説明

空気を清浄にする方法

【課題】空気清浄剤製品の噴射において、香りの持続性に優れ、かつ噴射剤による布地等の変色のない噴射剤および中和剤を用いた空気清浄化方法を提供する。
【解決手段】 空気清浄組成物を貯蔵するための容器は圧縮ガスを含む噴射剤及びディスペンサーとからなる。圧縮ガスは、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、又は二酸化炭素から選ばれる。容器が噴射剤及び空気清浄組成物で完全に充填される場合、空気清浄組成物は容器から約0.0001g/s〜約1.2g/sの流速で放出される。布地に安全なアルデヒド、イオノン、シクロデキストリン、アクリル酸を含むカルボン酸の混合物から選ばれる悪臭中和剤が用いられる場合には、この方法はまた悪臭の減少を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄剤及び空気を清浄にするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の悪臭を減らす又は隠すための製品は現在入手可能であり、特許文献に記載されている。布地及びその他の表面上の悪臭を減らす又は隠すための製品もまた現在入手可能であり、特許文献に記載されている。
【0003】
S.C.ジョンソン(S.C.Johnson)は、グレード(GLADE)(登録商標)スプレー及びアウスト(OUST)(商標)布地清新剤のような製品を販売している。
【0004】
リキット・ベンキザー(Reckitt-Benckiser)は、ライゾール(LYSOL)(登録商標)消毒剤スプレー、ウィザード(WIZARD)(登録商標)製品によるエア・ウィック(AIR WICK)(登録商標)のような製品を販売している。
【0005】
これらの製品の幾つかは炭化水素を噴射剤として用いる。炭化水素を噴射剤として用いる製品は、炭化水素噴射剤により分配される液滴の大きさが小さいため、及び炭化水素噴射剤の液体から気体への相変化が急速であるために、その中に用いられるいかなる香り又は香料も非常に速く蒸発しやすいという不利を被る可能性がある。空気清浄剤の場合には、これは、香料の初めの圧倒的な噴出、及びこれらの香料を空気中で検出できる期間が短命であるという、あまり望ましくない体験を消費者にもたらし得る。これらの香料を検出できる期間を増加する試みのため、炭化水素を噴射剤として使用する製品中に追加の香料を加える傾向がある。これは、香料濃度が初めは強過ぎる、又は強烈になる傾向があるのに、長くは続かない場合があるという結果をもたらす可能性がある。
【0006】
これらの製品の幾つか、特にある種類のアルデヒドを含有する製品は、布地を自然光のもとで黄色く又は茶色く変色させる場合がある。
【0007】
プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)は、ファーブリーズ(FEBREZE)(登録商標)布地清新剤の商標の製品を販売している。これらの製品は典型的にはシクロデキストリンを含有し、噴射剤を使用しない。プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)の特許には、米国特許第5,942,217号、米国特許第5,955,093号、米国特許第6,033,679号が挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気清浄剤、又は空気清浄製品、及び空気を清浄にするための方法に関する。空気清浄製品は、香料組成物を含有してもよい又は香料組成物を悪臭中和剤と共に含有してもよい空気清浄組成物を貯蔵するための容器を含んでもよく、この容器は圧縮ガスのような噴射剤及びディスペンサーを含んでもよい。本明細書に記載される製品の多数の実施形態があり、これらのすべては非限定例であることを意図する。
【0009】
幾つかの非限定的な実施形態では、空気清浄製品は、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、又は二酸化炭素のような非炭化水素圧縮ガスを含有してもよい空気清浄組成物を貯蔵するための容器を含んでもよい。容器が噴射剤及び空気清浄組成物で完全に充填される場合、空気清浄組成物は容器から約0.0001g/s〜約1.2g/sの流速で放出されてもよい。特定の実施形態では、空気を清浄にする方法は、非炭化水素噴射剤を用いて空気清浄組成物の改善された送達を提供する。悪臭中和剤が用いられる場合には、この方法はまた悪臭の減少を提供することができる。
【0010】
その他の非限定的な実施形態では、空気清浄製品は一貫性のある香料放出特性を送達する。これらの又はその他の実施形態では、空気清浄製品はまた真の悪臭除去効果を、もとの芳香剤(即ち、悪臭中和剤のない香料組成物)の特性に影響せずに送達する場合がある。「一貫性のある香料放出特性」は、初めに送達される感知できる香料の強度及び匹敵する強度が少なくとも10分以上(例えば30分以上)の間保持されることとして定義される。「真の悪臭除去効果」は、分析的に測定可能な悪臭の減少として定義される。したがって、空気清浄製品が真の悪臭除去効果を送達する場合には、空気清浄製品は単に、香料を用いて臭気をごまかす又は隠すことにより機能するわけではない。空気清浄製品は、それが接触する布地に染みを付けないように布地に対して安全であることができる。更に、この実施形態の幾つかの変形では、製品はまた布地清新剤として用いるのに好適であることができる。
【0011】
空気清浄製品は空気中に噴霧することができる。好適ないかなる種類の物品も、空気清浄製品を空気中に噴霧するために用いることができる。空気清浄製品は、好適ないかなる種類の噴霧器を用いても噴霧することができる。1つの好適な種類の噴霧器は、エアゾール噴霧器である。エアゾール噴霧器が用いられる場合、それは好適ないかなる種類の噴射剤を用いることもできる。噴射剤には、炭化水素噴射剤、又は非炭化水素噴射剤を挙げることができる。幾つかの実施形態では、主として非炭化水素噴射剤である噴射剤(即ち体積で炭化水素噴射剤より多くの非炭化水素噴射剤、即ち噴射剤の体積の約50%を超える(又は等しい)非炭化水素噴射剤で構成される噴射剤)を用いることが望ましい。幾つかの実施形態では、噴射剤は炭化水素を実質的に含まない場合がある。空気清浄剤が非炭化水素噴射剤を用いる実施形態では、こうした噴射剤には、圧縮ガスを挙げてもよいが、これに限定されない。好適な圧縮ガスには、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、二酸化炭素など、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
こうした実施形態の1つの変形では、少なくとも幾つかの噴霧液滴は、少なくとも約10分間、またある場合には少なくとも約15分間、又は少なくとも約30分間、空気中に懸濁されるのに十分に小さい大きさである。噴霧液滴は、好適ないかなる大きさであることもできる。幾つかの実施形態では、少なくとも幾つかの噴霧液滴は、約0.01μm〜約500μm、又は約5μm〜約400μm、又は約10μm〜約200μmの範囲の直径を有する。噴霧液滴の平均粒径は、約10μm〜約100μm、又は約20μm〜約60μmの範囲であることができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、空気清浄剤製品は、初めの効果が強烈でなく、より長い期間空気中で感知されるように配合される香料を含む。特定の理論に制限されることを望まないが、香料の寿命は、より大きい液滴直径(幾つかのエアゾール噴霧器と比べて)と組み合わせて、窒素のような圧縮ガスを噴射剤として用いることに起因する場合があると考えられている。再び、特定の理論に制限されることを望まないが、こうしたより大きな液滴は、嗅覚分子の供給源を提供する香料の貯蔵所としての役割を果してもよく、これは室内に芳香の継続的供給源を提供する分子を排出し続ける。より小さい分子は、より大きい総表面積を有する液滴を提供し、これは香料を液滴からより速く放出させると考えられている。幾つかの実施形態では、香料は、実質的に同じ特性を保持しながら、空気中に少なくとも約10分以上、約30分まで、又はそれ以上の間(又はその間の期間)残留する。
【0014】
空気清浄製品はいかなる好適な容器中にも詰めることができる。好適な容器にはエアゾール缶が挙げられる。1つの実施形態では、エアゾール缶は、容器底部に平行な角度からそれに垂直な角度までの間の角度で空気清浄組成物を噴霧するディスペンサーを有してもよい。他の実施形態では、噴霧液滴の望ましい大きさは、狭い範囲の液滴直径を提供するように設定できるその他の種類の装置により送達することができる。こうしたその他の装置には、噴霧器(fogger)、超音波ネブライザー、静電噴霧器、及び回転板式噴霧器が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明白に請求する請求項によって結論とするが、添付図面と共になされる以下の記述により、本発明は更によく理解されると考えられる。
【0016】
本発明は、空気清浄剤又は空気清浄製品、及び空気を清浄にするための方法に関する。空気清浄製品は、空気清浄組成物を貯蔵するための容器を含んでもよく、この容器は圧縮ガスのような噴射剤及びディスペンサー、並びに空気清浄組成物を含んでもよい。空気清浄製品及び本明細書に記載される方法の多数の実施形態があり、これらのすべては非限定例であることを意図する。
【0017】
(空気清浄組成物)
本明細書で使用する時、「空気清浄組成物」という用語は、悪臭中和剤香料の原材料を組成物中に隠す、層化する、又は含むことにより、空気中の臭気を減少する及び/又は空気中の臭気の印象を減少する好適な組成物を指す。多数の種類の空気清浄組成物が可能である。
【0018】
特定の実施形態では、空気清浄組成物は香料組成物を含む。幾つかの実施形態では、空気清浄製品は、香料の初めの圧倒的な噴出なしに一貫性のある香料の放出特性を送達する。「一貫性のある香料放出特性」は、初めに送達される感知できる香料の強度及び匹敵する強度が少なくとも10分以上、及びある場合には少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、又は少なくとも約30分の間保持されることとして定義される。これらの時間における強度はそれぞれ、「10分の強度」、「15分の強度」などと呼ばれてもよい。
【0019】
図1は、香料の高い初期強度及び空気中での相対的に短期間の寿命を有する空気清浄剤の例の香料放出特性と、より一貫性のある香料放出特性及び空気中でのより長期間の寿命を有する理想的な空気清浄剤の例とを比較したグラフである。
【0020】
図2は、香料の高い初期強度及び空気中での相対的に短期間の寿命を有する空気清浄剤の例の香料放出特性のグラフである。図2に見られるように、空気中の香料の初期強度は非常に高く、消費者が香料の初めの圧倒的な噴出を体験することに寄与し得る。香料の初めの噴出に続いて、図2は空気中の香料の強度が急速に低下し、訓練されていない人の嗅覚の検出閾値未満に落ちることを示している。この空気清浄剤製品はしたがって、相対的に短期間の寿命を有する。加えて、こうした香料缶の特性は長い時間の間にまた変化し得る。多くの場合、香料の特性が長い時間の間に実質的に同じままであることが望ましい。この種類の香料放出特性は、ジメチルエーテル(DME)のような炭化水素噴射剤を用いる場合に、典型的に提供される。
【0021】
図3は、より一貫性のある香料放出特性及び空気中でのより長期間の寿命を有する空気清浄剤の1つの非限定例のグラフであり、その中で香料強度は検出閾値を超えたままで、より長期間残留する。この種類の香料放出特性は、窒素のような圧縮ガスを噴射剤として用いることにより提供され得る。特定の実施形態では、空気清浄組成物が、組成物が最初に分散された後約2分以内に、感覚評価尺度0〜5(以下の試験方法の部分に記載される)で測定された、約4以下(又は単に4未満)、又は約3.5以下(又は単に3.5未満)の初期強度を有する香料を含むことが望ましい。これらの、又はその他の実施形態では、空気清浄組成物の香料強度が、組成物が最初に放出された後、5、10、15、20、25、又は30分の内の1以上の期間の後に、約1、約1.5、約2、約2.5、又は約3以上の(又は単にこれを超える)強度で残留することがまた望ましい場合がある。これらの、又はその他の実施形態では、これらの期間のいずれかの間の香料組成物の強度の変化が、約3.5、約3、約2.5、約2、約1.5、約1、約0.5、又は約0以下(又は単に未満)であることが望ましい場合がある。
【0022】
一貫性のある香料放出特性を有する空気清浄剤を提供する多数の方法がある。ある場合には、これは香料組成物の製品であることができ、及び/又は空気清浄組成物が空気中に分配されるか又は分散される方式であることができる。
【0023】
香料組成物は、より一貫性のある放出特性を備える特徴を有するように配合されることができる。香料は典型的には1以上の香料成分を含む。多くの場合、これらの成分は異なる揮発性、沸点、及び臭気検出閾値を有する。香料組成物が空気中に排出される場合、より高い揮発性を有する成分(「トップノート」と呼ばれる)は、より低い揮発性を有する成分(「ミドルノート」と呼ばれる)及び最も低い揮発性を有する成分(「ボトムノート」と呼ばれる)より速く揮発し、人の嗅覚により速く検出される成分である。これは、最初に香料が放出された後、長い時間の間に香料の特性を変化させ、全体としての香料の特性は次第により少ないトップノート及びより多くのボトムノートを含有するようになる。
一般に香料成分の特性及び揮発性は、その沸点(又は「B.P.」)及びそのオクタノール/水の分配係数(又は「P」)に関して記載されてもよい。本明細書において参照される沸点は、101kPa(760mmHg)の標準気圧下で測定される。標準の101kPa(760mmHg)における多くの香料成分の沸点は、例えば「香料及び香味料の化学(Perfume and Flavor Chemicals)(アロマ・ケミカルズ(Aroma Chemicals))」(ステファン・アークタンダー(Steffen Arctander)著及び出版、1969年)の中で説明される。
【0024】
香料成分のオクタノール/水の分配係数とは、オクタノール中の平衡濃度と水中の平衡濃度との比である。空気清浄組成物中に用いられる香料成分の分配係数は、基底10に対するそれらの対数logPの形態でより簡便に示されてもよい。多くの香料成分のlogPの値が報告されている。例えばカリフォルニア州アーヴァインのデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems,Inc.)(デイライトCIS(Daylight CIS))から入手可能なポモナ92(Pomona92)データベースを参照のこと。しかしながら、logP値は、最も簡便には、同様にデイライトCIS(Daylight CIS)から入手可能な「CLOGP」プログラムにより計算される。このプログラムは、ポモナ92データベース中で利用可能な場合は、実験的なlogP値もまた一覧にしている。「logPの計算値」(ClogP値)は、ハンシュ(Hansch)及びレオ(Leo)の分画手法により決定される(A.レオ(A.Leo)、「総括医薬品化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)」、第4巻、C.ハンシュ(C.Hansch)、P.G.サメンス(P.G.Sammens)、J.B.テイラー(J.B.Taylor)、及びC.A.ラムスデン(C.A.Ramsden)編集、295頁、ペルガモン・プレス(PergamonPress)、1990年参照)。この分画手法は、各香料成分の化学構造を基にして、原子の数と種類、原子の結合性、及び化学結合を考慮に入れている。ClogP値は、最も信頼でき、またこの物理化学的特性の評価に広く用いられており、好ましくは空気清浄組成物用の香料成分の選択において実験的なlogP値の代わりに用いられる。
【0025】
香料組成物は、成分の1以上の群から選択される香料成分を含んでもよい。成分の第1の群は、約250℃以下の沸点、及び約3以下のClogPを有する香料成分を含む。より好ましくは、第1の香料成分は、240℃以下、最も好ましくは235℃以下の沸点を有する。より好ましくは、第1の香料成分は、3.0未満、より好ましくは2.5以下のClogP値を有する。香料成分の第1の群からの1以上の成分は、いかなる好適な量でも香料組成物中に存在することができる。特定の実施形態では、第1の香料成分は、香料組成物の少なくとも1.0重量%、より好ましくは香料組成物の少なくとも3.5重量%、及び最も好ましくは香料組成物の少なくとも7.0重量%の濃度で存在する。
【0026】
香料成分の第2の群は、250℃以下の沸点、及び3.0以上のClogPを有する香料成分を含む。より好ましくは、第2の香料成分は、240℃以下、最も好ましくは235℃以下の沸点を有する。より好ましくは、第2の香料成分は、3.0を超える、更により好ましくは3.2を超えるClogP値を有する。香料成分の第2の群からの1以上の成分は、いかなる好適な量でも香料組成物中に存在することができる。特定の実施形態では、第2の香料成分は、香料組成物の少なくとも10重量%、より好ましくは香料組成物の少なくとも15重量%、及び最も好ましくは香料組成物の20重量%を超える濃度で存在する。
【0027】
香料成分の第3の群は、250℃以上の沸点、及び3.0以下のClogPを有する香料成分を含む。より好ましくは、第3の香料成分は、255℃以上、最も好ましくは260℃以上の沸点を有する。より好ましくは、この追加の香料成分は、3.0未満、より好ましくは2.5以下のClogP値を有する。香料成分の第3の群からの1以上の成分は、いかなる好適な量でも香料組成物中に存在することができる。特定の実施形態では、第3の香料成分は、香料組成物の少なくとも5.0重量%の濃度で存在する。
【0028】
香料成分の第4の群は、250℃以上の沸点、及び3.0以上のClogPを有する香料成分を含む。より好ましくは、この追加の香料成分は、255℃以上、最も好ましくは260℃以上の沸点を有する。より好ましくは、追加の香料成分は、3.0を超える、更により好ましくは3.2を超えるClogP値を有する。香料成分の第4の群からの1以上の成分は、いかなる好適な量でも香料組成物中に存在することができる。特定の実施形態では、第4の香料成分は、香料組成物の少なくとも1重量%の濃度で存在する。
【0029】
空気清浄組成物の1つの実施形態では、香料組成物は、約250℃以下の沸点、及び約2.5以下のClogP値を有する少なくとも約1重量%の1以上の揮発性成分(香料成分の第1の群から)を含む。空気清浄組成物の別の実施形態では、香料組成物は、約250℃以下の沸点、及び約3以上のClogP値を有する少なくとも約10%の1以上の成分(香料成分の第2の群から)を含む。空気清浄組成物の別の実施形態では、香料組成物は、約250℃以上の沸点、及び約3以下のClogP値を有する少なくとも約5%の1以上の成分(香料成分の第3の群から)を含む。別の実施形態では、香料組成物は、約250℃以上の沸点、及び約3以上のClogP値を有する少なくとも約1%の1以上の成分(香料成分の第4の群から)を含む。香料組成物はまた、上記の実施形態のどの好適な組み合わせを含んでもよい。
【0030】
例えば、別の実施形態では、香料組成物は、香料成分の第1の群からの少なくとも1つの香料、及び香料成分の第2の群からの少なくとも1つの香料を含む。より好ましくは、香料組成物は、香料成分の第1の群から選択される複数の成分、及び香料成分の第2の群から選択される複数の成分を含む。空気中での芳香の知覚を延長するために、追加の群3及び4からの複数の成分を含み、感覚体験を完全なものにする援助をすることが推奨される。
【0031】
空気清浄組成物に有用な香料組成物は、相対的に高濃度の特に選択された香料成分を使用することができる。臭気検出閾値として知られる現象のために、このような高濃度での香料の使用は以前には行われていない。香料原料は、香料を嗅ぐ個人に嗅覚反応を生じさせる。一貫して感知され、個人に嗅覚反応を生じさせる香料成分の最小濃度は、臭気検出閾値(ODT)として知られている。香料の濃度が増加するにつれて、香料の臭気強度及び個人の嗅覚反応も増加する。これは、香料濃度が最大値に達するまで増大し、最大値では臭気強度がプラトーに達し、それを超えては個人による追加的な嗅覚反応は生じない。個人が臭気を一貫して感知できる香料濃度の範囲は、臭気検出範囲(ODR)として知られている。
【0032】
より高濃度を含む組成物は、追加的な嗅覚反応を提供しないため、及びしたがって費用がかかり、また非能率であるため、香料組成物中の香料成分の濃度は、香料成分のODR以内で配合されるべきであると現在まで考えられていた。
【0033】
しかしながら出願人は、ある状況では、少なくとも幾つかの香料成分(複数可)のODRを超えることが望ましい場合があることを見出した。製品が水性エアゾール又はポンプ式スプレー中で用いられる場合には、香料が単に溢れるほどであり、また非常に目立つだけでなく、室内の全表面上に広められた複数の液滴から拡散し続けることもまた見出された。香料の貯蔵所は拡散した香料を置き換える役目をし、したがって使用中ずっと、及び好ましくはそれが初めに噴霧されるか又はさもなければ分散された後に、室内の香料濃度を、香料の臭気検出閾値以上に保持する。更に、香料は組成物が用いられる部屋中に、より長い間漂う傾向があることも見出された。そのため、好ましい実施形態において、第1及び/又は第2香料成分から選択される少なくとも1つの香料成分が、好ましくはODRの50%を超える、より好ましくはODRの150%を超える濃度で存在する。香料を長時間持続させるためには、少なくとも1つの香料成分がODRの300%を超える濃度で添加され得る。
【0034】
特定の実施形態では、本明細書に記載される香料組成物は長い時間の間に、より一貫性のある特性を保持することができる。より大きい液滴直径(複数の小さい液滴と比較してより小さい総表面積を有する)は、極めて揮発性のトップノートが揮発する速度を減少させるために用いられ得る。液滴は、それらが空気中に懸濁される場合に香料組成物を放出できるのみでなく、それらはまた表面(例えばテーブル、又は調理台、家具、及び床、カーペットなど)に接触するまで落下することができる。これらの表面上に落下する液滴は、香料組成物の「貯蔵所」としての役目をすることができ、またこうした表面上に落ちた後で香料組成物を放出することができる。この方式で、消費者に最初に感知された香りの継続的な更新ができ、これは長い期間にわたって液滴から放出される分子により補給される。より重い、より高い臭気検出閾値(「ODT」)の分子(例えばムスク、ウッディ・ノートなどのようなボトムノート)と、新しく放出された、より新鮮な、より揮発性の、より低いODT物質との混合作用は、製品が最初に適用された時に、消費者が初めに体験した香りに似ている香りを消費者に提供する。
【0035】
臭気検出閾値は、炎イオン化及び嗅ぎ口(sniff-port)を装備した市販のガスクロマトグラフ(「GC」)を用いて測定される。ガスクロマトグラフを、濃度及び鎖長分布が既知の炭化水素の基準を用いて、シリンジにより注入された物質の正確な容量、精密なスプリット比、及び炭化水素の反応性を測定できるように較正する。空気の流速を正確に測定し、ヒトの吸入持続時間を12秒続くと仮定して、試料の容量を算出する。検出器における精密な濃度は適時どの時点でもわかるので、吸入された容量当たりの質量がわかり、物質の濃度が計算できる。物質が50ppb未満の閾値を有するかどうかを決定するために、逆算した濃度で、溶液を嗅ぎ口(sniff port)に運ぶ。パネリストはGC流出液を嗅ぎ、臭気を感知した時の保持時間を確認する。パネリスト全員の平均を感知可能閾値と決定する。
【0036】
検出器における50ppbの濃度を達成するために、必要な検体量をカラムに注入する。臭気検出閾値を決定するための典型的なガスクロマトグラフのパラメータは以下に記載のとおりである。試験は、装置に付随した手引きにしたがって行われる。
【0037】
装置:
GC:FID検出器を有する5890シリーズ(米国カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ社(Agilent Technologies,Ind.))
7673オートサンプラー(米国カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ社(Agilent Technologies,Ind.))
カラム:DB−1(米国カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ社(Agilent Technologies,Ind.))
長さ30m、ID0.25mm、フィルム厚さ1μ(キャピラリー管内壁上のポリマー層、これは分離が生じるように選択的分配を提供する)
方法のパラメータ:
スプリット注入:17/1のスプリット比
オートサンプラー:注入当たり1.13μL
カラム流量:1.10mL/分
空気流量:345mL/分
注入口温度245℃
検出器温度285℃
温度情報
初期温度:50℃
速度:5C/分
最終温度:280℃
最終的な時間:6分
主要な仮定:(i)1嗅ぎあたり12秒
(ii)GCの空気が試料の希釈に加わる
第1及び第2の香料成分は、特に、エステル、ケトン、アルデヒド、アルコール、これらの誘導体、及びこれらの混合物を含んでもよい。表1は、第1の香料成分の幾つかの非限定例を提供し、表2は、第2の香料成分の幾つかの非限定例を提供する。
【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

【0040】
【表2−1】

【0041】
【表2−2】

表3は、約250℃以上の沸点を有する、香料成分の第3及び第4の群の幾つかの非限定例を提供する。
【0042】
【表3】

1「M.P.」は融点(℃による)であり、これらの成分は275℃より高い沸点を有する。
【0043】
香料業界において、臭気のない又は臭気の少ない幾つかの補助物質が、例えば、溶媒、希釈剤、展延剤、又は固定剤として用いられる。これらの物質の非限定例は、エチルアルコール、カルビトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、イソプロピルミリステート、及びベンジルベンゾエートである。例えば取り扱い及び/又は配合を改善するために、例えば幾つかの固体の又は粘稠な香料成分を可溶化又は希釈するために、これらの物質が用いられる。これらの物質は香料組成物に有用であるが、本明細書で用いられる香料組成物の定義/配合のための範囲の計算には入らない。
【0044】
低い臭気検出閾値の値を有する香料成分及び更にその他の成分を、好ましくは少量で本明細書に記載される香料組成物中に用いることが望ましいことがある。臭気物質の臭気検出閾値とは、検出可能な物質の最低の蒸気濃度のことである。臭気検出閾値及び幾つかの臭気検出閾値の値は、例えば、M.デボス(M.Devos)らの、「標準化ヒト嗅覚閾値(Standardized Human Olfactory Thresholds)」(オックスフォード大学出版のIRL出版(IRL Press at Oxford University Press)、1990年)、及び「臭気及び味の閾値の値データの編集(Compilation of Odor and Taste Threshold Values Data)」(F.A.ファザラーリ(F.A.Fazzalari)編集、ASTMデータシリーズ(ASTM Data Series)DS 48A、アメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Materials)、1978年)に論じられている。低い臭気検出閾値の値を有する少量の香料成分の使用は、例えば香料の特性に複雑性を加えて芳香を「完全なものにする」ことにより、香料の特性を改善することができる。香料組成物中に有用な低い臭気検出閾値の値を有する香料成分の例には、クマリン、バニリン、エチルバニリン、メチルジヒドロイソジャスモネート、3−ヘキセニルサリチラート、イソオイゲノール、リラール、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、メチルβナフチルケトン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの物質は、いかなる好適な濃度でも存在することができる。幾つかの実施形態では、これらの物質は、香料組成物中に低濃度、典型的には、香料組成物の5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満で存在してもよい。
【実施例】
【0045】
A〜Hに番号付けされた次の実施例は、好適な香料組成物の非限定実施例である。
【0046】
【表4】

その他の実施形態では、空気清浄組成物は、より一貫性のある放出特性をそれに提供する方式で分散させることができる。空気清浄組成物は空気中に噴霧することができる。いかなる好適な種類の物品も、空気清浄組成物を空気中に噴霧するために用いることができる。空気清浄組成物は、好適な種類の噴霧器を用いて噴霧することができる。1つの好適な種類の噴霧器は、エアゾール噴霧器である。エアゾール噴霧器が用いられる場合、それは好適ないかなる種類の噴射剤を用いることもできる。噴射剤には、炭化水素噴射剤、又は非炭化水素噴射剤を挙げることができる。幾つかの実施形態では、主として非炭化水素噴射剤である噴射剤(即ち体積で炭化水素噴射剤より多くの非炭化水素噴射剤で構成される噴射剤)を用いることが望ましい。幾つかの実施形態では、噴射剤は、イソブテン、ブタン、イソプロパン、及びジメチルエーテル(DME)のような炭化水素を実質的に含まなくてもよい。
【0047】
特定の理論に制限されることを望まないが、炭化水素噴射剤を使用するエアゾール缶から分散される幾つかの空気清浄剤が、香りの初めの圧倒的な噴出、及び香りが空気中で短い寿命を有することを特徴とする望ましくない放出特性を有することの1つの理由は、炭化水素を噴射剤として使用する缶からの噴霧が、組成物の多数の小さい液滴を含有するためであると考えられている。組成物の多数の小さい液滴は、空気清浄組成物を空気に暴露するための多量の表面積を提供し、これは香りが急速に揮発することを可能にし、並びに香りの初めの圧倒的な噴出、及び香りの短い寿命に寄与すると考えられている。図4は、窒素を噴射剤として用いる噴霧と比較した、ジメチルエーテル(DME)炭化水素を噴射剤として用いる噴霧中の相対的により多量の小さい液滴の比較を示す。
【0048】
そのため、幾つかの実施形態では、空気清浄剤は、非炭化水素噴射剤を用いる容器から分散されることが望ましい場合がある。こうした噴射剤には、圧縮ガスを挙げてもよいが、これに限定されない。加えて、幾つかの圧縮ガスは、炭化水素噴射剤より環境に優しい可能性があり、これは実際の空気清浄にそれらをより好適にすることができる。好適な圧縮ガスには、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、二酸化炭素など、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
こうした実施形態の1つの変形では、少なくとも幾つかの噴霧液滴は、少なくとも約10分間、またある場合には少なくとも約15分間、又は少なくとも約30分間、空気中に懸濁されるのに十分に小さい大きさである。噴霧液滴は、好適ないかなる大きさであることもできる。幾つかの実施形態では、少なくとも幾つかの噴霧液滴は、約0.01μm〜約500μm、又は約5μm〜約400μm、又は約10μm〜約200μmの範囲の直径を有する。噴霧液滴の平均粒径は、約10μm〜約100μm、又は約20μm〜約60μmの範囲であることができる。
【0050】
圧縮ガス系は、より望ましい香料放出特性をもたらす大きい粒子を生成するが、これらの同じ粒子は、それらがより重く及び地上に落下するために床及び他の表面の濡れを引き起こす可能性がある。本発明の1つの実施形態では、製品の合計放出量及び噴霧液滴/粒径分布は、香料の有効性を支持するが表面の濡れの問題を回避するように選択される。製品の合計放出量は、それが容器から放出される時の製品の流速により決定される。最小の表面の濡れをもたらす噴霧特性を達成するために、低い流速及び小さい噴霧液滴を有することが望ましい。好ましい実施形態では、流速は1.2g/s未満であり、また液滴は、地上から1.5m(5フィート)の高さで分配された場合に、40%未満の液滴しか地上に落下しないほど小さい。より好ましくは、液滴は、地上から1.5m(5フィート)の高さで分配された場合に、35%未満の液滴しか地上に落下しないほど小さい。更により好ましくは、液滴は、地上から1.5m(5フィート)の高さで分配された場合に、30%未満の液滴しか地上に落下しないほど小さい。
【0051】
低い流速はバルブ、配送チューブ、及び/又はノズルを介して達成することができるが、ノズルの修正により目詰まりの現象を受けにくくなることが証明されている。噴霧が広い円錐角で分配される場合には、小さい粒子を能率的に作り出すことができる。所与のノズル構成要素及び配送チューブについては、円錐角は、配送チューブ中のノズルの挿入の深さを変えることにより修正することができる。好ましい実施形態では、円錐角は約20度より大きい。より好ましくは、円錐角は約30度より大きく、更により好ましくは約35度より大きい。更により好ましくは、円錐角は約40度より大きく、より好ましくは約50度より大きい。
【0052】
非炭化水素噴射剤が用いられる場合、分配装置を出る時の空気清浄組成物の流速が重要になる。流速は、大きい噴霧液滴の形成を防止するために十分低くあるべきである。本出願のためには、流速は、製品の充填された容器により、使用の最初の60秒間に噴出される製品の速度を測定することにより決定される。好ましい実施形態では、容器から放出される空気清浄組成物の流速は、約0.0001g/s〜約1.2g/sである。より好ましくは流速は、約0.001g/s〜約1.1g/sである。更により好ましくは流速は、約0.01g/s〜約1.0g/sである。なおより好ましくは流速は、約0.1g/s〜約1.1g/sである。更により好ましくは流速は、約0.1g/s〜約1.0g/sである。別の実施形態では、流速は、約0.1g/s〜約0.9g/sである。より好ましくは流速は、約0.1g/s〜約0.8g/sである。
【0053】
空気清浄組成物はいかなる好適な容器中にも詰めることができる。好ましくは、容器は少なくとも約120gの空気清浄組成物を保持する。より好ましくは、容器は少なくとも約130gの空気清浄組成物を保持し、更により好ましくは容器は少なくとも約150gの空気清浄組成物を保持する。好適な容器にはエアゾール缶が挙げられる。好ましい実施形態では、容器は缶内袋型(bag−in−can)系ではない。1つの実施形態では、エアゾール缶は、製品の空気中への噴霧を容易にするために、容器底部に平行な角度からそれに垂直な角度までの間の角度で空気清浄組成物を噴霧するディスペンサーを有してもよい。その他の実施形態では、圧縮ガスを噴射剤として用いる噴霧器に加えて、狭い範囲の液滴直径を提供するように設定できるその他の種類の装置により、所望の大きさの噴霧液滴を送達することができる。こうしたその他の装置には、噴霧器(fogger)、超音波ネブライザー、静電噴霧器、及び回転板式噴霧器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
(悪臭制御)
空気清浄製品はまた真の悪臭除去効果を送達してもよい。真の悪臭除去効果は、感覚的に及び分析的にの両方において測定可能(例えばガスクロマトグラフによる)な悪臭の減少として定義される。したがって、空気清浄製品が真の悪臭除去効果を送達する場合には、空気清浄製品は単に、香料を用いて臭気をごまかす又は隠すことにより機能するわけではない。しかしながら、空気清浄製品の幾つかの実施形態は、臭気を隠すことにより部分的に又は全体的に機能してもよいこともまた、本明細書において企図される。空気清浄製品に悪臭中和剤が提供される場合には、空気清浄製品は、幾つかの種類の内1以上の臭気制御機構を使用してもよい。
【0055】
(悪臭の中和)
空気清浄組成物の1つの種類は、蒸気相技術による悪臭中和を利用する。蒸気相技術は、空気中の悪臭を化学反応又は中和によって緩和する悪臭中和剤として定義される。より好ましくは、悪臭中和剤は布地に安全である。
【0056】
蒸気相技術を利用する組成物の1つの実施形態では、空気清浄組成物は、1以上の布地に安全な脂肪族アルデヒド及び/又は1以上のエノン(不飽和二重結合を有するケトン)を含む。これらの蒸気相技術が、所望の香料の特性に悪影響を事実上及ぼさないこともまた望ましい場合がある。特定の悪臭技術には臭いがあり(odoriforess)、芳香の全体としての特性に悪影響を及ぼす。この場合には、この技術に用いられる香料原料が悪臭中和剤のいかなる臭気も中和するように選択されて、香料/悪臭中和剤のプレミックスが形成される。この臭気が中和されたプレミックスは次に、もとの芳香の特性に影響せずにもとの香料に添加することができる。これにより蒸気相技術は、より広く多種多様な芳香の種類に用いることができる。加えて、直鎖脂肪族主鎖を主として含む蒸気相技術の種類は、複数の二重結合及びベンゼン環を含有するアルデヒドの種類を使用する製品と異なり、布地を変色させない。
【0057】
蒸気相技術を使用する悪臭中和剤は、香料組成物中にいかなる好適な量でも存在することができる。特定の実施形態では、悪臭中和剤は、香料組成物の約1重量%以上且つ約50重量%未満の量で存在してもよい。他の実施形態では、悪臭中和剤は、香料組成物の約3重量%以上且つ約30重量%未満の量で存在してもよい。他の実施形態では、悪臭中和剤は、香料組成物の約8重量%以上且つ約15重量%未満の量で存在してもよい。
【0058】
次の表は、布地の黄ばみを避けるためにアルデヒド及びエノンを適切に選択することの重要性を例示している。
【0059】
【表5】

好適な脂肪族アルデヒドの例はR−COHであり、その場合Rは飽和C7〜C22直鎖及び/又は2以下の二重結合を有する分枝鎖である。脂肪族アルデヒドの追加の例は、リラール、メチルジヒドロジャスモネート、リグストラール、メロナール、オクチルアルデヒド、シトラール、サイマール、ノニルアルデヒド、ボージュナール、P.T.ブシナール(P.T.Bucinal)、デシルアルデヒド、ラウリルアルデヒド、及びこれらの混合物である。好適なエノンの例は、イオノンα、イオノンβ、イオノンγメチル、及びこれらの混合物である。悪臭中和剤は、1以上の脂肪族アルデヒド、1以上のエノン、又はこれらの組み合わせを含むことができる。次のものは、布地に安全な蒸気相悪臭中和剤を含む香料製剤の幾つかの非限定例である。
【0060】
(悪臭中和剤を有する香料組成物の例)
【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

ある場合には、洗濯される布地は、それらが洗浄される洗剤から付着した残留光沢剤を有する。そのため、反応性アルデヒドが光沢剤に適合性があることが望ましい場合があり、その結果、空気清浄組成物は、接触する布地を変色させない。複数の上記の例は光沢剤に適合性がある。
【0066】
複数の上記の例において、空気清浄組成物は、イオノンと反応性アルデヒドとの混合物を含む。アルデヒドはアミンの臭気(例えば魚及びタバコの臭気)と反応する。図5〜7は、こうした臭気除去機構の1つの非限定例を示す。図5は、空気中のブチルアミン(魚の臭気)の存在を示す。図6は、空気中のリリアール(アルデヒド)の存在を示す。図7は、2物質(臭気のあるブチルアミン及び悪臭中和剤アルデヒド−リリアール)が組み合わされる場合に、ブチルアミン及びリリアールは空気中にもはや存在せず、アミンの特徴である臭気のない新しい物質が形成されることを示す。
【0067】
(液状ミスト臭気トラップ(Liquid Mist Odor Traps))
空気清浄組成物の別の種類は、水溶性悪臭中和剤が組み込まれた液状ミスト臭気トラップ(liquid mist odor traps)を含む。液状ミストは、ミストが空気中に懸濁し地上に落下する時に、悪臭を空気中から取ることにより悪臭を除去することができる。親水性の悪臭(例えば煙、魚、タマネギなど)はミスト中でその場で液相に溶解する。不揮発性悪臭中和剤(例えばシクロデキストリン、イオノン、ポリアクリル酸など)は、組成物が空気中に懸濁されるミストである場合に、悪臭を中和する。シクロデキストリンは、異なる有機分子と錯体を形成し、それらをより揮発性でなくする。イオノンはアミンと反応する。ポリアクリル酸は、アミン及びチオールを中和する。
【0068】
図8及び9は、液状ミスト臭気トラップの幾つかの一般的な種類の臭気への効果を示す。図8は、悪臭中和剤を空間に導入する前と後の、空気中の2種類のタバコの悪臭の濃度の減少を示す。図9は、悪臭中和剤を空間に導入する前と後の、空気中の身体及び浴室の悪臭の濃度の減少を示す。
【0069】
(感覚の修正)
空気清浄組成物のその他の種類は、臭気に暴露された人々の感覚の修正により機能する。臭気の感覚認知を修正する少なくとも2つの方法がある。1つの方法(慣れ)は、臭気に暴露された人が臭気より香料を多く嗅ぐように、香料を用いて臭気を隠すことである。もう1つの方法(嗅覚消失)は、悪臭への人の感受性を低減することである。イオノンは、特定の望ましくない臭気、例えば卵、タマネギ、ニンニクなどにより生じるイオウの臭気の存在への人の嗅覚系の感受性を低減することができる組成物である。
【0070】
空気清浄組成物は、上記の1以上の種類の悪臭制御機構及び成分(例えば、親水性の臭気トラップ、蒸気相技術、及び臭気遮断剤(感覚修正剤))を使用することができる。
【0071】
空気清浄組成物は、いかなる好適な方式でも製造することができる。すべての香料成分及びいかなる悪臭中和剤成分も、単に共に混合することができる。特定の実施形態では、香料と悪臭中和剤との混合物を濃縮製品として使用することが(及び噴霧などによりこうした濃縮製品を分配することが)望ましい場合がある。その他の実施形態では、成分の混合物は、この混合物を幾らかの好適なキャリアに加えることにより希釈することができ、またその組成物は同様な方式で分配することができる。水及び/又はアルコールのような水性キャリアが挙げられるが、これらに限定されないいかなる好適なキャリアも用いることができる。
【0072】
香料成分及びいかなる悪臭中和剤成分も、空気清浄組成物のいかなる好適な百分率をも構成することができる。残部は、キャリア、及び任意成分から構成されることができる。任意成分には、溶媒、アルコール(例えば、エタノール)、界面活性剤、防腐剤、及びその他の品質管理成分が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、香料成分及び悪臭中和剤成分は、空気清浄組成物の約0.01重量%〜約100重量%を構成するか、又はこの範囲内の他の範囲を構成する。香料及び悪臭中和剤成分が希釈される実施形態では、こうしたより狭い範囲の1つの非限定例は、空気清浄組成物の約0.05%〜約1%である。その他の実施形態では、1以上の布地に安全なアルデヒド及び/又は1以上の布地に安全なイオノンが、前記組成物の約25重量%以下を構成する。
【0073】
悪臭中和剤を有する空気清浄剤組成物
(A)液体製品
【0074】
【表11】

(a)ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン。
【0075】
(B)噴射剤:窒素が好ましい
製品と噴射剤との比:体積で60/40〜70/30。
【0076】
(空気を清浄にする方法)
空気を清浄にする方法は、香料組成物及び任意に1以上の悪臭中和剤を含む空気清浄組成物を提供すること、並びにこの空気清浄組成物を空気中に分散させることを含むことができる。空気清浄組成物は、本明細書に記載される噴霧器、物品、及び装置、又はその他の好適な装置、又はその他の好適な方式により分散させることができる。空気清浄組成物は、噴霧液滴の形態で分散させることができ、ある場合には液滴が本明細書に指定される特定の大きさの液滴直径を有することが望ましい場合がある。方法は、本明細書で指定される結果を達成するような方法で実行され得る。例えば、1つの非限定的な実施形態では、方法は、香料が、(1)組成物が最初に分散された後2分、及び(2)組成物が最初に放出された後5分で、約2.5以上であるが約3.5未満の範囲である、感覚評価尺度0〜5で測定された強度を有するような方式で実行され得る。
【0077】
(試験方法)
(香料強度試験)

臭気室の説明−19m3の大きさ、リノリウム床、乾式壁体の壁、防音タイル天井。 部屋はまたトイレ、流し、調理台、及びシャワー室を含む。
【0078】
(香料強度評価手順)
1.臭気室の空気制御装置を排気(これは空気を部屋から建物の外に排出する)に15分間設定する。
【0079】
2.訓練された臭気評価者が、室内にいかなる残留香料又は部屋の臭気も存在しないことを検証する。臭気室の空気制御装置を「オフ」の位置に設定するが、これは部屋内のいかなる空気の流れ又は空気の交換も停止する(注:相対湿度及び温度は制御されず、時期に応じて変化し得る)。
【0080】
3.訓練された臭気評価者が、臭気室に入りドアを閉める。
4.エアゾール化された空気ケア試料を臭気室内に3秒間噴霧する。
【0081】
5.訓練された臭気評価者が香料の臭気評価を次の60秒間にわたって行い、室内の強度、特性、及び分布を観測する。部屋を出る際にすべてのドアを閉じ、試験期間中は閉じたままにする。
【0082】
6.同じ訓練された臭気評価者が、再び臭気室に入り、入室の際にドアを閉め、初めの評価の後5分、及び30分で、香料臭気評価を行う。
【0083】
(香料強度尺度)
5=非常に強い、即ち極めて強烈であり、鼻にツンと来る、ほとんどそれを味わうことができる
4=強い、即ち部屋に非常に充満しているが、僅かに強烈である
3=中程度、即ち部屋に充満している、特性がはっきりと認識できる
2=弱い、即ちどこでも嗅ぐことができ、なお特性が認識できる
1=非常に弱い、即ち部屋のすべての部分で嗅ぐことはできない
0=臭気無し
(悪臭除去試験)
臭気室の説明−18.1m3(640ft3)の大きさ、リノリウム型床、乾式壁体の壁、及び天井。
【0084】
(臭気評価手順)
1.臭気室の空気制御装置を排気(これは空気を部屋から建物の外に排出する)に最低限15分間設定する。
【0085】
2.訓練された臭気評価者が、室内にいかなる残留香料、悪臭汚染物質、又は部屋の臭気も存在しないことを検証する。臭気室の空気制御装置を「オフ」の位置に設定するが、これは部屋内のいかなる空気の流れ又は空気の交換も停止する(注:相対湿度及び温度は制御されず、時期に応じて変化し得る)。
【0086】
3.試験進行者が悪臭試験準備のために悪臭を2つの部屋に導入する。
4.訓練された臭気評価者が各部屋に入り、臭気評価を次の60秒間にわたって行い、室内の悪臭強度、特性、及び分布を観測する。部屋を出る際にすべてのドアを閉じ、試験期間中は閉じたままにする。
【0087】
5.試験進行者が、エアゾール化された試験製品を、1つの部屋の中のみに噴霧し、他方の部屋は「悪臭のみ」の対照として保持する。
【0088】
6.訓練された臭気評価者が再び各部屋に入り、臭気評価を次の60秒間にわたって行い、室内の強度、特性、及び分配を観測する。試験製品により処置された部屋について、香料の臭気及び悪臭の減少の両方について観測を行う。部屋を出る際にすべてのドアを閉じ、試験期間中は閉じたままにする。
【0089】
7.同じ訓練された臭気評価者が、2つの臭気室の各々に再び入り、入室の際にドアを閉め、初めの評価の後5分、及び20分で、悪臭及び/又は香料臭気評価を行う。
【0090】
(室内悪臭強度尺度)
5=非常に強い、即ち強烈であり、鼻にツンと来る、ほとんどそれを味わうことができる
4=強い、即ち部屋に非常に充満しているが、強烈ではない
3=中程度、即ち部屋に充満している、特性がはっきりと認識できる
2=弱い、即ちどこでも嗅ぐことができ、なお特性が認識できる
1=非常に弱い、即ち部屋のすべての部分で嗅ぐことはできない
0=臭気無し
空気清浄組成物は、特定の実施形態では、初めの評価後5分、及び20分が挙げられるがこれらに限定されない、いかなる期間の後にも、いかなる量でも悪臭の減少を提供することができる。
【0091】
前述の両試験において、尺度上の数値の間(例えば、中間)にある強度を有することが可能である。
【0092】
本記述全体にわたって言及したすべての特許、特許出願(及びそれに基づいて発行された特許及び関連して発行された外国特許出願)、並びに公開公告の開示内容を本明細書に参考として組み込む。但し、本明細書に参考として組み込まれる文献のいずれもが本発明を教示又は開示していないことを明言する。
【0093】
特に指定がない限り、本明細書で特定される百分率はすべて重量に基づく。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大限度数の中には、それよりも低いあらゆる限度数も、本明細書に明確に記載されたものとして含まれると理解すべきである。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小の数値限定の中には、それよりも高いあらゆる数値限定も、本明細書に明確に記載されたものとして含まれる。本明細書全体で記載されるあらゆる数値範囲の中には、当該数値範囲内における、より狭い数値範囲も、すべて本明細書に明確に記載されたものとして含まれる。
【0094】
本発明の特定の実施形態について記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明らかである。更に、本発明をある特定の実施形態と関連して説明してきたが、これは説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義され、これは従来技術が可能にするのと同様に幅広く考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】香料の高い初期強度及び空気中での相対的に短期間の寿命を有する空気清浄剤の例の香料放出特性と、より一貫性のある香料放出特性及び空気中でのより長期間の寿命を有する空気清浄剤の例とを比較したグラフ。
【図2】香料の高い初期強度及び空気中での相対的に短期間の寿命を有する空気清浄剤の例の臭気検出閾値に関する香料放出特性を示すグラフ。
【図3】より一貫性のある香料放出特性及び空気中でのより長期間の寿命を有する空気清浄剤の1つの非限定例のグラフ。
【図4】窒素を噴射剤として用いる噴霧と比較した、ジメチルエーテル(DME)炭化水素を噴射剤として用いる噴霧中の相対的により多量の小さい液滴を示す棒グラフ。
【図5】空気中のブチルアミン(魚の臭気)の存在を示すガスクロマトグラフのプリントアウト。
【図6】空気中のリリアール(アルデヒド)の存在を示すガスクロマトグラフのプリントアウト。
【図7】2つの物質が組み合わされた場合に何が起きるかを示すガスクロマトグラフのプリントアウト。
【図8】悪臭中和剤を空間に導入する前と後にわたっての、空気中の2種類のタバコの悪臭の濃度を示すグラフ。
【図9】悪臭中和剤を空間に導入する前と後にわたっての、空気中の身体及び浴室の悪臭の濃度を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄組成物を空気中に分散させることを含む空気を清浄にする方法であって、その際、前記空気清浄組成物が容器中に提供され、前記容器が:
a)圧縮ガスを含む噴射剤、及び
b)ディスペンサー
を含み;
その際、前記圧縮ガスが、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、及び二酸化炭素から成る群から選択され、更にその際、前記容器が前記噴射剤及び前記空気清浄組成物により完全に充填される場合に、前記空気清浄組成物が前記容器から0.0001g/s〜1.2g/sの流速で放出される、前記方法。
【請求項2】
前記空気清浄組成物が、前記容器から0.001g/s〜1.1g/sの流速で放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気清浄組成物が、前記容器から0.01g/s〜1.0g/sの流速で放出される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
空気清浄組成物を空気中に分散させることを含む空気を清浄にする方法であって、その際、前記空気清浄組成物が、少なくとも120gの前記空気清浄組成物を保持する容器中に提供され、前記容器が:
a)圧縮ガスを含む噴射剤、及び
b)ディスペンサー
を含み;
その際、前記圧縮ガスが、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、及び二酸化炭素から成る群から選択され、更にその際、前記空気清浄組成物が前記容器から0.0001g/s〜1.5g/sの流速で放出される、前記方法。
【請求項5】
悪臭中和剤を含む空気清浄組成物を空気中に分散させることを含む空気を清浄にする方法であって、その際、前記空気清浄組成物が容器中に提供され、前記容器が:
a)圧縮ガスを含む噴射剤、及び
b)ディスペンサー
を含み;
その際、前記圧縮ガスが、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、及び二酸化炭素から成る群から選択され、更にその際、前記空気清浄組成物が前記容器から0.0001g/s〜1.5g/sの流速で放出される、前記方法。
【請求項6】
前記空気清浄組成物が香料を更に含み、前記香料が、前記悪臭中和剤の前記空気清浄組成物中への組み込み前に、感覚パネルにより検出されるような初期特性、及び前記悪臭中和剤の前記空気清浄組成物中への組み込み後に実質的に同じである特性を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記悪臭中和剤が、1以上の布地に安全なアルデヒドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記悪臭中和剤が、1以上の布地に安全なイオノンを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記悪臭中和剤が、(1)1以上の布地に安全なアルデヒド、(2)1以上の布地に安全なイオノン、並びに(3)シクロデキストリン、モノ、ジ、トリ及びポリアクリル酸を含むカルボン酸並びにこれらの混合物の内の少なくとも1つ、の内の2以上の混合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
空気清浄組成物を空気中に分散させることを含む空気を清浄にする方法であって、その際、前記空気清浄組成物が非缶内袋型(non-bag-in-can)容器中に提供され、前記容器が:
a)圧縮ガスを含む噴射剤、及び
b)ディスペンサー
を含み;
その際、前記圧縮ガスが、圧縮空気、窒素、亜酸化窒素、不活性ガス、及び二酸化炭素から成る群から選択され、更にその際、前記空気清浄組成物が前記容器から0.0001g/s〜1.5g/sの流速で放出される、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−15120(P2006−15120A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−114443(P2005−114443)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】