積層体
【課題】従来技術よりも更に安価で手軽に、概ね平面状の紙試料や写真等の標本を観察・閲覧可能な状態で保護する積層体を提供する。
【解決手段】可撓性のある第1シート102と、剥離シート104と、可撓性のある第2シート106とをこの
順で備えた積層体10であって、前記第1シート102および前記第2シート106の前記剥離シート104と接する側の面にはそれぞれ粘着剤1021、1061が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シート102と第2シート106の少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体10。
【解決手段】可撓性のある第1シート102と、剥離シート104と、可撓性のある第2シート106とをこの
順で備えた積層体10であって、前記第1シート102および前記第2シート106の前記剥離シート104と接する側の面にはそれぞれ粘着剤1021、1061が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シート102と第2シート106の少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真等を観察・閲覧可能な状態で保護するために、古くはガラス板を用いた額が使用されていた。これにより日光等による影響での変色は避けられないものの物理的に表面が傷つけられることなく長期間にわたり保存するのに優れるとともに、所望時の観察・閲覧が可能であった。その後、粘着面に写真等を固定した上で表面を透明フィルムで保護する形状のアルバムが普及することで手軽さを増した。さらに、写真等を2枚のラミネートフィルムで挟み込みラミネーターにより加熱圧着する方法が普及している。これにより保護された写真等は防水性にも優れ多少の弾力性も備えているため、お気に入りの特定の写真、会員証及び診察券等の平面状対象物をラミネートしたうえで携帯する方法が広く普及した。しかしながら、写真等をラミネートするためには特定のラミネートフィルムを用いなければならないこと、安価とは言えないラミネーターが必要なこと、更にはラミネートする際に加熱されるため、熱変性の可能性のあるものには不向きである等の問題があった。さらに加熱の過程でラミネートフィルムが硬化するため、風合いに劣り、他人を傷つける可能性があり、柔軟性が求められる状況での使用には不向きであった。また、カバーフィルム(ニチバン)を用いることにより特別な機器を使用せずに写真等を閲覧可能な状態で表裏両面より保護することは可能ではあるが、カバーフィルムは本来、本や雑誌、資料やパンフレットの補強や補修を目的とするものであり、平面状対象物のラミネートを目的とはしていない。表面並びに裏面用のシートを夫々必要なサイズに裁断する必要があり、そのサイズが正確に一致しなかった場合にはラミネート加工後に不要部分をカットする必要があった。なお、一般的に板状物に保護フィルムを貼り付ける際ならびに裁断加工時にはしわが生じやすいことから、その解決手段も開示されているが、大掛りな機械装置を必要とするものである(特許文献1参照)。他方、より手軽に貼付作業が出来る表面保護フィルム積層体に関する発明が開示されている。当該発明は複数のフィルム体を含む表面保護フィルム積層体であり、複数のフィルム体は略同一平面形状を有し、互いに剥離可能に積層されている。また一方面に粘着面を有し、他方面に非粘着面を有していて積層方向に隣接するフィルム体において、一方のフィルム体の非粘着面に対して、他方のフィルム体の粘着面が、剥離可能に粘着されている(特許文献2)。該フィルム体が略同一平面形状を有しているため、表面並びに裏面用シートを一致させることが可能となる。しかしながら、傷や汚れの付着の防止を目的とする表面保護フィルムであり、平面状対象物のラミネート加工を目的としていない。貼り合せ作業の精度には限界があり、ラミネート加工後に不要部分をカットする作業が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21444号公報
【特許文献2】登録実用新案第3134213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、従来技術よりも更に安価で別途装置等を必要とせず手軽に、概ね平面状の紙試料や写真等の標本を観察・閲覧可能な状態で保護する積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、可撓性のある第1シートと、剥離シートと、可撓性のある第2シートとをこの順で備えた積層体であって、前記第1シートおよび前記第2シートの前記剥離シートと接する側の面にはそれぞれ粘着剤が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シートと第2シートの少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体である。 請求項2に記載の発明は、前記剥離シートには切れ目が設けられ、複数部分に分割可能となっている請求項1に記載の積層体である。 請求項3に記載の発明は、前記粘着剤が感圧性粘着剤である請求項1または2に記載の積層体である。 請求項4に記載の発明は、前記第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体である。 請求項5に記載の発明は、連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体である。 請求項6に記載の発明は、前記第1シートおよび第2シートの折り曲げ部内側には、前記粘着剤の塗布されていない箇所が存在することを特徴とする請求項5に記載の積層体である。 請求項7に記載の発明は、前記剥離シートが孔部を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体である。 請求項8に記載の発明は、前記第1シートおよび第2シートにより、前記剥離シートおよび粘着剤が気密に収納されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来技術よりも更に安価で手軽に、概ね平面状の標本や写真等を観察・閲覧可能な状態で保護する積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の積層体の一実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図3】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図4】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図5】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図7】剥離シートに補助線を印刷した形態を説明する斜視図である。
【図8】連続する一枚のシートを折り曲げることで第1シートおよび第2シートが構成されてなる形態を説明するための斜視図である。
【図9】連続する一枚のシートを折り曲げることで第1シートおよび第2シートが構成されてなる形態を説明するための斜視図である。
【図10】孔部を有する剥離シートを説明するための斜視図である。
【図11】本発明の積層体のさらに別の形態を説明するための斜視図である。
【図12】剥離シートに切れ目が設けられている形態を説明するための、本発明の積層体の斜視図である。
【図13】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図14】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図15】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図16】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図17】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図18】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図19】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図20】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図面を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、以下の各図において、第1および第2シート、剥離シート、粘着剤の厚さは説明のために実際の厚みよりも厚く記載している。 図1は、本発明の積層体の一実施形態の斜視図である。本発明の積層体10は、可撓性のある第1シート102と、剥離シート104と、可撓性のある第2シート106とをこの順で備え、第1シート102および第2シート106の、剥離シート104と接する側の面にはそれぞれ粘着剤1021および粘着剤1061が略全面にわたって塗布されてなる。また、第1シート102と第2シートの少なくとも一方が透光性を有している。
【0009】
可撓性のある第1シート102および第2シート106としては、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられ、そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる、例えば厚さが150〜500μmの単層または複合フィルムが挙げられる。また、第1シート102および第2シート106のいずれか一方、または両方は、透光性である必要がある。ここで透光性とは可視光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上であることを意味する。
【0010】
剥離シート104としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムの表面を、シリコーン系、フッ素系等の剥離剤で剥離処理したものや、グラシン紙、クレーコート紙、等の紙を上記剥離剤で剥離処理したもの等が挙げられる。剥離シートの厚さは、通常10〜500μm程度である。
【0011】
粘着剤1021および1061としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等が挙げられる。中でも、感圧性粘着剤が好ましい。
【0012】
次に本発明の積層体10の使用方法について説明する。本発明の積層体10は、例えば概ね平面状の紙試料や写真等の標本を観察・閲覧可能な状態で保護するために好適に使用され得る。 図2〜6は、本発明の積層体10の使用方法を説明するための図である。該使用方法は、例えば次の一連の工程を有する。 第1工程:使用者はまず、第1シート102を第2シート106から分離させる。この際に剥離シート104は第2シート106側に残しておく(図2)。 第2工程:第1工程において第1シート102を分離した後、標本202を剥離シート104上の所望の位置に設置する(図3)。 第3工程:分離した第1シート102を標本202上に載置し、粘着させる。この段階で、第1シート102と標本202とが粘着し、固定された状態となる(図4)。 第4工程:第1シート102に塗布された粘着剤1021に固定された標本202を第2シート106から分離させ、剥離シート104を第2シート106から除去する(図5)。 第5工程:第1シート102の粘着面に固定された標本202を、第2シート106の粘着面と重ね合わせることにより、上記標本202が、観察・閲覧可能な状態で、第1シート102および第2シート1
06によって保護された状態となる(図6)。
【0013】
上記第1工程において、本発明の積層体の使用前は、図1に示すように、剥離シート104の形状は、第1シート102および第2シート106と同一であるが、若干小さくすることにより第1シート102および第2シート106の一部分が互いに粘着するようになる。この場合、該粘着部分を固定した状態で第2工程以降を行うことになり、第5工程で重ね合わせる際にずれが生じにくくなる利点がある。 上記第2工程では、剥離シート104上で標本202の固定位置を調整することができる。なお剥離シート104が存在しない場合は、標本202を設置した際に、これが第2シート106の粘着面ですぐに固定されてしまい、標本202の固定位置の微調整ができなくなる。 また、上記第3工程において、粘着剤として感圧性粘着剤を使用した場合、圧力を加える前は粘着性が発現していないため、標本202の載置する位置の微調整が可能となり、好ましい。
【0014】
また本発明では、第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることが好ましい。図7は、剥離シート104に補助線を印刷した形態を説明する図である。この形態では、上記第2工程において、碁盤目状に形成された補助線302に沿って標本202を設置することができるので、標本202の固定位置の微調整がさらに確実に実施できる。なお、図中における剥離シート104上の斜線は、第1シート、第2シートおよび粘着剤との区別を視覚的に明確に示すためのものであり、剥離シート上に斜線があることを意味するものではない。
【0015】
また本発明の別の形態によれば、連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなる。 図8は、この形態を説明するための斜視図である。矩形の一枚のシートSの、長さ方向の中央部分の中心線Cを基準として、該シートSを折り曲げることにより第1シート102および第2シート106が形成される。該シートS上の中心線Cを隔てた両側には積層体が形成された際の第1シート102および第2シート106の夫々に粘着剤1021および粘着剤1061が塗布されている。図9は、該シートSを折り曲げる過程を示すものである。該シートS上の粘着面同士が重ね合わされるように中心線Cを基準に折り曲げるが、粘着面同士が接しないように剥離シート104を設置した上で両者を重ね合わせる必要がある。この形態によれば、上記第5工程において、標本202が固定されている第1シート102の粘着面と、第2シート106の粘着面との重ね合わせの際に、ズレが生じにくくなる。図9に示すとおり、第1シート102および第2シート106が連続している他は、図1に示した積層体と同様に第1シート102、粘着剤1021、剥離シート104、粘着剤1061、第シート106をこの順で備えた積層体である。なお、実際の折り目は鋭角として存在するものであるが、便宜上丸みを帯びた形状で図示した。
【0016】
なお、図8の中心線Cの周囲の斜線部iには、粘着剤を塗布しないことが好ましい。この斜線部iは、第1シート102および第2シート106の折り曲げ部内側であって、この部分に粘着剤が塗布されていると、標本202のサイズが中心線Cに到達する程に大きい場合、もしくは中心線Cに接する場所に標本202を設置したい場合、内側に鋭角に折り曲げられた斜線部iの粘着剤によって、標本202が中心線Cに到達する前に固定されてしまい、不具合が発生する。
【0017】
また本発明の別の形態によれば、剥離シートが孔部を有していることが好ましい。図10は、孔部を有する剥離シートを説明するための平面図である。 図10の形態によれば、剥離シート104の複数個所に小さい孔部502が設けられている。この形態によれば、例えば標本202が折れ曲がったり、皺だらけの状態である場合、上記第2工程で、剥離シート104の孔部502を通じて、標本202が第2シート106の粘着面に仮止めされ、標本202が一時的に剥離シート104上に折れ曲がりや皺のない伸ばされた状態で固定される。そうした上で上記第3工程において第1シート102によって標本202を粘着固定させると、当該状態で標本202が固定されることになる。なお、標本202は孔部502を通じて第2シート106の粘着面に仮止めされているだけであるので、上記第4工程では第2シート106の粘着面から容易に分離させることができる。 この形態において、孔部502の合計面積は、剥離シート104の12〜27%を占めるのが好ましい。 また、図10(a)に示すとおり、剥離シート104の対角線MおよびM’に沿って設けられた孔部502は、他の孔部よりも孔部面積を大きくしておくことが好ましい。その理由は、皺が多くて状態の悪い標本を伸ばして剥離シート上に仮固定する際に、標本上の一点から同心円状に仮固定するよりも標本を周囲から引っ張り、引っ張られた状態を維持しながら仮固定したほうが標本の歪みは小さくなる。標本の多くが概ね矩形であると仮定した場合、満遍なく標本の皺を伸ばすためには対角線方向に引っ張ることが最も有効である。標本上の2本の対角線を夫々順次両端から引っ張り、引っ張られた状態を維持したまま対角線付近を優先して強く仮固定することにより歪みが小さくなるとともに、対角線以外の残りの部分の仮固定は軽く行うだけで十分であり従って、対角線上以外の孔部の面積は小さくてよい。 さらに、図10(b)において、剥離シート104の中心線MおよびM’に沿って設けられた孔部502が、他の孔部よりも孔部面積を大きくした形状を示した。この形状は、標本の中心線が明らかな場合の仮固定に際して好ましい。皺が多くて状態の悪い標本の中心線を伸ばして剥離シート上に仮固定する際に、伸ばされた標本の中心線をそのまま剥離シートの中心線上に仮固定することにより、標本の中心線が剥離シート中心線上に固定される。その後に、剥離シート上のもう一方の中心線上に位置する標本を両側から引っ張り、引っ張られた状態を維持したまま剥離シート上に仮固定する。標本を2本の中心線上で仮固定した上で、残りの部分の仮固定は軽く行うだけで十分であり従って、中心線上以外の孔部の面積は小さくてよい。 図10(a)および(b)において夫々、剥離シート104の対角線および中心線に沿って設けられた孔部502を、他の孔部よりも孔部面積を大きくした形状を示したが、孔部面積を大きくする箇所は対角線と中心線に限定されない。標本の形状に応じ様々なパターンが考えられるが、何れにせよ剥離シート上で孔部面積が比較的大きい箇所が線上に分布していることによりその他の部分とのメリハリをつけることが重要となる。皺が多くて状態の悪い標本は、孔部面積が比較的大きい箇所により確実に引き伸ばされるとともに、その他の孔部面積が比較的小さいことにより標本は必要以上に強く仮固定されないため、標本を剥離シートから引き離す際に標本にかかる負担を最小限に留めることが出来る。
【0018】
また本発明の別の形態では、第1シート102および第2シート106により、粘着剤1021、粘着剤1061および剥離シート104が気密に収納されていることが好ましい。 乾燥状態で粘着性を失う恐れのある粘着剤を採用した場合は、第1シート102と第2シート106の周囲を易接着剤等で仮接着しておくことにより、第1シート102と第2シート106で構成される収納部内部が気密状態となり、粘着剤の乾燥を防止することができる。
【0019】
図11は、本発明の積層体のさらに別の形態を説明するための斜視図である。図11(a)において、本発明の積層体60は、長尺状に形成され、芯部601の周囲に巻き回され、巻体602を形成している。図11(b)は、巻体602から一部が巻き出された本発明の積層体において、第1シート102を剥離シート104から分離させた形態の斜視図である。 本発明の積層体60は、剥離シート104に切れ目を設け、複数部分に分割可能としておくことが好ましい。
【0020】
図12は、剥離シート104に切れ目が設けられている形態を説明するための、本発明の積層体の斜視図である。図12に示すように、本発明の積層体60において、剥離シート104の長さ方向と直交する方向に切れ目dが複数個所設けられている。
【0021】
以下、剥離シート104に切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明する。なお、下記の使用方法は、上記で説明した本発明の積層体の使用方法の第1工程から第5工程の作業に準じている。
【0022】
まず、図13に示すように、第1シート102およびその粘着面を形成する粘着剤1021を、剥離シート104から分離させる。 次に、図14に示すように、剥離シート104上の所望の箇所に標本202を設置する。 続いて、図15に示すように、分離した第1シート102を標本202上に載置し、粘着させる。この段階で、第1シート102と標本202とが粘着し、固定された状態となる 次に図16に示すように、第1シート102に設けられた粘着剤1021に固定された標本202を第2シート106から分離させる。 続いて、図17に示すように、剥離シート104を切れ目毎に除去する。なお、剥離シート104に切れ目が設けられていない場合は、剥離シート104が巻体に繋がっているため、この段階で除去できないことになる。 次に図18に示すように、第1シート102の粘着面に固定された標本202を、第2シート106の粘着面と重ね合わせる。 続いて、図19に示すように、長尺状の積層体60を、所望の箇所でカットする。 最後に、図20に示すように、カットした部分の近辺に残存している剥離シート104を、例えば第1シート102を上方に持ち上げて露出することにより除去する。
【0023】
上記のような形態によれば、積層体を巻体とするために持ち運びや保管に好適となるとともに、第1シート102の分離および再粘着の方向が、巻体からの積層体の巻き出し方向に規制されるため、第1シート102と標本202とが互いにずれることなく第2シート106に粘着し固定されるために好ましい。
【符号の説明】
【0024】
10 積層体102 第1シート1021 粘着剤(第1シートに塗布)104 剥離シート106 第2シート1061 粘着剤(第2シートに塗布)202 標本
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真等を観察・閲覧可能な状態で保護するために、古くはガラス板を用いた額が使用されていた。これにより日光等による影響での変色は避けられないものの物理的に表面が傷つけられることなく長期間にわたり保存するのに優れるとともに、所望時の観察・閲覧が可能であった。その後、粘着面に写真等を固定した上で表面を透明フィルムで保護する形状のアルバムが普及することで手軽さを増した。さらに、写真等を2枚のラミネートフィルムで挟み込みラミネーターにより加熱圧着する方法が普及している。これにより保護された写真等は防水性にも優れ多少の弾力性も備えているため、お気に入りの特定の写真、会員証及び診察券等の平面状対象物をラミネートしたうえで携帯する方法が広く普及した。しかしながら、写真等をラミネートするためには特定のラミネートフィルムを用いなければならないこと、安価とは言えないラミネーターが必要なこと、更にはラミネートする際に加熱されるため、熱変性の可能性のあるものには不向きである等の問題があった。さらに加熱の過程でラミネートフィルムが硬化するため、風合いに劣り、他人を傷つける可能性があり、柔軟性が求められる状況での使用には不向きであった。また、カバーフィルム(ニチバン)を用いることにより特別な機器を使用せずに写真等を閲覧可能な状態で表裏両面より保護することは可能ではあるが、カバーフィルムは本来、本や雑誌、資料やパンフレットの補強や補修を目的とするものであり、平面状対象物のラミネートを目的とはしていない。表面並びに裏面用のシートを夫々必要なサイズに裁断する必要があり、そのサイズが正確に一致しなかった場合にはラミネート加工後に不要部分をカットする必要があった。なお、一般的に板状物に保護フィルムを貼り付ける際ならびに裁断加工時にはしわが生じやすいことから、その解決手段も開示されているが、大掛りな機械装置を必要とするものである(特許文献1参照)。他方、より手軽に貼付作業が出来る表面保護フィルム積層体に関する発明が開示されている。当該発明は複数のフィルム体を含む表面保護フィルム積層体であり、複数のフィルム体は略同一平面形状を有し、互いに剥離可能に積層されている。また一方面に粘着面を有し、他方面に非粘着面を有していて積層方向に隣接するフィルム体において、一方のフィルム体の非粘着面に対して、他方のフィルム体の粘着面が、剥離可能に粘着されている(特許文献2)。該フィルム体が略同一平面形状を有しているため、表面並びに裏面用シートを一致させることが可能となる。しかしながら、傷や汚れの付着の防止を目的とする表面保護フィルムであり、平面状対象物のラミネート加工を目的としていない。貼り合せ作業の精度には限界があり、ラミネート加工後に不要部分をカットする作業が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21444号公報
【特許文献2】登録実用新案第3134213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の目的は、従来技術よりも更に安価で別途装置等を必要とせず手軽に、概ね平面状の紙試料や写真等の標本を観察・閲覧可能な状態で保護する積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、可撓性のある第1シートと、剥離シートと、可撓性のある第2シートとをこの順で備えた積層体であって、前記第1シートおよび前記第2シートの前記剥離シートと接する側の面にはそれぞれ粘着剤が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シートと第2シートの少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体である。 請求項2に記載の発明は、前記剥離シートには切れ目が設けられ、複数部分に分割可能となっている請求項1に記載の積層体である。 請求項3に記載の発明は、前記粘着剤が感圧性粘着剤である請求項1または2に記載の積層体である。 請求項4に記載の発明は、前記第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体である。 請求項5に記載の発明は、連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体である。 請求項6に記載の発明は、前記第1シートおよび第2シートの折り曲げ部内側には、前記粘着剤の塗布されていない箇所が存在することを特徴とする請求項5に記載の積層体である。 請求項7に記載の発明は、前記剥離シートが孔部を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体である。 請求項8に記載の発明は、前記第1シートおよび第2シートにより、前記剥離シートおよび粘着剤が気密に収納されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来技術よりも更に安価で手軽に、概ね平面状の標本や写真等を観察・閲覧可能な状態で保護する積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の積層体の一実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図3】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図4】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図5】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図7】剥離シートに補助線を印刷した形態を説明する斜視図である。
【図8】連続する一枚のシートを折り曲げることで第1シートおよび第2シートが構成されてなる形態を説明するための斜視図である。
【図9】連続する一枚のシートを折り曲げることで第1シートおよび第2シートが構成されてなる形態を説明するための斜視図である。
【図10】孔部を有する剥離シートを説明するための斜視図である。
【図11】本発明の積層体のさらに別の形態を説明するための斜視図である。
【図12】剥離シートに切れ目が設けられている形態を説明するための、本発明の積層体の斜視図である。
【図13】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図14】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図15】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図16】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図17】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図18】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図19】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【図20】剥離シートに切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図面を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、以下の各図において、第1および第2シート、剥離シート、粘着剤の厚さは説明のために実際の厚みよりも厚く記載している。 図1は、本発明の積層体の一実施形態の斜視図である。本発明の積層体10は、可撓性のある第1シート102と、剥離シート104と、可撓性のある第2シート106とをこの順で備え、第1シート102および第2シート106の、剥離シート104と接する側の面にはそれぞれ粘着剤1021および粘着剤1061が略全面にわたって塗布されてなる。また、第1シート102と第2シートの少なくとも一方が透光性を有している。
【0009】
可撓性のある第1シート102および第2シート106としては、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられ、そのようなフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等からなる、例えば厚さが150〜500μmの単層または複合フィルムが挙げられる。また、第1シート102および第2シート106のいずれか一方、または両方は、透光性である必要がある。ここで透光性とは可視光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上であることを意味する。
【0010】
剥離シート104としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂からなるフィルムの表面を、シリコーン系、フッ素系等の剥離剤で剥離処理したものや、グラシン紙、クレーコート紙、等の紙を上記剥離剤で剥離処理したもの等が挙げられる。剥離シートの厚さは、通常10〜500μm程度である。
【0011】
粘着剤1021および1061としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等が挙げられる。中でも、感圧性粘着剤が好ましい。
【0012】
次に本発明の積層体10の使用方法について説明する。本発明の積層体10は、例えば概ね平面状の紙試料や写真等の標本を観察・閲覧可能な状態で保護するために好適に使用され得る。 図2〜6は、本発明の積層体10の使用方法を説明するための図である。該使用方法は、例えば次の一連の工程を有する。 第1工程:使用者はまず、第1シート102を第2シート106から分離させる。この際に剥離シート104は第2シート106側に残しておく(図2)。 第2工程:第1工程において第1シート102を分離した後、標本202を剥離シート104上の所望の位置に設置する(図3)。 第3工程:分離した第1シート102を標本202上に載置し、粘着させる。この段階で、第1シート102と標本202とが粘着し、固定された状態となる(図4)。 第4工程:第1シート102に塗布された粘着剤1021に固定された標本202を第2シート106から分離させ、剥離シート104を第2シート106から除去する(図5)。 第5工程:第1シート102の粘着面に固定された標本202を、第2シート106の粘着面と重ね合わせることにより、上記標本202が、観察・閲覧可能な状態で、第1シート102および第2シート1
06によって保護された状態となる(図6)。
【0013】
上記第1工程において、本発明の積層体の使用前は、図1に示すように、剥離シート104の形状は、第1シート102および第2シート106と同一であるが、若干小さくすることにより第1シート102および第2シート106の一部分が互いに粘着するようになる。この場合、該粘着部分を固定した状態で第2工程以降を行うことになり、第5工程で重ね合わせる際にずれが生じにくくなる利点がある。 上記第2工程では、剥離シート104上で標本202の固定位置を調整することができる。なお剥離シート104が存在しない場合は、標本202を設置した際に、これが第2シート106の粘着面ですぐに固定されてしまい、標本202の固定位置の微調整ができなくなる。 また、上記第3工程において、粘着剤として感圧性粘着剤を使用した場合、圧力を加える前は粘着性が発現していないため、標本202の載置する位置の微調整が可能となり、好ましい。
【0014】
また本発明では、第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることが好ましい。図7は、剥離シート104に補助線を印刷した形態を説明する図である。この形態では、上記第2工程において、碁盤目状に形成された補助線302に沿って標本202を設置することができるので、標本202の固定位置の微調整がさらに確実に実施できる。なお、図中における剥離シート104上の斜線は、第1シート、第2シートおよび粘着剤との区別を視覚的に明確に示すためのものであり、剥離シート上に斜線があることを意味するものではない。
【0015】
また本発明の別の形態によれば、連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなる。 図8は、この形態を説明するための斜視図である。矩形の一枚のシートSの、長さ方向の中央部分の中心線Cを基準として、該シートSを折り曲げることにより第1シート102および第2シート106が形成される。該シートS上の中心線Cを隔てた両側には積層体が形成された際の第1シート102および第2シート106の夫々に粘着剤1021および粘着剤1061が塗布されている。図9は、該シートSを折り曲げる過程を示すものである。該シートS上の粘着面同士が重ね合わされるように中心線Cを基準に折り曲げるが、粘着面同士が接しないように剥離シート104を設置した上で両者を重ね合わせる必要がある。この形態によれば、上記第5工程において、標本202が固定されている第1シート102の粘着面と、第2シート106の粘着面との重ね合わせの際に、ズレが生じにくくなる。図9に示すとおり、第1シート102および第2シート106が連続している他は、図1に示した積層体と同様に第1シート102、粘着剤1021、剥離シート104、粘着剤1061、第シート106をこの順で備えた積層体である。なお、実際の折り目は鋭角として存在するものであるが、便宜上丸みを帯びた形状で図示した。
【0016】
なお、図8の中心線Cの周囲の斜線部iには、粘着剤を塗布しないことが好ましい。この斜線部iは、第1シート102および第2シート106の折り曲げ部内側であって、この部分に粘着剤が塗布されていると、標本202のサイズが中心線Cに到達する程に大きい場合、もしくは中心線Cに接する場所に標本202を設置したい場合、内側に鋭角に折り曲げられた斜線部iの粘着剤によって、標本202が中心線Cに到達する前に固定されてしまい、不具合が発生する。
【0017】
また本発明の別の形態によれば、剥離シートが孔部を有していることが好ましい。図10は、孔部を有する剥離シートを説明するための平面図である。 図10の形態によれば、剥離シート104の複数個所に小さい孔部502が設けられている。この形態によれば、例えば標本202が折れ曲がったり、皺だらけの状態である場合、上記第2工程で、剥離シート104の孔部502を通じて、標本202が第2シート106の粘着面に仮止めされ、標本202が一時的に剥離シート104上に折れ曲がりや皺のない伸ばされた状態で固定される。そうした上で上記第3工程において第1シート102によって標本202を粘着固定させると、当該状態で標本202が固定されることになる。なお、標本202は孔部502を通じて第2シート106の粘着面に仮止めされているだけであるので、上記第4工程では第2シート106の粘着面から容易に分離させることができる。 この形態において、孔部502の合計面積は、剥離シート104の12〜27%を占めるのが好ましい。 また、図10(a)に示すとおり、剥離シート104の対角線MおよびM’に沿って設けられた孔部502は、他の孔部よりも孔部面積を大きくしておくことが好ましい。その理由は、皺が多くて状態の悪い標本を伸ばして剥離シート上に仮固定する際に、標本上の一点から同心円状に仮固定するよりも標本を周囲から引っ張り、引っ張られた状態を維持しながら仮固定したほうが標本の歪みは小さくなる。標本の多くが概ね矩形であると仮定した場合、満遍なく標本の皺を伸ばすためには対角線方向に引っ張ることが最も有効である。標本上の2本の対角線を夫々順次両端から引っ張り、引っ張られた状態を維持したまま対角線付近を優先して強く仮固定することにより歪みが小さくなるとともに、対角線以外の残りの部分の仮固定は軽く行うだけで十分であり従って、対角線上以外の孔部の面積は小さくてよい。 さらに、図10(b)において、剥離シート104の中心線MおよびM’に沿って設けられた孔部502が、他の孔部よりも孔部面積を大きくした形状を示した。この形状は、標本の中心線が明らかな場合の仮固定に際して好ましい。皺が多くて状態の悪い標本の中心線を伸ばして剥離シート上に仮固定する際に、伸ばされた標本の中心線をそのまま剥離シートの中心線上に仮固定することにより、標本の中心線が剥離シート中心線上に固定される。その後に、剥離シート上のもう一方の中心線上に位置する標本を両側から引っ張り、引っ張られた状態を維持したまま剥離シート上に仮固定する。標本を2本の中心線上で仮固定した上で、残りの部分の仮固定は軽く行うだけで十分であり従って、中心線上以外の孔部の面積は小さくてよい。 図10(a)および(b)において夫々、剥離シート104の対角線および中心線に沿って設けられた孔部502を、他の孔部よりも孔部面積を大きくした形状を示したが、孔部面積を大きくする箇所は対角線と中心線に限定されない。標本の形状に応じ様々なパターンが考えられるが、何れにせよ剥離シート上で孔部面積が比較的大きい箇所が線上に分布していることによりその他の部分とのメリハリをつけることが重要となる。皺が多くて状態の悪い標本は、孔部面積が比較的大きい箇所により確実に引き伸ばされるとともに、その他の孔部面積が比較的小さいことにより標本は必要以上に強く仮固定されないため、標本を剥離シートから引き離す際に標本にかかる負担を最小限に留めることが出来る。
【0018】
また本発明の別の形態では、第1シート102および第2シート106により、粘着剤1021、粘着剤1061および剥離シート104が気密に収納されていることが好ましい。 乾燥状態で粘着性を失う恐れのある粘着剤を採用した場合は、第1シート102と第2シート106の周囲を易接着剤等で仮接着しておくことにより、第1シート102と第2シート106で構成される収納部内部が気密状態となり、粘着剤の乾燥を防止することができる。
【0019】
図11は、本発明の積層体のさらに別の形態を説明するための斜視図である。図11(a)において、本発明の積層体60は、長尺状に形成され、芯部601の周囲に巻き回され、巻体602を形成している。図11(b)は、巻体602から一部が巻き出された本発明の積層体において、第1シート102を剥離シート104から分離させた形態の斜視図である。 本発明の積層体60は、剥離シート104に切れ目を設け、複数部分に分割可能としておくことが好ましい。
【0020】
図12は、剥離シート104に切れ目が設けられている形態を説明するための、本発明の積層体の斜視図である。図12に示すように、本発明の積層体60において、剥離シート104の長さ方向と直交する方向に切れ目dが複数個所設けられている。
【0021】
以下、剥離シート104に切れ目が設けられ、複数部分に分割可能である場合における、本発明の積層体の使用方法を説明する。なお、下記の使用方法は、上記で説明した本発明の積層体の使用方法の第1工程から第5工程の作業に準じている。
【0022】
まず、図13に示すように、第1シート102およびその粘着面を形成する粘着剤1021を、剥離シート104から分離させる。 次に、図14に示すように、剥離シート104上の所望の箇所に標本202を設置する。 続いて、図15に示すように、分離した第1シート102を標本202上に載置し、粘着させる。この段階で、第1シート102と標本202とが粘着し、固定された状態となる 次に図16に示すように、第1シート102に設けられた粘着剤1021に固定された標本202を第2シート106から分離させる。 続いて、図17に示すように、剥離シート104を切れ目毎に除去する。なお、剥離シート104に切れ目が設けられていない場合は、剥離シート104が巻体に繋がっているため、この段階で除去できないことになる。 次に図18に示すように、第1シート102の粘着面に固定された標本202を、第2シート106の粘着面と重ね合わせる。 続いて、図19に示すように、長尺状の積層体60を、所望の箇所でカットする。 最後に、図20に示すように、カットした部分の近辺に残存している剥離シート104を、例えば第1シート102を上方に持ち上げて露出することにより除去する。
【0023】
上記のような形態によれば、積層体を巻体とするために持ち運びや保管に好適となるとともに、第1シート102の分離および再粘着の方向が、巻体からの積層体の巻き出し方向に規制されるため、第1シート102と標本202とが互いにずれることなく第2シート106に粘着し固定されるために好ましい。
【符号の説明】
【0024】
10 積層体102 第1シート1021 粘着剤(第1シートに塗布)104 剥離シート106 第2シート1061 粘着剤(第2シートに塗布)202 標本
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のある第1シートと、剥離シートと、可撓性のある第2シートとをこの順で備えた積層体であって、前記第1シートおよび前記第2シートの前記剥離シートと接する側の面にはそれぞれ粘着剤が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シートと第2シートの少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記剥離シートには切れ目が設けられ、複数部分に分割可能となっている請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記粘着剤が感圧性粘着剤である請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記第1シートおよび第2シートの折り曲げ部内側には、前記粘着剤の塗布されていない箇所が存在することを特徴とする請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記剥離シートが孔部を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記第1シートおよび第2シートにより、前記剥離シートおよび粘着剤が気密に収納されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【請求項1】
可撓性のある第1シートと、剥離シートと、可撓性のある第2シートとをこの順で備えた積層体であって、前記第1シートおよび前記第2シートの前記剥離シートと接する側の面にはそれぞれ粘着剤が略全面にわたって塗布されてなり、更に第1シートと第2シートの少なくとも一方が透光性を有していることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記剥離シートには切れ目が設けられ、複数部分に分割可能となっている請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記粘着剤が感圧性粘着剤である請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1シート、剥離シートまたは第2シートに補助線が印刷されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
連続する一枚のシートを折り曲げることで前記第1シートおよび第2シートが構成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
前記第1シートおよび第2シートの折り曲げ部内側には、前記粘着剤の塗布されていない箇所が存在することを特徴とする請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
前記剥離シートが孔部を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
前記第1シートおよび第2シートにより、前記剥離シートおよび粘着剤が気密に収納されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−139939(P2012−139939A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98(P2011−98)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(599154412)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(599154412)
【Fターム(参考)】
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