説明

空気混合水吐水装置

【課題】空気混合水吐水装置の停止時に空気流路内に水が侵入することを防止し、また、水流路内の汚れを除去することのできる空気混合水吐水装置を提供すること。
【解決手段】減圧により空気を取込み、ポンプ11へ空気混合水を供給する空気混合水吐水装置において、水の吸水口12とポンプ11の間に減圧部10を備え、減圧部10に空気流路131の配管が接続され、空気流路131の配管に空気の通気量を調整する空気弁14を設け、ポンプ11の動作状態を監視し、ポンプ11停止時には空気弁14を開いた状態とし、ポンプ11停止が完了した後に空気弁14を閉じる制御手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気混合水吐水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湯水に発生する微細気泡は、入浴の効能を高めることができ、そのような微細気泡が発生する空気混合水を生成することのできる空気混合水吐水装置は、微細気泡発生浴槽に組み込まれておりジェットバス等として広く認知されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような微細気泡発生浴槽に組み込まれる従来の空気混合水吐水装置の構成例を図4に示す。この構成例では、ポンプ11の上流に減圧部10が設けられ、減圧部10と吸水口12が水流路121で配管されている。
【0004】
また、減圧部10と空気取込口13とが空気流路131で配管されており、空気流路131の中間部に逆止弁4が設けられた構成となっている。
【0005】
そして、ポンプ11の運転により吸水口12から取り込まれた水と、空気取込口13から取り込まれた空気は減圧部10内で混合されて、水に気体が溶解した空気混合水が生成され、減圧部10から空気混合水路101の配管を通してポンプ11に送られ、ポンプ11の吐出側に接続された空気混合水路112に送出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−269292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような構成及び動作の空気混合水吐水装置においては、空気混合水吐水装置の運転を停止するためにポンプ11を停止させると、ポンプ11の停止とともに吸引圧が減少して逆止弁4が急閉塞する。
【0008】
運転中の空気流路131内を図5(A)矢印に示すように流れていた気体は、前記ポンプ11の運転時の吸引圧により膨張しているため、ポンプ11を停止すると逆止弁4の急閉塞によって体積が減少し、図5(B)矢印に示すように前記減圧部10内の水が空気流路131内に侵入する。
【0009】
そして、この空気流路131内に侵入した水中の汚れ等が逆止弁4や空気流路131内にスケールやごみとして溜まり、逆止弁4や空気流路131が閉塞されるという問題があった。
【0010】
また、空気混合水吐水装置の稼働回数や稼働時間の増加に伴い、スケールやヌメリの蓄積によって吸水口12の開口面積が小さくなると、空気流路131に加わる吸引圧が大きくなり、ポンプ11の停止時の空気の体積変化が大きくなるため、スケールやごみによる空気流路131の閉塞リスクが高まるという問題があった。
【0011】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、空気混合水吐水装置の停止時に空気流路内に水が侵入することを防止することにより、スケールやごみによる空気流路の閉塞リスクを解消し、また、吸水口及び水流路内のスケールやヌメリの蓄積を解消することのできる空気混合水吐水装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。
【0013】
即ち、本発明の空気混合水吐水装置は、減圧により空気を取込み、ポンプへ空気混合水を供給する空気混合水吐水装置において、水の供給口とポンプの間に減圧部を備え、減圧部に空気流路の配管が接続され、空気流路の配管に空気の通気量を調整する空気弁を設け、ポンプの動作状態を監視し、ポンプ停止時には空気弁を開いた状態とし、ポンプ停止が完了した後に空気弁を閉じる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の空気混合水吐水装置は、減圧により空気を取込み、ポンプへ空気混合水を供給する空気混合水吐水装置において、水の供給口とポンプの間に減圧部を備え、減圧部に空気流路の配管が接続され、空気流路の配管に空気の通気量を調整する空気弁を設け、ポンプの動作状態を監視し、ポンプ停止運転の前段階に所定の時間空気弁を閉じた後、再度空気弁を開くとともに、ポンプ停止運転を開始させ、ポンプ停止が完了した後に空気弁を閉じる制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空気混合水吐水装置の停止時に空気流路内に水が侵入することを防止することにより、スケールやごみによる空気流路の閉塞リスクを解消し、また、吸水口及び水流路内のスケールやヌメリの蓄積を解消することのできる空気混合水吐水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の空気混合水吐水装置を例示した構成図である。
【図2】本発明の空気混合水吐水装置の第1の実施形態の概要を示したグラフである。
【図3】本発明の空気混合水吐水装置の第2の実施形態の概要を示したグラフである。
【図4】従来の空気混合水吐水装置を例示した構成図である。
【図5】(A)は従来の空気混合水吐水装置の運転時の空気流路内の状態を示す概略図であり、(B)は従来の空気混合水吐水装置の停止時の空気流路内の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の空気混合水吐水装置の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本発明の空気混合水吐水装置を例示した構成図である。
【0018】
本発明の空気混合水吐水装置は、中空の減圧部10と、減圧部10から空気混合水を導くためのポンプ11を備え、減圧部10には吸水口12から水を流入するための水流路121が配管されている。また、減圧部10には、空気取込口13から空気を取込むために空気流路131が配管されている。
【0019】
また、減圧部10と空気取込口13とを配管する空気流路131の中間部には、空気の通気量を調整する空気弁14及び空気弁14の開閉を制御する空気弁制御部141が設けられている。
【0020】
そして、減圧部10とポンプ11とは、空気混合水流路101により配管され、ポンプ11の吐出側に一端部が接続された空気混合水流路112により空気混合水が送出される。
【0021】
さらに、ポンプ11には、ポンプ11の運転、停止の動作状態を監視するポンプ動作監視部111が設けられており、このポンプ動作監視部111の情報が空気弁制御部141に送られ、この情報に基づいて空気弁14の開閉動作を行うようになっている。
【0022】
以下に、本発明の空気混合水吐水装置の空気弁開閉制御装置の動作について詳細に説明する。
【0023】
本発明の空気混合水吐水装置の空気弁開閉制御装置の動作は、ポンプ11の運転を基準として、空気弁14の開閉を制御するものである。
【0024】
本発明の空気混合水吐水装置の第1の実施形態の概要を図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
図1に示すように、ポンプ11の運転開始とともに水が吸水口12より減圧部10に供給され、ポンプ11の回転数の増加に伴い水の流量および圧力が増加する。そして、減圧部10内に流入した水は空気取込口13から取込まれた空気と混合され、空気混合水が生成される。
【0026】
生成された空気混合水は、減圧部10から空気混合水流路101を通してポンプ11に送られ、ポンプ11の吐出側に一端部が接続された空気混合水流路112から送出され定常運転の状態となる。
【0027】
空気混合水吐水装置の運転を停止するためにポンプ11の運転を停止すると、図2のグラフに示すように空気混合水吐水装置の運転は定常運転から停止運転になる。この際、ポンプ11の運転、停止の動作状態はポンプ動作監視部111により監視されている。
【0028】
ポンプ11の回転数が減速すると減圧部10の空気の吸引圧が徐々に小さくなり、ポンプ11の運転が完全に停止すると、空気流路131内は大気圧となる。この際、ポンプ動作監視部111からのポンプ11が完全に停止した情報が、空気弁制御部141に送られ、この情報に基づき空気弁14が閉じられる。
【0029】
本発明の空気混合水吐水装置は、ポンプ11が完全に停止し、空気流路131内が大気圧の状態となった時点で空気弁14が閉じられるため、ポンプ11の停止時に空気流路131内に水が侵入することはない。
【0030】
従って、空気流路131内や空気弁14に水が接触することはなく、水中の汚れ等がスケールやゴミとなって、空気流路131内や空気弁14に溜まることがない。
【0031】
次に、本発明の空気混合水吐水装置の第2の実施形態の概要を図1及び図3を用いて説明する。なお、第2の実施形態の空気混合水吐水装置の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と同様であるので説明を省略する。
【0032】
第2の実施形態では、図3に示すように、ポンプ11の停止運転の前段階に所定の時間空気弁14を閉じた後、再度空気弁14を開く。そして、空気弁14を開くとともに、ポンプ11の停止運転を開始させる。
【0033】
この、ポンプ11の停止運転の前段階で所定の時間、空気弁14を閉じた後、開くまでの間は水の吸引圧は低下する。そして、水の吸水量は上昇し水流路121内の水の流速が増加する。
【0034】
この、水流路121内の水の流速の増加により、吸水口12や水流路121内にスケールやヌメリの付着を防止する掃除効果が得られる。
【0035】
また、この操作を空気混合水吐水装置の停止時に毎回行うことにより、常に吸水口12や水流路121内の清浄な状態を維持することができる。
【0036】
そして、上記の一定時間経過の後、空気弁14を開くとともにポンプ11の運転を停止すると、図3に示すように空気混合水吐水装置の運転が定常運転状態から停止運転状態となる。この際、ポンプ11の運転、停止の動作状態はポンプ動作監視部111により監視されている。
【0037】
ポンプ11の運転が減速すると減圧部10の空気の吸引圧が徐々に小さくなり、ポンプ11の運転が完全に停止すると空気流路131内は大気圧となる。この際のポンプ動作監視部111からのポンプ11が完全に停止した情報は、空気弁制御部141に送られ、この情報に基づき空気弁14が閉じられる。
【0038】
このポンプ11を停止して、停止運転状態の開始から、ポンプ動作監視部111のポンプ10の完全停止情報により、ポンプ10が完全に停止し、空気流路131内が大気圧の状態となった時点で空気弁14が閉じられる動作は、第1の実施形態と同様である。
【0039】
従って、空気流路131内や空気弁14に水が接触することはなく、水中の汚れ等がスケールやゴミとなって、空気流路131内や空気弁14に溜まることがない。
【0040】
本発明の空気混合水吐水装置では、例えば、空気流路131内の気圧を検知する気圧検知手段を設け、この気圧検知手段の検知信号をポンプ動作監視部111に送り、気圧検知手段の信号が大気圧となったことを判断して、この情報を空気弁制御部141に送り、空気弁14を閉めるようにしてもよい。
【0041】
なお、本発明の説明では減圧部10に取込む流体を水として説明したが、水以外の湯水等であってもよい。
【0042】
また、本発明が対象とする空気混合水吐水装置は、図1に示した構成のものに限定されない。細部等の構成及び構造については様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 減圧部
101 空気混合水流路
11 ポンプ
111 ポンプ動作監視部
112 空気混合水流路
12 吸水口
121 水流路
13 空気取込口
131 空気流路
14 空気弁
141 空気弁制御部
4 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧により空気を取込み、ポンプへ空気混合水を供給する空気混合水吐水装置において、水の供給口とポンプの間に減圧部を備え、減圧部に空気流路の配管が接続され、空気流路の配管に空気の通気量を調整する空気弁を設け、ポンプの動作状態を監視し、ポンプ停止時には空気弁を開いた状態とし、ポンプ停止が完了した後に空気弁を閉じる制御手段を備えたことを特徴とする空気混合水吐水装置。
【請求項2】
減圧により空気を取込み、ポンプへ空気混合水を供給する空気混合水吐水装置において、水の供給口とポンプの間に減圧部を備え、減圧部に空気流路の配管が接続され、空気流路の配管に空気の通気量を調整する空気弁を設け、ポンプの動作状態を監視し、ポンプ停止運転の前段階に所定の時間空気弁を閉じた後、再度空気弁を開くとともに、ポンプ停止運転を開始させ、ポンプ停止が完了した後に空気弁を閉じる制御手段を備えたことを特徴とする空気混合水吐水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate