説明

空気清浄フィルタ

【課題】本発明は,圧力損失を減ずるとともに,集塵効率を高めることができる空気清浄フィルタを提供する。
【解決手段】本発明は,静電帯電された高分子合成樹脂からなるフィルム1と,フィルム1上に形成された複数の突起2とを備え,フィルム1は,通気方向に対して平行方向に通気路3を備えるように,円柱状に巻回される空気清浄フィルタを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,空気清浄フィルタに係り,特に,静電帯電した空気清浄フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
産業発展に伴う化石燃料の過剰使用により,大量のガスが産業施設から排気されている。さらに,都市基盤施設の拡充に伴う大量の粉塵の発生により,大気汚染による環境問題がもたらされている。
【0003】
このような排気ガスや粉塵は,機械濾過法や静電濾過法により集塵されるのが一般的である。機械濾過法は,織布,不織布などの繊維フィルタを用いるため,微細な(例えば,10ミクロン以下)粒子の集塵には不適である。さらに,繊維フィルタ内に粒子が集積することにより,繊維フィルタの圧力損失(通風抵抗)が増加し,耐用年数が短くなる。
【0004】
静電濾過法は,集塵効率の高い無線周波数放電(radio frequency discharge)を用いる。一方,静電濾過法は,消費電力が大きく,保守管理や安定性の面で問題を有する。さらに,静電濾過法は,大量のオゾンを生成する場合があり,呼吸困難や頭痛などの問題をもたらす。
【0005】
特許文献1は,集塵効率の優れた無電源静電フィルタを開示している。無電源静電フィルタにおいては,ポリプロピレンやポリエチレンなどの高分子樹脂を用いて,織布または不織布などからなる繊維フィルタが形成される。さらに,繊維フィルタは,静電作用により集塵するために,高電圧装置を用いて静電帯電される。
【0006】
しかし,無電源静電フィルタにおいては,従来の機械濾過法で用いられる機械フィルタと同様の方法により,織布または不織布が用いられる。すなわち,無電源静電フィルタに対して垂直方向に通気させるため,フィルタの圧力損失が増加する。さらに,ファンを用いて吸気する場合,消費動力が増加し,大きな騷音が発生しうる。集塵効率を高めるために無電源静電フィルタの厚さが増加されれば,圧力損失がさらに増加させられるため,集塵効率の向上は自ずと制限される。このような集塵効率上の制限により,無電源静電フィルタは,微細な粒子の集塵には不適であり,微細な粒子に含まれる酸性またはアルカリ性のガス臭を浄化することはできない。
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許第310274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので,その目的は,圧力損失を減ずるとともに,集塵効率を高めることができる空気清浄フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,静電帯電された高分子合成樹脂からなるフィルムと,フィルム上に形成された複数の突起とを備え,フィルムは,通気方向に対して平行方向に通気路を備えるように,円柱状(ロール状)に巻回される空気清浄フィルタが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,空気清浄フィルタは,静電帯電され,複数の突起を備えた高分子合成樹脂フィルムからなり,通気方向に対して平行方向に通気路を備えるように,円柱状(ロール状)に巻回される。かかる構成によれば,圧力損失を減じるとともに,集塵効率を高めることができる。さらに,微細な粒子を集塵することにより,微細な粒子に含まれる酸性またはアルカリ性のガス臭を効率的に浄化することができる。
【0011】
さらに,突起の高さは,フィルタの幅に応じて調節できるため,空気清浄器の設計寸法が自在となるとともに,圧力損失を減じ,低い消費電力および低い騷音を実現することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に,添付した図面を参照しながら,本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する発明特定事項については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
図1および図2に示すとおり,本発明の空気清浄フィルタは,10〜40KVコロナ放電装置などの帯電装置を用いて帯電され,複数の突起2が形成されたポリプロピレンやポリエチレンなどの高分子合成樹脂からなるフィルム1を含む。フィルム1は,通気方向に対して平行方向に通気路3を備えるように,円柱状(ロール状)に巻回される。
【0014】
フィルム1の厚さは,剛性を維持するために,0.1〜1mm程度が望ましい。突起2の高さは,被清浄空気の状態,通気量(吸気量)またはファンの回転数に応じて,0.1〜5mmの範囲で設定される。突起2の高さは,圧力損失を調節できるように,フィルム1の幅に応じて設定される。
【0015】
すなわち,フィルム1の幅を小さくすれば,突起2の高さを小さくし,フィルム1の幅を大きくすれば,突起2の高さを大きくする。
【0016】
さらに,空気洗浄フィルタは通常ケースに収容されるため,ケースの容積や形状などの構造に応じてフィルム1の幅を設定した後,突起2の高さが決定されうる。
【0017】
突起2は,フィルム1上に不規則に形成されることが望ましい。なぜなら,通気路3を通過する空気を突起2に不規則に衝突させる一方で,空気を互いに衝突させることになる通気上の迂回路を形成することにより,集塵効率を高めることができるためである。
【0018】
本発明によれば,被清浄空気は,通気方向に対して平行方向に通気路3に吸入されるため,空気清浄フィルタは微細な粒子を集塵するとともに,微細な粒子に含まれるガス臭を浄化する。微細な粒子に含まれる酸性またはアルカリ性のガス臭を効率的に浄化するため,フィルム1の圧出に際しては,活性炭またはゼオライトなどの多孔性脱臭剤と,細菌の殺菌に適した銀または酸化チタニウムなどの殺菌剤とがフィルム1上に散布されることが望ましい,さらに,フィルム1は,広幅のフィルムで製造された後,使用に際して所定の幅に切断されることが望ましい。
【0019】
本発明によれば,空気清浄フィルタがケースに収容され,ケース後方にファンが設置されることにより,被洗浄空気は通気路3に対して平行方向に吸気される。被清浄空気が通気路3を通過する際,フィルム1に恒常的に帯電された電荷(静電気)が,粒子に反応することにより,空気清浄フィルタにより粒子が集塵されるとともに,粒子に含まれるガス臭が浄化される。被清浄空気が通気路3に対して平行方向に通気されるため,圧力損失が低減される。さらに,被清浄空気の通気路3中の移動経路が増加するため,フィルム1と粒子との帯電が向上され,集塵効率を高めることができる。
【0020】
そして,本発明によれば,フィルム1の幅を小さくすれば,突起2の高さを小さくし,フィルム1の幅を大きくすれば,突起2の高さを大きくすることにより,空気清浄器の設計寸法が自在となる
【0021】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範疇に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態にかかる空気清浄フィルタの展開斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる空気清浄フィルタの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 フィルム
2 突起
3 通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電帯電された高分子合成樹脂からなるフィルムと;
前記フィルム上に形成された複数の突起と;
を備え,
前記フィルムは,通気方向に対して平行方向に通気路を備えるように,円柱状に巻回されることを特徴とする空気清浄フィルタ。
【請求項2】
前記突起は,前記フィルム上に不規則に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の空気清浄フィルタ。
【請求項3】
前記突起の高さは,前記フィルムの幅に応じて,調節できることを特徴とする,請求項1または2に記載の空気清浄フィルタ。
【請求項4】
前記フィルムには,多孔性脱臭剤と殺菌剤とが散布されることを特徴とする,請求項1に記載の空気清浄フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−513858(P2006−513858A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518454(P2005−518454)
【出願日】平成16年2月21日(2004.2.21)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000361
【国際公開番号】WO2004/073833
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505310998)
【Fターム(参考)】