説明

空気混入ワイングラス

【課題】本発明は、ワインの香りを増強するために、ワインの空気混入を増加させるワイングラスを提供し、さらに審美的に美しい外観のワイングラスを提供することである。
【解決手段】ワイングラスは、下端部の内部表面上に突起部を有するボウル部を有する。ワイングラスは、空気混入することができ、ワイングラス内に含まれたワインの香りを増強することができる一方、審美的に心地よい外観を提供する。突起部はまた、貫通孔を含み、さらなる空気混入のためにワインが貫通孔を通じて流れることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ワインの空気混入を増強するように構成されたワイングラスに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のワイングラスは、ワインを飲む、又はワインを試飲するために開発されている。それらのグラスのいくつかは、ワインの香り(bouquet)を増強するように設計される。リーデル社(登録商標)は、ワイングラスを開発し、このワイングラスにおいて、ボウル部は、特許文献1の“背景”の部分で議論されるように、特定の種類のワインに合うように形成される。
【0003】
飲料容器は、特許文献2、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5に教示されるように、芸術的効果又は視覚的効果のために、たびたび中心に配置された様々な突起部を有するように製作される。突起部はまた、特許文献6に教示されるように、例えば混合されるドリンクを準備するために、シェイカーの混合動作を改善するように使用される。
【0004】
つい最近、突起部は、特許文献7及び特許文献8に教示されるように、バッセル内のワインのサンプルが渦巻くように回すので、ワインの香りの放出を増大するようにワイン試飲用のバッセル内に使用される。
【0005】
それらの発明は、プラットフォームを有する突起部を教示し、このプラットフォームは、突起部の先端部に亘って延在し、側面まで延在する、側面の下に続く、及び垂直方向のリブ又は、突起部から突出するフィンとして見ることができるものを形成することが記載されている。この突起部は、香りの開放を促進するようにヴェンチュリ効果(venturi effect)を提供するために、渦巻くように回された液体の流れを絞るように、プラットフォームの反対側に配置されたバッセルの内部表面上にリブと組み合わせて使用される。この幾何学形状は、渦巻くように回すことが非常に激しくない限り、表面の下に乱れの多くを提供するように思われ、ワインを著しく空気混入することはない。それらによって、香りの増強における有効性を制限する。さらに、リブは、グラスの側壁の一体式の部分であり、それ故に、試飲経験に貢献するワインに対する透明さ及び色彩の目視観測を妨げる。
【0006】
特許文献9は、香りを増強するワイングラスを示し、このワイングラスは、グラスのボウル内に垂直に延在する、中央の円状の突起部又は螺旋状の突起部を有する。この特許文献9は、ボウルの体積の大部分を占める突起部を教示し、美的感覚のある外観を崩壊させて液体の中央から延在する場合がある。
【0007】
それ故に、グラス内に含まれたワインの空気混入及び香りの増強において効果的であるワイングラスのために必要であるとともに、美的に心地よい外観の提供において効果的であるワイングラスのために必要である。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0189055号明細書
【特許文献2】米国特許第3,028,035号明細書
【特許文献3】米国意匠特許第405,316号
【特許文献4】米国意匠特許第363,854号
【特許文献5】米国意匠特許第343,990号
【特許文献6】米国特許第2,208,431号明細書
【特許文献7】米国特許第6,644,846号明細書
【特許文献8】米国特許第6,409,374号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0032855号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、ワインの空気混入を増強するように構成されたワイングラスに関する。
【0009】
本発明の特定の実施形態によれば、飲用グラスは、上端部及び下端部を有するボウル部を備えることができる。ボウル部は、上端部に開口部、及びその下端部の内部表面上に一体に形成された円錐状の突起部を有することができる。突起部は、ボウル部が移動される場合に、突起部がワインの空気混入を増強するように、酸素の流れを増大するための乱れを生み出すように形成されることができる。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、ワイングラスは、上端部及び下端部を有するボウル部を備えることができる。ボウル部は、上端部に開口部、及びボウル部の下端部の内部表面上に一体に形成された円錐状の突起部を有することができる。突起部は、突起部を通じて延在する少なくとも1つの貫通孔を有することができる。突起部は、ボウル部が移動される場合に、突起部がワインの空気混入を増強するように、酸素の流れを増大するための乱れを生み出すように形成されることができる。
【0011】
発明は、数多くの他の装置及び方法によって具体化されることができる。明細書に提供された説明は、添付された図面と併用される場合に、本発明の例示を開示する。明細書に教示されるように、いくつか又は全てのステップを組み込む他の実施形態も可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明は、ワインが渦巻くように回される場合に、ワインの香りを増強する空気混入ワイングラスを提供する。
【0013】
例えば、ワイングラスを渦巻くように回されることによって、ワインの味を見る場合に、試飲者は、ワインが味を見られる前に、ワインの香りを増強するようにワインを優しく攪拌する。攪拌は、水平面で荒くワイングラスを渦巻くように回され、且つ本質的に円運動を加えることによって達成される。この動作は、ワインがグラスの側面上方に運ばれることを結果として生じる。渦巻くように回すことをやめる場合、ワインがゆったりと落ち着く。グラス内に捕らわれた空気に対するワインの表面のこの動きは、空気に対するワインの香りの伝達を高め、次々に、試飲者がワインを試飲することによって知覚される風味を増大する。本出願は、普通のワイングラスが可能にするワインの空気混入より多くの空気混入を可能にする。
【0014】
図1及び図2に最初に言及すると、ワイングラス10は、ボウル部12、ステム14、及び脚部16を含む。ボウル部は、飲むための上端部に開口部18を有する。ボウル部は、ステム14がボウル部12と接触する部分の上方で、下端部に突起部20を有する。例示では、突起部20は、丸い上面を有する略円錐形状であるが、他の形状(例えば、円状、楕円形状、正方形状、矩形状、星型、など)が使用される場合がある。1つの突起部20のみが示されるけれども、任意の数の突起部は空気混入を増強するように設けられることができる。
【0015】
ワインが試飲者によって渦巻くように回されるので、液体は突起部20の周囲に強制されて流れ、それによって、ワインを空気混入するように酸素の流れを増強するための乱れを生み出す。
【0016】
本願発明の他の実施形態を参照して、図3〜4に見られるように、ワイングラス310は、貫通孔322を有する突起部320を含むことができる。この貫通孔322は、一般的な管状のボアを形成するように、突起部320を貫通して延在することができる。貫通孔322は、ワインが貫通孔を通じて流れることを可能にする。結果的に、ワインは試飲者によって渦巻くように回されるので、乱れが突起部320によって生み出され得るだけでなく、ワインが空気混入をさらに増強するように貫通孔322を通じて移動することもできる。
【0017】
図5は、複数の貫通孔522が使用され得る本出願の他の実施形態を示す。図5の例示において、突起部520は、複数の貫通孔522a,522b,522cを有し、この複数の貫通孔は互いに平行に延在する。貫通孔がこの例示において、互いに平行に延在するけれども、他の構成は使用されることができる。例えば、任意の数の貫通孔は使用されることができ、それらの貫通孔は、1つ又は複数のポイントで交差することによって、互いに垂直及び/又は対角に配置されることができる。
【0018】
上述されたように、この本発明が、ワインの空気混入を可能にするように、任意の数の貫通孔を熟慮することに留意されたい。さらに、貫通孔は水平方向であるように示されるけれども、貫通孔は、水平面に対して所定の角度で延在することができ、それによって、重力が空気混入プロセスを支援する。
【0019】
上述されたワイングラスは、任意の適切な材料からなるが、好ましくは、ガラス、プラスチック、金属、又はリードクリスタル(lead crystal)からなる。ボウル部及びステムは、1つの一体式の部材から製作されることができ、又は容易な保管のために2つの分離可能な部材として設計されることができる。本出願は、ワインに対して議論しているけれども、任意の液体がボウル部の内側に配置されることができる。
【0020】
ボウル部の形状は、内側に配置される液体に適するように変えることができる。一般的に、白ワインは、略円筒状のボウル部を有する狭いグラスに供給され、赤ワインは、略球状のボウル部を有する幅広のグラスに供給される。シャンパンは、一般的にフルートと呼ばれるグラスに供給され、そのグラスは、白ワインのために使用されたグラスより狭く、且つ高いボウル部を有する。一般的なワイングラスは、凸状の側面を有し、グラスは、ワインと空気との境界面を改善するように底部で広くなっており、試飲者の鼻に香りを集中するように、上部で狭くなっていることが可能である。この発明のボウル部は、球状及び円筒状を含む形状の範囲を有し、凸状の側面、凹状の側面、又は直線的な側面を有することができる。突起部及び貫通孔は、空気混入を改善することができ、それによって、ボウル部の底部で狭くなっているグラスにおいて、空気とワインとの境界面がより大きくなることができる。
【0021】
本発明は特定の例示及び好ましい実施形態に対して記述される一方、本発明がそれらの例示及び実施形態に制限されないことが理解される。それ故に、請求されるように、本発明は、当業者に明らかである、明細書に記載された特定の例示及び実施形態からの変形実施形態を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の特定の実施形態によって使用され得るワイングラスの正面図である。
【図2】図1のワイングラスの平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態とともに使用され得るワイングラスの正面図である。
【図4】図3のワイングラスの平面図である。
【図5】本発明のさらなる他の実施形態によって使用され得るワイングラスの正面図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ワイングラス
12 ボウル部
14 ステム
16 脚部
18 開口部
20 突起部
310 ワイングラス
312 ボウル部
316 脚部
320 突起部
322 貫通孔
520 突起部
522a 貫通孔
522b 貫通孔
522c 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラス内にワインを保持するように構成された飲用グラスであって、
上端部及び下端部を有するボウル部であって、前記上端部に開口部を有する前記ボウル部と、
前記ボウル部の前記下端部の内部表面上に一体に形成された円錐状の突起部と、
を備えている飲用グラスにおいて、
前記突起部は、前記ボウル部が移動される場合に、前記突起部が前記ワインの空気混入を増強するように酸素の流れを増加するための乱れを生み出すように形成されることを特徴とする飲用グラス。
【請求項2】
上部及び底部を有するステムをさらに備え、前記ステムは、前記ステム上に前記ボウル部を支持するために前記ボウル部の外部表面の前記下端部から延在していることを特徴とする請求項1に記載の飲用グラス。
【請求項3】
脚部上に前記ステム及び前記ボウル部を支持するために、前記ステムの前記底部に接続された脚部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の飲用グラス。
【請求項4】
前記突起部が対称であることを特徴とする請求項1に記載の飲用グラス。
【請求項5】
ワインを保持するためのワイングラスであって、
上端部及び下端部を有するボウル部であって、前記上端部に開口部を有する前記ボウル部と、
前記ボウル部の前記下端部の内部表面に一体に形成された円錐状の突起部であって、前記突起部を通じて延在する少なくとも1つの貫通孔を有する前記突起部と、
を備えているワイングラスにおいて、
前記突起部は、前記ボウル部が移動される場合に、前記突起部が前記ワインの空気混入を増強するように酸素の流れを増加するための乱れを生み出すように形成されることを特徴とするワイングラス。
【請求項6】
上部及び底部を有するステムをさらに備え、前記ステムは、前記ステム上に前記ボウル部を支持するために前記ボウル部の外部表面の前記下端部から延在していることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項7】
脚部上に前記ステム及び前記ボウル部を支持するために、前記ステムの前記底部に接続された脚部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貫通孔が水平面に沿って延在していることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの貫通孔が水平面から所定の角度で延在していることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項10】
前記突起部内に形成された複数の貫通孔をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項11】
前記複数の貫通孔が互いに平行であることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項12】
前記複数の貫通孔が互いに交差することを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。
【請求項13】
前記突起部が対照であることを特徴とする請求項5に記載のワイングラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−289887(P2008−289887A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−134747(P2008−134747)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(504035272)インジニアス デザインズ エルエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】INGENIOUS DESIGNS LLC
【住所又は居所原語表記】80 Rodeo Drive,Edgewood,New York 11717,U.S.A.
【Fターム(参考)】