説明

積層体及び発光構造体

【課題】可視光下と紫外線照射下で異なる表示が可能で、発光効率のよい蛍光発光積層体を得る。
【解決手段】背後に配置された紫外線光源の照射により、発光する積層体であって、紫外線が照射される側に蛍光発光を示す蛍光発光層(A)が設けられ、紫外線が照射される側と反対側に波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)、が積層されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光発光を示す積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛍光発光層と紫外線光源を備え、紫外線光源のオン(紫外線照射下)・オフ(可視光下)の切替えにより、オフ時には表側(前面側)の表示内容を優先的に見せ、オン時には裏面の表示内容を優先的に見せる表示装置等が開発されている。このような装置では、紫外線光源のオン・オフを切替えるとともに、表示板前面またはその間に、優先される表示部以外(背後の光源等)を隠蔽するような層を積層することが行われている。例えば、特許文献1では、2種の異なる表示内容の樹脂フィルムの間にハーフミラーを介在させ、特許文献2では、表示板前面に透明ビーズ層を積層している。しかしながら、このような隠蔽層を積層する場合、隠蔽率が低すぎると、表示内容が混合するおそれがあり、反対に隠蔽率が高すぎると表示部の視認性が低下するおそれがある。
【0003】
これに対し、特許文献3では、蛍光発光層の視認性を向上させるために、光源の背後にミラー処理した反射層を設け、紫外線の外部漏洩を防止し輝度の高い蛍光表示とすることが行われている。しかしながら、光源の背後に反射層を設けるのみでは、表示部の蛍光層で蛍光発光に使用されなかった紫外線は漏出されるため発光効率が低下するおそれがある。
【0004】
【特許文献1】特開平3−287190号公報
【特許文献2】特開平7−84538号公報
【特許文献3】特開2003−29676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、可視光下と紫外線照射下で異なる表示が可能な蛍光発光積層体において、蛍光発光表示部の発光効率を向上させ、さらに、積層体と光源の組み合わせによって、容易に表示内容を変化させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、紫外線が照射される面とは反対側の表面に波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層が積層されていることを特徴とする蛍光発光積層体に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明蛍光発光積層体は、下記の特徴を有するものである。
【0007】
1.紫外線光源の照射により、発光する積層体であって、
紫外線が照射される側に蛍光発光を示す蛍光発光層(A)と、
紫外線が照射される側と反対側に波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)、
が積層されていることを特徴とする積層体。
2.1.記載の積層体と、該積層体の蛍光発光層(A)側に紫外線光源(D)を備えることを特徴とする発光構造体。
3.紫外線光源の照射により、発光する積層体であって、
蛍光発光を示す蛍光発光層(A1)、半透明で、かつ波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)、及び蛍光発光を示す蛍光発光層(A2)が積層されていることを特徴とする積層体。
4. 3.記載の積層体と、該積層体の蛍光発光層(A1)及び/または蛍光発光層(A2)側に紫外線光源(D)を備えることを特徴とする発光構造体。

【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、紫外線が照射される側に蛍光発光層(A)が設けられ、紫外線が照射される側とは反対側の表面に、波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)を積層することにより、蛍光発光表示部の発光効率を向上させ、さらに、積層体と光源の組み合わせによって、容易に表示内容を変化させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0010】
(積層体)
本発明は、紫外線を照射することにより発光する積層体であり、紫外線が照射される側に蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、その反対側表面に波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)を積層した積層体である。
【0011】
本発明の蛍光発光層(A)とは、透光性を有する材料(以下、「透光性材料」という。)に蛍光発光を示す顔料、染料等(以下、「蛍光材料」という。)を含むものである。
【0012】
透光性材料としては、透光性を有するものであれば、無機質材料、有機質材料のどちらでもよい。例えば、無機質材料としては、ガラス、水ガラス、低融点ガラス、シリコン樹脂、アルコキシシラン等があげられる。また、有機質材料としては、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、セルロールアセトブチレート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等、または反応固化型のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。なお、「透光性」とは、可視光透過性に優れ、透明性を有するものである。
【0013】
蛍光材料としては、紫外線照射下において蛍光発光を示すものであれば限定されず、公知の蛍光染料や蛍光顔料等を使用することができる。本発明では、可視光下において蛍光発光を示さないものが好ましく、このような蛍光体の中でも、蛍光発光持続性、耐候性にも優れる無機蛍光顔料が特に好ましい。
【0014】
蛍光発光層(A)は、上記透光性材料と上記蛍光材料を含む組成物(以下「蛍光発光層用組成物」という。)を、フィルム状または板状等に成形したものである。 その厚みは、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05〜5mmである。蛍光発光層用組成物は、透光性材料(固形分)100重量部に対して、蛍光材料を0.5〜50重量部、さらには1〜30重量部添加することが好ましい。0.5重量部より少ない場合、蛍光発光層の輝度が低くなり視認性に劣るおそれがある。また、50重量部より多く添加しても輝度の向上が確認できないおそれがある。
【0015】
本発明の積層体には、少なくとも1つの蛍光発光層(A)が設けられていればよいが、2つの蛍光発光層(A1)、蛍光発光層(A2)(以下、単に「(A1)」、「(A2)」ともいう。)を設けることもできる。この場合、(A1)と(A2)は下記の紫外線反射層(B)を挟むように設けられる。
(A1)、(A2)は、透光性材料と蛍光材料を含むものであり、各々同一のものを使用しても良いが、表示内容を変化させる場合には、(A1)と(A2)の蛍光材料が異なることが好ましい。
紫外線反射層(B)を挟むように(A1)、(A2)が設けられた場合、(A1)、(A2)のどちらか一方に紫外線を照射し、それぞれの層を個々に発光させてもよいが、(A1)、(A2)に同時に紫外線を照射することもできる。この場合、(A1)と(A2)の蛍光発光が調和し、美観性に優れる発光を得ることができる。
【0016】
本発明の積層体は、紫外線が照射される側に上記蛍光発光層(A)、紫外線が照射される側と反対側に、波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)を積層したものであり、前記波長領域の紫外線を反射(散乱)する粉体(以下「紫外線反射性粉体」という)と、透光性材料を含む層を、蛍光発光層(A)に積層したもの、あるいは、紫外線反射性粉体と、透光性材料を含む層を(A1)と(A2)で挟むように積層したものである。
【0017】
紫外線反射層(B)を積層することにより、蛍光発光層(A)において蛍光体の励起に利用されず放出されようとする紫外線を(B)が反射し、(A)に再度紫外線を照射し蛍光発光を繰り返すことにより、発光効率を向上させることができる。この場合、照射された紫外線が、(B)層を通過し放出されることはほとんどない。
【0018】
透光性材料としては、蛍光発光層(A)と同様のものが使用できる。
また、紫外線反射性粉体は、波長領域300nm〜400nmの全領域において、紫外線反射率が50%以上、屈折率が1.5〜2.4であることが好ましい。また、粒子径は特に限定されないが、通常0.2μm以下、または0.4μm以上10μm以下が好ましい。このような紫外線反射性粉体としては、例えば、アルミナ、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用することができる。
【0019】
紫外線反射層は、上記透光性材料と上記紫外線反射性粉体を含む組成物(以下、「紫外線反射層用組成物」という。)を、半透明で、かつ波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上となるように、フィルム状または板状等に成形したものである。その厚みは、半透明で、上記の紫外線反射率を満たす範囲で適宜設定すればよく、通常0.01mm〜10mm、より好ましくは0.05〜5mmである。紫外線反射層用組成物は、使用する紫外線反射性粉体の種類、成形する紫外線反射層の厚みにもよるが、透光性材料(固形分)100重量部に対して、紫外線反射性粉体を30〜400重量部、さらには50〜300重量部添加することが好ましい。このような範囲であれば、本発明の効果が得られ易い。
【0020】
また、本発明の紫外線反射層(B)は、本発明積層体に紫外線を照射した場合、紫外線反射層を介して蛍光発光層の発光が視認できる程度に、透明または半透明であればよい。
【0021】
具体的には、紫外線反射層(B)の隠蔽率が、70%以下(好ましくは15%〜60%)であることが好ましい。70%を超える場合は、蛍光発光の視認性が低下するおそれがある。また、隠蔽率を15%以上とすることによって、蛍光発光層側の光源の形状を、紫外線反射層を介して視認され難くすることもできる。
隠蔽率を測定する方法としては、紫外線反射層を隠蔽率試験紙上に置き、白地上と黒地上の視感反射率から隠蔽率を算出す方法が挙げられる。
なお、視感反射率は色彩色差計(「CR−300」:ミノルタ株式会社製)を用いて測定し算出することができる。
【0022】
また、紫外線反射層は波長領域300nm〜400nmにおける紫外線反射率が25%以上(好ましくは30%以上)であることにより、蛍光体の励起に利用されずに放出されようとする紫外線を反射し、(A)に再度紫外線を照射し蛍光発光を繰り返すことにより、発光効率を向上させることができる。
紫外線反射率が25%より小さい場合は、紫外線が漏出してしまうおそれがあり、蛍光発光層の発光効率向上効果を阻害するおそれがある。
なお、紫外線反射率は、分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−3100)で測定した値である。
【0023】
さらに、上記の紫外線反射層(B)を(A1)と(A2)で挟むように積層した積層体において、(A1)のみに紫外線を照射した場合、(A1)の励起に使用されなかった紫外線は、紫外線反射層(B)で反射されるため(B)を透過し(A2)へ達することは殆どない。仮に(B)を透過したとしてもその光量は微量であるため、(A2)の発光は弱く視認されにくく、(A1)の発光のみを視認できる。(A2)のみに紫外線を照射した場合も同様である。
【0024】
本発明積層体は、紫外線が照射される側から順に、蛍光発光層((A)層)、紫外線反射層((B)層)が積層されていればよく、本発明の効果を阻害しない限りであれば蛍光発光層と紫外線反射層の他、透光性を有する基材((C)層)等を積層することもできる。例えば、以下の構造が挙げられる(図1)。
【0025】
紫外線が照射される側から順に、
(a)(A)層、(B)層、
(b)(C)層、(A)層、(B)層、
(c)(A)層、(C)層、(B)層、
(d)(A)層、(B)層、(C)層、
となるような積層構造が挙げられる。
【0026】
また、蛍光発光層(A)が(A1)、(A2)の2つからなる場合、例えば(図2)
(e)(A1)層、(B)層、(A2)層、
(f)(C)層、(A1)層、(B)層、(A2)層、
(g)(A1)層、(C)層、(B)層、(A2)層、
(h)(A1)層、(B)層、(C)層、(A2)層、
(i)(A1)層、(B)層、(C)層、(B)層、(A2)層、
となるような積層構造が挙げられる。
【0027】
上記(a)〜(i)における、蛍光発光層((A)層)は、均一に存在しても、不連続に存在してもよく、また複数の蛍光発光層を組み合せて意匠性を付与することもできる。
【0028】
また、透光性を有する基材(C)は、本発明の効果を阻害しないものであればよく、透光性材料をフィルム状、板状に成形したものを使用することができる。また、市販されているガラス板、樹脂板、樹脂フィルム等を使用してもよい。その厚みは、使用する基材の種類によって適宜設定すればよいが、通常、0.05mm〜10mmであることが好ましい。厚すぎる場合は、波長領域300nm〜400nmにおける紫外線吸収率が大きくなり、蛍光発光層の発光効率向上効果を阻害するおそれがある。また、可視光を吸収し、蛍光発光を吸収するため発光が視認できなくなるおそれもある。
【0029】
本発明積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、蛍光発光層用組成物、紫外線反射層用組成物をフィルム状、板状等に成形した蛍光発光層(A)、紫外線反射層(B)を接着剤等を介して積層する方法、蛍光発光層に紫外線反射層用組成物を塗付し、硬化させる方法、または、紫外線反射層に蛍光発光層用組成物を塗付し、硬化させる方法等が挙げられる。
【0030】
上記蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物をフィルム状、板状等に成形する際には、公知の成形方法で行えばよく、例えば、型枠成形、射出成形、注型成形等が挙げられ、蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物を塗付する際には、スプレー、ローラー、こて、レシプロ、コーター、流し込み等の手段を用いることができる。また、成形時に、各組成物に、例えば、着色材、可塑剤、難燃剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、吸着剤、架橋剤、酸化防止剤、触媒、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよく、このような成分を常法で均一に混合して成形体を作製することができる。特に、有機顔料、無機顔料、染料等の着色材を混合することによって、積層体に紫外線を照射した場合、着色材と蛍光発光層(A)の発光の相乗効果により、様々な色相の蛍光発光を得ることができる。
【0031】
蛍光発光層(A)と紫外線反射層(B)を、接着剤等を介して積層する場合、本発明の効果を阻害しないような透光性の接着剤、粘着剤、粘着テープ等を使用することができる。また、上記蛍光発光層用組成物、または紫外線反射層用組成物の乾燥は通常、常温で行えばよいが加熱することも可能である。
【0032】
(発光構造体)
本発明の発光構造体は、紫外線光源(D)(光源(D))及び、上記蛍光発光層(A)、と上記紫外線反射層(B)が積層されている積層体を備えるものである。紫外線光源(D)は、積層体の蛍光発光層(A)側に配置される。例えば、以下の構造が挙げられる(図1)。
【0033】
(a)光源(D)、(A)層、(B)層、
(b)光源(D)、(C)層、(A)層、(B)層、
(c)光源(D)、(A)層、(C)層、(B)層、
(d)光源(D)、(A)層、(B)層、(C)層、
となるような発光構造体が挙げられる。
【0034】
蛍光発光層が2層からなる場合は、光源(D)は通常(A1)側と(A2)側両方に配置されるものである。例えば(図2)
(e)光源(D)、(A1)層、(B)層、(A2)層、光源(D)、
(f)光源(D)、(C)層、(A1)層、(B)層、(A2)層、光源(D)、
(g)光源(D)、(A1)層、(C)層、(B)層、(A2)層、光源(D)、
(h)光源(D)(A1)層、(B)層、(C)層、(A2)層、光源(D)
(i)光源(D)(A1)層、(B)層、(C)層、(B)層、(A2)層、光源(D)、
となるような発光構造体が挙げられる。
【0035】
上記光源(D)は(A)層全面を照射するものであっても、局部的に照射しパターン(模様)を形成するものであってもよい。また、光源のON/OFFを切り替えることによって、表示内容を容易に変更することができる。
本発明に使用する光源は、紫外光を発するものであればよいが、波長300nm〜400nmの範囲に輝線を有するものが好ましい。
上記発光構造体の発光を見る方向は、特に限定されないが、上記(B)層が半透明の場合、照射する光源(D)と反対側とすることが好ましい。この場合、(B)層を介して、(A)層の背後に設置された光源の形状が視認され難くなる。
【0036】
上記発光構造体(e)〜(i)において、蛍光発光層(A1)、と紫外線反射層(B)、蛍光発光層(A2)が積層されている積層体の、(A1)層と(A2)層の面が、入れ替わるように回転等の手段により可動させることもできる。この場合、光源(D)は(A1)側、(A2)側のいずれか一方のみに配置すればよい。これによって、表示内容を容易に変更することが可能となる。

【実施例】
【0037】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0038】
・蛍光発光層用組成物1
アクリル−スチレン樹脂エマルション100重量部(固形分)、緑色無機蛍光顔料14重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)4重量部を常法にて混合し、蛍光発光層用組成物1を作製した。
・蛍光発光層用組成物2
蛍光発光層用組成物1の緑色無機蛍光顔料の代わりに赤色無機蛍光顔料を20重量部用いた以外は、蛍光発光層用組成物1と同様に蛍光発光層用組成物2を作製した。
【0039】
・紫外線反射層用組成物1
アクリル−スチレン樹脂エマルション100重量部(固形分)、アルミナ160重量部、添加剤(分散剤、消泡剤等)5重量部を常法にて混合し、紫外線反射層用組成物1を作製した。
・紫外線反射層用組成物2〜7
表1の配合に基づき、紫外線反射層用組成物1と同様に紫外線反射層用組成物2〜7を作製した。
【0040】
紫外線反射層用組成物1〜7に関して、以下の評価を実施した。結果を表1、2および図3に示した。
・評価1
隠蔽率試験紙の上に、作製した紫外線反射層用組成物1〜7を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、硬化させた試験体を用い、試験体における黒地上塗膜と白地上塗膜の視感反射率を色彩色差計(「CR−300」:ミノルタ株式会社製)を用いて測定し隠蔽率(%)を算出した。
【0041】
・評価2
アクリル板上に紫外線反射層用組成物1〜7を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、硬化させた試験体を用い、波長領域300nm〜400nmでの反射率(%)を分光光度計(「UV−3100」:株式会社島津製作所製)で測定した。ブランクとして、アクリル板を使用した。
【0042】
(積層体の製造)
(実施例1)
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)で塗付、乾燥させ蛍光発光層(A−1)を成形した。次いで、蛍光発光層(A−1)とは反対側のガラス板一面に、紫外線反射層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し紫外線反射層(B−1)を成形し、積層体1を得た。
【0043】
得られた積層体1に関して、以下の評価を実施した。結果を表1に示した。
・評価3
積層体1において、蛍光発光層(A−1)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置した。室内蛍光灯照射下(可視光下)において、紫外線反射層(B−1)を介して蛍光発光層(A−1)及びその背後に設置された紫外線光源の視認性を目視で評価し、光源の形状が認識できないものをA、認識できるものをBとした。結果を表2に示した。
【0044】
・評価4
積層体1において、蛍光発光層(A−1)から3cmの距離に紫外線光源(6W紫外線ランプ:365nm)を設置し、暗室中で紫外線を照射し、積層体1の発光輝度(cd/m)を、色彩輝度計「BM−5A」(株式会社トプコン製)を用いて測定した。結果を表2に示した。
【0045】
(実施例2)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物2を使用し、紫外線反射層(B−2)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体2を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0046】
(実施例3)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物3を使用し、紫外線反射層(B−3)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体3を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0047】
(実施例4)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物4を使用し、紫外線反射層(B−4)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体4を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0048】
(実施例5)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物5を使用し、紫外線反射層(B−5)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体5を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0049】
(実施例6)
PETフィルム(300mm×200mm×0.1mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)で塗付、乾燥させ蛍光発光層(A−1)を成形した。次いで、蛍光発光層(A−1)とは反対側のPETフィルム一面に、紫外線反射層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し紫外線反射層(B−2)を成形し、積層体6を得た。実施例1と同様の評価を実施した。結果を表6に示した。
【0050】
(実施例7)
実施例6のPETフィルムに代えて、アクリル樹脂板(300mm×200mm×3mm)を用いた以外は、実施例5と同様に積層体7を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0051】
(実施例8)
離型紙上に蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)で塗付し、乾燥させ蛍光発光層(A−1)を成形した。次いで、蛍光発光層(A−1)上に紫外線反射層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し紫外線反射層(B−2)を成形し、積層体8を得た。得られた積層体に関して、実施例1と同様の評価を実施した。結果を表1に示した。
【0052】
(比較例1)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物6を使用し、紫外線反射層(B−6)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体9を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0053】
(比較例2)
実施例1の紫外線反射層用組成物1に代えて紫外線反射層用組成物7を使用し、紫外線反射層(B−7)を成形した以外は、実施例1と同様に積層体10を作製し、同様の評価を実施した。結果を表2に示した。
【0054】
(ブランク)
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の一方の面に、蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥し蛍光発光層(A−1)を成形したものを、上記の実施例1〜4、比較例1〜3の評価3〜4のブランクとした。
【0055】
次に、蛍光発光層(A)が2層からなる積層体を製造した。
(実施例9)
実施例1の積層体1に対して、紫外線反射層(B−1)の上に蛍光発光層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥させ、蛍光発光層(A−2)を成形し、積層体11を得た。
得られた積層体11に関して、蛍光発光層(A−1)、蛍光発光層(A−2)から3cmの距離にそれぞれ紫外線光源(D−1)、紫外線光源(D−2)(ともに6W紫外線ランプ:365nm)を設置し、暗室中で紫外線を照射し、積層体11を発光させた。(D−1)ON/(D−2)OFFの場合は蛍光発光層(A−1)の緑色、(D−1)OFF/(D−2)ONの場合は蛍光発光層(A−2)の赤色、また、(D−1)ON/(D−2)ONの場合は、緑色と赤色の発光の混色である黄色に発光し、2つの光源のON/OFFの組み合わせにより、積層体11の発光色が変化することが確認された。
また、実施例1と同様の方法により積層体Xの輝度を評価したところ、D−1のみがONの場合26.0cd/m、D−2のみがONの場合25.1cd/m、及びD−1、D−2ともにONの場合50.5cd/mであった。
【0056】
(実施例10)
ガラス板(300mm×200mm×3mm)の両面にそれぞれ紫外線反射層用組成物2を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約80μm)となるように塗付、乾燥させて紫外線反射層(B−2)、(B−2’)を成形した。次いで、一方の面の紫外線反射層(B−2)上に蛍光発光層用組成物1を塗付厚が150μm(乾燥膜厚が約75μm)となるように塗付、乾燥させ、蛍光発光層(A−1)を成形した。さらに、もう一方の面の紫外線反射層(B−2’)上に蛍光発光層用組成物2を蛍光発光層用組成物1と同様に塗付して蛍光発光層(A−2)を成形し、積層体12を得た。
得られた積層体12に関して、実施例9と同様に発光させたところ、(D−1)ON/(D−2)OFFの場合は蛍光発光層(A−1)の緑色、(D−1)OFF/(D−2)ONの場合は蛍光発光層(A−2)の赤色、また、(D−1)ON/(D−2)ONの場合は黄色に発光し、2つの光源のON/OFFの組み合わせにより、積層体Yの発光色が変化することが確認された。
また、実施例1と同様の方法により積層体12の輝度を評価したところ、D−1のみがONの場合28.0cd/m、D−2のみがONの場合25.2cd/m、及びD−1、D−2ともにONの場合51.7cd/mであった。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明積層体の構造図である。
【図2】本発明積層体の構造図である。
【図3】実施例1〜4、比較例1〜3、ブランク(アクリル板)の評価2における紫外線反射層の波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線光源の照射により、発光する積層体であって、
紫外線が照射される側に蛍光発光を示す蛍光発光層(A)、
紫外線が照射される側と反対側に波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)、
が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
請求項1記載の積層体と、該積層体の蛍光発光層(A)側に紫外線光源(D)を備えることを特徴とする発光構造体。
【請求項3】
紫外線光源の照射により、発光する積層体であって、
蛍光発光を示す蛍光発光層(A1)、波長領域300nm〜400nmでの紫外線反射率が25%以上である紫外線反射層(B)、及び蛍光発光を示す蛍光発光層(A2)が積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項4】
請求項3記載の積層体と、該積層体の蛍光発光層(A1)及び/または蛍光発光層(A2)側に紫外線光源(D)を備えることを特徴とする発光構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−98620(P2009−98620A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167829(P2008−167829)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(599071496)ベック株式会社 (98)
【Fターム(参考)】