説明

積層造形装置の積層データ作成方法

【課題】本発明は、意匠面の観点から積層造形物の段差を削っても3次元積層データの外形と合致させるための3次元積層データの作成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の積層造形物を造形する積層造形装置の3次元積層データの作成方法は、立体モデルデータを作成する立体モデルデータ作成ステップと、STLデータに変換するSTLデータ変換ステップと、積層ピッチ毎にスライスデータを作成するスライスデータ作成ステップと、段差削りの要否を判定する判定ステップと、スライスデータを再作成するスライスデータ再作成ステップと、サポートデータを付加するサポートデータ付加ステップとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化樹脂にレーザ光を照射して立体造形品を形成する積層造形装置に関し、特に3次元の積層データ作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元モデルを造形する光造形方法は、輪郭部の外周部のみを描画して硬化させた層を1層又は複数層形成する第1の処理と、当該形成された層の上にサポート部と輪郭部の内部と輪郭部の外周部とを描画して硬化させた層を1層形成する第2の処理を繰り返して積層すると共に、サポート部と輪郭部の内部の描画時には、第1の処理で描画された輪郭部の外周部の深さまで樹脂を硬化させる強度を持つ光で描画を行う光造形方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術で製作した積層造形物は、積層方向から見て、角度を有する面やゆるやかな曲面部分に段差があり、意匠面の観点からその段差を削ると積層造形物の輪郭が変わり、3次元積層データの外形より小さくなると云う問題点がある。
本発明は、意匠面の観点から積層造形物の段差を削っても3次元積層データの外形と合致させるための3次元積層データの作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の積層造形物を造形する積層造形装置の3次元積層データの作成方法は、立体モデルデータを作成する立体モデルデータ作成ステップと、STLデータに変換するSTLデータ変換ステップと、積層ピッチ毎にスライスデータを作成するスライスデータ作成ステップと、段差削りの要否を判定する判定ステップと、スライスデータを再作成するスライスデータ再作成ステップと、サポートデータを付加するサポートデータ付加ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、意匠面の観点から積層造形物の段差を削っても3次元積層データの外形と合致させるための3次元積層データの作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一般的な光造形装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例である3次元積層データを作成するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例である3次元積層データを作成するための手順を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施の形態に係る積層造形装置の概略構成について図1を用いて説明する。図1に示す積層造形装置は、UVレーザ部1と、スキャナミラー部2と、テーブル3と、エレベータ装置部4と、リコータ5と、タンク6と、光硬化性樹脂7と、制御部8と、記憶部9から構成している光造形装置である。
【0009】
UVレーザ部1は、紫外線レーザ等のUVレーザ光11を出力する。
スキャナミラー部2は、等高線データに基づいてUVレーザ光11が所定のパターンを走査するよう、UVレーザ光11の方向を制御する。
テーブル3は、タンク6内に設けられ、立体造形物を作製する台である。
エレベータ装置部4は、テーブル3の昇降を制御する。
リコータ5は、光硬化性樹脂液面を平行に移動することで、液面の静定や、泡の除去を行なう。光硬化性樹脂7は、光造形による立体造形物の材料である。
タンク6は、光硬化性樹脂7の容器である。
制御部8は、光造形装置全体の制御を行う。
記憶部9は、制御部8を動作させるためのソフトウェア、造形モデルの3次元データ、積層データ、設定値等を記憶する。
立体造形物10は、光造形装置によって造形された物である。
【0010】
次に本発明の一実施例の詳細について図2〜図3を用いて説明する。
図2は、本発明の一実施例である3次元積層データを作成するためのフローチャートである。図3は、本発明の一実施例である3次元積層データを作成するための手順を説明するための図である。
【0011】
本発明の一実施例である3次元積層データは、図2の開始からデータ作成を開始する。
ステップS1は、3次元CAD(Computer Aided Design)で立体モデルを作成するステップである。
【0012】
ステップS2は、立体モデルを汎用的な3次元データであるSTL(Standard
Template Library)データに変換するステップである。図3(A)が3次元データの概略を図示したものである。
【0013】
ステップS3は、STLデータを水平方向に輪切りにしたスライスデータ(積層データ)を作成するステップである。図3(B)がスライスデータの概略を図示したものである。(a)〜(e)は、長さを示している。
【0014】
ステップS4は、立体造形物10に対して段差削りが必要な立体モデルかの要否を判定する判定ステップである。ステップS4の判定において、段差削りが不要な立体モデルの場合は、判定が「NO」となり、ステップS6の処理に進む。ステップS4の判定において、段差削りが必要な立体モデルの場合は、判定が「YES」となり、ステップS5の処理に進む。
【0015】
ステップS5は、スライスデータを再作成するステップである。詳細は後述する。
【0016】
ステップS6は、サポート部を追加するためにサポートデータを付加するためのステップである。立体造形物10は造形する際にサポート部が必要な場合があり、この場合は、サポートデータを付加する。
【0017】
次に、ステップS5のスライスデータを再作成するための手順について、図3を用いて説明する。
【0018】
最初に、図3(B)のスライスデータから図3(C)の連続する層の差分を計算で求める。2番目の層は、最上層の長さ(a)に対して差分が(b)αとなる。3番目の層は、2番目の層の長さ(b)に対して差分が(c)αとなる。4番目の層は、3番目の層の長さ(c)に対して差分が(d)αとなる。
【0019】
次に、図3(D)を用いて新スライスデータについて説明する。
最上層のスライスデータの長さは、(a)+(b)αとする。
2番目の層のスライスデータの長さは、(b)+(c)αとする。
3番目の層のスライスデータの長さは、(c)+(d)αとする。
4番目の層のスライスデータの長さは、変更なく(d)である。
5番目の層のスライスデータの長さは、変更なく(e)である。
このような手順で、スライスデータを再作成する。
【0020】
図3(E)は、図2のステップS5で再作成した新スライスデータを用いて図1の積層造形装置で造形した造形モデルである。
図3(E)の点線部分を段差削りすると、図3(F)の段差削り後の造形モデルを作製することができる。
【0021】
図3(A)3次元データと、図3(F)の段差削り後の造形モデルを比較しても形状が一致している。即ち、従来技術の課題であった意匠面の観点から造形モデルの段差を削っても3次元積層データの外形より小さくなると云う問題点は解決している。
【0022】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された光造形装置に限定されるものではなく、上記以外の積層造形装置に広く適用することができることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0023】
1:UVレーザ部、2:スキャンミラー部、3:テーブル、4:エレベータ装置部、5:リコータ、6:タンク、7:光硬化性樹脂、8:制御部、9:記憶部、10立体造形物、11:UVレーザ光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形物を造形する積層造形装置の3次元積層データの作成方法であって、
立体モデルデータを作成する立体モデルデータ作成ステップと、STLデータに変換するSTLデータ変換ステップと、積層ピッチ毎にスライスデータを作成するスライスデータ作成ステップと、段差削りの要否を判定する判定ステップと、スライスデータを再作成するスライスデータ再作成ステップと、サポートデータを付加するサポートデータ付加ステップとを有することを特徴とする積層造形装置の3次元積層データ作成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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