説明

移設検出装置及び設置型機器

【課題】簡易な機構により、機器の移設を好適に検出することができる移設検出装置及び設置型機器を提供することである。
【解決手段】球着座部13aによって、球12、22を着座させるとともに、所定の大きさ以上の振動がある場合には、球12、22を当該球着座部から離脱させ、球検出手段(フォトセンサ14、接点24)によって、ベース部13の所定の球着座部13aに着座した球12、22を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移設検出装置及び設置型機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元測定機、試験機等の設置型の機器においては、当該機器を設置する際、機器に不具合を発生させないようにするため、また、当該機器が、輸出規制対象貨物に該当する場合には、違法な転売等、第三者への流出を防止するため、メーカーによる管理が必要である。
【0003】
そこで、機器の移設や地震等による振動が機器に付与されたときに、機器の起動を禁止して性能の低下や不慮の破損、寿命の低下を防止することができる振動検出装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−35595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の振動検出装置は、振動を検出し、振動履歴が記憶された場合、正規のパスワードを入力する等によって起動を可能にすることによって、振動検出部を初期状態に復帰し、振動履歴の記憶内容をリセットするため、構造が複雑になってしまう。
【0005】
本発明の課題は、簡易な機構により、機器の移設を好適に検出することができる移設検出装置及び設置型機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
筐体内を転がる1又は2以上の球と、
前記球を着座させるための球着座部を前記球の数以上有するベース部と、
前記ベース部の所定の球着座部に着座した前記球を検出する球検出手段と、
を備え、
前記球着座部は、所定の大きさ以上の振動により球が当該球着座部から離脱することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の移設検出装置において、
前記球検出手段により検出された結果に基づく球情報を暗号化する暗号化手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の移設検出装置において、
前記球検出手段により検出された前記球の数を算出する球数算出手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球数算出手段により算出された前記球の数情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
請求項2に記載の移設検出装置において、
前記球検出手段により検出された前記球が着座した球着座部を判別する球着座部判別手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球着座部判別手段により判別された前記球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
請求項2に記載の移設検出装置において、
前記球検出手段により検出された前記球の数を算出する球数算出手段と、
前記球検出手段により検出された前記球が着座した球着座部を判別する球着座部判別手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球数算出手段により算出された前記球の数情報を含んだ球情報、又は、前記球着座部判別手段により判別された前記球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜5の何れか一項に記載の移設検出装置において、
前記球検出手段は、フォトセンサであることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、
請求項1〜5の何れか一項に記載の移設検出装置において、
前記球は、導電体であり、
前記ベース部の所定の球着座部には、電気的な接点を2以上備え、
前記球検出手段は、前記球が、前記球着座部に着座した際、電気的に短絡することにより前記球を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜7の何れか一項に記載の移設検出装置において、
前記球は、磁性体であり、
前記ベース部は、電気磁石を備え、
前記電気磁石に通電することにより発生する磁力により、前記球を前記球着座部に着座した状態を維持することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、
請求項2〜8の何れか一項に記載の移設検出装置と、当該移設検出装置と通信処理可能な処理装置と、を備える設置型機器において、
前記処理装置は、
前記暗号化手段により暗号化された前記球情報を解読する解読手段と、
前記解読手段により解読された前記球情報に基づき、前記設置型機器が移設されたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設置型機器が移設されたと判断された場合に、当該設置型機器の所定の動作を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、球着座部によって、球を着座させることができるとともに、所定の大きさ以上の振動がある場合には、球を当該球着座部から離脱させることができ、球検出手段によって、ベース部の所定の球着座部に着座した球を検出することができる。
よって、簡易な機構により、機器の移設を好適に検出することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、暗号化手段によって、球検出手段により検出された結果に基づく球情報を暗号化することができる。
よって、機器の移設検出を不正に回避する等の行為を好適に防止することができることとなり、機器の移設を好適に検出することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、球数算出手段によって、球検出手段により検出された球の数を算出することができ、暗号化手段によって、球数算出手段により算出された球の数情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、算出された球数の変化により、機器の移設を好適に検出することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、球着座部判別手段によって、球検出手段により検出された球が着座した球着座部を判別することができ、暗号化手段によって、球着座部判別手段により判別された球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、判別された球着座部の異同により、機器の移設を好適に検出することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、球数算出手段によって、球検出手段により検出された球の数を算出することができ、球着座部判別手段によって、球検出手段により検出された球が着座した球着座部を判別することができ、暗号化手段によって、球数算出手段により算出された球の数情報を含んだ球情報、又は、球着座部判別手段により判別された球着座部情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、球数算出手段により算出された球の数情報、又は、球着座部判別手段により判別された球着座部の情報に基づき、ユーザ所望の暗号化を選択することができることとなり、使い勝手が良い。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、球着座部に着座した球をフォトセンサにより検出することができる。
よって、非接触で球着座部に着座した球を検出することができることとなり、当該装置の長寿命化を図ることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、ベース部の所定の球着座部には、電気的な接点が2以上備えられ、球検出手段によって、導電体である球が、球着座部に着座した際、電気的に短絡することにより球を検出することができる。
よって、球検出手段は、電気回路との接続が容易となり、機器の移設をより好適に検出することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、ベース部は、電気磁石を備え、電気磁石に通電することにより発生する磁力により、磁性体である球を球着座部に着座した状態を維持することができる。
よって、機器が稼動している際には、磁性体である球を球着座部に着座した状態を維持することができることとなり、地震や機器自体の振動を、当該機器が移設したとして誤検出することを好適に防止することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、請求項2〜8の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、移設検出装置と通信処理可能な処理装置の解読手段によって、暗号化手段により暗号化された球情報を解読することができ、判断手段によって、解読手段により解読された球情報に基づき、設置型機器が移設されたか否かを判断することができ、判断手段により、設置型機器が移設されたと判断された場合に、禁止手段によって、当該設置型機器の所定の動作を禁止することができる。
よって、当該設置型機器が、ユーザによって勝手に移設された場合、禁止手段によって、当該設置型機器の所定の動作を禁止することができるので、不適切な設置に伴う機器の不都合の発生を未然に防止することができる。
また、当該設置型機器が、輸出規制対象貨物で、規制対象国・地域に違法に輸出された場合でも、当該機器の機能を使用することを好適に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明である設置型機器の最良の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、設置型機器1は、設置型機器1の移設を検出する移設検出装置100と、設置型機器1が移設されたか否かを判断し、設置型機器1が移設されたと判断された場合に、設置型機器1の所定の動作を禁止する処理装置300と、を備えている。
【0025】
移設検出装置100は、例えば、図1、2に示すように、当該設置型機器1の移設を検出する移設検出部10と、制御部30を備え、移設検出部10は、筐体11と、筐体11内を転がる球12と、球12を着座させるための球着座部13aと球着座部13aに着座した球12を維持するための電気磁石13bが備えられたベース部13と、球着座部13aに着座した球12を検出するフォトセンサ14と、を備えている。
【0026】
球12は、磁性体であり、例えば、金属球が用いられ、図3(b)に示すように、筐体11内に8個の球12が備えられている。
【0027】
ベース部13は、例えば、図2、3に示すように、球12を着座させることができる球着座部13aを有しており、球着座部13aは、ベース部13を穿設して形成した孔により構成されている。球着座部13aは、所定の大きさ以上の振動が生じた場合に、球12を当該球着座部13aから離脱させることができる。なお、例えば、図3(a)に示すように、球着座部13aは、ベース部13に対して格子状に縦横4つずつ設けられており、隣り合う球着座部13aは夫々、球12が着座した際、互いの球12が干渉しない間隔を有している。
ここで、所定の大きさ以上の振動とは、具体的には、例えば、当該設置型機器1を移設する際に設置型機器1に作用する振動の大きさ以上の振動である。
また、ベース部13は、さらに、電気磁石13bを備えており、図4に示すように、電気磁石13bを駆動させるための電流ドライバ13cを介して後述するCPU31に接続されている。これにより、設置型機器1が正常に稼動している場合、CPU31からの出力により、電気磁石13bに通電して磁力を発生させることにより、磁性体である球12が、電気磁石13bに引き付けられて、当該球12を球着座部13aに着座した状態で維持することができる。
【0028】
フォトセンサ14は、例えば、図2に示すように、筐体11の天井部に配置された発光素子14aと、球着座部13aの下方に配置された受光素子14bと、を備え、球12が、球着座部13aに着座した際、発光素子14aからの光を遮ることにより、球12を検出する。これにより、フォトセンサ14は、球検出手段として機能する。
また、フォトセンサ14を構成する受光素子14bは、例えば、図3(a)に示すように、ベース部13の平面視において、8箇所の任意の球着座部13a下方に配置(図中、FS0〜FS7)されている。そして、各フォトセンサ14(FS0〜FS7)は、例えば、図4に示すように、後述するCPU31の8ビットのI/O入力に対し、各ビットに割り振られて接続され、フォトセンサ14(FS0〜FS7)により、球12が検出された場合、当該フォトセンサ14(FS0〜FS7)に割り振られたビットにおけるI/O入力の信号はHighレベル「1」となり、一方、球12が検出されない場合、当該フォトセンサ14(FS0〜FS7)に割り振られたビットにおけるI/O入力の信号はLowレベル「0」となる。より具体的には、例えば、図3(b)に示すように、FS2、FS3、FS5、FS6、FS7において、球12を検出した場合、CPU31では、8ビットの球着座部判別コードPcとして「11101100(2進数)」が読み込まれる。
【0029】
制御部30は、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、記憶部33等を備えて構成され、記憶部33に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の動作を行うため予め設定された所定の動作条件に基づく各部の動作制御を行う機能を有する。
【0030】
CPU31は、記憶部33に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM32に展開して実行することにより、移設検出装置100全体の制御を行う。
【0031】
RAM32は、CPU31により実行された処理プログラム等を、RAM32内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0032】
記憶部33は、例えば、プログラムやデータ等が予め記憶されている記録媒体(図示省略)を有しており、この記録媒体は、例えば、半導体メモリ等で構成されている。また、記憶部33は、CPU31が移設検出装置100全体を制御する機能を実現させるための各種データ,各種処理プログラム,これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。より具体的には、記憶部33は、例えば、図1に示すように、球数算出プログラム33a、球着座部判別プログラム33b、暗号化プログラム33c等を格納している。
【0033】
球数算出プログラム33aは、CPU31に、フォトセンサ14により検出された球12の数を算出する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、図3(b)に示すように、FS2、FS3、FS5、FS6、FS7において、球12を検出した場合、CPU31は、球数算出プログラム33aを実行することにより、CPU31に入力されるHighレベル信号数に基づき、着座した球12の数(5個)を算出する。
CPU31は、かかる球数算出プログラム33aを実行することで、球数算出手段として機能する。
【0034】
球着座部判別プログラム33bは、CPU31に、フォトセンサ14により検出された球12が着座した球着座部13aを判別する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、図3(b)に示すように、FS2、FS3、FS5、FS6、FS7において、球12を検出した場合、CPU31は、球着座部判別プログラム33bを実行することにより、CPU31では、球着座部判別コードPcとして「11101100(2進数)」が読み込まれ、フォトセンサ14により検出された球12が着座した球着座部13aを判別する。
CPU31は、かかる球着座部判別プログラム33bを実行することで、球着座部判別手段として機能する。
【0035】
暗号化プログラム33cは、CPU31に、フォトセンサ14により検出された結果に基づく球情報を暗号化する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することにより、CPU31が球数算出プログラム33aを実行することにより算出された球の数情報を含んだ球情報、又は、CPU31が球着座部判別プログラム33bを実行することにより判別された球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化する。
より具体的には、例えば、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することにより、CPU31が球着座部判別プログラム33bを実行することにより判別された球着座部コードPcと後述する処理装置300から入力される所定のコードCinとの排他的論理和から暗号化コードCoutを算出する。
CPU31は、かかる暗号化プログラム33cを実行することで、暗号化手段として機能する。
【0036】
処理装置300は、移設検出装置100と通信処理可能なインターフェースを介して接続されており、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、記憶部303等を備えて構成され、記憶部303に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の動作を行うため予め設定された所定の動作条件に基づく各部の動作制御を行う機能を有する。
【0037】
CPU301は、記憶部303に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM302に展開して実行することにより、設置型機器1全体の制御を行う。
【0038】
RAM302は、CPU301により実行された処理プログラム等を、RAM302内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0039】
記憶部303は、例えば、プログラムやデータ等が予め記憶されている記録媒体(図示省略)を有しており、この記録媒体は、例えば、半導体メモリ等で構成されている。また、記憶部303は、CPU301が設置型機器1全体を制御する機能を実現させるための各種データ,各種処理プログラム,これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。より具体的には、記憶部303は、例えば、図1に示すように、解読プログラム303a、判断プログラム303b、禁止プログラム303c等を格納している。
【0040】
解読プログラム303aは、CPU301に、暗号化された球情報を解読する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、CPU301は、解読プログラム303aを実行することにより、移設検出装置100のCPU31が暗号化プログラム33cを実行することにより暗号化された球の数情報を含んだ球情報、又は、球着座部の情報を含んだ球情報を解読する。
より具体的には、例えば、CPU301は、解読プログラム303aを実行することにより、移設検出装置100のCPU31が暗号化プログラム33cを実行することにより暗号化された暗号化コードCoutと所定のコードCinとの排他的論理和から球着座部判別コードPcを解読する。
CPU301は、かかる解読プログラム303aを実行することで、解読手段として機能する。
【0041】
判断プログラム303bは、CPU301に、設置型機器1が移設されたか否かを判断する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、CPU301は、判断プログラム303bを実行することにより、CPU301が解読プログラム303aを実行することにより解読された球着座部判別コードPcと、記憶部303に記憶されている正常時を示すコードとが一致しているか否かを判断する。
CPU301は、かかる判断プログラム303bを実行することで、判断手段として機能する。
【0042】
禁止プログラム303cは、CPU301に、判断プログラム303bの実行により、設置型機器1が移設されたと判断された場合、設置型機器1の所定の動作を禁止する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、CPU301は、禁止プログラム303cを実行することにより、設置型機器1の所定の操作回路に組まれたインターロック接点を「ON」に切り替え、設置型機器1の所定の動作を禁止する。なお、所定の操作回路として、例えば、起動回路等があり、かかる起動回路に組まれたインターロック接点を「ON」に切り替えることにより、設置型機器1の起動を禁止する。
CPU301は、かかる禁止プログラム303cを実行することで、禁止手段として機能する。
【0043】
次に、上述のように構成されている移設検出装置100による移設検出方法について、図3を用いて説明する。
設置型機器1が移設される前、例えば、移設検出部10の8個の球12が、FS0〜FS7の位置に着座していたとする。そして、設置型機器1が移設された際に生じる振動により、当該8個の球12は、球着座部13aを離脱し、設置型機器1の移設後、当該8個の球12が、図3(b)に示すような配置で着座したとする。このとき、設置型機器1に電源が投入されると、移設検出装置100のCPU31は、球着座部判別プログラム33bを実行することにより、フォトセンサ14により検出された球12が着座した球着座部13a(FS2、FS3、FS5、FS6、FS7)を判別する。
【0044】
このように、本発明に係る第1の実施形態の設置型機器1によれば、設置型機器1を移設した際、移設検出装置100の球着座部13aによって、球12を着座させることができるとともに、所定の大きさ以上の振動がある場合には、球12を当該球着座部13aから離脱させることができ、フォトセンサ14によって、ベース部13の所定の球着座部13aに着座した球12を検出することができる。
よって、簡易な機構により、機器の移設を好適に検出することができる。また、球着座部13aに着座した球12を、フォトセンサ14を用いて検出することにより、非接触で球着座部13aに着座した球12を検出することができることとなり、当該装置の長寿命化を図ることができる。
また、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、フォトセンサ14により検出された結果に基づく球情報を暗号化することができる。
よって、機器の移設検出を不正に回避する等の行為を好適に防止することができることとなり、機器の移設を好適に検出することができる。
また、CPU31は、球数算出プログラム33aを実行することによって、フォトセンサ14により検出された球数を算出することができ、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、CPU31が球数算出プログラム33aを実行することにより算出された球の数情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、算出された球数の変化により、機器の移設を好適に検出することができる。
さらに、CPU31は、球着座部判別プログラム33bを実行することによって、フォトセンサ14により検出された球12が着座した球着座部13aを判別することができ、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、CPU31が球着座部判別プログラム33bを実行することにより判別された球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、判別された球着座部の異同により、機器の移設を好適に検出することができる。
また、ベース部13は、電気磁石13bを備え、電気磁石13bに通電することにより発生する磁力により、磁性体である球12を球着座部13aに着座した状態を維持することができる。
よって、機器が稼動している際には、磁性体である球12を球着座部13aに着座した状態を維持することができることとなり、地震や機器自体の振動を、当該機器が移設したとして誤検出することを好適に防止することができる。
また、移設検出装置100と通信処理可能な処理装置300のCPU301は、解読プログラム303aを実行することによって、移設検出装置100のCPU31が暗号化プログラム33cを実行することにより暗号化された球情報を解読することができ、判断プログラム303bを実行することによって、解読プログラム303aを実行することにより解読された球情報に基づき、設置型機器1が移設されたか否かを判断することができ、判断プログラム303bの実行により、設置型機器1が移設されたと判断された場合に、CPU301は、禁止プログラム303cを実行することによって、当該設置型機器1の所定の動作を禁止することができる。
よって、当該設置型機器1が、ユーザによって勝手に移設された場合、禁止プログラム303cの実行によって、当該設置型機器1の所定の動作を禁止することができるので、不適切な設置に伴う機器の不都合の発生を未然に防止することができる。
また、当該設置型機器1が、輸出規制対象貨物で、規制対象国・地域に違法に輸出された場合でも、当該機器の機能を使用することを好適に防止することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる設置型機器の第2の実施の形態を、図5〜8に基づき説明する。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
図5に示すように、設置型機器1は、設置型機器1の移設を検出する移設検出装置200と、設置型機器1が移設されたか否かを判断し、設置型機器1が移設されたと判断された場合に、設置型機器1の所定の動作を禁止する処理装置300と、を備えている。
【0046】
移設検出装置200は、例えば、図5、6に示すように、当該設置型機器1の移設を検出する移設検出部20と、制御部30を備え、移設検出部20は、筐体11と、筐体11内を転がる球22と、球22を着座させるための球着座部13aと球着座部13aに着座した球22を維持するための電気磁石13bとを備えるベース部13と、球着座部13aに着座した球22を検出する接点24と、を備えている。
【0047】
球22は、磁性体、且つ導電体であり、例えば、金属球が用いられ、図7(b)に示すように、筐体11内に8個の球22が備えられている。
【0048】
接点24は、例えば、図6、7に示すように、ベース部13に設けられた球着座部13aの縁部に2つの電気的な接点24a、24bと、を備え、球22が、球着座部13aに着座した際、接点24a、及び接点24bは、球22を介して電気的に短絡することにより、球22を検出する。これにより、接点24は、球検出手段として機能する。
また、接点24は、例えば、図7(a)に示すように、ベース部13の平面視において、8箇所の任意の球着座部13a縁部に配設(図中、SW0〜SW7)されている。そして、各接点24(SW0〜SW7)は、例えば、図8に示すように、後述するCPU31の8ビットのI/O入力に対し、各ビットに割り振られて接続され、接点24(SW0〜SW7)により、球22が検出された場合、当該接点24(SW0〜SW7)に割り振られたビットにおけるI/O入力の信号はLowレベル「0」となり、一方、球22が検出されない場合、当該接点24(SW0〜SW7)に割り振られたビットにおけるI/O入力の信号はHighレベル「1」となる。より具体的には、例えば、図7(b)に示すように、SW2、SW3、SW5、SW6、SW7において、球22を検出した場合、CPU31では、8ビットの球着座部判別コードPcとして「00010011(2進数)」が読み込まれる。
【0049】
このように、本発明に係る第2の実施形態の設置型機器1によれば、設置型機器1を移設した際、移設検出装置200の球着座部13aによって、球22を着座させることができるとともに、所定の大きさ以上の振動がある場合には、球22を当該球着座部13aから離脱させることができ、電気的な接点24によって、ベース部13の所定の球着座部13aに着座した球22を検出することができる。
よって、簡易な機構により、機器の移設を好適に検出することができる。また、球着座部13aに着座した球22を、電気的な接点24を用いて検出することにより、電気回路との接続が容易となり、機器の移設をより好適に検出することができることとなり、当該装置の長寿命化を図ることができる。
また、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、接点24により検出された結果に基づく球情報を暗号化することができる。
よって、機器の移設検出を不正に回避する等の行為を好適に防止することができることとなり、機器の移設を好適に検出することができる。
また、CPU31は、球数算出プログラム33aを実行することによって、接点24により検出された球数を算出することができ、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、CPU31が球数算出プログラム33aを実行することにより算出された球の数情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、算出された球数の変化により、機器の移設を好適に検出することができる。
さらに、CPU31は、球着座部判別プログラム33bを実行することによって、接点24により検出された球22が着座した球着座部13aを判別することができ、CPU31は、暗号化プログラム33cを実行することによって、CPU31が球着座部判別プログラム33bを実行することにより判別された球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することができる。
よって、判別された球着座部の異同により、機器の移設を好適に検出することができる。
また、ベース部13は、電気磁石13bを備え、電気磁石13bに通電することにより発生する磁力により、磁性体である球22を球着座部13aに着座した状態を維持することができる。
よって、機器が稼動している際には、磁性体である球22を球着座部13aに着座した状態を維持することができることとなり、地震や機器自体の振動を、当該機器が移設したとして誤検出することを好適に防止することができる。
また、移設検出装置200と通信処理可能な処理装置300のCPU301は、解読プログラム303aを実行することによって、移設検出装置200のCPU31が暗号化プログラム33cを実行することにより暗号化された球情報を解読することができ、判断プログラム303bを実行することによって、解読プログラム303aを実行することにより解読された所定の解読情報に基づき、設置型機器1が移設されたか否かを判断することができ、判断プログラム303bの実行により、設置型機器1が移設されたと判断された場合に、CPU301は、禁止プログラム303cを実行することによって、当該設置型機器1の所定の動作を禁止することができる。
よって、当該設置型機器1が、ユーザによって勝手に移設された場合、禁止プログラム303cの実行によって、当該設置型機器1の所定の動作を禁止することができるので、不適切な設置に伴う機器の不都合の発生を未然に防止することができる。
また、当該設置型機器1が、輸出規制対象貨物で、規制対象国・地域に違法に輸出された場合でも、当該機器の機能を使用することを好適に防止することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、設置型機器1は、三次元測定機、試験機、その他工作機械等であっても良い。また、第1の実施形態、及び第2の実施形態夫々において、球着座部13aをベース部13に対して格子状に縦横4つずつ設けたが、球着座部13aの数、及びその配置は、これに限らない。また、球検出手段としてのフォトセンサ14を構成する受光素子14b、電気的な接点24を、夫々の実施形態において、格子状に縦横4つずつ設けられた球着座部13aのうち、任意の8箇所に設けたが、これに限らず、ベース部13に設けられた球着座部13a全てに対して受光素子14b、電気的な接点24夫々を設ける設計であっても良い。また、第1の実施形態において発光素子14aを筐体の天井部に配置するとともに、受光素子14bを球着座部13aの下方に配置するフォトセンサ14を用いたが、これに限らず、例えば、球着座部13aの下方に反射型のフォトセンサを配置させても良い。また、本発明では、球検出手段として、フォトセンサ、電気的な接点を用いたが、これに限らず、球着座部13aに機械的な接点を設け、球が当該球着座部13aに着座した際、機械的な接点が押圧されることにより、球を検出する設計であっても良い。また、本発明の実施形態では、暗号アルゴリズムとして、排他的論理和を用いたが、これに限らず、種種のアルゴリズムを用いても良い。その他、本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で自由に変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の設置型機器のブロック図である。
【図2】本発明に係る第1の実施形態の設置型機器における移設検出部の断面図である。
【図3】本発明に係る第1の実施形態の設置型機器における移設検出方法を示す図であり、(a)は移設検出部のベース部を平面視した図を、(b)は球がベース部に穿設された球着座部に球が着座した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る第1の実施形態の設置型機器における移設検出装置の回路構成図である。
【図5】本発明に係る第2の実施形態の設置型機器のブロック図である。
【図6】本発明に係る第2の実施形態の設置型機器における移設検出部の断面図である。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の設置型機器における移設検出方法を示す図であり、(a)は移設検出部のベース部を平面視した図を、(b)は球がベース部に穿設された球着座部に球が着座した状態を示す図である。
【図8】本発明に係る第2の実施形態の設置型機器における移設検出装置の回路構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1 設置型機器
100 移設検出装置
10 移設検出部
12 球
13 ベース部
13a 球着座部
13b 電気磁石
14 フォトセンサ(球検出手段)
14a 発光素子
14b 受光素子
200 移設検出装置
20 移設検出部
22 球
24 接点(球検出手段)
30 制御部
31 CPU(球数算出手段、球着座部判別手段、暗号化手段)
33 記憶部
33a 球数算出プログラム(球数算出手段)
33b 球着座部判別プログラム(球着座部判別手段)
33c 暗号化プログラム(暗号化手段)
300 処理装置
301 CPU(解読手段、判断手段、禁止手段)
303 記憶部
303a 解読プログラム(解読手段)
303b 判断プログラム(判断手段)
303c 禁止プログラム(禁止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内を転がる1又は2以上の球と、
前記球を着座させるための球着座部を前記球の数以上有するベース部と、
前記ベース部の所定の球着座部に着座した前記球を検出する球検出手段と、
を備え、
前記球着座部は、所定の大きさ以上の振動により球が当該球着座部から離脱することを特徴とする移設検出装置。
【請求項2】
前記球検出手段により検出された結果に基づく球情報を暗号化する暗号化手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の移設検出装置。
【請求項3】
前記球検出手段により検出された前記球の数を算出する球数算出手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球数算出手段により算出された前記球の数情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする請求項2に記載の移設検出装置。
【請求項4】
前記球検出手段により検出された前記球が着座した球着座部を判別する球着座部判別手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球着座部判別手段により判別された前記球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする請求項2に記載の移設検出装置。
【請求項5】
前記球検出手段により検出された前記球の数を算出する球数算出手段と、
前記球検出手段により検出された前記球が着座した球着座部を判別する球着座部判別手段を備え、
前記暗号化手段は、前記球数算出手段により算出された前記球の数情報を含んだ球情報、又は、前記球着座部判別手段により判別された前記球着座部の情報を含んだ球情報を暗号化することを特徴とする請求項2に記載の移設検出装置。
【請求項6】
前記球検出手段は、フォトセンサであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項
に記載の移設検出装置。
【請求項7】
前記球は、導電体であり、
前記ベース部の所定の球着座部には、電気的な接点を2以上備え、
前記球検出手段は、前記球が、前記くぼみに着座した際、電気的に短絡することにより前記球を検出することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の移設検出装置。
【請求項8】
前記球は、磁性体であり、
前記ベース部は、電気磁石を備え、
前記電気磁石に通電することにより発生する磁力により、前記球を前記球着座部に着座した状態を維持することを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の移設検出装置。
【請求項9】
請求項2〜8の何れか一項に記載の移設検出装置と、当該移設検出装置と通信処理可能な処理装置と、を備える設置型機器において、
前記処理装置は、
前記暗号化手段により暗号化された前記球情報を解読する解読手段と、
前記解読手段により解読された前記球情報に基づき、前記設置型機器が移設されたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記設置型機器が移設されたと判断された場合に、当該設置型機器の所定の動作を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とする設置型機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−157853(P2008−157853A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349236(P2006−349236)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】