説明

積層型多孔質ガラス膜とその製造方法

【課題】膜乳化法において微細粒子を得るための装置でも高圧に限界があり、低圧で容易に微細粒子が得られる膜乳化用の多孔質ガラス膜が必要とされる。
【解決手段】分相法により形成される均一な微細孔を有する多孔質ガラス膜において、2枚以上の多孔質ガラス膜を剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした積層型多孔質ガラス膜であることを特徴とし、異なる微細孔径同士からなる積層型多孔質ガラス膜、また同様に、同じ微細孔径同士からなる積層型多孔質ガラス膜、さらに肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層としてなる積層型多孔質ガラス膜、肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層として、前記スキン層を挟むように両側に密着積層させた異微細孔径からなる3重の積層型多孔質ガラス膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散相液と連続相液からなる液液混合膜乳化法や、気液混合膜バブリング法において膜厚がそのまま透過圧力の膜抵抗となるため、特に微細粒子を生成するために必要な微細孔径の多孔質ガラス膜板の膜厚を肉薄にして、前記肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜板より細孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜板と密着積層させて剥離することなく一体とした多孔質ガラス膜を用いることで、透過圧力低減が可能となり低圧で微細粒子を生成することができる異微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜に関するものであり、また、同微細孔径の多孔質ガラス膜板を同様に剥離することなく数枚密着積層させることにより、多孔質ガラス膜板同士の界面に一方の多孔質ガラス膜微細孔と他方の多孔質ガラス膜骨格で形成される厚みのない極微細間隙により透過物の微細化が可能で、透過圧力の低減が可能となる積層型多孔質ガラス膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特にエマルション調製において微細孔の多孔質ガラス膜に分散相液と連続相液の粗混合液を膜透過法で微細粒子にする場合、数MPaなど高圧の膜透過圧力が必要で、更に乳化装置を高耐圧仕様にする必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1のように、0.94μmの円筒状シラス多孔質ガラス膜に、予備乳化油脂組成物を通過させるために3.00MPaの窒素ガス加圧が必要であり、得られた平均粒子径は0.92μmである。また、多孔質ガラス膜の膜抵抗の大きさを低減させるために、特許文献2または非特許文献1のように、分相法により形成される多孔質ガラス膜において、組成の異なるつまり分相速度の異なる基礎ガラスをそれぞれスキン層及び支持層として溶着し、これを熱処理により分相させることで非対称多孔質ガラス膜が得られるとし、多孔質ガラス膜の高い分画精度と透過性能を発揮できる可能性のある2層構造の多孔質ガラス膜がある。また、特許文献3のように、W/O/Wの微細粒子を生成するために、直接微細な孔径の多孔質膜に透過させると破壊されるために、支持層の孔径約1〜20μmの支持体に、0.004〜0.5μmの超微細なアルミナ粒子を表面に固定化したような支持層と細粒層からなる多孔質膜を用いて、支持層側から細粒層側へ一次(予備)乳化物のW/O/Wエマルションを透過させることによりエマルションを破壊することなく微細粒子を生成することができるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3884242号
【特許文献2】特願2000−355570
【特許文献3】特願2003−194777
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「SPG非対称膜の開発」平成10年度地域産学官共同研究事業研究報告書、SPG技術の医用工学への応用と新規産業の創出part3、平成12年1月、宮崎県工業技術センター、p.1〜6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、膜乳化法において特許文献1では、微細粒子を得るためのこれらの装置でも高圧に限界もあると考えられ、低圧で容易に微細粒子が得られる膜乳化用の多孔質ガラス膜が必要とされる。そこで、特許文献2、あるいは非特許文献1においては透過圧力の低減など非対称多孔質ガラス膜を得るために基礎ガラス成形時にガラス組成の異なる原料を必要としているが、積層基礎ガラス成形そのものの困難さや煩わしさ、また分相速度の異なる組成同士の溶着界面部に互いの分相により形成されると思われる隔壁が生じてしまい、連続的な細孔が貫通しない例も記述されており品質に問題があると考えられ、さらに少量多品種には積層基礎ガラス成形は、非常に煩わしい。また、特許文献3においては、多孔質膜として使用される焼結法で得られるセラミック膜は、本発明における分相法で得られる積層型多孔質ガラス膜ほどの均一細孔径は期待できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記従来の課題を鑑みて鋭意研究を重ねた結果、本発明の積層型多孔質ガラス膜は、分相法により形成される均一な微細孔を有する多孔質ガラス膜において、2枚以上の多孔質ガラス膜を剥離することなく、また細孔を潰すことなく熱融着により密着積層させて一体とした積層型多孔質ガラス膜であることを特徴とし、分相法により形成される均一な微細孔を有し、異なる微細孔径の多孔質ガラス膜を剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした異微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜であること、また同様に、同じ微細孔径の多孔質ガラス膜を剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした同微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜であることを特徴とする。さらに本発明は、肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径の多孔質ガラス膜より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層として剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした異微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜であることを特徴とし、肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径の多孔質ガラス膜より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層として、前記スキン層を挟むように両側に剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした異微細孔径からなる3重の積層型多孔質ガラス膜であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、多孔質ガラス膜を用いて微細粒子を生成する膜透過法において、微細粒子を生成するために数MPaなど超高圧の透過圧力が必要であった点に着目したものであり、高耐圧仕様の膜透過装置は不要になるばかりでなく、低圧で透過することができることと、さらに透過量が増加することも期待できる。
【0009】
また、低圧で例えばサブミクロンの微細粒子を生成することができれば、多孔質ガラス膜ディスクで区画された2つの室の間を、分散相又は連続相あるいは分散相と連続相が予め混合された混合物をシリンジを用いて掌中で交互に往復移動させることにより徐々に均一に分散させることのできるハンディタイプのポンピング式膜乳化デバイスで、容易にサブミクロンの微細粒子を生成することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明するが、本発明が、以下の例示及び説明の内容により何ら限定されるものではないことは言うまでもない。
【0011】
図1は、本発明に係る異微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜板を模式的に示す断面図であり、図1(a)は、微細孔径を有する肉薄の多孔質ガラス膜板をスキン層として、より大きい孔径を有する肉厚の多孔質ガラス膜板を支持層として密着積層されている。特に図1(b)は、微細孔径を有する肉薄の多孔質ガラス膜板をスキン層として、このスキン層をより大きい細孔径を有する肉厚の多孔質ガラス膜板を支持層として両側から挟むように密着積層されており、図1(c)は前記(b)のスキン層と支持層の間に、スキン層の微細孔径と支持層の細孔径の間に値する細孔径の多孔質ガラス膜板を挟んだ3層の積層型多孔質ガラス膜である。図2は、同じ微細孔径からなる積層型多孔質ガラス膜板を模式的に示す断面図であり、図2(a)は、2枚積層型で、図2(b)は4枚積層型の多孔質ガラス膜である。また図2(c)は図2(a)の多孔質ガラス膜板同士が密着している界面Aを拡大し、一方の多孔質ガラス膜の微細孔と他方の多孔質ガラス膜骨格から形成される厚みのない極微細間隙を模式的に示す断面図である。図2(d)は、同様図2(b)の各多孔質ガラス膜板を積層した界面のそれぞれ極微細間隙を模式的に示した断面図である。図3は、ハンディタイプのデバイス8を用いたポンピング式膜乳化であり、シリンジを用いることにより掌中で交互に繰り返し往復移動させることにより徐々にエマルション微細粒子を均一に分散させることのできる装置の使用例を示した模式図である。図4は、従来多孔質ガラス膜と本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径比較、図5は、図4に示す従来多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径の粒度分布、図6は、図4に示す本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径の粒度分布、図7は、従来多孔質ガラス膜と本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径比較を示す。
【実施例】
【0012】
表1に、本発明に係る積層型多孔質ガラス膜の実験例を示す。また、それぞれ層の多孔質ガラス膜板の肉厚は、支持層部が、約0.5mmで、スキン層部が約0.2mmである。ここで、実験例1は、図1(a)の積層型多孔質ガラス膜で、実験例2乃至3は、図1(b)の積層型多孔質ガラス膜である。これらはそれぞれ分相法で作製された多孔質ガラス膜そのものを密着積層したもので、細孔を埋まらせるようなバインダーなる接着剤で密着積層したり、容易に各層がはがれるような単に重ねただけでなく、本発明に係る多孔質ガラス膜板の積層は、細孔が潰れない程度の300〜800℃の加熱と加熱時間条件の熱融着プレスにより強固に密着されている。
【表1】

【0013】
表2に、本発明に係る積層型多孔質ガラス膜の実験例を示す。それぞれの層の多孔質ガラス膜板の肉厚は、約0.3mmである。
【表2】

【0014】
以下に本発明に係る表1、表2の積層型多孔質ガラス膜を用いて、従来の多孔質ガラス膜との透過圧力や透過速度、膜乳化により生成される粒子径を比較例とともに実験例として示す。尚、従来多孔質ガラス膜の肉厚は約0.6乃至0.8mmである。また以下実験例で使用した乳化混合液は水中油型エマルション(o/wエマルション)として、分散相液に大豆油、連続相液には0.5%HCO−60(ポリオキシエチレン硬化ひまし油60:日光ケミカルズ株式会社製)水溶液を用いた。
【0015】
(実験例5)
図4に、本発明に係る実験例1の積層型多孔質ガラス膜(スキン層:細孔径1.1μm、支持層:細孔径19.8μm)と、比較例として従来多孔質ガラス膜細孔径3μmと5μmで、図3に示すデバイス8によりポンピング膜乳化を実施した。これら3種類の多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化において、膜透過を1回透過(n1)、5回透過(n5)、20回透過(n20)、40回透過(n40)したときのエマルション粒子径の変化状態を図4に示す。(本発明積層型多孔質ガラス膜図4標記「pc1+20」、従来多孔質ガラス膜3μm図4標記「pc3」、従来多孔質ガラス膜5μm図4標記「pc5」)
【0016】
ここで、当該ポンピング膜乳化は、限界はあるが膜透過回数を繰り返す程粒子径が小さくなる傾向にある。尚、掌中でポンピング膜乳化可能な多孔質ガラス膜の細孔径は、透過圧力上小さくて3μm程度が限界で、これにより生成されるエマルション粒子径は、図4に示すとおり40回透過でようやく1.148μmの微細粒子となるが、実験例1の本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径は、膜透過1回(n1)ですでに0.933μm粒子を生成することができており、さらに膜透過5回(n5)では、0.405μm粒子を生成することができた。これら3通りのポンピング膜乳化による粒子径分布をそれぞれ図5、図6に示す。(従来多孔質ガラス膜3μm図5分布No.1「pc3=n20」とNo.2「pc3=n40」、従来多孔質ガラス膜5μm図5分布No.3「pc5=n20」とNo.4「pc5=n40」、本発明積層型多孔質ガラス膜図6分布No.1「pc1+20=n1」とNo.2「pc1+20=n5」)
【0017】
(実験例6)
図7に、本発明に係る実験例2の積層型多孔質ガラス膜(スキン層:細孔径1.8μm、両側支持層:細孔径19.8μm)を用いて、実験例5同様図3に示すデバイス8によりポンピング膜乳化を実施した粒子径分布を示す。当実験例においても、膜透過5回(図7分布No.1「pc20+1.8+20=n5」)で粒子モード径0.499μmを生成することができており、さらに膜透過20回(図7分布No.2「pc20+1.8+20=n20」)で粒子モード径0.329μmを掌中ポンピング膜乳化で生成することができた。
【0018】
(実験例7)
次に、本発明に係る実施例3の積層型多孔質ガラス膜(スキン層:細孔径1.1μm、両側支持層:細孔径4.9μm)と従来多孔質ガラス膜(細孔径1.1μm)の比較として、図8に示す透過膜乳化装置を用いて、透過圧力と透過速度を図9に示し、さらにこのとき生成されるエマルション粒子径分布を図10に示す。尚それぞれの多孔質ガラス膜は、図8中の膜乳化デバイス19に搭載される。ここで、図8の透過膜乳化装置について、多孔質ガラス膜に透過させる水、あるいは分散相液と連続相液の混合液などは、予めタンク15に投入されており、多孔質ガラス膜を搭載した膜乳化デバイス19を接続した状態で、ガス加圧13を加えることによりビーカー20内に膜透過した液体が回収される。このときビーカー20を電子天秤21上に構えることにより、時間経過とともに該透過圧力時の透過量を計測することができるものである。さらにタンク内に膜透過前の分散相液と連続相液の粗混合液16とするために、タンク15下にスターラー18を構えてタンク内を回転子17により攪拌しながら膜透過することで、分散相液と連続相液の比重差による分離を防ぎ、膜透過液の分散相液と連続相液の配分比を一定に保つことができる。
【0019】
図9に示したように、実験例3の多孔質ガラス膜(スキン層:細孔径1.1μm、両側支持層:細孔径4.9μm)に水をガス加圧0.4MPaで透過した場合、99.82cc/min/cm2(図9中「pc5+1+5水」)で、比較例の従来多孔質ガラス膜(細孔径1.1μm)に水をガス加圧0.4MPaで透過した場合、40.95cc/min/cm2(図9中「P1水」)という透過速度となり、本発明に係る実験例3の積層型多孔質ガラス膜は従来多孔質ガラス膜に対し2.4倍近い透過量が得られる結果となった。さらに、同様膜透過液として、分散相液と連続相液の混合物を透過した場合、ガス加圧0.6MPaにおいては、実験例3の積層型多孔質ガラス膜の場合、23.43cc/min/cm2(図9中「pc5+1+5ow」)で、比較例の従来多孔質ガラス膜の場合、3.27cc/min/cm2(図9中「P1ow」)という結果が得られた。水を透過した場合透過倍率約2.4倍と、粗混合o/wエマルションを透過した場合の透過倍率約7.2倍が異なるのは、多孔質ガラス膜が親水性であることと、微細孔に透過させる液体が例えばエマルションのように難透過液であるほど、肉薄のスキン層を有する本発明の積層型多孔質ガラス膜の効果が顕著に現れることが示唆される。
【0020】
図10に、粗混合o/wエマルションを透過して得られた粒子径分布を示す。ここで本発明に係る積層型多孔質ガラス透過膜乳化分布No.1「pc5+1+5=p060」と、従来多孔質ガラス透過膜乳化分布No.2「P1=p060」の平均粒子径はそれぞれ1.057μmと0.917μmとほぼ同等の微細粒子を得ることができた。
【0021】
(実験例8)
実験例4の積層型多孔質ガラス膜を用いて図3に示すデバイス8によりポンピング膜乳化を実施し、得られたエマルション粒子径分布を図11に示す。ここで、本来図4乃至図5に示すように例えば従来の多孔質ガラス膜細孔径5μmであれば同様図3のポンピング膜乳化透過回数を40回としても粒子径は1.742μmであるが、当実験例によると、図11、または表3のエマルション粒子径に示すとおり、膜透過1回で1.155μmの微細粒子が得ることができた。更に膜透過20回となると微細粒子径は0.435μmとなった。以上より、分相法により形成される多孔質ガラス膜は、均一な細孔径を有する共に、均一な骨格も有することから、同じ微細孔径を有する多孔質ガラス膜板同士を密着積層させた場合、両者密着する界面で均一な極めて微細な間隙が形成されると考えられ、当該極微細間隙を透過する過程で微細粒子が生成されるものと考えられる。また当該極微細間隙は、界面上で形成されるものであり微細孔膜のように一定の厚みを有することがなく、つまり膜透過において膜の厚みが透過抵抗となるが、本発明に係る当実験例とおり従来多孔質ガラス膜孔径5μm程度の膜透過抵抗と積層させた分の厚み透過抵抗程度のみで、サブミクロン域の超微細粒子を掌中で得ることができた。
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0022】
従来、例えばサブミクロンなど微細粒子の乳化製剤を生成する場合、高圧ホモジナイザーなどでは、一般的高価な薬液原料が大量に必要で、無駄な残薬が発生すると考えられ、さらに対象となる乳化製剤の組成がオーダーメイドで頻繁な調製においてはこのような機械装置では非常に煩わしい。また、サブミクロンなど超微細粒子の生成には、このように高圧ホモジナイザーを用いて生成されることが一般的であり、さらに高温など過酷雰囲気下においては高圧高温条件というところにおいて安全面で非常に不安がある。そこで本発明は、例えばデバイス8のような形態にすることで、滅菌済みのディスポーザブルデバイスとして無菌的にエマルションを調製することが可能で、特にサブミクロンの微細粒子乳化製剤を少量調製するのに、掌中で非常に簡単に生成することが可能であり、少量で多数の組成配合の乳化製剤を生成する場合、非常に扱いやすく短時間で生成することが可能である。また、所望の微細粒子の乳化組成が高粘度物で、300℃など高温雰囲気の超高圧条件のような過酷な状況で膜乳化する必要がある場合、例えば膜乳化デバイス19などで本発明による積層型多孔質ガラス膜を用いることにより高温の雰囲気においても低圧でより安全に微細粒子を生成することが可能で、単位時間当たりの乳化処理量も増やすことができる。つまり、生産コストを低減することが可能で、利益の確保、若しくは販売単価を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る異微細孔径からなる積層パターンを模式的に示す多孔質ガラス膜板の断面図である。
【図2】本発明に係る同微細孔径からなる積層パターンを模式的に示す多孔質ガラス膜板の断面図である。
【図3】多孔質ガラス膜を搭載したハンディタイプのポンピング式膜乳化デバイスである。
【図4】従来多孔質ガラス膜と本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径比較である。
【図5】図4に示す従来多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径の粒度分布である。
【図6】図4に示す本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径の粒度分布である。
【図7】本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径比較である。
【図8】本発明に係る多孔質ガラス透過膜乳化実験装置の概略図である。
【図9】図8の装置を用いた従来多孔質ガラス膜と本発明に係る積層型多孔質ガラス膜の透過圧力と透過速度の比較である。
【図10】図9に係るエマルション粒子径分布比較である。
【図11】本発明に係る積層型多孔質ガラス膜によるポンピング膜乳化粒子径の粒度分布である。
【符号の説明】
【0024】
1 微細孔径を有する多孔質ガラス膜
2 1より孔径の大きい微細孔径を有する多孔質ガラス膜
3 1と2の細孔径の間に値する細孔径を有する多孔質ガラス膜
4 多孔質ガラス細孔
5 微細間隙
6 多孔質ガラス骨格
7 多孔質ガラス膜
8 ポンピング式膜乳化デバイス
9 シリンジ
10 連続相液
11 分散相液
12 微細粒子
13 ガス加圧
14 圧力計
15 混合液タンク
16 分散相と連続相の粗混合液
17 回転子
18 スターラー
19 膜乳化デバイス
20 ビーカー
21 電子天秤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分相法により形成される均一な微細孔を有する多孔質ガラス膜において、2枚以上の多孔質ガラス膜を剥離することなく熱融着により密着積層させて一体とした積層型多孔質ガラス膜の製造方法。
【請求項2】
分相法により形成される均一な微細孔を有する多孔質ガラス膜において、異なる微細孔径の多孔質ガラス膜を剥離することなく密着積層させて一体とした異微細孔径からなる請求項1記載の積層型多孔質ガラス膜。
【請求項3】
分相法により形成される均一な微細孔を有する多孔質ガラス膜において、同じ微細孔径の多孔質ガラス膜を剥離することなく密着積層させて一体とした同微細孔径からなる請求項1記載の積層型多孔質ガラス膜。
【請求項4】
肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径の多孔質ガラス膜より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層として剥離することなく密着積層させて一体とした異微細孔径からなる請求項1乃至2記載の積層型多孔質ガラス膜。
【請求項5】
肉薄の微細孔径の多孔質ガラス膜をスキン層とし、前記微細孔径の多孔質ガラス膜より孔径が大きく肉厚の多孔質ガラス膜を支持層として、前記スキン層を挟むように前記支持層を両側に剥離することなく密着積層させて一体とした異微細孔径からなる請求項1乃至2記載の積層型多孔質ガラス膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−246334(P2011−246334A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136570(P2010−136570)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(597011566)エス・ピー・ジーテクノ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】