説明

積層ラベル

【課題】シートの外面に凹凸が現れにくく、且つ、シートの側部が捲れにくい積層ラベルを提供する。
【解決手段】本発明の積層ラベル10は、強粘着剤層12と弱粘着剤層13とが一面に複数交互に設けられた上側シート1と、強粘着剤層22と弱粘着剤層23とが一面に複数交互に設けられた下側シート2と、を有し、上側シート1の各強粘着剤層12の表面が下側シート2の各弱粘着剤層23の表面にそれぞれ対面し、且つ下側シート2の各強粘着剤層22の表面が上側シート1の各弱粘着剤層13の表面にそれぞれ対面するように、上側シート1と下側シート2が重ね合わされており、上側シート1の強粘着剤層12の厚みと上側シート1の弱粘着剤層13の厚みが略同じであり、且つ下側シート2の強粘着剤層22の厚みと下側シート2の弱粘着剤層23の厚みが略同じである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された2枚のシートを引き剥がすことにより、タックラベルを得ることができる積層ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すように、内面に帯状の粘着剤層112と剥離剤層113が複数交互に配設された上側シート110と、内面に帯状の粘着剤層122と剥離剤層123が複数交互に配設された下側シート120と、を有し、一方のシートの帯状の粘着剤層の表面が他方のシートの帯状の剥離剤層の表面に対面するように、前記上側シート110と下側シート120が重ね合わされている積層ラベル100が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記積層ラベル100は、上側シート110と下側シート120が、それぞれの剥離剤層と粘着剤層の表面同士を対面させて重ね合わされているので、上側シート110と下側シート120を容易に引き剥がすことができる。
引き剥がした上側シート110(及び下側シート120)は、図7に示すように、その粘着剤層112の表面を介して、容器などの被貼付体Aに貼り付けることができる。このため、上側シート110及び下側シート120に、所望の印刷などを施すことにより、両シートを表示用のタックラベルとして使用できる。
【0004】
しかしながら、上記従来の積層ラベル100の上側シート110(及び下側シート120)を被貼付体Aに貼り付けると、そのシートの剥離剤層113(剥離剤層123)が設けられた領域に対応する外面に、図7に示すように、凹みが生じるという問題がある。
このような凹みが生じたシートの外面には、帯状の凹みが多段状に現れる(凹凸からなる縞模様が現れる)。かかる凹凸の段差部分に粉塵が付着することによって黒く汚れた縞模様が生じるため、その改善が求められる。
【0005】
さらに、上記上側シート110の一側部の内面及び下側シート120の一側部の内面には、帯状の剥離剤層が必ず存在する。このため、引き剥がした上側シート110及び下側シート120を被貼付体Aに貼り付けたとき、図7に示すように、シートの一側部Bが貼り付かず、その部分が捲れ上がるという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−274104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、被貼付体に貼り付けた後、シートの外面に凹凸が現れにくい積層ラベルを提供することである。
本発明の第2の目的は、被貼付体に貼り付けた後、シートの側部が捲れにくい積層ラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来の積層ラベルにおいては、上側シート及び下側シートに、粘着剤層と剥離剤層とがそれぞれ交互に配設されている。粘着剤層は、十分な接着強度で被貼付体に接着しなければならない。かかる十分な接着力を発揮させるため、粘着剤層を比較的厚く形成する必要がある。一方、剥離剤層は、粘着剤層の表面に実質的に接着しなければ良く、又、剥離剤を含む液を塗工することによって形成される。このため、剥離剤層は、粘着剤層に比して、十分に薄く形成される。従って、前記粘着剤層と剥離剤層の厚み差が大きく、このため、上側シート及び下側シートの内面に大きな段差が生じている(この段差は、粘着剤層の表面と剥離剤層の表面との高低差である)。かかる大きな段差に起因して、引き剥がしたシートを貼り付けたとき、その外面に凹凸が現れるのである。
本発明者らは、このような原因解明の下、上記問題点を解決できる手段を見出した。
【0009】
本発明の積層ラベルは、強粘着剤層と前記強粘着剤層よりも粘着力が小さい弱粘着剤層とが一面に複数交互に設けられた上側シートと、強粘着剤層と前記強粘着剤層よりも粘着力の小さい弱粘着剤層とが一面に複数交互に設けられた下側シートと、を有し、前記上側シートの各強粘着剤層の表面が前記下側シートの各弱粘着剤層の表面にそれぞれ対面し、且つ前記下側シートの各強粘着剤層の表面が前記上側シートの各弱粘着剤層の表面にそれぞれ対面するように、前記上側シートと下側シートが重ね合わされており、前記上側シートの強粘着剤層の厚みと上側シートの弱粘着剤層の厚みが略同じであり、且つ下側シートの強粘着剤層の厚みと下側シートの弱粘着剤層の厚みが略同じである。
【0010】
本発明の好ましい積層ラベルは、前記上側シートの強粘着剤層及び弱粘着剤層が、上側シートの一つの方向に延びる平面視帯状に設けられており、前記下側シートの強粘着剤層及び弱粘着剤層が、下側シートの一つの方向に延びる平面視帯状に設けられている。
【0011】
本発明の積層ラベルにおいては、上側シートの強粘着剤層の厚みと弱粘着剤層の厚みが略同じである。このため、上側シートの内面に大きな段差が生じず、従って、上側シートを被貼付体に貼り付けた後、上側シートの外面に凹凸が現れ難い。
また、弱粘着剤層は、粘着力は小さいものの、被貼付体の表面に接着し得る。従って、上側シートの内面の略全体が被貼付体の表面に接着するので、上側シートの側部が捲れ難い。従来の積層ラベルは、剥離剤層が帯状に設けられているので、シートの側部が捲れ易いが、本発明の積層ラベルは、強粘着剤層及び弱粘着剤層が平面視帯状に設けられている場合であってもシートの側部が捲れることを抑制できる。
なお、これらの事項は、下側シートについても同様である。
【0012】
本発明の好ましい積層ラベルは、前記上側シート及び下側シートの各強粘着剤層が、アクリル系樹脂又はスチレン系ゴムを主成分とする強粘着剤から形成され、前記上側シート及び下側シートの各弱粘着剤層が、前記強粘着剤層とは反対にスチレン系ゴム又はアクリル系樹脂を主成分とする弱粘着剤から形成されている。
なお、「弱粘着剤層が前記強粘着剤層とは反対に」とは、上側シート及び下側シートの各強粘着剤層がアクリル系樹脂を主成分とする強粘着剤から形成されている場合に、上側シート及び下側シートの各弱粘着剤層がスチレン系ゴムを主成分とする弱粘着剤から形成され、一方、上側シート及び下側シートの各強粘着剤層がスチレン系ゴムを主成分とする強粘着剤から形成されている場合に、上側シート及び下側シートの各弱粘着剤層がアクリル系樹脂を主成分とする弱粘着剤から形成されていることを意味する。
【0013】
上記好ましい積層ラベルは、強粘着剤層と弱粘着剤層の界面が剥がれ易いので、上側シートと下側シートを容易に引き剥がすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層ラベルにおいては、上側シート及び下側シートを引き剥がし、このシートを被貼付体に貼り付けることができる。この貼り付けられたシートの外面には縞模様が現れ難く、従って、本発明によれば、外観的に美麗なタックラベルを提供できる。
また、上側シート及び下側シートを被貼付体に貼り付けた後、その側部が捲れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る積層ラベルの一部省略平面図。
【図2】図1のII−II線断面図(一方向と直交する方向で切断した断面図)。
【図3】上側シート及び下側シートを引き剥がし、上側シートを被貼付体に貼付した状態を示す参考断面図。
【図4】本発明の変形例に係る積層ラベルを、その一方向と直交する方向で切断した断面図。
【図5】本発明の積層ラベルの強粘着剤層及び弱粘着剤層の形成パターンの変形例を示す平面図であって、上側シートの内面側から見た一部省略平面図。
【図6】従来の積層ラベルの参考断面図。
【図7】従来の積層ラベルにおいて、上側シート及び下側シートを引き剥がし、上側シートを被貼付体に貼付した状態を示す参考断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。ただし、各図において、基材、強粘着剤層及び弱粘着剤層などの厚み、並びにこれらの大きさは、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
また、本明細書において、2枚のシートを用語上区別することを目的として、上側に図示されているシートを「上側シート」といい、下側に図示されているシートを「下側シート」という。
【0017】
図1及び図2に於いて、10は、上側シート1と下側シート2とが重ね合わされた積層ラベルを示す。
上側シート1は、基材11と、この基材11の一面に設けられた複数の強粘着剤層12と、複数の弱粘着剤層13と、を有する。
下側シート2は、基材21と、この基材21の一面に設けられた複数の強粘着剤層22と、複数の弱粘着剤層23と、を有する。
以下、上側基材11、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13は、上側シート1の基材11、強粘着剤層12及び弱粘着剤層13を指し、下側基材21、下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23は、下側シート2の基材21、強粘着剤層22及び弱粘着剤層23を指す。
上側弱粘着剤層13及び下側弱粘着剤層23は、上側強粘着剤層12及び下側強粘着剤層22よりも粘着力が小さい。このような弱粘着剤層13,23は、強粘着剤層12,22を形成する強粘着剤よりも粘着力が小さい弱粘着剤を用いて形成できる。
【0018】
具体的には、上側及び下側基材11,21は、特に限定されず、例えば、合成樹脂製フィルム、紙、合成紙、発泡樹脂製フィルム、金属蒸着フィルム、不織布、又は、積層体(例えば、合成樹脂製フィルムと紙の積層体など)などが挙げられる。
合成樹脂製フィルムとしては、剛性に優れていることから、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系などの合成樹脂製フィルムを用いることが好ましく、特に、これらの二軸延伸フィルムを用いることがより好ましい。
また、上側及び下側基材11,21は、透明または非透明の何れのフィルムでもよい。上側及び下側基材11,21は、通常、同一のフィルムから形成されるが、異なるフィルムで形成することもできる。
【0019】
上側及び下側基材11,21の厚みは、特に限定されない。例えば、上側及び下側基材11,21として合成樹脂製フィルムが用いられる場合には、通常、その厚みは10〜100μm程度であり、好ましくは15〜80μm程度である。
【0020】
上側シート1及び下側シート2は、それぞれタックラベルとして使用されるので、上側及び下側基材11,21には、必要に応じて、商品名、絵柄などの所望の意匠印刷が施される(図示せず)。意匠印刷は、上側及び下側基材11,21の内面及び外面の何れの面に施してもよい。ここで、内面とは、上側シート1及び下側シート2が互いに重ね合わされる側の面を指し、外面とは、上側シート1及び下側シート2が重ね合わされない側の面を指す。好ましくは、意匠印刷は、上側及び下側基材11,21の外面側に施される。なぜなら、上側及び下側基材11,21の内面に意匠印刷を施した場合、この意匠印刷層の表面上に強粘着剤層及び弱粘着剤層を形成することになるが、この場合、意匠印刷層が介在することによって粘着剤を塗工し難くなるおそれがあるからである。
【0021】
上側及び下側基材11,21(上側シート1及び下側シート2)の平面視形状は、特に限定されず、略矩形状、略円形状、略楕円形状などの所望の形状に設定される。
もっとも、生産性が良いこと及びロール状に巻いてラベラーに供給できることなどから、上側及び下側基材11,21は、長尺状に形成されていることが好ましい。
【0022】
本実施形態では、上側及び下側基材11,21(上側シート1及び下側シート2)は、その一方向Xが他方向Yに比して十分に長く形成された矩形状(つまり長尺状)に形成されている。ただし、前記一方向X及び他方向Yとは、シートの面内において互いに直交する方向をいう。このように長尺状の上側シート1及び下側シート2からなる積層ラベル10は、同様に長尺状である。使用に際して、長尺状の積層ラベル10を切断又は所望の形状に順次打ち抜くことによって、枚葉状のタックラベルを複数得ることができる。
【0023】
上側及び下側基材11,21の他方向Y(本実施形態では幅方向)の長さは、同じ長さが好ましい。もっとも、上側及び下側基材11,21の何れか一方の他方向Yの長さが、少し短くてもよい。
【0024】
次に、上側強粘着剤層12は、上側基材11の一面(内面)に、粘着剤を帯状に塗工することによって形成されている。1つの上側強粘着剤層12は、上側基材11の一方向Xに延びる平面視帯状である。かかる帯状の上側強粘着剤層12が、上側基材11の他方向Yに所定間隔を開けて多段状に複数設けられている。各上側強粘着剤層12の幅は、それぞれ同じであることが好ましい。
上側弱粘着剤層13は、前記複数の上側強粘着剤層12の間に、弱粘着剤を帯状に塗工することによって形成されている。1つの上側弱粘着剤層13は、上側基材11の一方向Xに延びる平面視帯状である。かかる帯状の上側弱粘着剤層13が、隣り合う上側強粘着剤層12の間において上側基材11の他方向Yに多段状に複数設けられている。各上側弱粘着剤層13の幅は、それぞれ同じであることが好ましい。
【0025】
上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13の数は、特に限定されず、ラベルの大きさに応じて適宜設定される。通常、これらの数は、それぞれ2本以上、好ましくは3本以上、より好ましくは4本以上である。好ましくは、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13の数は同数である。
【0026】
上側強粘着剤層12の側縁と上側弱粘着剤層13の側縁は、接していてもよいが、図2に示すように、双方の側縁は僅かに離れていることが好ましい。前記側縁を離すと、強粘着剤及び弱粘着剤の塗工が容易に行える。上側強粘着剤層12の側縁と上側弱粘着剤層13の側縁の間は、例えば、0.5mm〜1mm程度の間隔を有していることが好ましい。この程度の間隔を有していても、上側シート1の外面には凹凸が生じない。
【0027】
上側強粘着剤層12の厚みT12と上側弱粘着剤層13の厚みT13は、略同じである。略同じとは、例えば±5μmの差を有する場合、好ましくは±3μmの差を有する場合、より好ましくは±1μmの差を有する場合を含んで同じという意味である。
上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13の厚みT12,T13の具体的な数値は、それぞれ15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。一方、非常に厚く形成しても殆ど効果は変わらないことから、費用対効果上、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13の厚みT12,T13は、それぞれ50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。
【0028】
次に、下側強粘着剤層22は、下側基材21の一面(内面)に、強粘着剤を帯状に塗工することによって形成されている。1つの下側強粘着剤層22は、下側基材21の一方向Xに延びる平面視帯状である。かかる帯状の下側強粘着剤層22が、下側基材21の他方向Yに所定間隔を開けて多段状に複数設けられている。各下側強粘着剤層22の幅は、それぞれ同じであることが好ましい。
下側弱粘着剤層23は、前記複数の下側強粘着剤層22の間に、弱粘着剤を帯状に塗工することによって形成されている。1つの下側弱粘着剤層23は、下側基材21の一方向Xに延びる平面視帯状である。かかる帯状の下側弱粘着剤層23が、隣り合う下側強粘着剤層22の間において下側基材21の他方向Yに多段状に複数設けられている。各下側弱粘着剤層23の幅は、それぞれ同じであることが好ましい。
【0029】
下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の数は、特に限定されず、ラベルの大きさに応じて適宜設定される。通常、これらの数は、それぞれ2本以上、好ましくは3本以上、より好ましくは4本以上である。好ましくは、下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の数は同数である。
【0030】
下側強粘着剤層22の側縁と下側弱粘着剤層23の側縁は、接していてもよいが、図2に示すように、双方の側縁は僅かに離れていることが好ましい。前記側縁を離すと、強粘着剤及び弱粘着剤の塗工が容易に行える。下側強粘着剤層22の側縁と下側弱粘着剤層23の側縁の間は、例えば、0.5mm〜1mm程度の間隔を有していることが好ましい。この程度の間隔を有していても、上側シート1の外面には凹凸が生じない。
【0031】
下側強粘着剤層22の厚みT22と下側弱粘着剤層23の厚みT23は、略同じである。略同じとは、例えば±5μmの差を有する場合、好ましくは±3μmの差を有する場合、より好ましくは±1μmの差を有する場合を含んで同じという意味である。
下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の厚みT22,T23の具体的な数値は、それぞれ15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。一方、非常に厚く形成しても殆ど効果は変わらないことから、費用対効果上、下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の厚みT22,T23は、それぞれ50μm以下であり、好ましくは40μm以下である。
なお、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13の厚みT12,T13と下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の厚みT22,T23は、異なっていてもよいが、形成容易であることから、それぞれ略同じであることが好ましい。
【0032】
各上側強粘着剤層12の幅及び各下側強粘着剤層22の幅は、適宜設計される。その幅は、例えば、2〜10mmであり、好ましくは2〜7mmである。形成容易であることから、各上側強粘着剤層12の幅及び各下側強粘着剤層22の幅は、それぞれ略同じであることが好ましい。
各上側弱粘着剤層13の幅及び各下側弱粘着剤層23の幅は、適宜設計される。その幅は、例えば、2〜12mmであり、好ましくは2〜9mmである。形成容易であることから、各上側弱粘着剤層13の幅及び各下側弱粘着剤層23の幅は、それぞれ略同じであることが好ましい。
【0033】
1つの実施形態では、上側強粘着剤層12の幅は、対面する下側弱粘着剤層23の幅と略同じに形成され、下側強粘着剤層22の幅は、対面する上側弱粘着剤層13の幅と略同じに形成される。上側シート1と下側シート2を重ね合わせたときに、上側強粘着剤層12の表面の一部と下側強粘着剤層22の表面の一部が互いに付着しないようにするためである。上側強粘着剤層12と下側強粘着剤層22の一部が対面すると、その部分において強く接着するので、使用時に、上側シート1と下側シート2を良好に引き剥がすことができないおそれがある。
【0034】
また、上述のように、各上側強粘着剤層12の幅と各下側弱粘着剤層23の幅、及び、各上側弱粘着剤層13の幅と各下側強粘着剤層22の幅が、それぞれ略同じに形成されていれば、理論上、上側シート1と下側シート2を引き剥がす際に支障を来さない。もっとも、上側シート1と下側シート2が全く位置ずれを起こさないように重ね合わせることは、機械的製造上、困難な場合もある。例えば、両シートを重ね合わせるときに、両シートが相対的に幅方向に若干位置ずれを起こすこともある。このように位置ずれした場合、上側強粘着剤層12の表面の側部と下側強粘着剤層22の表面の側部が接触し得る。よって、上側シート1と下側シート2を簡単に引き剥がすことができないおそれがある。
【0035】
このような問題を未然に防止するため、好ましい実施形態では、上側強粘着剤層12の幅は、図2に示すように、対面する下側弱粘着剤層23の幅よりも少し短く形成され、下側強粘着剤層22の幅は、上側弱粘着剤層13の幅よりも少し短く形成されている。
このように形成すると、上側シート1と下側シート2を重ね合わせたときに、上側弱粘着剤層13の表面の両側部と下側弱粘着剤層23の両側部とが重なり合う。このため、上側シート1及び下側シート2が位置ずれしても、上側強粘着剤層12と下側強粘着剤層22が接着することを防止できる。
【0036】
上側強粘着剤層12の表面及び下側強粘着剤層22の表面における、被貼付体に対する接着力は、10N/25mm以上であり、好ましくは、15N/25mm以上である。
上側弱粘着剤層13の表面及び下側弱粘着剤層23の表面における、被貼付体に対する接着力は、0.5〜3N/25mmであり、好ましくは、0.5〜1N/25mmである。
【0037】
ただし、前記接着力とは、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、一面に粘着剤層(厚み25μm)が形成された基材を100mm×25mmに裁断し、これをSUS板(被貼付体)に貼り付け、300mm/分の速度で長手方向に引っ張り、基材が剥離したときの最大応力値をいう。
【0038】
上側強粘着剤層12の表面と下側弱粘着剤層23の表面との剥離強度は、0.5〜2N/25mmが好ましい。
上側弱粘着剤層13の表面と下側強粘着剤層22の表面との剥離強度は、0.5〜2N/25mmが好ましい。
このような剥離強度であれば、上側シート1と下側シート2を容易に引き剥がすことができる。
また、上側弱粘着剤層13の表面と下側弱粘着剤層23の表面との剥離強度は、0.5〜2N/25mmが好ましい。上述のように、好ましい実施形態では、上側シート1と下側シート2を重ね合わせたときに、上側弱粘着剤層13の表面の両側部と下側弱粘着剤層23の両側部が重なり合うが、上側弱粘着剤層13と下側弱粘着剤層23の表面の剥離強度が前記範囲であれば、この側部間も容易に引き剥がすことができる。
【0039】
ただし、前記剥離強度は、上記JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。
【0040】
上側強粘着剤層12と下側強粘着剤層22及び上側弱粘着剤層13と下側弱粘着剤層23をそれぞれ形成する強粘着剤及び弱粘着剤としては、感圧型粘着剤が用いられる。感圧型粘着剤は、室温下で粘着性を有し、押さえ付けることにより被貼付体に接着する粘着剤である。
感圧型粘着剤としては、アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤、スチレンイソプレン系ゴム(SIS)などのスチレン系ゴムを主成分とする粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。なお、主成分とは、粘着剤に含まれるポリマーの中で最も多い成分(重量比)をいう。
粘着剤の性状としては、エマルジョンタイプ、溶剤可溶タイプ、ホットメルトタイプなどが挙げられる。
【0041】
本発明では、上側弱粘着剤層13及び下側弱粘着剤層23を形成するために、例えば、上側強粘着剤層12及び下側強粘着剤層22を形成する強粘着剤よりも粘着力の小さい弱粘着剤が用いられる。弱粘着剤は、その種類に応じて、主成分となるポリマーの量、粘着付与剤の種類及び量、架橋剤の種類及び量、軟化剤の種類及び量などを適宜設計することによって得られる。従って、弱粘着剤は、強粘着剤のポリマーと同じポリマーを主成分とするものを使用することも可能である。例えば、弱粘着剤及び強粘着剤として、アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤を使用することもできる。
【0042】
もっとも、弱粘着剤及び強粘着剤として同種のポリマーを主成分とする粘着剤を用いると、両者が相溶し易く、時間の経過に伴って、上側強粘着剤層12と下側弱粘着剤層23の界面間、及び下側強粘着剤層22と上側弱粘着剤層13の界面間が、剥がれ難くなる虞がある。
従って、弱粘着剤と強粘着剤とは、主成分ポリマーが異なる粘着剤を用いることが好ましい。
【0043】
好ましくは、上側弱粘着剤層13及び下側弱粘着剤層23が、アクリル系樹脂を主成分とする弱粘着剤で形成され、且つ上側強粘着剤層12及び下側強粘着剤層22が、スチレン系ゴムを主成分とする強粘着剤で形成される。或いは、上側弱粘着剤層13及び下側弱粘着剤層23が、スチレン系ゴムを主成分とする弱粘着剤で形成され、且つ上側強粘着剤層12及び下側強粘着剤層22が、アクリル系樹脂を主成分とする強粘着剤で形成される。
アクリル系樹脂粘着剤で形成された粘着剤層とスチレン系ゴム粘着剤で形成された粘着剤層は、その界面において特に剥離性に優れているからである。
【0044】
以上のように、上側シート1及び下側シート2は、様々な態様で形成できるが、製造容易であることから、上側シート1及び下側シート2は、同じもの(基材、強粘着剤層及び弱粘着剤層の具体的な構成を含む)を用いてもよい。
【0045】
上記各上側強粘着剤層12の表面を各下側弱粘着剤層23の表面にそれぞれ対面させ、且つ各下側強粘着剤層22の表面を各上側弱粘着剤層13の表面にそれぞれ対面させて、上側シート1と下側シート2の内面同士が重ね合わされている。
このように上側シート1及び下側シート2が重ね合わされたものが、本発明の積層ラベル10である。
【0046】
上記積層ラベル10について、上側シート1及び下側シート2を引き剥がすと、上側シート1及び下側シート2の各粘着剤層の表面が露出する。引き剥がした上側シート1の各粘着剤層の表面を被貼付体Aに押し付けることによって、上側シート1を被貼付体Aに貼付することができる(図3参照)。なお、下側シート2も同様にして被貼付体Aに貼付できる(図示せず)。
【0047】
本発明においては、上側強粘着剤層12の厚みと上側弱粘着剤層13の厚みが略同じである。このため、上側シート1を被貼付体に貼り付けた後、上側シート1の外面に凹凸が現れることを防止できる。
さらに、上側弱粘着剤層13は、粘着力は小さいものの、被貼付体の表面に接着し得る。従って、上側シート1の内面略全体が被貼付体の表面に接着するので、被貼付体に貼付した上側シート1の側部が捲れることを抑制できる。
なお、下側シート2を被貼付体に貼付したときも同様である。
【0048】
なお、本発明の積層ラベル10は、上記に示した形態に限られず、適宜変更できる。以下、本発明の変形例について説明するが、上記実施形態と同様の構成については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する。
上記実施形態では、上側シート1と下側シート2が別個独立しているが、例えば、図4に示すように、上側シート1の一方側縁と下側シート2の他方側縁が繋がっている積層ラベル10でもよい。かかる積層ラベル10は、上側基材11と下側基材21が1枚の基材からなり且つそれが折られているという点を除いて、上記実施形態の積層ラベル10と同様である。
【0049】
また、上記実施形態では、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13並びに下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23は、いずれも基材の一方向Xに延びる平面視帯状に形成されているが、これら各粘着剤層は、基材の他方向Yに延びる帯状に形成されていてもよいし、或いは、基材の斜め方向に延びる帯状に形成されていてもよい。各粘着剤層が帯状に形成される場合、一つの方向に延びていればよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13並びに下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23が、平面視帯状に形成されているが(つまり、強粘着剤層と弱粘着剤層が交互にストライプ模様を描くように設けられているが)、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13並びに下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23の形成パターンは平面視帯状に限られない。本発明の積層ラベル10は、上側シート1と下側シート2を重ね合わせたときに、上側シート1の強粘着剤層12の表面が下側シート2の弱粘着剤層23の表面にそれぞれ対面し且つ下側シート2の強粘着剤層22の表面が上側シート1の弱粘着剤層13の表面にそれぞれ対面するように、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13並びに下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23が設けられていればよい。
【0051】
例えば、図5に示すように、上側強粘着剤層12及び上側弱粘着剤層13が平面視略矩形状に形成され、これらが上側基材11の一方向及び他方向に所定間隔を開けて交互に並設されている上側シート1を用いることも可能である。なお、図5は、上側シート1を内面側から見た平面図であるが、判りやすくするために、図5に、上側強粘着剤層12が設けられた範囲を網掛けで示している。なお、図5においては、上側シート1だけを表しているが、この上側シート1に重ねられる下側シート2も同様に、平面視矩形状の下側強粘着剤層22及び下側弱粘着剤層23が下側基材21の一方向及び他方向に所定間隔を開けて交互に並設される(図示せず)。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の積層ラベルは、例えば、包装箱、包装袋、飲料容器、食品容器などの各種商品に貼り付けるタックラベルとして利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1…上側シート、11…上側シートの基材、12…上側シートの強粘着剤層、13…上側シートの弱粘着剤層、2…下側シート、21…下側シートの基材、22…下側シートの強粘着剤層、23…下側シートの弱粘着剤層、10…積層ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強粘着剤層と前記強粘着剤層よりも粘着力の小さい弱粘着剤層とが一面に複数交互に設けられた上側シートと、強粘着剤層と前記強粘着剤層よりも粘着力の小さい弱粘着剤層とが一面に複数交互に設けられた下側シートと、を有し、
前記上側シートの各強粘着剤層の表面が前記下側シートの各弱粘着剤層の表面にそれぞれ対面し、且つ前記下側シートの各強粘着剤層の表面が前記上側シートの各弱粘着剤層の表面にそれぞれ対面するように、前記上側シートと下側シートが重ね合わされており、
前記上側シートの強粘着剤層の厚みと上側シートの弱粘着剤層の厚みが略同じであり、且つ下側シートの強粘着剤層の厚みと下側シートの弱粘着剤層の厚みが略同じである、積層ラベル。
【請求項2】
前記上側シート及び下側シートの各強粘着剤層が、アクリル系樹脂又はスチレン系ゴムを主成分とする強粘着剤から形成され、前記上側シート及び下側シートの各弱粘着剤層が、前記強粘着剤層とは反対にスチレン系ゴム又はアクリル系樹脂を主成分とする弱粘着剤から形成されている、請求項1に記載の積層ラベル。
【請求項3】
前記上側シートの強粘着剤層及び弱粘着剤層が、上側シートの一つの方向に延びる平面視帯状に設けられており、前記下側シートの強粘着剤層及び弱粘着剤層が、下側シートの一つの方向に延びる平面視帯状に設けられている請求項1又は2に記載の積層ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−186259(P2011−186259A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52573(P2010−52573)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)