説明

穀物保冷庫

【課題】30kg袋詰め玄米の冷蔵保管を可能とするとともに、占有スペースを小さく抑えつつ、操作性の良い冷蔵米びつを備えた小形の穀物保冷庫を提供する。
【解決手段】穀物保冷庫は、玄米を冷蔵収容するための収容槽(2)と白米を冷蔵収容するための米びつ(3)とを冷却装置(4)によって冷却可能な断熱性の箱体に一体構成され、上記収容槽(2)は、箱体を上下に画成した下半部に30kgの玄米を収容した米袋(B)を縦長の向きに平置き可能に形成するとともに、上記米びつ(3)は、箱体の上半部に30kgの白米を収容可能に形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米用の収容槽と白米用の米びつを備えた小形構成の穀物保冷庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す米びつ付き冷蔵庫の例のように、冷蔵庫に米びつ機能を備えたものが知られている。この米びつ付き冷蔵庫は、冷蔵庫の一角に冷蔵室と並べて米びつを備え、この米びつは、貯留部と引出部とを上下に配置し、貯留部の上端開口から庫内冷気を導入することによって冷蔵米びつを構成し、この冷蔵米びつによって他の冷蔵物と共に、長期にわたる白米保管を可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−153524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、新鮮な白米を入手するために玄米をコイン精米機等で精米しようとする場合は、30kg袋詰め玄米を冷蔵保管するスペースがないことから、袋から小分けして冷蔵せざるを得ず、その結果、このような冷蔵玄米をコイン精米機等で精米しても、十分な品質を得ることができないという問題があり、その他、隣接配置の冷蔵室と冷蔵米びつによる大きな占有スペースと白米取出し用の低位置の引出による取扱上の問題をも残すものであった。
【0005】
本発明の目的は、30kg袋詰め玄米の冷蔵保管を可能とするとともに、占有スペースを小さく抑えつつ、操作性の良い冷蔵米びつを備えた小形の穀物保冷庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、玄米を冷蔵収容するための収容槽と白米を冷蔵収容するための米びつとを冷却装置によって冷却可能な断熱性の箱体に一体構成した穀物保冷庫において、上記収容槽は、箱体を上下に画成した下半部に30kgの玄米を収容した米袋(袋詰め玄米)を縦長の向きに平置き可能に形成するとともに、上記米びつは、箱体の上半部に30kgの白米を収容可能に形成したことを特徴とする。
【0007】
上記穀物保冷庫は、縦型配置冷蔵用の箱体を上下に画成した下半部の収容槽が30kg袋詰めの玄米の冷蔵保存が可能であり、この玄米を一括精米した白米は、同箱体の上半部の米びつに冷蔵保存が可能となる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記箱体には、その正面を開閉可能に塞ぐ扉を設け、かつ、同箱体の頂部に米びつの投入口を開閉するための蓋体を設けたことを特徴とする。
上記箱体の正面扉によって米びつと収容槽の温度が揃えられ、正面扉を開くと米びつと収容槽の正面操作が可能となり、また、箱体の頂部から米びつへの白米投入操作が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の構成の穀物保冷庫は、冷蔵用の箱体を上下に画成した下半部の収容槽が、30kg袋詰めの玄米の冷蔵保存が可能であり、この玄米を一括精米した白米は、同箱体の上半部の米びつに冷蔵保存が可能となることから、精米処理による新鮮な精白米のための袋詰め玄米の保管とともに、白米について通常の家庭で必要な適正量の保存と取扱いに適する冷蔵米びつを備えた穀物保冷庫を縦型配置の最小限度の占有スペースでコンパクトに構成することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1の効果に加え、箱体の正面扉により米びつと収容槽が同様の温度帯で冷蔵されるとともに、両者とも正面操作による取扱いを確保することができ、また、米びつへの白米投入は、扉の開閉なしに箱体の頂部からを容易に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】穀物保冷庫の斜視図
【図2】別の構成例の穀物保冷庫の斜視図
【図3】昇降装置を備えた穀物保冷庫の内部構成を表した正面図(a)と要部縦断側面図(b)
【図4】前後移動装置を備えた穀物保冷庫の内部構成を表した要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
図1は、穀物保冷庫の斜視図である。
穀物保冷庫1は、玄米を冷蔵収容するための収容槽2と白米を冷蔵収容するための米びつ3とを冷却装置4によって冷却可能な縦長の断熱箱体として一体に構成する。収容槽2は、箱体を上下に仕切った下半部に30kgの玄米を収容する米袋(袋詰め玄米)Bを縦長の向きに平置き可能なスペースを形成し、引出2aにて正面側に引出し可能に構成する。米びつ3は、箱体の上半部に30kgの白米を収容可能に形成する。箱体の正面には、開閉可能に塞ぐ扉5を設け、かつ、同箱体の頂部に米びつ3の投入口を開閉するための蓋体6を設ける。冷却装置4は、箱体の背面部に配置し、箱体内を15℃以下に保持可能に制御する。
【0013】
上記構成の穀物保冷庫1の収容槽2は、箱体下半部に、平置形状が間口の幅約50cm、奥行きの長さ約70cm、玄米を米袋Bに一杯に収容した状態の厚さ約15cmの30kgの玄米を収容する米袋Bの冷蔵保存が可能に構成し、引出構造によって正面側からの出し入れの操作性を確保でき、または、引出を省いた簡易な収容構造を確保できる。この収容槽2の袋詰め玄米は、長期に及ぶ安定保管を可能とし、必要に応じて袋を持参して、料金を投入して精米処理するいわゆるコイン精米機(図示せず)等によって一括精米を行い、当該精白米を箱体上半部の米びつ3に供給して冷蔵保存を行う。米びつ3は、収容槽2の上部位置でその正面側の操作に適する高さ位置に米を設定量ずつ取り出す計量スイッチ3b及び計量式取出口3aを設けることにより、扉5を開けて白米を取出す際の操作性を確保することができる。
なお、収容槽2は引出2aではなくて単に空間部として直接米袋Bを収容する構成としてもよい。
【0014】
このように、穀物保冷庫1は、箱体下部を有効に生かした収容槽2により、精米処理による新鮮な精白米を得るために必要な袋詰め玄米Bをそのまま冷蔵保管することができるとともに、白米について通常の家庭で必要な適正量の保存と取扱いに適する保冷庫を縦型配置の最小限度の占有スペースでコンパクトに構成することができる。
【0015】
また、扉5は、1枚構成で箱体の正面を密閉可能とすることにより、簡易な構成で収容槽2と米びつ3の温度がほぼ同一に揃えられ、また、米びつ3の投入口が箱体の頂部に開口することから、扉5の開閉なしに白米を容易に投入することができる。
【0016】
次に、穀物保冷庫の別の構成例について説明する。
穀物保冷庫11は、図2の斜視図に示すように、頂部に冷却装置12を設け、箱体の上部から冷気を供給するとともに、床面積相当の棚13を高さ調節可能に設けて同箱体内を上下に仕切り、その棚上空間に限定的に冷気を保持するように構成する。
【0017】
上記構成の穀物保冷庫11は、棚13上に冷蔵保管物を収納した上で、その棚上空間を収納量に合わせるようにして棚位置を調節することにより、例えば、夏場等に米袋等の冷蔵収納物が少なくなっても、効率よく冷蔵することができる。
【0018】
次に、穀物保冷庫の昇降装置について説明する。
図3は、昇降装置を備えた穀物保冷庫の内部構成を表した正面図(a)と要部縦断側面図(b)である。
穀物保冷庫21は、断熱箱体の頂部に冷却装置21aとダクト21bを備えて米袋Bを3列幅に段積み可能に間口を広く構成する。その内部には、両側壁21c,21cに沿って荷摺柱22,22を上下方向に備え、一方の荷摺柱22をガイドとするガイドローラ23aによって昇降動作可能に昇降棚23を設ける。
【0019】
この昇降棚23は、その上方の天井部に電動駆動部24を設けてチェーン、ワイヤ等の吊索25を連結し、平置き姿勢の米袋Bをそのスペース内で昇降可能に構成することにより、昇降用運搬車を用いることなく、米袋Bの重量による作業者の昇降負荷を小さく抑えて穀物保冷庫21内に容易に米袋Bを段積収納することができる。
【0020】
その他、昇降棚23を側壁21cに沿って折り畳み可能に構成することにより、昇降スペースを米袋Bの収納スペースとして有効に利用することができる。また、電動駆動部24については、「上昇」「停止」「下降」「オン」「オフ」の操作をするための昇降制御操作部24aを穀物保冷庫21の外部に持ち出し可能に構成することにより、最大限の収納を可能としつつ、作業者の安全を確保することができる。
【0021】
次に、穀物保冷庫の移動台車について説明する。
図4は、前後移動装置を備えた穀物保冷庫の内部構成を表した要部斜視図である。
穀物保冷庫31は、米袋Bを前後2列に6,7段積み可能に奥行を深く断熱箱体を構成し、庫内底面部31aに前後方向のレール32,32を設け、このレール32,32に沿って転動しうる溝付きローラ33a等を備えて前列位置から後列位置までの間を移動可能な台車33と、レール32,32を跨いで前列位置に配置可能なスノコ状の可搬台座34を設ける。
【0022】
台車33は、正面開口側の前列位置で平置きの米袋Bを段積み可能に構成し、米袋Bを段積みしたまま奥側の後列位置に移動させた上で、前列位置にレール32,32を跨いで可搬台座34を配置し、平置きの米袋Bを段積みすることにより、後列まで米袋Bを容易に段積み収納することができ、その逆操作により、後列の米袋Bを容易に取出すことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 穀物保冷庫
2 収容槽
3 米びつ
4 冷却装置
5 扉
6 蓋体
B 米袋



【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米を冷蔵収容するための収容槽(2)と白米を冷蔵収容するための米びつ(3)とを冷却装置(4)によって冷却可能な断熱性の箱体に一体構成した穀物保冷庫において、
上記収容槽(2)は、箱体を上下に画成した下半部に30kgの玄米を収容した米袋(B)を縦長の向きに平置き可能に形成するとともに、上記米びつ(3)は、箱体の上半部に30kgの白米を収容可能に形成したことを特徴とする穀物保冷庫。
【請求項2】
前記箱体には、その正面を開閉可能に塞ぐ扉(5)を設け、かつ、同箱体の頂部に米びつ(3)の投入口を開閉するための蓋体(6)を設けたことを特徴とする請求項1記載の穀物保冷庫。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−83494(P2011−83494A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239776(P2009−239776)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】