説明

積層型圧電アクチュエータ

【課題】積層型圧電セラミックス素子を封入した金属ケースにかかる変位方向の応力が均等で、変位方向に傾きが生じにくく、さらに作製時の調整工数が少ない高精度な位置決めができ、低コストで作製可能な積層型圧電アクチュエータを提供する。
【解決手段】金属ケース2の伸縮方向の中心軸と、積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を一致させるように、金属ケース2とダミー層7に位置決めする嵌合部10を設けて固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を加えて変位や力を発生する圧電アクチュエータや、外部からの応力を検知し電圧を発生する圧電センサ等に用いられる、積層型圧電セラミックス素子を金属ケースに封入した積層型圧電アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧の印加により変形したり、外部からの応力で電圧を発生したりする圧電セラミックスは、圧電アクチュエータや圧力センサ等に実用化されてきた。その中でも、圧電アクチュエータはプリンタヘッドや磁気ヘッド等の精密微細位置決め機構、ポンプやマニピュレータ等の駆動源として様々な分野で利用されている。さらに、半導体製造装置や光通信機器、医療機器等高い信頼性が要求される分野においては、積層型圧電セラミックス素子を伸縮性のある金属ケースに封入し、耐湿度性向上と外部応力から保護することで長寿命化、高性能化を実現した積層型圧電アクチュエータが利用されている。
【0003】
従来の積層型圧電アクチュエータについて図面を用いて説明する。図6は、従来の積層型圧電セラミックス素子の斜視図である。図6の積層型圧電セラミックス素子は、内部電極が圧電セラミックス層の全面に配される、全面電極型といわれる構造を示すものである。積層型圧電セラミックス素子6は、圧電セラミックス層21と内部電極23とを交互に複数積層して積層体を構成し、さらに上下に圧電セラミックスの不活性体であるダミー層7を積層し、前記積層体の側面に内部電極23が1層おきに対向電極となるように絶縁層22を形成し、側面に露出した内部電極23と電気的に接続するように外部電極24を形成している。積層型圧電セラミックス素子6の2つの外部電極24に電圧を印加すると、圧電セラミックス層21は内部電極23の間にかかる電界に応じて、変位方向25aと変位方向25bに変位し、変位量は電界強度に比例して増加する。
【0004】
図7は、従来の積層型圧電アクチュエータの斜視図である。図8は、従来の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。図7、図8に示す積層型圧電アクチュエータ1は、以下のように製造される。積層型圧電セラミックス素子6の2つの外部電極にリード線8を取り付け、リード線8に端子9を接続する。次に、積層型圧電セラミックス素子6をベローズ構造の金属ケース2の伸縮管4に入れて、位置合わせ治具を用いて積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を、上蓋3、伸縮管4、下蓋5で構成する金属ケース2の伸縮方向の中心軸と一致させるようにして、積層型圧電セラミックス素子6の上下のダミー層7と上蓋3、下蓋5をそれぞれ接着する。その後、上蓋3と伸縮管4と下蓋5をそれぞれ溶接し密閉して金属ケース2を完成させる。
【0005】
一般的に金属ケースはベローズ構造であるものが多く、伸縮性、バネ性、気密性を持たせることができる。伸縮性、バネ性は積層型圧電セラミックス素子の変位方向に存在し、金属ケースの変位方向に傾きを生じさせない為には金属ケースにかかる応力が均等である必要がある。さらに、応力を均等にする為には積層型圧電セラミックス素子を金属ケースに封入する際に、金属ケースの伸縮方向と積層型圧電セラミックス素子の積層方向のそれぞれの中心軸を一致させることが必要である。
【0006】
金属ケースに封入した積層型圧電アクチュエータの特徴である高信頼性・高性能について、特に動作方向の高性能化という点では、金属ケース内の積層型圧電セラミックス素子と金属ケースの位置関係が重要な要素となっている。
【0007】
金属ケースと積層型圧電セラミックス素子の位置関係については、例えば特許文献1、特許文献2に開示されている。特許文献1では、不活性体(前述のダミー層に対応)の球面状突部と合致する球面状凹部の金属キャップを形成して、不活性体に平均して荷重が作用するような構成になっている。また、特許文献2では、収納ケース内の圧電素子を容易に調芯する凸状球面の調芯球面部と、この調芯球面部に嵌合する凹状球面の調芯球面受け部を設けた構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−026829号公報
【特許文献2】特開2008−041983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の技術は、積層型圧電セラミックス素子を金属ケースに封入する際、金属ケースの伸縮方向と積層型圧電セラミックス素子の積層方向の中心軸を合わせる機構が無いため位置ずれが起こり、前記位置ずれによって金属ケースにかかる応力に偏りが生じ、変位方向に傾きが生じる欠点があった。これを解消する為には、高価な専用治具を用いて積層型圧電セラミックス素子と金属ケースを高精度に位置決めする必要があり、多大な調整工数が必要であるという課題があった。
【0010】
また、特許文献1で述べられている従来の技術では、不活性体に精度良く球面状突部を加工し、その球面状突部に合致する球面状凹部を有する金属キャップを加工するため、広範囲での高精度な加工が要求され、工数とコストがかるという課題があった。
【0011】
さらに、特許文献2で述べられている従来の技術では、圧電素子が傾いた場合でも調芯可能な構成であるが、金属ケース自体が変位する構成ではないため、金属ケースの他に積層型圧電セラミックス素子の変位や駆動力を取り出す駆動部材や伝達部材が必要であるという課題があった。
【0012】
そこで本発明は、積層型圧電セラミックス素子を封入した金属ケースにかかる変位方向の応力が均等で、変位方向に傾きが生じにくく、さらに作製時の調整工数が少ない高精度な位置決めができ、低コストで作製可能な積層型圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、金属ケースの蓋表面の伸縮方向の中心軸と、積層型圧電セラミックス素子の不活性体であるダミー層端面に積層方向の中心軸を合わせる加工を施すことにより、新たな部材を介することなく前記積層型圧電セラミックス素子の偏心が抑制され、金属ケースの変位方向の傾きを抑制したものである。
【0014】
すなわち、本発明によれば、圧電セラミックス層と内部電極とを交互に複数積層し、その積層方向の両端に圧電セラミックスの不活性体であるダミー層を積層して一体化した多角柱の積層体を構成し、前記圧電セラミックス層を介して互いに隣り合う前記内部電極層が一層置きに等電位となるように電気的に接続されてなる1対の外部電極を形成した積層型圧電セラミックス素子を金属ケースに封入した積層型圧電アクチュエータであって、前記金属ケースの伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子の積層方向の中心軸を一致させるように、前記金属ケースと前記ダミー層に位置決めのための嵌合部を設けて固定することを特徴とする積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0015】
また、本発明によれば、前記嵌合部の積層方向に平行な断面の形状が、一方が半球状の凸部、他方が円錐状の凹部であることを特徴とする上記の積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0016】
また、本発明によれば、前記嵌合部の積層方向に平行な嵌合部面の形状が、十字型であることを特徴とする上記の積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0017】
また、本発明によれば、前記嵌合部の積層方向に平行な断面の形状が、双方が円錐状の凹部であり、前記凹部の内部に接するように球状構造体が配置されたことを特徴とする上記の積層型圧電アクチュエータが得られる。
【0018】
また、本発明によれば、ダミー層と金属ケースの上蓋またはダミー層と金属ケースの下蓋の少なくとも1つ以上で位置決めをして接着すれば良い。
【0019】
また、本発明によれば、金属ケースが金属ケースの伸縮管と金属ケースの下蓋が接続されている構造に適用することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、積層型圧電セラミックス素子のダミー層端面と金属ケース内部の蓋表面に互いの中心軸が合うように凹凸状の加工を施した嵌合部を設けることにより、金属ケースにかかる変位方向の応力が均等で、変位方向に傾きが生じにくい積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【0021】
また、作製時の調整工数が少なく、専用治具を用いずに高精度な位置決めができ、低コストで作製可能な積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を円錐状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を円柱状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を一方が半球状で他方が円錐状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る嵌合部の積層方向に平行な嵌合部面の形状を十字型で構成した積層型圧電アクチュエータである。図4(a)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した積層型圧電セラミックス素子の斜視図、図4(b)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した金属ケース上蓋の平面図、図4(c)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した金属ケース上蓋の斜視図。
【図5】本発明の実施の形態5に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を双方が円錐状の凹部で内部に樹脂製球体を入れて構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【図6】従来の積層型圧電セラミックス素子の斜視図である。
【図7】従来の積層型圧電アクチュエータの斜視図である。
【図8】従来の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。金属ケースに積層圧電セラミックス素子を封入した積層型圧電アクチュエータの基本的な構成は、背景技術に記載した従来例と同じである。 なお、嵌合部は一対に限定されるものではなく製品に要求される特性や設計仕様に応じて複数設けても良い。
【0024】
(実施の形態1)
実施の形態1として、嵌合部が円錐状の凹凸により構成されている場合について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を円錐状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。本実施の形態は、嵌合部10を円錐状の凹凸により構成した積層型圧電アクチュエータ1であり、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3の中心に上蓋凸部11として円錐状の凸部を、積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7の端面中心にダミー層凹部12として円錐状の凹部を備えて構成されている。上蓋凸部11とダミー層凹部12の円錐状の凹凸の形状は、凹と凸が逆であってもよい。また、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3とダミー層7の間に配置したが、金属ケース2の下蓋5とダミー層7の間、または、双方に配置してもよい。嵌合部10を構成する上蓋凸部11とダミー層凹部12の位置を、金属ケース2の伸縮方向と前記積層型圧電セラミックス素子6の積層方向のそれぞれの中心軸を一致させるように位置合わせして接着固定する。
【0025】
積層型圧電セラミックス素子6端面のダミー層凹部12である円錐状の凹部は、上蓋凸部11の円錐状の凸部の大きさに合わせ、ドリルを用いた研削で加工する。この加工は、超音波振動を利用した研削装置やレーザー等の別の研削手段を用いての加工でもよく、また、セラミックスを焼結する前でも後でも良い。ただし、ダミー層凹部12である円錐状の凹部は、上蓋凸部11の円錐状の凸部と嵌合できるようにわずかに大きく加工する。
【0026】
上記の嵌合部10を用いて積層型圧電セラミックス素子6を金属ケース2に封入して積層型圧電アクチュエータ1を作製した結果、組み込み作業だけで金属ケース2の上蓋3と下蓋5の傾きが10μmオーダーとなり、従来作業では数十μm生じていた傾きを大幅に改善することができ、高精度で高価な専用治具を用いたり、多大な調整工数が発生したりするのを省くことができた。
【0027】
(実施の形態2)
実施の形態2として、嵌合部が円柱状の凹凸により構成されている場合について説明する。図2は、本発明の実施の形態2に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を円柱状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。本実施の形態は、嵌合部10を円柱状の凹凸により構成した積層型圧電アクチュエータ1であり、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3の中心に上蓋凸部11として円柱状の凸部を、積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7端面の中心にダミー層凹部12として円柱状の凹部を備えて構成されている。上蓋凸部11とダミー層凹部12の円柱状の凹凸の形状は、凹と凸が逆であってもよい。また、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3とダミー層7の間に配置したが、金属ケース2の下蓋5とダミー層7の間、または、双方に配置してもよい。嵌合部10を構成する上蓋凸部11とダミー層凹部12の位置を、金属ケース2の伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を一致させるように位置合わせして接着固定する。
【0028】
前記積層型圧電セラミックス素子端面のダミー層7に配置された円柱状の凹部の加工方法及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0029】
(実施の形態3)
実施の形態3として、嵌合部が半球状と円錐状の凹凸により構成されている場合について説明する。図3は、本発明の実施の形態3に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を一方が半球状で他方が円錐状の凹凸で構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。本実施の形態は、嵌合部10を半球状と円錐状の凹凸により構成した積層型圧電アクチュエータ1であり、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3の中心に上蓋凸部11として半球状の凸部を、積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7端面の中心にダミー層凹部12として円錐状の凹部を備えて構成されている。上蓋凸部11とダミー層凹部12の半球状と円錐状の凹凸の形状は、凹と凸が逆であってもよい。また、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3とダミー層7の間に配置したが、金属ケース2の下蓋5とダミー層7の間、または、双方に配置してもよい。嵌合部10を構成する上蓋凸部11とダミー層凹部12の位置を、金属ケース2の伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を一致させるように位置合わせして接着固定する。
【0030】
上記の嵌合部10を用いて積層型圧電セラミックス素子6を金属ケース2に封入して積層型圧電アクチュエータ1を作製した結果、実施の形態1、2における金属ケース2の上蓋3と下蓋5の傾き改善効果よりもさらに良い結果が得られた。実施の形態3である凹部が円錐状で凸部が半球状の場合、上蓋3と下蓋5の傾きが10μm以下となった。
【0031】
(実施の形態4)
実施の形態4として、嵌合部が十字型の加工により構成されている場合について説明する。図4は、本発明の実施の形態4に係る嵌合部の積層方向に平行な嵌合部面の形状を十字型で構成した積層型圧電アクチュエータである。図4(a)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した積層型圧電セラミックス素子の斜視図、図4(b)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した金属ケース上蓋の平面図、図4(c)は、嵌合部面の形状を十字型で構成した金属ケース上蓋の斜視図である。本実施の形態は、嵌合部10を金属ケース2の上蓋3の内側に図のように上蓋内側から見て十字型の加工により凹凸に構成した積層型圧電アクチュエータ1であり、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3の中心に上蓋凸部11として十字型の加工による凸部を、積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7端面の中心にダミー層凹部12として図のようにダミー層7の上部に十字型の加工による凹部を備えて構成されている。上蓋凸部11とダミー層凹部12の十字型の加工による凹凸の形状は、凹と凸が逆であってもよい。また、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3とダミー層7の間に配置したが、金属ケース2の下蓋5とダミー層7の間、または、双方に配置してもよい。嵌合部10を構成する上蓋凸部11とダミー層凹部12の位置を、金属ケース2の伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を一致させるように位置合わせして接着固定する。
【0032】
積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7端面の十字型の凹部は、金属ケース2の上蓋3に形成された十字型の凸部の大きさに合わせ、ドリルを用いた研削で加工する。この加工は、超音波振動を利用した研削装置やレーザー、ダイシング等の別の研削手段を用いての加工でも良く、また、セラミックスを焼結する前でも後でも良い。ただし、凹部は凸部よりもわずかに大きく加工する。
【0033】
上記の嵌合部10を用いて積層型圧電セラミックス素子6を金属ケース2に封入して積層型圧電アクチュエータ1を作製した結果、通常の組み込み作業だけで上蓋3と下蓋5の傾きが10μmオーダーとなり、実施の形態1、2と同等の効果が得られた。
【0034】
(実施の形態5)
実施の形態5として、嵌合部が円錐状の凹部の内部に樹脂製球体により構成されている場合について説明する。図5は、本発明の実施の形態5に係る嵌合部の積層方向に平行な断面の形状を双方が円錐状の凹部で内部に樹脂製球体を入れて構成した積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。本実施の形態は、嵌合部10を円錐状の凹部の内部に接するように球状構造体を配置する構成の積層型圧電アクチュエータ1であり、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3の中心に上蓋凸部11として円錐状の凹部を、積層型圧電セラミックス素子6のダミー層7端面の中心にダミー層凹部12として円錐状の凹部を備え、嵌合部10の内部に接するように樹脂性球体13を入れて構成されている。また、嵌合部10は、金属ケース2の上蓋3とダミー層7の間に配置したが、金属ケース2の下蓋5とダミー層7の間、または、双方に配置してもよい。嵌合部10を構成する上蓋凸部11とダミー層凹部12の位置を、金属ケース2の伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子6の積層方向の中心軸を一致させるように位置合わせして接着固定する。
【0035】
上記の嵌合部10を用いて積層型圧電セラミックス素子6を金属ケース2に封入して積層型圧電アクチュエータ1を作製した結果、実施の形態1、2、4と同等の効果が得られた。
【0036】
以上本発明により、積層型圧電セラミックス素子のダミー層端面及び金属ケース内部の蓋表面に互いの中心軸が合うように嵌合部に加工を施したことにより、金属ケースにかかる変位方向の応力が均等で、変位方向に傾きが生じにくい積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 積層型圧電アクチュエータ
2 金属ケース
3 上蓋
4 伸縮管
5 下蓋
6 積層型圧電セラミックス素子
7 ダミー層
8 リード線
9 端子
10 嵌合部
11 上蓋凸部
12 ダミー層凹部
13 樹脂性球体
21 圧電セラミックス層
22 絶縁層
23 内部電極
24 外部電極
25a、25b 変位方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電セラミックス層と内部電極とを交互に複数積層し、その積層方向の両端に圧電セラミックスの不活性体であるダミー層を積層して一体化した多角柱の積層体を構成し、前記圧電セラミックス層を介して互いに隣り合う前記内部電極層が一層置きに等電位となるように電気的に接続されてなる1対の外部電極を形成した積層型圧電セラミックス素子を金属ケースに封入した積層型圧電アクチュエータであって、前記金属ケースの伸縮方向の中心軸と、前記積層型圧電セラミックス素子の積層方向の中心軸を一致させるように、前記金属ケースと前記ダミー層に位置決めのための嵌合部を設けて固定することを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記嵌合部の積層方向に平行な断面の形状が、一方が半球状の凸部、他方が円錐状の凹部であることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記嵌合部の積層方向に平行な嵌合部面の形状が、十字型であることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記嵌合部の積層方向に平行な断面の形状が、双方が円錐状の凹部であり、前記凹部の内部に接するように球状構造体が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174947(P2012−174947A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36579(P2011−36579)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)