説明

空室管理オートロック錠

【課題】賃貸住宅の内覧のために入室した際、オートロックが作動して施錠すると、女性客に不安感を抱かせる。
【解決手段】ドア13の上端に、コの字形の係合部をドア13の内外面に跨るようにして装着する取り付け部材10に取り付けられる錠本体12が、ドア13の閉じたことをN(=2)回検出すると、錠面からボルト27を出してドア枠13bに係合して施錠するようにする。こうすることで、内覧の際にドア13が閉まっても、1回目の開閉なので錠本体12は施錠しない。一方、内覧が終わって外へでたのちドア13を閉めると、ドア13を閉じた回数Nは2となるので、錠本体12はボルト27を出して施錠する。このように、内覧の際に施錠しないようにして、不安感を抱かせないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、賃貸用の空き室の施錠に使用する空室管理オートロック錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不動産物件を賃貸する場合や購入する場合は必ず下見(内覧)をする。内覧は、殆どの場合、仲介業者が案内する。その際、案内の業者は物件の鍵を所持していなければ内覧できないことになる。通常、内覧は、1件ということは少なく、比較のために何軒か巡る。
そのため、案内が多かったり、接客に忙しかったりすると鍵をかけ忘れ、不審者が物件内へ侵入する事態が度々発生する。しかし、鍵のかけ忘れについては注意する以外解決方法がない問題がある。
【0003】
また、業者は、内覧の際、先に述べたように、何軒か分の鍵を持って案内することになるため、内覧の済んだ物件でも全ての案内が済んで鍵を持って戻ってくるまで、次の案内(別に案内する者がいても)ができない問題もあった。
このとき、合鍵を何本か準備するという方法も考えられるが、管理物件が1件だけなら問題はないが、管理物件が多い場合は鍵の管理が大変である。
また、鍵を使わず、南京錠と鎖を使用して空室管理を行うことも考えられるが、見栄えが悪いし、ドアを疵付けることも考えられる。
【0004】
このような問題を解決する方法の一つとして、特許文献1に記載された錠装置がある。
この装置は、無線電話を利用したもので、図13に示すコの字形の取り付け部材1と前記取り付け部材1に固定されて部屋側に設置される錠本体2とからなっている。この装置は、コの字形の取り付け部材1をドアの上端に掛けて吊り下げる。そして、取り付け部材1の側部に設けたネジを締めてドアを挟むようにして固定する。一方、錠本体2は、錠本体2から出し入れしてドア枠に係止するロックピン(ボルト)3と、ロックピン3を出し入れする作動部4と作動部4に作動信号を出力する信号認識部5及び無線(携帯)電話6を備えており、錠本体2の無線電話6に電話を掛れば開錠や施錠ができるというものである。
【0005】
そのため、このような装置を契約が完了するまでの仮の錠として取り付けることで、部屋の前から電話をするだけで、開錠して内覧ができる。
また、内覧後は、電話を掛けて施錠をする外、装置にタイマを設けて自動的に施錠させたり、ドアが閉まるのを検知して自動的に施錠させたりできるというもので、鍵がなくても何時でも内覧できるので、効率的であるというものである。
【0006】
ところが、上記のものでは1つの錠装置について、携帯電話が1台必要である。そのため、装置1台ごとに携帯電話の調達費用や維持するための通信費用が掛る。しかも、待ち受け受信ができるように定期的に充電をしなければならず(室内の電灯線を使って充電を行う場合は、電灯線契約をする必要がある。太陽電池の利用は現実的ではない)、手間も掛る。したがって、維持管理にコストと手間が掛る。
【0007】
この問題を解決する一つの方法として、携帯電話に換えて暗証番号の入力による錠装置が考えられる。
暗証番号の入力であれば、仲介業者が暗証番号を控えて置くだけで、合鍵がなくても案内をすることができる。しかも、通信費用もいらないし、携帯電話よりも省電力にできるので、内蔵電池で長期間の使用に耐えるようにできるため、手間が掛らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−110297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の暗証番号を入力するものでは、例えば、施錠の際に、鍵がないので、先にも述べたように、施錠を忘れる心配がある。また、業者は1日に何軒もの物件を回るため、内覧が終わったのち、次の物件へ急ぐあまり施錠を忘れることもある。
そのため、ドアには、ドアが閉じると施錠を行うオートロック機能を備える必要がある。
しかしながら、オートロック機能を備えた場合、次のような問題がある。
すなわち、近年、単身者の内覧が増えており、特に、女性の単身者の内覧が増加傾向にある。そのため、例えば、女性の内覧者が案内の男性業者と部屋に入って、玄関ドアを閉めるとオートロック機能が作動して、例えば、ロックピンが上昇して施錠すると、女性の内覧者は、それだけで不安になることが考えられる。また、女性の案内業者と男性の内覧者の場合も女性の案内業者が不安になることは同様である。
【0010】
そこで、この発明の課題は、不安を覚えることなく、オートロック錠を使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明では、ドアの内面側に取り付けられる錠本体は、ドアの開閉を検出する開閉検出手段により、ドアの閉じたことをN(N=2)回検出すると、錠本体からボルトを出してドア枠に係合し、一方、ドア枠に係合させたボルトは、ドアの外面側のキー入力部からの予め決められたキー入力によって錠本体内に入れるようにした構成を採用したのである。
【0012】
このような構成を採用することにより、キー入力部から決められたキー入力をする。すると、錠本体はボルトを錠本体内に入れてドアを開錠する。ドアを開けて室内に入りドアを閉める。このとき、ドアを閉じた回数Nは1回なので、錠本体はボルトを出すことはなく施錠しない。一方、内覧が終わってドアを開けて室外へ出てドアを閉めると、ドアを閉じた回数Nは2となるので、錠本体からボルトを出して施錠する。
【0013】
また、このとき、上記ドアの閉じたことをN(N≧3)回検出すると、錠面からボルトを上昇してドア枠に係合する構成を採用することができる。
【0014】
このような構成を採用することで、先の場合と同様に、キー入力部から決められたキー入力を行うことで開錠する。一方、施錠の場合は、N≧3としたことにより、例えば、内覧中にドアを開閉しても錠本体がボルトを出さないようにできる。
なお、ここで、Nは、内覧中にドアの開閉する可能性のある回数に設定し、経験などにより適宜設定されるものである。
【0015】
また、このとき、ドアの閉じたことをN回検出するまでに所定時間経過すると、錠本体からボルトを出してドア枠に係合するという構成を採用することができる。
【0016】
このような構成を採用することにより、キー入力部からキーを入力して開錠した状態、あるいは開錠後にドアを一度開閉した状態で放置すると、所定時間経過したのち、錠本体はボルトを出してドアを施錠することで開錠状態を防止する。
特に、N≧3とした場合は、内覧が済んだ段階でドアを閉じる回数が、Nに達しない場合でも、ドアを開錠した状態で放置すると所定時間経過後に錠本体はボルトを錠面から出して施錠することができるためセキュリティーを向上できる。
なお、ここで、所定時間とは、不都合の起きない時間のことで経験などにより適宜設定されるものである。
【0017】
このとき、上記錠本体にボルトを入れるための摘みを設けた構成を採用することができる。
【0018】
このような構成を採用することにより、内覧中に、ドアを閉じる回数がNに達して錠本体がボルトを出して施錠した場合でも、摘みを使ってボルトを錠本体に入れると開錠できるので、安心感を与えることができる。そのため、摘みは、できるだけ大きく、摘みで開錠できることをアピールできるようにするのが好ましい。
【0019】
また、このとき、上記錠本体にクラッチを設けてボルトの出し入れを容易にした構成を採用することができる。
【0020】
このような構成を採用することにより、クラッチはボルトを駆動機構から切り離し、力の弱い女性でも容易にボルトを錠本体に入れられるようにできる。
【0021】
また、上記錠本体とその錠本体を取り付ける内面側の取り付け部材との間隔を調整して、錠本体から出たボルトをドア枠に係合させる高さ調整手段を備えた構成を採用することができる。
【0022】
このような構成を採用することにより、ボルトの位置をドア枠に合わせて変えられるので、ドア枠の幅広いドアにも使用できる。
【0023】
また、上記錠本体が内蔵する電池で駆動手段を作動してボルトを出し入れするものとし、前記電池に代えて、駆動手段に給電する端子を取り付け部材の外面側に設けた構成を採用することができる。
【0024】
このような構成を採用することにより、施錠中に内蔵電池が電池切れを起こした場合でも、端子に新しい電池を接続すれば、錠本体の駆動手段に給電して、例えば、錠本体にボルトを入れて(収容して)開錠できる。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、上記のように構成したことにより、内覧客に不安を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態の分解斜視図
【図2】図1の縦断面図
【図3】図1の要部の正面図
【図4】図3の分解斜視図
【図5】図1の縦断面図
【図6】図1の横断面図
【図7】作用説明図
【図8】作用説明図
【図9】実施形態の回路ブロック図
【図10】作用説明図
【図11】(a)、(b)作用説明図
【図12】(a)、(b)作用説明図
【図13】従来例の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の空室管理オートロック錠を実施するための形態を図面に基づいて説
明する。
この形態のオートロック錠は、図1に示すように、取り付け部材10に取り付けられるキー入力部11と錠本体12とで構成されている。
【0028】
取り付け部材10は、この形態の場合、コの字形をした金属(プラスチックスでも可)製のもので、コの字形の係合部を図2のように、ドア13の上端にドア13の内外面に跨るようにして装着する。
また、その取り付け部材10の外面側にキー入力部11を取り付け、内面側には、錠本体12を高さ調整機能付きの取り付け手段14を介して取り付けるようになっており、前記キー入力部11と錠本体12とは、図示はしていないが、フィルム状のフレキシブル配線基板で接続するようになっている。
【0029】
キー入力部11は、例えば、図3のように、4個の数字キーと2個の符号キーから成る6個のスイッチを一列に形成したシート状の押釦スイッチで構成したものである。
この形態では、表面シートにエンボス加工を施して押圧部分を膨らませたクリックエンボスタイプのメンプレンスイッチを採用している。また、図3のように、表示灯(LED)9を設け、キー操作の際に点灯させることで、モニターできるようにしてある。
一方、このキー入力部11には、図4のように、スイッチ基板19のパターンに、非常開錠用端子の電極15が設けられている。この電極15は、電池切れになった場合やキー入力部11のスイッチ故障あるいはスイッチが破壊された場合に使用する。
すなわち、キー入力部11は、図4に示すように、フィルム16を剥がすと、特殊ネジ(ヘクサロビュラー)17が露出する。そのネジ17を専用工具で外し、スペーサ18を取り外すとスイッチ基板19が露出するので、露出したスイッチ基板19の非常用端子の電極15に市販の電池を接続することで直接電源を錠本体12へ供給できるようにしてある。
【0030】
また、キー入力部11の上方には、図3のように、止めネジ20が設けられており、図2のように、ドア13の表面に当接させることにより、厚みの異なるドア13に装着してもガタが起きないようにしてある。
【0031】
錠本体12は、図1のように、施錠部21と制御部22及び電源部23で構成されており、ケース24に収容されている。
ケース24は、施錠部21、制御部22、電源部23を取り付ける本体シャーシ25と、その施錠部21、制御部22、電源部23を取り付けた本体シャーシ25を被うカバー26とで構成されている。この本体シャーシ25、カバー26の両部材とも非磁性体で剛性の高いステンレス製となっている。
【0032】
施錠部21は、図5のように、ボルト27とその駆動機構28とで構成されている。ボルト27は、4角柱の下端に引き下げ用のロッド33を設けた形状をしており、図6のように、ガイド29の孔に挿通されて出入り自在に支持されている。また、ボルト27の4角柱の側部には、ラックギヤー30が形成されており、後述のように、駆動機構28のピニオンギヤー41と歯合するようになっている。さらに、ボルト27には、図5のように、突片31が取り付けられており、突片31と接するようにして開閉センサ32a、bが設けられている。前記開閉センサ32a、bは、2個のマイクロスイッチを上下に配置したもので、上方のセンサ32aで、ボルト27の最も上昇した「施錠点(上死点)」を検出し、下方のセンサ32bで、最も下降した「開錠点(下死点)」を検出する。
また、引き下げ用のロッド33には、先端に孔を設けてリング34を挿通し、摘みとしている。前記リング34は、目印とするため、できるだけ大きなものを取り付けるようにしている。
【0033】
駆動機構28は、図7のように、モータ35に減速機構36を組み合わせた構成となっており、減速機構36に、図8のようなクラッチ37を備えた構造となっている。
減速機構36は、図7に示すように、ウォームギヤー38、平歯車39、ピニオンギヤー40、41で構成されている。そして、モータ35に取り付けられたウォームギヤー38が回転すると、ピニオンギヤー40と同軸上の平歯車39を介してギヤー42を駆動し、ギヤー42とクラッチ37を介して接続されたピニオンギヤー41を駆動して、ピニオンギヤー41と歯合するボルト27を出し入れするようになっている。
【0034】
前記クラッチ37は、図8に示すように、ゴムなどの摩擦部材43´を用いた摩擦クラッチで、摩擦部材43´を介してピニオンギヤー41の係合部43をギヤー42にバネ44で圧接する構造となっている。
このため、ボルト27を下げてピニオンギヤー41に回転力が加わると、クラッチ37が滑って、ボルト27が下がるようになっている。
【0035】
制御部22は、図9に示すように、マイクロコンピュータ45、モータ駆動回路46、ドアセンサ47a、bとで構成されている。
マイクロコンピュータ45は、RAM、ROM、入出力インターフェース、A/Dコンバータ、通信ポートなどを搭載した1チップマイコンと呼ばれるものである。この形態では、ドアセンサ47a、b、キー入力部11、開閉センサ32a、bが接続され、内蔵ROMに書き込まれた制御プログラムに基づいて、後述するような施錠動作を行うようにしてある。
モータ駆動回路46は、NPNとPNPトランジスタをブリッジ接続したもので、モータ(直流)を可逆運転できるようにしてある。こうすることで、マイコン45からの制御信号でモータ35を正転あるいは逆転して、ボルト27の出し入れができるようにしてある。
ドアセンサ47a、bは、マグネット47aと磁気センサ47bとで構成するタイプのもので、磁気センサ47bには、ホール素子でも良いが、この形態では、待機中に電力を消費しないリードスイッチを採用している。また、図10のように、前記センサ47bは、本体シャーシ25に取り付け、本体シャーシ25に被せたカバー26の孔49にセンサ47bの素子の感応部分が臨むようにしてある。こうすることで、後述するように、ドア枠13bに両面テープで張り付けたマグネット47aを検出できるようにしてある。
【0036】
電源部23は、乾電池をメイン電源としたものである。また、このメイン電源と並列に、図9に示すように、非常用端子の電極15が接続されており、前記非常用端子の電極15は、ブリッジ整流素子と定電圧ICを介して制御部22へ電源を供給するようになっている。
【0037】
一方、高さ調整機能付きの取り付け手段14は、図1に示すように、ベース板50、スペーサ51、フランジナット52及びネジ53で構成されている。ベース板50は、長方形の四隅にスペーサ51を取り付ける孔が設けられたもので、その内側には取り付け部材10に固定するためのネジ孔が設けられている。スペーサ51は筒状のもので、筒の内側にはネジ溝が切られている。
この取り付け手段14は、例えば、以下のように、仮組立された状態で提供される。
例えば、ベース板50の四隅の取り付け孔にスペーサ51をネジ止めし(この固定用のネジは、この面に固定用のマグネットシート60を張り付けるため皿ネジが好ましい)、このスペーサ51を取り付けたベース板50は、コの字形取り付け部材10の内側に取り付ける。このとき、取り付け部材10は、図1のように、段部54を設けてその段部54にベース板50を嵌めてネジ止めしてある。その際、段部54に2本の縦溝55を設けて、その縦溝55にベース板50の取り付け孔を合わせるようにしてネジ止めする。このように、ネジ止め位置を溝55に沿って変えることで、上下方向の取り付け位置をドア13に合わせて調整できるようにしてある。
そして、このように取り付け部材10に固定されたベース板50のスペーサ51に対して、図6のように、錠本体12の本体シャーシ25をネジ止めする。このとき、ネジ53はフランジナット52を介してスペーサ51にネジ止めする。
すなわち、ドア13にセットする際に、ネジ53のスペーサ51へのねじ込み量を調整し、取り付け部材10との間隔を調整する。このように間隔を調整することで、錠本体12の取り付け部材10(ドア)からの距離(所謂高さ)を変える。そして、錠本体12から突出するボルト27の位置を変えて、ドア枠13bに係合させるのである。また、このようにねじ込み量の調整が済むと、フランジナット52を回転させて本体シャーシ25に止めて、ネジ53が回らないように固定する。
【0038】
このオートロック錠は、以上のように構成されており、空室の玄関ドアに設置して本錠に代えて使用する。
このオートロック錠は、キー入力部11と錠本体12が取り付け部材10に取り付けられた状態なので、設置の際には開放したドア13の上端に、コの字形の係合部をドア13の内外面に跨るようにして装着する。その際、キー入力部11の上方の止めネジ20を回してガタが起きないようにする。
また、錠本体12のカバー26を外して、ネジ53のスペーサ51へのねじ込み量を調整する。そして、錠本体12のボルト27が図2のように、ドア枠13bに係合するように高さを調整して、ネジ53が回らないようにフランジナット52を使って固定する。固定が終わると乾電池の装着を確認してカバー26を取り付ければ、ドア13への取り付けは完了する。
次に、ドアセンサ用のマグネット47aをドア枠13bに取り付ける。このマグネット47aの取り付けは、錠本体12のカバー26の孔49を目印にして、図11a、bのように、ドア13を閉じた際に前記センサ47bと対向するように、ドア枠13bに両面テープを使って取り付ければ、設置が完了する。
【0039】
また、暗証番号を登録する場合は、キー入力部11のキーを操作して予め再登録を行うための暗証キーを入力する。例えば、“*”を押して、新しい暗証番号を入力し、“#”を押せば登録できるようにしてある。このように、パソコンなどを必要とせずに現場でも簡単に設定できるようになっており、誰でも簡単に使用できるようにしてある。また、登録した暗証番号は、委託業者間で連絡し合えば合鍵なしに案内ができる。
【0040】
このように、このオートロック錠は、ネジだけで取り付けているので、取り外しもネジを緩めるだけで簡単にできる。また、ドア13の厚みやドア枠13bの深さに合わせてガタツキや高さ調整もできる。さらに、暗証番号も簡単に変更できるため、賃貸の契約ができれば取り外して他の物件に使用することができるので効率的である。
【0041】
ところで、このように設置されたオートロック錠は、例えば、キー入力部11から設定された暗証番号を入力すると、表示灯のLED9が1秒ごとに点滅し、入力できていることを表示する。
入力が終わったことを例えば、最後に“*”を押してマイコン45に知らせると、マイコン45は暗証番号が正当なものかどうかを判別し正当なものであれば、数秒後にモータ35を駆動して、図12(a)のように、開閉センサ32bから閉信号が検出されるまで、ボルト27を下げて錠本体12に入れる。
【0042】
例えば、内覧者を案内している場合は、キー入力部11から暗証番号を入力すると、モータ35が作動してボルト27を下げる。ボルト27が下げられたことは、LED9の点滅からわかるのでドア13を開ける。すると、ドアセンサ47bが作動してドア13が開けられたことをマイコン45が検出する。
次に、室内に入ってドアを閉じると、ドアセンサ47bが作動してドア13が閉じられたことをマイコン45が検出する。このとき、ドア13が閉じられたことを検出したマイコン45はボルト27を出すことなく、施錠動作を行わない。
すなわち、マイコン45は制御プログラムにより、ドア13の開閉回数を計数しており、計数したドアの閉じた回数をN回検出すると(ここでは2回)、錠面からボルト27を上昇させて施錠動作を行うのである。
そのため、内覧中は施錠動作を行わず、ドア13は開放状態を維持する。したがって、案内する業者が男性で、内覧客が女性の場合でも女性に不安感を与えることはない。また、逆に、案内業者が女性で、内覧客が男性の場合も女性の業者が不安を覚えることはない。
【0043】
然る後、内覧が終わり、ドア13を開けて室内から出てドア13を閉めると、ドアセンサ47a、bが作動してドア13が閉められたことをマイコン45が検出する。すると、マイコン45が計数するドア13の閉じられた回数Nが2回となるので、マイコン45はモータ35を作動してボルト27を錠本体12から出してドア枠13bに係合させて施錠する。そして、計数回数をクリアして、キー入力部11からの次の入力に備える。
【0044】
また、キー入力部11から暗証番号を入力した状態で、ドア13を開けない場合やドア13を開けたけれども入室せずに放置した場合、予め、設定した時間をタイマ手段で計時して、タイムアップするとボトル27を出して施錠する。このとき、ドア13が閉じていることをドアセンサ47a、bでチェックすることは当然である。ドア13が開いている間は施錠せず、ドア13が閉じたことを確認して施錠する。
【0045】
ところで、上記のように施錠条件としてのドア13の閉じた回数Nを2とした場合、案内中にドア13の開閉があるとすぐに施錠してしまう。このようなドア13の開閉は偶発的にしばしば起こるものである。このため、内覧中に室内で施錠されてしまった場合は、リング34で、図10の破線のように、ボルト27を下げることで開錠する。このとき、ボルト27の引き下げは、減速機構36にクラッチ37を設け、減速機構36やモータ35が負荷とならないようにして、ボルト27を下げるのに要する力を小さくしているため、女性でも安心して行える。
また、開錠動作ができることをアピールするためリング34は大きく、例えば、“OPEN”などの表示を設けるようにすることで、安心感を増加させるようにしてある。
【実施例1】
【0046】
この実施例1は、上述した内覧中の施錠のミスを軽減するようにしたもので、タイマ手段を併用したものである。
すなわち、この実施例1では、施錠条件であるドア13の閉じた回数Nを「N≧3」とする。ここで、Nにセットする回数は、3以上の開閉回数に余裕のある数である。また、タイマ手段は、ドア13が閉じると計時を開始するようにする。さらに、タイマの設定時間は内覧に要するのに十分な余裕のある時間にしておく。
そして、タイマ手段がタイムアップするか、ドア13の閉じた回数Nが設定回数に達するか、いずれか一方の条件が達成されると施錠するように処理を行う。
【0047】
このようにすると、偶発的にドア13が何度か閉まっても施錠が行われないようにできる。また、ドア13の閉じた回数がN回に達しないで案内が終わってもタイマ手段がタイムアップすると施錠する。このようにドア13の閉じた回数がN回に達しない場合でも施錠できるので、確実に施錠できる。また、タイマ手段が計数中でもドア13の閉じた回数がN回に達した場合はタイマ手段のタイムアップを待たずに早く施錠できるため安心である。
【0048】
なお、タイマ手段は、制御部22のマイコン45にプログラムにより構成するようにしても良いが、制御部22にタイマICなどのハードロジックを設けて構成するようにしても良い。ここでは、マイコン45により構成している。
なお、ここで、タイマ手段の構成は、先に述べた実施形態の場合も同じものである。
【実施例2】
【0049】
この実施例2は、このオートロック錠が、電池切れになった場合やキー入力部11のスイッチ故障、あるいは前記キー入力部11のスイッチが破壊された場合に対処できることを説明する。
このような場合、キー入力部11のフィルム16を剥がし、露出した特殊ネジ(ヘクサロビュラー)17を専用工具で外したのち、スペーサ18を外してスイッチ基板19を露出する。そして、露出したスイッチ基板19の非常用端子の電極15に市販の電池(例えば、006P)を接続する。すると、接続した電池は、図9の回路ブロックに示すように、非常開錠用端子の電極15に接続されたブリッジ整流素子によって整流され、定電圧ICによって規定の電圧として制御部22に供給される。このため、電池のプラスとマイナスは、どちらの電極15に接続しても構わない。電池を接続すれば、マイコン45は、錠本体12にボトル27を入れて開錠動作を行うことができる。
この開錠動作の処理のスタートについては、非常開錠用端子の電極15に電池を接続した際に割り込みを発生するようにすればよい。なお、この非常用の処理については開錠以外にもプログラムを設けることで適宜設定できる。
【符号の説明】
【0050】
10 取り付け部材
11 キー入力部
12 錠本体
13 ドア
13b ドア枠
14 取り付け手段
15 電極
21 施錠部
22 制御部
23 電源部
24 ケース
25 シャーシ
26 カバー
27 ボルト
28 駆動機構
32a 開閉センサ
32b 開閉センサ
33 ロッド
34 リング
36 減速機構
37 クラッチ
43 係合部
43´ 摩擦部材
45 マイコン
47a ドアセンサ(マグネット)
47b ドアセンサ(リードセンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの上端に、コの字形の係合部をドアの内外面に跨るようにして装着する取り付け部材の外面側に取り付けるキー入力部と、内面側に取り付けられる錠本体とからなり、
前記錠本体は、ドアの開閉を検出する開閉検出手段を備え、前記開閉検出手段により、ドアの閉じたことをN(N=2)回検出すると、錠本体からボルトを出してドア枠に係合し、
一方、ドア枠に係合させたボルトは、キー入力部からの予め決められたキー入力によって錠本体内に入れるようにした空室管理オートロック錠。
【請求項2】
上記ドアの閉じたことをN(N≧3)回検出すると、錠面からボルトを上昇してドア枠に係合するようにした請求項1に記載の空室管理オートロック錠。
【請求項3】
上記ドアの閉じたことをN回検出するまでに、所定時間経過すると、錠面からボルトを出してドア枠に係合するようにした請求項1または2に記載の空室管理オートロック錠。
【請求項4】
上記錠本体にボルトを入れる引き下げ用の摘みを設けた請求項1乃至3のいずれかに記載の空室管理オートロック錠。
【請求項5】
上記錠本体にクラッチを設けてボルトの出し入れを容易にした請求項1乃至4のいずれかに記載の空室管理オートロック錠。
【請求項6】
上記錠本体とその錠本体を取り付ける内面側の取り付け部材との間隔を調整して、錠本体から出たボルトをドア枠に係合させる高さ調整手段を備えた請求項1乃至5のいずれかに記載の空室管理オートロック錠。
【請求項7】
上記錠本体が内蔵する電池で駆動手段を作動してボルトを出し入れするものとし、前記電池に代えて、駆動手段に給電する端子を取り付け部材の外面側に設けた請求項1乃至6のいずれかに記載の空室管理オートロック錠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−57309(P2012−57309A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198953(P2010−198953)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:SECURITY SHOW 2010(第18回セキュリティ・安全管理総合展) 主催者名:株式会社日本経済新聞社 開催日:2010年3月9日(火)〜12日(金)
【出願人】(505149044)株式会社シーズンテック (10)
【出願人】(593054077)三井ホームコンポーネント株式会社 (2)
【出願人】(504200744)三井ホームエステート株式会社 (1)
【Fターム(参考)】