説明

移植機の苗供給装置

【課題】整列した苗を使用する移植機において、分離される苗列に隣接する苗列を確実に押え、苗の葉が絡まって抜いてしまうことが無く、装置の高さを低くして配置の制限を少なくした移植機の苗供給装置を提供する。
【解決手段】縦移動機構22の終端部上方に縦移動機構22による整列苗90の移動方向に直交する支軸32を設け、支軸32から先端部33aが尖った複数の苗押え体33を設け、苗押え体33の側面は縦移動機構22による整列苗90の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、その苗押え体33の先端部33aを整列苗90の分離される苗列に隣接する苗列の上面から培土90a中に突き刺して押える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の移植栽培で、個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒育苗容器による紙筒苗のような整列した苗を使用する移植機において、整列苗から一挙に個々の苗に分離、あるいは一旦列状に分離してから個々の苗に分離し、植付装置に供給する移植機の苗供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙筒苗のような整列苗から一旦列状に分離してから個々の苗に分離する苗供給装置は、特公昭48−36732号として知られている。
【0003】
この苗供給装置は、紙筒載置台に紙筒苗を載せて間欠移動させ多数の針体を設けた剥離装置に供給して列状に剥離し、列状の紙筒苗をコンベヤーに受け渡した後で個々の苗に分離し植付けるものである。
【0004】
そして、この苗供給装置は、L形腕に一端を固定し他端で紙筒上面を押える8本の紙筒押え棒を設け、紙筒押え棒の下端は舟底形状とし、その紙筒押え棒の下端で第2列目の紙筒を支え、剥離装置で第1列目を剥離するもので、L形腕にスプリングを取り付けてL形腕に固定した紙筒押え棒を下方に向けて付勢している。紙筒載置台が紙筒苗を間欠移動させるときは、カムによりL形腕がピンを支点として回動し紙筒押え棒が紙筒上面から上方に退避するようにしている。
【0005】
また同様に、紙筒苗のような整列苗から一旦列状に分離してから個々の苗に分離する苗供給装置として、特公平6−38722号に示されるものも知られている。
【0006】
そして、この苗供給装置は、集合苗を形成している土付苗を間欠駆動する集合苗供給コンベアと、この集合苗供給コンベアの送出端部前方に受入端部を位置させた列苗搬送コンベアと、列苗搬送コンベアの受入端部上方で水平状態、上記集合苗供給コンベアの送出端部前方で起立状態になる苗分離板と、この苗分離板に多数列設支持され、苗分離板が起立状態にあってその第1列目の列苗の各土付苗に刺し込まれ、苗分離板が水平状態にあって各土付苗から抜け出て列苗を列苗搬送コンベアの受入端部上に落下転載させる苗分離針とによるものである。
【0007】
さらに、集合苗供給コンベアの送出端部上方に多数列設支持され、送出端部上の集合苗の第2列目の列苗を形成している各土付苗に刺し込まれ、その第2列目の列苗が第1列目の位置に達しているときに抜き出され、新たに第2列目の位置に達している列苗を形成している各土付苗の上方に移動してその各土付苗に刺し込まれる苗押え針とによるものである。
【0008】
紙筒苗のような整列苗から一挙に個々の苗に分離する苗供給装置は、特許第2823521号として知られている。
【0009】
この苗供給装置は、整列苗を載せて往復移動して分離部に分離される苗を横方向に移動させる横移動機構を設け、整列苗を載せて分離部に分離される苗を縦方向に移動させる縦移動機構を設け、分離部の左右には整列苗の縦方向の位置を規制する一対の苗規制ベルトを設け、苗規制ベルトの整列苗側の面は横移動機構の移動に対応して同じ方向に移動し、分離部には整列苗の分離される苗の移動側面に接する一対の分離回転体を設けたものである。
【特許文献1】特公昭48−36732号公報
【特許文献2】特公平6−38722号公報
【特許文献3】特許第2823521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特公昭48−36732号に示される従来の技術では、舟底形状の紙筒押え棒の下端で第2列目の紙筒上面を押えるものであり、紙筒上面は軟らかいために確実に押えられず抜け出る虞があり、さらに舟底形状の部分に苗の葉が絡まり抜いてしまう虞がある。
【0011】
また、紙筒押え棒はL形腕の上端から紙筒苗の移動方向の斜め下方に向けた直線形状であり、装置が紙筒上面からかなりの高さを有し装置の配置に制約を受ける。
【0012】
上記の特公平6−38722号に示される従来の技術では、多数の苗押え針は苗押え板で支持され、苗押え板が油圧シリンダーのロッドの伸縮により上昇または下降し、その下降により苗押え針を集合苗の所定の苗列に突き刺し、上昇によりそれを抜き出すものであり、高価で複雑な装置となり、さらに装置が紙筒上面からかなりの高さを有し装置の配置に制約を受ける。
【0013】
また、苗押え針が土付苗に突き刺さった状態にあるとき、集合苗供給コンベアが走行し集合苗の搬送にともない苗押え板はスプリングに抗して前方に回動し、苗押え板を上昇し苗押え針を土付苗から抜くと苗押え板はスプリングにより自動的に戻り、新たに第2列目の位置に達している土付苗の上方に移動して刺し込まれるものであり、苗押え針が土付苗に突き刺さったまま移動するため装置が複雑となっている。
【0014】
上記の特許第2823521号に示される従来の技術では、紙筒苗のような整列苗から一挙に個々の苗に分離するもので、一旦列状に分離するものより引き剥がしの力が弱く分離される苗列に隣接する苗列を押えるものは設けていなかった。しかし紙筒苗群の継目では最後の2列目を分離するとき最後の列が抜け出てしまうことがあった。
【0015】
そこで本発明は、分離される苗列に隣接する苗列を確実に押え、苗の葉が絡まって抜いてしまうことが無く、装置の高さを低くして配置の制限を少なくし、簡単な構成で苗押え体を上方に退避させ、一挙に個々の苗に分離するものにも適用できる移植機の苗供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明による移植機の苗供給装置は、個々の苗91に分離可能に整然と連結した紙筒苗のような整列苗90を移動させて分離部50に供給して個々の苗91に分離し植付装置80に供給する移植機において、整列苗90を載せて分離部50に向けて縦方向に間欠移動させる縦移動機構22を設け、縦移動機構22の終端部上方に縦移動機構22による整列苗90の移動方向に直交する支軸32を設け、支軸32から先端部33aが尖った複数の苗押え体33を設け、苗押え体33の側面は縦移動機構22による整列苗90の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、苗押え体33の先端部33aは下方に向けて付勢され、その苗押え体33の先端部33aを整列苗90の分離される苗列に隣接する苗列の上面から培土90a中に突き刺して押え、縦移動機構22により整列苗90が移動するとき支軸32の回動により苗押え体33の先端部33aが整列苗90の上面から上方に退避するものである。
【0017】
請求項2の発明による移植機の苗供給装置は、整列苗90を載せて分離部50に向けて連続的に往復移動して分離される整列苗90を横方向に移動させる横移動機構10を設け、横移動機構10の横方向の移動端で縦移動機構22により整列苗90を間欠移動させ、支軸32の両端部に支軸32に直交する方向に突出した一対の回動腕35を設け、横移動機構10の横方向の移動端で一対の回動腕35に接当係合する一対の係合突起36a,36bを設け、係合突起36a,36bが回動腕35に接当係合することにより支軸32が回動して苗押え体33の先端部33aが整列苗90の上面から上方に退避するものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、支軸から先端部が尖った複数の苗押え体を設け、苗押え体の先端部は下方に向けて付勢され、その苗押え体の先端部を整列苗の分離される苗列に隣接する苗列の上面から培土中に突き刺して押えるもので、尖った先端部により抜け出る虞が無いから、分離される苗列に隣接する苗列を確実に押えられる。
【0019】
また、支軸から先端部が尖った複数の苗押え体を設け、苗押え体の側面は縦移動機構による整列苗の移動方向及び下方に向けた円弧形状であり、苗押え体の形状が苗の葉に対して抵抗が少ないもので絡まる虞が無いから、苗の葉が絡まって抜いてしまうことが無い。
【0020】
また、支軸から先端部が尖った複数の苗押え体を設け、苗押え体の側面は縦移動機構による整列苗の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、支軸の回動により苗押え体の先端部が整列苗の上面から上方に退避するものであり、苗押え体が支軸により回動するもので上方に大きく飛び出た部分が無いから、装置の高さを低くして配置の制限を少なくすることができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、支軸の両端部に支軸に直交する方向に突出した一対の回動腕を設け、横移動機構の横方向の移動端で一対の回動腕に接当係合する一対の係合突起を設け、係合突起が回動腕に接当係合することにより支軸が回動して苗押え体の先端部が整列苗の上面から上方に退避するものであり、横移動機構による移動を利用して苗押え体を回動させるものであるから、簡単な構成で苗押え体を上方に退避させることができる。
【0022】
また、整列苗を載せて分離部に向けて連続的に往復移動して分離される整列苗を横方向に移動させる横移動機構を設け、横移動機構の横方向の移動端で縦移動機構により整列苗を間欠移動させるものであり、分離部に順次分離される苗が供給されるから、一挙に個々の苗に分離するものにも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
分離される苗列に隣接する苗列を確実に押え、苗の葉が絡まって抜いてしまうことが無く、装置の高さを低くして配置の制限を少なくし、簡単な構成で苗押え体を上方に退避させ、一挙に個々の苗に分離するものにも適用できる移植機の苗供給装置を提供するという目的を、個々の苗91に分離可能に整然と連結した紙筒苗のような整列苗90を移動させて分離部50に供給して個々の苗91に分離し植付装置80に供給する移植機において、整列苗90を載せて分離部50に向けて連続的に往復移動して分離される整列苗90を横方向に移動させる横移動機構10を設け、横移動機構10の横方向の移動端で整列苗90を載せて分離部50に向けて縦方向に間欠移動させる縦移動機構22を設け、縦移動機構22の終端部上方に縦移動機構22による整列苗90の移動方向に直交する支軸32を設け、支軸32から先端部33aが尖った複数の苗押え体33を設け、苗押え体33の側面は縦移動機構22による整列苗90の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、苗押え体33の先端部33aは下方に向けて付勢され、その苗押え体33の先端部33aを整列苗90の分離される苗列に隣接する苗列の上面から培土90a中に突き刺して押え、支軸32の両端部に支軸32に直交する方向に突出した一対の回動腕35を設け、横移動機構10の横方向の移動端で一対の回動腕35に接当係合する一対の係合突起36a,36bを設け、縦移動機構22により整列苗90が移動するとき係合突起36a,36bが回動腕35に接当係合することにより支軸32が回動して苗押え体33の先端部33aが整列苗90の上面から上方に退避することにより実現した。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係る移植機の苗供給装置の側面図であって、2条を一度に本圃に移植する2畦用の移植機を示している。
【0025】
この移植機に用いる整列苗90として、紙筒集合育苗容器による根部が培土に覆われた紙筒苗を示している。この紙筒集合育苗容器は、展開すると六角柱状の上下が開口した多数の紙筒90aを、整然と糊で貼り合わせたものである。この紙筒90a中に培土を詰めて播種して育苗すると苗が生長して葉90bの生えた紙筒苗の整列苗90となり、移植時には適度の連結強度を保って個々の苗91に分離可能に整然と列状に連結している。
【0026】
つぎに、この紙筒苗による整列苗90を個々の苗91に分離し植付装置80に供給する苗供給装置を装備した移植機について説明する。
【0027】
図1において、1は機枠であり、機枠1は平面視が略長方形の枠体を成していて、図示しないトラクターに取り付けられて牽引され進行する。そして、機枠1の上方には左右一対の上部枠2を設け、上部枠2の前側上方に前苗載台脚3を後側上方に後苗載台脚4を設け、前苗載台脚3から後苗載台脚4に渡る上方には苗載台5を設け、苗載台5の下方の上部枠2上に横移動機構10および苗供給装置20と分離部50を設ける。
【0028】
機枠1の下方左右には接地輪6を設け、接地輪6は圃面Eに接地していて機枠1の進行により回転して装置の動力を供給する。機枠1と上部枠2の間に左右一対の苗選別整列装置70を設け、苗選別整列装置70は苗選別整列装置枠71に支持され、苗選別整列装置70と圃面Eの間には左右一対の植付装置80を設ける。
【0029】
横移動機構10には、往溝と復溝とが無端交叉状に形成した円筒カムが刻まれた送りネジを設け、上部枠2上に移植機の進行方向に沿って設けた一対のレール11と、レール11上にそれに沿って往復移動可能な左右一対の苗供給装置20とを設ける。この横移動機構10により整列苗90を移動させる方向を横方向とする。
【0030】
苗供給装置20に一対の苗供給装置枠21を設け、苗供給装置枠21は分離部50側にやや低く傾斜し、苗供給装置枠21のレール11に対応する四方の下面にはレール11の方向に回転するガイドローラ12を設け、ガイドローラ12は自由に回転するよう苗供給装置枠21に係止される。また、横移動機構10により苗供給装置枠21がレール11の方向に連続的に往復移動するようになっている。
【0031】
苗供給装置20の一対の苗供給装置枠21内には、横移動機構10の移動方向と直交する方向に移動する縦移動機構としてのベルト22を設ける。そして、ベルト22上には整列苗90を載せて横移動機構10の移動端で横移動機構10の移動方向と直交する方向(機枠1の左右外側方向)に間欠的に移動させる。このベルト22により整列苗90を移動させる方向を縦方向とする。
【0032】
ベルト22には、苗供給装置枠21が横方向に移動し、その移動端でのみ横移動機構10の回転が伝達されるようにし、横移動機構10の移動端で整列苗90の苗列の一列分よりやや多くベルト22を間欠移動させる。そして、ベルト22上には分離部50に供給する整列苗90を載せ、横移動機構10とベルト22により連続的に整列苗90の最前列の分離される苗を分離部50に導く。
【0033】
また、苗供給装置枠21内のベルト22の分離部50から遠い側に苗コンテナ95を載置し、苗コンテナ95に整列苗90を載せて順次整列苗90をベルト22に受け渡す。
【0034】
苗供給装置20のベルト22の左右端上方で苗供給装置枠21上に一対の苗案内体枠23を設け、苗案内体枠23の内方には整列苗90が縦方向に移動するときの側面を案内する一対の苗案内ベルト24を設ける。苗案内ベルト24は、整列苗90の移動側面に接して整列苗90の移動により自由に回転移動する。
【0035】
ベルト22の終端部上方で一対の苗案内体枠23上の間に苗押え装置30を設ける。
【0036】
苗押え装置30には、苗案内体枠23上に一対の苗押え装置枠31を設け、苗押え装置枠31の上部の間にベルト22による整列苗90の移動方向に直交する水平方向に長い支軸32を設ける。支軸32は、苗押え装置枠31に自由に回転するように止める。
【0037】
一対の苗押え装置枠31の間で、支軸32から複数の苗押え体33を等間隔に固定して設ける。苗押え体33は先端部33aが尖っていて、その先端部33aを分離される苗列に隣接する苗列の上面から紙筒90a中の培土に突き刺して押えるものである。実施例では、10個の先端部33aを配置し、2個の先端部33aを有する苗押え体33を5個配置した。
【0038】
苗押え体33の側面(整列苗90が縦方向に移動するときの側面)はベルト22による整列苗90の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、基部側が幅広く先端部33aに向かうに従い狭くなる薄板で形成されている。
【0039】
苗押え装置枠31と苗押え装置枠31に最も近い苗押え体33の間に、支軸32を中に通した一対のネジリコイルバネ34を設ける。ネジリコイルバネ34の一端は苗押え体33に、もう一端は苗押え装置枠31に係止され、ネジリコイルバネ34により苗押え体33の先端部33aは下方に向けて付勢される。
【0040】
そのネジリコイルバネ34により下方に向けて付勢された苗押え体33の先端部33aを、整列苗90の分離される苗列に隣接する苗列(第2列目)の上面から紙筒90a中の培土に突き刺して、分離される苗に連れ出されて抜け出るのを押える。
【0041】
苗押え装置枠31の外側で、支軸32の両端部に支軸32に直交する上下方向に突出した一対の回動腕35を設ける。回動腕35の上方は外方に曲げ、その上に自由に回転するローラー35aを係止する。なお、回動腕35の下部は、手動操作で苗押え体33を持上げるためのレバーとなっている。
【0042】
前苗載台脚3の上部から後方に向けて係合突起36aを設け、後苗載台脚4の上部から前方に向けて係合突起36bを設け、一対の係合突起36a,36bは横移動機構10の横方向の移動端で一対の回動腕35のローラー35aに接当係合する。
【0043】
図7に示すように、回動腕35のローラー35aが係合突起36a,36bに接当係合すると、回動腕35の上部は整列苗90が縦方向に移動する方向とは逆に回動し、支軸32が回動して苗押え体33の先端部33aが整列苗90の上面から上方に退避する。
【0044】
ここで、横移動機構10の横方向の移動端でベルト22により整列苗90が縦方向に移動し、同時に係合突起36a,36bが回動腕35のローラー35aに接当係合することにより支軸32が回動して苗押え体33の先端部33aが整列苗90の上面から上方に退避する。そのため、整列苗90の葉90bは上方に退避した苗押え体33の間を通過することになる。
【0045】
分離部50には、整列苗90を一挙に個々の苗91として分離して繰り出す一対の分離回転体51を設ける。
【0046】
分離部50の左右には、整列苗90の縦方向の位置を規制する一対の苗規制体40を設ける。
【0047】
上部枠2の外方と苗載台5の間に一対の規制体枠41を設け、規制体枠41から一対のリンク44を介して苗供給装置20側にベルト枠43を設け、ベルト枠43に苗規制ベルト42を掛け渡す。
【0048】
苗規制ベルト42は、横移動機構10の移動方向に長く、その整列苗90側の面は横移動機構10の移動に対応して同じ方向に移動する。
【0049】
整列苗90は立垂状態でベルト22上に載せられ、横移動機構10による往復移動により共に移動し、分離部50の一対の分離回転体51に順次接することにより連続的に個々の苗91に分離される。苗91が分離されたことにより露出した後続の苗列は、一方の苗規制ベルト42が整列苗90側に移動して接することにより保持される。
【0050】
整列苗90の一列を全て分離し終えるとベルト22は苗列の一列分よりやや多く間欠移動するが、整列苗90は苗規制体40により苗列の一列分のみ移動し、横移動機構枠10の反対方向への移動により新たな苗列の分離が開始され、連続的に分離される苗が分離部50に供給される。
【0051】
分離された苗91は一対の分離回転体51に挾まれて繰り出され、転向装置60に受け渡される。転向装置60は、分離部50と苗選別整列装置70の間に設け、分離部50により立垂状態で分離された苗91を横向き状態に連続的に転向させる。
【0052】
転向装置60の搬送終端から苗選別整列装置70を設ける。苗選別整列装置枠71から横搬送ベルトを水平方向に連ねて設け、苗91の葉の生えていない欠株苗を除去し、間隔の不揃になった苗91列を一旦密着整列させた後、所定間隔毎に苗91を植付装置80に受け渡す。
【0053】
植付装置80は一対の弾性円盤によるもので、苗選別整列装置70から横向き状態で受け渡された苗91を立垂状態として圃面Eに植え付ける。
【0054】
以上の実施例では、整列苗90として紙筒育苗容器によるものを示したが、育苗培地そのものが育苗容器を形成している無機物繊維や高分子化合物によるものでも、個々の苗91に分離可能に整然と連結されているものであれば良い。
【0055】
また、苗押え体33の先端部33aを紙筒90a中の培土に突き刺すものを示したが、紙筒育苗容器によらない場合にはその培土中に突き刺すようにしても良い。
【0056】
また、整列苗90が横移動機構10による往復移動により一挙に個々の苗91に分離される例を示したが、一旦列状に分離してから個々の苗に分離するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】移植機の苗供給装置の一実施例を示す側面図である。
【図2】その要部を示す部分拡大正面図である。
【図3】図2の一部を切り欠いた図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図4の要部を示す部分拡大図である。
【図6】図3のB矢視図である。
【図7】図3の作動を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 横移動機構
22 縦移動機構としてのベルト
32 支軸
33 苗押え体
33a 先端部
35 回動腕
36a,36b 係合突起
50 分離部
80 植付装置
90 整列苗
90a 培土としての紙筒
91 苗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の苗に分離可能に整然と連結した紙筒苗のような整列苗を移動させて分離部に供給して個々の苗に分離し植付装置に供給する移植機において、整列苗を載せて分離部に向けて縦方向に間欠移動させる縦移動機構を設け、縦移動機構の終端部上方に縦移動機構による整列苗の移動方向に直交する支軸を設け、支軸から先端部が尖った複数の苗押え体を設け、苗押え体の側面は縦移動機構による整列苗の移動方向及び下方に向けた円弧形状で、苗押え体の先端部は下方に向けて付勢され、その苗押え体の先端部を整列苗の分離される苗列に隣接する苗列の上面から培土中に突き刺して押え、縦移動機構により整列苗が移動するとき支軸の回動により苗押え体の先端部が整列苗の上面から上方に退避する移植機の苗供給装置。
【請求項2】
整列苗を載せて分離部に向けて連続的に往復移動して分離される整列苗を横方向に移動させる横移動機構を設け、横移動機構の横方向の移動端で縦移動機構により整列苗を間欠移動させ、支軸の両端部に支軸に直交する方向に突出した一対の回動腕を設け、横移動機構の横方向の移動端で一対の回動腕に接当係合する一対の係合突起を設け、係合突起が回動腕に接当係合することにより支軸が回動して苗押え体の先端部が整列苗の上面から上方に退避する請求項1記載の移植機の苗供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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