説明

空気より軽い乗り物用外部加圧システム

【課題】飛行船内部で生じる浮揚ガスの大規模な膨張及び収縮に適する、飛行船のための軽量な浮揚ガスセルシステムを提供する。
【解決手段】ガスが充填され、所定の高度に上昇するようになった、予め定められた容積の膨張可能な飛行船を備え、該飛行船は、膨張した柔軟性のガス収納一次気嚢により形成される船体を有し、浮揚ガスを収容する少なくとも一つの浮揚気嚢が一次気嚢内に配置され、この浮揚気嚢は、飛行船が所定の高度にあるときに、膨張して一次気嚢内の空間を実質的に占有するようになっており、一次気嚢内に少なくとも一つの二次気嚢が配置され、浮揚気嚢がより低い高度にあるときに、膨張して一次気嚢の余剰空間を満すようになり、二次気嚢を充填及び、空にする手段が、一次気嚢の外側に設けられ、二次気嚢に連通するように構成された、飛行船システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気より軽い乗り物(LTA)に関し、特に、LTA乗り物用外部加圧システムに関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの浮揚ガスセルと、少なくとも1つの空気セルと、該空気セルを充填する手段とを有するLTA乗り物に関する。
【背景技術】
【0002】
非剛性の空気より軽い乗り物における主要な問題点の1つは、高度に応じて周囲圧力が低下したとき、気体袋が破裂しないようにすること、或いは、高所から下降する際に、気体袋が潰れないようにすることである。このような事態を防ぐ1つの方法は、該乗り物におけるヘリウム袋内に、膨張ガス袋の形態で、気嚢又は空気袋を組み込むことである。乗り物は、空気袋が部分的に膨らんだ状態で飛行するように設計されており、該空気袋は、空気で膨らんだときヘリウム体積を収縮させ、空気が抜かれたとき、ヘリウム体積を膨張させる。したがって、高所では、周囲空気圧力が低下するのに伴って、空気袋はほとんど萎んだ状態となり、ヘリウムが膨張するのに必要な「余地」が形成される。乗り物が密度の高い大気中に下降すると、空気袋が膨らんで、ヘリウムガス袋が潰れないようにし、或いは、局所的に垂れ下がることさえもないようにする。さらに、空気袋は、高度制御の役割を遂行することができる。非剛性の空気より軽い乗り物に空気袋が組み込まれた例は、例えば、E.W.Masonに付与された、米国特許第5,143,322号(特許文献1)に見ることができる。
【0003】
空気袋を加圧し、充填する先行技術の方法は、典型的には、ラムエア取り込みの技術を使用することに関連する。この種のシステムの例は、R.H.Upsonに付与された米国特許第1,475,210号(特許文献2)及びH.R.Liebertに付与された米国特許第2,331,404号(特許文献3)に見ることができる。
【0004】
A.Bradfordに付与された米国特許第1,580,004号(特許文献4)及びC.S.Hallに付与された米国特許第1,797,502号(特許文献5)においては、空気袋を加圧するために別個のポンプを使用している。さらに、特許文献5の設計は、加圧空気を加熱するためにヒータを設けている。空気袋は、ヘリウムが充填された主ガス袋の中央部に配置されるので、ヘリウムもまた加熱されることになる。これらの設計における問題点は、空気袋が中央部に配置されているので、充填バルブ及び配管も、必然的に、同様の配置になることである。すなわち、これらは、整備及び修理のため、或いは取り外しのために接近することが困難である。さらに、このような充填バルブ及び配管の必要性は、重量を増加させる。
【0005】
J.B.Kaliszらに付与された米国特許第5,333,817号(特許文献6)は、空気袋システムを含む空気より軽い乗り物のために、ガス袋内において、複数の空気袋が、乗り物の縦軸に沿って、かつ、垂直軸の両側に配置された、空気袋システムを教示する。それぞれの空気袋は柔軟なシートを含んでおり、該柔軟なシートは、その周囲がガス袋の壁部の一部分に結合される。各々の空気袋には、該空気袋を空気により加圧するために空気袋加圧システムが結合されており、この加圧システムは、空気袋を形成しているガス袋の壁部分に設けた複数の貫通穴を含んでいる。入口ポートを有するマニフォールドが、これらの穴を覆う壁に連結され、そこに送られてくる圧力空気を拡散させるように構成されている。また、外気に接続された入口ポートと、マニフォールドの入口ポートに連結された出口ポートとを有する少なくとも1つのファンが、圧力空気をマニフォールドの内部に送り込むために設けられている。該ファンの出口ポートにチェックバルブが配置され、空気が、マニフォールド内部からファンの入口ポートに流れるのを防ぐ。空気袋通気システムが、空気袋内部の空気を外気に排出するために設けられている。しかし、このシステムは、空気袋を急速に収縮させるものではない。
【0006】
従来方法を用いる飛行船は、一般的に4万フィート及びそれ以上の高度であると考えられている高高度まで達するものを含め、幾つかの欠点を有している。例えば、これらの空気袋は、飛行船の気嚢内部に取り付けられた柔軟で、不浸透性材料から製造されており、この材料は、空気を溜めることと、気嚢内の残りの部分を占めるヘリウムと空気を分離するために用いられている。飛行船が高所に上昇するのに伴って、各々の空気袋に溜められていた空気が、多数のバルブ/ブロアを介して排出され、空気袋を収縮させる。気嚢内部にあるヘリウムは、飛行船が所望の高度に上昇するのに伴って膨張する。ヘリウムの膨張は又、空気を空気袋内から押出すように作用する。下降中に圧力を維持するために、空気がバルブ/ブロアにより押し込まれて、空気袋を膨張させる。したがって、空気袋を構成する材料は、空気が空気袋内に送り込まれる際に、収縮した状態から膨らんだ状態に移行すなわち移動する。同様に、空気袋を構成する材料は、空気が空気袋内から排出されるにつれて、膨らんだ状態から収縮した状態に動く。
【0007】
高高度用飛行船は、従来の飛行船に似た構造であるが、しかし際立って大きく、高高度用飛行船の船体又は気嚢は、数百万立方フィートの容積を有するものがある。高高度用飛行船が、地表からより高所へ移動するとき、又はその逆において起こる、圧力及び温度の大きな変動に起因して、高高度用飛行船内にあるヘリウムの膨張は、従来型の飛行船で要求されるよりも、遥かに大きい度合いが要求される。更に、高高度用の飛行船では、従来型の飛行船よりも、必要な気嚢からの空気排出量が大きくなる。同様に、高高度用の飛行船が高所に上昇するためには、高高度用の飛行船の気嚢内部で起こる、大量の浮揚ガスの膨張に適するように、大きい空気袋が必要になる。しかしながら、大きな空気袋を高高度用飛行船に使用することは、重量増加が、高高度の達成を阻害するように作用をすることから、実用的でない。さらに、高高度用飛行船に必要な材料増加により、空気袋が収縮したときに、空気袋材料に顕著な寄り集まりや捩れを生じる恐れがあり、これが気嚢内部での不釣合い状態をもたらす。さらに、浮揚ガスが飛行船の船体又は気嚢内部のいずれかの領域に集積し易くなるため、高高度用飛行船の釣合いが一層阻害されて、飛行船の操縦を維持することが困難になる。例えば、浮揚ガスが、飛行船の船尾部分に集まると、飛行船の船首側が重くなり、飛行又は上昇を困難にする。
【0008】
Marimonらに付与された米国特許出願公開第2007−0075186号(特許文献7)は、複数のセルを備えて、浮揚ガスを飛行船の船体の長さ方向にわたって均等に分配することにより、飛行船の釣合いと安定性、及び操縦を維持する浮揚ガスシステムを教示する。この特許文献7は、セル内を充填したり、空にしたりするためのブロア及びバルブを示していないが、これが飛行船気嚢の一部であることを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,143,322号明細書
【特許文献2】米国特許第1,475,210号明細書
【特許文献3】米国特許第2,331,404号明細書
【特許文献4】米国特許第1,580,004号明細書
【特許文献5】米国特許第1,797,502号明細書
【特許文献6】米国特許第5,333,817号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007−0075186号公報
【特許文献8】米国特許第6,914,021号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、飛行船内部で生じる浮揚ガスの大規模な膨張及び収縮に適する浮揚ガスのセルシステムが必要とされる。さらに、飛行船のための軽量な浮揚ガスセルシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ガスで充填され、所定の高度まで上昇するようになった、予め定められた容積の膨張可能な飛行船を含み、該飛行船が、膨らまされた柔軟なガス収納用一次気嚢により形成される船体を有し、浮揚ガスを収容する少なくとも一つの浮揚気嚢が該一次気嚢内に配置され、該浮揚気嚢は、飛行船が所定の高度にあるとき膨らんで、該一次気嚢内の空間を実質的に占有するようになり、該一次気嚢内に、少なくとも一つの二次気嚢が配置され、該二次気嚢は、浮揚気嚢がより低い高度にあるとき膨らんで、該一次気嚢の空間の余剰部分を充満するようになり、該一次気嚢の外部に、該二次気嚢を充填したり、空にしたりするために該二次気嚢に連通する空気取扱い手段が設けられた、飛行船システムに向けられる。
【0012】
本発明のシステムは、ヘリウムバリア、すなわち、浮揚気嚢又は空気袋から、選定された空気取扱い設備を隔離する一方で、設備と気嚢内部との間に空気流れを維持する手段を提供する。本発明は、空気取扱い設備を直接的に主要気嚢又は船体に取り付ける場合よりも軽量な解決策を提供し、選定した空気取扱い装置を気嚢外部に収容することにより、それらを、ケージでヘリウムバリア材料から保護する。
【0013】
本発明の前述した特長と利点、及びその他の特長と利点は、添付図面に関連して以下の説明を読むことにより、本発明分野に関連する当業者には明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】浮揚ガスセルと空気セル及びそれらの充填手段とを有する、空気より軽い乗り物の側面図を示す。
【図2】図1におけるLTA乗り物の断面図を示す。
【図3】空気セルを膨らませた状態の図1のLTA乗り物の正面図を示す。
【図4】図3におけるLTA乗り物の断面図を示す。
【図5】本発明における充填したり、空にしたりする手段の斜視図を示す。
【図6】図5における空気セルを充填する及び空にする手段の正面図を示す。
【図7】図5における充填及び空にする手段の端面図を示す。
【図8】図5における充填及び空にする手段の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、浮揚発生ガス袋又は嚢と、より低い高度の時に、新規な充填及び空にする手段により、空気が充填される二次気嚢とを有する飛行船又は空気より軽い乗り物に向けられる。
【0016】
飛行船又は乗り物100は、膨張可能で柔軟なガス収納用一次気嚢により形成される船体102を有する。船体は、縦軸、垂直軸及び横軸を有する。乗り物100は、図示したように、非剛性の設計である。しかし本発明は、剛性のある設計にも同じように用いることができる。図示された乗り物は、例示目的だけのものにすぎない。
【0017】
船体は、アラミド繊維布及びネオプレンゴムのような材料の多層から構成されるが、他の材料も採用することができる。船体の柔軟材料は、高高度における作動、及びその高度と環境に関連する要素に曝されることに耐性をもつように構成される。そのような材料はその分野において知られている。例えば、教示が引用によりここに組み込まれる米国特許第6,914,021号(特許文献8)を参照されたい。船体の気嚢は、種々の形式の構造的要素、又は以下にさらに詳細に説明されるセルにより、支持することができる。
【0018】
例示目的のために、船体102内には、一連の浮揚ガス嚢又は浮揚ガス袋150が配置されている。本発明は、浮揚ガス嚢がないか又は1つの浮揚ガス嚢を有するLTAに適用することもできるが、複数の浮揚ガス嚢を使用する例について説明する。図示されたように、船首104から船尾106まで、浮揚ガスを収納する複数の嚢すなわち空気袋150があり、これらは船体の全体の長さにわたり配置される。各空気袋は柔軟な材料122により形成される。図2、3及び4に見られるように、空気袋150は、膨張又は収縮した種々の段階で示されている。
【0019】
任意であるが、このシステムは、船体の幅方向の一部分に沿った位置に取り付けられた仕切り外縁と、仕切り内縁とを有する仕切り120を、少なくとも1個設け、対向するダイアフラム内縁によって互いに連結され、ダイアフラム外縁が反対側に位置するようにされた、少なくとも2つのダイアフラムを、該ダイアフラム外縁において船体の長さ方向の一部分に沿った位置に取り付け、ダイアフラム内縁を前記仕切り内縁に取り付けるように構成することもできる。
【0020】
空気袋152は、この例においては、浮揚ガス嚢によって占有されない船体102の余剰部分を構成しており、空気取扱いシステム170を介して充填及び排出が行われ、この空気取扱いシステムが、空気袋を充填する手段と、空気袋からの排出を行わせるバルブ手段とを有している。さらに、空気袋はまた、浮揚ガス嚢に類似した、別対の気嚢又は空気袋とすることができる。
【0021】
本発明の空気取扱いシステムは、船体に取り付けられており、船体外の空間又は区画を占有する。このことは、浮揚ガス嚢が膨らむときに該浮揚ガス嚢を保護する目的で船体内部に設けられるケージ又は保護システムを不要にすることを意味し、したがって、飛行船をより軽量化する利点がある。図1、3に示すように、2つの空気取扱いシステムが、一方は前部に位置し、他方は後部近傍に位置するように備えられる。空気取扱いシステムの数と位置は重要ではなく、それらが空気袋に対する充填及び排出の機能を備えている以外には制限はない。各々の空気取扱いシステムは、少なくとも1つの入口ポートと出口バルブを有するが、本例では、2つの入口ポートと1つの出口バルブが示されている。空気取扱いシステム170は、船体102に結合される。コンテナーすなわち囲い172は、空気力学的形状を有し、LTAに過剰な抗力を生成しないように、構造的に剛性の材料で製造されることが好ましい。入口ポート176を有する少なくとも1つの反転可能な流体ファン174が、空気袋152を周囲大気に接続しており、飛行船が高度を増して浮揚ガスが膨張するのに伴って、空気袋の空気を開放することを可能にするために、吐出バルブ178が備えられる。
【0022】
バルブ180が、ファン174の出口ポートに配置され、ファンの作動中に、ファンの入口ポートを通して、選択的に空気が空気袋に流れ込むのを可能にし、空気が排出されるのを防止する。この出口バルブは、1つ又は複数の蝶型バルブで形成され、空気袋内部から外界大気へ空気を排気するために、囲い172の表面に取り付けられる。
【0023】
複数の開口182、183及び184が設けられ、空気袋に対する充填及び排出のために船体内部と連通している。これらの開口の形状は重要ではなく、円形又は楕円状とすることができる。
【0024】
空気嚢170は、開口及び船体との接続部を補強するためにベクトラン型ロープ用の鳩目を使って、船体と結合することができる。外部嚢は、テープ、縫合、紐組み、又はこれらの組合わせにより結合することができる。開口は、空気取扱いシステムのために選択された部品の間に、明確な流路と連続した空間を形成し、これによって、流れの制限を減少させ又は除去する。接続することができる機器は、空気バルブ、ブロア及びフィンダクトである。このようにして、空気袋からフィンまで適当な流路を設けることにより、空気取扱いシステム170によりフィンを加圧することができる。更に、バルブと組み合わされた反転可能なファンを使用することにより、急速な加圧による空気袋の充填と、減圧による空気排出の両方が可能になる。加圧時には、電気モータ駆動されるファン174が、空気袋へ空気を送り込むように設定され、チェックバルブ180が開かれる。減圧時には、バルブ178が開かれる。
【0025】
船体の開口は、適切な空気流量をもたらすのに十分な大きさにされる。高い応力を受ける船体に大きい開口を設けると、船体の荷重を支えるのに補強が必要になる。大きい開口を設けることは、ヘリウムセルの材料が開口を通り抜けるのを防ぐために、網目カバーを必要とすることになる。網目カバーを使用すると、船体の荷重を支えて、他の開口補強に対する必要性をなくすだけでなく、ヘリウムセル材料が、開口を通り抜けることを防止することになる。代わりに、船体材料に一連の小穴を設けることもできる。
【0026】
本発明による空気袋システムの利点は多い。まず、外部空気取扱いシステムと組み合わされる船体壁部に複数の開口を設けることにより、ファンを個々の空気袋に接続する大きな内部ダクトが不要になり、重量と建造費を節約できる。さらに、加圧ファン及び通気バルブを接近可能な場所に配置でき、迅速な修理又は交換が可能になる。
【0027】
本発明は、ブリンプ、軽航空機、又は他の空気より軽い乗り物のような通常の飛行船に適用可能であるが、ここでの議論は、高高度用飛行船への利用に関係するものである。
【0028】
図2及び図4に最も良く見られるように、飛行船100の船体102に使われる浮揚ガスセルシステムは、船体の構造的一体性を維持しながら、船体102内に配置される種々のガスの膨張、収縮に適合し、飛行船100の上昇及び下降を可能にする。船体嚢102は、内部ガスの膨張と収縮に適合するのと同様に、高い高度における飛行と、高度に関連した要素に曝されることに耐性をもつ柔軟な積層材料から形成される。
【0029】
以下に、上昇及び下降中における浮揚ガスセルシステムの動作を詳細に説明する。図2は、浮揚ガスセルシステム100を有する飛行船100の船体嚢102が、地表レベルにある状態を示す。先ず、気嚢が加圧され、空気袋152が空気により充填され、浮揚セル150には空気より軽いガスが充填されることで、飛行船は地表レベルで浮揚性をもつものとなっている。この状態で、飛行準備ができるまで地表ステーションに繋留される。つづいて、飛行船が釈放され、上昇中に浮揚ガスを膨張させることができるように、空気袋152内部の空気が、蝶型バルブ170を通して排出される。これらの組み合わせ動作の結果、ダイアフラム122a−dは、図2に示される位置から、図2に示される気嚢102の下端136に向けて移動する。
【0030】
飛行船104の下降中に、適切な圧力を維持するために、電気ブロア174を使用して、空気が気嚢102内に送り込まれる。この過程で、空気セル152内の空気圧力が、ダイアフラム122a−dを、気嚢102の上端134に向けて、横断方向に移動させる。また、空気袋152から加わる増加した圧力により、各ガスセル150a−d内の浮揚ガスは収縮し、ダイアフラム122a−dの上方移動を容易にする。
【0031】
ダイアフラム122bは、ガスセル150b内に含まれる浮揚ガスを空気袋152に含まれる空気と分離する役割をする。さらに、ダイアフラム122bの上方移動は、空気袋152の容積を増加する一方で、ガスセル150bの容量を減少させ、飛行船の下降中に多量の空気が気嚢102内に送り込まれるようにする。
【0032】
ダイアフラムは、寄り集まり及び捩れに抵抗して、飛行船のバランスを維持するようになることが理解されるであろう。
【0033】
本発明は、特定の例と実施形態に関して詳細に説明されたが、ここに述べられた実施例と実施形態は、単なる例示であり全てを列挙するものではない。本発明の変形と修正は、当業者にとって容易に想定できるものである。本発明は、そのような変形並びに均等物を全て包含する。特許請求の範囲のみが、本発明の限界を定めるように意図されている。
【符号の説明】
【0034】
100 飛行船
102 船体(気嚢)
122 ダイアフラム
150 浮揚ガス嚢(ガスセル)
152 空気袋(空気セル)
170 空気取扱いシステム
174 ファン
180 チェックバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが充填され、所定の高度に上昇するようになった、予め定められた容積の膨張可能な飛行船を備え、
前記飛行船は、膨張した柔軟性のガス収納一次気嚢により形成される船体を有し、
浮揚ガスを収容する少なくとも一つの浮揚気嚢が前記一次気嚢内に配置され、該浮揚気嚢は、前記飛行船が所定の高度にあるときに、膨張して前記一次気嚢内の空間を実質的に占有するようになっており、
前記一次気嚢内に少なくとも一つの二次気嚢が配置され、前記浮揚気嚢がより低い高度にあるときに、該二次気嚢が膨張して前記一次気嚢の余剰空間を満たすようになっており、
前記二次気嚢を充填し、空にする手段が、該一次気嚢の外部に設けられ、前記二次気嚢と連通している、
ことを特徴とする飛行船システム。
【請求項2】
前記二次気嚢を充填し、空にする前記手段が、前記飛行船の前記一次気嚢に取り付けられ、該一次気嚢から延びている区画内に収められている、請求項1に記載した飛行船システム。
【請求項3】
前記二次気嚢を充填し、空にする前記手段の空にする手段が、前記飛行船の前記一次気嚢に取り付けられ、該一次気嚢から延びている区画の表面と一体化されたバルブ本体である、請求項1に記載した飛行船システム。
【請求項4】
前記二次気嚢を充填する手段がブロアである、請求項1に記載した飛行船システム。
【請求項5】
前記二次気嚢を充填する手段が、大気より空気を引き込む入口と、前記二次気嚢に通じる出口とを有するブロアである、請求項1に記載した飛行船システム。
【請求項6】
前記ブロアが、前記二次気嚢内に空気を保持するために、チェックバルブを前記二次気嚢に通じる出口に有する、請求項5に記載した飛行船システム。
【請求項7】
前記二次気嚢を充填し、空にする前記手段が、前記飛行船の前記一次気嚢に取り付けられ、該一次気嚢から延びている区画内に収められており、該区画が空気力学的形状を有するものである、請求項1に記載した飛行船システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−280375(P2010−280375A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−126254(P2010−126254)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(504019881)ロッキード マーティン コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6801 Rockledge Drive, Bethesda, MD 20817, U.S.A.