移植機
【課題】左右に往復移動する苗載せ台に載置したマット苗が植付装置の移植杆により植付けられて所定の残量になり、植付作業を一旦中断して苗載せ台に残っている少量のマット苗の上手側から新たなマット苗を補給しなければならない時、不慣れなオペレータであっても当該苗載せ台を左右の移動終端で的確に停止させることができるようにする。
【解決手段】苗切れセンサ87がマット苗の苗切れを検出した時点で、苗載せ台の左右移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する予告信号と本信号からなる報知手段82を設けた。
【解決手段】苗切れセンサ87がマット苗の苗切れを検出した時点で、苗載せ台の左右移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する予告信号と本信号からなる報知手段82を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体後部に植付作業機を連結してなる乗用型田植機等の移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機の一例である乗用型田植機では、左右に往復移動する苗載せ台を備えた植付作業機を機体後部に昇降自在に連結してあり、苗載せ台に載置したマット苗は、苗載せ台が左右の移動終端に達した時、苗縦送り機構を介して下方に所定量繰り出されるようになっている。そして、苗載せ台に載置したマット苗が植付装置の移植杆により植付けられて所定の残量になると、苗切れセンサによる検知がなされて苗切れ警報が発せられるようになっており、その際オペレータは、植付作業を一旦中断して苗載せ台に残っている少量のマット苗の上手側から新たなマット苗を補給しなければならない。
【0003】
ところが、上述の如く苗載せ台に残っている少量のマット苗が、その幅方向中途部まで移植杆により掻き取られた状態で植付作業を中断した時は、補給するマット苗の重さによって苗載せ台に残っている少量のマット苗の潰れ(屈曲)や傾き現象が起こり易く、この状態で植付作業を再開すると掻き取り不良による欠株の発生や一株当たりの苗本数にバラツキが出ることがあった。
【0004】
そこで、左右に往復移動する苗載せ台の移動終端において、植付装置及び苗載せ台の往復移動機構に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチを自動的に切り作動させる植付自動停止手段を設け、植付作業を開始した後、苗載せ台へマット苗を補給する際に前記植付自動停止手段を作動させることによって、苗載せ台を左右の移動終端で停止させると共に植付装置の作動も停止させ、これにより苗載せ台へマット苗を補給した後に植付作業を再開する際、補給したマット苗の重さによって苗載せ台に残っている少量のマット苗の潰れ(屈曲)や傾き現象が起こることを防止し、欠株の発生や一株当たりの苗本数にバラツキの出ない良好な植付作業を行なえるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−61074号公報(第9−11頁、図8−図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、上述した特許文献1のものでは、植付作業中に誤って植付自動停止手段による植付装置及び苗載せ台の作動停止がなされると圃場内に苗の植付けが行なわれない部分が発生することから、植付作業中は、植付自動停止手段に基づく植付部及び苗載せ台の作動停止を規制する自動停止規制手段を設けると共に、植付クラッチを作動させる操作とは異なる操作手段である警報停止スイッチと植付作業機を昇降操作する昇降操作レバーを兼用し、単に昇降操作レバーを操作するだけでなく両者を組み合わせることによって、植付自動停止手段の作動開始操作と植付作業開始操作の誤操作等を防止できるように構成している。
【0006】
しかし、前記昇降操作レバーは、一般的に植付作業機を昇降操作するだけでなく、植付クラッチの入り切り操作と、次の植付け行程の指標を圃場面に形成する左右一対の線引きマーカの振り出し開始順序を選択する操作も行えるようになっており、乗用型田植機の運転操作に不慣れなオペレータは、更に複雑な昇降操作レバーの操作手順を覚えなければならず混乱する恐れがあると共に、上述した植付自動停止手段の制御形態が複雑化するといった欠点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的とした本発明は、左右に往復移動する苗載せ台と、苗載せ台に載置したマット苗を下方に繰り出す苗縦送り機構と、苗載せ台から苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、植付装置及び苗載せ台の往復移動機構に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチと、該植付クラッチを入り切り操作する植付クラッチ操作手段とを備えた移植機において、前記苗載せ台の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段を備え、該苗載せ台移動検出手段の検出に基づいて、前記苗載せ台の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチの切り操作タイミングを報知する報知手段を設けたことを第1の特徴としている。
そして、苗載せ台に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサを設け、該苗切れセンサがマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段が作動するように構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、左右に往復移動する苗載せ台の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段を備え、該苗載せ台移動検出手段の検出に基づいて、前記苗載せ台の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチの切り操作タイミングを報知する報知手段を設けたことによって、乗用型田植機の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記報知手段による報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段を介して植付クラッチを切り操作することにより、複雑な操作を行うことなく当該苗載せ台をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
そして、苗載せ台に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサを設け、該苗切れセンサがマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段が作動するように構成したことによって、不必要な時に報知手段による報知がなされることを防止できる。即ち、実際にマット苗の補給が必要なタイミングでのみ報知手段による報知がなされるので、オペレータが植付クラッチ操作手段を誤操作することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、移植機の一例である乗用型田植機1の側面図と平面図であって、該乗用型田植機1の機体フレーム2の後部には、アクチュエータとしての油圧シリンダ3を備える昇降リンク機構4が設けてあり、この昇降リンク機構4を介して作業機である植付作業機5を昇降自在に連結すると共に、機体フレーム2の下部には、左右一対の前輪6と後輪7を備えている。
【0010】
そして、機体フレーム2の前部には、図示しないエンジン等を覆うボンネット8を備えており、エンジンから出力される動力を、図3に示す油圧式無段変速装置9を介してトランスミッションケース11内の動力伝達装置に伝達すると共に、このトランスミッションケース11内で走行伝動系と植付伝動系に動力を分岐させて、左右一対の前輪6と後輪7及び植付作業機5とに動力を伝達できるように構成している。尚、トランスミッションケース11の左右一側には、図示しない油圧ポンプが設けてあり、この油圧ポンプから供給される圧油によって後述する油圧コントロールバルブ71(図8参照)を介して油圧シリンダ3の伸縮動作を制御している。
【0011】
また、機体フレーム2の後部上方には、オペレータが着座する座席12が設けてあり、この座席12の前方に各種モニタを表示する操作パネル13を配置すると共に、該操作パネル13の上方にステアリングハンドル14、該ステアリングハンドル14の下方には、操縦部15の床面を形成するステップ16を設けている。
【0012】
そして、図4に示すように、操作パネル13と一体に形成したステアリングコラム17の左右一側には、植付作業機5の昇降操作と後述する植付クラッチ52(図3参照)の入り切り操作を行なうと共に、次の植付け行程の指標を圃場面に形成する左右一対の線引きマーカ18L,18Rの振り出し開始順序を選択することができる上下、及び前後揺動操作可能なクイックアップレバー19を設けている。即ち、このクイックアップレバー19の上下方向の操作によって植付作業機5の昇降、及び植付クラッチ52の入り切りがなされる一方、前後方向の操作によって左右の線引きマーカ18L,18Rの振り出し開始順序を選択できるようになっている
【0013】
尚、操作パネル13には、植付作業機5の昇降と、該植付作業機5へ動力を伝達する植付クラッチ52の入り切り操作を可能にする作業機準備スイッチ21、左右一対の線引マーカ18L,18Rの点灯式マーカ自動モニタを兼ねると共に、両線引マーカ18L,18Rの自動振り出しを可能にするマーカ自動スイッチ22、及び図示しない警報ブザーによる様々な報知を停止させる警報停止スイッチ23等を設けている。
【0014】
また、上述した昇降リンク機構4の後端には、図5に示すようにリンクホルダ24が取付けてあり、このリンクホルダ24に備える図示しないローリング軸を介して植付作業機5をローリング自在に支持する角パイプ状の植付フレーム25を横設している。そして、植付フレーム25に立設した左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rによって、植付け用のマット苗を載置する苗載台27を前高後低状の傾斜姿勢で左右に往復移動自在に支持している。
【0015】
そして、植付フレーム25の後側下部には、図6に示すように複数の植付伝動ケース28が所定の間隔を存して取り付けてあり、この植付伝動ケース28に内装した図示しないチェン伝動機構及び植付駆動軸等を介して、当該植付伝動ケース28の後部左右両側に組付けた植付装置(ロータリケース)29に備える一対の移植杆31が回転駆動するようになっている。即ち、各植付装置29には、自らの回転に伴って移植杆31を所定の軌跡に沿って回転運動させることができる図示しない遊星ギヤ機構を内装しており、それによって苗載台27上に載置(並置)したマット苗から一株分の苗を掻取って連続的に圃場に移植することができるようになっている。
【0016】
また、植付伝動ケース28の下方には、植付作業機5を所望の高さに制御する油圧感知フロートとして作用すると共に、圃場面を整地する整地フロートを兼ねる図示しないセンターフロートと、左右の前輪6と後輪7の車輪跡を消して圃場面を整地する整地フロートであるサイドフロート32を支持しており、これらセンターフロートとサイドフロート32の下面が圃場面に接地して滑走する状態まで植付作業機5を下降させた後、機体を走行させながらの移植(植付け)作業を行なえるようになっている。
【0017】
また、植付伝動ケース28の幅方向略中央には、トランスミッションケース11から突出する植付PTO軸33から出力される動力を、連結軸34及びユニバーサルジョイント35を介して入力する入力ケース36を取り付けてあり、この入力ケース36は、分岐伝動部を構成するベベルギヤB1,B2を介して左右の出力軸37L,37Rに動力を分岐せしめている。そして、左右の出力軸37L,37Rから各植付伝動ケース28に駆動力が入力され、これら植付伝動ケース28に内装したチェン伝動機構及び植付駆動軸等を介して植付装置29が回転駆動されるようになっている。
【0018】
ところで図6において、右側に位置する植付伝動ケース28の外側には、苗載せ台27の往復移動機構(横送り装置)37を構成する変速機構38aを内装した横送り変速ケース38を配置している。この横送り変速ケース38には、入力ケース36から分岐した右側の出力軸37Rから動力を伝達すると共に、横送り変速ケース38内の変速機構38aを介して横送り軸39に駆動力を伝達できるように構成している。
【0019】
更に詳しくは、横送り軸39には、その左右方向に螺旋溝39aを形成してあり、この螺旋溝39aに案内されるガイドピース41を内装すると共に横送り軸39に外嵌するスライドブロック42の作用によって、苗載せ台27を横送り軸39に沿って左右に往復移動させることができるように構成している。そして、上述した横送り変速ケース38内の変速機構38aを介して横送り軸39を所望の回転速度に切換えることによって、苗載台27の左右往復移動行程、即ち苗載台27の横送り一行程における移植杆31による苗の掻き取り回数を変更することができる。
【0020】
更に、横送り軸39の一端(入力ケース36側)には、回動カム43を取り付けてあり、この回動カム43の近傍に該回動カム43当接して上下に揺動する図示しない揺動アームを設けると共に、該揺動アームの揺動により図示しない縦送りレバーを上方に間欠的に叩き上げてワンウェイクラッチを操作し、それにより苗縦送りベルト44を一方向に回転させて苗載せ台27に載置したマット苗を下方に繰り出すことができる苗縦送り機構45も設けている。
【0021】
また、トランスミッションケース11内には、図3に示すように、走行伝動系に動力を変速して伝達する副変速機構51と、植付作業機5へ動力を出力する植付PTO軸33への動力伝達を入り切りする植付クラッチ52を備えており、この植付クラッチ52の近傍には、該植付クラッチ52を図示しない副変速レバーを介して入り切り操作するシフタ軸53を設けている。即ち、植付クラッチ52を入り作動させると、植付作業機5の入力ケース36に駆動力が入力されて植付装置29が回転駆動すると共に、苗載せ台27の左右往復移動がなされる。一方、植付クラッチ52を切り作動させると、植付装置29の回転及び苗載せ台27の左右往復移動が共に停止する。
【0022】
以上説明した構成により、先ずクイックアップレバー19の下方操作によってセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地するように植付作業機5を下降させ、次いで植付クラッチ52を入り作動させて植付装置29を回転駆動させると共に苗載せ台27を左右に往復移動させ、且つ乗用型田植機1を圃場内で走行させながら左右に往復移動する苗載せ台27から、該苗載せ台27に載置したマット苗を植付装置29の移植杆31により適量掻き取って圃場に植え付ける植付作業が行なえるようになる。
【0023】
尚、植付作業機5を構成する苗載せ台27の下部には、図5に示すように、苗載せ台27に載置したマット苗の下部を受けるエプロン56と連係する掻取り調節レバー57を設けている。即ち、この掻取り調節レバー57を上下に揺動操作することによりエプロン56も連係して上下に移動するので、植付装置29の移植杆31の植付け軌跡に対する苗載せ台27(エプロン56)の相対的な位置関係を変更することができる。したがって、前記移植杆31によるマット苗の掻き取り量の調節が可能であり、苗の植付け本数を所望の本数に調節することができる。
【0024】
また、図7に示す本発明の第一実施例のように、左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rの上端には、断面がL字状の支持ステー61を横設している。一方、苗載せ台27における前記支持ステー61の近傍位置には、苗載せ台27の左右方向にスライドレール62を固設している。そして、左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rの背面(苗載せ台27)側の支持ステー61の一面には、ローラ状のスライドピース63を回転自在に支持するためのピン64を立設している。即ち、スライドピース63の上端部分を下方に凹なスライドレール62に挿入することによって、苗載せ台27の上部側をスライドピース63を介して左右にスライド(往復移動)自在に支持している。
【0025】
また、支持ステー61の左右両側(苗載台支持フレーム26L,26R側)には、左右に往復移動する苗載せ台27が、左または右の移動終端に位置する(達した)ことを検出する苗載せ台移動終端検出センサ65をブラケット66を介して螺設してある。この苗載せ台移動終端検出センサ65は、電磁式のセンサであり、側面視で略U字状をなして上方が開口しており、互いに向かい合う二つの片が遮られると当該苗載せ台移動終端検出センサ65は入り状態となる。
【0026】
つまり、スライドレール62側には、左右に往復移動する苗載せ台27が、図7に示す如くA矢印方向に移動して左の移動終端に位置する(達した)場合は、苗載せ台移動終端検出センサ65の互いに向かい合う二つの片の間に挿入されて、当該苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする断面がL字状の左終端検出板67Lを螺設している。
【0027】
そして、左終端検出板67Lの内側(機体中心側)には、該左終端検出板67Lに先んじて苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする、断面がL字状の2つの左終端直前検出板68L,69Lをスライドレール62に螺設しているが、この2つの左終端直前検出板68L,69Lは、詳細は後述する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する報知手段としての警報ブザー82を作動させるために設けている。尚、ブラケット66には、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lの通過が可能となるように、苗載せ台移動終端検出センサ65に合わせた略U字状のスリットを形成している。
【0028】
即ち、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lは、側面視において逆L字状をなし、上方が開口する略U字状の苗載せ台移動終端検出センサ65への上方からの挿入を許容する。これにより、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lと苗載せ台移動終端検出センサ65とが当接する等の不都合なしに苗載せ台27の左右往復移動が可能になる。
【0029】
また、スライドレール62には、左右に往復移動する苗載せ台27が、右の移動終端に位置する(達した)場合は、当該苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする右終端検出板67Rと、この右終端検出板67Rの内側(機体中心側)には、該右終端検出板67Rに先んじて苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする2つの右終端直前検出板68R,69Rを螺設しているが、上述した左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lと同様な構成であり、説明を省略する。
【0030】
ところで植付作業機5は、上述したクイックアップレバー19によってセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地する高さ位置から、所定の最上昇高さ位置まで昇降操作が可能である。そして、植付作業機5を昇降させる昇降リンク機構4に備える油圧シリンダ3は、図示しない油圧ポンプからの圧油の流れを制御する図8に示す油圧コントロールバルブ71によって伸縮動作が制御される。
【0031】
そして、油圧コントロールバルブ71の近傍には、リフタカムモータ72を配設してあり、このリフタカムモータ72の出力軸に固設したピニオンギヤ73aと、リフタカム74の一側に形成したセクタギヤ74aとを歯合させると共に、図示しないバルブ操作板の係合ピンと係合する第1カム部をリフタカム74に設け、この第1カム部がバルブ操作板の係合ピンに係合した状態で、リフタカム74がスリーブ軸75を中心として回動するように構成することによって、当該リフタカム74をリフタカムモータ72の回転駆動に応じて、上げ・固定・自動(下降)・植付の4ポジションに移動制御できるように構成している。そして、リフタカム74の各ポジションへの回動により、油圧コントロールバルブ71を上げ・固定・自動位置に制御すると共に、油圧コントロールバルブ71の下げ位置において、植付クラッチ52の入り切り作動を可能にしている。
【0032】
また、リフタカム74のカム面74bの近傍には、このカム面74bに接するローラ76を備える操作アーム77を機体フレーム2側に回動自在に取り付けている。操作アーム77は、リフタカム74の回動に応じて回動操作されると共に、植付クラッチ52を入り切り操作するシフタ軸53側とロッド78を介して連結してある。
【0033】
即ち、油圧コントロールバルブ71は、図示しない油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダ3側に送る上昇ポジションで、油圧シリンダ3を伸作動させ、植付作業機5を上昇状態とする。このように油圧コントロールバルブ71を上昇ポジションとするリフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「上げ状態」となる。
【0034】
また、油圧コントロールバルブ71は、油圧シリンダ3からの圧油を図示しないオイルタンクに戻す下降ポジションで、油圧シリンダ3の縮作動を可能とし、植付作業機5の自重により該植付作業機5を下降状態とする。このように油圧コントロールバルブ71を下降ポジションとするリフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「下げ状態」となる。
【0035】
そして、油圧コントロールバルブ71の下降ポジションのまま植付作業機5が下降してセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地すると、植付作業機5が圃場面上に追従して上下するように油圧シリンダ3が自動伸縮状態となる。この油圧シリンダ3の自動伸縮状態もリフタカム74の「下げ状態」で実現される。
【0036】
更に、油圧コントロールバルブ71は、油圧シリンダ3への圧油の流れ及び該油圧シリンダ3からオイルタンクへの圧油の流れを止める固定ポジションで、油圧シリンダ3のピストンロッドの伸縮位置を固定し、植付作業機5の高さ位置を固定する。このように油圧コントロールバルブ71を固定ポジションとすると、リフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「固定状態」となる。
【0037】
尚、リフタカム74を上述した「下げ状態」から更に回動させると、操作アーム77が回動して植付クラッチ52が入り作動する「植付状態」となる。このリフタカム74の「植付状態」においては、油圧コントロールバルブ71は植付作業機5が圃場面上に追従して上下するように油圧シリンダ3の自動伸縮状態を維持する。
【0038】
そして、上述したリフタカム74は、リフタカムモータ72によって回動が制御されるようになっており、このリフタカムモータ72は、図9に示すブロック図のように、乗用型田植機1の制御部であるCPU、ROM、RAM等を備えたマイコンユニット81の出力側に、所定の出力インタフェース回路を介して接続してある。同様にマイコンユニット81の出力側には、詳細は後述する苗載せ台27の左右の移動終端において植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する報知手段である警報ブザー82を接続してある。
【0039】
また、リフタカム74の外側方には、該リフタカム74の回動角度を検出する検出器としてリフタカムポテンショメータ84を取り付けている。このリフタカムポテンショメータ84は、マイコンユニット81の入力側に所定の入力インタフェース回路を介して接続してある。更にマイコンユニット81の入力側には、クイックアップレバー19による植付作業機5の上げ操作または下げ操作を検出する昇降操作検出スイッチ85、苗載せ台27の左右の移動終端において植付クラッチ52の切り操作を促す警報ブザー82を作動可能状態とする報知モードスイッチ86、苗載せ台27に載置したマット苗が植付装置29の移植杆31により植付けられて所定の残量になったことを検出する苗切れセンサ87(図2参照)、苗載せ台27の左右の移動終端を検出するための苗載せ台移動終端検出センサ65を接続してある。
【0040】
そして、上述したマイコンユニット81には、左右に往復移動する苗載せ台の移動終端を、各入力デバイスの状態に応じて乗用型田植機1のオペレータに報知せしめる苗載せ台移動終端報知制御プログラムを記憶している。
【0041】
例えば、図7に示す本発明の第一実施例では、左右に往復移動する苗載せ台27がA矢印方向に移動して左の移動終端に位置する(達する)直前に、この苗載せ台27のスライドレール62に螺設した2つの左終端直前検出板69L,68Lが苗載せ台移動終端検出センサ65によって順次検出され、更に苗載せ台27が移動して左の移動終端に位置する(達する)と左終端検出板67Lが苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出されようになっている。
【0042】
この時、2つの左終端直前検出板69L,68Lの板幅W1と左終端検出板67Lの板幅W2の関係をW1<W2に形成すると共に、2つの左終端直前検出板69L,68Lと
左終端検出板67Lが、それぞれ苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出されている間に報知手段である警報ブザー82が作動するように構成することによって、苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促す予告信号と本信号からなる報知が可能となる。
【0043】
つまり、警報ブザー82の2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知によって、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促すことができるので、乗用型田植機1の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、当該苗載せ台27をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
【0044】
また、図10に示す第二実施例では、左右に往復移動する苗載せ台27の左または右の移動終端位置を、1つの検出板91と1個の苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出しようとするものであり、第一実施例と比べると苗載せ台移動終端検出センサ65が1個で済み低コストに構成できる。この第二実施例における苗載せ台27の移動終端報知制御を図11に示すフローチャートに基づいて以下説明する。
【0045】
先ず、ステップS1では、苗載せ台27が左または右の移動終端に位置する(達した)時、植付クラッチ52の切り操作を促す警報ブザー82を作動可能状態とする報知モードスイッチ86が入り状態にあるか切り状態にあるかを判断し、切り状態にあれば元に戻り、入り状態にあればステップS2に進む。
【0046】
ステップS2では、苗載せ台27に載置したマット苗が植付装置29の移植杆31により植付けられて所定の残量になったことを苗切れセンサ87によって検出したか否かを判断し、苗切れ検出がなければ元に戻り、苗切れ検出があればステップS3に進む。
【0047】
ステップS3では、苗載せ台27の左または右への移動により苗載せ台移動終端検出センサ65が検出板91を検出したか否か、即ち当該苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態にあるか否かを判断し、入り状態でなければ元に戻り、入り状態であればステップS4に進む。
【0048】
ステップS4では、ステップS3における苗載せ台移動終端検出センサ65の入り状態が、検出板91が苗載せ台移動終端検出センサ65を通過中のものか否か、即ち報知モードスイッチ86が入り状態になってから所定の時間(検出板91が苗載せ台移動終端検出センサ65を通過するのに要する時間)を経過した後に苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態になったか否かを判断し、報知モードスイッチ86が入り状態になってから所定の時間を経過した後に苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態になったのであればステップS5に進み、そうでなければ元に戻る。
【0049】
ステップS5では、苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検知時間αのカウントを開始しステップS6に進む。
【0050】
ステップS6では、苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検出が完了したか否か、即ち当該苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態から切り状態に切り換ったか否かを判断し、切り状態に切り換っていなければ元に戻り、切り状態に切り換ったならばステップS7に進む。
【0051】
ステップS7では、ステップS5で開始した苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検知時間αの値により苗載せ台27の移動速度を演算すると共に、この苗載せ台27の移動速度から警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知のタイミング決定し、苗載せ台27の移動速度に対応する報知タイマーをセットしてステップS8に進む。
【0052】
ステップS8では、報知タイマーが「0」になったか否かを判断し、「0」になっていなければ元に戻り、「0」になったならばステップS9に進む。
【0053】
ステップS9では、警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知を開始してステップS10に進む。この警報ブザー82による報知は、第一実施例と同様に2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知を実行することによって、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促すものであり、この時、乗用型田植機1のオペレータは、警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、当該苗載せ台27を左または右の移動終端で的確に停止させることができる。
【0054】
そして、ステップS10では、上述の如くクイックアップレバー19を介しての植付クラッチ52を切り操作がなされたか否かを、当該クイックアップレバー19による植付作業機5の上げ操作または下げ操作を検出する昇降操作検出スイッチ85が入り状態になったか切り状態にあるかを判断し、切り状態にあれば元に戻り、入り状態になったならばステップS11に進んで警報ブザー82による報知を停止して元に戻る制御を実行するように構成している。
【0055】
以上説明した第二実施例も第一実施例と同様に、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促す予告信号と本信号からなる報知、即ち報知手段である警報ブザー82の2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知によって、苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知することができるので、乗用型田植機1の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、複雑な操作を行うことなく当該苗載せ台27をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
【0056】
そして、そして、苗載せ台27に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサ87を設け、この苗切れセンサ87がマット苗の苗切れを検出したことを条件に報知手段である警報ブザー82が作動するように構成したことによって、不必要な時に警報ブザー82による報知がなされることを防止できる。即ち、実際にマット苗の補給が必要なタイミングでのみ警報ブザー82による報知がなされるので、オペレータがクイックアップレバー19を誤操作することはない。尚、上述した警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知は、視認性の良い表示ランプ等の点滅や点灯表示で行なってもよく、また警報ブザー82と表示ランプ等を組み合わせて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】乗用型田植機の平面図。
【図3】トランスミッションの展開図。
【図4】操作パネルの平面図。
【図5】植付作業機の側面図。
【図6】植付作業機の駆動機構を示す要部平面展開図。
【図7】苗載せ台の移動終端検出部の構成を示す正面斜視図(第一実施例)。
【図8】油圧感知コントロールバルブ周辺の構成を示す側面図。
【図9】制御部のブロック図。
【図10】苗載せ台の移動終端検出部の構成を示す正面斜視図(第二実施例)。
【図11】苗載せ台の移動終端報知制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
19 植付クラッチ操作手段
27 苗載せ台
29 植付装置
37 往復移動機構
45 苗縦送り機構
52 植付クラッチ
65 苗載せ台移動終端検出手段
82 報知手段
87 苗切れセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体後部に植付作業機を連結してなる乗用型田植機等の移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機の一例である乗用型田植機では、左右に往復移動する苗載せ台を備えた植付作業機を機体後部に昇降自在に連結してあり、苗載せ台に載置したマット苗は、苗載せ台が左右の移動終端に達した時、苗縦送り機構を介して下方に所定量繰り出されるようになっている。そして、苗載せ台に載置したマット苗が植付装置の移植杆により植付けられて所定の残量になると、苗切れセンサによる検知がなされて苗切れ警報が発せられるようになっており、その際オペレータは、植付作業を一旦中断して苗載せ台に残っている少量のマット苗の上手側から新たなマット苗を補給しなければならない。
【0003】
ところが、上述の如く苗載せ台に残っている少量のマット苗が、その幅方向中途部まで移植杆により掻き取られた状態で植付作業を中断した時は、補給するマット苗の重さによって苗載せ台に残っている少量のマット苗の潰れ(屈曲)や傾き現象が起こり易く、この状態で植付作業を再開すると掻き取り不良による欠株の発生や一株当たりの苗本数にバラツキが出ることがあった。
【0004】
そこで、左右に往復移動する苗載せ台の移動終端において、植付装置及び苗載せ台の往復移動機構に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチを自動的に切り作動させる植付自動停止手段を設け、植付作業を開始した後、苗載せ台へマット苗を補給する際に前記植付自動停止手段を作動させることによって、苗載せ台を左右の移動終端で停止させると共に植付装置の作動も停止させ、これにより苗載せ台へマット苗を補給した後に植付作業を再開する際、補給したマット苗の重さによって苗載せ台に残っている少量のマット苗の潰れ(屈曲)や傾き現象が起こることを防止し、欠株の発生や一株当たりの苗本数にバラツキの出ない良好な植付作業を行なえるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−61074号公報(第9−11頁、図8−図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、上述した特許文献1のものでは、植付作業中に誤って植付自動停止手段による植付装置及び苗載せ台の作動停止がなされると圃場内に苗の植付けが行なわれない部分が発生することから、植付作業中は、植付自動停止手段に基づく植付部及び苗載せ台の作動停止を規制する自動停止規制手段を設けると共に、植付クラッチを作動させる操作とは異なる操作手段である警報停止スイッチと植付作業機を昇降操作する昇降操作レバーを兼用し、単に昇降操作レバーを操作するだけでなく両者を組み合わせることによって、植付自動停止手段の作動開始操作と植付作業開始操作の誤操作等を防止できるように構成している。
【0006】
しかし、前記昇降操作レバーは、一般的に植付作業機を昇降操作するだけでなく、植付クラッチの入り切り操作と、次の植付け行程の指標を圃場面に形成する左右一対の線引きマーカの振り出し開始順序を選択する操作も行えるようになっており、乗用型田植機の運転操作に不慣れなオペレータは、更に複雑な昇降操作レバーの操作手順を覚えなければならず混乱する恐れがあると共に、上述した植付自動停止手段の制御形態が複雑化するといった欠点を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することを目的とした本発明は、左右に往復移動する苗載せ台と、苗載せ台に載置したマット苗を下方に繰り出す苗縦送り機構と、苗載せ台から苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置と、植付装置及び苗載せ台の往復移動機構に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチと、該植付クラッチを入り切り操作する植付クラッチ操作手段とを備えた移植機において、前記苗載せ台の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段を備え、該苗載せ台移動検出手段の検出に基づいて、前記苗載せ台の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチの切り操作タイミングを報知する報知手段を設けたことを第1の特徴としている。
そして、苗載せ台に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサを設け、該苗切れセンサがマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段が作動するように構成したことを第2の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、左右に往復移動する苗載せ台の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段を備え、該苗載せ台移動検出手段の検出に基づいて、前記苗載せ台の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチの切り操作タイミングを報知する報知手段を設けたことによって、乗用型田植機の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記報知手段による報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段を介して植付クラッチを切り操作することにより、複雑な操作を行うことなく当該苗載せ台をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
そして、苗載せ台に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサを設け、該苗切れセンサがマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段が作動するように構成したことによって、不必要な時に報知手段による報知がなされることを防止できる。即ち、実際にマット苗の補給が必要なタイミングでのみ報知手段による報知がなされるので、オペレータが植付クラッチ操作手段を誤操作することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、移植機の一例である乗用型田植機1の側面図と平面図であって、該乗用型田植機1の機体フレーム2の後部には、アクチュエータとしての油圧シリンダ3を備える昇降リンク機構4が設けてあり、この昇降リンク機構4を介して作業機である植付作業機5を昇降自在に連結すると共に、機体フレーム2の下部には、左右一対の前輪6と後輪7を備えている。
【0010】
そして、機体フレーム2の前部には、図示しないエンジン等を覆うボンネット8を備えており、エンジンから出力される動力を、図3に示す油圧式無段変速装置9を介してトランスミッションケース11内の動力伝達装置に伝達すると共に、このトランスミッションケース11内で走行伝動系と植付伝動系に動力を分岐させて、左右一対の前輪6と後輪7及び植付作業機5とに動力を伝達できるように構成している。尚、トランスミッションケース11の左右一側には、図示しない油圧ポンプが設けてあり、この油圧ポンプから供給される圧油によって後述する油圧コントロールバルブ71(図8参照)を介して油圧シリンダ3の伸縮動作を制御している。
【0011】
また、機体フレーム2の後部上方には、オペレータが着座する座席12が設けてあり、この座席12の前方に各種モニタを表示する操作パネル13を配置すると共に、該操作パネル13の上方にステアリングハンドル14、該ステアリングハンドル14の下方には、操縦部15の床面を形成するステップ16を設けている。
【0012】
そして、図4に示すように、操作パネル13と一体に形成したステアリングコラム17の左右一側には、植付作業機5の昇降操作と後述する植付クラッチ52(図3参照)の入り切り操作を行なうと共に、次の植付け行程の指標を圃場面に形成する左右一対の線引きマーカ18L,18Rの振り出し開始順序を選択することができる上下、及び前後揺動操作可能なクイックアップレバー19を設けている。即ち、このクイックアップレバー19の上下方向の操作によって植付作業機5の昇降、及び植付クラッチ52の入り切りがなされる一方、前後方向の操作によって左右の線引きマーカ18L,18Rの振り出し開始順序を選択できるようになっている
【0013】
尚、操作パネル13には、植付作業機5の昇降と、該植付作業機5へ動力を伝達する植付クラッチ52の入り切り操作を可能にする作業機準備スイッチ21、左右一対の線引マーカ18L,18Rの点灯式マーカ自動モニタを兼ねると共に、両線引マーカ18L,18Rの自動振り出しを可能にするマーカ自動スイッチ22、及び図示しない警報ブザーによる様々な報知を停止させる警報停止スイッチ23等を設けている。
【0014】
また、上述した昇降リンク機構4の後端には、図5に示すようにリンクホルダ24が取付けてあり、このリンクホルダ24に備える図示しないローリング軸を介して植付作業機5をローリング自在に支持する角パイプ状の植付フレーム25を横設している。そして、植付フレーム25に立設した左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rによって、植付け用のマット苗を載置する苗載台27を前高後低状の傾斜姿勢で左右に往復移動自在に支持している。
【0015】
そして、植付フレーム25の後側下部には、図6に示すように複数の植付伝動ケース28が所定の間隔を存して取り付けてあり、この植付伝動ケース28に内装した図示しないチェン伝動機構及び植付駆動軸等を介して、当該植付伝動ケース28の後部左右両側に組付けた植付装置(ロータリケース)29に備える一対の移植杆31が回転駆動するようになっている。即ち、各植付装置29には、自らの回転に伴って移植杆31を所定の軌跡に沿って回転運動させることができる図示しない遊星ギヤ機構を内装しており、それによって苗載台27上に載置(並置)したマット苗から一株分の苗を掻取って連続的に圃場に移植することができるようになっている。
【0016】
また、植付伝動ケース28の下方には、植付作業機5を所望の高さに制御する油圧感知フロートとして作用すると共に、圃場面を整地する整地フロートを兼ねる図示しないセンターフロートと、左右の前輪6と後輪7の車輪跡を消して圃場面を整地する整地フロートであるサイドフロート32を支持しており、これらセンターフロートとサイドフロート32の下面が圃場面に接地して滑走する状態まで植付作業機5を下降させた後、機体を走行させながらの移植(植付け)作業を行なえるようになっている。
【0017】
また、植付伝動ケース28の幅方向略中央には、トランスミッションケース11から突出する植付PTO軸33から出力される動力を、連結軸34及びユニバーサルジョイント35を介して入力する入力ケース36を取り付けてあり、この入力ケース36は、分岐伝動部を構成するベベルギヤB1,B2を介して左右の出力軸37L,37Rに動力を分岐せしめている。そして、左右の出力軸37L,37Rから各植付伝動ケース28に駆動力が入力され、これら植付伝動ケース28に内装したチェン伝動機構及び植付駆動軸等を介して植付装置29が回転駆動されるようになっている。
【0018】
ところで図6において、右側に位置する植付伝動ケース28の外側には、苗載せ台27の往復移動機構(横送り装置)37を構成する変速機構38aを内装した横送り変速ケース38を配置している。この横送り変速ケース38には、入力ケース36から分岐した右側の出力軸37Rから動力を伝達すると共に、横送り変速ケース38内の変速機構38aを介して横送り軸39に駆動力を伝達できるように構成している。
【0019】
更に詳しくは、横送り軸39には、その左右方向に螺旋溝39aを形成してあり、この螺旋溝39aに案内されるガイドピース41を内装すると共に横送り軸39に外嵌するスライドブロック42の作用によって、苗載せ台27を横送り軸39に沿って左右に往復移動させることができるように構成している。そして、上述した横送り変速ケース38内の変速機構38aを介して横送り軸39を所望の回転速度に切換えることによって、苗載台27の左右往復移動行程、即ち苗載台27の横送り一行程における移植杆31による苗の掻き取り回数を変更することができる。
【0020】
更に、横送り軸39の一端(入力ケース36側)には、回動カム43を取り付けてあり、この回動カム43の近傍に該回動カム43当接して上下に揺動する図示しない揺動アームを設けると共に、該揺動アームの揺動により図示しない縦送りレバーを上方に間欠的に叩き上げてワンウェイクラッチを操作し、それにより苗縦送りベルト44を一方向に回転させて苗載せ台27に載置したマット苗を下方に繰り出すことができる苗縦送り機構45も設けている。
【0021】
また、トランスミッションケース11内には、図3に示すように、走行伝動系に動力を変速して伝達する副変速機構51と、植付作業機5へ動力を出力する植付PTO軸33への動力伝達を入り切りする植付クラッチ52を備えており、この植付クラッチ52の近傍には、該植付クラッチ52を図示しない副変速レバーを介して入り切り操作するシフタ軸53を設けている。即ち、植付クラッチ52を入り作動させると、植付作業機5の入力ケース36に駆動力が入力されて植付装置29が回転駆動すると共に、苗載せ台27の左右往復移動がなされる。一方、植付クラッチ52を切り作動させると、植付装置29の回転及び苗載せ台27の左右往復移動が共に停止する。
【0022】
以上説明した構成により、先ずクイックアップレバー19の下方操作によってセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地するように植付作業機5を下降させ、次いで植付クラッチ52を入り作動させて植付装置29を回転駆動させると共に苗載せ台27を左右に往復移動させ、且つ乗用型田植機1を圃場内で走行させながら左右に往復移動する苗載せ台27から、該苗載せ台27に載置したマット苗を植付装置29の移植杆31により適量掻き取って圃場に植え付ける植付作業が行なえるようになる。
【0023】
尚、植付作業機5を構成する苗載せ台27の下部には、図5に示すように、苗載せ台27に載置したマット苗の下部を受けるエプロン56と連係する掻取り調節レバー57を設けている。即ち、この掻取り調節レバー57を上下に揺動操作することによりエプロン56も連係して上下に移動するので、植付装置29の移植杆31の植付け軌跡に対する苗載せ台27(エプロン56)の相対的な位置関係を変更することができる。したがって、前記移植杆31によるマット苗の掻き取り量の調節が可能であり、苗の植付け本数を所望の本数に調節することができる。
【0024】
また、図7に示す本発明の第一実施例のように、左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rの上端には、断面がL字状の支持ステー61を横設している。一方、苗載せ台27における前記支持ステー61の近傍位置には、苗載せ台27の左右方向にスライドレール62を固設している。そして、左右一対の苗載台支持フレーム26L,26Rの背面(苗載せ台27)側の支持ステー61の一面には、ローラ状のスライドピース63を回転自在に支持するためのピン64を立設している。即ち、スライドピース63の上端部分を下方に凹なスライドレール62に挿入することによって、苗載せ台27の上部側をスライドピース63を介して左右にスライド(往復移動)自在に支持している。
【0025】
また、支持ステー61の左右両側(苗載台支持フレーム26L,26R側)には、左右に往復移動する苗載せ台27が、左または右の移動終端に位置する(達した)ことを検出する苗載せ台移動終端検出センサ65をブラケット66を介して螺設してある。この苗載せ台移動終端検出センサ65は、電磁式のセンサであり、側面視で略U字状をなして上方が開口しており、互いに向かい合う二つの片が遮られると当該苗載せ台移動終端検出センサ65は入り状態となる。
【0026】
つまり、スライドレール62側には、左右に往復移動する苗載せ台27が、図7に示す如くA矢印方向に移動して左の移動終端に位置する(達した)場合は、苗載せ台移動終端検出センサ65の互いに向かい合う二つの片の間に挿入されて、当該苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする断面がL字状の左終端検出板67Lを螺設している。
【0027】
そして、左終端検出板67Lの内側(機体中心側)には、該左終端検出板67Lに先んじて苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする、断面がL字状の2つの左終端直前検出板68L,69Lをスライドレール62に螺設しているが、この2つの左終端直前検出板68L,69Lは、詳細は後述する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する報知手段としての警報ブザー82を作動させるために設けている。尚、ブラケット66には、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lの通過が可能となるように、苗載せ台移動終端検出センサ65に合わせた略U字状のスリットを形成している。
【0028】
即ち、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lは、側面視において逆L字状をなし、上方が開口する略U字状の苗載せ台移動終端検出センサ65への上方からの挿入を許容する。これにより、左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lと苗載せ台移動終端検出センサ65とが当接する等の不都合なしに苗載せ台27の左右往復移動が可能になる。
【0029】
また、スライドレール62には、左右に往復移動する苗載せ台27が、右の移動終端に位置する(達した)場合は、当該苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする右終端検出板67Rと、この右終端検出板67Rの内側(機体中心側)には、該右終端検出板67Rに先んじて苗載せ台移動終端検出センサ65を入り状態とする2つの右終端直前検出板68R,69Rを螺設しているが、上述した左終端検出板67L及び左終端直前検出板68L,69Lと同様な構成であり、説明を省略する。
【0030】
ところで植付作業機5は、上述したクイックアップレバー19によってセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地する高さ位置から、所定の最上昇高さ位置まで昇降操作が可能である。そして、植付作業機5を昇降させる昇降リンク機構4に備える油圧シリンダ3は、図示しない油圧ポンプからの圧油の流れを制御する図8に示す油圧コントロールバルブ71によって伸縮動作が制御される。
【0031】
そして、油圧コントロールバルブ71の近傍には、リフタカムモータ72を配設してあり、このリフタカムモータ72の出力軸に固設したピニオンギヤ73aと、リフタカム74の一側に形成したセクタギヤ74aとを歯合させると共に、図示しないバルブ操作板の係合ピンと係合する第1カム部をリフタカム74に設け、この第1カム部がバルブ操作板の係合ピンに係合した状態で、リフタカム74がスリーブ軸75を中心として回動するように構成することによって、当該リフタカム74をリフタカムモータ72の回転駆動に応じて、上げ・固定・自動(下降)・植付の4ポジションに移動制御できるように構成している。そして、リフタカム74の各ポジションへの回動により、油圧コントロールバルブ71を上げ・固定・自動位置に制御すると共に、油圧コントロールバルブ71の下げ位置において、植付クラッチ52の入り切り作動を可能にしている。
【0032】
また、リフタカム74のカム面74bの近傍には、このカム面74bに接するローラ76を備える操作アーム77を機体フレーム2側に回動自在に取り付けている。操作アーム77は、リフタカム74の回動に応じて回動操作されると共に、植付クラッチ52を入り切り操作するシフタ軸53側とロッド78を介して連結してある。
【0033】
即ち、油圧コントロールバルブ71は、図示しない油圧ポンプからの圧油を油圧シリンダ3側に送る上昇ポジションで、油圧シリンダ3を伸作動させ、植付作業機5を上昇状態とする。このように油圧コントロールバルブ71を上昇ポジションとするリフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「上げ状態」となる。
【0034】
また、油圧コントロールバルブ71は、油圧シリンダ3からの圧油を図示しないオイルタンクに戻す下降ポジションで、油圧シリンダ3の縮作動を可能とし、植付作業機5の自重により該植付作業機5を下降状態とする。このように油圧コントロールバルブ71を下降ポジションとするリフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「下げ状態」となる。
【0035】
そして、油圧コントロールバルブ71の下降ポジションのまま植付作業機5が下降してセンターフロートとサイドフロート32が圃場面に接地すると、植付作業機5が圃場面上に追従して上下するように油圧シリンダ3が自動伸縮状態となる。この油圧シリンダ3の自動伸縮状態もリフタカム74の「下げ状態」で実現される。
【0036】
更に、油圧コントロールバルブ71は、油圧シリンダ3への圧油の流れ及び該油圧シリンダ3からオイルタンクへの圧油の流れを止める固定ポジションで、油圧シリンダ3のピストンロッドの伸縮位置を固定し、植付作業機5の高さ位置を固定する。このように油圧コントロールバルブ71を固定ポジションとすると、リフタカム74の回動角度範囲が該リフタカム74の「固定状態」となる。
【0037】
尚、リフタカム74を上述した「下げ状態」から更に回動させると、操作アーム77が回動して植付クラッチ52が入り作動する「植付状態」となる。このリフタカム74の「植付状態」においては、油圧コントロールバルブ71は植付作業機5が圃場面上に追従して上下するように油圧シリンダ3の自動伸縮状態を維持する。
【0038】
そして、上述したリフタカム74は、リフタカムモータ72によって回動が制御されるようになっており、このリフタカムモータ72は、図9に示すブロック図のように、乗用型田植機1の制御部であるCPU、ROM、RAM等を備えたマイコンユニット81の出力側に、所定の出力インタフェース回路を介して接続してある。同様にマイコンユニット81の出力側には、詳細は後述する苗載せ台27の左右の移動終端において植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知する報知手段である警報ブザー82を接続してある。
【0039】
また、リフタカム74の外側方には、該リフタカム74の回動角度を検出する検出器としてリフタカムポテンショメータ84を取り付けている。このリフタカムポテンショメータ84は、マイコンユニット81の入力側に所定の入力インタフェース回路を介して接続してある。更にマイコンユニット81の入力側には、クイックアップレバー19による植付作業機5の上げ操作または下げ操作を検出する昇降操作検出スイッチ85、苗載せ台27の左右の移動終端において植付クラッチ52の切り操作を促す警報ブザー82を作動可能状態とする報知モードスイッチ86、苗載せ台27に載置したマット苗が植付装置29の移植杆31により植付けられて所定の残量になったことを検出する苗切れセンサ87(図2参照)、苗載せ台27の左右の移動終端を検出するための苗載せ台移動終端検出センサ65を接続してある。
【0040】
そして、上述したマイコンユニット81には、左右に往復移動する苗載せ台の移動終端を、各入力デバイスの状態に応じて乗用型田植機1のオペレータに報知せしめる苗載せ台移動終端報知制御プログラムを記憶している。
【0041】
例えば、図7に示す本発明の第一実施例では、左右に往復移動する苗載せ台27がA矢印方向に移動して左の移動終端に位置する(達する)直前に、この苗載せ台27のスライドレール62に螺設した2つの左終端直前検出板69L,68Lが苗載せ台移動終端検出センサ65によって順次検出され、更に苗載せ台27が移動して左の移動終端に位置する(達する)と左終端検出板67Lが苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出されようになっている。
【0042】
この時、2つの左終端直前検出板69L,68Lの板幅W1と左終端検出板67Lの板幅W2の関係をW1<W2に形成すると共に、2つの左終端直前検出板69L,68Lと
左終端検出板67Lが、それぞれ苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出されている間に報知手段である警報ブザー82が作動するように構成することによって、苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促す予告信号と本信号からなる報知が可能となる。
【0043】
つまり、警報ブザー82の2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知によって、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促すことができるので、乗用型田植機1の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、当該苗載せ台27をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
【0044】
また、図10に示す第二実施例では、左右に往復移動する苗載せ台27の左または右の移動終端位置を、1つの検出板91と1個の苗載せ台移動終端検出センサ65によって検出しようとするものであり、第一実施例と比べると苗載せ台移動終端検出センサ65が1個で済み低コストに構成できる。この第二実施例における苗載せ台27の移動終端報知制御を図11に示すフローチャートに基づいて以下説明する。
【0045】
先ず、ステップS1では、苗載せ台27が左または右の移動終端に位置する(達した)時、植付クラッチ52の切り操作を促す警報ブザー82を作動可能状態とする報知モードスイッチ86が入り状態にあるか切り状態にあるかを判断し、切り状態にあれば元に戻り、入り状態にあればステップS2に進む。
【0046】
ステップS2では、苗載せ台27に載置したマット苗が植付装置29の移植杆31により植付けられて所定の残量になったことを苗切れセンサ87によって検出したか否かを判断し、苗切れ検出がなければ元に戻り、苗切れ検出があればステップS3に進む。
【0047】
ステップS3では、苗載せ台27の左または右への移動により苗載せ台移動終端検出センサ65が検出板91を検出したか否か、即ち当該苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態にあるか否かを判断し、入り状態でなければ元に戻り、入り状態であればステップS4に進む。
【0048】
ステップS4では、ステップS3における苗載せ台移動終端検出センサ65の入り状態が、検出板91が苗載せ台移動終端検出センサ65を通過中のものか否か、即ち報知モードスイッチ86が入り状態になってから所定の時間(検出板91が苗載せ台移動終端検出センサ65を通過するのに要する時間)を経過した後に苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態になったか否かを判断し、報知モードスイッチ86が入り状態になってから所定の時間を経過した後に苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態になったのであればステップS5に進み、そうでなければ元に戻る。
【0049】
ステップS5では、苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検知時間αのカウントを開始しステップS6に進む。
【0050】
ステップS6では、苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検出が完了したか否か、即ち当該苗載せ台移動終端検出センサ65が入り状態から切り状態に切り換ったか否かを判断し、切り状態に切り換っていなければ元に戻り、切り状態に切り換ったならばステップS7に進む。
【0051】
ステップS7では、ステップS5で開始した苗載せ台移動終端検出センサ65による検出板91の検知時間αの値により苗載せ台27の移動速度を演算すると共に、この苗載せ台27の移動速度から警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知のタイミング決定し、苗載せ台27の移動速度に対応する報知タイマーをセットしてステップS8に進む。
【0052】
ステップS8では、報知タイマーが「0」になったか否かを判断し、「0」になっていなければ元に戻り、「0」になったならばステップS9に進む。
【0053】
ステップS9では、警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知を開始してステップS10に進む。この警報ブザー82による報知は、第一実施例と同様に2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知を実行することによって、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促すものであり、この時、乗用型田植機1のオペレータは、警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、当該苗載せ台27を左または右の移動終端で的確に停止させることができる。
【0054】
そして、ステップS10では、上述の如くクイックアップレバー19を介しての植付クラッチ52を切り操作がなされたか否かを、当該クイックアップレバー19による植付作業機5の上げ操作または下げ操作を検出する昇降操作検出スイッチ85が入り状態になったか切り状態にあるかを判断し、切り状態にあれば元に戻り、入り状態になったならばステップS11に進んで警報ブザー82による報知を停止して元に戻る制御を実行するように構成している。
【0055】
以上説明した第二実施例も第一実施例と同様に、左右に往復移動する苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作を促す予告信号と本信号からなる報知、即ち報知手段である警報ブザー82の2回の単音と1回の長音の組み合わせによる時報のような報知によって、苗載せ台27の移動終端での植付クラッチ52の切り操作タイミングを報知することができるので、乗用型田植機1の運転操作に不慣れなオペレータであっても、前記警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知にタイミングを合わせながら、植付クラッチ操作手段であるクイックアップレバー19を介して植付クラッチ52を切り操作することにより、複雑な操作を行うことなく当該苗載せ台27をその移動終端で的確に停止させることができるようになる。
【0056】
そして、そして、苗載せ台27に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサ87を設け、この苗切れセンサ87がマット苗の苗切れを検出したことを条件に報知手段である警報ブザー82が作動するように構成したことによって、不必要な時に警報ブザー82による報知がなされることを防止できる。即ち、実際にマット苗の補給が必要なタイミングでのみ警報ブザー82による報知がなされるので、オペレータがクイックアップレバー19を誤操作することはない。尚、上述した警報ブザー82による予告信号と本信号からなる報知は、視認性の良い表示ランプ等の点滅や点灯表示で行なってもよく、また警報ブザー82と表示ランプ等を組み合わせて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】乗用型田植機の平面図。
【図3】トランスミッションの展開図。
【図4】操作パネルの平面図。
【図5】植付作業機の側面図。
【図6】植付作業機の駆動機構を示す要部平面展開図。
【図7】苗載せ台の移動終端検出部の構成を示す正面斜視図(第一実施例)。
【図8】油圧感知コントロールバルブ周辺の構成を示す側面図。
【図9】制御部のブロック図。
【図10】苗載せ台の移動終端検出部の構成を示す正面斜視図(第二実施例)。
【図11】苗載せ台の移動終端報知制御を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0058】
19 植付クラッチ操作手段
27 苗載せ台
29 植付装置
37 往復移動機構
45 苗縦送り機構
52 植付クラッチ
65 苗載せ台移動終端検出手段
82 報知手段
87 苗切れセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に往復移動する苗載せ台(27)と、苗載せ台(27)に載置したマット苗を下方に繰り出す苗縦送り機構(45)と、苗載せ台(27)から苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(29)と、植付装置(29)及び苗載せ台(27)の往復移動機構(37)に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチ(52)と、該植付クラッチ(52)を入り切り操作する植付クラッチ操作手段(19)とを備えた移植機において、前記苗載せ台(27)の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段(65)を備え、該苗載せ台移動検出手段(65)の検出に基づいて、前記苗載せ台(27)の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチ(52)の切り操作タイミングを報知する報知手段(82)を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
苗載せ台(27)に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサ(87)を設け、該苗切れセンサ(87)がマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段(82)が作動するように構成した請求項1に記載の移植機。
【請求項1】
左右に往復移動する苗載せ台(27)と、苗載せ台(27)に載置したマット苗を下方に繰り出す苗縦送り機構(45)と、苗載せ台(27)から苗を掻き取って圃場に植え付ける植付装置(29)と、植付装置(29)及び苗載せ台(27)の往復移動機構(37)に駆動力を入り切り自在に伝達する植付クラッチ(52)と、該植付クラッチ(52)を入り切り操作する植付クラッチ操作手段(19)とを備えた移植機において、前記苗載せ台(27)の左右位置を検出する苗載せ台移動検出手段(65)を備え、該苗載せ台移動検出手段(65)の検出に基づいて、前記苗載せ台(27)の往復移動を移動終端で停止させるべく植付クラッチ(52)の切り操作タイミングを報知する報知手段(82)を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
苗載せ台(27)に載置したマット苗の残量を検出する苗切れセンサ(87)を設け、該苗切れセンサ(87)がマット苗の苗切れを検出したことを条件に前記報知手段(82)が作動するように構成した請求項1に記載の移植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−124947(P2009−124947A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299942(P2007−299942)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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