説明

移載装置および移載方法

【課題】卵を移載するための移載部を大型化することなく一度の移載動作によってより多くの卵を移載することができる移載装置を提供する。
【解決手段】移載部4の吸盤ユニットU1〜U12に取り付けられた吸盤48によって、卵Eを整列搬送部から吸着する。卵Eを吸着した移載部4は整列搬送部から第一パック搬送部50上へ移動する。吸盤ユニットU1〜U12は回動レバー44に枢支されている連結アーム43によって間隔が変更され、第一パック搬送部50上に並んだパック52の収容部Pの直上にある吸盤ユニットU1,U3,U5,U7,U9,U11が吸着している卵Eをパック52へ充填する。卵Eをパック52に充填した移載部4は第二パック搬送部上へ移動し、吸盤ユニットU2,U4,U6,U8,U10,U12が吸着している残りの卵Eを第二パック搬送部上に並んだパックに充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卵の自動パッキングシステムにおける移載装置および移載方法に関し、より詳しくは、長軸を鉛直として整然と並んでいる卵を一括して吸着し、ヒンジによって収容部と蓋部が一体となった容器へ移載する移載部を備えた移載装置および移載方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
卵の自動パッキングシステムにおいて、卵は洗浄工程・乾燥工程・検査工程を経て計量部で計量され、それぞれの重量に応じた集合場所である整列搬送部へ分配される。整列搬送部では卵は長軸を鉛直として整然と並べられており、整列搬送部に所定の個数の卵が揃うと移載装置によって吸着されて他の場所にある容器へ移載される。
【0003】
このような卵の自動パッキングシステムにおける従来の移載装置について、特許文献1を例に挙げて説明する。
卵の自動パッキングシステムにおける従来の移載装置に係る移載部(移替部)は、12個の吸盤が取り付けられた吸盤ユニット(真空ボックス)5組で構成されており、5組の吸盤ユニットによって整列搬送部(搬送装置)上の収容容器に収容されている60個の卵を吸着して取り出す。60個の卵を吸着して取り出した移載部は、ガイドレールに沿って容器搬送部(包装装置)上へ移動する。
【0004】
移載部を構成する5組の吸盤ユニット同士の間隔は間隔変更部(スライダー)によって変更可能であり、移載部が容器搬送部上へ移動するときに吸盤ユニットは間隔変更部によって吸盤ユニット同士の間隔が広げられる。吸盤ユニット同士の間隔が、容器搬送部上に置かれたパックの収容部同士の間隔と等しくなるまで広がると、移載部は60個の卵をパックへ同時に充填する。
【0005】
ところで、近年は卵の自動パッキングシステム全体における単位時間あたりの処理性能向上が求められており、上記移載装置にも当然、同様の処理性能の向上が要請されている。
移載装置の単位時間あたりの処理性能を向上させるには、一度の移載動作によって移載することができる卵の数を増やさなければならないが、そのためには移載部を構成する吸盤ユニットを増やす必要がある。そこで、特許文献2には、10組の吸盤ユニットによって構成された移載部を備える移載装置の一例が提案されている。
【0006】
特許文献2に記載の移載装置(卵吸着装置)では、移載部(鶏卵吸着ヘッド)を構成する10組の吸盤ユニット(吸着ユニット)を第1グループと第2グループに分け、吸盤ユニット同士の間隔を広げる前に第1グループと第2グループを横移動ピニオンによって複列化してから、第1グループと第2グループにそれぞれ設けられている間隔変更部(縦移動ピニオン)によって吸盤ユニット同士の間隔を広げるように構成されている。このようにすることで、2列の容器搬送部(パック搬送部)にそれぞれ5個ずつ並べられた合計10個のパックへ120個の卵を同時に充填することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−11826号公報
【特許文献2】特開2000−309306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載されている移載装置では、移載部は第1グループを支持するための第1フレームおよび第2グループを支持するための第2フレーム、複列化した第1グループと第2グループを支持するための全体フレームが必要であるため大型化が避けられない。しかしながら、現実には移載部が移動するスペースの制約があるので、単純に移載部を大型化することができなかった。
【0009】
本発明は、上記開発の一環でなされたものであり、その目的は、移載部を大型化することなく一度の移載動作によってより多くの卵を移載することができる移載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る移載装置は、ヒンジによって収容部と蓋部が一体となった容器に卵を移載する移載装置であって、整列搬送部と移載部と容器搬送部と間隔変更部とを備える。整列搬送部は複数の卵を整然と搬送する。移載部は複数の吸盤が列状に並ぶ吸盤ユニットが複数取り付けられ、それぞれの吸盤ユニットごとに卵の吸着を解除することができる真空配管を有している。容器搬送部は容器の収容部と蓋部が交互に並ぶように搬送する。間隔変更部は吸盤ユニットが一つ置きに容器の収容部の直上となるように吸盤ユニットの間隔を変更する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る移載装置によれば、移載部を構成する吸盤ユニットの数を増やしても従来のように大型化することがなく、卵の自動パッキングシステム全体における単位時間あたりの処理性能向上に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る移載装置の概略平面図である。
【図2】同実施例に係る移載装置の要部拡大図である。
【図3】同実施例に係る移載装置の移載部が整列搬送部から卵を取り出している状態を示す側面図である。
【図4】同実施例に係る移載装置の移載部を説明するための斜視図である。
【図5】同実施例に係る移載装置の移載部が容器搬送部上のパックへ卵を充填している状態を示す側面図である。
【図6】同実施例に係る移載装置の移載部が容器搬送部上のパルプモールドトレイへ卵を充填している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施例を図面を参照して具体的に説明する。なお、説明を簡略化するため、それぞれの図において一部の構成を省略している。
【0014】
図1および図2に示すように、本実施例の移載装置1は、卵Eの重量に応じた集合場所へ分配するための分配搬送部2と、卵Eの集合場所であって収容容器38に卵Eを収容して整然と搬送する整列搬送部3と、整列搬送部3から卵Eを取り出してパック52またはパルプモールドトレイ55に充填する移載部4と、移載部4が卵Eを充填するためのパック52またはパルプモールドトレイ55を搬送する容器搬送部5と、これらを制御する制御部6を備えている。
なお、図2に示すように整列搬送部3および容器搬送部5上には、それぞれ収容容器38、パック52、パルプモールドトレイ55が存在しているが、図1では省略している。
【0015】
分配搬送部2は、洗浄工程・乾燥工程・検査工程を経て計量部7によって計量された卵EをX方向へ搬送し、卵Eそれぞれの計量値に基づいて整列搬送部3のいずれかへ分配するためのグレーダである。本実施例では、分配搬送部2は単列で卵Eを搬送しており、制御部6から送られてくる制御信号に基づいて分配を行うように構成されている。
【0016】
整列搬送部3は卵Eの集合場所であり、整列搬送部30には2S/Sサイズ、整列搬送部32にはMSサイズ、整列搬送部33にはLサイズ、整列搬送部34にはMサイズ、整列搬送部35には2Lサイズ、整列搬送部37には3Lサイズの卵Eが分配搬送部2によって分配されるように設定されている。また、整列搬送部31,36にはMSサイズ〜2Lサイズの卵Eをブレンドして定重量詰めのパック52を生産するための集合場所であるBL1およびBL2が設定されている。これらの設定は任意に変更することが可能である。
【0017】
図2および図3に示すように、整列搬送部3にはそれぞれ、卵Eの長軸を鉛直として収容する収容座6個一列で構成された収容容器38が複数個設けられている。分配搬送部2から6個の卵Eを受け取った収容容器38はY方向へ移動するように構成されている。整列搬送部3にはそれぞれエアシリンダ39が設けられており、エアシリンダ39によって収容容器38は図3に示す位置に停止する。
収容容器38は、整列搬送部3上を循環搬送されるので、移載部4によって収容容器38の収容座から卵Eが取り出されると、分配搬送部2から卵Eを受け取ることができる位置へ戻るように構成されている。本実施例の整列搬送部3は収容容器38によって卵Eを搬送しているが、卵Eの長軸を鉛直として整然と搬送できればよいので、合成樹脂製のトレイに卵Eを収容して搬送しても良い。
【0018】
図3および図4に示すように、移載部4は、吸盤ユニットU1〜U12と、スライドブロックB0〜B12と、スライドブロックB0〜B12を連通するスライドシャフト40と、反発力によってスライドブロックB0〜B12の間隔を広げるコイルバネ41と、スライドブロックB0〜B12の間隔の広がりを一部制限するストッパ42と、スライドブロックB0,B2,B4,B8,B10,B12をスライドさせる6本の連結アーム43と、6本の連結アーム43を連動させる回動レバー44と、スライドシャフト40の両端を固定するフレーム45と、スライドブロックB6をフレーム45に固定する固定具46と、ヘッドカバー47を有している。なお、図4ではフレーム45およびヘッドカバー47を省略している。
図2に示すように、移載部4はさらにガイドレール8と、ガイドレール8に沿って移載部4を移動および昇降させるためのヘッド駆動部9を備えており、整列搬送部3上の卵Eを一度の移載動作でパック52またはパルプモールドトレイ55に移載することができる。
【0019】
吸盤ユニットUには、12個の吸盤48が6個ずつ2列に並んで取り付けられており、移載部4全体では、吸盤ユニットU1〜U12に合計144個の吸盤48が6個ずつ24列に並んで取り付けられている。図3および図4では省略されているが、144個の吸盤48すべてに真空配管10が設けられている。真空配管10は図1に示すように真空発生部11につながっている。真空発生部11は、制御部6からの制御信号に基づいて、吸盤ユニットU1〜U12の任意の列に対して、独立して卵Eを吸着することができるように構成されている。
さらに、吸盤ユニットU1〜U12には、充填するパック52またはパルプモールドトレイ55の収容座の間隔に合わせて12個の吸盤48の間隔を微調整する調整機構(図示せず)がそれぞれ備えられている。
【0020】
スライドブロックB0〜B12にはスライドシャフト40が連通しており、スライドブロックB1〜B12はそれぞれ吸盤ユニットU1〜U12の上部に取り付けられている。なお、スライドブロックB0は吸盤ユニットUに取り付けられていない。また、スライドブロックB0〜B12の間には弾性体であるコイルバネ41が設けられ、コイルバネ41の反発力は吸盤ユニットU1〜U12の間隔を広げるように作用している。
本実施例では弾性体の一例としてコイルバネ41を用いているが、吸盤ユニットU1〜U12の間隔を広げるように作用すればよいので板バネなども利用できる。
【0021】
スライドブロックB1と、後に説明する連結アーム43に枢支されているスライドブロックB2の間にはストッパ42が設けられ、スライドブロックB1とスライドブロックB2の中心間距離が110mmを超えて広がらないように制限している。ストッパ42は、スライドブロックB1,B2の間の他に、スライドブロックB3,B4の間、スライドブロックB5,B6の間、スライドブロックB7,B8の間、スライドブロックB9,B10の間、スライドブロックB11,B12の間に設けられており、それぞれの中心間距離が110mmを超えて広がらないように制限している。
【0022】
回動レバー44は回動軸49に固定されており、図3および図4では省略されているが回動軸49は上部でヘッド駆動部9に軸支されている。回動レバー44は回動軸49を中心に回動することによって6本の連結アーム43を動かす。
6本の連結アーム43は、図4に示すように、一端で回動レバー44に枢支され、他端でそれぞれスライドブロックB0,B2,B4,B8,B10,B12を枢支している。回動レバー44が反時計回りに回動することでスライドブロックB0〜B12の間隔を狭め、回動レバー44が時計回りに回動することでスライドブロックB0〜B12の間隔を広げるように構成されている。
【0023】
本実施例では、回動レバー44に6本の連結アーム43を取り付け、連結アーム43の動きとコイルバネ41によってスライドブロックB0〜B12の間隔を広げたり狭めたりしているが、回動レバー44に12本の連結アーム43を取り付ける、もしくはパンタグラフを用いてスライドブロックB1〜B12のすべてを直接スライドさせることで、コイルバネ41を設けなくともスライドブロックB1〜B12の間隔を広げたり狭めたりすることができる。
しかし、連結アーム43を12本に増やしたり、パンタグラフを用いたりすると重量が増し、ヘッド駆動部9の出力を増大しなければならなくなるといった問題があるため、本実施例ではコイルバネ41を設けることで移載部4を軽量化している。
【0024】
また、スライドブロックB0を設け、スライドブロックB6を固定具46でフレーム45に固定することで、6本の連結アーム43に枢支または固定具46に固定されたスライドブロックB0,B2,B4,B6,B8,B10,B12と、そのほかのスライドブロックB1,B3,B5,B7,B9,B11が必ず隣り合うことになる。そうすると、コイルバネ41にのみ挟まれるスライドブロックBが二つ以上連続することがなくなるので、吸盤ユニットU1〜U12同士の位置のズレを軽減することができる。さらに、ストッパ42を設けることでコイルバネ41が大きく広がる必要がなくなり、軽量で安価なコイルバネ41を使用することができる。
【0025】
図2および図5に示すように、第一パック搬送部50および第二パック搬送部51は、卵包装用のパック52をZ方向へ搬送する容器搬送装置である。パック52は12個の収容座で構成された収容部Pと、ヒンジによって収容部Pと一体になっている蓋部Cを備えている。第一パック搬送部50および第二パック搬送部51のそれぞれの搬送面にはZ方向の上流側に設けられたパック供給部53から、パック52の収容部P同士の中心間距離が254mmとなるようにパック52が供給されている。
図2に示すように、第二パック搬送部51上には、第一パック搬送部50上を搬送されるパック52に対してZ方向へ110mmずらした位置にパック供給部53から供給されたパック52が停止している。
【0026】
本実施例では、第一パック搬送部50および第二パック搬送部51の搬送面にベルトコンベアを使用しており、Z方向上流から搬送されてきたパック52は、図2に示す位置で停止する。移載部4によってパック52に卵Eが充填されると、第一パック搬送部50および第二パック搬送部51はZ方向下流に向けてパック52の搬送を再開するように構成されている。
第一パック搬送部50および第二パック搬送部51のZ方向下流側には卵Eが充填されたパック52の蓋部Cを閉めてテープなどで封緘するための封緘機(図示せず)が設けられている。
【0027】
第一パック搬送部50および第二パック搬送部51の搬送面はベルトコンベアでなくとも、上述のようにパック52の収容部P同士の中心間距離を254mmに保ったままZ方向へ搬送し、卵Eの充填位置で停止することができるコンベアであればよい。
【0028】
図1および図2に示すように、パルプモールドトレイ搬送部54は、パルプモールドトレイ55をZ方向へ搬送する容器搬送装置であり、Z方向の上流側に設けられたパルプモールドトレイ供給部56から所定の間隔を空けてパルプモールドトレイ55が供給されている。パルプモールドトレイ55は54個の収容座を備えている。
【0029】
本実施例では、パルプモールドトレイ搬送部54の搬送面にベルトコンベアを使用しており、Z方向上流から搬送されてきたパルプモールドトレイ55は、図2に示す位置で停止し、移載部4によって卵Eがパルプモールドトレイ55に充填されると、Z方向下流に向けてパルプモールドトレイ55の搬送を再開するように構成されている。なお、パルプモールドトレイ搬送部54の搬送面も第一パック搬送部50および第二パック搬送部51と同様にベルトコンベアでなくともよい。
パルプモールドトレイ搬送部54のZ方向下流側には卵Eが充填されたパルプモールドトレイ55を段ボール箱に詰めるための箱詰め機(図示せず)が設けられている。
【0030】
ここで、本実施例に係る移載装置1によって卵Eが第一パック搬送部50および第二パック搬送部51上のパック52に充填されるまでの一連の移載動作について説明する。
なお、ここでは整列搬送部34に集合するMサイズ(58g以上64g未満)の卵Eがパック52に充填される様子を一例として説明する。
【0031】
洗浄工程・乾燥工程・検査工程を経た卵Eは、計量部7によって個別に計量され、分配搬送部2によってX方向へ搬送される。図1に示すように、計量値のデータは卵Eごとに紐付けされて制御部6へ送られる。
制御部6は、受け取った計量値のデータに基づいて集合場所である整列搬送部3のいずれかに卵Eを分配するように分配搬送部2に制御信号を送る。本実施例では、整列搬送部34をMサイズ(58g以上64g未満)の卵Eの集合場所に設定しているので、計量値が58g以上64g未満である卵Eは分配搬送部2によって整列搬送部34に分配される。
【0032】
図2および図3に示すように、整列搬送部34には収容容器38が複数設けられており、分配搬送部2からMサイズの卵Eを6個受け取った収容容器38は整列搬送部34上をY方向へ移動する。
整列搬送部34に設けられているエアシリンダ39は収容容器38を図3の位置に停止させる。収容容器38が整列搬送部34上に24個並ぶと、整列搬送部34に設けられたセンサから制御部6に対して信号が送られる。
【0033】
整列搬送部34に設けられたセンサからの信号を受け取った制御部6は、移載部4に制御信号を送る。制御部6からの制御信号を受け取った移載部4は、ヘッド駆動部9によって整列搬送部34の直上へ移動し、さらに図3に示す位置まで下降する。このとき、吸盤ユニットU1〜U12同士の中心間距離は、整列搬送部34上に並んで停止している収容容器38に収容された卵Eを吸着することができるように110mmとなっている。
【0034】
移載部4が図3に示す位置まで下降すると、制御部6は真空発生部11に制御信号を送り、吸盤ユニットU1〜U12に取り付けられた144個の吸盤48で144個の卵Eを一括して吸着する。整列搬送部34から144個の卵Eを吸着した移載部4はヘッド駆動部9によって上昇し、ガイドレール8に沿って第一パック搬送部50上まで移動する。
【0035】
図2および図5に示すように、第一パック搬送部50上には6個のパック52があり、それぞれのパック52の収容部Pの中心間距離が254mmとなるように間隔を空けてパック供給部53から供給されている。
【0036】
移載部4は第一パック搬送部50上に移動するときに、吸盤ユニットU2,U4,U6,U8,U10,U12の間隔を第一パック搬送部50上に供給されたパック52の収容部P同士の間隔に合わせて広げるため、図4に示す回動レバー44を時計回りに回動させる。回動レバー44が時計回りに回動すると、回動レバー44に枢支されている連結アーム43が、スライドブロックB0,B2,B4,B6,B8,B10,B12のそれぞれの中心間距離を254mmに広げる。
【0037】
そうすると、図5に示すように、ストッパ42によってスライドブロックB2,B4,B6,B8,B10,B12からの中心間距離がそれぞれ110mmに制限されているスライドブロックB1,B3,B5,B7,B9,B11の中心間距離も254mmとなる。
第一パック搬送部50は、パック52の収容部Pが、スライドブロックB1,B3,B5,B7,B9,B11の直下となる位置でパック52の搬送を停止する。
【0038】
第一パック搬送部50上に到達した移載部4は、ヘッド駆動部9によって図5に示す位置まで下降する。このとき、吸盤ユニットU1〜U12のそれぞれに取り付けられた12個の吸盤48の間隔は、調整機構(図示せず)によってパック52の収容部Pにある12個の収容座の間隔に合うように微調整される。
移載部4が下降すると、制御部6は真空発生部11へ制御信号を送り、吸盤ユニットU1,U3,U5,U7,U9,U11に取り付けられた吸盤48の吸着を解除して卵Eをパック52へ充填する。このとき、吸盤ユニットU2,U4,U6,U8,U10,U12に取り付けられた吸盤48による卵Eの吸着は解除されず、図5に示すように卵Eを保持し続ける。
【0039】
第一パック搬送部50上のパック52へ卵Eを充填した移載部4は上昇し、ガイドレール8に沿って第二パック搬送部51上へ移動する。第二パック搬送部51上には、図2に示すように6個のパック52があり、それぞれのパック52の収容部P同士の中心間距離が254mmとなるように間隔を空けてパック供給部53から供給されている。第二パック搬送部51上の先頭のパック52は、第一パック搬送部50上の先頭のパック52より110mmだけZ方向下流の位置に停止する。
【0040】
第二パック搬送部51上に到達した移載部4は、吸盤ユニットU2,U4,U6,U8,U10,U12の保持する卵Eが第二パック搬送部51上のパック52の収容部Pに充填できる位置までヘッド駆動部9によって下降する。移載部4が下降すると、制御部6は真空発生部11へ制御信号を送り、吸盤ユニットU2,U4,U6,U8,U10,U12に取り付けられた吸盤48の吸着を解除して卵Eをパック52へ充填する。
【0041】
第二パック搬送部51上のパック52へ卵Eを充填した移載部4は再び上昇し、ガイドレール8に沿って整列搬送部3上へ移動する。移載部4は整列搬送部3上に移動するときに、吸盤ユニットU1〜U12のそれぞれの間隔を整列搬送部3上の収容容器38の間隔に合わせて狭めるため、回動レバー44を反時計回りに回動する。
【0042】
回動レバー44が反時計回りに回動すると、回動レバー44に枢支されている連結アーム43が、固定具46によってフレーム45に固定されているスライドブロックB6を中心としてスライドブロックB0,B2,B4,B8,B10,B12をそれぞれの間隔が狭まる方向へスライドさせる。そうすると、スライドブロックB1〜B12に取り付けられている吸盤ユニットU1〜U12の中心間距離は、整列搬送部3上に並んで停止している収容容器38に収容された卵Eを吸着することができるように110mmとなり、整列搬送部3上に到達した移載部4は、再び上記移載動作を繰り返す。
【0043】
これまでは、整列搬送部34に集合するMサイズの卵Eがパック52へ充填されるまでの移載動作について説明を行ったが、他の整列搬送部30〜33,35〜37に集合するS/2Sサイズ、MSサイズ、Lサイズ、2Lサイズ、3Lサイズと、MSサイズ〜2Lサイズの卵EがブレンドされるBL1およびBL2のそれぞれの移載動作についても上記と同様に行われる。
【0044】
本実施例では、移載部4が吸着している144個の卵Eのうち、第一パック搬送部50上の6個のパック52に72個の卵Eを充填したあと、第二パック搬送部51上の6個のパック52に残りの72個の卵Eを充填しているが、移載部4が吸着している144個の卵Eを第一パック搬送部50上の12個のパック52に2回に分けて充填することもできる。
そのためには、1回目と2回目で第一パック搬送部50上のパック52の停止位置を110mm変える必要があるが、このようにすることで、第二パック搬送部51が故障したときでも第一パック搬送部50のみを使用して移載部4が吸着している144個の卵Eをパック52に充填することが可能となる。
【0045】
次に、本実施例に係る移載装置1によって卵Eがパルプモールドトレイ搬送部54上のパルプモールドトレイ55に充填されるまでの一連の移載動作について説明する。
なお、ここでは整列搬送部34に集合するMサイズ(58g以上64g未満)の卵Eがパルプモールドトレイ55に充填される様子を一例として説明する。
【0046】
洗浄工程・乾燥工程・検査工程を経た卵Eは、計量部7によって個別に計量され、分配搬送部2によってX方向へ搬送される。図1に示すように、計量値のデータは卵Eごとに紐付けされて制御部6へ送られる。
制御部6は、受け取った計量値のデータに基づいて集合場所である整列搬送部3のいずれかに卵Eを分配するように分配搬送部2に制御信号を送る。本実施例では、整列搬送部34をMサイズ(58g以上64g未満)の卵Eの集合場所に設定しているので、計量値が58g以上64g未満である卵Eは分配搬送部2によって整列搬送部34に分配される。
【0047】
図2および図3に示すように、整列搬送部34には収容容器38が複数設けられており、分配搬送部2からMサイズの卵Eを6個受け取った収容容器38は整列搬送部34上をY方向へ移動する。
整列搬送部34に設けられているエアシリンダ39は収容容器38を停止させる。収容容器38が整列搬送部34上に18個並ぶと、整列搬送部34に設けられたセンサから制御部6に対して信号が送られる。
【0048】
整列搬送部34に設けられたセンサからの信号を受け取った制御部6は、移載部4に制御信号を送る。制御部6からの制御信号を受け取った移載部4は、ヘッド駆動部9によって整列搬送部34の直上へ移動し、吸盤48が卵Eに接触する位置まで下降する。このとき、吸盤ユニットU1〜U12同士の中心間距離は、整列搬送部34上に並ぶ収容容器38に収容された卵Eを吸着することができるように110mmとなっている。
【0049】
吸盤48が卵Eに接触する位置まで下降すると、制御部6は真空発生部11に制御信号を送り、吸盤ユニットU1〜U9に取り付けられた108個の吸盤48で108個の卵Eを一括して吸着する。整列搬送部34から108個の卵Eを吸着した移載部4はヘッド駆動部9によって上昇し、ガイドレール8に沿ってパルプモールドトレイ搬送部54上まで移動する。
【0050】
図2および図6に示すように、パルプモールドトレイ搬送部54上には2枚のパルプモールドトレイ55があり、所定の間隔を空けてパルプモールドトレイ供給部56から供給されている。
【0051】
移載部4はパルプモールドトレイ搬送部54上に移動するときに、吸盤ユニットU1〜U9のそれぞれの間隔をパルプモールドトレイ搬送部54上のパルプモールドトレイ55の収容座の間隔に合わせて狭めるため、図4に示す回動レバー44を反時計回りに回動させる。回動レバー44が反時計回りに回動すると、回動レバー44に枢支されている連結アーム43が、スライドブロックB0〜B12の中心間距離をそれぞれ96mmとなるように狭める。
【0052】
パルプモールドトレイ搬送部54は、図6に示すようにパルプモールドトレイ55の収容座がスライドブロックB1〜B4およびスライドブロックB5のZ方向上流側半分の直下になる位置でパルプモールドトレイ55の搬送を停止する。
【0053】
パルプモールドトレイ搬送部54上に到達した移載部4は、ヘッド駆動部9によって図6に示す位置まで下降する。このとき、吸盤ユニットU1〜U4および吸盤ユニットU5のZ方向上流側に取り付けられた吸盤48の間隔は、調整機構(図示せず)によってパルプモールドトレイ55にある54個の収容座の間隔に合うように微調整される。
移載部4が下降すると、制御部6は真空発生部11へ制御信号を送り、吸盤ユニットU1〜U4および吸盤ユニットU5のZ方向上流側に取り付けられた吸盤48の吸着を解除して卵Eをパルプモールドトレイ55へ充填する。このとき、吸盤ユニットU5のZ方向下流側および吸盤ユニットU6〜U9に取り付けられた吸盤48による卵Eの吸着は解除されず、図6に示すように卵Eを保持し続ける。
【0054】
パルプモールドトレイ搬送部54上のZ方向下流側にあるパルプモールドトレイ55へ卵Eを充填した移載部4は上昇し、そのままパルプモールドトレイ搬送部54の直上で停止する。
移載部4が上昇すると、パルプモールドトレイ搬送部54はZ方向上流側にある空のパルプモールドトレイ55がスライドブロックB5のZ方向下流側半分およびスライドブロックB6〜B9の直下になる位置でパルプモールドトレイ55の搬送を停止する。
【0055】
パルプモールドトレイ搬送部54が停止すると、移載部4は、ヘッド駆動部9によって卵Eがパルプモールドトレイ55に充填できる位置まで下降する。移載部4が下降すると、制御部6は真空発生部11へ制御信号を送り、吸盤ユニットU5のZ方向下流側およびU6〜U9に取り付けられた吸盤48の吸着を解除して卵Eをパルプモールドトレイ55へ充填する。
【0056】
パルプモールドトレイ搬送部54上の2枚のパルプモールドトレイ55へ卵Eを充填した移載部4は再び上昇し、ガイドレール8に沿って整列搬送部3上へ移動する。移載部4は整列搬送部3上に移動するときに、吸盤ユニットU1〜U12同士の間隔を整列搬送部3上の収容容器38の間隔に合わせて広げるため、回動レバー44を時計回りに回動する。
【0057】
回動レバー44が時計回りに回動すると、回動レバー44に枢支されている連結アーム43が、固定具46によってフレーム45に固定されているスライドブロックB6を中心としてスライドブロックB0,B2,B4,B8,B10,B12をそれぞれの間隔が広がる方向へスライドさせる。そうすると、スライドブロックB1〜B12に取り付けられている吸盤ユニットU1〜U12の中心間距離は、整列搬送部3上に並んで停止している収容容器38に収容された卵Eを吸着することができるように110mmとなり、整列搬送部3上に到達した移載部4は、再び上記移載動作を繰り返す。
【0058】
これまでは、整列搬送部34に集合するMサイズの卵Eがパルプモールドトレイ55へ充填されるまでの移載動作について説明を行ったが、他の整列搬送部30〜33,35〜37に集合するS/2Sサイズ、MSサイズ、Lサイズ、2Lサイズ、3Lサイズと、MSサイズ〜2Lサイズの卵EがブレンドされるBL1およびBL2のそれぞれの移載動作についても同様に行われる。
【0059】
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、卵の自動パッキングシステムにおける単位時間あたりの処理性能向上に有効に利用される。
【符号の説明】
【0061】
1 移載装置
2 分配搬送部
3 整列搬送部
4 移載部
5 容器搬送部
6 制御部
7 計量部
8 ガイドレール
9 ヘッド駆動部
10 真空配管
11 真空発生部
38 収容容器
39 エアシリンダ
40 スライドシャフト
41 コイルバネ
42 ストッパ
43 連結アーム
44 回動レバー
45 フレーム
46 固定具
47 ヘッドカバー
48 吸盤
49 回動軸
50 第一パック搬送部
51 第二パック搬送部
52 パック
53 パック供給部
54 パルプモールドトレイ搬送部
55 パルプモールドトレイ
56 パルプモールドトレイ供給部
B スライドブロック
C 蓋部
E 卵
P 収容部
U 吸盤ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部と蓋部が一体となった容器に卵を移載する移載装置であって、
長軸を鉛直とした複数の卵を整然と搬送する整列搬送部と、
前記整列搬送部から複数の卵を吸着して取り出すための複数の吸盤と、
前記吸盤が列状に取り付けられた吸盤ユニットと、
前記吸盤ユニットが所定方向に沿って複数取り付けられた移載部と、
前記移載部が卵を移載するための容器を収容部と蓋部が交互に並ぶように搬送する容器搬送部と、
前記容器搬送部が搬送する容器の収容部に対して前記吸盤ユニットが一つ置きに直上となるように複数の前記吸盤ユニットの間隔を前記所定方向に沿って変更する間隔変更部と、
前記間隔変更部によって間隔が変更された前記吸盤ユニットのうち容器の収容部の直上となった吸盤ユニットのみの卵の吸着を解除することができる真空配管とを備える移載装置。
【請求項2】
前記間隔変更部は、前記移載部に取り付けられたスライドシャフトと、
前記スライドシャフトに沿って複数の前記吸盤ユニットのうち一部の吸盤ユニットを枢支する連結アームと、
前記連結アームによって枢支される吸盤ユニットと他の吸盤ユニットとの間隔を広げる方向に反発力を作用させる弾性体とを有する請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記間隔変更部は、前記弾性体の反発力を制限するストッパを有する請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
収容部と蓋部が一体となった容器に卵を移載する移載方法であって、
長軸を鉛直とした複数の卵を整然と搬送するステップと、
整然と搬送される複数の卵を吸着して取り出すステップと、
卵を移載するための容器を収容部と蓋部が交互に並ぶように搬送するステップと、
容器の収容部に対して吸盤ユニットが一つ置きに直上となるように複数の吸盤ユニットの間隔を所定方向に沿って変更するステップと、
間隔が変更された吸盤ユニットのうち容器の収容部の直上となった吸盤ユニットのみの卵の吸着を解除するステップとを備える移載方法。
【請求項5】
前記吸盤ユニットの間隔を所定方向に沿って変更するステップは、
連結アームに枢支されている吸盤ユニットと他の吸盤ユニットとの間隔をスライドシャフトに沿って広げる方向に弾性体の反発力を作用させるステップを有する請求項4に記載の移載方法。
【請求項6】
前記吸盤ユニットの間隔を所定方向に沿って変更するステップは、弾性体の反発力を制限するステップを有する請求項5に記載の移載方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−39969(P2013−39969A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179993(P2011−179993)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(597017812)株式会社ナベル (56)
【Fターム(参考)】