説明

移植機

【課題】従来の4条植え移植機は、植付け条間を変更することができず、汎用性と謂う観点において課題があった。
【解決手段】走行装置7により進行する走行車体4に移植物供給装置6から供給された移植物を圃場に移植する植付装置5を設けた移植機において、該植付装置5を左右上下動機構21に植付け体20を2個づつ装着して4条植えの構成とし、左右上下動機構21に各々装着された2個の植付け体20のうち機体外側の植付け体20を左右位置調節自在に装着した移植機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉葱の苗等の野菜苗やタバコ苗や花卉苗等の各種苗及びジャガイモの種芋やラッキョ等の球根類を圃場に移植する移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるような4条植え移植機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−211026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来例に示す4条植え移植機は、植付け条間を変更することができず、汎用性と謂う観点において課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
即ち、請求項1に係る発明は、走行装置7により進行する走行車体4に移植物供給装置6から供給された移植物を圃場に移植する植付装置5を設けた移植機において、該植付装置5を左右上下動機構21に植付け体20を2個づつ装着して4条植えの構成とし、左右上下動機構21に各々装着された2個の植付け体20のうち機体外側の植付け体20を左右位置調節自在に装着した移植機とした。
【0006】
従って、請求項1記載の発明は、左右上下動機構21に各々装着された2個の植付け体20のうち機体外側の植付け体20の左右位置を調節することによって、簡単に作業性良く移植物の条間調節を行なえる。
【0007】
請求項2に係る発明は、左右上下動機構21の駆動昇降作動される昇降リンク21aの後部に設けた機体外側に長く延設した取付け体20aに機体外側の植付け体20を左右位置調節自在に装着した請求項1記載の移植機とした。
【0008】
従って、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の作用に加えて、昇降リンク21aの後部に設けた機体外側に長く延設した取付け体20aに対して機体外側の植付け体20を左右位置調節することによって、簡潔な構成で簡単に作業性良く移植物の条間調節を行なえる。
【0009】
請求項3に係る発明は、昇降リンク21aの後部に設けた取付け体20aに枢支軸20cを介して機体外側の植付け体20を回動調節自在に装着した請求項1記載の移植機とした。
【0010】
従って、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の作用に加えて、機体外側の植付け体20を枢支軸20c回りに回動させて植付け位置を左右方向に変更でき、条間調節を簡潔な構成で容易に作業性良く行なえる。
【0011】
請求項4に係る発明は、 左右上下動機構21に各々装着された2個の植付け体20のうち機体外側の植付け体20を機体内側の植付け体20より前側に配置して設け、且つ、左右上下動機構21を180度位相が異なって作動する構成とし、左右一方の機体外側の植付け体20と左右他方の機体内側の植付け体20が圃場に同じ前後位置に移植物を植付ける構成とした請求項1から請求項3記載の何れか1項に記載の移植機とした。
【0012】
従って、請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、4個の植付け体20は千鳥状に4条の移植物を植付ける。
請求項5に係る発明は、4個の植付け体20の上部に移植物供給装置6から供給された移植物を受け取って案内するガイド20bを設け、左右上下動機構21に各々装着された2個の植付け体20のうち機体外側の植付け体20のガイド20bの上端受け口を左右に長い形状とした請求項1から請求項4の何れか1項に記載の移植機とした。
【0013】
従って、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、条間調節の為に左右外側の植付け体20を左右位置調節しても、簡潔な構成で適確に移植物供給装置6から供給された移植物を受け取ることができ、適正な移植作業が行なえる。
【0014】
請求項6に係る発明は、走行装置7を機体の左右に設けた左右走行クローラ装置7とし、ミッションケース9の左右両側部に前後方向に設けた左右減速伝動ケース10の前部を各々回動自在に取り付け、該左右減速伝動ケース10に各々左右走行クローラ装置7の左右クローラフレーム11の前部を固定して構成し、且つ、機体前部に設けた横フレーム16の左右両側部に左右前輪支持ボス16aを左右方向に移動自在に設け、該左右前輪支持ボス16aに左右前輪8を設け、左右前輪支持ボス16aから後方斜め下方に向けて第1連携アーム16bを延出し、左右減速伝動ケース10の前部側から前方斜め下方に向けて第2連携アーム16cを延出し、第1連携アーム16b及び第2連携アーム16cを連結アーム16dで連結した請求項1から請求項5の何れか1項に記載の移植機とした。
【0015】
従って、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の発明の作用に加えて、走行装置7を機体の左右に設けた左右走行クローラ装置7としたので、機体は適正に圃場を走行して良好な移植作業が行なえる。また、第1連携アーム16b・第2連携アーム16c・連結アーム16dを介して、左右走行クローラ装置7が上下動すると、左右前輪8も同期して同量だけ上下動して、機体は平行姿勢を維持して上下動する。更に、左右走行クローラ装置7を左右方向に移動させてトレッドを変更する場合には、左右前輪8も左右前輪支持ボス16aを横フレーム16上で左右方向に移動させるだけで、トレッドを変更することができる。
【発明の効果】
【0016】
よって、この発明の移植機は、4条植えの移植機において、簡潔な構成で植付け条間を変更することができて、汎用性が向上し、発明の課題を適切に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】移植機の全体側面図である。
【図2】移植機の全体平面図である。
【図3】植付装置の作用説明用拡大平面図である。
【図4】底蓋の突起を示す図である。
【図5】底蓋の突起と支持軸との関係を示す図である。
【図6】覆土鎮圧輪の支持構成を示す要部の作用説明用斜視図である。
【図7】他の例を示す全体側面図である。
【図8】植付装置の他の例を示す作用説明用拡大背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。また、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
【0019】
この移植機1は、機体を前進走行可能とする走行車体4と、該走行車体4の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル2と、圃場に移植物である苗を植付ける植付装置5と、該植付装置5に苗を供給する移植物供給装置としての苗供給装置6を備えている。
【0020】
走行車体4は、図示例では、エンジン3と、該エンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の走行装置である左右走行クローラ装置7と、該左右走行クローラ装置7の前方に転動自在に支持した左右一対の左右前輪8とを備えている。
【0021】
エンジン3の後側にはミッションケース9を配置し、そのミッションケース9は、その左側部からエンジン3の左側方に延びるケース部分を有し、これがエンジン3の左側部と連結している。このケース部分にエンジン3の出力軸が入り込んでミッションケース9内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
【0022】
ミッションケース9の左右両側部には、前後方向に設けた左右減速伝動ケース10の前部を各々回動自在に取り付け、該左右減速伝動ケース10に各々左右クローラフレーム11の前部を固定している。
【0023】
左右減速伝動ケース10内には、各々前部にミッションケース9の左右両側部から左右方向に突出した左右駆動軸9aを設け、後部に左右従動軸9bを設けている。そして、左右駆動軸9aに小径駆動スプロケット10aを一体回転するように装着し、左右従動軸9bに大径従動スプロケット10bを一体回転するように装着し、該小径駆動スプロケット10aと大径従動スプロケット10bに伝動チェーン10cを装着している。
【0024】
そして、左右減速伝動ケース10各々の左右従動軸9bをケース外側に突出して設け、該左右従動軸9bのケース外に突出した部位に各々左右クローラ駆動輪7aを一体回転するように装着している。
【0025】
また、左右クローラフレーム11の各後部に左右転輪支持板11aを前後位置調節自在にボルトにて固定し、該転輪支持板11aの前後端に前後固定遊転輪7b・7cを装着すると共に、前後中間位置に転輪支持板11aに設けた回動支軸11bに枢支されて前後方向に回動する回動板11cを設けて、該回動板11cの前後端にクローラを接地させる遊転輪7d・7eを装着している。
【0026】
そして、左右のクローラ駆動輪7a、固定遊転輪7b・7c、及び遊転輪7d・7eに各々左右クローラ7fを巻き掛けて左右走行クローラ装置7が駆動される構成となっている。
【0027】
尚、ミッションケース9内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右各々の走行クローラ装置7の駆動を断つことができる構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、前記サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の走行クローラ装置7を非駆動状態にしてスム−ズに旋回できるようになっている。
【0028】
また、左右減速伝動ケース10には、該左右減速伝動ケース10の前部側を回動支点として走行クローラ装置7を上下させる上下回動駆動手段が連結されている。具体的には、左右減速伝動ケース10のミッションケース9への取付部には、上方に延びるアーム13を一体的に取り付けていて、これがミッションケース9に固定された昇降用油圧シリンダAのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に応じて伸縮作動可能な左右傾斜制御用油圧シリンダBで連結している。
【0029】
昇降用油圧シリンダAが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右の前記アーム13は後方に回動し、これに伴い左右減速伝動ケース10が下方に回動して、左右走行クローラ装置7が下方に移動して機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダAのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右の前記アーム13は前方に回動し、これに伴い伝動ケース10が上方に回動して、左右走行クローラ装置7が上方に移動して機体が下降する。この昇降用油圧シリンダAは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動にともなって動作するセンサー14(図示せず)によって作動する。センサー14の動作は機体に対する畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対して設定高さになるよう昇降用油圧シリンダAが作動するよう構成している。また、操縦ハンドル2近傍に配置した植付・昇降操作具15の人為操作によって機体を手動上昇或は下降させるよう昇降用油圧シリンダAが作動する構成ともしている。尚、この植付・昇降操作具15は、植付装置5及び苗供給装置6の駆動の入切も行える構成となっている。
【0030】
また、前記左右傾斜制御用油圧シリンダBが伸縮作動すると、その左右傾斜制御用油圧シリンダBと連結する左側のアーム13が回動して、左側の走行クローラ装置7のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右傾斜制御用油圧シリンダBは、機体の左右傾斜を検出する左右傾斜センサC(図示せず)の検出結果に基づいて機体を畝面の左右傾斜に平行になるように作動する構成している。
【0031】
尚、左右クローラ装置7の回動板11cの前後端に設けた遊転輪7d・7eは、該回動板11cが転輪支持板11aに設けた回動支軸11bに枢支されて前後方向に回動するので、回動板11cの前後端に設けた遊転輪7d・7eが、左右走行クローラ装置7が上下に移動しても、常に、クローラ7fを圃場面に接地するように作用し、適正な走行が行なえる。
【0032】
前記左右前輪8は、エンジン3下方に取り付けた横フレーム16の左右両側部に左右前輪支持ボス16aを左右方向に移動自在に外嵌し、該左右前輪支持ボス16aに各々上下に長い縦フレーム17を取付け、その下端部側方に固着した車軸18に回転自在に取り付けている。そして、左右前輪支持ボス16aから後方斜め下方に向けて第1連携アーム16bを延出し、前記左右減速伝動ケース10の前部側から前方斜め下方に向けて第2連携アーム16cを延出し、両者を連結アーム16dで連結している。
【0033】
従って、該第1連携アーム16b・第2連携アーム16c・連結アーム16dを介して、左右走行クローラ装置7が上下動すると、左右前輪8も同期して同量だけ上下動して、機体は平行姿勢を維持して上下動する。また、左右走行クローラ装置7を左右方向に移動させてトレッドを変更する場合には、左右前輪8も左右前輪支持ボス16aを横フレーム16上を左右方向に移動させるだけで、トレッドを変更することができる。
【0034】
前記操縦ハンドル2は、機体後部に設けていて、走行クローラ装置7より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース9に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けている。機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2aは、作業者がそのグリップ部2aを楽に手で握れるように適宜高さに調節できる構成となっている。なお、図例ではグリップ部2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
【0035】
植付装置5は、先端が下方に向かうくちばし状の植付け体としての苗植付け体20と、該苗植付け体20の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに苗植付け体20を上下動させる上下動機構21と、くちばし状の苗植付け体20の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と苗植付け体20の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能する開状態とに苗植付け体20を開閉する開閉機構とを備えている。
【0036】
また、植付装置5は、苗植付け体20を左右に等間隔となる設定間隔で4体並べて配備した四条植えの構成としている。
四体の苗植付け体20は、ミッションケース9から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けた左右上下動機構21に二体づつ装着している。尚、前記伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材25の上部に固着されている。前記上下動機構21は、伝動ケース26に対して前部を上下回動自在に装着し後部を苗植付け体20に連結した上側と下側の昇降リンク21aを備えている(苗植付け体20は、昇降リンク21aの後部左右両側に一体づつ取り付けられている。)。そして、駆動機構により伝動ケース26内からの動力で上下の昇降リンク21aを上下動させ、左右の苗植付け体20が上下動する構成となっている。そして、上昇位置では苗植付け体20の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では苗植付け体20の下端部が圃場面より下方に位置する。苗植付け体20の開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、苗植付け体20が下降下端位置に達すると該苗植付け体20の下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、苗植付け体20が上昇上端位置に達すると該苗植付け体20の下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
【0037】
四体の苗植付け体20のうち、左右外側の苗植付け体20は左右内側の苗植付け体20より前側に位置している。また、左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の外側の苗植付け体20と左右他方の内側の苗植付け体20とが圃場において同じ前後位置に苗を植付けるようにしている。従って、この移植機1は、千鳥状に4条の苗を植付ける構成となっている。
【0038】
また、左右外側の苗植付け体20は、昇降リンク21aの後部に設けた外側に長く延設した取付け体20aに左右位置調節自在に装着されており、左右外側の苗条間を調節できる構成となっている。また、四体の苗植付け体20の上部には、下記苗収容体22に収容された苗を受け取る案内用の円筒状のガイド20bが設けられているが、左右外側の苗植付け体20のガイド20bの上端受け口は左右に長い楕円形状となっており、条間調節の為に左右外側の苗植付け体20を左右位置調節しても、適確に苗収容体22に収容された苗を受け取ることができる構成となっている。
【0039】
苗供給装置6は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する24個の苗収容体22と、該苗収容体22を苗植付け体20の上方を通過するように周回移動させる移動機構23と、苗植付け体20の上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体20に苗を供給する苗落下供給機構となる開放機構24を備えている。
【0040】
苗供給装置6は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋27とを有し互いにループ状に連結する複数の苗収容体22と、該苗収容体22を前記苗植付け体20の上方近傍を通過する状態で機体平面視左右に長い長円形状のループ状の軌跡で左回りに周回動させる移動機構23と、前記苗収容体22の底蓋27を苗植付け体20の上方位置で開放する開放機構24を設けた構成である。この苗供給装置6は、前記苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部(丸孔)を有して二つの苗収容体22を連結する連結体を複数設け、該連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。即ち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗収容体22は、直線的に移動する部分28でも円弧状に移動する部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から苗植付け体20に苗を供給する個所で苗収容体22が苗植付け体20に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。苗収容体22の個数と周回動する範囲を設定したうえで、苗収容体22の上側開口部を可能な限り広く形成できて、機体のコンパクト化を図りつつ苗収容体22への苗補給作業をできるだけ容易に行えるものとなる。
【0041】
苗供給装置6の移動機構23は、無端チェーンのように互いに連結する苗収容体22を左右に設けた移動機構としてのスプロケット23の外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右のスプロケット23を伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
【0042】
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分とスプロケット23により前記直線状部分28から前側又は後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の走行クローラ装置7より機体内側に配置している。また、苗植付け体20は、走行クローラ装置7の車軸12位置より後側に配置している。
【0043】
苗供給装置6の開放機構24は、苗収容体22の周回軌跡下方で底蓋27が下方に回動しないように底蓋27を下方から支持する支持体30を設け、この支持体30を苗植付け体20の上方位置には設けないようにすることで、苗植付け体20の上方位置を苗収容体22が通過するとき、底蓋27が支持体30による支持状態が解かれて下方回動し苗収容体22内の苗が下方に落下可能になるように開放する構成としている。苗収容体22の底蓋27が開くタイミングは、苗植付け体20が苗収容体22の直下まで上昇したときとなるように調整しておく。また、上記構成に代えて、苗植付け体20が苗収容体22の直下まで上昇したときに、苗植付け体20に設けた開放作動部材が、苗植付け体20の上方に位置する苗収容体22の底蓋27が開くのを規制する規制手段を規制解除動作させる構成も採用できる。
【0044】
苗供給装置6は、四体の苗植付け体20に対して苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
このように四体の苗植付け体20に対して苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成とした場合は、各々の苗植付け体20に対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けて、この各別の苗収容体22を各々1個づつ備えて周回移動経路で隣接させた4個の苗収容体22からなる苗収容ユニットを構成し(図4・図5に示すように、落下供給位置31で苗収容体22の符号3を記した底蓋27が開き、落下供給位置32で苗収容体22の符号1を記した底蓋27が開き、落下供給位置33で苗収容体22の符号2を記した底蓋27が開き、落下供給位置34で苗収容体22の符号4を記した底蓋27が開く構成となっており、この符号1乃至4を記した底蓋27を有する4個の苗収容体22が1つの苗収容ユニットを構成し、該苗収容ユニットが連続して設けられて周回移動するループ状の苗収容ユニットが形成されている)、移動機構23により前記苗収容ユニットを同一の周回移動経路で複数組(6組)周回移動させる構成とし、計24個の苗収容体22を周回移動させる。
【0045】
従って、四体の苗植付け体20に対応する4箇所の落下供給位置31,32,33,34を、苗収容体22の同一の周回移動経路上に設定している。
また、左右一方側の二体の苗植付け体20が上下動機構21により上死点位置まで上動したとき、該苗植付け体20に落下供給する各々の苗収容体22が対応する落下供給位置に同時に到達する構成となっており、これから上下動機構21が半周期作動して左右他方側の二体の苗植付け体20が上死点位置まで上動したとき、該苗植付け体20に落下供給する各々の苗収容体22が対応する落下供給位置に同時に到達する構成となっている。
【0046】
尚、厳密には、苗植付け体20が上死点位置に到達する手前のタイミングで苗収容体22の底蓋27が開き始め、苗植付け体20が上死点位置に到達したときには前記底蓋27が確実に開いた状態となるよう設定しており、苗植付け体20への苗供給が適確に行われるようにしている。従って、植付装置5の上下動機構21の作動と移動機構23による苗収容ユニットの移動とは同じ周期で行われ、この半周期の作動で苗収容体22がその配列の2ピッチ分移動する構成となっている。
【0047】
これにより、苗収容体22が4箇所の落下供給位置31,32,33,34を直列的に通過しながら四体の苗植付け体20に対して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ4箇所の落下供給位置31,32,33,34を通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じないよう余すことなく苗植付け体20に対して苗を供給できるものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ四体の苗植付け体20に対して確実に苗を供給できる。
【0048】
また、少なくとも、苗収容体22の周回移動方向下手側の苗植付け体20に落下供給する苗収容体22が、苗収容体22の周回移動方向上手側の苗植付け体20の上方を通過するときは、その苗収容体22については開放動作されないようにする開放機構24を設けている。
【0049】
この開放機構24について説明すると、苗収容体22の底蓋27に突起35を設け、この突起35を当該苗収容体22の落下供給位置32,33,34より周回移動方向上手側の落下供給位置31,32,33を通過するときに下方から支持する支持軸30を設けている。尚、前記底蓋27は、周回移動方向下手側の回動支点軸回りに回動して周回移動方向上手側から開く構成となっている。
【0050】
具体的には、図4に示すように、各々の落下供給位置31,32,33,34に対応する苗収容体22ごとに底蓋27の突起35の形状を異ならせており、この突起35は、苗収容体22の周回外側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に長く突出するもの及び苗収容体22の周回外側に長く突出するものの4種類を落下供給位置31,32,33,34に対応して設定している。
【0051】
一方、支持軸30は、苗収容体29の周回移動経路に沿って延び、底蓋27の突起35の種類に対応して該突起35を支持するべく、苗収容体22の周回内側から外側まで位置を異ならせた4種類のもので構成される。
【0052】
従って、周回移動方向上手側(左側)から順に第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34と定義すると、第一の落下供給位置31では周回内側から3番目の支持軸30を欠如させ、第二の落下供給位置32では周回内側から2番目の支持軸30を欠如させ、第三の落下供給位置33では周回内側から1番目の支持軸30を欠如させ、第四の落下供給位置34では周回内側から4番目の支持軸30を欠如させている。尚、周回内側から3番目の支持軸30は第四の落下供給位置34でも欠如し、周回内側から2番目の支持軸30は第三の落下供給位置33でも欠如し、第三及び第四の落下供給位置33,34で前記2及び3番目の支持軸30が当該落下供給位置33,34で開くべき底蓋27の開放の支障にならないようにしている。
【0053】
尚、周回移動経路の前側の直線状部分28等、苗補給のために全ての底蓋27を閉じておく必要がある区域では、1乃至4番目の支持軸30を全て配置してもよいが、底蓋48の中央付近を支持する共通の支持軸30aを設けた構成とすれば、構成が簡単になる。
【0054】
第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34のうち、第二及び第三の落下供給位置32,33は周回移動経路の直線状部分28に位置し、第一及び第四の落下供給位置31,34は周回移動経路の円弧状部分29で第二及び第三の落下供給位置32,33が位置する直線状部分28とは前後反対側(前側)の直線状部分28に近い位置にある。
【0055】
これにより、隣接する落下供給位置31,32,33,34の前記周回移動経路に沿う互いの配列間隔を異ならせると共に、前記互いの配列間隔のうち狭い配列間隔が前記直線状部分28に位置し広い配列間隔の少なくとも一部が前記円弧状部分29に位置するように第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34が設定され、左右方向における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔が略同一となるよう設定されている。
【0056】
また、第二乃至第四の落下供給位置32,33,34において対応する苗植付け体20の上方位置で適確に苗を供給できるように、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34を周回移動経路の左右中央に対して周回移動上手側に若干ずらせて設定している。
【0057】
そのため、第一の落下供給位置31が対応する左端の苗植付け体20の位置に対して若干ずれ、該苗植付け体20へ適確に苗を供給できなくなるおそれがある。
そこで、第一の落下供給位置31にのみ、苗収容体22からの苗を苗植付け体20側へ案内する案内具となる苗シューターを設けている。
【0058】
このように一部の落下供給位置31にのみ苗シューターを設けることで、機体の軽量化及びコストダウンが図れる。この苗シューターは、苗収容体22の周回移動方向(後方)に傾斜して設けられ、周回移動方向上手側から開く底蓋27の開放動作に干渉せず、また底蓋27の回動で周回移動方向上手側に若干傾くが、その傾きと同じ方向に苗シューターが配置されているので、苗を苗シューター上で円滑に案内することができる。
【0059】
また、前記苗シューターは、苗供給装置6側のフレームから支持されており、植付装置5側に設けていないので、上下動機構21で上下動させる部分の重量を増大させることなく、苗植付け体20の上下動を円滑に行える。
【0060】
この移植機1は、苗植付け体20が植付けた苗に対して覆土鎮圧するための覆土鎮圧輪37を各苗植付け体20の苗植付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。即ち、4つの苗植付け体20に対して左右方向に4組の覆土鎮圧輪37を並べて配置している。
【0061】
この覆土鎮圧輪37は、転動輪である。その構成は、左側の二体の苗植付け体20が植付けた苗に対して覆土鎮圧作用をする左鎮圧装置37Lと右側の二体の苗植付け体20が植付けた苗に対して覆土鎮圧作用をする右鎮圧装置37Rで構成されており、左右鎮圧装置37L・37Rは同じ構成なので、ここでは、代表して左鎮圧装置37Lについて詳述する。
【0062】
左鎮圧装置37Lの鎮圧フレーム38は、機体後方に延びる丸棒よりなる主フレーム38aの前端部に左右方向にパイプ材38bを溶接固着し、機体に固定された取付部材25に設けた左右方向の回動支軸25aに該パイプ材38bを回動自在に設け、鎮圧フレーム38の後部が上下動自在な構成となっている。そして、主フレーム38aの後部を上方に向けて折り曲げて、その上端部に背面視でコ字状の後部フレーム38cの中央に溶接固着している。そして、後部フレーム38cの中央から少しずれた位置には、中覆土鎮圧輪37をその左右両側に各々遊転自在に装着した中フレーム38dの上部をボルトにて上下位置調節自在に固定している。従って、中覆土鎮圧輪37は、上下位置調節自在になっている。
【0063】
他方、後部フレーム38cの左右外側には、外覆土鎮圧輪37が各々左右傾斜姿勢調節自在に装着されている。
従って、中覆土鎮圧輪37を上下位置調節し、外覆土鎮圧輪37を各々左右傾斜姿勢調節することによって、左側の二体の苗植付け体20が植付けた苗に対して適切な覆土鎮圧作用を行なえる。
【0064】
また、前記左右鎮圧装置37L・37Rの各後端部は、機体フレーム19に固着された左右方向の回動軸42回りに前後乃至上下に回動する回動ア−ム43に連携されている。尚、前記回動軸42は機体フレーム19から左右に延設され、該回動軸42の両端部に回動ア−ム43を左右それぞれ設け、左右それぞれの回動ア−ム43が左右フレ−ム41の適宜位置を支持した構成となっている。そして、左右の回動ア−ム43を繋ぐようにU字状の回動レバー44を固着して設けており、該回動レバー44が左右の回動ア−ム43と一体で回動するようになっている。従って、該回動レバー44を回動操作することにより、左右の回動ア−ム43を回動させて全ての植付条(計4条分)の覆土鎮圧輪37を同時に上下動させることもできる。
【0065】
操縦ハンドル2近傍には機体を走行させずに植付装置5及び苗供給装置6のみを駆動させるための空苗植えレバ−45を設けており、該空苗植えレバ−45により植付装置5及び苗供給装置6のみを駆動させてこれらの装置5,6の作動の確認や点検が行える構成となっている。図1に示すように前記空苗植えレバ−45を下向きになるよう操作すると、空苗植え機能がオフとなって植付・昇降操作具15の操作で機体を走行させながら植付装置5及び苗供給装置6を作動させる通常の植付が行える状態となる。一方、前記空苗植えレバ−45を上向きになるよう操作すると、空苗植え機能がオンとなって走行停止状態で植付装置5及び苗供給装置6のみが作動する。
【0066】
この移植機1は、苗供給装置6に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業が行えるよう、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置6の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。
【0067】
この座席46に座る作業者は、苗供給装置6の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置6の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対して苗補給作業を行う。また、本例の移植機1は、畝溝を走行する走行クローラ装置7の後側で機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側に、作業者が立って前に歩きながら苗供給装置6の後側部に苗を補給する作業を可能とする作業空間Wを形成しており、この作業空間Wに立つ作業者から苗供給装置6の後側部に対して苗補給作業を行うことができる。
【0068】
尚、座席46を支持する略水平方向に延びる座席フレーム47を設け、座席46は前記座席フレーム47に対して後側の回動支点軸回りに後方へ回動できる構成となっており、前記座席フレーム47よりその近傍に位置する燃料タンクの給油キャップ48が低い位置にある。これにより、燃料タンクに燃料を補給するときは、座席46を後方へ回動させ、座席フレーム47に燃料を収容する補給タンク等を置いて、手動ポンプ等により容易に燃料タンクへ燃料を補給することができる。
【0069】
作業者用座席46の後側及び左右両側には、ステップ49を設けている。このステップ49は、機体側面視で作業者用座席46の下方位置から前輪8の上方位置すなわち機体前端近傍にわたって延設している。従って、作業者は、機体前方を介して該ステップ49に乗降することができる。走行クローラ装置7は大径車輪で、前輪8は小径車輪であり、機体側面視で、この小径車輪の前輪8の上方にステップ49の前側部分が位置するように設けている。走行用の伝動ケース10を下方回動させて走行クローラ装置7を下降させると、機体が前下がりに傾斜して前記ステップ49も前側に傾斜するため、作業者が機体前方と該ステップ49との間で容易に乗降することができる。また、走行クローラ装置7を下降させても、機体前方の地面と該ステップ49との間の段差があまり大きくならないので、容易に乗降することができる。
【0070】
作業者用座席46の左右両側で機体側面視で走行クローラ装置7の上方位置に、苗供給装置6に補給する苗を収容可能な苗載台50を設けている。
苗供給装置6の上方部には前方が低くなるように傾斜して配置した後部苗載台51が配置されている。この後部苗載台51は支持フレーム52により苗供給装置6のフレーム部に固定支持されており、セルトレイTを長手方向が左右方向に向くようにして2個載置して少しスペースSPがある前後長さにした載置台部53と、セルトレイTの前後方向の脱落を防止する前後壁部54とから構成している。そして、載置台部53の後半部分53aは回動支軸54を回動支点として矢印イ−ロ方向に回動固定自在に構成されている。
【0071】
植付作業者が一人で作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする場合には、載置台部53の後半部分53aを矢印イ方向に上動させた実線の状態にして、2個載置されたセルトレイTのうち手前側(下方側)に位置するセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給する。そして、手前側(下方側)に位置するセルトレイTの苗がなくなると、手前側(下方側)に位置するセルトレイTを後部苗載台51から取ると、上方にあるセルトレイTが自動的に下方に滑り落ちて来て、苗補給作業が容易な位置となる。よって、効率よく苗の移植作業が行える。
【0072】
また、植付作業者が二人若しくは三人で作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者と畝溝を走行する走行クローラ装置7の後側で機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側の作業空間Wに立って前に歩きながら苗供給装置6に苗を補給する作業者とがいる場合には、載置台部53の後半部分53aを矢印ロ方向に下動させた点線の状態にすると、載置台部53の前半部分は前方が低くなるように傾斜した状態で後半部分は後方が低くなるように傾斜した状態となり、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者は載置台部53の前半部分の前方が低くなるように傾斜した状態に載置されたセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給し、作業空間Wに立って前に歩きながら苗供給装置6に苗を補給する作業者は後半部分の後方が低くなるように傾斜した状態に載置されたセルトレイTから苗を取り出して苗供給装置6に苗を補給すると、その作業性が非常に良くて効率よく苗の移植作業が行える。
【0073】
左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位には、各々左右サイドマーカ55が設けられている。この左右サイドマーカ55は、各々左右移動調節及び上下移動調節自在に構成されており、苗植付作業時に苗を植付けている畝の左右外側位置に合わせておき、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業をする作業者が畝の左右外側位置に左右サイドマーカ55が位置しているか視認して、機体が畝に沿って走行しているか確認する。この時、左右サイドマーカ55は左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位に設けられているので、視認性が良くて作業性が非常に良い。
【0074】
また、畝の端で機体を旋回させる際に、回動レバー44を回動操作して全ての植付条の覆土鎮圧輪37を同時に上動させるが、この時、左右サイドマーカ55は左右最外側の右覆土鎮圧輪支持フレ−ム39a及び左覆土鎮圧輪支持フレ−ム39dの左右外側部位に設けられているので、左右サイドマーカ55も同時に上動して、旋回時の邪魔にならず旋回作業も良好に行なえて作業性が良い。
【0075】
以上のとおり、上記の移植機1は、左右一対の前輪8と左右一対の走行クローラ装置7が畝を跨いだ状態で前進走行しながら、苗植付け体20が圃場に千鳥状に4条に苗を植付ける。苗供給装置6は苗植付け体20に苗を供給する。作業者は、作業者用座席46に着座して苗供給装置6に苗を補給する作業を行うことができる。
【0076】
尚、上述では、苗収容体22の周回移動経路における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔において、左右両外側部の各々の間隔をXピッチ、左右中央部の間隔をYピッチとすると、X=1+4n,Y=3+4m(n,mは0以上の整数とする)であれば、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34で各々対応する苗収容体22から苗植付け体20へ苗を供給する構成とすることができることを開示したが、他に、X=2+4n,Y=3+4mの形態であっても、第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34で各々対応する苗収容体22から苗植付け体20へ苗を供給する構成とすることができる。従って、苗収容体22の周回移動経路の左右中央部に円弧状部分が位置するとき等、前記周回移動経路に応じて所望の植付条間あるいは千鳥植えの場合は前後方向の千鳥間隔が得られるように、周回移動経路における第一乃至第四の落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔を設定すればよい。
【0077】
尚、上述では、左右二対づつの苗植付け体20が半周期位相をずらせて作動し、第一及び第二の落下供給位置31,32と第三及び第四の落下供給位置33,34とで落下する苗を供給する苗収容体22が到達するタイミングが異なる場合について説明したが、全ての苗植付け体20が同期して作動し全ての落下供給位置31,32,33,34に同時に苗を供給する構成としてもよい。このとき、落下供給位置31,32,33,34の互いの間隔は、X=2+4n,Y=1+4mの形態又はX=3+4n,Y=1+4mの形態とすればよい。
【0078】
また、上述では、底蓋27の突起35を、苗収容体22の周回外側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に短く突出するもの、苗収容体22の周回内側に長く突出するもの及び苗収容体22の周回外側に長く突出するものの4種類を設定したものについて説明したが、この構成によると、各々の底蓋27が開放されるタイミングは周回移動において落下供給位置31,32,33,34での一回しかなく、その後第四の落下供給位置34に到達するまで底蓋27が閉じないので、歩行しながら周回移動経路の円弧状部分29や後側の直線状部分28で苗補給する際に、苗補給する必要のある苗収容体22を判別し易く、苗補給作業性が向上する。また、この構成によると、第二及び第三の落下供給位置32,33では底蓋27が開かないように支持軸を追加し、且つ植付装置5の上下動機構21の作動に対して移動機構23の作動速度を2倍に増速すれば、第一及び第四の落下供給位置31,34でのみ苗が供給されることになり、植付条間の広い2条植えを行うことができる。
【0079】
次に、図7に基づいて、作業者用座席46に着座した作業者及び苗供給装置6を覆う簡易キャビン60を装着した例について説明する。
先ず、操縦ハンドル2の前部の機体フレーム19に基部を固着して補助ハンドル61を設ける。該補助ハンドル61は、機体左右方向に延びて、走行クローラ装置7の後側で、且つ、機体後部に設けた操縦ハンドル2の左右方向外側の前記作業空間Wに居る作業者が把持できる構成となっている。従って、作業空間Wに居る作業者が苗供給装置6に対して苗補給作業を行いながら、該補助ハンドル61を把持して機体の方向修正を行なえる。
【0080】
また、作業者用座席46の左右両側に配置された左右苗載台50の最上部には、簡易キャビン60の上部を支持する左右上部フレーム62が各々固定されている。
そして、簡易キャビン60は、透明なビニール製で天井平面部60aと前部傾斜面部60bと前部壁面部60cと左右壁面部60dと後部壁面部60eから構成されており、移植機1の上部から被せて左右上部フレーム62で天井平面部60aの左右を支持し、補助ハンドル61で前部傾斜面部60bと前部壁面部60cのコーナー部を支持し、左右苗載台50の後部で後部壁面部60eを支持して、作業者用座席46に着座した作業者及び苗供給装置6を覆う立体構成になるようにしている。従って、雨天時でも作業者用座席46に着座した作業者は雨に濡れることなく作業ができ、苗供給装置6部の苗が濡れることも防止されるので、苗の根鉢部が濡れて壊れてしまって移植作業が行なえなくなるような事態を回避でき、雨天時でも苗の移植作業が行なえる。また、風の強い日でも簡易キャビン60により風の影響を受けないので、移植作業が適切に行なえる。また、簡易キャビン60は透明なビニール製なので、前方視界及び左右視界及び後方視界が良くて、作業者は適切に且つ安全に移植作業が行なえる。
【0081】
また、左右壁面部60dと後部壁面部60eの左右コーナー部には、各々ファスナー60fが設けられており、該ファスナー60fを開けて作業者は容易に簡易キャビン60に出入りすることができる。
【0082】
最後に、上例では、左右外側の苗植付け体20を昇降リンク21aの後部に設けた外側に長く延設した取付け体20aに左右位置調節自在に装着して、条間調節する例を示したが、図8に基づいて、左右外側の苗植付け体20の植付け位置を変更して条間調節する他の例を説明する。
【0083】
図8は、右上下動機構21の昇降リンク21a後部に装着された右側2体の苗植付け体20を示す図であり、昇降リンク21aの内側に装着された苗植付け体20は条間調節をしない固定の構成であり、昇降リンク21aの外側に装着された苗植付け体20は条間調節できる構成となっている。
【0084】
即ち、外側の苗植付け体20は、昇降リンク21aの後部に設けた取付け体20aに枢支軸20cを介して回動自在に装着され、枢支軸20cを中心として取付け体20aに左右円弧孔20dを設けて、外側の苗植付け体20を枢支軸20c回りに回動させて所定の位置でボルト20eを締めて固定する構成としている。
【0085】
従って、外側の苗植付け体20は、枢支軸20c回りに回動させて植付け位置を左右方向に変更でき、条間調節を行なえる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明にかかる移植機は、玉葱の苗の他に各種野菜苗やタバコの苗や花卉苗等の各種苗及びジャガイモ等の種芋やラッキョウ等の球根類等の色々な移植対象物を植え付ける移植機に適用でき、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0087】
4 走行車体
5 植付装置
6 移植物供給装置
7 走行装置(左右走行クローラ装置)
8 左右前輪
9 ミッションケース
10 左右減速伝動ケース
11 左右クローラフレーム
16 横フレーム
16a 左右前輪支持ボス
16b 第1連携アーム
16c 第2連携アーム
16d 連結アーム
20a 取付け体
20c 枢支軸
20b ガイド
21 左右上下動機構
21a 昇降リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(7)により進行する走行車体(4)に移植物供給装置(6)から供給された移植物を圃場に移植する植付装置(5)を設けた移植機において、該植付装置(5)を左右上下動機構(21)に植付け体(20)を2個づつ装着して4条植えの構成とし、左右上下動機構(21)に各々装着された2個の植付け体(20)のうち機体外側の植付け体(20)を左右位置調節自在に装着したことを特徴とする移植機。
【請求項2】
左右上下動機構(21)の駆動昇降作動される昇降リンク(21a)の後部に設けた機体外側に長く延設した取付け体(20a)に機体外側の植付け体(20)を左右位置調節自在に装着したことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項3】
昇降リンク(21a)の後部に設けた取付け体(20a)に枢支軸(20c)を介して機体外側の植付け体(20)を回動調節自在に装着したことを特徴とする請求項1記載の移植機。
【請求項4】
左右上下動機構(21)に各々装着された2個の植付け体(20)のうち機体外側の植付け体(20)を機体内側の植付け体(20)より前側に配置して設け、且つ、左右上下動機構(21)を180度位相が異なって作動する構成とし、左右一方の機体外側の植付け体(20)と左右他方の機体内側の植付け体(20)が圃場に同じ前後位置に移植物を植付ける構成としたことを特徴とする請求項1から請求項3記載の何れか1項に記載の移植機。
【請求項5】
4個の植付け体(20)の上部に移植物供給装置(6)から供給された移植物を受け取って案内するガイド(20b)を設け、左右上下動機構(21)に各々装着された2個の植付け体(20)のうち機体外側の植付け体(20)のガイド(20b)の上端受け口を左右に長い形状としたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の移植機。
【請求項6】
走行装置(7)を機体の左右に設けた左右走行クローラ装置(7)とし、ミッションケース(9)の左右両側部に前後方向に設けた左右減速伝動ケース(10)の前部を各々回動自在に取り付け、該左右減速伝動ケース(10)に各々左右走行クローラ装置(7)の左右クローラフレーム(11)の前部を固定して構成し、且つ、機体前部に設けた横フレーム(16)の左右両側部に左右前輪支持ボス(16a)を左右方向に移動自在に設け、該左右前輪支持ボス(16a)に左右前輪(8)を設け、左右前輪支持ボス(16a)から後方斜め下方に向けて第1連携アーム(16b)を延出し、左右減速伝動ケース(10)の前部側から前方斜め下方に向けて第2連携アーム(16c)を延出し、第1連携アーム(16b)及び第2連携アーム(16c)を連結アーム(16d)で連結したことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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