説明

積荷を不均一に加速するコンベヤ及び方法

コンベヤ、及び、横方向に隣り合って搬送される積荷を異なる距離に亘って加速するコンベヤを操作する方法に関する。コンベヤ(10)は、コンベヤベルト(12)中のローラ(16)上に搬送面を提供する。ベルトローラ(16)は、搬送路のベルト(12)の下側の座面(30)に乗り上げる。ベルト(12)が前進すると、座面(30)に乗り上げたローラ(16)が回転方向(15)に回転して、回転方向(15)において搬送される積荷をベルト(12)に沿って加速する。座面(30)、ベルトの搬送方向における長さ(d、d)がコンベヤ(10)の幅に沿って変化するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的に動力駆動式コンベヤに関し、より具体的には、ローラとベルトの下側の座面の係合を回転させてベルトの進行方向においてローラの上の積荷を回転及び推進するように配置した積荷加速ローラを有するベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
デパレタイズコンベヤは、コンパクトにまとめて隙間無く詰めた箱等の積荷でできたパレット層を崩して、パレット層から外れた積荷を下流側に一列縦隊で搬送するのに使用される。通常は、パレットを形成している積荷は、とりわけ積荷が同じ形状でない、あるいは同じ方向を向いていない場合は、長さと幅が異なる行列におおまかに配置される。幾つかのデパレタイザは、パレット積みされた積荷を、一列づつ、すぐ上流のまたは下流のコンベヤの速度とは異なる速度で稼働しているフラットトップ型チェーンの平行ストランドの上で受け取って作業を行う。各ストランドは、速度を変えて動かしたり、平行ストランドの入口端部と出口端部をずらすことによって各々の長さが異なるようにすることもできる。デパレタイザの幅方向に亘って載置された積荷を、速度を変えて、あるいは、間隔を変えて速度を上げ下げして、搬送することによって、チェーンのストランドが、パレット層列から外れた積荷を散開させて分ける。しかし、互い違いになったチェーンや、異なる速度で稼働するチェーンは、より多くのシャフトや別途の駆動部品を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
このような欠点は、その他の欠点と同様に、本発明の特徴を具現化したコンベヤによって克服することができる。このコンベヤは、ベルトの進行方向において上流から下流へ進む少なくとも1本のコンベヤベルトを備えている。このベルトは、ベルトを厚さ方向に貫通するローラを具える。これらのローラは、回転方向においてローラ上を搬送される積荷を加速するように、回転方向において回転するよう配置されている。少なくとも一の座面がベルトの下に位置しており、これがベルトの進行方向に延びるトラックとなって、ベルトが前進するとこのトラックに沿ってローラが回転する。この座面は、上流側の端部と下流側の端部との間でコンベヤの幅方向に亘って広がる加速ゾーンを規定している。ローラ上を搬送される積荷は、この加速ゾーンにおいてトラックに沿って回転するローラの回転によって、回転方向によってベルトに沿って加速される。ベルトの進行方向における加速ゾーンの上流側端部と下流側端部との間の距離は、コンベヤの幅方向において変化する。
【0004】
本発明の特徴を具現化している別バージョンのコンベヤも、ベルトの厚みを貫通するローラを有するコンベヤベルトを具える。これらのローラは、ベルトの進行方向に直交する軸を中心に回転するように構成されている。ベルトの下側の少なくとも一の座面は、コンベヤの一部に沿ってベルト進行方向に延びるトラックを形成しており、ローラがこの座面上でトラックに沿って回転する積荷加速ゾーンを規定している。ベルト進行方向におけるこのゾーンの長さは、コンベヤの幅方向において変化する。コンベヤの幅方向において様々な場所にある積荷は、コンベヤベルトが前進すると、異なる距離に亘って加速される。
【0005】
本発明の別の態様によると、コンベヤの操作方法は、(a)搬送方向において積荷を支持するローラを有するコンベヤを前進させるステップと、(b)コンベヤが前進すると、コンベヤの幅方向の様々な位置において、ローラの回転方向にローラを異なる距離で回転させるステップ、とを具える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のこれら特徴と態様、並びに利点は、以下の詳細な説明と、別途記された特許請求の範囲、および添付の図面を参照することによって、より良く理解される。
【図1】図1は、本発明の特徴を具現化しているコンベヤの一部を、部分的にカットした斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すコンベヤの一部を示す側面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示すコンベヤの平面図であり、積荷を横送りセンタリングコンベヤに送り出すデパレタイズ用途に用いた状態を示す。
【図4】図4は、図1および図2に示すコンベヤの平面図であり、積荷をインラインのセンタリングコンベヤに送り出すデパレタイズ用途に用いた状態を示す。
【図5】図5A乃至図5Eは、図1に示すコンベヤに使用できるその他の座面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明が持つ特徴を具現化したコンベヤを図1および図2に示す。コンベヤ10は、ベルト進行方向14を進むエンドレスコンベヤベルト12を具える。コンベヤベルトは、全体として行と列に配置された複数のローラ16を有する。ベルトは、シャフトの上に装着したスプロケット、駆動ドラムあるいはプーリなど、回転するベルトに係合する駆動エレメント20に連結されたモータ18によって駆動される。積荷22は、ベルトの上側キャリーウェイ部分24に沿って、ローラの上に支持されている。ベルトは、コンベヤ下流側端部の駆動エレメント20と、コンベヤ上流側端部の回転可能な従動エレメント21との周りに架けられている。このベルトは、駆動エレメントから従動エレメントに向けて、下側のリターンウェイ25に続いている。
【0008】
ベルトローラ16は一般的に、円筒形であることが好ましく、ベルトの進行方向に直交する軸線27を規定するアクスル26を受ける中心ボアを有する。ローラの直径Dは、ベルトの厚さTを超えている。これらのローラのはみ出し部分は、ベルトのキャビティから、ベルト内側および外側面28および29を通り過ぎて突出ている。このようなローラベルトの一例は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ハラハンのイントラロクス合同会社が製造販売するモジュラー型プラスティック製コンベヤベルトであり、商標「Angled Roller」4000番シリーズがある。ローラベルトのその他の具体例には、ローラ付きフラットベルトや、ローラを装着して回転するアクスルの反対側端部を支持する、パラレル・ローラチェーンを伴うフラットベルトがある。キャリーウェイ24の一部に沿って、ベルトの下に座面30がある。摩耗ストリップ31は、ベルトの内側面28に沿ってローラの列とキャリーウェイのこれらのローラがある部分との間において、座面から離してベルトを支持している。ローラは、座面に沿って動いている。ローラは列をなして配置されているので、各列は、ベルト進行方向に延びるローラ経路あるいはトラック23を形成している座面の一部に沿って回転する。座面は、各ローラ列毎に一本、複数の平行なトラックを提供している。ベルトがキャリーウェイに沿って前進するので、ローラが座面に当接すると、上から見てベルトの進行方向に平行な回転方向15にローラを回転させる。ローラ上の積荷22は、座面上あるいは搬送される積荷の底をローラがどれだけ滑るかによるが、最大ベルトの速度の二倍の速度で、ベルトの進行方向に、ベルトの表面に沿って加速される。キャリーウェイに沿ってベルトローラが座面と当接する領域は、コンベヤの積荷加速ゾーンとして規定される。なぜならば、このゾーンにおいて、ローラ上の積荷が前方に加速されるからである。
【0009】
図1に示す座面30は、平面図で見るとほぼ台形の投影形状を有する。この実施例では、座面の上流側端部32はコンベヤの幅方向に直線的に変化している。この上流側端部は、端面にテーパもしくはスロープが選択的に設けられており、ローラが徐々に座面に乗り上げるようになっており、引っ掛からないようにしている。座面の下流側端部33は、ベルトの進行方向に直交している。この結果、コンベヤの第一の側部34における上流側端部と下流側端部間の距離dは、反対側の第二の側部35における距離dより長い。コンベヤの第一の側部34におけるベルトローラは、第二の側部35におけるローラより長い区間に亘って動く。このようにコンベヤの第一の側部の積荷は、ローラによってその回転方向に第二の側部の積荷よりも長い距離を推進される。
【0010】
図1および図2に示すコンベヤの一応用例を図3に示す。コンベヤ10は、パレット層38を前方に移送する給送コンベヤ36と、この給送コンベヤ36とデパレタイズコンベヤ10に直交する方向14のセンタリングコンベヤ40との間に挟まれて設置されている。(給送コンベヤを軽くゆすって、連続列のパレット層の配送間に僅かな時間差を持たせる。)一行の積荷42がデパレタイズコンベヤ10に達すると、この行の積荷は給送コンベヤから取り出されて、ベルト12上のローラに乗る。なぜならば、デパレタイズコンベヤの給送端44ではローラが積荷加速ゾーン46の外側にあるので、ベルトが前進するだけでローラは回転しない。積荷が加速ゾーンの上流側端部32に達すると、回転しているローラの上で前方に推進される。角度が付いた座面上流側端部が、第二サイド35側のローラよりも更に上流側の地点でコンベヤの第一サイド34側のローラを回転させる。この時差式の回転開始によって、コンベヤの第一サイド側の積荷が、第二サイド側の積荷よりも早く加速する。この行の積荷は、デパレタイズコンベヤに沿って進む程に扇形に広がり、第一サイド側に近い積荷が第二サイド側に向かう前にベルト下流側端部へ出て行く。センタリングコンベヤは、扇型に広がった積荷を受けて、積荷がデパレタイズコンベヤの第一サイド側を通過して一列縦隊で搬送されるときに、これらの積荷を中央に寄せて行く。センタリングコンベヤは、矢印47、47’で示す方向に積荷を押すように配設されたローラコンベヤ又はローラ付きのベルトコンベヤとして実現される。
【0011】
もう一つのデパレタイズの応用例を図4に示す。この応用例は、センタリングコンベヤ40がデパレタイズコンベヤ10と一致しており、加速ゾーン50の上流側端部48がシェブロン型であり、コンベヤの中心線近くの積荷を両サイドの積荷よりも早くに加速させる点で、図3のものと異なる。このバージョンでは、2本のローラベルト52、53を並べて配置して、デパレタイズコンベヤを形成している。
【0012】
図1のコンベヤで使用することができるその他の座面は、図5Aから図5Eに例示されている。図5Aの座面は、段差のある上流側端部54を有する受け部の上に形成されており、図の右側部に沿ってより長く加速が広がるようにしている。図5Bの座面は、上流側端部56がアーチ形状であり、幾分異なった加速プロフィールとなっている。図5Cの座面は、上流側端部58がベルトの進行方向に対して直交しており、下流側の端部59は進行方向に対して角度がついている。他のバージョンの座面と同様に、このバージョンも右サイドにそってより長い加速の広がりを提供している。図5Dでは、個々の摩耗ストリップ60が、ベルトのローラの列と整列した並行レーンに配置されており、コンベヤの幅方向に長さが異なるようにして、ローラの座面を提供している。図5Eの座面は、角度のついた上流側及び下流側端部62、63を有しており、その他のバージョンの座面と同様の加速効果を提供している。
【0013】
幾つかの好ましいバージョンについて本発明を詳細に説明したが、その他のバージョンも可能である。例えば、図1から図4に示すローラは、全方向回転が可能であるが、下側の座面によってベルトの進行方向に回転する、ローラボールであってもよい。別の実施例として、コンベヤの幅方向にわたって長さの異なる積荷加速ゾーンを有するコンベヤを、例えば密度の高い積荷の流れを元に戻すといった、デパレタイズ用途以外の用途に用いることもできる。例えばベルトの進行方向に対して斜めになったあるいは並行な軸を中心に回転するように配置したローラが付いたベルトを用いる場合、積荷の加速方向は、ベルトの進行方向に対して斜めあるいは直交するようにしてもよい。すなわち、これら幾つかの例が示唆するように、特許請求の範囲は、本発明を説明するために用いたこれらの例示的なバージョンに限定されるものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤにおいて:
進行方向において上流から下流に進む少なくとも1本のコンベヤベルトであって、ベルトの厚さを通って延在する複数のローラを具え、回転方向において前記ローラ上を搬送される積荷を加速するように回転方向に回転するように配置された少なくとも1本のコンベヤベルトと;
前記少なくとも1本のコンベヤベルトの下側にあり、前記ベルトの進行方向に延びるトラックを提供し、前記ベルトが前進するときに前記ローラが前記進行方向に沿って回転して、上流側端部と下流側端部間で、前記コンベヤの幅にわたって延在する加速ゾーンを規定する少なくとも一の座面であって、前記加速ゾーン内で、ローラ上を搬送される積荷が、前記トラックに沿って回転するローラの回転によって前記回転方向において前記ベルトに沿って加速される、座面と;を具え、
前記ベルトの進行方向における前記加速ゾーンの上流側端部及び下流側端部間の距離が、前記コンベヤの幅に亘って変化することを特徴とするコンベヤ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベヤにおいて、前記回転方向が、前記ベルトの進行方向に並行であることを特徴とするコンベヤ。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベヤにおいて、前記加速ゾーンの上流側端部と下流側端部間の前記ベルトの進行方向における距離が、コンベヤの幅方向において直線的に変化していることを特徴とするコンベヤ。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベヤにおいて、前記加速ゾーンの上流側端部が、コンベヤの幅方向において直線的に変化していることを特徴とするコンベヤ。
【請求項5】
請求項1に記載のコンベヤにおいて、前記加速ゾーンの下流側端部は、コンベヤの幅方向において、ベルトの進行方向に対して直交するラインに沿って延在することを特徴とするコンベヤ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、前記ローラは、前記ベルトの進行方向に直交する軸を規定するアクスルを中心に回転することを特徴とするコンベヤ。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、前記ローラは、全方向に自在に回転するローラボールであることを特徴とするコンベヤ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンベヤにおいて、少なくとも1本のコンベヤベルトが、当該コンベヤの幅方向に並べて配置された少なくとも2本のベルトを具えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項9】
コンベヤにおいて:
ベルトの進行方向に前進し、ベルトの厚さを通って延在する、ベルトの進行方向に対して直交するアクスルを中心に回転するように配置されたローラを有するコンベヤベルトと;
前記コンベヤベルトの下側に位置していて、当該コンベヤの一部に沿ったベルトの進行方向に延在するトラックを形成する少なくとも一の座面であって、当該座面の上のトラックに沿って乗り上げたときにローラが回転する積荷加速ゾーンを規定する少なくとも一の座面と、を具え、前記ベルトの進行方向における積荷加速ゾーンの長さが、前記コンベヤの幅に亘って変化しており、前記コンベヤベルトが前進すると、前記ベルトの移動方向における異なる距離に亘り前記コンベヤの幅において異なる位置で前記積荷を加速する、ことを特徴とするコンベヤ。
【請求項10】
請求項9に記載のコンベヤにおいて、前記加速ゾーンが、前記コンベヤベルトの第一の側部が第二の側部より長いことを特徴とするコンベヤ。
【請求項11】
請求項10に記載のコンベヤが更に、前記コンベヤベルトの下流側端部にある積荷を受取って、前記コンベヤベルトの第一の側部を通過した積荷を前記ベルトの進行方向に直交する方向に搬送するように構成した第二のコンベヤを具えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項12】
請求項9に記載のコンベヤが更に、前記コンベヤベルトの下流側端部にある積荷を受取って、当該積荷を更に前記ベルトの進行方向に搬送する、前記コンベヤベルトの下流側端部に配置したセンタリングコンベヤを具えることを特徴とするベルト。
【請求項13】
コンベヤの操作方法において:
積荷を支持するローラを有するコンベヤを搬送方向に前進させるステップと;
前記コンベヤが前進すると、コンベヤの幅方向にわたって異なる位置で、前記ローラを回転方向において異なる距離を回転させるステップと、を具えることを特徴とするコンベヤの操作方法。
【請求項14】
請求項13に記載のコンベヤの操作方法において、前記コンベヤが前進すると、コンベヤの幅方向にわたって異なる位置で、前記ローラを回転方向において異なる距離を回転させるステップが、前記搬送方向における長さが前記コンベヤの幅方向において変化する座面を用いて前記コンベヤの下から前記ローラを稼働させるステップと、を具えることを特徴とするコンベヤの操作方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【公表番号】特表2011−515299(P2011−515299A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550756(P2010−550756)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/035965
【国際公開番号】WO2009/114352
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】