項13】
請求項12の方法であり、前記圧電素子は、前記血管の屈曲に応じて屈曲し、且つそれに応じて電圧を発生するように位置された方法。
【請求項14】
請求項12の方法であり、前記圧電素子が前記血管の収縮に応じて圧縮されることにより電圧を発生する方法。
【請求項15】
請求項12の方法であり、前記圧電素子が前記血管の拡張に応じて伸長することにより電圧を発生する方法。
【請求項16】
請求項12の方法であり、前記血管の拡張に応じて緊張が前記圧電素子へ及ぼされることにより電圧を発生する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−15】
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【公表番号】特表2011−526823(P2011−526823A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517504(P2011−517504)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/049727
【国際公開番号】WO2010/005915
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(505448947)シネコー・エルエルシー (15)
【Fターム(参考)】