説明

空気浄化装置

【課題】浄化した空気を室内の所定のエリアに向けて供給することができ、しかも、既存の空調機との組合せが容易な空気浄化装置を提供する。
【解決手段】空気浄化装置1は、天井に設置された空調機100の吹出口101から吹き出した空気を浄化するための空気浄化装置である。この空気浄化装置1は、吹出口101から吹き出した空気を浄化するためのイオンを放出するイオン発生部3を有する本体部2と、本体部2を天井面における吹出口101の下流側に固定するための取付用のネジ31a、31b、32a、32b、32c、33a、33b、33cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に設置された空調機の吹出口から吹き出した空気を浄化するための空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の天井に設置された空調機において、室内に供給される空気をイオンで浄化するために、特許文献1に記載されているように、ケーシング内部にイオン発生器が設置された空調機が従来より提案されている。この空調機では、ケーシング内部に取り込まれた空気をイオン発生器から発生したイオンによって浄化する。イオンによる空気の浄化によって、空気に含まれる臭いの元になる微粒子を分解したり、空気中のカビ菌を殺菌することができる。その後、浄化された空気は、ケーシング外部へ排出され、室内空間に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−17362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような空調機では、ケーシング内部に取り込まれた空気のすべてをイオン発生器から発生したイオンによって浄化した後にケーシング外部へ放出するため、浄化した空気を室内のある所定のエリアだけ供給することが困難である。例えば、複数の吹出口を有する空調機では、イオンで浄化された空気がすべての吹出口から吹き出すので、室内空間のうちとくに浄化した空気を送りたい所定のエリア(人が多く居るエリアなど)だけに向けて供給することが困難である。このため、所定のエリアに十分に浄化した空気を行き渡らせるためには、イオンを多量に発生しなければならず、コスト的に無駄が多い。
【0005】
また、このようなイオン発生器を天井に設置された既存の空調機に組み込んで使用する場合、イオン発生器を組み込む作業は、非常に手間がかかる。しかも、イオン発生器がケーシング内部の空気流路に設置されることによって、空調機の風量低下や風切り音が発生するおそれもある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、浄化した空気を室内の所定のエリアに向けて供給することができ、しかも、既存の空調機との組合せが容易な空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、天井に設置された空調機の吹出口から吹き出した空気を浄化するための空気浄化装置であって、前記吹出口から吹き出した空気を浄化するためのイオンを放出するイオン発生部を有する本体部と、前記本体部を天井面における前記吹出口の下流側に固定するための取付手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、ネジなどの取付手段を用いて、空気浄化装置の本体部を空調機の所定の吹出口の下流側に設置することにより、所定の吹出口から吹き出す空気を浄化し、浄化した空気を室内の所定のエリアに向けて供給することができる。
【0009】
また、本体部が空調機の所定の吹出口の下流側に設置されるので、空調機の内部に設置する場合と比較して、既存の空調機との組合せが容易である。
【0010】
また、前記本体部は、前記イオン発生部が固定された台座部と、前記イオン発生部を覆うカバー部とを有し、前記カバー部には、前記空調機の吹出口から吹き出した空気を導入する導入口と、前記導入口から前記カバー部内部に導入され、空気とともに前記イオンを排出する排出口とが形成されているのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、導入口および排出口を有するカバー部がイオン発生部を覆うことによって、イオン発生部を保護するとともにイオンで浄化された空気およびイオンの流れを排出口から所定の向きに排出することができる。
【0012】
さらに、前記本体部は、前記台座部と前記天井面との間に介在して配置される少なくとも1つのスペーサを備え、前記取付手段は、前記台座部を前記スペーサに固定する台座部固定部と、前記スペーサを前記天井面に固定するスペーサ固定部とを含むのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、1個または複数個のスペーサを台座部と前記天井面との間に介在して配置することによって、カバー部の導入口を吹出口の位置や風向きに合わせて位置決めができる。
【0014】
さらに、前記スペーサ固定部は、ネジであり、前記スペーサは、当該スペーサを前記天井面に固定する前記ネジが通るネジ穴を有しており、かつ、前記台座部には、前記スペーサの前記ネジ穴と同じ平面配置になるように、開口が形成されているのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、天井面に対して同じ位置で、台座部またはスペーサのいずれかをネジ止めすることができる。すなわち、スペーサを選択的に使用することができる。したがって、天井面の所定の位置に、あらかじめアンカーを天井内部に埋め込むなどしてネジの取付場所を形成しておけば、共通のアンカーなどの取付場所で台座部またはスペーサのいずれかをネジ止めすることが可能になる。
【0016】
さらに、前記カバー部内部で、かつ、前記イオン発生部に対して前記導入口とは反対側に設けられ、前記カバー部内部の空気の流れを下方へ案内する案内手段をさらに備えているのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、案内手段によって、カバー部の内部で浄化された空気を下方へ円滑に案内することができる。これにより、所定のエリアに向けて供給される浄化空気の量を増やすことができる。
【0018】
また、前記案内手段は、前記カバー部の排出口の一部を埋めることにより、前記カバー部と一体成形されているのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、カバー部と一体形成された案内手段によって、カバー部の内部で浄化された空気を下方へ円滑に案内することができる。しかも、案内手段がカバー部の内周面で構成されているので、カバー部および案内手段の成形が非常に容易になる。
【0020】
さらに、前記カバー部は、前記空調機から遠ざかる方向へ回転して開くことが可能であるのが好ましい。
【0021】
この構成によれば、カバー部が空調機から遠ざかる方向へ回転して開くことが可能であるため、空調機に衝突することなく、カバー部を容易に開閉することが可能である。
【0022】
さらに、前記カバー部は、カバー部本体と、前記カバー部本体から前記台座部側へ突出するヒンジ部とを有しており、前記ヒンジ部は、前記台座部に回転自在に連結されているのが好ましい。
【0023】
この構成によれば、カバー部がカバー部本体から突出したヒンジ部の部分だけで台座部と連結されているので、カバー部の取り外しが容易である。
【0024】
さらに、前記台座部の外部に露出する外周面に、前記イオン発生部に接続される電線を引き出すための引出し穴が形成されているのが好ましい。
【0025】
この構成によれば、台座部の外周面に形成された引出し穴を通して、台座部の外周面から電線を引き出すことが可能である。そのため、天井面に沿った配線が非常に容易になる
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の空気浄化装置によれば、浄化した空気を室内の所定のエリアに向けて供給することができる。しかも、本発明の空気浄化装置は、既存の空調機との組合せが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる空気浄化装置が天井設置型の空調機の周囲に設置された状態を示す斜視図である。
【図2】図1の空気浄化装置の斜視図である。
【図3】図1の空気浄化装置の天井面に設置された状態の側面図である。
【図4】図1の空気浄化装置のカバー部を開いた状態を示す平面図である。
【図5】図4の台座部を天井に固定するためのネジ付近の拡大断面図である。
【図6】図4のカバー部の内側を示す斜視図である。
【図7】図1の空気浄化装置のスペーサを設置する途中の状態を示す斜視図である。
【図8】図7のスペーサのネジ穴の配置を示す平面図である。
【図9】図1の空気浄化装置によって空調機から吹き出された空気が浄化される様子を示す断面説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係わるカバー部の内周面によって案内部が形成された空気浄化装置の断面図である。
【図11】本発明の空気浄化装置の変形例であるカバー部本体が台形形状の場合の斜視図である。
【図12】本発明の空気浄化装置の他の変形例であるカバー部本体が台形の斜面が内側に湾曲した形状の場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1に示される第1実施形態の空気浄化装置1は、天井Cの天井面CSに設置された空調機100から吹き出された空気を浄化するものである。
【0029】
空調機100は、天井面CSに沿って4方向に開口した吹出口101と、4箇所の吹出口101に囲まれた位置に下方に開口する吸込口102とを有している。
【0030】
空気浄化装置1は、吹出口101の前方にそれぞれ設置され、イオンPを発生させて吹出口101から吹き出した空気を浄化する。
【0031】
図1に示される4基の空気浄化装置1は、天井面CSに沿って配線されたハーネス20を介して互いに電気的に接続されている。4基の空気浄化装置1のうち1基が親機であり、その他の子機へハーネス20を介して電気系統が枝分かれしているので、4基の空気浄化装置1を一括して制御することが可能である。なお、ハーネス20は、合成樹脂製のモールで被覆された状態で天井面CSに配線される。
【0032】
この空気浄化装置1は、図2〜4に示されるように、本体部2と、本体部2を天井面CSにおける吹出口101の下流側(すなわち前方)に固定する取付手段とから構成されている。
【0033】
図2〜4に示されるように、本体部2は、基本構成として、イオン発生部3と、台座部4と、カバー部5とを備えている。また、必要であれば、本体部2は、図7〜8に示されるように、吹出口101から吹き出される空気の高さや向きに合わせてカバー部5の導入口14a、14b(図9参照)の高さを調整するためのスペーサ6を備えている、スペーサ6は、台座部4と天井面CSとの間に設けられる。
【0034】
イオン発生部3は、図9に示されるように、針状放電電極3aと、その針状放電電極3aを囲む環状誘導電極3bとを有している。イオン発生部3は、正極用および負極用の針状放電電極3aをそれぞれ備えている。これらの針状放電電極3aに電圧を印加することにより、吹出口101から吹き出した空気を浄化するためのイオンPを発生する。イオンPは、例えば、針状放電電極3aに電圧を印加することにより、空気中の水分子を電離することにより生成される正イオン(例えば、H+(H2O)m(mは任意の自然数))および負イオン(例えば、O2-(H2O)n(nは任意の自然数))などである。
【0035】
台座部4は、イオン発生部3が固定される台座である。イオン発生部3は、台座部4の搭載面4h(天井面CSとは反対側の面)に装着され、ネジ34によって台座部4の搭載面4hに固定される。図4の例では、2個のイオン発生部3が1枚の台座部4の搭載面4hに搭載されているが、イオン発生部3は少なくとも1個あればよい。
【0036】
また、図4に示されるように、台座部4には、3箇所の開口17a、17b、17cが開口している。
【0037】
また、図2〜3および図7に示されるように、台座部4の両側面には、部分的に内側に凹んだ取付段部22が形成されている。取付段部22は、円弧状の滑らかな内周面を有している。この取付段部22には、めねじ穴23が形成されている。
【0038】
また、台座部4の三方の側面には、他の空気浄化装置1と電気的に接続するためのハーネス20を引き出すための引出し穴4a、4b、4cが開口している。引出し穴4a、4b、4cの大きさは、ハーネス20およびそれを覆うモールが挿入することが可能な大きさに設定される。
【0039】
また、台座部4には、引出し穴4a、4b、4cのそれぞれと連通する貫通孔4e、4f、4gが形成されている。これらの貫通孔4e、4f、4gを通してハーネス20は、イオン発生部3に接続される。
【0040】
さらに、図3に示されるように、台座部4の両側面には、当該両側面から垂直に突出する円柱状の軸部21が突設されている。
【0041】
カバー部5は、イオン発生部3を覆う部材であり、台座部4に取り付けられる。カバー部5は、図2〜4、図6および図9に示されるように、カバー部本体11と、ヒンジ部12とを備えている。
【0042】
カバー部本体11は、円弧状の表面を有する長尺の覆いであり、ヒンジ部12および案内部13とともに合成樹脂で一体成形されている。
【0043】
カバー部本体11の半円筒形状の周面には、幅方向に延びる複数のスリット30が形成されている。スリット30は、図9に示される導入口14a、14bと、排出口15a、15bとを含むものである。
【0044】
図9に示されるように、導入口14a、14bは、空調機100の吹出口101から吹き出した空気A1を導入するスリットである。排出口15a、15bは、導入口14a、14bからカバー部5内部に導入された空気およびイオンPを排出するスリットである。
【0045】
したがって、スリット30のうち、空調機100の吹出口101に近い方のスリットが導入口14a、14b、遠い方のスリットが排出口15a、15bとなる。
【0046】
また、図3〜4および図6に示されるように、カバー部本体11の中央の縁部分には、係合部11aが形成されている。この係合部11aは、台座部4の中央に設けられた受け部4dと係合することにより、カバー部5を閉状態にロックすることが可能である。
【0047】
また、本実施形態では、カバー部本体11のうち台座部4の搭載面4hに対向する部分、例えば、係合部11aの両側に延びる縁には、鉄板などの磁性体(図示せず)が設けられている。このカバー部本体11側の磁性体を台座部4の搭載面4hに設けられた2個の磁石35に吸着することにより、カバー部5を閉じた状態を確実に保持できる。また、係合部11aと受け部4dとの係合を外して磁石35の磁力に抗しながら手でカバー部5を開けば、カバー部5を容易に開閉することが可能である。
【0048】
ヒンジ部12は、図3および図9に示されるように、カバー部本体11から台座部4側へ突出する。ヒンジ部12はその穴12aにおいて、台座部4の両側面から外部に突出する軸部21に回転自在に連結されている。
【0049】
また、図3に示されるように、ヒンジ部12および軸部21は、本体部2のうち空調機100から遠い側に配置されているので、カバー部5は、空調機100に衝突しないように、空調機100から遠ざかる方向へ回転して開くことが可能である、
スペーサ6は、図1および図7〜8に示されるように、吹出口101から吹き出される空気の高さや向きに合わせてカバー部5の導入口14a、14bの高さを調整するために、必要に応じて台座部4と天井面CSとの間に介在して配置される。
【0050】
図7〜8に示されるように、スペーサ6は、台座部4および他のスペーサ6と重ね合わせることが可能な形状をしており、スペーサ6の1段当たり所定の高さ(20mm程度)だけ、導入口14a、14bの高さを調整することが可能である。
【0051】
また、スペーサ6における天井面CSに設置される面の形状およびネジ穴16a〜16c等の平面配置は、台座部4における設置面形状および開口17a〜17cの平面配置と共通している。そのため、台座部4を固定するために天井面CSに配置されたアンカー103をそのまま利用してスペーサ6を固定することが可能になる。
【0052】
具体的には以下の通りである。
【0053】
図8に示されるように、スペーサ6には、3箇所のネジ穴16a、16b、16cが開口している。
【0054】
スペーサ6のネジ穴16a、16b、16cと台座部4の開口17a、17b、17cとは、互いに同じ平面配置になるように形成されている。そのため、台座部4を固定するために天井面CSに配置されたアンカー103の位置に、スペーサ6のネジ穴16a、16b、16cを重ね合わせることができる。したがって、天井面CSに対して同じ位置に配置されたアンカー103を用いて、台座部4またはスペーサ6のいずれかをネジ止めすることができる。
【0055】
また、スペーサ6の三方の側面には、他の空気浄化装置1と電気的に接続するためのハーネス20を引き出すための引出し穴6a、6b、6cが開口している。引出し穴6a、6b、6cの大きさは、台座部4の引出し穴4a、4b、4cと同じ大きさであり、ハーネス20およびそれを覆うモールが挿入することが可能な大きさに設定される。
【0056】
また、スペーサ6には、引出し穴6a、6b、6cのそれぞれと連通する貫通孔6d、6e、6fが形成されている。これらの貫通孔6d、6e、6fは、台座部4の貫通孔4e、4f、4gにそれぞれ連通することが可能であり、ハーネス20は、これらの貫通孔6d、6e、6f、4e、4f、4gを通して、台座部4の表面に設置されたイオン発生部3に接続することが可能である。
【0057】
図7に示されるように、スペーサ6の両側面には、取付突起26が形成されている。この取付突起26には、側面固定ネジ31a、31bが挿入される開口27が開口している。取付突起26は、その先端が円弧状に丸まっている。
【0058】
また、スペーサ6の両側面には、部分的に内側に凹んだ取付段部24が形成されている。この取付段部24には、めねじ穴25が形成されている。取付段部24は、円弧状の滑らかな内周面を有している。
【0059】
第1実施形態の空気浄化装置1は、図6および図9に示されるように、案内部13をさらに備えている。
【0060】
案内部13は、図6および図9に示されるように、カバー部5内部で、かつ、イオン発生部3に対して導入口14a、14bとは反対側に設けられ、カバー部5内部の空気の流れを下方へ案内する。案内部13は、本発明の案内手段の概念に含まれるものである。
【0061】
本体部2を天井面CSに固定する取付手段は、例えば、ネジから構成され、具体的には
、台座部固定ネジ33a、33b、33c(図4参照)と、側面固定ネジ31a、31b(図7参照)と、スペーサ部固定ネジ32a、32b、32c(図8参照)とから構成されている。これらのネジは、本発明の取付手段の概念に含まれる。
【0062】
ここで、台座部固定ネジ33a、33b、33c(図4参照)は、台座部4を天井Cに固定するネジである。側面固定ネジ31a(図7参照)は、スペーサ6の側面と台座部4の側面とを固定するネジである。側面固定ネジ31b(図7参照)は、スペーサ6同士の側面を固定するネジである。スペーサ部固定ネジ32a、32b、32c(図8参照)は、スペーサ部6を天井Cに固定するネジである。
【0063】
なお、側面固定ネジ31aは、本発明の台座部固定部に含まれる概念である。
【0064】
以上のように構成された空気浄化装置1では、以下のようにして天井Cに取り付けられる。
【0065】
まず、台座部4を天井Cに直接ネジ止めする場合、台座部固定ネジ33a、33b、33cを台座部4の開口17a、17b、17cに挿入して、天井面CSにおける所定の吹出口101の下流側に固定する。具体的には、図5に示されるように、天井Cにおける吹出口101の下流側の位置に埋め込まれたアンカー103の位置と開口17cの位置を合わせた状態で、台座部固定ネジ33cを開口17cに挿通した状態で、アンカー103のめねじ穴104にねじ込む。これにより、台座部4は、天井面Cに沿って固定される。
【0066】
また、スペーサ6を用いる場合には、まず、図7〜8に示されるように、最下層のスペーサ6をスペーサ部固定ネジ32a、32b、32cを用いて、空調機100の吹出口101の下流側における天井面CSに埋め込まれたアンカー103(図5参照)の位置にネジ止めする。その後、2段目のスペーサ6または台座部4を重ね合わせて側面固定ネジ31a、31bを用いてネジ止めする。
【0067】
2段目のスペーサ6を取り付ける場合には、図7に示されるように、最下層のスペーサ6の取付突起26を2段目のスペーサ6の取付段部24に挿入し、その状態で側面固定ネジ31bを取付突起26の開口27に挿入するとともに取付段部24のめねじ穴25にねじ込むことにより、スペーサ6同士が結合される。3段目のスペーサ6を取り付ける場合も同様である。
【0068】
また、2段目以降に台座部4を取り付ける場合には、スペーサ6を積層する場合と同様に、スペーサ6の取付突起26を台座部4の取付段部22に挿入し、その状態で側面固定ネジ31aを取付突起26の開口27に挿入するとともに取付段部22のめねじ穴23にねじ込むことにより、台座部4とスペーサ6とが結合される。
【0069】
つぎに、第1実施形態の空気浄化装置1を用いて、空調機100の吹出口101から吹き出した空気A1を浄化する方法について説明する。
【0070】
図9に示されるように、まず、空調機100の吹出口101から吹き出した空気A1が、カバー部5の導入口14a、14bからカバー部5の内部に導入されると、イオン発生部3で発生したイオンPによって、空気の一部が浄化される。空気およびイオンPは、排出口15a、15bを通って、カバー部5の外部へ排出される。
【0071】
また、カバー部5内部で浄化された空気の一部は、案内部13によって、図9の下方流れA3のように下方へ案内され、排出口15aから下方へ排出され、カバー部5の外部を流れる空気A2と合流して、室内に供給される。
【0072】
さらに、第1実施形態のイオン発生部3から発生するイオンPは、空気中の水分子を電離して分解した正イオンと負イオンとからなり、これらのイオンPは水分子に覆われることにより比較的寿命が長い(このようなイオンPは、発生から3秒程度の寿命がある。)。そのため、イオンPの一部は、浄化した空気とともに室内に放出され、放出されたイオンPにより室内の空気をさらに浄化することが可能である。
【0073】
例えば、図9に示されるように、イオンPの一部は、針状放電電極3aの下方に位置するスリット30を通してカバー部5の外部へ放出され、放出されたイオンPは、カバー部5の外部を流れる空気A2を浄化するとともに、空気A2とともに室内の所定のエリアに供給され、所定のエリアの空気を重点的に浄化することが可能である。
【0074】
(第1実施形態の特徴)
第1実施形態の空気浄化装置1では、ネジ31〜33などの取付手段を用いて本体部2を空調機100の所定の吹出口101の下流側に設置することにより、所定の吹出口101から吹き出す空気を浄化し、浄化した空気を室内の所定のエリアに向けて供給することができる。
【0075】
例えば、図1では、4方向の吹出口101の下流側すべてに空気浄化装置1が設置されているが、本発明では、4方向の吹出口101のうちのいずれか1つの下流側、例えば、人が多く居るエリアを向く吹出口101の下流側のみに、空気浄化装置1を設置することも可能である。これにより、所定のエリアに向けて浄化した空気およびイオンPを供給することができ、浄化した空気を効果的に放出することが可能になる。
【0076】
また、本体部2が、空調機100の外側、具体的には、天井面CSにおける空調機100の吹出口101の下流側に設置されているので、空調機100の内部に設置する場合と比較して、既存の空調機との組合せが容易である。
【0077】
また、本体部2は、イオン発生部3が固定された台座部4と、イオン発生部3を覆うカバー部5とを有しており、カバー部5には、空調機100の吹出口から吹き出した空気を導入する導入口14a、14bと、空気およびイオンPを排出する排出口15a、15bとが形成されている。この構成によれば、導入口14a、14bおよび排出口15a、15bを有するカバー部5がイオン発生部3を覆うことによって、イオン発生部3を保護することが可能である。それとともにイオンPで浄化された空気およびイオンPの流れを排出口15a、15bから所定の向きに排出することができる。
【0078】
さらに、第1実施形態の本体部2は、台座部4と天井面CSとの間に介在して配置される少なくとも1つのスペーサ6を備えている。取付手段として、台座部4をスペーサ6に固定する台座部固定部である側面固定ネジ31aと、スペーサ6を天井面CSに固定するスペーサ固定ネジ32a、32b、32cとを含んでいる。この構成によれば、1個または複数個のスペーサ6を台座部4と天井面CSとの間に介在して配置することによって、カバー部5の導入口14a、14bを吹出口101の位置や風向きに合わせて位置決めができる。
【0079】
また、スペーサ6は、スペーサ6を天井面CSに固定するスペーサ固定ネジ32a、32b、32cが通るネジ穴16a、16b、16cを有しており、かつ、台座部4には、スペーサ6のネジ穴16a、16b、16cと同じ平面配置になるように、開口17a、17b、17cが形成されている。この構成によれば、台座部4とスペーサ6とが天井面にCSにネジ止めするためのネジ穴が同じ平面配置をしているので、天井面CSに対して同じ位置に配置されたアンカー103を用いて、台座部4またはスペーサ6のいずれかをネジ止めすることができる。
【0080】
例えば、空気浄化装置1を天井面CSに最初に設置したときは、スペーサ6を用いずに台座部4を天井面CSに直接ネジ止めしていたが、その後、空調機100からの吹出空気の向きを変更するなどの理由でカバー部5の導入口14a、14bの高さを調整する必要が生じた場合には、台座部4を天井面CSに固定するときに用いたアンカー103をそのまま用いて、増設されるスペーサ6を天井面CSにネジ止めすることが可能になる。
【0081】
また、第1実施形態の空気浄化装置1は、カバー部5内部で、かつ、イオン発生部3に対して導入口14a、14bとは反対側に設けられ、カバー部5内部の空気の流れを下方へ案内する案内部13をさらに備えているので、案内部13によって、カバー部5内部で浄化された空気を図9の下方流れA3のように下方へ円滑に案内することができる。これにより、所定のエリアに向けて供給される浄化空気およびイオンPの量を増やすことができる。
【0082】
さらに、第1実施形態では、カバー部5は、カバー部本体11と、カバー部本体11から台座部4側へ突出するヒンジ部12とを有しており、ヒンジ部12は、台座部4に回転自在に連結されている。このように、カバー部5は、カバー部本体11から突出したヒンジ部12の部分だけで台座部4と連結されているので、カバー部5の取り外しが容易である。
【0083】
また、第1実施形態のヒンジ部12および軸部21は、本体部2のうち空調機100から遠い側に配置されており、カバー部5は、空調機100から遠ざかる方向へ回転して開くことが可能である、そのため、空調機100に衝突することなく、カバー部5を容易に開閉できる。また、空調機の100の真下に脚立を設置した場合、カバー部5を開けたときに空調機100から遠い方へ退避されるので、カバー部5に邪魔されることなく空気浄化装置1の内部のメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0084】
また、第1実施形態では、台座部4の外部に露出する外周面に、イオン発生部3に接続される電気接続用の電線であるハーネス20を引き出すための引出し穴4a、4b、4cが形成されているので、台座部4の外周面からハーネス20を引き出すことができる。そのため、天井面CSに沿ったハーネス20の配線が非常に容易になる。
【0085】
また、第1実施形態では、各スペーサ6の外周面にも引出し穴6a、6b、6cが形成されているので、スペーサ6を台座部4に重ね合わせて用いる場合でも、天井面CSに沿ったハーネス20の配線が非常に容易になる。
【0086】
しかも、台座部4の引出し穴4a、4b、4cの平面配置と、各スペーサ6の引出し穴6a、6b、6cの平面配置とが同じであるので、スペーサ6を増設する場合でも、空気浄化装置1を最初に設置する際に天井面CSに配線されたハーネス20を、そのハーネスの位置を変更することなくそのまま利用することが可能になる。
【0087】
第1実施形態では、案内部13がカバー部本体11およびヒンジ部12とともに一体形成された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、案内部13をカバー部本体11とは別体で製造しておき、カバー部本体11に対して着脱自在に取付可能であってもよい。
【0088】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、カバー部5内部の空気の流れを下方へ案内する案内部13がカバー部本体11の内周面から突出して形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カバー部本体11の内周面の壁そのものを案内部として用いてもよい。
【0089】
具体的には、図10に示されるように、案内部28は、カバー部5のカバー部本体11の内周面の一部のスリット30のうち、最も下流側の排出口15b(図9参照)に相当するスリットの一部を埋めることにより、カバー部5のカバー部本体11と一体成形されている。
【0090】
第2実施形態では、カバー部本体11の内周面を案内部28として用いることによって、カバー部5内部で浄化された空気およびイオンPを図10の下方流れA3のように下方へ円滑に案内することができる。しかも、案内部28がカバー部本体11の内周面で構成されているので、カバー部5および案内部28の成形が非常に容易になる。
【0091】
なお、上記の第1〜2実施形態では、本体部を天井面に固定するための取付手段としてネジを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本体部を天井面に固定できる手段であればいかなる手段を採用してもよい。ネジ以外にも、例えば、ボルト、ナットまたは釘など種々の取付手段を用いてもよい。
【0092】
また、第1〜2実施形態では、カバー部5は、ヒンジ部12を介して本体部2と連結されているが、カバー部5の落下防止のために、さらに、カバー部5と台座部4とをワイヤなどで連結しておくのが好ましい。
【0093】
さらに、図7に示されるように、空調機100の吹出口101から吹き出す空気流れの向きを調整するために、カバー部5の外側にエアウイングなどを取り付けてもよい。例えば、図7に示されるように、カバー部5の長手方向における両側面にエアウイングを取り付けるための取付穴36を形成しておくのが好ましい。
【0094】
なお、上記の第1〜2実施形態では、カバー部本体11の形状が円弧状の表面を有する円柱を半分に割ったような形状をしている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の形状のカバー部本体を採用することが可能である。例えば、図11に示されるような台形形状の場合や図12に示されるような台形の斜面が内側に湾曲した形状のカバー部本体11を採用してもよい。これらの場合も、上記の第1〜2実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0095】
また、カバー部本体11に形成されたスリット30の形状を変更してもよく、例えば、スリット30の幅を広くしてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 空気浄化装置
2 本体部
3 イオン発生部
4 台座部
5 カバー部
6 スペーサ部
11 カバー部本体
12 ヒンジ部
13 案内部
14a、14b 導入口
15a、15b 排出口
16a、16b、16c ネジ穴
17a、17b、17c 開口
30 スリット
31a 側面固定ネジ(台座部固定部)
31b 側面固定ネジ
32a、32b、32c スペーサ固定ネジ(スペーサ固定部)
33a、33b、33c 台座部固定ネジ
100 空気調和機
101 吹出口
C 天井
CS 天井面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設置された空調機の吹出口から吹き出した空気を浄化するための空気浄化装置であって、
前記吹出口から吹き出した空気を浄化するためのイオンを放出するイオン発生部を有する本体部と、
前記本体部を天井面における前記吹出口の下流側に固定するための取付手段と、
を備えている、
空気浄化装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記イオン発生部が固定された台座部と、前記イオン発生部を覆うカバー部とを有し、
前記カバー部には、前記空調機の吹出口から吹き出した空気を導入する導入口と、前記導入口から前記カバー部内部に導入され、空気とともに前記イオンを排出する排出口とが形成されている、
請求項1に記載の空気浄化装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記台座部と前記天井面との間に介在して配置される少なくとも1つのスペーサを備え、
前記取付手段は、前記台座部を前記スペーサに固定する台座部固定部と、前記スペーサを前記天井面に固定するスペーサ固定部とを含む、
請求項2に記載の空気浄化装置。
【請求項4】
前記スペーサ固定部は、ネジであり、
前記スペーサは、当該スペーサを前記天井面に固定する前記ネジが通るネジ穴を有しており、かつ、
前記台座部には、前記スペーサの前記ネジ穴と同じ平面配置になるように、開口が形成されている、
請求項3記載の空気浄化装置。
【請求項5】
前記カバー部内部で、かつ、前記イオン発生部に対して前記導入口とは反対側に設けられ、前記カバー部内部の空気の流れを下方へ案内する案内手段をさらに備えている、
請求項2から4のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記カバー部の排出口の一部を埋めることにより、前記カバー部と一体成形されている、
請求項5に記載の空気浄化装置。
【請求項7】
前記カバー部は、前記空調機から遠ざかる方向へ回転して開くことが可能である、
請求項2から6のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項8】
前記カバー部は、カバー部本体と、前記カバー部本体から前記台座部側へ突出するヒンジ部とを有しており、
前記ヒンジ部は、前記台座部に回転自在に連結されている、
請求項2から7のいずれかに記載の空気浄化装置。
【請求項9】
前記台座部の外部に露出する外周面に、前記イオン発生部に接続される電線を引き出すための引出し穴が形成されている、
請求項2から8のいずれかに記載の空気浄化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−180(P2012−180A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135959(P2010−135959)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000230858)日本金銭機械株式会社 (43)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】