説明

穀物調製機における磁性体異物除去装置

【課題】 穀物に混入している磁性体異物の吸着除去性能の向上を図るとともに、吸着した磁性体異物の取り除きの際の作業も容易にできる穀物調製機における磁性体異物除去装置を提供する。
【解決手段】 穀物調製機1の穀物投入ホッパ2内に磁性体異物吸着器5を装填して、穀物に混入している鉄片その他の磁性体異物を吸着して除去する装置である。磁性体異物吸着器5は、両端の脚板6、6の間に、複数の環状マグネット7を磁性体円板8を挟んで全体として円柱状に組み付けたものである。磁性体異物吸着器5の複数の環状マグネット7は磁性体円板8を挟んで互いに磁力が反発する向きとする。磁性体円板8は環状マグネット7の外径よりやや外径が大きい鍔状を成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物選別機や石抜機などの穀物投入ホッパ内に装填して、穀物に混入している鉄片その他の磁性体異物(釘、ボルト、ナット、ワッシャ、ヘアピン、針金屑など)を吸着して除去する穀物調製機における磁性体異物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物選別機や石抜機などの穀物調製機により処理する穀物中には、種々の夾雑物が混入しており、それらの夾雑物としては、釘、ボルト、ナット、ワッシャ、へピン、針金屑などの磁性体異物もかなり含まれているが、磁性体異物の多くはその形態から揺動選別によって選別除去しにくいばかりでなく、磁性体異物が磁気を帯びていると穀物調製機のホッパ壁に吸着して容易に取り除くことができない場合もある。
【0003】
従来、穀物に混入している磁性体異物をマグネットを用いて除去する装置は、特開平11−156300号公報および特開2000−1232公報において紹介されている。また、磁性体異物除去に用いるマグネットは、特許第3157387号公報、特開2004−16957公報、特開2003−80107公報、特開2003−62483公報、特開2006−341212公報、特開2006−247487公報、特開2006−181396公報および実用新案登録第3063633号公報等に記載されていて既に公知である。
【特許文献1】特開平11−156300号公報
【特許文献2】特開2002−1232公報
【特許文献3】特許第3157387号公報
【特許文献4】特開2004−16957公報
【特許文献5】特開2003−80107公報
【特許文献6】特開2003−62483公報
【特許文献7】特開2006−341212公報
【特許文献8】特開2006−247487公報
【特許文献9】特開2006−181396公報
【特許文献10】実用新案登録第3063633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献3〜10に記載されているマグネットは、いずれも複数の環状マグネットとその間に磁性体の磁極板を挟んで棒状に構成されたものであるが、環状マグネットと磁極板の外周がチューブで覆われていたり、環状マグネットと磁極板が同じ外径になっていて全体の外周面が滑らかな円柱形状であるから、磁力が最も集中する磁極板の外周部分でも磁性体異物の吸着力が強く作用せず、特許文献1または2に掲載されているように、流動穀物に混入している磁性体異物の吸着除去に用いるものとしては十分な吸着除去性能を期待できないものである。
【0005】
そこで本発明は、穀物調製機の穀物投入ホッパ内に装填して穀物に混入している鉄片その他の磁性体異物を吸着する磁性体異物吸着器として、複数の環状マグネット間に挟む磁性体円板を環状マグネットの外径よりやや外径が大きい鍔状とすることにより、磁力が最も集中する磁性体円板の外周部分の磁性体異物の吸着力を強くして穀物に混入している磁性体異物の吸着除去性能の向上を図るとともに、吸着した磁性体異物の取り除きの際の作業も容易にできる穀物調製機における磁性体異物除去装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置は、穀物調製機の穀物投入ホッパ内に磁性体異物吸着器を装填して、穀物に混入している鉄片その他の磁性体異物を吸着して除去する装置であって、磁性体異物吸着器は、両端の脚板の間に、複数の環状マグネットを磁性体円板を挟んで全体として円柱状に組み付けたものであり、磁性体異物吸着器の複数の環状マグネットは磁性体円板を挟んで互いに磁力が反発する向きとし、磁性体円板は環状マグネットの外径よりやや外径が大きい鍔状を成しているものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置は、請求項1の構成において、環状マグネットは、2枚の環状マグネットを互いに磁力が吸引する向きに合わせて成るものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁力が最も集中する磁性体円板の外周部分の磁性体異物の吸着力を強くして穀物に混入している磁性体異物の吸着除去性能の向上を図るとともに、吸着した磁性体異物の取り除きの際の作業も容易にできる穀物調製機における磁性体異物除去装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の一実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図、図2は磁性体異物吸着器の斜視図、図3は同上正面図、図4は同上一部の側面図、図5は本発明の他の実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図、図6は同上側面図、図7は本発明のさらに他の実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図、図8は同上その使用態様を示す斜視図である。
【0010】
図1において、1は穀物調製機(石抜機を例示している)、2はその穀物投入ホッパであって、穀物投入ホッパ2は、その底面に網板3を嵌め込んであり、また必要に応じて飛散防止カバー4を装着して用いる。穀物投入ホッパ2内には、磁性体異物吸着器5を装填して穀物調製機における磁性体異物除去装置を構成する。
【0011】
磁性体異物吸着器5は、図2、図3および図4に詳細を示すように、両端の脚板6、6の間に、複数の環状マグネット7を磁性体円板8を挟んで全体として円柱状に組み付けたものである。この磁性体異物吸着器5の複数の環状マグネット7は磁性体円板8を挟んで互いに磁力が反発する向きとし、磁性体円板8は環状マグネットの外径よりやや外径が大きい鍔状を成しているものである。9は組み付けシャフトであって、両端の脚板6、6にわたって固定されている。
【0012】
環状マグネット7は、その全体の厚みの半分の厚みの2枚の環状マグネット7a、7bを互いに磁力が吸引する向きに合わせて1つの環状マグネット7としたものである。複数の環状マグネット7は、前記のように磁性体円板8を挟んで互いに磁力が反発する向きとしてあるので、磁性体円板8の外周部分の磁力が最も強くなる。このため、全体に円柱状を成す磁性体異物吸着器5において、磁性体円板8の環状マグネット7から外周方向に張り出している部分8aに磁性体異物に対する強い吸着力が現出することになるとともに、吸着した磁性体異物の取り除きも容易にできる。。磁性体円板8の環状マグネット7から外周方向に張り出している部分8aは、環状マグネット7の外周面から数ミリメートル程度外周方向に張り出している。
【0013】
図5および図6に示す本発明の他の実施の形態においては、両端の脚板6、6を、複数の環状マグネット7、磁性体円板8からなる円柱状部分に対する張り出し面6aを大きくしてあり、このように構成することにより、磁気を帯びる磁性体異物吸着器5が穀物調製機の壁面に対して不用意に吸い付くのを防止することができる。
【0014】
また、図7および図8に示す本発明のさらに他の実施の形態においては、複数の環状マグネット7および磁性体円板8を円柱状に組み付けているシャフトを両端の脚板6、6に対する回転軸10としている。そして、このように構成することにより、穀物投入ホッパ2に穀物を投入する投入ダクト11に対する磁性体異物吸着器5の円柱状部分の対向面を転換して、長い時間にわたって磁性体異物aの吸着状態を良好に保つことができる。
【0015】
本発明の穀物調製機における磁性体異物除去装置において、穀物投入ホッパ2に穀物を投入する投入ダクト11に対する磁性体異物吸着器5の円柱状部分をその軸方向とすれば、図4に示すように、穀物の流れに対して磁性体円板8の張り出し部8aが影を形成するので、磁性体円板8の穀物が当たる部分にはヌカbが付着しても外周面および影になる面にはヌカbが付着堆積せず、磁性体異物の吸着力が長時間にわたって減衰することがない。投入ダクト11に対して磁性体異物吸着器5の円柱状部分を交差する方向にすれば、磁性体異物吸着器5による穀物の流れの妨げを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図である。
【図2】磁性体異物吸着器の斜視図である。
【図3】同上正面図である。
【図4】同上一部の側面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図である。
【図6】同上側面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態に係る穀物調製機における磁性体異物除去装置の斜視図である。
【図8】同上その使用態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0017】
1 穀物調製機
2 穀物投入ホッパ
3 網板
4 飛散防止カバー
5 磁性体異物吸着器
6、6 脚板
7 環状マグネット
7a,7b 2枚の環状マグネット
8 磁性体円板
8a 外周方向に張り出している部分
9 組み付けシャフト
10 回転軸
11 投入ダクト
a 磁性体異物
b ヌカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物調製機の穀物投入ホッパ内に磁性体異物吸着器を装填して、穀物に混入している鉄片その他の磁性体異物を吸着して除去する装置であって、
磁性体異物吸着器は、両端の脚板の間に、複数の環状マグネットを磁性体円板を挟んで全体として円柱状に組み付けたものであり、
磁性体異物吸着器の複数の環状マグネットは磁性体円板を挟んで互いに磁力が反発する向きとし、磁性体円板は環状マグネットの外径よりやや外径が大きい鍔状を成している
ことを特徴とする穀物調製機における磁性体異物除去装置。
【請求項2】
環状マグネットは、2枚の環状マグネットを互いに磁力が吸引する向きに合わせて成ることを特徴とする請求項1記載の穀物調製機における磁性体異物除去装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate